第 1 章 多項式 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 式の展開 1 ◆指導ページ P.12 ~ 15 ◆ 【指導のねらい】 ★多項式の計算を分配法則を利用して計算できるようにする。 ★式の展開をできるようにする。 学習内容・補足事項など はじめに <導入> 学習1 多項式と単項式の乗法 ⇒A1,B1 多項式と単項式の乗除は,中学 2 年 分配法則 で学習した多項式と数の乗除がベース m(a + b)= ma + mb になる。分配法則を利用したものなの ※( )内の項が 3 つの場合は,3 つすべての数に分配する。 で,きまりを確認しながら,計算させ 例題 たい。また,中 2 同様,次数の数え間 ▷ 3a(2b + c) 違えがでやすいので,途中式を丁寧に = 3a × 2b + 3a × c かくことが大切である。 分配法則 = 6ab + 3ac 多項式×多項式の計算は,この後に ▷ (2a - b + 3c)×(- 2a) 学習するものの基本となる考え方なの = 2a ×(- 2a)- b ×(- 2a)+ 3c ×(- 2a) m(a + b + c)= ma + mb + mc で,計算の仕方をきちんと理解させた =- 4a2 + 2ab - 6ac い。難しい計算ではないので,計算の 順番のきまりを決めて丁寧に計算させ 学習2 多項式と単項式の除法 ⇒A2,B1 ることで,しっかりと身に付けさせて 除法 おきたい。 <事前確認> 学習1 多項式×単項式 (a + b)÷ m = a + b m m m n (a + b)÷ n =(a + b)× m 例題 ▷ (16a2 - 12ab)÷(- 4a) ・分配法則を使って,多項式の各項に = 16a2 ÷(- 4a)- 12ab ÷(- 4a) 単項式をかける。 =- 4a + 3b ・ ( ) 内の項すべてに分配する。 ※割り切れる場合は,分数にせずそのまま計算してもよい。 ▷ (3x2y - 4xy2)÷ 1 xy 2 ÷を×になおす 学習2 2 =(3x2y - 4xy2)× xy 多項式÷単項式 2 2 ・分数の形になおしてから約分する。 = 3x2y × xy - 4xy2 × xy 3x2y × 2 y2 × 2 ・単項式が分数の除法の場合は,わる = - 4x xy xy 式を逆数にして乗法になおして計算 = 6x - 8y する。 ※分数の割り算や,割り切れない場合は,乗法になおして計算するとよい。 学習3 展開…単項式や多項式の積の形の式を 学習3 式の展開と分配法則 理解 ⇒A3,4,B2~4 式の展開 計算し,単項式の和の形に表すこと。 (a + b) (c + d)= ac + ad + bc + bd 多項式×多項式…分配法則を繰り返し ※分配法則の順番は自分で決めてよいが,どんな問題も同じ手順で計算するようにした方がミ て計算する。 スは減る。 例題 ▷ (x - 2y) ( y + 3) x と- 2y をそれぞれ分配する = x × y + x × 3 - 2y × y - 2y × 3 = xy + 3x - 2y2 - 6y ▷ (2x - 3y) (3x + y) = 6x2 + 2xy - 9xy - 3y2 = 6x2 - 7xy - 3y2 同類項は 1 つにまとめる ▷ (a + b) (a + 2b - 1) a と b をそれぞれを分配する = a2 + 2ab - a + ab + 2b2 - b = a2 + 3ab - a - 2b2 - b 第 1 章 多項式 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 乗法公式 2 【指導のねらい】 ★式の展開を,乗法公式を利用して解くことができるようにする。 ★乗法公式の利用をふくむ,いろいろな計算問題を解くことができるようにする。 学習内容・補足事項など はじめに <導入> ◆指導ページ P.16 ~ 19 ◆ 学習1 (x + a) (x + b)の展開 暗記 ⇒A1,B1,2 前単元で学習した多項式×多項式に 例題 (x + 4) おいて,分配法則を一部省略して展開 ▷ (x + 2) 乗法公式① ※ a = 2,b = 4 とする。 する式が乗法公式である。乗法公式を = x2 +(2 + 4)x + 2 × 4 利用することで,計算ミスを大幅に減 = x2 + 6x + 8 らすことができ,また,この後に学習 (x + 3y) する因数分解のことを考えると,しっ ▷ (x - 2y) = x2 +(- 2y + 3y)x - 2y × 3y かりと身に付けさせておきたい。 まずは分配法則を使って計算を行い, = x2 + xy - 6y2 その結果から特徴を見つけ出してから, ※ y を入れ忘れることが多いので気をつける。 乗法公式を利用して 1 回の計算で展開 (2a - 5) させるなどをし,活用することのよさ ▷ (2a + 3) 2 +(3 - 5)× 2a + 3 ×(- 5) =(2a) を理解させたい。 3 つの乗法公式は,最初にまとめて = 4a2 - 4a - 15 ※(3 - 5)× 2a の部分で,2 をかけるのを忘れることが多い。 示してもよい。問題の形式からどの公 式を使えばよいのかを判断できるよう にすると今後につながる。 2 の展開 暗記 ⇒A2,B1,2 学習2 (a + b)2,(a - b) 例題 <事前確認> 2 ▷ (a + 5) 学習1 = a2 + 2 × a × 5 + 52 乗法公式① = a2 + 10a + 25 乗法公式② ※ b = 5 とする (x + a) (x + b)= x2 +(a + b)x + ab 2 ・x の係数が 1 以外でも,同じであれ ▷ (x - 6) = x2 - 2 × x × 6 + 62 ばこの公式は使える。 乗法公式③ ※ a = x,b = 6 とする = x2 - 12x + 36 学習2 乗法公式② 和の平方の展開 2 = a2 + 2ab + b2 (a + b) 2 ▷ (3x + 2y) 2 + 2 × 3x × 2y +(2y) 2 =(3x) = 9x2 + 12xy + 4y2 乗法公式③ 学習3 (a + b) (a - b)の展開 暗記 ⇒A3,B1,2 差の平方の展開 2 = a2 - 2ab + b2 (a - b) 例題 学習3 = a2 - 9 ▷ (a + 3) (a - 3) = a2 - 32 乗法公式④ ※ b = 3 とする 乗法公式④ (a + b) (a - b)= a2 - b2 ▷ (2x + 5y) (2x - 5y) 2 -(5y) 2 =(2x) ・a,b の部分が小数や分数になって = 4x2 - 25y2 和と差の積の展開 いるものもよく出題される。 学習4 おきかえによる展開 ⇒A4,B3 例題 2 ▷ (a + 2b - 3) a + 2b = A とすると, 2 = A2 - 6A + 9 =(a + 2b) 2 - 6(a + 2b)+ 9 (A - 3) = a2 + 4ab + 4b2 - 6a - 12b + 9 ▷ (x + y - 2) (x - y + 2) ={x +(y - 2)} {x -(y - 2)} y - 2 = A とすると, 2 (x + A) (x - A)= x2 - A2 = x2 -(y - 2) = x2 -(y2 - 4y + 4)= x2 - y2 + 4y - 4 第 1 章 多項式 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 素因数分解・共通因数でくくる因数分解 3 ◆指導ページ P.20 ~ 23 ◆ 【指導のねらい】 ★因数,素数,素因数の意味を理解する。 ★素因数分解をできるようにする。 ★素因数分解を利用した問題を解けるようにする。 はじめに 学習内容・補足事項など <導入> 学習1 素因数分解 理解 ⇒A1,2 この単元は,この後に学ぶ因数分解,例題 次章の平方根の計算上,非常に重要な ▷ 30 以下の素数をすべて答えよ。 単元である。また,数の処理・分析を 1 は素数ではないこと,2 以外の偶数は素数ではないことを基本にし,奇数の中で 3,5,7 深める上できわめて重要な役割をもつ。 などで割れない数を探す。 ここでは,素因数分解,素因数分解の よって,素数は,2,3,5,7,11,13,17,19,23,29 である。 利用,共通因数でくくる因数分解の 3 ※ 3 つの連続する数のうち 1 つは 3 の倍数なので特に気をつける。 つを学習対象とする。 学習のポイントは以下の 3 つ行うこ ▷ 18,42 をそれぞれ素因数分解せよ。結果は累乗の指数を使って表せ。 とである。 18,42 を連除法を使って素因数分解する。 ①素因数分解の方法…「連除法」という。 2) 18 ②どんな数の 2 乗か 3) 9 ③共通因数を見つける 3 素因数分解を用いて解く方法をしっ これより,18 = 2 × 32 かりと身につけさせたい。 2) 42 3) 21 <事前確認> 7 学習1 これより,42 = 2 × 3 × 7 因数…整数がいくつかの整数の積の形 で表されるとき,それぞれの整数の 学習2 素因数分解の利用 理解 ⇒A3~5,B1~4 こと。 どんな数の 2 乗か…素因数分解したときの各素因数の指数がすべて偶数のとき,その素因数の 素数…その数自身と 1 のほかに因数を 積の数の 2 乗となっている。 もたない自然数。(約数が 2 個しか 例題 ない) ▷ 196 はどんな自然数を 2 乗したものか。 素因数…素数である因数。 196 を素因数分解する 素因数分解…自然数を素因数の積で表 2)196 すこと。 2) 98 7) 49 学習2 7 どんな数の 2 乗か…素因数分解したと これより,196 = 22 × 72 =(2 × 7) 2 = 142 きの各素因数の指数がすべて偶数の とき,その素因数の積の数の 2 乗と ▷ 48 にできるだけ小さい自然数をかけて,ある整数の 2 乗にするにはどんな数をかければよいか。 なっている。 48 を素因数分解する 2) 48 学習3 2) 24 ・因数分解…多項式を単項式や多項式 2) 12 の積の形で表すこと。 2) 6 ・共通因数でくくる因数分解 3 ma + mb = m(a + b) これより,48 = 24 × 3 各素因数の指数がすべて偶数になれば,整数の 2 乗になるので,3 を 1 つかける。 2 = 122 確認… 24 × 3 × 3 = 24 × 32 =(22 × 3) 3 × 22 などをかけても,ある整数の 2 乗になるが,最小は 3 学習3 共通因数でくくる因数分解 ⇒A6,B5 ▷ 3x3 - 6x2 = 3x2 (x - 2) ▷ 4a2b - 8ab2 + 2ab = 2ab(2a - 4b + 1) 3x3 = 3x2 × x,6x2 = 3x2 × 2 3 つすべての項に共通する因数は 2ab ※共通因数の見つけ方は,数と文字で分けて考える。整数においては最大公約数が共通因数と なる。 ※共通因数による因数分解は,因数分解の最優先事項である。必ず確認するように指導したい。 第 1 章 多項式 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 因数分解⑴ 4 ◆指導ページ P.24 ~ 27 ◆ 【指導のねらい】 ★因数分解の意味を理解できるようにする。 ★公式を利用して,因数分解ができるようにする。 学習内容・補足事項など はじめに <導入> この単元では,因数分解の基本的方 学習1 x2 +(a + b) x + ab の因数分解 暗記 ⇒A1,B1~4 ・x についての 2 次式で,x2 の係数が 1 の場合,(x ) (x )の形に因数分解できる。 法を学ぶ。因数分解は,前単元の学習 例題 3で学習した共通因数による因数分解 ▷ x2 + 8x + 15 を因数分解する a 1 3 -1 -3 と,公式を利用するものの 2 つであり, x2 + 8x + 15 公式を利用した因数分解では,4 つの = x2 +(3 + 5)x + 3 × 5 乗法公式を逆に用いる。 =(x + 3) (x + 5) b 15 5 - 15 -5 a+b 16 × 8 ○ - 16 × -8× 導入は,式の展開の復習から始める とよい。分配法則を使う場合と,公式 ※ ab = 15 となる組み合わせを優先に考え,その組み合わせの中で a + b = 8 となるものを探す。 を使う場合の最低 2 題をあげ,展開の 逆として因数分解を説明する。 ▷ x2 - 3x - 10 を因数分解する 因数分解の意味は,展開と対応させ x2 - 3x - 10 て展開は「積の形→和の形」,因数分 = x2 +(2 - 5)x + 2 ×(- 5) (x - 5) 解は「和の形→積の形」などと補足す =(x + 2) a 1 2 -1 -2 b - 10 -5 10 5 a+b -9× -3○ 9× 3× 積< 0 より,2 数は 異 符 号, 和 < 0 よ り負の数の方が絶 対値が大きい ることで,目的に応じて式を変形した り式の意味を読みとることができるよ ▷ x2 + xy - 2y2 を因数分解する うにさせたい。 x2 + xy - 2y2 = x2 +(2y - y)x + 2y ×(- y) <事前確認> =(x + 2y) (x - y) 学習1 ※係数だけで和と積を考えればよい(積が- 2,和が 1)。答えに y をつけ忘れないようにする。 因数分解の公式① ※- 2 × y2 となることは考えない。和が- 2 + y2 となり,問題にあてはまらないのが分かり x2 + (a + b) x + ab = (x + a) (x + b) きっているため。 ・ab となる値の組み合わせから先に 考えた方がよい。 学習2 a2 + 2ab + b2,a2 - 2ab + b2 の因数分解 暗記 ⇒A2,B1,2 ・ab =正の数→ a,b が同符号 例題 ・ab =負の数→ a,b が異符号 ▷ x2 + 6x + 9 学習2 因数分解の公式② = x2 + 2 × x × 3 + 32 a2 a b b2 2 =(x + 3) 和の平方になる因数分解 2 a2 + 2ab + b2 =(a + b) ▷ x2 - 12x + 36 因数分解の公式③ 差の平方になる因数分解 2 a2 - 2ab + b2 =(a - b) ・a2,b2 の項がある→これらの因数分 解であることを考える。 学習3 因数分解の公式④ 2 乗の差の因数分解 a2 - b2 = (a + b) (a - b) = x2 - 2 × x × 6 + 62 2 =(x - 6) 公式②があてはまる形に変形 公式③があてはまる形に変形 ※ x2 の係数が 1 のときは定数項や係数に着目し,定数項がある数の 2 乗,x の係数がある数 の 2 倍のとき公式②,③を用いる。 ▷ 4x2 + 20xy + 25y2 2 + 2 × 2x × 5y +(5y) 2 =(2x) 2 =(2x + 5y) ※ x2 に 1 以外の係数がつく場合,x の係数がある数の 2 倍ではなくなる。2ab の意味をしっか り理解させておきたい。 学習3 a2 - b2 の因数分解 暗記 ⇒A3 例題 ▷ a2 - 16 = a2 - 42 公式④があてはまる形に変形 =(a + 4) (a - 4) ▷ 9x2 - 25y2 2 -(5y) 2 =(3x) =(3x + 5y) (3x - 5y) 2 というミスをする場合がある。公式をしっかりと覚えさせたい。 ※ a2 - b2 =(a - b) 第 1 章 多項式 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 因数分解⑵ 5 ◆指導ページ P.28 ~ 33 ◆ 【指導のねらい】 ★公式などを組み合わせた 2 回以上の処理を必要とする式を因数分解できるようにする。 ★おきかえを利用して因数分解できるようにする。 ★組み分けを必要とする因数分解をできるようにする。 学習内容・補足事項など はじめに <導入> 学習1 共通因数→公式利用の因数分解 理解 ⇒A1 前単元で学んだことを発展させ,複 例題 雑な因数分解をできるようにさせる。 ▷ 3x2 + 9x + 6 共通因数 この単元で学ぶ処理の仕方は,共通因 = 3(x2 + 3x + 2) x2 + (a + b) x + ab = (x + a) (x + b) (x + 2) 数,おきかえ,組み分けの 3 つであり, = 3(x + 1) これらと前単元で学んだ因数分解の公 式とを組み合わせて利用できるように 学習2 おきかえによる因数分解 指導したい。 理解 ⇒A2,B1 例題 また,与えられた文字式をどのよう ▷ a(x - y)+ b(y - x) に考えれば,因数分解しやすくなるか = a(x - y)- b(x - y) という見方を持たせたい。 = aA - bA 導入は,因数分解の発展として特に = A(a - b) 工夫する必要はない。 =(x - y) (a - b) y - x =-(x - y) おきかえ(x - y = A とする) ※おきかえの問題は,最後にまとめることを必要とする問題もある。これを忘れてしまう場合 <事前確認> があるので,最後まで丁寧に計算することを指導したい。 学習1 共通因数→公式 学習3 複雑な因数分解① ⇒A3,B2 ・因数分解は,各因数がそれ以上分解 ▷ xy - 3x - 2y + 6 できない形になるまで行う。 組み分け(xy - 3x と- 2x + 6 それぞれを共通因数でくくる) = ( x y - 3)- 2(y - 3) (y - 3) ・はじめに共通因数をくくり出し,さ =(x - 2) らに,かっこの中の因数分解を考え る。 学習4 複雑な因数分解② ⇒A4,B2 例題 学習2 おきかえ ▷ x4 - 2x2 + 1 2 =(x2 - 1) 2 (x - 1)} ・式の中にふくまれる多項式を 1 つの ={(x + 1) 2 - 1) 2 (x 文字でおきかえると,因数分解しや =(x + 1) すくなることがある。 2 = a2b2 (ab) ▷ (x + 1) (x - 2) (x + 3) (x - 4) + 24 = (x2 - x - 2) (x2 - x - 12) + 24 学習3 組み分け (x + 1) (x - 2)と(x + 3) (x - 4)に分けて展開 =(A - 2) (A - 12)+ 24 = A2 - 14A + 48 おきかえ(x2 - x = A とする) (A - 8) ・組に分け,それぞれの組で因数分解 =(A - 6) を考える。 =(x2 - x - 6) (x2 - x - 8) (x + 2) (x2 - x - 8) ・組み分けをした後,共通因数,公式, =(x - 3) おきかえ,などさまざまな方法を用 いて因数分解を行う。 学習5 複雑な因数分解③ ⇒A5,B3 例題 学習 6 ▷ a2 (b - c)+ b2 (c - a)+ c2 (a - b) ・たすきがけの因数分解…下記の展開 =(b - c)a2 -(b2 - c2)a + bc(b - c) 公式の逆を利用した因数分解。 =(b - c)a2 -(b + c) (b - c)a + bc(b - c) (ax + b) (cx + d) = Aa2 - A(b + c)a + Abc = acx2 + (ad + bc)x + bd = A{a² -(b + c)a + bc} a について,次数が高い順に整理する おきかえ(b - c = A とする) =(b - c) (a - b) (a - c)=-(a - b) (b - c) (c - a) 学習6 たすきがけの因数分解 ⇒A6,B3 a b → bc 例題 c d → ad ▷ 2x2 - 7x + 3 ac = 2 = 1 × 2,bd = 3 = 1 × 3 よ り,ad + bc = - 7 と な る ac bd ad + bc x2 の係数 定数の項 x の係数 組み合わせを探す。 1 1 → 2 1 3 → 6 1 - 1 →-2 1 - 3 →-6 2 3 → 3 2 1 → 1 2 - 3 →-3 2 - 1 →-1 2 3 5 2 3 7 2 3 - 5 2 3 - 7 よって(x - 3) (2x - 1)となる。 第 1 章 多項式 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 式の計算の利用 6 ◆指導ページ P.34 ~ 39 ◆ 【指導のねらい】 ★乗法公式や因数分解を式の値や数の計算に利用できるようにする。 ★数や図形の性質の証明や表し方を理解する。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 乗法公式と数の計算 理解 ⇒A1,B1 この単元は,式の展開や因数分解の 例題 応用を学ぶ単元であると同時に,第一 ▷ 乗法公式を利用して,992 を計算せよ。 章の最終単元として章全体をまとめる 992 2 =(100 - 1) 導入としては,この単元の目標と第 = 1002 - 2 × 100 × 1 + 12 位置にある。 2 = a2 - 2ab + b2 乗法公式③ (a - b) 一章の最終単元であることを告げ,学 = 10000 - 200 + 1 習1に入っていけばよい。 = 9801 式の値とは “文字に数を代入して得 学習2 因数分解と数の計算 理解 ⇒A2,B1,2 認し,一般的には式を簡単にしてから ▷ 因数分解を利用して,652 - 352 を計算せよ。 数を代入する。数を直接代入してから 652 - 352 因数分解の公式④ a2 - b2 =(a + b) (a - b) 計算するより式を簡単にしてから代入 =(65 + 35)×(65 - 35) られる式全体の数値”であることを確 する方が,スピーディかつ正確である = 100 × 30 ので, 「直接代入」と「式を簡単にし = 3000 2- 2 としてしまうことが多い。どのようにすればより計算が簡単になるか ※(60 + 5) (30 + 5) てから代入」の 2 つの方法を行うこと で実感させて,利便性を理解させたい。 を考えるように徹底させたい。 学習2でも同様に,直接計算の方法 は全員がわかっているものとして,工 学習3 式による証明 理解 ⇒A3,B2 夫の仕方を簡単な例によって確認して 例題 進めるようにしたい。ただし,ときに ▷ 連続する 2 つの奇数の積に 1 を加えると,偶数の 2 乗になる証明。 は,直接計算した方がスピーディかつ n を整数とすると,連続する 2 つの奇数は, ←連続する数についての場合は,使う文字は 1 つ 正確な場合もあるので,注意が必要で 2n - 1,2n + 1 ある。 それらの積に 1 を加えると (2n - 1) (2n + 1)+ 1 = 4n2 <事前確認> 学習1, 2 =(2n)2 ← n は整数なので,2n は偶数を表す。 したがって,連続する 2 つの奇数の積に 1 を加えると,偶数の 2 乗になる。 ・乗法公式や因数分解を利用すると, 数の計算が簡単になることがある。 学習4 式の計算の利用 理解 ⇒A4 例題 学習3, 4 ・整数や図形の数値を文字におきかえ ▷ 右の図のように,正方形の池のまわりに幅 a m の道をつくる。 この道の面積を S m2,道の真ん中を通る線(図の点線)の長さを ることで証明する。2 年でも同様の ℓm とするとき,S = aℓが成り立つことを証明せよ。 ことを学習済み。 池の 1 辺の長さを x m として,道の面積 S と点線の長さℓを求 m める。 学習5 点線の長さは,1 辺(x + a)m の正方形の周の長さになるので, ・式の値の計算では,式の計算をすま ℓ= 4(x + a)…① せてから,あるいは因数分解してか ら,数を代入する。 大きい正方形の 1 辺の長さは(x + 2a)m なので, 2 - x2 = x2 + 4ax + 4a2 - x2 = 4ax + 4a2 = a × 4(x + a)…② S =(x + 2a) したがって,S = aℓ 学習5 式の値 理解 ⇒A5,B3 例題 2 の値を求めよ。 ▷ x = 5,y = 8 のとき,(x + 3y) (4x + 3y)-(2x + 3y) 直接代入 2 (x + 3y) (4x + 3y)-(2x + 3y) 2 =(5 + 24)×(20 + 24)-(10 + 24) 2 = 29 × 44 - 34 = 1276 - 1156 = 120 式を簡単にして代入 2 (x + 3y) (4x + 3y)-(2x + 3y) = 4x2 + 15xy + 9y2 -(4x2 + 12xy + 9y2) = 3xy ← ここに x = 5,y = 8 を代入 = 3 × 5 × 8 = 120 ℓm 第 2 章 平方根 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 平方根 7 ◆指導ページ P.42 ~ 47 ◆ 【指導のねらい】 ★平方根の意味,根号の使い方,平方根の大小を理解する。 ★有理数,無理数の意味を理解する。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 平方根の意味・根号の使い方 理解 ⇒A1, 2,B1 この単元で,平方根について初めて ・正の数の平方根は,正と負の 2 つあり,絶対値が等しい。 学習する。 ・0 の平方根は 0 だけである。 導入としては,面積が 2 cm2 となる ・負の数の平方根はない。 正方形をかくことができるかどうかを ・根号のはずし方 a > 0 のとき√a2 = a 質問し,実際にかくことができること 例題 を説明する。そして,そのときの 1 辺 ▷ 0.09 と 3 の平方根を求めよ。 2 = 0.09 なので,0.09 の平方根は± 0.3 の長さがいくつなのかを一緒に考えて 0.32 = 0.09,(- 0.3) みるなどが挙げられる。 2 乗すると 3 になる数はないので,3 の平方根は±√3 と表す。 ※「平方根を求めよ」という問いには±を必ずつけるようにする。 い方について学習するが,問われてい 0.09 = 0.032 としてしまうことがあるため,気をつける。 学習1では平方根の意味,根号の使 (- 3) 2 をそれぞれ根号を使わずに示せ。 る内容の違いを区別できずに混乱して ▷ √16 ,√ しまうことも考えられるため,「平方 根を求めよ」と「根号を使って表せ」 √16 =√42 = 4,√ (- 3) 2 =√32 = 3 ※「根号をはずせ」という問いのときは,±にはならない。「平方根を求めよ」との区別を しっかりする。 の答え方の違いについて指導しておき たい。 ※√ (- 3) 2 =- 3 とするミスが多い。2 乗による符号の変換に注意する。 学習4では,√ の中をかんたんに ※ルートの外はいいが,中に-(マイナス)がつく数は存在しない。 する方法を学習する。ここではなぜそ う変形できるのかを学習するが,慣れ 学習2 平方根の大小 てきたら途中式をかかずに変形できる 理解 ⇒A3,B2, 3 ・大小を比べるときは,どちらも根号をつけた状態で比べるか,すべての数を 2 乗して根号を はずした状態で比べるとよい。 ようにしたい。 例題 <事前確認> 学習1 ▷ 6,√35 ,√37 を不等号で表すと, 2 = 35,(√37 ) 2 = 37 より,35 < 36 < 37 なので,√35 <√36 <√37 62 = 36,(√35 ) 平方根… 2 乗 (平方)すると a になる数 よって,√35 < 6 <√37 を a の平方根という。 根号…正の数である a の平方根は, √a と-√a があり,記号√ を用 ▷ a を正の整数とするとき,4.6 <√a < 5 をみたす a の値をすべて求めよ。 4.6 <√a < 5 21.16 < a < 25 それぞれを 2 乗する いて表す。この記号を根号といい, よって,a をみたす自然数は 22,23,24 ルートと読む。 学習3 平方根の積・商 ⇒A4 学習2 例題 大小… a < b ならば√a <√b ▷ √3 ×√5 =√3×5 =√15 ▷ √50 ÷√2 =√50 = 50 =√25 = 5 2 √2 ※根号をはずすことができる数(ある数の平方となる数)は,根号をはずさなくてはいけない。 学習3 平方根の乗除 a,b が正の数のとき ・√a ×√b =√a × b ・√a = a b √b 学習4 根号で表した数の変形 理解 ⇒A5,B1,3 ・素因数分解を利用するとよい。 例題 ▷ 4 √2 を√a の形で表せ。 学習4 4 =√16 より,4 √2 =√16 √2 =√16 × 2 =√32 √ の中をかんたんにする a,b が正の数のとき ▷ √20 の根号の中をできるだけ小さい整数にせよ。 20 を素因数分解すると,20 = 22 × 5 ・√a2b =a √b よって,√20 を変形すると,√20 =√22 × 5 = 2 √5 ・a ×√b = a √b 学習5 有理数と無理数 ⇒A6,B4 学習5 例題 ▷ 5 , 38 をそれぞれ循環小数で表せ。 6 27 無理数…分数では表すことができない数 循環小数は,同じ数字の並びが限りなくくり返すもので,その両端の数字の上に・をつけて表す。 有限小数…終わりがある小数 5 = 5 ÷ 6 = 0.83333 …= 0.834 38 = 38 ÷ 27 = 1.407407 …= 1.44074 6 27 無限小数…終わりがない小数 ※無理数を小数で表すと,循環しない小数になる。 循環小数…同じ数の並びが限りなく続 有理数…分数で表せる数。 く小数 第 2 章 平方根 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 平方根の計算⑴ 8 ◆指導ページ P.48 ~ 53 ◆ 【指導のねらい】 ★分母の有理化の方法を知る。 ★根号を含む式の四則計算の方法を学ぶ。 ★近似値の意味を理解し,求めることができるようにする。 はじめに <導入> この単元の主な目標は,根号を使っ 学習内容・補足事項など 学習1 平方根の近似値 ⇒A1,B1 √2 = 1.41421356 … √3 = 1.7320508 … √5 = 2.2360679 … √6 = 2.44949 … た数の四則計算であり,分母の有理化 例題 はその前段階作業として始めるとよい。▷ √3 = 1.732,√5 = 2.236,√30 = 5.477 とするとき, 平方根の計算は,今まで学んだ数の √45 の値は, 計算と比べ複雑であり,さまざまな手 √45 = 3 √5 = 3 × 2.236 = 6.708 法を用いることになる。その代表的な √300 の値は, ものを列挙すると,素因数分解の利用 √300 =10 √3 = 10 × 1.732 = 17.32 を前提として ①√a2b = a √b ②√ab =√a √b ③√ どうしの約分 ④√a ×√a の利用 ⑤分母の有理化 √0.3 の値は, 30 =√30 = 5.477= 0.5477(分母が√ をはずせる数にする) √0.3 = 10 10 100 3 = √3 としてしまいやすい。 ※√0.3 = 10 √10 このとき,√10 は整数で表せることはできないので, 1.732 √10 の近似値が分からないと,√0.3 = となり,これ以上値を求めることはできない。 √10 1 1 =0.1,√0.0001 = 1 = 0.01 1 = 10 = 100 最もかんたんな整数として表すことの √0.01 = √100 √10000 必要から①~⑤などの手法の便利さを このように,根号の中の数の小数点の位置が 2 けたずれるごとに,平方根の小数点の位置は 実感できるような解法を心がけたい。 1 けたずれる。 学習1の近似値は,前の課の学習4 などがあり,計算の答えは√ の中を を利用した問題である。数を変形して から近似値を代入する方法を用いる。 学習2 分母の有理化① 理解 ⇒A2,B2 ・分母の有理化は, 2 <事前確認> 学習1 ・近似値…真の値ではないが,それに 近い値。 ①(√a ) = a ②分母と分子に同じ数をかけても,分数の値はかわらない。 これらの 2 つのことを利用して行う。 √a √a ×√b √ab √b =√b ×√b = b 例題 3 2 ▷ , を分母に根号がない形で表せ。 √2 3 √6 ・分母の有理化①…分母に根号をふく 3 3 ×√2 3 √2 む式を,根号をふくまない式に変 √2 =√2 ×√2 = 2 形すること。 2 = 2 ×√6 =2 √6 =√6 ←根号の外の数どうしであれば約分できる 9 3 √6 3 √6 ×√6 3×6 ・√ の中をかんたんにすることと同 ※分母と分子にかける数は,√6 だけでよい。 様,必ずしなくてはいけないことで ※根号の中を小さくできる場合は,小さい整数にしてから有理化した方がよい。 ある。 学習2 学習 3 ・根号をふくむ式の乗除…√ の中の 数を素数の積で表したり,できる だけ小さい整数になるように変形 してから計算する。 学習3 根号をふくむ式の乗法・除法 ⇒A4,7,B2,3 ▷ √12 ×√54 = 2 √3 × 3 √6 =(2 × 3)×(√3 ×√6 )= 6 ×(√3 ×√3 √2 ) = 6 × 3 √2 = 18 √2 ※根号の中を簡単にして答える。 ▷ √24 ÷ 3 √2 ×√3 =2 √6 ×√3 =2 √3 ×√3 = 2 × 3 = 2 学習 4 3 3 3 √2 ※約分は,√ の外の数どうし,√ の中の数どうしで行う。 ・根号をふくむ式の加減…同類項と同 じようにまとめることができる。 根号の中の数が異なっていても, 学習4 根号をふくむ式の加法・減法 ⇒A5~7,B2,3 m √a +n √a =(m+n) √a m √a -n √a =(m-n) √a 変形することで加減が可能になる ものもある。 例題 ▷ 3 √2 + 5 √2 =(3 + 5) √2 = 8 √2 ▷ √27 -√12 = 3 √3 - 2 √3 =(3 - 2) √3 =√3 ※√ の中が同じでない場合は,同類項と同様,計算しない。 ※はじめに根号の中の数を簡単にしたり,分母の有理化をしたりする。 第 2 章 平方根 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 平方根の計算⑵ 9 ◆指導ページ P.54 ~ 57 ◆ 【指導のねらい】 ★分配法則,乗法公式の利用と計算の工夫をできるようにする。 ★ (a + b) (a - b)= a2 - b2 を利用した分母の有理化のしかたを理解する。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 分配法則と平方根の計算 ⇒A1,4,B1 平方根の計算の総合問題となる単元 例題 である。 ▷ (√24 -√10 )÷√2 学習3では, (a + b) (a - b) = a2 - b2 学習2 乗法公式と平方根の計算 ⇒A2,4,B1~4 根号の中の整数を簡単にする 導入としては,式の展開のところの =(2 √6 -√10 )÷√2 分配法則 復習をしつつ,文字に平方根を代入し =2 √6 -√10 √2 √2 たらどうなるかを考えさせたい。 = 2 √3 -√5 学習2では,まず展開の乗法公式の ※除法のときは√ の中を簡単にしないで計算した方がよい場合もある。 通りに式をかき,後でそれぞれを計算 ▷ (√3 +√2 ) (√6 + 1) (a + b) (c + d)=ac + ad + bc + bd したほうがミスは減る。平方根に慣れ =√3 ×√6 +√3 × 1 +√2 ×√6 +√2 × 1 ていればある程度の計算までは一気に = 3 √2 +√3 + 2 √3 +√2 平方根の加減 できるが,文字式とは違い√ の中ど = 4 √2 + 3 √3 うし,外どうしで計算が出てくるので ※√ の中を簡単にすると,加減ができるようになることがある。簡単にできるかは常に意識 若干手間取ると思われる。ゆっくりで させるようにしたい。 もいいので丁寧に計算したい。 を利用した分母の有理化を学習する。 まずは普通に思いつくように有理化を させてみて,√ を完全になくすには 乗法公式 ① (x + a) (x + b)= x2 +(a + b)x + ab ② (a + b)2 = a2 + 2ab + b2 どうしたらいいかを考えさせてみよう。 ③ (a - b)2 = a2 - 2ab + b2 理解してしまえば計算は学習2までと ④ (a + b) (a - b)= a2 - b2 同じ計算しかしないので,とくに注意 例題 することはない。丁寧に計算すること ▷ (2 √2 - 1) (2 √2 - 3) を徹底させたい。 =(2 √2 )2 - 4 × 2 √2 + 3 <事前確認> 学習1 分配法則 a,b,c が正の数のとき √a(√b +√c )=√a √b +√a √c 学習2 乗法公式と根号をふくむ式の計算 ・根号をふくむ式の計算に乗法公式を 利用できることがある。 学習3 分母の有理化② = 8 - 8 √2 + 3 = 11 - 8 √2 2 ▷ (√7 -√2 ) 2 - 2 ×√7 ×√2 +(√2 )2 =(√7 ) を使って,分母を有理化する。 乗法公式③ = 7 - 2 √14 + 2 = 9 - 2 √14 ▷ (3 √2 +√3 ) (√18 -√3 ) =(3 √2 +√3 ) (3 √2 -√3 ) =(3 √2 )2 -(√3 )2 √ の中の整数を簡単にする 乗法公式④ = 18 - 3 = 15 学習3 分母の有理化② ⇒A3,4,B2 例題 √2 分母が√a +√b ,√a -√b のとき, ▷ √3 + 1 (√a +√b ) (√a -√b )= a - b 乗法公式① = √2(√3 - 1) (√3 + 1) (√3 - 1) 分母が√3 + 1 だから, √3 - 1 を分母と分子にかける = √63 -√2 -1 = √6 -√2 2 ▷ √5 +√2 √5 -√2 2 (√5 +√2 ) = (√5 -√2 ) (√5 +√2 ) = 5 + 2 √5 √2 + 2 5-2 = 7 + 23√10 分母が√5 -√2 だから, √5 +√2 を分母と分子にかける 分子は乗法公式② 第 2 章 平方根 発展新演習 中 3 数学 指導のポイント 平方根の応用 10 ◆指導ページ P.58 ~ 61 ◆ 【指導のねらい】 ★根号をふくむ式の値の計算をできるようにする。 ★平方根の整数部分,小数部分,平方根の性質などの応用問題を解けるようにする。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 式の値 ⇒A1,B1 この単元では,平方根の応用の 3 つ 例題 の代表的問題の解き方を学ぶ。 ▷ x = 3 + 2 √3 ,y = 2 +√3 のとき,x2 - 4xy + 4y2 - x + 2y の値を求めよ。 学習1では,今までの式の値と同様 条件の式や,値を求める式を変形すると,計算が簡単になることがある。 に,式を簡単にしてから,もしくは因 (x2 - 4xy + 4y2)- x + 2y 2 -(x - 2y) 数分解してから代入することが基本と =(x - 2y) なるため,導入はなくてもよい。問題 = A2 - A 因数分解 おきかえ(x - 2y = A とする) によっては,直接代入しても計算が面 = A(A - 1) (x - 2y - 1) 倒にならないものもあるため,よく見 =(x - 2y) 極めたいところである。 ここで,x - 2y = 3 + 2 √3 - 2(2 +√3 )=- 1 より, 学習2では,整数部分と小数部分の 求める式は(- 1)×(- 1 - 1)= 2 意味がわからないことが多いため,ま ▷ x = 2 -√5 のとき,x2 - 4x + 7 の値を求めよ。 ずは有限小数を使って説明するとよい。 与式=(x2 - 4x + 4)+ 3 2+3 とくに小数部分は混乱しやすく,√ =(x - 2) 2+3 を使うとなおさらなので,丁寧に説明 =(2 -√5 - 2) 2+3 =(-√5 ) すること。 学習3の考え方は,3 課の学習2と 同様の問題である。出題方法は異なる が問題の意味は同じなので,まずは 3 課の復習から入ってもよい。 <事前確認> 学習1 式の値 = 5 + 3 = 8 ※因数分解できない式のときは,無理やり因数分解できる形に変形するとよい。- 4x の項か らどのような形に変形できるか予想できる。 3 +√5 3 -√5 ▷ x = 2 ,y = 2 のとき,x2 + y2 の値を求めよ。 2 - 2xy 与式=(x + y) ここで,x + y =3 +√5 +3 -√5 = 3,xy =3 +√5 ×3 -√5 =9 - 5= 1 より, 2 2 2 2 4 求める式は 32 - 2 × 1 = 9 - 2 = 7 ※代表的な式の変形である。6 課でも同様の問題が出題されているので復習しておくとよい。 ・式の値の計算では,式を計算して簡 単にしたあとや,因数分解したあと 学習2 平方根の整数部分と小数部分 ⇒A2,B2 例題 で数を代入するとよい。 ▷ √5 の小数部分を a とするとき,a2 + 5a + 6 の値を求めよ。 学習2 整数部分を求めてから,小数部分について考える。 平方根の整数部分と小数部分 √4 <√5 <√9 より,2 <√5 < 3 √x の小数部分…√x - n a2 + 5a + 6 学習3 =(√5 - 2 + 2) (√5 - 2 + 3) ・n が整数で,n <√x < n + 1 のとき, よって,√5 の整数部分は 2 なので,小数部分 a =√5 - 2 次に,a2 + 5a + 6 を因数分解すると, √x の整数部分… n 平方根の性質の利用 ・a > 0 のとき, √a2 = a また, √0 = 0 =(a + 2) (a + 3) ここで a =√5 - 2 を代入 =√5(√5 + 1) = 5 +√5 ※学習1同様,代入は与式を変形してからするとよい。 学習3 平方根の性質の利用 ⇒A3,B3 例題 ▷ √54n が整数となる自然数 n のうち,もっとも小さい値を求めよ。 √54n=√2 × 3³ × n ←素因数分解 素因数の指数がすべて偶数のとき,√ をはずすことができるので, 2 と 3 をあと 1 つずつかければよい。 よって,n = 2 × 3 = 6 ▷ √700 - 28n が整数になるとき,自然数 n の値をすべて求めよ。 √700 - 28n =√28(25 - n) =√22 × 7 ×(25 - n) より,25 - n が 0,7 であればよい。 よって,n = 18,25 ※ 25 - n = 7 × 22,7 × 32 …でも整数になるが,そのような自然数 n は存在しないので確認 していない。 第 3 章 2 次方程式 11 発展新演習 中3数学 指導のポイント 2 次方程式の解き方⑴ ◆指導ページ P.64 ~ 67 ◆ 【指導のねらい】 ★ 2 次方程式の意味,必要性を理解する。 ★平方根による解法と因数分解による解法を知る。 学習内容・補足事項など はじめに <導入> 学習1 ax2 = b の解き方 理解 ⇒A1,B1 例 え ば, 「底 辺 が 高 さ よ り 2 cm 長 例題 い面積が 25 cm2 の三角形の高さは何 ▷ 3x2 = 48 cm ですか。 」など,まず具体的な問 x2 = 16 題を出題し,それを数式化し,1 次方 x =± 4 両辺を 3 でわる x は 16 の平方根 程式や連立方程式では解決できないこ ▷ 4x2 - 5 = 0 とを確かめ,2 次方程式の解法の必要 性を示すことから始めたい。 この単元は,最も単純かつ重要な平 方根の考え方を利用した解法と因数分 解を利用した解法を学ぶ。 4x2 = 5 x2 = 5 4 5 =±√5 4 2 ※ ax2 = b の形に変形してから解き始める。 x =± 平方根の場合は ax2 = b,因数分解 ■補足 は (x + a) (x + b)= 0 の形に変形する 解がない 2 次方程式 ことが基本である。どの解き方で解を x2 + 2 = 0 → x2 =- 2 出すのかを確認してから変形すること x2 ≧ 0 なので,x に対する解はない。解なし。 を徹底したい。 (x + m) 2 = n の解き方 ⇒A2,B2 この章の進行は,下記の様になる。 学習2 ・x + m をひとかたまりのものとみて,平方根の考えを使って解く。 ①平方根と因数分解の利用 (x + m) 2 = n → X2 = n ②平方完成 例題 ③解の公式の利用 (x - 3) 2 = 25 ①は,2 次方程式の基本的な解法で,▷ ②,③は①の方法で解けないものを解 x - 3 =± 5 x - 3 は 25 の平方根 くときに必要とする。このテキストで x = 3 ± 5 は解なしの例は含まれていない。例題 x = 8,- 2 の段階で簡単に触れておくのがよい。 x = 2 + 3 より,x = 5 x = 2 - 3 より,x =- 1 <事前確認> 学習1, 2 2 次方程式…整理することにより, (2 次式) = 0 に変形できる方程式 2 次方程式の解… 2 次方程式を成り立 たせるような文字の値。解をすべて 求めることを,その 2 次方程式を解 くという。 平方根による解法 よって,x = 5,- 1 2-3=0 ▷ 16(x + 5) 2=3 16(x + 5) 2= 3 (x + 5) 16 x + 5 =±√3 4 √3 x =- 5 ± 4 学習3 因数分解による解き方 理解 ⇒A3,B3 ・x2 = k → x =±√k 例題 学習3, 4 (x + 3) (x - 4)= 0 因数分解による解法 ▷ x2 - x - 12 = 0 左辺を因数分解 x + 3 = 0 または x - 4 = 0 より, (2 次式)= 0 の左辺が因数分解でき x =- 3,4 るとき,次のことを利用する。 AB = 0 → A = 0 または B = 0 ▷ 2x2 - 7x - 4 = 0 (2x + 1) (x - 4)= 0 たすきがけ 2x + 1 = 0 または x - 4 = 0 より, x =- 12 ,4 たすきがけは次のようになる。 2 1 → 1 1 - 4 → - 8 - 7 ※ 4・5 課で学んだ因数分解をしっかりと身につけているか,再度確認しておきたい。 第 3 章 2 次方程式 12 発展新演習 中3数学 指導のポイント 2 次方程式の解き方⑵ ◆指導ページ P.68 ~ 71 ◆ 【指導のねらい】 ★ 2 次方程式の解法として,平方完成の利用を定着させる。 ★解の公式による解き方を知る。 ★計算の発展的応用問題にふれる。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 平方完成による解き方 理解 ⇒ A 1,B 1 この単元では,平方完成と解の公式 ※変形の仕方の手順をきちんと理解したい。 について学習する。平方完成は 2 次方 例題 程式の解法の中でも最も重要な位置を ▷ x2 - 6x + 1 = 0 しめ,理解することも難しい考え方で x2 - 6x =- 1 ある。高校数学での平方完成につな x2 - 6x + 32 =- 1 + 32 がっていくので,その意味でも適当に (x - 3)2 = 8 やりすごすのではなく,じっくり丁寧 に教えたい。 因数分解できない→平方完成→ 1 を移項 1 1 両辺に x の係数の 2 の 2 乗を加える(6 の 2 = 3 より 32) 左辺を因数分解 x - 3 =± 2 √2 x = 3 ± 2 √2 また,平方完成を応用した解法が解 ▷ x2 + x - 4 = 0 の公式である。公式の中でもかなり複 x2 + x = 4 雑なものになるため,漠然と暗記をさ x2 + x + 1 = 4 + 1 4 4 せるのではなく,公式の求め方を何度 2 17 1 x + 2 = 4 も繰り返し書かせるなどして,しっか 1 √17 x + 2 =± 2 りと理解させたい。 ( ) この単元で,すべての 2 次方程式の x =- 1 ±√17 2 2 解法を学習したことになる。どの解法 で 2 次方程式を解けばよいのかを再度 確認したい。 1.① (x + m) 2=n →平方根の利用 ② x2 + px + q = 0 →因数分解の利用 2.②で因数分解できない場合 →平方完成か解の公式 学習2 解の公式による解き方 ⇒ A 2,B 1 例題 平方完成を利用 ▷ 2x2 - 5x + 1 = 0 a = 2,b =- 5,c = 1 なので,解の公式より (- 5) 2-4×2×1 x =5 ±√ 2×2 5 ±√17 = 4 ▷ x2 + 4x - 8 = 0 平方完成や解の公式ならばどんな 2 a = 1,b = 4,c =- 8 なので,解の公式より 次方程式も解くことはできるが,平方 4 × 1 ×(- 8) x =- 4 ±√42 - 2×2 根や因数分解で解いた方が時間がかか - 4 ±√48 らないので,まずは平方根や因数分解 = 2 - 4 ± 4 √3 の便利さを実感させたい。 = 2 =- 2 ± 2 √3 <事前確認> 学習1 平方完成 x2 + px + q = 0 → (x + m) 2=n 学習2 b c x2 + a x + a = 0 b c x + a x =- a b 2 b 2 x + ba x + 2a = 2a - ac b 2 b2 - 4ac x + 2a = 4a2 b √b2 - 4ac x + 2a =± 2a - b ±√b2 - 4ac x = 2a ( )( ) ( ) 学習3 いろいろな 2 次方程式 ⇒ A 3,B 2~4 例題 ▷ x2 + 12 x - 16 = 0 6x2 + 3x - 1 = 0 両辺に 6 をかけ,分母をはらう ax2 + bx + c = 0 のとき, x = - b ±√b2 - 4ac 2a よって,解の公式より, x =- 3 ±√32 - 4 × 6 ×(- 1) 2×6 - 3 ±√33 = 12 2 ▷ 2x(x - 1)=(x - 4) 学習3 2x2 - 2x = x2 - 8x + 16 いろいろな 2 次方程式 x2 + 6x - 16 = 0 ・x2 の係数が 1 ではない (x + 8) (x - 2)= 0 解の公式 ax2 + bx + c = 0 →逆数をかけて,係数を 1 にする。 よって,x =- 8,2 2 - 2(x - 3)- 3 = 0 ▷ (x - 3) ・式が複雑 →一度展開してから整理する。 X2 - 2X - 3 = 0 ・おきかえを利用する場合もある。 (X + 1) (X - 3)= 0 よって,X =- 1,3 X をもとに戻すと,x - 3 =- 1,3 したがって,x = 2,6 両辺を展開する 移項して整理する 左辺を因数分解 x - 3 = X と置きかえる 第 3 章 2 次方程式 発展新演習 中3数学 指導のポイント 2 次方程式の応用⑴ 13 ◆指導ページ P.72 ~ 75 ◆ 【指導のねらい】 ★ 2 次方程式における解と係数の関係を理解する。 ★数について 2 次方程式をたてることができるようにする。 はじめに 学習内容・補足事項など この単元では,1 次方程式や連立方 学習1 解と 2 次方程式 ⇒A1,B1~3 例題 問題を解くことで,2 次方程式の意味 4 -(a + 4)× 2 + a - 1 = 0,a =- 5 <導入> (a + 4) x + a - 1 = 0 の 1 つの解が 2 であるとき,a の値と他の解を求めよ。 程式では解けなかった複雑な応用問題 ▷ 2 次方程式 x2 - を実際に解いてみる。このような文章 x = 2 を方程式に代入 も明確になる。 したがって,方程式は x2 + x - 6 = 0 (x + 3)= 0,x = 2,- 3 文章問題を解くにあたっては量の関 これを解くと,(x - 2) 係を考えたり,問題に適した図を書い よって,もう 1 つの解は,x =- 3 たりするとよい。また,2 次方程式で ▷ 2 次方程式 x2 - 2x - 1 = 0 の 2 つの解のうち小さい方を a とするとき,a2 - 3a - 1 の値 を求めよ。 文章問題を解く場合,解が問題に適し 2 = 2 よって,x = 1 ±√2 ているか確かめることを忘れがちにな x2 - 2x - 1 = 0 より,平方完成すると(x - 1) るので,これを習慣づけるようにした a は小さい方の解なので a = 1 -√2 また,a は x2 - 2x - 1 = 0 の解なので,a2 - 2a - 1 = 0,a2 = 2a + 1 い。 導入としては,テーマの確認でよく, これを a2 - 3a - 1 に代入すると,(2a + 1)- 3a - 1 =- a =-(1 -√2 )=- 1 +√2 ※直接代入するより,次数を下げた方が計算が楽になる。 すぐ例題に入ってよい。 <事前確認> 学習1 ・方程式の解…代入すると等式を成り 立たせる値。 学習2 ・解と係数の関係 ax2 + bx + c = 0 の解が p,q のとき 学習2 2 次方程式の解と係数 ⇒A2,B4~8 例題 ▷ 2 次方程式 x2 + ax + b = 0 の解が- 1,3 のとき,a,b の値を求めよ。 解が- 1 と 3 である 2 次方程式は,(x + 1) (x - 3)= 0 これを展開すると,x2 - 2x - 3 = 0 これより,係数を比べると,a =- 2,b =- 3 ※解を x2 + ax + b = 0 に代入して a と b を解とする連立方程式にしてもよいが,計算が面倒 になる。連立方程式はミスも多いので,この方法を知っておくとよい。 ▷ 2 次方程式 x2 + 5x + 2 = 0 の 2 つの解を p,q とするとき,p2 + q2 の値を求めよ。 a (x - p) (x - q) = 0 と表すことができ, 解と係数の関係より,p + q =- 5,pq = 2 b p + q =- a 2 - 2pq =(- 5) 2 - 2 × 2 = 21 p2 + q2 =(p + q) c ※(x - p) (x - q)= 0 より,x2 -(p + q)x + pq = 0 となるので,p + q =- 5,pq = 2 とい pq = a える。毎回確認するよりは解と係数の関係を覚えた方がよい。 となる。 学習3 学習3 数についての問題 ⇒A3,B9 例題 ・2 次方程式の文章問題…方程式の解 ▷ 和が 8 で,積が 11 となる 2 つの数を求めよ。 が問題の答えとして適しているかを 2 つの数のうち,1 つを x とすると,もう 1 つの数は 8 - x と表せる。 確かめる。 これより,積が 11 なので,x(8 - x)= 11 これを解くと,x = 4 ±√5 x = 4 +√5 のとき,もう 1 つの数は 8 -(4 +√5 )= 4 -√5 x = 4 -√5 のとき,もう 1 つの数は 8 -(4 -√5 )= 4 +√5 よって,2 つの数は 4 +√5 と 4 -√5 ※解が問題の答えとして適当かを確認することを忘れないこと。 ▷ 連続した 3 つの正の整数があり,最小の数の 2 乗が他の 2 数の和に等しい。この 3 つの整数 を求めよ。 最小の数を x とすると, x2 =(x + 1)+(x + 2) x2 = 2x + 3 x2 - 2x - 3 = 0 (x + 1) (x - 3)= 0 x =- 1,3 x は正の整数なので,x = 3 よって,連続した 3 つの正の整数は 3,4,5 ※中央の数,最大の数を x としてもよいが,計算が楽になるものを選ぶとよい。 第 3 章 2 次方程式 発展新演習 中3数学 指導のポイント 2 次方程式の応用⑵ 14 ◆指導ページ P.76 ~ 81 ◆ 【指導のねらい】 ★図形や速さなど,各分野固有の性質や考え方をチェックする。 ★座標平面上での図形について理解する。 ★割合や濃度についての式をたてることができるようにする。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 図形についての問題 ⇒A1,B1,2 この単元では,図形や速さ,座標平 例題 面を利用した 2 次方程式の応用問題を ▷ 右の図のような,縦 15m,横 25m の長方形の土地に,同じ幅の道をつく 学習する。 り,残りの土地を畑にしたところ,畑の面積は 264m2 になった。このとき 図形や座標平面の性質を理解してい の道の幅を求めよ。 m るかどうかが重要であるため,図形の 道 の幅を xm(0 < x < 15)とすると,右の図のように,道を端に寄せ 面積の求め方や 1 次関数の性質を復習 する必要がある。 ると畑の合計が 1 つの長方形として考えることができる。 この畑の面積の和は,縦(15 - x)m,横(25 - x)m の長方形なので, (25 - x)= 264 これを解くと,x = 3,37 割合や濃度に関しては,中 2 の連立 (15 - x) m 方程式の応用でも扱っているので,そ 0 < x < 15 より,x = 3m の知識を応用する。 また,速さについても同様のことが 学習2 座標平面上の問題 ⇒A2,B3 いえるので,知識だけでも復習する必 例題 要がある。 ▷ 3 つの直線 y = 2x + 3 …①,y = x + 1 …②,x = a …③がある。 ③ ① また,点 A,B,C はそれぞれ①と②,①と③,②と③の交点である。 <事前確認> 学習1 B △ABC の面積が 8 のとき,a の値を求めよ。ただし,a > 0 とする。 ・図形についての問題…求めたい図形 A …①と②を連立方程式として解くと,A(- 2,- 1) C の面積や体積の公式にあてはめる。 B,C …①,②に③を代入すると,B(a,2a + 3),C(a,a + 1) △ABC の底辺を BC とすると,高さは 2 点 A,B の x 座標の差と 学習2 ② 3 点 A,B,C の座標を求める。 なる。 A O ・座標平面上の問題…座標から辺の長 BC =(2a + 3)-(a + 1)= a + 2 高さ= a -(- 2)= a + 2 ・座標の交点…連立方程式で求める。 よって,△ABC = 1(a + 2) 2 = 8 これを解くと,a = 2,- 6 2 a > 0 より,a = 2 学習3 さを求める。 ・割合,濃度 a 割= a 10 a%= a 100 学習3 割合や濃度についての問題 ⇒A3,B4,5 例題 ▷ 原価 800 円の品物に x 割の利益を見込んで定価をつけたが,売れないので定価の x 割引きで 売ったら,32 円の損をした。このとき,x の値を求めよ。 (定価)=(原価)×(1 +利益の割合)= 800 × 1 + x 10 (売値)=(定価)×(1 -割引きの割合)= 800 × 1 + x × 1 - x 10 10 売値から原価を引くと,損をした金額が出るので, 800 1 + x 1 - x - 800 =- 32 これを解くと,x =± 2 x > 0 より,x = 2 10 10 ▷ 10%の食塩水 100g が入っている容器から xg をとり,そのかわりに xg の水を入れてよく混 ( ( ( ) ( ) )( ) ) ぜ,もう一度 xg をとり,xg の水を入れたところ,4.9%の食塩水になった。このとき,x の値 を求めよ。 食塩の量に注目する。 100g の食塩水から xg をとると,食塩水は(100 - x)g なので,食塩は(100 - x)× 10 g に 100 なる。もとの食塩の量は 10g なので,1 回の操作で,食塩の量は 100 - x 倍になった。 100 2 100 - x 4.9 これを 2 回行うので,10 × = 100 × 100 100 これを解くと,x = 30,170 0 < x < 100 より,x = 30 ( ) 学習4 いろいろな問題 ⇒A4,B6,7 例題 ▷ ボールを毎秒 30m の速さで真上に投げると,t 秒後には,始めの位置からおよそ (30t - 5t2) m の高さにあるという。はじめの位置から 40m 高くなるのは何秒後か。 30t - 5t2 = 40 これを解くと,t = 2,4 2 秒後にはボールが上昇しながら 40m の高さに到達し,4 秒後には落下しながら 40m の高 さに達する。 よって,2 秒後と 4 秒後 第 4 章 関数 y = ax2 発展新演習 中3数学 指導のポイント 関数 y = ax2 15 【指導のねらい】 ★ 2 次関数のグラフや性質,式の決定を学ぶ。 ★変化の割合の定義を確認し,2 次関数の変化の割合を求めることができるようにする。 ★ x に対応する y の変域を求めることができるようにする。 はじめに <導入> ◆指導ページ P.84 ~ 89 ◆ 学習内容・補足事項など この単元では,2 乗に比例した関数 学習1 2 乗に比例する関数 ⇒A1,B1 ・x が 2 倍,3 倍…となると,y が(22 =)4 倍,(32 =)9 倍…となる。 の特徴について学習する。 例題 2 乗に比例する関数は,今までの関 ▷ 1 辺が x cm の立方体の表面積を y cm2 とする。このとき,y は x の 2 乗に比例することを示 数同様に,意味,一般式,グラフなど せ。また,比例定数を答えよ。 をしっかりと理解させればよい。どの 立方体の表面積は,6 つの合同な正方形の面積の和である。 ような関係が 2 乗に比例するのかをま 1 つの正方形の面積= x × x = x2 より y = 6x2 ずは示すとよい。 よって,y は x の 2 乗に比例し,比例定数は 6 変域については,x の変域が原点を またいでいるかどうかが重要なポイン 学習2 y = ax2 の式の決定 ⇒A2 ・比例定数の求め方… y = ax2 に x と y の組を 1 組代入する。 トである。言葉だけでは理解に乏しい と思うので,グラフをかいて説明す 例題 る方がよい。最大,最小の意味も「y ▷ y は x の 2 乗に比例し,x =- 3 のとき y = 27 である。 ⑴ y を x の式で表せ。 の」最大,最小なのだと説明しないと 一般式 y = ax2 に x =- 3,y = 27 を代入。 2 これを解くと,a = 3 よって,y = 3x2 か理解しない場合は基本から説明して, 27 = a ×(- 3) ⑵ x = 2 のときの y の値を求めよ。 しっかりと身につけさせたい。 理解してくれないときがある。なかな 変化の割合は,基本は 2 年次に学習 した変化の割合と同じ求め方ができる が,復習も兼ねて,まずは 1 次関数に もどって変化の割合の定義を確認して おきたい。また,1 次関数では,変化 の割合=傾きだったため,2 乗に比例 の関数でも,変化の割合=比例定数と y = 3x2 に x = 2 を代入。 y = 3 × 22 = 3 × 4 = 12 学習3 y = ax2 のグラフと変域 理解 ⇒A3~5,B2,4,5 ・a > 0 のとき,上に開くグラフになる。 >0 のとき = ² −1 O 軸 ・a < 0 のとき,下に開くグラフになる。 例題 <0 のとき 放物線 1 勘違いすることが多いので,気をつけ ▷ 関数 y = 2 x2 …①,y =- x2 …②のグラフをかけ。 −1 O 1 頂点 = ² ① 対応する x,y の値の組をいくつか求めて,これらの x,y の値の組 たい。 を座標とする点をとり,なめらかな曲線でつなぐ。 4 <事前確認> ①(0,0),(2,2),(4,8)… 2 学習1 ②(0,0),(1,- 1),(2,- 4)… ・2 乗に比例する関数 一般式… y = ax2 (a:比例定数 a ≠ 0) 1 ▷ y = x2 (- 3 ≦ x ≦- 1)…①,y =- 2x2 (- 1 ≦ x ≦ 2)…②の関数に ついて,( )内に示された x の変域のとき,y の変域を求めよ。 ①… a > 0 また,x の変域が原点をふくまない −4 −2 O x =- 1 のとき y = 1,x =- 3 のとき y = 9 より,1 ≦ y ≦ 9 ・y = ax2 の式の決定 ②… a < 0 また,x の変域が原点をふくむ 式を求める→比例定数を求める。 → x = 0 のとき y は最大,x の絶対値が大きいとき y は最小 4 −4 → x の絶対値が大きいとき,y は最大 学習2 2 −2 ② x = 0 のとき y = 0,x = 2 のとき y =- 8 より,- 8 ≦ y ≦ 0 学習3 ・y = ax2 のグラフ グラフの形…放物線 ・関数 y = ax2 の変域 x の変域が原点をまたがない → y の変域に 0 が入らない。 x の変域が原点をまたぐ → y の変域に 0 が入る。 学習4 変化の割合= y の増加量 x の増加量 学習4 変化の割合 暗記 ⇒A6 ・関数 y = ax2 の変化の割合 x が p から q に増加する場合,y は ap2 から aq2 に増加するから - ap2 a(q2 - p2) a(q + p) (q - p) 変化の割合= aq2 = a(p + q) q-p = q-p = q-p 例題 ▷ 関数 y = 2x2 について,x の値が 1 から 3 まで増加するときの変化の割合を求めよ。 変化の割合= a(p + q)= 2 ×(1 + 3)= 8 学習5 変化の割合の利用 ⇒A7,B3 例題 ▷ 2 つの関数 y = ax2,y = 4x - 3 は,x の値が- 4 から- 2 まで増加するときの変化の割合 が等しい。a の値を求めよ。 y = ax2 の変化の割合は,a ×(- 4 - 2)=- 6a y = 4x - 3 は 1 次関数なので,変化の割合は 4 2 よって,- 6a = 4,a =- 3 第 4 章 関数 y = ax2 発展新演習 中3数学 指導のポイント 関数 y = ax2 の利用 16 【指導のねらい】 ★落下運動,車の制動距離などの問題を解けるようにする。 ★動点問題と図形の移動問題を解けるようにする。 ★いろいろな事象においての関係を関数として考えることができるようにする。 はじめに <導入> ◆指導ページ P.90 ~ 93 ◆ 学習内容・補足事項など 学習1 関数 y = ax2 の利用 ⇒A1 この単元では,関数の利用として物 例題 の落下や図形上の点の移動(=動点)と ▷ 高いところから物を自然に落としたとき,落ち始めてから x 秒間に落ちる距離を y m とす 面積,いろいろな事象と関数を扱う。 ると,およそ y = 5x2 の関係が成り立つ。次の問いに答えよ。 導入としては,2 次関数の代表的な ⑴ 落ち始めてから 3 秒間では,何 m 落ちるか。 文章問題として運動と動点をやると目 標をあげればよい。 x = 3 なので,これを y = 5x2 に代入すると, y = 5 × 32 = 45 物の落下については,まず落下の よって,45 m イメージを描かせることが重要であ ⑵ 高さ 80m のところから落とすと,地面に着くのは何秒後か。また,地面に着くまでの平 る。物を投げ上げたり,橋の上から物 均の速さを求めよ。 y = 80 を代入すると,80 = 5x2,x =± 4 x > 0 より,x = 4(秒後) 落ちた距離 y の増加量 ようすを思い出させ,それが放物線を 平均の速さ= = =変化の割合より, かかった時間 x の増加量 描くことを確認することから始めたい。 平均の速さ= a(p + q)= 5 ×(0 + 4)= 20(m/s) 「放物線を描く→ 2 次関数→ y = ax2」 ※平均の速さが変化の割合と等しいことは覚えておくと問題が解きやすい。中 2 の 1 次関数の と定式化しておく。 利用でも速さに関する問題があるので,そこで確認したことを利用するとよい。 動点と面積では,1 次関数では 1 点 を前に放り投げたりしたときの落下の の移動であったものが,2 次関数では 2 点の移動になっている。また,1 次 関数にはなかった,図形の移動による 重なりの問題が登場する。ここで注意 したいのが場合分けである。重なりの 面積は時間の経過とともに「三角形→ 台形→五角形→長方形」のような変化 をするものもある。それぞれの形を見 極め,それに対応する x の変域を正確 学習2 動点と図形の面積 ⇒A2,B1,2 例題 ▷ 右の図のような 1 辺が 4cm の正方形 ABCD がある。点 P,Q は同時に頂 点 A を出発して,点 P は辺 AB,BC,CD 上を点 D まで毎秒 2cm の速さで 動き,点 Q は辺 AD 上を毎秒 1cm の速さで動いて D に着いたら,D で止 A→ Q D ↓ P まっている。P,Q が A を出発してから x 秒後の△APQ の面積を ycm2 とす る。x の 変 域 が 0 < x ≦ 2,2 ≦ x ≦ 4,4 ≦ x < 6 の と き, そ れ ぞ れ y を x の式で表せ。 B C 0 < x ≦ 2 のとき,P は辺 AB 上,Q は辺 AD 上なので,AP = 2xcm,AQ = xcm より, y = 2x × x × 12 = x2 うに変化するのか正確に考えられるよ 2 ≦ x ≦ 4 のとき,P は辺 BC 上,Q は辺 AD 上なので,底辺= AQ = xcm,高さ= 4cm より, うにすることが大切である。 1 今まで学習した関数は比例・反比例, y = x × 4 × 2 = 2x A Q (D) 4 1 次関数だが,すべて x が変化すると 4 ≦ x < 6 のとき,P は CD 上,Q は点 D 上なので, y が変化するものであった。ここでは, 底辺= AQ = 4cm,高さ= PD =(12 - 2x)cm より, 12−2 1 そうではない関数もあるということを P y = 4 ×(12 - 2x)× 2 =- 4x + 24 知る必要がある。 2 ※ 4 ≦ x < 6 のときの考え方は中 2 の 1 次関数の利用における動点の問 に把握することが必要になる。どのよ <事前確認> 学習1 ・落下運動…落下する時間と落下距離 が 2 乗に比例する。 ・制動距離…車の速さと制動距離が 2 乗に比例する。 学習2 ・図形の変形… x の値がいくつのとき に変わり方に変化が起こるのかを 確認する。 B 題でも学習している。確認しておくとよい。 C 学習3 いろいろな事象と関数 ⇒A3,B3 例題 ▷ 右のグラフは,定形外郵便物について,重さが xg の郵 便物を送るときの料金を y 円として,x と y の関係を表し 390 たものである。次の問いに答えよ。 ⑴ 次の x の値に対応する y の値を求めよ。 ① x = 80 50 < x ≦ 100 のとき,y = 140 より, x = 80 のとき,y = 140 ② x = 150 240 200 140 120 O 50 100 150 250 500 100 < x ≦ 150 のとき,y = 200 より, x = 150 のとき,y = 200 ※ 150 < x ≦ 250 のときと間違えやすい。グラフ上の◦はふくむ点,◦はふくまない点を表し ている。 ⑵ y = 240 となるとき x の変域を求めよ。 グラフより,150 < x ≦ 250 ※変域の不等号の扱いに注意すれば問題ない。 第 4 章 関数 y = ax2 発展新演習 中3数学 指導のポイント 放物線と直線 17 ◆指導ページ P.94 ~ 97 ◆ 【指導のねらい】 ★放物線と直線の交点,線分の長さの求め方を理解する。 ★グラフ上の図形(平行四辺形,三角形など)問題の処理方法を理解する。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 放物線と直線の交点 ⇒A1 この単元は,座標平面上の放物線と ・y = ax2 と y = mx + n が交わるとき,ax2 = mx + n となる。 直線の関係を対象とした問題を学習す 例題 る。 ▷ 右の図のように,放物線 y = ax2 …①,直線 y = 2x + 3 …②が 2 点 ① ② 放物線と直線の交点では連立方程式, A,B で交わっている。点 B の x 座標が 3 のとき,a の値と点 A の座 放物線と線分の長さでは x 座標や y 座 標を求めよ。 標の差,方程式を利用して解く。 まず点 B の座標を求める。x = 3 なので,これを②の式に代入する。 放物線と直線の交点に関しては,1 y = 2 × 3 + 3 = 9 よって,B(3,9) 次関数での 2 直線の交点の座標を,グ ラフの 2 式の連立方程式の解として求 これを①に代入すると, 9 = a × 32,a = 1 めたことの復習から始め,これと同様 よって,①は y = x2 …③ な方法で放物線と直線の交点の座標も ②と③より,x2 = 2x + 3,x2 - 2x - 3 = 0 B A O 求めることができることを指摘したい。 これを解くと,x = 3,- 1 なので,A の x 座標は- 1 2=1 これを③に代入すると,y =(- 1) <事前確認> 3 よって A(- 1,1) 学習1 ・放物線と直線の交点 学習2 放物線と直線の式 ⇒A1,B1 例題 y = ax2 と y = mx + n の座標 y = ax2 →連立方程式 を解く。 ▷ y = 2x2 と 2 点 A,B で交わる直線ℓがある。点 A,B の x 座標がそれぞれ- 2,1 である y = mx + n とき,直線ℓの方程式を求めなさい。 学習2 ・y = ax2 上の 2 点 A,B を結ぶ直線 の傾きは a (p + q) 学習3 ・放物線と線分の長さ 座標どうしの差を用いる。または, 座標を文字で表し方程式を用いる。 A(- 2,8),B(1,2)である。 解法① 直線ℓの傾きは 2 点 A,B の変化の割合に等しい。 直線ℓの式を y = mx + n とすると, 変化の割合= 2 ×(- 2 + 1)=- 2 よって,y =- 2x + n B(1,2)を通るので, 2 =- 2 × 1 + n,n = 4 よって,y =- 2x + 4 解法② 2 点 A,B を通る直線の式を連立方程式を用いて求める。 8 =- 2m + n 2=m+n これを解くと,m =- 2,n = 4 よって,y =- 2x + 4 学習2 放物線と線分の長さ ⇒A3~6,B2~4 例題 ▷ 放物線 y = 1 x2 …①と,直線 y = 8 …②がある。右の 4 図のように,直線②より下側にある放物線①の上に 2 ① D 点 A,B をとり,A,B から②にそれぞれ垂線 AC,BD C をひく。ただし,点 A の x 座標は正であり,線分 AB は x 軸に平行である。 ⑴ 点 A の x 座標が 2 のとき,長方形 ACDB の面積を求 B めよ。 A(2,1)より,B(- 2,1),C(2,8)である。 A O AB = 2 -(- 2)= 4,AC = 8 - 1 = 7 なので, 長方形 ACDB の面積= 4 × 7 = 28 ⑵ 長方形 ACDB が正方形のとき,点 A の x 座標を求めよ。 1 1 点 A の座標を a とすると,A a, 4 a2 より,B - a, 4 a2 ,C(a,8) 1 よって,AB = 2a,AC = 8 - 4 a2 AB = AC のとき正方形になるので,2a = 8 - 14 a2 これを解くと,a =- 4 ± 4 √3 a > 0 より,a =- 4 + 4 √3 ( ) ( ) ② 第 4 章 関数 y = ax2 発展新演習 中3数学 指導のポイント 放物線と図形 18 【指導のねらい】 ★等積変形を利用し,面積の等しい三角形をつくる点の座標を求めることができるようにする。 ★グラフ上の図形(平行四辺形,三角形など)問題の処理方法を理解する。 はじめに ◆指導ページ P.98 ~ 101 ◆ 学習内容・補足事項など <導入> 学習1 放物線と平行四辺形 ⇒A1,B1 この単元は,2 次関数の最後の単元 例題 であり,座標平面上の放物線と図形を ▷ 右の図のように,放物線 y = 1 x2 上に点 A (4,8) をとり,y 軸上に 2 対象とした問題について学習する。 点 B(0,6)をとる。放物線上に 2 点 P,Q を,四角形 ABPQ が平行 平行四辺形の性質として,対辺は平 四辺形になるようにとるとき,点 P,Q の座標を求めよ。 B 行で長さが等しい。この性質を用いて BA // PQ,BA = PQ を利用する。 座標を考えることが問題を解くときに 6=1 P p, 12 p2 ,Q q, 12 q2 とすると,線分 AB の傾きは 84 - - 0 2 重要となる知識である。中 2 の図形の 1 線分 PQ の傾きは (p + q)なので, 性質を一度復習しておくとよい。 2 P 三角形に関しては,面積を 2 等分す 1(p + q)= 1 ,p + q = 1 …① O 2 2 る直線の式を求める問題が重要である。 また,BA = PQ より,x 座標の差が等しいので,q - p = 4 - 0 = 4 …② 中点の求め方をもう一度確認しておき 3 5 ①,②より,p =- 2 ,q = 2 たい。 3 9 5 25 等積変形に関しては,底辺と平行な よって,P - 2 , 8 ,Q 2 , 8 直線を引かないと考えることができな ( )( ) ( )( A Q ) いので,補助線を引き,その式を求め 学習2 放物線と三角形 ⇒A2,B2,3 ることが大切である。平行な 2 直線の 面積の 2 等分 特徴を復習しておくこと。 <事前確認> 学習1 中点 ・平行四辺形の性質 例題 ① 2 組の対辺はそれぞれ平行である。▷ 右の図のように,放物線 y = x2,直線 y = 2x + 8 の交点を A,B ② 2 組の対辺はそれぞれ等しい 学習2 ・三角形の面積の 2 等分… 1 点と対辺 の中点を通る 学習3 ・等積変形…底辺と平行な線を頂点を 通るようにひく。この平行線上なら ば頂点がどこに移動しても面積は変 わらない。 とする。このとき,次の問いに答えよ。 B ⑴ △AOB の面積を求めよ。 A(- 2,4),B(4,16)より, 直線 y = 2x + 8 と y 軸との交点 C(0,8)を用いると, △AOB =△AOC +△BOC = 8 × 2 × 12 + 8 × 4 × 12 = 24 ⑵ 原点 O を通り,△AOB の面積を 2 等分する直線の式を求めよ。 C A O 線分 AB の中点を通ればよい。AB の中点は(1,10)なので, 原点と(1,10)を通る直線の式は,y = 10x 学習3 等積変形 ⇒A3~5,B4 等積変形 ℓ P Q ℓ 平行 のとき, △PAB=△QAB A B 例題 ▷ 右の図のように,放物線 y = 13 x2 と直線ℓが 2 点 A,B で交わって ℓ いる。A,B の x 座標がそれぞれ- 3,9 のとき,次の問いに答えよ。 B ⑴ 直線ℓの式を求めよ。 A(- 3,3),B(9,27)なので,傾きは 1 ×(- 3 + 9)= 2 3 y = 2x + n とし,A(- 3,3)を代入すると,n = 9 よって,y = 2x + 9 P ⑵ 放物線上の O と B の間に点 P をとる。△APB =△AOB であると き,点 P の座標を求めよ。 OP // AB のとき,△APB =△AOB となる。 1 1 P p, 3 p2 とすると,OP の傾き= 2 より, 3 ×(0 + p)= 2,p = 6 よって,P(6,12) ( ) A O 第 5 章 相似 発展新演習 中3数学 指導のポイント 三角形の相似⑴ 19 ◆指導ページ P.104 ~ 109 ◆ 【指導のねらい】 ★相似の定義と性質を理解し,相似比と比例式を用いた式の計算に慣れる。 ★三角形の相似条件を三角形の合同と対応し,理解する。 ★比例式を用いて,辺の長さを求めることができるようにする。 はじめに <導入> この単元は,相似の定義,相似の位 学習内容・補足事項など 学習1 相似な図形 ⇒A1,B1 ・相似…記号∽を使って表し,対応する頂点は同じ順に並べてかく。 置,三角形の相似条件,相似比と辺の ▷ 右の図で,四角形 ABCD と四角形 EFGH は相似であ る。このとき,次の問いに答えよ。 長さについて学習する。 E A 相似の定義を,「形が同じで大きさ ⑴ 四角形 ABCD と四角形 EFGH の相似比を求めよ。 の異なる図形」「形を変えないで大き 対応する辺の比を相似比という。 さをそろえたとき,重なる図形」とし BC:FG = 8:12 = 2:3 てもよい。 ⑵ 辺 AD の長さを求めよ。 導入としては,学習の目標が「図形 対応する辺の比はすべて相似比と等しいので,AD:EH = AD:8 = 2:3 比例式として解くと,3AD = 16,AD = 16 3(cm) ⑶ ∠A,∠D の大きさを求めよ。 の相似」であることを提示した上で, 2 年で学習した「図形の合同」と対比 させるとよい。 相似の位置については,作図ができ ることが重要である。相似の中心につ B 82 65 D 8cm C 8cm 93 H 12cm G F 対応する角の大きさは等しいので,∠A =∠E = 93° 四角形の内角の和は 360°なので,∠D = 360°-(93°+ 65°+ 82°)= 120° いてもきちんと理解しておきたい。 学習2 相似の位置 ⇒A2 三角形の相似条件は,合同条件の復 例題 習をかねて合同条件と対比させて説明 ▷ 右の図の点 O を相似の中心として,△ABC との相似比が 2:1 である するとよい。その際,「2 組の角がそ れぞれ等しい」は,他の条件が 3 つの 要素をあげる必要があるのに対し,2 つの要素をあげるだけでよく,最もよ く使われる条件であることを指摘して △DEF をかけ。 ② AO:DO = BO:EO = CO:FO = 2:1 となるように点 D,E,F を 大または縮小した図 ・相似な図形の性質 ①対応する辺…比が等しい ②対応する角…等しい D C O B O E C A D F B C ※ D,E,F の位置は 2 通りとれるので,答えも 2 通りある。 学習3 三角形の相似条件 ⇒A3,B2 例題 ▷ 次の中から,相似な三角形の組を選び,記号∽を使って表せ。 B 学習2 頂点をむすぶ直線が 1 点 O に集 A E F ・相似比…対応する辺の長さの比 ・相似の位置… 2 つの図形の対応する B とる。 <事前確認> ・相似…形を変えず,一定の割合で拡 O ①相似の中心 O と 3 点 A,B,C を結ぶ。 おく。 学習1 A A E 60° D 9cm 80° C 6cm G 5cm I 12.5cm F J 60° 10cm H K L M 6cm Q 15cm 12cm 80° O N 4cm P 6cm R △ABC と△JLK において, まり,O までの距離の比がすべ ∠A =∠J = 90° ,∠B =∠L = 60° より,2 組の角がそれぞれ等しいので,△ABC ∽△JLK 置にあるという。 2 組の辺の比が等しく,その間の角が等しいので,△DEF ∽△NMO て等しいとき,それらの図形は点 △DEF と△NMO において, O を相似の中心とした相似の位 ∠D =∠N = 80°,DE:NM = 9:6 = 3:2,DF:NO = 6:4 = 3:2 より, 学習3 三角形の相似条件 ・3 組の辺の比が等しい。 ・2 組の辺の比が等しく,その間の角 が等しい。 ・2 組の角がそれぞれ等しい。 △GHI と△PQR において, GH:PQ = 12.5:15 = 5:6,GI:PR = 5:6,HI:QR = 10:12 = 5:6 より, 3 組の辺の比が等しいので,△GHI ∽△PQR 学習4 相似比と辺の比 ⇒A4,5,B3~5 例題 ▷ 右の図で,∠ABC =∠AED であるとき,EC の長さを求めよ。 4cm D ∠ABC =∠AED,∠BAC =∠EAD(共通する角)より, 2 組の角がそれぞれ等しいので△ABC ∽△AED である。 相似比を求めると,AB:AE = 4 + 6:5 = 2:1 よって,AC:AD = AC:4 = 2:1,AC = 8(cm) EC = AC - AE = 8 - 5 = 3(cm) 6cm B A 5cm E C 第 5 章 相似 発展新演習 中3数学 指導のポイント 三角形の相似⑵ 20 ◆指導ページ P.110 ~ 115 ◆ 【指導のねらい】 ★ 2 つの三角形の相似条件を確認し,相似の証明方法を知る。 ★相似であることを利用し,辺の長さを求める。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 相似の証明①(直角三角形) ⇒A1,B2 この単元は,前回学んだ相似条件を 例題 用いて,相似の証明方法について学習 ▷ ∠A = 90°の直角三角形で,頂点 A から斜辺 BC に垂線 AH する。 A をひく。このとき,△HAC ∽△HBA であることを証明せよ。 相似の証明については,合同の証明 (証明) とほぼ同じであるので,2 年のときの △HAC と△HBA において, 証明の手順を確認する必要がある。 仮定より,∠AHC =∠BHA = 90°…① B H 証明を書き始める前に,どの 2 つの 三角形の内角の和は 180°なので,∠HCA = 180°-∠AHC -∠HAC = 90°-∠HAC …② C 三角形を比べるのか,どの相似条件を ∠BAC = 90°より,∠HAB = 90°-∠HAC …③ 用いるのかを見極めることが大切であ ②,③より,∠HCA =∠HAB …④ る。用いる相似条件の多くは「2 組の ①,④より,2 組の角がそれぞれ等しいので,△HAC ∽△HBA 角がそれぞれ等しい」なので,まず 「大きさが等しいといえる 2 組の角を みつける」ことから始めるとよい。 学習2 相似の証明②(2 組の角) ⇒A2,3 例題 A ▷ 右の図は,正三角形 ABC の辺 BC 上に点 D をとり,AD を 1 辺 <事前確認> とする正三角形 ADE をかいたもので,点 F は AC と DE の交点で 学習1~3 ある。このとき,△ABD ∽△DCF であることを証明せよ。 相似の証明 (証明) C B ・理由をかき,番号をふる D △ABD の内角と外角の関係より,∠BAD +∠ABD =∠ADC =∠ADF +∠CDF ・対応の順に気をつける。 ここで,∠ABD =∠ADF = 60°より,∠BAD =∠CDF …② ③相似条件を明示する。 ①,②より,2 組の角がそれぞれ等しいので,△ABD ∽△DCF ④結論を記号を使って表す。 E F ①対象となる 2 つの三角形を示す。 △ABD と△DCF において, 正三角形の角はすべて等しいので,∠ABD =∠DCF = 60°…① ②相似条件の要素を順にあげる。 学習3 相似の証明③(2 組の辺の比とその間の角) ⇒A4,B3,4 例題 ▷ △ABC の頂点 B,C から辺 AC,AB にそれぞれ垂線 BD,CE A をひく。このとき,△ABC ∽△ADE であることを証明せよ。 (証明) E △ABD と△ACE において, D 仮定より,∠ADB =∠AEC = 90° 共通な角なので,∠BAD =∠CAE 2 組の角がそれぞれ等しいので,△ABD ∽△ACE …① B C 次に,△ABC と△ADE において, 共通な角なので,∠BAD =∠CAE …② ①より,対応する辺の比は等しいので,AB:AC = AD:AE よって,AB:AD = AC:AE …③ ②,③より,2 組の辺の比が等しく,その間の角が等しいので,△ABC ∽△ADE 学習4 相似の証明④(図形の折り返し) ⇒A5,B5 例題 ▷ 右の図は,長方形の紙 ABCD を,頂点 A が辺 CD 上にくるように A G D 折ったものである。点 E,F はそれぞれ点 A,B が移った点で,線分 E GH は,このときの折り目で,点 I は EF と CH の交点である。このと き,△CIE ∽△DEG であることを証明せよ。 (証明) △CIE と△DEG において, B 仮定より,∠ECI =∠GDE = 90°…① △CIE の内角の和は 180°なので,∠CEI +∠CIE = 180°-∠ECI = 90°…② ∠GEI = 90°より,∠CEI +∠DEG = 180°-∠GEI = 90°…③ ②,③より,∠CIE =∠DEG …④ ①,④より,2 組の角がそれぞれ等しいので,△CIE ∽△DEG H F I C 第 5 章 相似 発展新演習 中3数学 指導のポイント 平行線と線分の比 21 ◆指導ページ P.116 ~ 119 ◆ 【指導のねらい】 ★三角形と平行線の定理を理解する。 ★平行線と線分の比の定理を理解する。 はじめに 学習内容・補足事項など <導入> 学習1 三角形と平行線 ⇒A1 この単元は,三角形と平行線,平行 ・下記のような図形が基本パターンとなり出題される。 線と線分の比について学習する。 相似比を用いて線分の長さを求める ことは前の単元で学習したが,それを 応用したものが今回の単元である。平 行線があることで,必ず相似な関係が できるので,そこから辺の比について 理解したい。 相似な図形における対応する辺の比 とは違う比を用いて問題を解くことに なるため,どのような比を使ってよい のかを理解することが重要である。問 題の図がパターン化しているので,そ れを覚えてしまうのも一つの方法であ る。比の計算は今まで同様,比例式を 用いるので,ここでは新しい計算方法 は出てこない。 例題 ▷ 右の図で,DE // BC のとき,線分 AE,BC の長さを求めよ。 A AD:AB = AE:AC より, 5:8 = AE:12 5 8AE = 60 12 D AE = 7.5 3 また,AD:AB = DE:BC より, E 7 B 5:8 = 7:BC C 5BC = 56 BC = 11.2 学習2 平行線と線分の比 ⇒A2 ・3 つ以上の平行線に交わる 2 直線は,平行線によって等しい比の線分に分けられる。 例題 <事前確認> ▷ 右の図で,ℓ // m // n のとき,x,y の値を求めよ。 学習1 14:21 = 2:3 より, ・三角形と平行線 14 12:x = 2:3 A D ℓ 2x = 36 21 x = 12 E 12 32 y:(32 - y)= 2:3 B C y = 12.8 ※ 2:5 = y:32 で解いてもよい。 D E 3y = 2(32 - y) A 学習3 三角形・平行線と比の利用 ⇒A3~5,B1~5 C B 例題 ▷ 右の図のように,平行四辺形 ABCD において,辺 CD,DA の ・DE // BC のとき, 中点をそれぞれ M,N とし,さらに線分 AM,BN の交点を P と AD:AB = AE:AC = DE:BC する。AP:PM,BP:PN を求めよ。 AD:DB = AE:EC 右下の図のように,AM,BC の延長の交点を Q とする。 ・AD:AB = AE:AC のとき, △AMD と△QMC において, A また,対応する辺の比が 1:1 なので, △AMD ≡△QMC 学習2 よって,BC = AD = CQ より,C は BQ の中点 ・平行線と比 ゆえに,BQ = 2BC = 2 × 2AN より, ℓ BQ:AN = 4:1 ′ ′ ℓ ならば, : = ′ : ′ N D P B または,AD:DB = AE:EC のとき, AD // CQ より,△AMD ∽△QMC がいえる。 DE // BC A C N D P B M M C △QPB ∽△APN より, 相似比は BQ:AN = 4:1 よって,BP:PN = 4:1 また,AP:PQ:AQ = 1:4:5,AM:MQ:AQ = 1:1:2 より, AQ = 10 とすると,AP:PQ:AQ = 2:8:10,AM:MQ:AQ = 5:5:10 PM = PQ - MQ より, PM = 8 - 5 = 3 よって,AP:PM = 2:3 ※共通する辺を同じ数でそろえると,すべての辺の長さを比べることができる。 Q 第 5 章 相似 発展新演習 中3数学 指導のポイント 中点連結定理 22 ◆指導ページ P.120 ~ 123 ◆ 【指導のねらい】 ★中点連結定理を理解する。 ★中点連結定理を応用した問題を解くことができるようにする。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 中点連結定理 ⇒A1,B1 この単元は,中点連結定理について 導入としては,相似や平行線と比の を伝えて,中点連結定理を説明する。 証明を生徒にやらせてもよい。 どれか 2 つが成り立つ⇒ 4 つすべてが成り立つ ⑴ 線分 MN の長さを求めよ。 1 1 中点連結定理より,MN = 2 BC から,MN = 2 × 8 = 4 ⑵ ∠ANM の大きさを求めよ。 中点なのかを確認することです。中点 MN // BC より,平行線の同位角は等しいので, を見つけても,三角形を見つけないと 75 C 8 例題 ▷ 右の図の△ABC で,点 D,E は辺 AB を 3 等分する点であり, A 点 F は辺 BC の中点である。また,AF,CD の交点を G とする。 D EF = 4cm のとき,線分 GC の長さを求めよ。 △BCD において,E,F は辺 BD,BC の中点なので,中点連結 <事前確認> G E 定理より, DC = 2EF = 2 × 4 = 8(cm) を結ぶ線分は,残りの辺に平行で, 長さはその半分に等しい。 B 学習2 中点連結定理の利用① ⇒A2,3,B2,3 知っておきたい。 ・中点連結定理…三角形の 2 辺の中点 N M よって,△AMN で,∠ANM = 180°-(67°+ 75°)= 38° 点を必ず確認させたい。 学習1~3 67 ∠AMN =∠ABC = 75° 中点連結定理は使えないので,この 2 定理だが,その逆も成り立つことを C A 点である。 見極めることと,どの三角形における の辺と平行で長さが半分であるという B ▷ 右の図の△ABC で,点 M,N はそれぞれ辺 AB,AC の中 点とどの点が中点となっているのかを 結んだとき,その結んだ線はもう 1 つ N 例題 中点連結定理で重要なことは,どの また中点連結定理は,中点どうしを M 1 AM = MB,AN = NC,MN // BC,MN = 2 BC 学習する。 つながりから,特別な場合があること A ・右の図において, B また,DC // EF,D が辺 AE の中点なので,△AEF において中 C F 点連結定理より, DG = 1 EF = 1 × 4 = 2(cm) 2 2 よって,GC = DC - DG = 8 - 2 = 6(cm) ※ DC // EF,D が AE の中点から中点連結定理が成り立つ理由は説明しておいた方がよい。 ただ,今後において使える知識なので,教科書等で記載されている中点連結定理より,学習 1での中点連結定理を理解しておくとよい。 DG // EF なので,AG:GF = AD:DE = 1:1 よって,G は AF の中点なので,△AEF において中点連結定理を用いることができる。 学習3 中点連結定理の利用② ⇒A4,5,B4,5 例題 ▷ 四角形 ABCD の辺 AD,BC,対角線 AC,BD の中点をそれぞ A れ P,Q,R,S とすると,四角形 PSQR は平行四辺形であること を証明せよ。 P R S ※平行四辺形になるための条件は以下の 5 つである。そのうちの D 1 つを示せばよい。 ① 2 組の対辺がそれぞれ平行である。 ② 2 組の対辺がそれぞれ等しい。 B Q C ③ 2 組の対角がそれぞれ等しい。 ④対角線がそれぞれの中点で交わる。 ⑤ 1 組の対辺が平行でその長さが等しい。 (証明) △ABC において,中点連結定理より, 1 RQ // AB …①,RQ = 2 AB …② △ABD において,中点連結定理より, 1 PS // AB …③,PS = 2 AB …④ ①,③より,RQ // PS …⑤ ②,④より,RQ = PS …⑥ ⑤,⑥より,1 組の対辺が平行でその長さが等しいので,四角形 PSQR は平行四辺形である。 第 5 章 相似 発展新演習 中3数学 指導のポイント 相似と線分の比 23 ◆指導ページ P.124 ~ 129 ◆ 【指導のねらい】 ★三角形の角の二等分線と辺の比の関係を理解する。 ★三角形の重心について理解する。 はじめに 学習内容・補足事項など 学習1 角の二等分線と辺の比 ⇒A1,B1 A この単元は,角の二等分線と辺の比,例題 ▷ △ABC の∠A の二等分線が辺 BC と交わる点を D とする。こ 線分比の移動,三角形の重心について のとき,AB:AC = BD:DC であることを証明せよ。 学習する。 角の二等分線と辺の比については, ※平行な補助線をひいて,三角形と平行線の定理を使う。 計算問題としてもよく出題される内容 AB:AC を 1 つの線分上で扱えるようにする。 C B (証明) D である。どの辺で比をつくるのかがす 点 C を通り DA に平行な直線を引き,BA の延長との交点を E とす E ぐには覚えられないことがあるので, ると,同位角や錯角は等しいので, 特訓をくり返して使えるようにしたい。 ∠AEC =∠BAD,∠ACE =∠DAC A 線分比の移動については,補助線を また,仮定より,∠BAD =∠DAC だから,∠AEC =∠ACE 引くことで平行線と比を応用すること よって,△ACE は二等辺三角形なので,AE = AC …① ができる問題である。ただ,補助線の また,△BCE において AD // EC より,BA:AE = BD:DC …② B C 引き方が難しいので,なぜそこに平行 D ①,②より,AB:AC = BD:DC 線を引くのかを丁寧に説明したい。 重心については,まず重心の概念 学習2 線分比の移動 ⇒A2,B3~5 から説明したい。「重心=つりあいの 例題 A 中心」であることを実演して確認し, ▷ 右の図のように,△ABC の辺 AB 上に AD:DB = 2:1 となる点 D, 辺 AC 上に AE:EC = 3:2 となる点 E をとり,BE と CD の交点を F 「三角形の重心を求めるにはどうした とする。このとき,BF:FE を求めなさい。 らいいのか」という発問で解説に入る E D ※ F を通る直線と平行な線を補助線として引く。ここでは E を通り, とよい。 F FD と平行な直線を引き,それを AB との交点を G とする。 B C △BEG において,DF // GE なので,BF:FE = BD:DG <事前確認> A 1 AD:DB = 2:1 より,DB = 2 AD …① 学習1 ③ △ACD において,EG // CD なので,AG:GD = AE:EC = 3:2 G ・角の 二等分線と辺の比…△ABC の 2 E ∠A の二等分線が辺 BC と交わる D よって,DG = 5 AD …② ② 点を D とすると, 1 2 F ①,②より,BF:FE = BD:DG = 2 AD: 5 AD = 5:4 B C AB:AC = BD:DC ※ CF:FD を求めるには,点 D を通り,BE に平行な直線を引けばよい。 が成り立つ。 <導入> 学習3 三角形の重心 ⇒A3 学習2 ・三角形の重心…重心はそれぞれの中線を 2:1 に分ける。 ・線分比の移動…線分の比は,適当な 例題 平行線をひくことによって,他の ▷ 三角形の 3 つの中線は 1 つの点で交わる。これを証明せよ。 線分上に移すことができる。 学習3 A ※辺 BC,CA,AB の中点をそれぞれ L,M,N とするとき,AL と BM (証明) ・中線…三角形の頂点とそれに向かい 中 線 AL と BM の交点を G とする。線分 ML をひくと,中点連結定理 A 合う辺の中点を結ぶ線分。 より,AB // ML,AB = 2ML ・三角形の重心…三角形の 3 つの中線 が交わった点。 N の交点と,AL と CN の交点が一致することを示す。 よって,AG:GL = AB:ML = 2:1 …① G 次に,中線 AL と CN の交点を H とすると, 同様にして,AH:HL = AC:NL = 2:1 …② B B C L A N M L M B C H C L ①,②より,点 G,H はともに AL を 2:1 に分けることから,点 G と点 H は一致する。 よって,AL,BM,CN は 1 点で交わる。 学習4 三角形の重心の利用 ⇒A4,5,B2 例題 A ▷ 右の図の平行四辺形 ABCD で,点 L,M,N はそれぞれ辺 AB,BC, CD の中点である。BD と LM,AN の交点をそれぞれ P,Q とするとき, PQ:BD を求めよ。 L B D Q P M N C △ACD において,AO = OC,CN = ND なので,Q は△ACD の重心 ① A D 1 1 よって,DQ:QO = 2:1 これより,OQ = 3 OD = 6 BD ② L Q 1 1 N P O また,△OBC において中点連結定理より,PO = 2 BO = 4 BD なので, 1 1 5 M C PQ = PO + OQ = 4 BD + 6 BD = 12 BD ゆえに,PQ:BD = 5:12 B 第 5 章 相似 24 発展新演習 中3数学 指導のポイント 面積比と体積比 ◆指導ページ P.130 ~ 135 ◆ 【指導のねらい】 ★相似な図形における,相似比と面積比の関係を理解する。 ★相似な立体における,相似比と体積比の関係を理解する。 はじめに <導入> この単元は,相似比と面積比・体積 比について学習する。今までは平面図 形における相似だけを考えてきたが, 空間図形でも相似という関係があるの で,よく特徴をおさえておくようにす る。 面積比や体積比が相似比から求める ことができることを理解できればよい が,実際に相似な図形における面積や 体積を求め,面積比や体積比がどのよ うな関係になっているかを確認してか らの方がよいだろう。 学習内容・補足事項など 学習1 三角形と面積比 ⇒A1,B1 1 つの辺が共通 → ₁: ₂= : ₁ ₂ ₁ ₂ 例題 ▷ 右の図の△ABC で,AP:PB = 2:1,BQ:QC = 3:1, CR:RA = 4:1 のとき,△PQR:△ABC を求めよ。 △ABC = S とし,△PQR を S を用いて表す。 1 2 2 △APR = 5 × 3 × S = 15 S 1 1 同様に,△BQP = 4 S,△CRQ = 5 S 2 1 1 5 よって,△PQR = S - 15 S + 4 S + 5 S = 12 S ( ) 一度確認したら,その知識を使って よって,5:12 例題を解いてみることも忘れずに行う こと。今までも比例式を用いて計算を してきたが,少しでも違った考え方が 出てくると今までと同じ方法が使えな いと勘違いしてしまうことがある。計 算方法は今までと同じでいいことを説 明しておきたい。 <事前確認> 学習1 ・三角形と面積比…高さが等しい 2 つ の三角形の面積比は底辺の比と等 しい。 A 1 つの角が共通 △ADE AD×AE → = △ABC AB×AC E D B C A R P B A R ② ① P B 学習2 相似比と面積比 ⇒A2,3,B2,3 ・相似比と周の長さの比…相似比 m:n →周の長さの比 m:n ∽ ² ・相似比と面積比…相似比 m:n →面積比 m2:n2 例題 ▷ 右 の 図 の △ABC で,AD = DF = FB,AE = EG = GC で あ る。 △AFG = 24cm2 のとき,四角形 DFGE と四角形 FBCG の面積を求めよ。 四角形 DFGE F AF:AD = AG:AE = 2:1 より,△AFG ∽△ADE で,相似比は 2:1 よって,面積比は 4:1 なので,△ADE = 24 ÷ 4 = 6(cm2) B ゆえに,四角形 DFGE = 24 - 6 = 18(cm2) 四角形 FBCG △AFG ∽△ABC で,相似比は 2:3,面積比は 4:9 9 よって,四角形 FBCG = 4 × 24 - 24 = 30(cm2) C Q ❸ Q❶ C ² A D R G C 学習2 学習3 相似比と体積比 ⇒A4,B4 ・相似比と表面積比…相似比 m:n →表面積比 m2:n2 ∽ の長さの比は,相似比に等しい。 ・相似比と体積比…相似比 m:n →体積比 m3:n3 ・面積比…相似な平面図形の面積比は,例題 ▷ 相似な 2 つの三角錐 F,G があって,F と G の相似比は 5:3 相似比の 2 乗に等しい。 F である。次の問いに答えよ。 ⑴ G の表面積が 225cm2 のとき,F の表面積を求めよ。 学習3, 4 ・表面積比…相似な立体の表面積比は, F と G の表面積比= 25:9 より,F の表面積= 225 × 25 = 625(cm2) 9 相似比の 2 乗に等しい。 ⑵ F の体積が 500cm3 のとき,G の体積を求めよ。 ・体積比…相似な立体の体積比は,相 27 F と G の体積比= 125:27 より,G の体積= 500 × 125 = 108(cm3) 似比の 3 乗に等しい。 ・周の長さの比…相似な平面図形の周 G 学習4 空間図形と相似 ⇒A5,B5 ・錐体(角錐や円錐)を底面に平行な平面で切り分けてできる小さい錐体は,もとの錐体と相似 な関係である。 12πcm² 例題 ▷ 右の図は,円錐を底面に平行な平面で切り,その上部を取り除いた立体を 5cm 表している。下の面の面積が 27πcm2,上の面の面積が 12πcm2 で,高さが 5cm のとき,この立体の体積を求めよ。 もとの円錐を表すと右下の図のようになる。 27πcm² もとの円錐と取り除いた円錐は相似なので, 面積比= 27π:12π= 9:4 より,相似比= 3:2 よって,体積比= 27:8 ゆえに,もとの円錐と求めたい立体の体積比は,27:19 ② また,もとの円錐の高さは 5 × 3 = 15(cm)より, 5cm 1 19 求めたい立体の体積は,27π× 15 × 3 × 27 = 95π (cm3) ③ 第 6 章 円 発展新演習 中3数学 指導のポイント 円周角と中心角 25 ◆指導ページ P.138 ~ 143 ◆ 【指導のねらい】 ★円と弦,円と接線について理解する。 ★円周角の定理について理解し,利用できるようにする。 ★円周角の定理の逆,円に内接する四角形について理解する。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 円の基本性質 理解 ⇒A1,B1 この単元では,円の特徴と円周角に 例題 ついて学習する。 円周角の定理は,証明においても利 ▷ 右の図で,円外の 1 点 P から円 O に 2 つの接線をひき,その接点を A, A B とするとき,PA = PB であることを証明せよ。 O 用できるものなので,きちんと理解で (証明) P きるまで特訓させたい。角度計算では, △OPA と△OPB において,共通な辺なので,OP = OP …① B 円周角の定理に合わせて,今まで学習 円 O の半径なので,OA = OB …② …③ したものとの複合問題がよく出題され PA,PB は接線だから,∠OAP =∠OBP = 90° る。中 2 のときの多角形や平行と合同 ① , ② , ③より,直角三角形の斜辺と他の 1 辺がそれぞれ等しいので,△OPA ≡△OPB の知識を復習しておきたい。 よって,対応する辺は等しいので PA = PB 円周角の定理の逆は,どういう状況 のときに利用できるのかを判断できる 学習2 円周角の定理 暗記 ⇒A2 ようにしたい。 P 例題 円に内接する四角形は,角度計算で ▷ 右の図で,∠APB = 1 ∠AOB であることを証明せよ。 2 も利用できるので,円周角の定理を利 ・△OAP と△OPB が二等辺三角形であることを利用する。 用した証明を用いて説明するなどして, (証明) しっかりと理解させたい。 ∠OPA =∠a,∠OPB =∠b とする。 <事前確認> 学習1 ・円と弦 ①円の中心から弦に引いた垂線は, その弦を 2 等分する。 ②弦の垂直二等分線は,円の中心を 通る。 O A P 円 O の半径より,OP = OA だから,∠OAP =∠OPA =∠a ∠AOC は△AOP の外角だから,∠AOC = 2 ∠a O 同様にして,∠BOC = 2 ∠b したがって,∠AOB = 2(∠a +∠b) A 1 ∠APB =∠a +∠b なので,∠APB = 2 ∠AOB 学習3 円周角と中心角 理解 ⇒A2,B2,3 ▷ 右の図で,∠x の大きさを求めよ。 ⌒ ∠APB は A B に対する円周角で,中心角は∠AOB なので, ①円の接線は,接点を通る半径に垂 1 1 直である。 ∠APB = 2 ∠AOB = 120°× 2 = 60° ②円外の 1 点からその円にひいた 2 学習2~4 ・円周角…ある弧の両端と別の円周上 の点とを結んだときにできる円周 上の角。 ・円周角の定理 ① 1 つの弧に対する円周角の大きさ は,その弧に対する中心角の大 きさの半分である。 ②同じ弧に対する円周角の大きさは 等しい。 学習5 ・内接…多角形のすべての頂点が 1 つ の円の周上にあるとき,その多角 形は円に内接するという。また, その円を多角形の外接円という。 ・円に内接する四角形の性質 ①対角の和は 180°である。 ②外角はそれととな り合う内角の対角 に等しい。 ・四角形が円に内接する条件 上の①,②のどちらかが成り立つとき。 B C ・円と接線 つの接線の長さは等しい。 B C 120 P O B A 学習4 円周角の定理の逆 理解 ⇒A3,B4 例題 ▷ 円周上に 3 点 A,B,C がある。右の図のように,直線 AB について点 C と同 P C じ側に点 P をとるとき,∠APB と∠ACB の大小関係を次の場合について示せ。 P ⑴ P が円周上 円周上にあるときは,円周角の定理より∠APB =∠ACB ⑵ P が円の内部 右の図 1 より,△APC′の内角と外角の関係より, ∠APB >∠ACB A 図1 C B 図2 C C P P ⑶ P が円の外部 右の図 2 より,△APC′の内角と外角の関係より, P A C B A B ∠APB <∠ACB 学習5 円に内接する四角形 ⇒A4,B5 例題 ▷ 円 O に内接する四角形 ABCD について,∠BAD +∠BCD = 180°であることを証明せよ。 (証明) 右の図のように,対角線 AC,BD をひく。 ⌒ ⌒ A B,A D に対する円周角より, A ∠ACB =∠ADB,∠ACD =∠ABD O △ABD の内角の和から,∠BAD +∠ADB +∠ABD = 180°より, ∠BAD +∠ACB +∠ACD = 180° ∠ACB +∠ACD =∠BCD なので, ∠BAD +∠BCD = 180° D B C 第 6 章 円 発展新演習 中3数学 指導のポイント 円と相似 26 ◆指導ページ P.144 ~ 149 ◆ 【指導のねらい】 ★円周角を利用して,三角形の合同や相似を証明することができる。 ★内接四角形の特徴や接弦定理,方べきの定理を理解する。 はじめに 学習内容・補足事項など <導入> 学習1 円と相似 理解 ⇒A1,B1 この単元では,円周角を利用した証 例題 明とさまざまな定理について学習する。▷ 右の図のように,円 O に 2 つの弦 AB,CD をひき,その交点を P とす 円周角を利用した証明は,どの円周 る。このとき,△PAC ∽△PDB であることを証明せよ。 角どうしが等しくなるのかが最も重要 ・円周角の定理を利用して,等しい大きさの角を示す。 A O になる。証明の際に,等しい角を説明 (証明) P C する根拠がふえることになるので,円 △PAC と△PDB において, D B を使った証明の場合は,必ず思い出し 対頂角は等しいので,∠APC =∠DPB …① ⌒ C B に対する円周角は等しいから,∠PAC =∠PDB …② ておきたい。 内接四角形と相似は 25 課で学習し たことを証明に応用するので,25 課 のことを確認しておきたい。 ①,②より,2 組の角がそれぞれ等しいので,△PAC ∽△PDB 学習2 内接四角形と相似 ⇒A2,B2,3 接弦定理は,どの角とどの角が等し 例題 くなるのかをきちんと理解させたい。 ▷ 右の図のように,円に内接する四角形 ABCD で,AD,BC そ 方べきの定理は,相似な図形の特徴 を定理にしたものである。計算問題で A れぞれの延長が交わる点を E とする。このとき△ABE ∽△CDE D であることを証明せよ。 用いると簡単に問題が解けるものがあ (証明) るので,身につけさせておきたい。。 △ABE と△CDE において E C B 共通な角なので,∠AEB =∠CED 内接する四角形の内角は,その対角の外角に等しいので,∠ABE =∠CDE <事前確認> 2 組の角がそれぞれ等しいので,△ABE ∽△CDE 学習1 ・円周角の定理…同じ弧に対する円周 角の大きさは等しい。 学習3 接弦定理 理解 ⇒A3 C 例題 ▷ 右の図で,直線 AT が点 A における円 O の接線であるとき, 学習2 ∠TAB =∠ACB(接弦定理)が成り立つことを証明せよ。 ・内接四角形 A (証明) ①対角の和は 180° ②内角は,その対角の外角に等しい 直径 AD をひき,点 B,D を結ぶ。 ∠DAT = 90°より,∠TAB = 90°-∠BAD …① C ・接弦定理…円の接線と,その接点を 通る弦とがつくる角は,その角内 O ①,②より,∠TAB =∠ADB また,弧 AB に対する円周角なので,∠ADB =∠ACB B A よって,∠TAB =∠ACB にある弧に対する円周角に等しい。 T 学習4 接弦定理と相似 ⇒A4,B4 学習5 例題 ・方べきの定理 D A P C A ⌒ ⌒ ▷ 右の図で,四角形 ABCD は円に内接し,B C=C D である。円 O の点 C B B P C B A における接線と辺 AD の延長との交点を E とする。このとき,△ABC ∽△ A PA × PB = PC × PD P T D ∠ABD = 90°より,∠ADB = 90°-∠BAD …② 学習3, 4 B O CDE であることを証明せよ。 D O (証明) D B C △ABC と△CDE において, E 接弦定理より,∠CAD =∠DCE …① ⌒ ⌒ B C=C D より,∠BAC =∠CAD …② ①,②より,∠BAC =∠DCE …③ T PA × PB = PT2 また,四角形 ABCD は円に内接しているので,∠ABC =∠CDE …④ ③,④より,2 組の角がそれぞれ等しいので,△ABC ∽△CDE 学習5 方べきの定理 ⇒A5,B5 例題 B ▷ 右の図で,直線 PT は点 T で円に接している。PA = 4,PB = 10 の とき,PT の長さを求めよ。 方べきの定理より,PA × PB = PT2 よって,PT2 = 4 × 10 PT > 0 より,PT = 2 √10 A P T 第 7 章 三平方の定理 発展新演習 中3数学 指導のポイント 三平方の定理 27 ◆指導ページ P.152 ~ 157 ◆ 【指導のねらい】 ★三平方の定理を証明する。 ★三平方の定理を利用でき,三平方の定理の逆を理解する。 ★特別な直角三角形の 3 辺比を利用できるようにする。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 三平方の定理(定理の証明) 理解 ⇒A1,B1 A この単元では,三平方の定理につい ・三平方の定理…直角三角形の直角をはさむ 2 辺の長さを a,b, て学習する。 斜辺の長さを c とすると,a2 + b2 = c2 三平方の定理は,ピタゴラスの定理 例題 とも呼ばれ,この定理を用いることに ▷ 三平方の定理を,右の図の正方形 CDFH を使って,証明せよ。 B C F よって,平面図形の求積をほぼ可能に 正方形 AEGB の面積を 2 通りの方法で表し,等号で結ぶ。 し,その後の数学史上においても重要 正方形 AEGB の面積を S とすると,1 辺が c の正方形だから,S = c2 …① E D G また,正方形 CDFH から 4 つの合同な直角三角形を引いた図形だから, 導入には,古代エジプト・ギリシア S =(a + b) 2 - 12 ab × 4 = a2 + 2ab + b2 - 2ab = a2 + b2 …② にさかのぼってエピソードを紹介する ①,②より,a2 + b2 = c2 など,さまざまな方法が考えられる。 な位置を占めている。 A H B C 直角三角形にしか用いることのでき 学習2 直角三角形の辺の長さ ⇒A2,3,B2,4 ない定理なので,解く前に,直角三角 例題 形であるか,どれが斜辺かの 2 点を必 ▷ 右の図の△ABC で,辺 AC の長さを求めよ。ただし,AH は点 A か ず確認するように徹底させたい。 ら辺 CB の延長へひいた垂線である。 <事前確認> 学習1, 2 ・三平方の定理…直角三角形の直角を はさむ 2 辺の平方の和は,斜辺の 平方と等しい。 △AHB において,∠H = 90°なので,三平方の定理より, AH2 + HB2 = AB2,AH2 = 132 - 52 = 144 13 △AHC において,三平方の定理より, AC2 = AH2 + HC2 = 144 + 162 = 400 H 5 B 11 よって,AC > 0 より,AC = 20 学習3 三平方の定理の逆 ⇒A4 A ・a2 + b2 = c2 ならば,∠C = 90° 学習3 A 例題 B C ・三平方の定理の逆…ある三角形にお ▷ 次の長さを 3 辺とする三角形は,直角三角形といえるか。 いて,2 辺の平方の和が他の 1 辺 ⑴ 8 cm,15 cm,17 cm の平方と等しいとき,その三角形 82 = 64,152 = 225,172 = 289 より,64 + 225 = 289 なので,直角三角形である。 は直角三角形である。 学習4 ・三角定規の直角三角形 ① 45° ,45° ,90°の直角三角形の 3 辺の比は 1:1:√2 ② 30° ,60° ,90°の直角三角形の 3 ⑵ 12 cm,15 cm,21 cm それぞれの長さを 3 でわると,4 cm,5 cm,7 cm となる。 42 = 16,52 = 25,72 = 49 より,16 + 25 ≠ 49 なので,直角三角形ではない。 ※相似な三角形で直角三角形であることを調べてもよい。 学習4 特別な直角三角形の辺の比 暗記 ⇒A5,B2,3 3 辺の比 三角定規型 整数比型 30 辺の比は 1:2:√3 ・3 辺の比が整数で表される直角三角形 2 3:4:5 5:12:13 8:15:17 など 1 2 45 60 1 1 5 3 4 3 例題 ▷ 次の図の直角三角形で,x,y の値を求めなさい。 ⑴ 45°の角をもつ直角三角形なので, x:y:√10 = 1:1:√2 10 45 ⑵ 1 =√5 √2 よって,x = y =√10 × 6 30 30°の角をもつ直角三角形なので, y:6:x = 1:2:√3 よって,y = 6 ÷ 2 = 3 x = y ×√3 = 3 √3 13 12 5 C 第 7 章 三平方の定理 28 発展新演習 中3数学 指導のポイント 三平方の定理と平面図形 ◆指導ページ P.158 ~ 163 ◆ 【指導のねらい】 ★三平方の定理を三角形・四角形に応用できるようにする。 ★座標平面上の 2 点間の距離を求めることができるようにする。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 三角形・四角形の面積① 理解 ⇒A1,B1,2 この単元では,三平方の定理を他の 例題 平面図形において応用する方法を学習 ▷ 次の図形の面積を求めよ。 する。 ⑴ ∠B = 60°,∠C = 75°,BC = 4 の△ABC 直角をふくんでいない平面図形にお 75°= 30°+ 45°より,C から辺 AB に垂線 CH をひくと,△HBC は 30°, A 60°,90°の直角三角形になり,△AHC は直角二等辺三角形になる。 いて三平方の定理を利用するには,補 助線をひき,直角三角形をつくること HB = 4 ÷ 2 = 2,CH = 2 √3 ,AH = CH = 2 √3 から始めることになる。 よって,△ABC の面積は,(2 + 2 √3 )× 2 √3 ÷ 2 = 6 + 2 √3 特別な直角三角形が利用できる場合 ⑵ AD // BC,AD = 5,BC = 9,AB = CD = 6 の台形 ABCD B は,必ず角度が求められているので, 点 A を通り辺 DC に平行な直線と BC の交点を E とすると,台形は, A H 二等辺三角形 ABE と平行四辺形 AECD に分けられる。 それを気にするようにする。補助線の 引き方次第では問題がとけなくなって A から辺 BC に垂線 AH をひくと,BH = HE =(9 - 5)÷ 2 = 2 しまうので,どのようなひき方をすべ △ABE において,三平方の定理より,AH =√62 - 22 = 4 √2 きなのか,しっかりと指導したい。 よって,台形 ABCD =(5 + 9)× 4 √2 ÷ 2 = 28 √2 60 4 30 5 45 C D 6 B 6 4 H E C 5 座標平面上における 2 点間の距離は, 2 点を結んだ線分を斜辺とする直角三 学習2 三角形・四角形の面積② 理解 ⇒ A 2,B3 角形を利用する。実際に図で示した方 例題 が変なミスをすることがないので,き ▷ 右の図は,AB = 13,BC = 14,CA = 15 の△ABC で,点 A から辺 BC ちんと図をかかせたい。 A に垂線 AH をひいたものである。次の⑴~⑶を求めよ。 ⑴ 線分 BH の長さ <事前確認> BH = x とおくと,CH = 14 - x B 学習1, 2 △ABH,△ACH のそれぞれで三平方の定理を用いると, 2 ・三角形・四角形の面積…補助線をひ AH2 = AB2 - BH2 = 132 - x2 AH2 = AC2 - CH2 = 152 -(14 - x) き,直角三角形をつくる。 学習3 A 2 これを解くと,x = 5 よって,132 - x2 = 152 -(14 - x) ⑵ 線分 AH の長さ AH2 = AB2 - BH2 より,AH2 = 132 - 52 = 144 AH > 0 より,AH = 12 ・平面図形への応用…求めたい辺の長 ⑶ △ABC の面積 さを x として,三平方の定理を利 C H 15 13 H B △ABC = 14 × 12 ÷ 2 = 84 14− C 用して方程式をたてる。 学習3 平面図形への応用 ⇒A3,4,B4~6 学習4 例題 ・2点間の距離… 2 点を結ぶ線分を斜 ▷ 右の図は,AB = BC = 8 の直角二等辺三角形の紙 ABC を,線分 EF を 辺とした直角三角形を利用する。 A 折り目として頂点 A が辺 BC の中点 D に重なるように折ったものである。 BE の長さを求めよ。 BE = x とおき,直角三角形 EBD に注目する。 ED = EA = 8 - x となる。 △EBD において,三平方の定理より, BE2 + BD2 = ED2 2 よって,x2 + 42 =(8 - x) これを解くと,x = 3 F E A 8− B F C D E B 4 D C 学習4 2 点間の距離 理解 ⇒A5 ・2 点間の距離…座標平面上の 2 点 A(x1,y1),B(x2,y2)間の距離は, AB =√ 2 +(y2 - y1) 2 (x2 - x1) 例題 ▷ 座標平面上の 3 点 A(3,2),B(- 2,4),C(- 4,- 1)を頂点とす る△ABC はどんな三角形か。 2 +(4 - 2) 2 = 29 AB2 =(- 2 - 3) 2 +(-1- 4) 2 = 29 BC2 ={(- 4 -(- 2)} 2 = 58 より, CA2 ={3 -(- 4)} 2 +(2 -(- 1)} AB = BC である。 また,AB2 = BC2 + CA2 より,∠C = 90°の直角三角形である。 よって,△ABC は∠B = 90°の直角二等辺三角形である。 B A C O 第 7 章 三平方の定理 発展新演習 中3数学 指導のポイント 三平方の定理と円 29 ◆指導ページ P.164 ~ 169 ◆ 【指導のねらい】 ★三平方の定理を円に応用できるようにする。 ★円と円に接する図形についての考え方を深める。 はじめに <導入> この単元では,三平方の定理を円に 応用する方法について学習する。 学習内容・補足事項など 学習1 円と弦 ⇒A1,B1 ・右の図のとき,AB = 2 √r2 - d2 A O 例題 B 三平方の定理を利用するには,直角 ▷ 半径 6 cm の円で,中心 O から 2 cm の距離にある弦 AB の長さを 三角形を見つけなくてはいけないので, 求めよ。 垂線の引き方が重要になる。 中 心 O と弦との距離は,O から弦 AB にひいた垂線 OH の長さ 円と弦については,25 課で学習し なので,OH = 2 cm。また,OH は AB を 2 等分するので,H は たことを利用すれば直角三角形をつく AB の中点である。 O 6 A 2 H ることができるので,再度確認してお △OAH で,三平方の定理より, AH2 = 62 - 22 = 32,AH = 4 √2(cm) きたい。 B 円と接線の関係は重要である。どこ よって,AB = 2AH = 8 √2(cm) が垂直なのかをきちんと理解しておき たい。 内接円は,半径が三角形と垂直に交 学習2 円の接線の長さ 理解 ⇒A2,B2 ・右の図で,PA = PB =√d2 - r2 P わるので,学習2と同様の解き方がで 例題 A B きる。問題のパターンとして頭に入れ ▷ 半径 5 cm の円 O と半径 7 cm の円 O′があり,中心間の距離 OO′は ておきたい。 16 cm である。右の図のように,2 円に共通する接線をひいたとき,線 他にもさまざまな問題があるが,補 分 AB の長さを求めよ。ただし,A,B は接点とする。 B A O′ O 助線の引き方がポイントとなることに 半径 OA,O′B をひくと, 変わりはない。 OA⊥AB,O′B⊥AB 点 O から O′B に垂線 OH をひくと,長方形 AOHB ができて, <事前確認> AB = OH,O′ H = 7 - 5 = 2 学習1 △OO′H で,三平方の定理より, B A H 5 O 7 O′ 16 ・円と弦…円の中心から弦にひいた垂 AB = OH =√162 - 22 = 6 √7(cm) 線は,その弦を 2 等分する。 学習3 三角形の内接円 ⇒A3~5,B3,4 学習2 ・円と接線…円の接線は,接点を通る 半径に垂直である。 学習3 ・三角形の内接円…三角形の 3 つの辺 に接する円を,その三角形の内接 円という。 ・三角形の内心…内接円の中心。3 つ の角の二等分線の交点である。 学習4 ・三角形の内接円…三角形の 3 辺を,a,b,c,内接円の半径を r,三角形の面積を S とすると, S = r(a + b + c) 2 例題 ▷ AB = 13,BC = 14,CA = 15 の△ABC について,その内接円の半 A 径を r とする。r の値を求めよ。 13 F 右の図のように,内接円の中心を I,内接円が各辺と接する点を D,E, F とする。 △ABC =△IBC +△ICA +△IAB であり,ID,IE,IF はそれぞれの B 三角形の高さとなる。 E I D 15 C 14 また,ID = IE = IF = r,△ABC の面積は 84(28 課学習2参照)なので, r 84 = 2(13 + 14 + 15)= 21r これより,r = 4 ・三角形の外接円…三角形の 3 つの頂 点を通る円を,その三角形に外接 学習4 三角形の外接円 ⇒A5,6,B5 例題 円という。 ・三角形の外心…外接円の中心。三角 ▷ AB = 13,BC = 14,CA = 15 の△ABC について,その外接円の半径を R とする。R の値 を求めよ。 形の 3 つの辺の垂直二等分線の交 点である。 右の図のように,外接円の中心を O とし,AO と外接円との交点を A D とする。 また,A から辺 BC に垂線 AH をひくと,△ADC ∽△ABH より, 13 AD:AB = AC:AH ここで,AD = 2R,AB = 13,AC = 15 また,AH = 12(28 課学習2参照)となるので, 2R:13 = 15:12 65 よって,R = 8 B 12 15 O C H R D 第 7 章 三平方の定理 30 発展新演習 中3数学 指導のポイント 三平方の定理と空間図形⑴ 【指導のねらい】 ★直方体,立方体の対角線を求める公式を覚える。 ★立体の切り口の面積を求めることができるようにする。 ★立体表面を結ぶ最短経路を求めることができるようにする。 はじめに ◆指導ページ P.170 ~ 175 ◆ 学習内容・補足事項など 学習1 直方体・立方体の対角線の長さ 暗記 ⇒A1,B1 直方体 立方体 ・直方体の対角線…√a2 + b2 + c2 この単元では,三平方の定理を空間 図形に応用する方法について学習する。 ・立方体の対角線…√3 a 空間図形を考えるが,三平方の定理 例題 ▷ 右の図は,AB = 7,AD = 5,AE = 4 の直方体を表している。対角線 D を利用できるのは直角三角形という平 AG の長さを求めよ。 A 面図形のときのみなので,空間の中に 空間の中に,AG を辺にもつ直角三角形を見つけ,三平方の定理を利用 直角三角形を見つける,もしくは作る H する。 E 必要がある。 △AEG で,∠AEG = 90°なので,AG2 = AE2 + EG2 直方体の対角線を求めるには,例題 EG が分からないので,EG を求める。 D のように直角三角形を作ってもよいが, △EFG で,∠EFG = 90°なので,三平方の定理より,EG2 = 52 + 72 A 公式を用いると計算は簡単になる。求 これを用いると,△AEG で三平方の定理より, 4 H め方を理解した上で公式を覚えさせた AG2 = 42 + 52 + 72 = 90 AG > 0 より,AG = 3 √10 <導入> E い。 立体の切断は,指定された点以外に 学習2 直方体・立方体への応用 ⇒A2,B2 例題 も通る点があるので,それを探すこと ▷ 右の図 1 は,AB = AD = 2,AE = 1 の直方体を表している。次の が大切である。 問いに答えよ。 最短経路は,中 1 でも学習済みだが, ⑴ 3 点 A,F,C を頂点とする△AFC の面積を求めよ。 長さを求めるには三平方の定理が必要 AF,FC は長方形の対角線,CA は正方形の対角線なので, になる。どんなとき最短になるのかを AF = FC =√22 + 12 =√5 CA = 2 √2 知る必要があるので,中 1 で学習した よって,△AFC は図 2 のような二等辺三角形である。 高さ FM は,√ ことを復習しておきたい。 (√5 )2 -(√2 )2 =√3 なので, 図 2 F 面積は,2 √2 ×√3 ÷ 2 =√6 ⑵ △AFC と対角線 BH との交点を L とする。 5 5 <事前確認> BL の長さを求めよ。 M 学習1, 2 A C 2 2 対 角線 BH をふくむ面 BFHD は図 3 のよう ・直方体の対角線…同一平面上にない になる。 2 点を結んだ線分が直方体の対角 BH =√22 + 22 + 12 = 3 BL:LH = 1:2 なので,BL = 1 線である。 図1 B C B G F C B 5 F 7 A G D L C E H F G 図3 (AC) B D L F H (EG) 学習3 立体の切り口 ⇒A3,5,B3,5 例題 ・切り口の図形…立方体を 1 つの平面 ▷ 右の図は 1 辺 6 の立方体で,点 M,N はそれぞれ辺 FG,GH の中点 A D である。3 点 A,M,N を通る平面で,この立方体を切ったとき,切り B で切ったときの切り口の図形につ C 口の図形の周の長さを求めよ。 いて, ①図形の辺は立方体の面上にできる。 直 線 MN と直線 EF,EH それぞれの延長上と交わる点を P,Q とす E る。3 点 A,P,Q を結ぶ△APQ をふくむように立方体を切る。する H ②立方体の平行な面には,平行な辺 N と,点 A,P,Q 以外に,BF,DH 上の点 I,J を通る五角形 AIMNJ F M G ができる。 となる。 ③切り口の辺の延長線を利用する。 A D △MFP ≡△MGN より,FP = GN = 3 B また,△IFM ≡△IFP より, C 学習4 AI + IM = AI + IP = AP =√62 + 92 = 3 √13 J ・最短経路…立体の表面にそって 2 点 同様に AJ + JN = AQ = 3 √13 I H E を結ぶときの最短経路は,展開図 MN = 3 √2 なので,周の長さは Q N P F M G の上では,2 点を結ぶ線分で表さ 3 √13 × 2 + 3 √2 = 6 √13 + 3 √2 学習3 れる。 学習4 最短経路 ⇒A4,5,B4 例題 D ▷ 右の図は,AB = 5,AD = 4,AE = 3 の直方体で,点 P は辺 BC 上の点である。線分の長さの和 AP + PG がもっとも小さくなるとき, A その値を求めよ。また,そのときの BP の長さを求めよ。 H 点 P がある辺 BC を切り離さない展開図をかき,線分 AG をかき 入れる。 E 右の図より,△AFG で,三平方の定理より, AP + PG = AG =√82 + 42 = 4 √5 D また,BP // FG より,BP:FG = AB:AF 4 BP:4 = 5:8 よって,BP = 52 A P C B G F C G P 5 (P) B 3 F 第 7 章 三平方の定理 31 発展新演習 中3数学 指導のポイント 三平方の定理と空間図形⑵ ◆指導ページ P.176 ~ 181 ◆ 【指導のねらい】 ★角錐や円錐に三平方の定理を利用して,体積や表面積を求めることができるようにする。 ★球や正四面体などに三平方の定理を応用することができるようにする。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 角錐への応用 理解 ⇒A1,B1,4,5 O この単元では,三平方の定理を角錐 例題 や円錐,球などに利用する方法を学習 ▷ 右の図は,底面が 1 辺 6 の正方形で,残りの辺の長さが 5 の正四角 錐 O-ABCD である。体積と表面積を求めよ。 する。 立体の高さや球の半径の長さが分か 体積…底 面の正方形の対角線の交点を H とすると,OH が正四角錐 れば,体積や表面積を求めることがで の高さとなる。 AH = 1 AC = 1 × 6 √2 = 3 √2 より, 2 2 OH =√52 -(3 √2 )2 =√7 きるので,長さを求めるための直角三 角形を見つけることが重要になる。 正四角錐の場合,高さは頂点から底 面の対角線の交点に引いた線となる。 また,円錐の場合は,頂点から円の中 心に引いた線が高さである。その線を C D A B O 5 A C D H 6 6 B O (体積)=(底面積)×(高さ)÷ 3 より,6 × 6 ×√7 ÷ 3 = 12 √7 5 表面積…側面 OAB で,高さは,OI =√52 - 32 = 4 A よって,表面積は 6 × 6 + 6 × 4 ÷ 2 × 4 = 84 I 3 B ふくんだ直角三角形で三平方の定理を 学習2 円錐への応用 ⇒A2,B3 利用すればよいことを気付かせたい。 ・円錐の側面の面積…底面の半径×母線×π 正四面体の場合,頂点から底面の重 心に引いた線が高さになる。重心の特 ・円錐の側面の中心角… 360°× 底面の半径 母線 例題 徴について確認をする必要があるので, ▷ 右の図は円錐の展開図で,おうぎ形の半径は 10 cm,中心角は 216° そこから指導するとよい。 A である。円錐の体積を求めよ。 <事前確認> 学習1 ・ (~錐の体積) = (底面積) × (高さ) ×1 3 ・正四角錐の高さ…正四角錐の頂点か ら底面にひいた垂線は,底面の正 方形の対角線の交点を通る。 学習2 ・円錐の高さ…円錐の頂点から底面に ひいた垂線は,底面の円の中心を 通る。 学習3 ・球の体積…半径を r とすると, (体積) =4 3 πr3 学習 4 ※底面の半径,円錐の高さ,体積の順に求める。 B O 216 側面の弧の長さが底面の円周と等しいので, 底面の円周= 20π× 216 = 12π(cm) 360 よって,底面の半径は 6 cm O 10 これより,円錐の高さは√102 - 62 = 8(cm) したがって,体積は 6 × 6 ×π× 8 ÷ 3 = 96π(cm3) 6 学習3 球への応用 ⇒A2,3,B2,4 例題 ▷ 右の図のように,深さが 10cm,底面の半径が 4cm の円柱状の容器に,同じ大き さの球を 2 つ入れたところ,上の球の上端から容器の上端まで 4cm であった。こ のとき,この球の半径を求めよ。 右下の図のように,球の中心で切断した図で考える。 2 つの球の中心を A,B,球の半径を xcm とし,図のような直角三角形 ACB を 考えると, 4cm AB = 2x,AC = 8 - 2x,BC = 6 - 2x よって,三平方の定理より, 2 =(8 - 2x) 2 +(6 - 2x) 2 (2x) B A ・正四面体の高さ…正四面体の頂点か これを解くと,x = 7 ± 2 √6 ら底面にひいた垂線は,底面の正 0 < x < 4 なので,x = 7 - 2 √6(cm) 6cm C 8cm 三角形の重心を通る。 ・重心 …中線の交点。中線を 2:1 に 学習4 正四面体への応用 ⇒A4,5,B3 分ける位置にある。 ▷ 右の図は 1 辺の長さが 6 の正四面体 O-ABC である。体積を求めよ。 O ・中線…頂点から対辺の中点に引いた 頂 点 O か ら 底 面 の 正 三 角 形 ABC に 垂 線 OH を ひ く と, 点 H は 線。 △ABC の重心なので, AH = 23 AM = 23 × 3 √3 = 2 √3 よって,△OAH において,OH =√62 -(2 √3 )2 = 2 √6 △ABC = 6 × 3 √3 ÷ 2 = 9 √3 より, 1 9 √3 × 2 √6 × 3 = 18 √2 A B O 6 C A 6 C H 3 B M 第 8 章 資料の活用 32 発展新演習 中3数学 指導のポイント 標本調査 【指導のねらい】 ★全数調査と標本調査の意味や使い分けを理解する。 ★標本調査を利用して,全体のようすを推定することができるようにする。 はじめに ◆指導ページ P.184 ~ 187 ◆ 学習内容・補足事項など <導入> 学習1 標本調査の意味 ⇒A1,2,B1 ・全数調査…全体を調べることが容易のときに用いる。 この単元では,標本調査について学 ・標本調査…全体を調べることが難しいときに用いる。 習する。 ・母集団…標本調査を行うとき,傾向を知りたい集団全体のこと。 調査をするときに,すべての対象を ・標本…母集団の一部分を取り出して実際に調べたもの。 調査することが難しいものには,標本 ・標本の大きさ…取り出した資料の個数。 調査が行われていることを説明すると 例題 よい。 ▷ 次の調査は,全数調査,標本調査のうち,どちらが適切か。 計算よりも言葉の意味をしっかりと ◦テレビ番組の視聴率調査 理解させ,何を聞かれているのかを判 標本調査が行われるのは以下のような場合のときである。 断できるようにすることが大切になる。 ・全数調査では多くの手間や時間,費用などがかかる場合。 ただ,割合を使った計算があるので, ・工場の製品の良否を調べるのに製品をこわすおそれがある場合。 確認しておくとよい。割合の計算を苦 ・およその傾向が予想できれば十分な場合や,現実的に全数調査が不可能な場合。 手とする生徒は多いので,きちんと指 テレビ番組の視聴率調査は,全世帯のうちの何世帯かを選んで調べ全体を推定する方法で行 導したい。 われるので,この調査は標本調査である。 ◦学校で行う生徒の健康診断 <事前確認> 学校で行う生徒の健康診断は,生徒全員に対して行われる。よって,この調査は全数調査で 学習1 ある。 ・全数調査…調査の対象となっている ◦製造工場で行う電球の寿命調査 集団全部について調査すること。 全数調査をすると,出荷する電球がなくなるので,標本調査で確認する。 ・標本調査…集団の一部分を調査して ■補足 全体を推定する調査方法。 ・母集団と標本の違いを理解しておく必要がある。 ▷ A中学校の生徒 500 人から 25 人を選び出してアンケートを行った。 ⑴ この調査の母集団は何か。 学習2 今回の調査は,全体から一部分を取り出して行っているので,標本調査である。 ・無作為抽出…母集団からかたよりが この調査は,A中学校の生徒を対象に行われているので,母集団はA中学校の生徒 500 人で ないように標本をとり出すこと。 ある。 ⑵ 標本は何か。また,その大きさを答えよ。 アンケートを行ったのは,500 人中,25 人なので,選び出された 25 人の生徒が標本である。 その標本の大きさは 25 人である。 学習2 標本調査と母集団の傾向 ⇒A3~5,B2~5 ・無作為抽出の例…資料に番号をつけ,くじびきや乱数さい,乱数表,コンピュータなどを利 用して取り出す。 ・母集団の傾向…無作為に抽出した標本の性質を調べ,その結果から母集団の傾向を推定する。 例題 ▷ 袋の中に同じ大きさの赤玉と白玉が合わせて 400 個入っている。この袋の中から 30 個の玉 を無作為に抽出したところ,12 個の赤玉が含まれていた。この袋の中には,赤玉と白玉がそ れぞれおよそ何個入っているか推定せよ。 無作為に抽出した場合,標本における赤玉の割合は,母集団における赤玉の割合とほぼ等し いと考えてよい。 12 2 よって,赤玉の割合は 30 = 5 2 ゆえに,袋の中の赤玉の個数は,およそ 400 × 5 = 160(個) 白玉の個数は,およそ 400 - 160 = 240(個) (別解) 袋の中の赤玉を x 個とすると,x:400 = 12:30 ■補足 無作為抽出の方法は,何かしらのかたよりがあってはいけない。 ▷ ある中学校の生徒 400 人から,50 人を選び出してアンケートを行うことにした。このとき, 50 人の生徒をどのように選ぶのがよいか。適切なものを,次のア~ウから 1 つ選べ。 ア 3 年生の女子生徒がちょうど 50 人いるので,この 50 人を選ぶ。 イ 全校生徒 400 人に 1 から 400 までの番号をつけ,くじびきで 50 人を選ぶ。 ウ 運動部の生徒が 100 人いるので,その中からくじびきで 50 人を選ぶ。 無作為抽出は,かたよりがないように標本をとりだすことなので,アやウのように,中学 校の生徒全体に対して 3 年生女子のみや,運動部のみというかたよった選び方はよくない。 よってイが適切である。 第 9 章 関数のグラフと図形 33 発展新演習 中3数学 指導のポイント 1 次関数のグラフと図形 ◆指導ページ P.190 ~ 193 ◆ 【指導のねらい】 ★座標平面上の図形に,相似の考え方を応用できるようにする。 ★座標平面上の図形で,三平方の定理を利用できるようにする。 はじめに <導入> この単元では,座標平面上における 学習内容・補足事項など 学習1 1 次関数と相似の応用 ⇒A1,2,B2,4 ・線分を座標平面上で分ける点の座標 相似や三平方について学習する。 導入としては,座標平面上の図形に ついての問題を解くために何が必要か を説明するだけでよい。 ⃝ 基本的には相似が主体となる。座標 ⃝ が分かっていれば辺の比を求めること は可能なので,面積などを求めるとき は相似を用いる。 O ただ,斜めの線分の長さを求めるに : は三平方の定理が必要になるので,問 例題 題を解く上で何が必要になるのかを判 ▷ 右の図のような 3 点 A(1,3),B(- 2,- 2),C(7,- 1)を頂点 断できるようにしたい。 とする△ABC の重心 G の座標を求めなさい。 A 重心は,中線を 2:1 に分ける点である。 辺 AC の中点を M とすると,M の座標は 1+7 3 +(- 1) 2 = 4, = 1 より,M(4,1) 学習1 2 ・1次関数と相似…線分をいくらかの ここで,右の図のように,座標軸に平行な辺をもつ直 比に分ける点の座標は,平行線に 角三角形を考えると, <事前確認> B よって,G(2,0) C A よってその比を座標軸上に移して △BHG ∽△GNM で,相似比は 2:3 である。 2 2 求めることができる。 BH = 6 × 3 = 4,GH = 3 × 3 = 2 よって,点 G の x 座標,y 座標は, x =- 2 + 4 = 2,y =- 2 + 2 = 0 O ① G ② B (−2, −2) 6 H M (4,1) 3 C N 学習2 1 次関数と三平方の定理の応用 ⇒A3~5,B1,3 例題 1 ▷ 原点 O から,直線 y =- 2 x + 2 …①までの距離を求めよ。 直線①と原点との距離は,原点から直線①にひいた垂線 OH の長さである。 A(4,0),B(2,0)なので, △OAB で,三平方の定理より, AB =√42 + 22 = 2 √5 △OAB の面積は,OA を底辺とすると, 1 △OAB = 4 × 2 × 2 = 4 底辺を AB とすると,高さは OH なので, 1 2 √5 × OH × 2 = 4 4 √5 よって,OH = 5 (別解 1) ① 2 O B H 4 A △BOH において,△BOH ∽△BAO より, 対応する辺の比は等しいので,OH:OA = BO:BA OA = 4,BO = 2,BA = 2 √5 より, OH:4 = 2:2 √5 4 √5 これより,OH = 5 (別解 2) 直線 OH は y = 2x と表せるから,これと①から,H の座標を求め,線分 OH の長さを求める。 4 2 8 2 4 √5 4 8 H 5 , 5 より,OH = 5 + 5 = 5 ※ 2 直線が垂直に交わるとき,2 直線の傾きの積は- 1 であることを利用している。 ( ) ( )( ) 第 9 章 関数のグラフと図形 34 発展新演習 中3数学 指導のポイント 関数 y = ax2 のグラフと図形 ◆指導ページ P.194 ~ 197 ◆ 【指導のねらい】 ★放物線と直線,図形の問題に,相似の考え方を応用できるようにする。 ★放物線と直線,図形の問題に,三平方の定理を利用できるようにする。 はじめに <導入> 学習内容・補足事項など 学習1 放物線と相似の応用 ⇒A1,2,B1 この単元では,放物線と直線との間 例題 1 における相似や三平方について学習す ▷ 右の図のように,直線ℓが関数 y = 4 x2 …①のグラ フと 2 点 A,B で交わり,x 軸と点 C で交わっている。 る。 導入としては,放物線と直線の交点 などから,33 課で学習したことを利 用して問題をとくということを説明す ればよい。 B(2,1),AB:BC = 3:1 のとき,次の問いに答えよ。 ℓ 点 A,B から x 軸にそれぞれ垂線 AA′,BB′をひくと, な直線をかくことで相似な図形をかん すなわち,A の y 座標は 4 たんに作ることができる。その考え方 これを①に代入すると, 1 4 = 4 x2 x < 0 より,x =- 4 よって,A(- 4,4) 三平方の定理が利用できるのは直角 三角形のみなので,どこに直角三角形 があるのか,どの三角形を利用するの かをしっかりと判断できるようにした い。 <事前確認> 学習1 ・座標平面と相似…線分をいくらかの 比に分ける点の座標は,平行線に よってその比を座標軸上に移して 求めることができる。 学習2 ・二等辺三角形の特徴…二等辺三角形 の頂角の二等分線は底辺を垂直に 二等分する。 B AA′:BB′= AC:BC =(3 + 1):1 = 4:1 BB′= 1 なので,AA′= 4 い。 A ⑴ 点 A,C の座標を求めよ。 座標平面上では,x 軸,y 軸に平行 を利用して問題を解くように指導した 1 = 4 ² また,A′ B′:B′ C = AB:BC = 3:1, A ℓ A′ B′= 2 -(- 4)= 6 より, B′ C = 2 よって,C の x 座標は 2 + 2 = 4 点 C は x 軸上にあるので,y 座標は 0 よって,C (4,0) ⑵ 直線ℓの式を求めよ。 O C B A 4 2 A 4 O B C 2 B 2 B(2,1)と C(4,0)を通る直線の式を求める。 0-1 1 傾き=変化の割合= 4 - 2 =- 2 1 これより,切片を b とすると,y =- 2 x + b これに C(4,0)を代入すると,0 =- 2 + b,b = 2 1 よって,直線ℓの式は y =- 2 x + 2 ※先に A と B の座標から直線ℓの式を求め,そこから C の座標を求めてもよい。 1-4 1 A(- 4,4)と B(2,1)を通る直線なので,傾き= 2 - - 4 =- 2 ( ) 1 y =- 2 x + b に B(2,1)を代入すると,1 =- 1 + b,b = 2 1 よって,直線ℓの式は y =- 2 x + 2 1 C は x 軸上の点なので,y 座標は 0 より,0 =- 2 x + 2,x = 4 したがって,C(4,0) 学習2 放物線と三平方の定理の応用 ⇒A3,4,B2,3 例題 1 ▷ y = 4 x2 のグラフと,x 軸に平行な直線が点 A,B で交 1 = 4 ² わっている。次の問いに答えよ。 点 A の x 座標を a,線分 AB と y 軸の交点を C とする。 ⑴ △OAB が直角三角形になるとき,△OAB の面積を求 B A めよ。 △OAB は∠AOB = 90°の直角二等辺三角形だから, △AOC も直角二等辺三角形となる。 よって,CO = CA = a したがって,A(a,a)と表される。 1 1 A は放物線 y = 4 x2 上の点なので,a = 4 a2 これを解くと,a > 0 より,a = 4 1 ゆえに,△OAB =(4 + 4)× 4 × 2 = 16 ⑵ △OAB が正三角形になるとき,△OAB の面積を求めよ。 ∠OAC = 60°より,CA:CO = 1:√3 したがって,A(a,√3 a) 1 1 A は放物線 y = 4 x2 上の点なので,√3 a = 4 a2 より,a = 4 √3 また,√3 a =√3 × 4 √3 = 12 1 よって,△OAB =(4 √3 + 4 √3 )× 12 × 2 = 48 √3 O
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