論文内容要旨 論文題名 Effect of mastication on adult hippocampal neurogenesis (咀嚼変化が脳神経新生に及ぼす影響) 掲載雑誌名 American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics (投稿中) 歯科矯正学 宮野 二美加 内容要旨 【目的】脳の神経細胞は,大人になっても増える.その現象は「神経新生」 といい,脳のある一部分(海馬の歯状回)にしか存在しない神経幹細胞に よって生じる.一方,その神経新生の頻度は様々な因子によって制御され ていることが知られており,咀嚼もその因子の一つであることが示唆され ている.本研究では,食餌の固さにより咀嚼刺激の入力に強弱をつけて神 経幹細胞への影響を評価した. 【資料及び方法】実験動物には C57BL/6 雄マウスを用いた.実験群は,離乳 直後(3 週齢)より軟食群と硬食群に分類し 7 週齢および 14 週齢で,以下の 比較検討を行った.神経幹細胞の動態を確認するために神経幹細胞の成熟 段階に応じた2つのマーカー(Nestin:神経幹細胞, Doublecortin:ニュ ーロン前駆細胞)を用いて免疫染色による発現細胞の定量的評価と Real-time PCR による各々の遺伝子発現解析を行った. 【結果】免疫染色による定量と Real-time PCR による遺伝子発現解析の結 果,いずれも,軟食群の海馬における発現の減少が認められた. 【結論】これらの結果から,軟食による神経新生の抑制は,海馬領域の神経 幹細胞と,それに派生する新生ニューロン存在頻度に変化があることが明 らかとなった.
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