北川和彦の消えない記憶

妻・幸子へ
消えない記憶
北川和彦
幸子が最後まで歌っていた曲は「愛国行進曲」と「夕焼け小焼け」だった。自宅のベット
で二人で合唱。一番だけだったが、あの長い曲をよく覚えていた。
「夕焼け小焼け」は「・・・カラスと一緒に帰りましょう」を自己流に続けて、
「カラスな
ぜ鳴くの カラスの勝手でしょう」 とふざけて歌い二人で顔をあわせて笑った笑顔が私の
網膜に焼き付いて消えません。
(
「私が天国に召されたら、又一緒に歌おうね!それまで天国
で生きていてね!」合掌!!)
夏の夜
作・北川幸子「いずみ№10」1962,8,1 より
虫がたかっている
おいしいお菓子も
食べられずに虫たいじ
早く網戸を閉めておけば
良かったのに
せっかくの熱いお茶も
さめてしまった
入梅
今日も雨
又ぬれた傘もさして出勤
外は色とりどりの
傘をさした小学生の歩く姿
花やかな銀座通りを
想い出させるムード
うっとうしい毎日を
忘れさせてくれた
足どりもかるく
子供たちの姿をふりかえりながら
駅へといそいだ