(2016 年 1 月号掲載) 群馬県内の輸出関連産業の動向 ~主要製造業を中心に~ 一般財団法人群馬経済研究所 主任研究員 岡田 勉 ~要約~ 1.我が国の輸出額は、2008 年秋のリーマンショック以降の世界経済の急速な悪化から大 幅に減少し、09 年には 2000 年代初頭並みの 50 兆円台に落ち込んだ。その後は徐々に 回復し、14 年には 70 兆円まで増加したが、ピーク時の 07 年と比較すると 10 兆円程 度少ない。 2.我が国の主要製造業の輸出割合(輸出額÷製造品出荷額等、金額ベース、2014 年)を みると、最も高いのは機械器具で4割強となっている。以下、電気機器が3割、輸送 機器が2割などと続いている。 3.群馬経済研究所が県内の主要製造業を対象として実施したアンケート調査によれば、 15 年7~9月期の売上・生産および輸出動向は、前年を下回る状況にある。その背景 として、過半数の企業が「中国経済減速の影響」を指摘している。 4.県内主要製造業の主な輸出相手国(地域)は、米国が最も多く、中国、欧州、タイな どである。また、インドネシア、ベトナムなど、アジア諸国への輸出も行われてい る。今後の意向では、米国やインドへの輸出・投資意欲が強くみられるほか、タイや インドネシア、ベトナムも注目されている。 5.国内製商品の輸出競争力については、輸送機器や機械・金属を中心に、半数以上の企 業が「競争力がある」とみている。一方、競争力が低下しているのは電気機器で、 「競争力低下」の割合は6割を超えている。 6.先行き、人口減少等により内需の大幅な拡大が期待し難いことから、成長著しいアジ ア諸国や新興国の需要を積極的に取り込んでいくことが必要である。そのためには、 新たな需要地を探し、自社の特徴・強みを活かせる国への輸出・投資が重要である。
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