センター生物~解説~ 第6問 全体についてのコメント 生物基礎の内容を含まない大問で,光周性・光合成・PCR 法と分野を横断する形での融合問題。煩雑な 設問がないので,第 7 問よりも平均点が高くなると思われる。問 3 はある程度いい加減な計算が必要。 設問別解説 問 1 植物の花芽形成についての正確な知識を要求する問題。イネの開花期は初夏であるが,これを知 らなくても,開花期が夏から秋であれば短日植物になり①の文章が矛盾していることが分かる。③「高 温→低温」である。長日植物に対して光中断をすると,連続暗期が短くなるので,花芽形成が起こるの で④は誤り。日長や暗期の長さに関係なく花芽形成する植物が中性植物であり,⑤の記述はデタラメ。 問 2 C3 植物と C4 植物の光合成についての知識問題。イネやコムギが C3 植物,トウモロコシやサトウ キビが C4 植物であることが分かれば①~④に絞れる。 クエン酸回路はありえないので, ②④に絞れる。 あとは PGA の炭素数が 3,オキサロ酢酸の炭素数が 4 であることから解答を決められる。 問 3 PCR 法に関する計算問題。実験で用いた 0.01μg の DNA が仮にゲノムを 1 セット含むとする。 (注:本来は「N セット含む」というような設定が正確だが・・・) すると,4 億塩基対で 0.01μg となり,0.1μg は 40 億塩基対に相当する。すると,PCR 法によって, もともと 1 つしかなかった特定の塩基配列の領域が増幅され,約 1000 万個の 400 塩基対のサイズの断 片が生じたと考えられる。 第7問 全体についてのコメント これも生物基礎の内容を含まない大問。社会性昆虫であるミツバチを題材とする「血縁選択説」について の考察問題。第一学習社では「血縁度」について参考で記載があり,これを経験しているならば,問 2 が 即答できるので,第 7 問を選択した方がよいかもしれない。 「血縁度」について経験がない場合,試験の終 盤で問 2 の内容を平常心で解釈するのは厳しい可能性がある。 設問別解説 問 1 ワーカーの役割の分化についての実験考察問題。単独飼育では外役になるが,より老いた個体と 共に飼育すると内役になるので, より老いた個体との相互作用によって外役にならず内役になることが 分かる。より若い個体と共に飼育しても単独飼育と同じ外役になるので,若い個体からは影響を受けて いないと解釈することができる。 問 2 ワーカーが生じる理由を血縁度から解釈する考察問題。 ア を埋めて,これを 3/4 と比較するこ とで,残りの空所が埋まるようにできている設問。しかし,リード文に事実として「ワーカーは・・・生 殖を行わない」と書かれているので,いきなり イ と ウ を推測することも十分に可能。 「ある染色体が母から娘に受け継がれる確率」は, 「ある染色体が受け継がれる」or「ある染色体と相 同な別の染色体が受け継がれる」のいずれかであり,1/2 である。 出題された先生は 3/4 を問いたかったが,難易度の問題があり,泣く泣く断念されたのでは。
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