6. ヒトの誘 誘発筋電図 図(H・M 波) 1.目的 ヒト末梢神経 経を単一の の矩形波で電 電気刺激す するとある筋 筋では 2 度 度収縮する る。刺 激後 後の応答時を を異にする る筋活動電位 位がみられ れる。早く現れるもの のをM波、遅く 現れ れるものをH H波という う。正常安静 静時では、脛骨神経の電気刺激 激で下腿三 三頭筋 からH波とM波 波が誘発される。 M M波は運動神 神経線維が が刺激され、 、そのインハ パルスによっ って誘発さ れた筋電図 図で、 応答 答時が 4~5msec である。H波は は伸張反射経 経路の活動 動により発生 生する。脛骨神 脛 経内 内の第Ⅰa 群線維が刺 群 刺激され、イ インパルスは脊 脊髄前柱の の運動ニュー ーロンに単 単シナ プス ス性に伝達さ される。運 運動ニューロ ロンに発生 生したインパル ルスは筋に至 至り筋活動 動電位 を発 発生する。こ これがH波 波である。 脛 脛骨神経を電 電気刺激し し、H波とM M波の誘発 発筋電図を記 記録する。 2.装置・用具 具 生 生体アンプ、波形解析 析プログラム ム(Power Lab)、オシロスコー ープ、電気 気刺激 装置 置、刺激電極 極、記録電 電極、シール ルドシーツ ツ 3.被験者 学 学生同士、被 被験者はシ ショートパン ンツ着用の の上、ベッドに腹位を をとる。 4.実験準備 図 図1に示すよ ように記録 録電極(R1、 、R2)を下 下腿三頭筋 筋のヒラメ筋 筋上の皮膚 膚面に 約 5 ㎝離して貼付する。接地電極 極は刺激電極 極との間に に貼付する。 。刺激電極 極の基 準電 電極は上腿に に、探査電極 極は膝窩部 部の脛骨神経 経上にあて てる。強度を を次第に上 上げ、 筋が が収縮する最 最良箇所を を探す。【図 図1】 5.実習事項 1)脛骨神経の の刺激点の の探査 刺激に用い いる矩形波の持続は 0 0.5~1msec とし、これを 1 秒に に 1 回の割 割合で 繰り返す。刺激装置が定 刺 定電流出力 力の場合、1mA あたりから次第に に強度を高 高め、 電気の感じを を被験者に体得させ、 2mA 付近 近で下腿三 三頭筋が最も も強く収縮 縮する ような刺激点 点をみつける。刺激装 装置が定電 電圧出力の場 場合は 50V V あたりよ より始 め、80V 付近 近で刺激点を探索する る。刺激点が がみつかっ ったら、探査 査電極をそ その位 置に固定する る。【図1】 2)刺激強度と とH波、M M波の振幅 刺激電極の の弱いとこ ころから次第 第にその強 強度を高める。最初、 刺激のア アーチ ファクトから ら約 30mse ec の応答時 時でH波が が現れ、次い いでM波が現 現れる。さらに さ 刺 刺激強度を高 高めるとM M波の振幅は は大きくな なるがH波の の振幅は減 減少する。 【図2】 【 H波は脛骨神 神経内の第 第Ⅰa 群線維 維(直径 12~20μm m)が興奮し し伸張反射 射弓に より筋に発生し した活動電 電位。M波は は、脛骨神経 経内のα運動 動神経(直径 径 8~16μ μm) が刺 刺激されたた ため、M波 波が出現する るようにな なるとα運動 動神経を逆 逆方向性にもイン パルス スが伝わり、伸張反射 射弓を回って てきた H 波を発生する 波 るインパルスを を阻止する ること にな なる。H波振 振幅の減少 少する原因で である。【図 図3】 3)H波の回復 復曲線 H波のみが が見られる刺激強度で で2発の刺 刺激を与える る。その間 間隔を 1 秒位か 秒 ら次第にせば ばめる。第2の刺激に により発生す するH波の の振幅は増減 減する。横軸に 横 2発刺激の間 間隔を、縦軸 軸に第2刺 刺激(試験刺 刺激)によ よるH波振幅 幅の単独の の場合 に対する百分 分比を目盛ると、それ れはH波の回 回復曲線で である。伸張 張反射の中 中枢に おける不応期 期などを検査すること とができる。【図4】 《考 察》 ヒトの末梢神経内のα運動神経を電気刺激するとその支配筋を収縮させるこ とができる。α運動神経にインパスルが発生し、神経筋シナプスを伝達し、筋活動 電位を発生し、興奮-収縮連関を経て筋フィラメントの滑走により収縮が起こる。 このことがヒトについても実証できた。 α運動神経を直接電気刺激しなくても、伸張反射の第Ⅰa 群線維を刺激し、イ ンパルスをその反射弓を通過させた上でα運動神経にインパルスを伝導させても筋は 収縮する。この際の筋活動がH波である。 《課 題》 1) M波を発生するためのα運動神経の電気刺激閾値を求める。 2) M波とH波の応答時からインパルス伝導、伝達の時間を分析し、その意味 を考える。 3) H波を発生する伸張反射の神経回路の模式図を描く。 4) 刺激強度を高めるとM波が現れ、それが増大するとH波が減少してい く機構について考える。 5) 回復曲線を描き、不応期の意味を考える。 6) H波に影響を及ぼす因子について考える。 ※実習上の注意 ・各自が被験者になれるよう、下腿部を露出できる服装(ショートパンツ等)で参加 する。 ・本実習で用いる刺激装置は、使用法を誤ると人体に危害が加わる事もあり得 るので、取扱には十分に注意する。 ・移動の際、接続コード類を外さないよう十分注意する。 《参考図書》 ・柳澤信夫、柴崎 浩:臨床神経生理学、医学書院 2008 ・本郷利憲、廣重 力、豊田順一:標準生理学第6版、医学書院 2005 ・藤原哲司:筋電図・誘発電位マニュアル、金芳堂 1999 ・中西孝雄、島村宗夫:臨床神経生理学入門、真興交易医書出版部 1982
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