技術のおたずねにこたえて 〔おたずね〕カラマツ材の表面に黒色斑点状 の汚染があるのですが何んでしょうか。また これを取り除くにはどうすれば良いでしょう か。 (B町 H生) 〔おこたえ〕木材の表面にでる黒色斑点の多く は,鉄汚染とかび又は変色菌による汚染です。こ れを見分けるには汚染の状態を観察し,それぞれ の特徴から判断します。 鉄汚染は心辺材のいずれにも起こりますが,特 に心材に強く出ます。かび汚染は主に辺材に発生 しますが,表面にとどまり一部に胞子が出ている こともあります。変色菌による汚染は辺材の内部 にも発生します。 また,汚染部分に3%シュウ酸水溶液を塗布し て,30分ほど後に汚染が取れるか薄くなるものは 鉄汚染と判断する方法もあります。 ■鉄汚染は,木材が鉄イオンと接触するときに起 こります。したがって,刃物や釘などの鉄製品が 木材に触れた場合,水があると木材の酸のために 鉄イオンが発生し,やはり鉄汚染が生じます。こ れは鉄イオンが木材中の成分(フェノール性成 分,特にタンニン)と反応して,青緑∼灰黒色の 物質を作るためです。カラマツの場合,この鉄汚 染は辺材より心材に強く現れます。 鉄汚染を取り除くには,3%シュウ酸水溶液を 塗布(50g/m2)し30分放置します。1回で取れ なければくり返します。この操作で鉄イオンとフ ェノール性成分との結合が切れ,鉄イオンとシュ ウ酸が結合し,鉄汚染が消えます。しかし,この ままでは,ここでできた化合物に光が当たったと き,その結合の一部が切れ,再び鉄イオンとフェ ノール性成分との結合が生じ,黒色汚染(もとの 汚染より薄い)が起こることになります。これが 色戻りです。一方,シュウ酸が材面に残るので酸 やけで赤くなることがあります。そこで,この色 戻りと酸やけを防ぐために,さらに5%リン酸水 素1ナトリウム水溶液を塗布(50g/m2)してお きます。 なお,鉄汚染を予防するには水や鉄との接触を 避けるために塗装が有効です。 ■かびは適当な温度(20∼30℃)と水分(含水 率30∼60%,湿度80∼100%)があると,栄養に 富んでいる辺材に発生します。かびによる汚染は 菌糸又は胞子自体の色や菌糸の分泌する色素によ って黒・青などの色調を呈します。 この汚染の多くは表面だけにとどまるので,削 り落とすことが許される場合には削り取ります。 これが不可能の場合には漂白します。あらかじめ 汚染部をウェスで拭い,10∼20%亜塩素酸ナトリ ウム水溶液と,0.1%酢酸又は10∼20%尿素系浸 透助剤水溶液との1:1混合溶液を塗布(80g/ m2)し風乾します。1回で取れなければくり返し ます。この浸透助剤は,亜塩素酸ナトリウムが急 激に分解して有毒な二酸化塩素ガスを発生するの を抑え,木材の深部へ均一に浸透させる働きをし ます。なお,この助剤を使うと亜塩素酸ナトリウ ムの消失が若干遅れます。そこで,再びかび汚染 を発生させないために,防ばい剤を塗布する場合 には0.1%酢酸を塗布して,残った亜塩素酸ナト リウムを分解しておきます。 ■変色菌による汚染は,貯木中に菌糸が材組織に 深く侵入し,材中で生育するので,菌糸の色素に よって黒・青などの色調を呈します。このため, この汚染の除去は簡単ではありません。20%亜塩 素酸ナトリウムと20%浸透助剤を1:1の割合で 混合した溶液を塗布し,風乾する操作を3回ほど くり返す必要があります。この場合もかび汚染の 場合と同様に,防ばい剤を塗布するときには余分 の亜塩素酸ナトリウムを0.1%酢酸で分解してお きます。 別な方法として,2∼4%次亜塩素酸ナトリウ ムに1∼2時間浸せきする方法があります。この 場合,次亜塩素酸ナトリウムが強いアルカリ性の ため,脱色後にこれが残るとアルカリ汚染が生ず ることがあるので,1∼3%ホウ酸水溶液を塗布 しておきます。 汚染を取った後には防腐剤を塗布しておくと良 いでしょう。 (林産試験場 接着科) 技術 の おた ず ねに こた え て ると聞 きました。 この詳 細をおた ず ね したい。 ◆ほ か に 次 の お た ず ね が あ り ま した 。 ・ ノ コくず 炭ほか さば り運賃がか さむ ので道 内で の販路を拡大 したい と考 えてい ます。 用 途 な ど ・ 太 陽熱利 用の乾 燥装置 につい て長所 と短所を教 えて下 さい。 につい て相談 したい のです が。 〔蔀度科〕 〔 以上林産機 械科〕 ・ クモ材 の羽 目板を 乾燥 したい のです が, どの よ 〔乾燥科〕 ・ 原 価の分類 につ いて うかが いたい。 〔経 営科〕 ・ 木製窓枠 を個人住宅 に使 用 した いのですが技 術 ・ 伐 採 して一年後 に製 材 したス ブル ース,エ ゾマ うにす る、 のが よいで し ょうか 。 ツ, トドマ ツを桟横 して おいた と ころ 7 ∼ 8 月 的な 問 題 点 な ど教 え て 下 さ い。 電 ・ 凍結材を上手 に挽材す る方 法 を うかが いたい。 頃に カビが発生 しま した。 また, 造 作中に もカ ・ モー ターの容量 と挽材 能率 の関係 につい ておた ビが発生す る ことがあ ります。 防 カ ビ処 理の方 法を教 えて下 さい。 ずね した い 。 ・ ツインバ ソ ドソーを 休憩 時に空転 させた ままで ・ エ ゾマ ツ, トドマツの丸太 に 虫が付 きました。 よい とい うメーカーの指 示 が あ りましたが, い 製材後 に成虫が脱 出す る ことは ない 汚 し ょ う かが な− もの で し ょうか。 か。 また, この虫が製材 品に産卵 す る ことほ な いで し ょうか 。 登 ・ カラマ ツ中小径材を挽材 す るときの留意 点を教 ・ エ ゾマ ツと トドマ ツ丸太 を 加害す る昆虫に有効 えて 下 さい 。 な防虫剤 と処理 時期 を教 えで下 さい。 ・ カ ラマ ツ製材の挽 き肌が悪 くヒゲが発生 します が, この原 因と対 策を うかが いたい。 ・ ア カェ. ゾマ ツ九 大を加害す る昆虫 の 産卵時期 と ・ アテや偏心 のひ どい材 を上手に製材す る方法 を 防虫処理 の方 法を うかが いたい。 教えて下 さい。 ・ 丸 太 を 加害 す る昆 虫 と 大 口に 発 生 す る カ ビを 同 ・ 針葉 樹小幅板 の需要を 拡大 したい と考 えてい ま 時に防 ぐ薬 剤はない で し ょうか。 ●ス ミチオ ソとク P ル デ ソ防虫剤 でほ どち らの万 すが, どの よ うな加工を ほ どこせば よいで し ょ うか。 〔 以上加工科 〕 が効 力 と残 効 性 が 高 い で し ょ うか 。 ・ トタソを仕切 り板 として入れ ,プ レスを 用いて ・ 割箸用材 の防 カビ処理 の方 法 と薬剤 の影響に つ クモ材 の墳 層接着 を してい ますが ,側 面 のは く いて うかが いた いのです が 。 離が生 じます。 この原因 と対 策を うか が い た 懲 ・ 製 材表面に ノコ くず が多 く付着 してい ると カビ が発生 しやす い よ うです が, どうしてで し ょう い。 ・ 防腐剤の膿度 を 簡単に測定す る方 法があれ ば教 えて下 さい。 か。 〔以上接着科〕 ・ 広葉樹製材 を ネオシ ソ トール で防 カビ処理 して ・ ス ラ ッシ ャー型帯 ノ コの ノ コ仕上 げについて う かがいた い。 いますが ,黒 く着 色 します。 これを 防止す る方 法ほ ない でし ょうか。 〔製材試 験科 〕 ・ カラマ ツ製 材品の防 カ ビ剤 として アモル デソを ・ カラマ ツL V L を製 造す る際の問題 点をお聞 き 使用 してい ます が ,鉄汚染 の ような着色 が生 じ した いのです が。 ました 。対 策を うか がいたい。 ・ ランバ ー コアー材 の乾燥方 法を うかが いたい。 ・ 防 カビ処理液 の濃度を藻 場 でチ ェ ックす る方法 ・ 現在製材品 やその背板 か ら割箸 を作 っています が,ギ ャング ソ一に よる歩 留 ま りの低下が著 し を教え て下 さい。 いので他 に効率 よ く切断す る方 法 は ない でし ェ うか。 ・ C C A の加 圧注 入処理 で作 業液 のバ ランスが く ずれ るのです が原困は何 で し ょうか。 また,原 〔以上合板試 験科 〕 ・ 間伐材 や林 地残材 な どか ら木炭 を製造す る こと 液で調整す る方 法は ないで し ょうか 。 ・ ダグラス ファーは カビが 発生 しやす い樹種 だ と を考 えてい ます が,移 動式 の鉄板製木炭釜 があ 一1 1 − 技術 の おた ずね に こた え て 策を うかがいた い。 思い ますが ,なぜ でし ょうか。 ・ 押角材に 防 カビ処理を して移 出 して いるのに も ・ シイ タケ栽培 で ホダ木に細 い もの( うCm 以上 ) かかわ らず カ ビが 発生 しました 。対 策を うか が を使 うと胴枯に な りやす い のです が,本 伏 せ 中 いたいの ですが。 の散水不足が原 困で し ょうか。 ・ 発生 した カ ビを除去す る時 の薬 剤濃度 と処理 時 ・ シイ タケ栽培 で本伏 せを 井桁 漬す るとき高 さの 最高 限度 ほ どの位にすれ ば よ いで し ょうか。 間ほ どの程度に した らよいで し ょうか。 ・ カ ラマ ツに ヤ ニの 浸 出 防 止 処 理 を 行 え ば狂 い も ・ シイ タケ栽培で,早生 菌で 1 年に う∼ 6 回使 用 同時 に抑 制で きますか i し数量 を上げ るの と,年 に 2 ∼ う回で う年 間使 用し数量 を上げた場合 とでホ ダ木 1 本 あた りの ・ カラマ ツの L V L ほ ヤ ニ抜 きす る必要がな いの 数量には どの くらい差が あ りますか。 キ ノコの でし ょ うか 。 ・ キハダの黄 色部が退色 して しまい ました。調色 大きさにつ いては どうで し ょうか。 .シイタケ栽培で発生芽数が多くS級のキノコば 串 処理 で色 もどしが可能 でし ょうか。 かり発生す る時があ ります。 原因 をおたずね し ・ オガ くず を用 いた断熱 材 の性能につ いておたず ねした い 。 たい。 また ,発生芽数 を少 な くしM 級のキ ノコ ・ 自 ア リの被被 が道内 でも発 生 してい る と聞いて にす るた めの対策 も教え て下 さい。 います が ,帯広地 区では防蟻対 策は 必 要ないで 〔 以上特殊林 産科〕 しょうか。 〔以上林産化学 部長,木材保存 料〕 ・ ダ グラス フ ァーの脱 脂処理 法をおたず ね したい ・ シ イタケ栽培 で,今年 の春 に林楷 う号 菌の植 菌 を行い ま した。今 後の 管理 な どについ て うかが のです が。 〔種 田特別研究 員〕 ・ カバ材の割箸 を作 る とき赤味 の部 分を漂 白 した いのです が, よい方 法はあ りませ んか。 いた い 。 ・ シ イタケ栽培 で,細い “桜’ ’肌 の木 で,本 伏せ ・ ナ ラ, ニ レの集成 材の 漂 白法 を教 えて下 さい。 から第 1 回 の発生 の間に 肌にシ ワが 出来 ,キ ノ ・ 建築 施行中の 住宅で, ヒノキの床 板を張 った と コが発生 しに くくな ります。 この原因 と対 策を ころ黒い汚染が あ りました。除 去す る方 法を知 おた ず ね した い。 りた い の です が 。 〔 以上川 上 特 別 研 究 員 〕 l シイ タケ栽 培 で, 広尾 地域 の樹令 40年以上 の ミ ◇ ズナ ラには ‘ ‘ ォニ”肌 の ものが多 く,第 1 回 目 技術相談 を され るとき,相談内 容 につい て担 当科 から 1 年 間は キ ノコが発生 します が, 2 年 以降 がお分 か りに な らない ときは,窓 口の技術科 へ 申 皮が堅 くな りまった く発生 しな くな ります 。対 し出て下 さい(電話 0 166「 う1− 117 1・ 内線 16 )。 , l L i l ー1 2 −・ ・ ・・ ニl r L _ 患
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