Q & A Q 航空機騒音について,各自治体に寄せられ る苦情内容の現状,対応例があれば伺いたい。 A とは,主として D 滑走路の増設に伴う飛行経路の 変更が原因です。夏場などの南風時に千葉市の上空 で北からの着陸便と南からの着陸便が交差して飛行 苦情は主に,自治体,空港,国などに申し入れら するようになり,当該地域の住民の方々にとっては れるケースが多く,それぞれで管理されています。 今まで聞こえなかった騒音が,決して大きな騒音レ 自治体によってはホームページで苦情内容を公開し ベルではなくても非常に頻繁に飛行することとなり ている場合もあり,例えば千葉市では羽田空港の航 苦情が増加しています。国や自治体はよりよい飛行 空機騒音に関する苦情の件数や内容を公開していま 経路を模索しているようですが,飛行経路を変更す す。オスプレイの問題に直面している普天間飛行場 ると今度はその先で苦情が生じかねませんので,単 周辺の宜野湾市は「基地被害 110 番」として騒音以 純ではありません。 外も含めた苦情内容を公開しています。 苦情対応の確固たる手法はありませんから,これ 自治体ごとに苦情の具体的な内容は異なります は私の個人的な意見となりますが,できるだけ不公 が,例えば当学会が一昨年度に実施した「福岡空港 平感を解消することが重要ではないかと思います。 に係る環境保全検討業務委託」業務の結果では,夜 車や電車とは異なり,航空機は空港周辺の住民ほど 間の騒音や飛行経路に関する苦情が目立つと報告さ より利用する交通機関ではありませんから,自分た れています。福岡空港は暗黙の了解で 22 : 00∼7 : 00 ちに便益は少なく,騒音だけを請け負っているとい は飛行しないとされていますが公式ルールではない う不公平感が生じやすいのが航空機騒音問題の特徴 ため,実際には 22 : 00 以降の到着遅れなどがあり ではないかと思います。空港の存在による観光資源 ます。また,飛行経路も風向きや天候によって変化 を中心とした地域経済の潤いや,雇用の増加など, することから,飛行頻度の少ない経路などで,普段 空港の存在による地域への便益は潜在していると思 聞こえないのに今日はうるさいといった苦情が発生 います。2012 年に成田国際空港が 23 : 00 までの夜 しやすくなっています。このような苦情は,住民に 間離着陸制限について,低騒音型機材に限定するこ とって「イレギュラー」な騒音と捉えられているの とを条件に 24 : 00 までの緩和措置を実施しました かもしれません。これらは十分な住民説明が不足し が,緩和時間帯における到着便には着陸料金の増加 ていると考えることができ,時間帯の取り決めや, が課せられ,そのお金は周辺自治体に支払われるこ 季節・天候ごとの標準飛行経路パターンを十分に周 とになっています。このように,受苦者に便益をも 知し,個々の騒音がなぜ発生したのか理解してもら たらすシステムの存在と,その存在の周知が重要で うことが苦情対応の第一歩ではないでしょうか。 はないでしょうか。 最初にお話しした千葉市における羽田空港の苦情 206 (防衛施設協会 騒 音 森長誠) 制 御
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