接待飲食費の損金算入と知っておきたいルール

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編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社
2016.1.18 第 1541 号
SMBC経営懇話会
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【50%損金算入で営業活動がスムーズに】
接待飲食費の損金算入と知っておきたいルール
税理士法人 日野総研
税理士 土谷 昭司
1. 平成 26 年度税制改正により、企業規模にかかわらず、交際費等のうち接待飲食費の額の 50%相当
額を、損金に算入することができます。
2. 資本金 1 億円以下の法人は、接待飲食費の額の 50%相当額の損金算入、または年 800 万円までの
定額控除限度額の損金算入のいずれかを選択適用できます。
3. 今回の制度は平成 28 年 3 月 31 日までに開始する事業年度に適用されますが、平成 28 年度税制改
正により 2 年間延長される予定です。
1.接待飲食費の損金算入
「接待飲食費」とは、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(「社内飲食費(※)」
を除く)であって、帳簿書類に一定の事項が記載されているものをいいます。
現在、法人の支出する交際費等のうち、「接待飲食費」の額の 50%相当額が損金の額に算入されることにな
っています。この取り扱いは、資本金の額等に関係なくすべての法人に適用されます。
一方、事業年度終了の日における資本金の額等が 1 億円以下の法人(普通法人のうち事業年度終了の日に
おける資本金の額等が5億円以上の法人など一定の法人による完全支配関係がある子法人等は除く)は、選択
により「接待飲食費」の額の 50%相当額に代えて、支出する交際費等の額のうち年 800 万円までを損金算入し
て良いことになっています。
この制度は、平成 26 年度税制改正により、平成 26 年 4 月 1 日から成 28 年 3 月 31 日までの間に開始する
事業年度に適用されていますが、与党の平成 28 年度税制改正大綱ではさらに 2 年間延長される予定です。
(※)社内飲食費……飲食等に要する費用のうち、もっぱらその法人の役員、従業員、またはこれらの親族のために支出するもの
2.帳簿類に記載が必要な事項
「接待飲食費」について、帳簿書類(総勘定元帳や飲食店等から受け取った領収書、請求書等)に所定の事
項を記載することとされています。記載する必要がある事項は、次のとおりです。
(1)飲食等のあった年月日
(2)飲食等に参加した得意先・仕入先等の者の氏名、名称、およびその関係(ただし、相手方の氏名について、その
一部が不明の場合や多数参加したような場合には、「○○会社◇◇部長他10名、得意先」という記載でも差し支
えありません)
(3)飲食費の額、その飲食店等の名称、所在地
(4)その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
(次頁に続く)
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3.接待飲食費に該当する費用、しない費用
(1)得意先等を接待するための次のような費用については、「接待飲食費」に該当する
①自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
②飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
③飲食等のために支払う会場費
④飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」
⑤得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(差入れ後相応の時間
内に飲食されるようなもの)
(2)次のような費用は「社内飲食費」に該当せず、「接待飲食費」になる
①親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する接待等のために支出する飲食費
②同業者同士の懇親会に出席した場合や得意先等と共同で開催する懇親会に出席した場合に支出する 自己
負担分の飲食費相当額
これらの場合に自己負担分の飲食費相当額の会費を支出した場合は、互いに接待し合っていると
考えられるので、その飲食費は社内飲食費に該当しません。
(注)上記(1)(2)の費用であっても、1 件の飲食行為につき1人当たり 5,000 円以下である場合は、税務上の交際費から除外
されます。
(3)次に掲げるような費用は交際費等ではあるが、「接待飲食費」には該当しない
①ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
通常、ゴルフや観劇、旅行等の催事を実施することを主たる目的とした行為の一環として飲食等が実施される
ものであり、主たる目的である催事と一体不可分なものと考えられるからです。
②接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
交際費等の範囲から除外される1人当たり 5 千円以下の「接待飲食費」の算定に当たっても、これら送迎費は
飲食費に加算して計算する必要はありません。
③飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
(4)他社が主催する懇親会(懇親会の費用はすべて他社が負担)に当社の従業員または役員を出席させるた
めに要するタクシー代は、「単純損金(旅費交通費)」
会社の業務遂行上の経費であり、接待、供応等のために支出するものではありませんから、交際費等以
外の単純損金(旅費交通費)となります。この時ご祝儀を出した場合、ご祝儀は交際費になりますが、「接待
飲食費」にはならないと考えます。ご祝儀は任意の拠出であり、対価性がないのが一般的だからです。
(5)会費制の懇親会に、当社の従業員または役員を出席させるために要する会費・タクシー代は「交際費」
この時の会費は「接待飲食費」になると思われますが、1人当たり 5,000 円以下であれば、交際費から除
外されます。
(6)会議費は通常要する費用と認められる限りにおいて、5,000 円以上でも「会議費」
会議費等(会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
など)については、1人当たり 5,000 円超のものであっても、その費用が通常要する費用として認められるも
のである限りにおいて、交際費には該当せず会議費になります。この場合、会議するのに妥当な場所であ
るか、会議の資料等で会議の内容を明確にしておくことが重要だと思われます。
【本稿に関するご照会窓口】 SMBCコンサルティング・経営相談部 TEL:0120-874-809
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