ヒト再生医療の実現に向けた イヌiPS細胞の創製

ヒト再生医療の実現に
ヒト再生医療の実現に向けた
再生医療の実現に向けた
イヌiPS細胞の
細胞の創製
イヌ
細胞の創製
大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 獣医学専攻
教授 稲葉 俊夫
1
イヌについて
獣医療の発達
ヒトと共通の疾患
ヒトと共通の生活環境
2014年
イヌ飼育頭数:1,035万頭
イヌ飼育家庭:830万世帯
/5,450万世帯
室内飼育率:約72%
イヌゲノムの
解読完了
自然発症例モデルとして
医学領域に応用できる
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幹細胞
ES細胞
体性幹細胞
自己の細胞から
iPS細胞
細胞治療
神経
肝
心筋
自己複製能
血管内皮細胞
多分化能
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従来技術とその問題点
動物実験:マウスで得られた結果が
ヒトiPS細胞
ヒトに当てはまるのか?
疾患モデル
マウス
マウスiPS細胞
? ? ?
短期観察
長期観察
自然発症犬
安 有
全 効
性 性
担保
イヌiPS細胞
前臨床試験
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イヌiPS細胞作製の意義
マウスとサルの中間の位置にある(形態、機能面で)
ヒトと同様、生活習慣病などの自然発症がある
マウス
安い
経費
寿命
2年
妊娠期間
20日
産子数
8~12匹
取扱い
容易
生活環境
ヒトと異なる
少ない
ヒトと類似の疾病
イヌ
中程度
14年
60日
6~8頭
容易
ヒトと同じ空間
自然発症して
抽出容易
サル
高い
25年
170日
1頭
困難
ヒトと異なる
自然発症する
が抽出困難
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脊髄損傷はヒトとイヌで共通の疾患である
軸索損傷
退縮/変性
軸索再生
・日本では10万人以上の
脊髄損傷患者が存在
・毎年、5000~6000人以上が
新たに発症
・日本においては人気犬種である
ミニチュアダックスフントの増加
に伴い、脊髄損傷の発症数が増加
重度の場合、効果的な治療法はない
6
体性幹細胞
自己複製能
神経栄養因子の産生
神経栄養因子の産生
TGFβ-1
自家移植
間葉系幹細胞 (MSC)
IL-6
他家移植
多分化能
組織傷害部位
への集積性
神経細胞
肝細胞
骨細胞
免疫抑制作用
軟骨細胞
脂肪細胞
再生医療への応用に期待
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骨髄間質細胞の分離と性状
骨髄吸引
骨
骨髄単核細
胞を分離
Colony Forming
Unit-Fibroblast
(CFU-F)
脂肪
100 µm
10 µm
100 µm
神経幹細胞
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自己骨髄間質細胞によるイヌの重度脊髄損傷の治療
イヌ重度脊髄損傷を伴った胸腰部椎間板ヘルニアの
臨床例を対象
・ミニチュアダックスフント
・椎弓切除術により脊髄を減圧し、
脊椎を固定
・術後1カ月の時点で運動および感覚
機能の改善が認められない
コントロール群(n = 13)、投与群(n = 10)に分ける
1カ月ごとに6ヶ月間、運動および感覚機能を評価
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自己骨髄間質細胞によるイヌの重度脊髄損傷の治療
投与方法
0.05% トリプシンEDTA
生理食塩水に懸濁
10% FBSのDMEMで培養
第5-6腰椎間
脳
脊髄
損傷部
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自己骨髄間質細胞によるイヌの重度脊髄損傷の治療
運動および感覚機能の改善
コントロール群
(n =13)
)
歩行の改善率
痛覚の改善率
a
2/13
(15.3%)
0/13
(0%)
投与群
(n =10)
)
b
6/10
(60.0%)
1/10
(10.0%)
a vs b p < 0.05
・ 両群において、排尿、排便機能に改善は認められず
・ 投与群において、副作用は認められなかった。
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骨髄間質細胞の臨床応用における問題点
ウイルス
微生物汚染
採取時のリスク
MSC
増殖能が低い
採取効率が低い
細胞の調整に
時間がかかる
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イヌiPS細胞の作製
Klf4 C-Myc
Oct3/4
Sox2
フィーダー細胞上に播種
フィーダー細胞
DOX誘導性
レンチウイルスベクター
胎子線維芽
細胞の培養
DOX誘導性レンチウイルスによる
初期化4遺伝子の導入
無血清培地で培養
iPS細胞作製~継代維持
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初期化因子
線維芽細胞
イヌiPS細胞
イヌ 細胞
単一細胞コロニー
Oct3/4
Sox2
Klf4
C-Myc
胚様体
未分化マーカーの発現
胚様体 iPS細胞
内胚葉 GATA4
外胚葉 TUJ1
核型解析 2n=78, XY型
型
正常な核型
中胚葉 DESMIN
三胚葉への分化能
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イヌiPS細胞からMSCへの分化誘導
浮遊培養
イヌiPS細胞
イヌ 細胞
形態観察
胚様体を接着培養
胚様体形成用培地
MSC分化培地
分化培地
フローサイトメトリー
免疫染色
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イヌiPS細胞から間葉系幹細胞への分化誘導
イヌ 細胞から間葉系幹細胞への分化誘導
継代に伴う細胞形態の比較
iPS細胞由来
細胞由来MSC様細胞
様細胞
細胞由来
P1
P2
P5
大きな変化なし
骨髄間質細胞(BMSC)
骨髄間質細胞
P1
P2
P5
扁平・大型化
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新技術の特徴・従来技術との比較
成体MSC
特徴:
①複数の組織から採取可能
②細胞調整が容易
考慮すべき点:
①採取患者の多くは高齢者
で採取効率が低い
②採取時のリスク
③ウイルス・微生物汚染
④細胞増殖能が低い
⑤製品化が困難
iPS細胞由来
iPS細胞由来MSC
細胞由来MSC
特徴:
①細胞増殖能が高い
②比較臨床試験が可能
③有効性と安全性の検証
が可能
考慮すべき点:
①導入遺伝子の安全性
②作製が困難
③高価
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新技術の応用
iPS細胞
自己複製能
神経栄養因子の産生
神経栄養因子の産生
TGFβ-1
間葉系幹細胞 (MSC)
自家移植
IL-6
他家移植
多分化能
組織傷害部位
への集積性
神経細胞
肝細胞
骨細胞
免疫抑制作用
軟骨細胞
脂肪細胞
再生医療への応用に期待
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想定される用途
イヌiPS細胞の作製
目的の細胞へ分化
移植
再生獣医療への応用
毒性試験への応用
in vivoでの治療成績
実験動物使用の減少
難病の解明・治療
獣医学領域への応用
血液細胞へ分化
血液バンク
ヒト再生医療への応用
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実用化に向けた課題
iPS細胞株の樹立
②最適な初期化因子
③ウィルスを用いない方法
①最適な体細胞
⑥動物実験
iPS細胞の評価
④高分化能の株を選抜
免疫拒絶抑制
(バンクの作製?)
効果的な分化方法の検討
⑤確実に分化させる方法
安全性の確保
(腫瘍化の抑制)
分化細胞
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企業への期待
共同研究を希望する企業等
・医薬、獣医薬、バイオ関連企業
・動物病院
・医学・獣医学系大学及び附属研究所等
実用化に向けて
・産学共同促進ステージなどへの共同申請
実用化後
・製品化
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本技術に関する知的財産権
•
•
•
•
発明の名称 :イヌiPS細胞の製造方法
出願番号 :特願2015-123775
出願人
:大阪府立大学
発明者
:稲葉俊夫、西村俊哉、
田中恵里菜、鳩谷晋吾、
杉浦喜久弥
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産学連携の経歴
• 2006年-2007年 JST シーズ発掘試験事業に採択
• 2011年-2012年 JST A-STEP(FS探索)事業に採択
• 2014年-2015年 JST A-STEP(FS探索)事業に採択
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お問い合わせ先
公立大学大阪府立大学
地域連携研究機構
産学官研究連携推進センター
知財マネジメントオフィス
統括コーディネーター 岡澤一秀
TEL 072-254-9873 (内線)3510
FAX 072-254-9849
e-mail [email protected]
http://www.osakafu-u.ac.jp
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