SURE: Shizuoka University REpository

SURE: Shizuoka University REpository
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
Title
Author(s)
油圧ロボットの高機能化に関する研究
望月, 宣宏
Citation
Issue Date
URL
Version
1993-03-24
http://doi.org/10.11501/3092030
ETD
Rights
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:電 子科学研究税
o002513059
R
静 岡大 学
博 士論文
油 圧 ロ ボ ッ 卜の 高機 能 化 に 関 す る研 究
1993年
2リ
ロ
大学 院電 子 科学研 究科
電子応用工学 専 攻
望月
宣宏
次
目
論
序
研 究 の背景
.
5
本 研 究 の 目的
6
本 論 文 の構 成
._.
7
参 考文 献
油 圧 位 置 サ ー ボ 系 に お け る 2自 由度 コ ン トロー ラ の 設 計
.… … … … … … … … … … ・
緒
2.2
1リ ン ク油 圧 関 節 駆 動 系 の 基 礎 方 程 式
2自 由度 油圧位 置 制御 系 の構 成 法
2.3
… … …
14
.
コ ン トロー ラ の 離 散 化 と閉 ルー プ系 の安 定 性
2.4
コ ン トロー ラ の 離 散 化
2.4.1
.…
数 値 シ ミュ レー シ ョ ンの 結 果 と考 察
2.5
.… …
.…
…
.…
実 験 装 置 と実 験 方 法
,
…
結
言
.…
…
..…
。
29
.… … … … … … … …
39
Ⅲ…
,一 ・ ― ・
40
42
.… … … … … … … … … …
_._._・
42
・…
42
… Ⅲ… … … … … …
44
トル ク制 御 に お け る サ ー ボ 弁 の 種 類 の 検 討
44
負荷 不 感 形 流 量 制御 方 式
トル ク 制 御 方 式
.3.3.1
26
33
._._.…
言
25
32
運 動 制 御 の た め の 油 圧 関 節 サー ボ 方 式
緒
21
.… … Ⅲ… … … …
実 験 結 果 と考 察
参 考 文献
3,1
3.2
3.3
.
入 力 部 の 飽 和 特 性 に よ る不 安 定 化 と そ の 対 策
2.5.2
2.6
2.7
2.8
20
系 内 の 非 線 形 性 が性 能 に及 ぼす 影 響
2.5.1
19
…
閉 ルー プ系 の 安 定 解 析 と そ の 結 果
2.4.2
第 3章
,__
0
言
2.1
9 9
第 2章
.
2
従 来 の研 究
1
1.1
1.2
1.3
1.4
1
第 1章
.…
3.3.2 作 動 油 の圧 縮 性 が 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響
…
3.3.3 内部 漏 れ 流 量 の 影 響 .… … … … ・・・・
47
49
:3.4
実 験 装 置 と実 験 方法
3.5
実 験 結 果 お よび 考 察
負荷不 感 形流量制御
].5,1
トル クキJ4岬
3.5.2
3.6
57
結
fi0
参 考 │文 献
60
第 4章 1リ ン ク油 圧 アー ム の運 動 制 御
4.1
緒
62
言
62
運 動 制御 系 の 離 散 時 間 モ デ ル
4.2
4.2.1
速度 制 御 法
実 験 結 果 と考 察
4,4
結
64
7 5 5
ハ
b けィ 7
4.3
62
62
4.2.2 計 算 トル ク法
言
参考文献
6 6
7
7
第 5章 油 圧 ロ ボ ッ トの 適 応 イ ン ピー ダ ンス 制 御
5.1
緒
5.2
5.3
5.4
5.5
市U御 対 象 の 基 礎 方程 式
78
飽 和 特 性 を 考 慮 した 適 応 イ ン ピー ダ ンス 制 御 則
80
実 験 装 置 と実 験 方 法
83
実 験 結 果 お よび 考 察
85
5。
5.6
言
トル ク 飽 和 が生 じな い 場 合 Ⅲ… … … 。… … … … … Ⅲ… ・
5.5.1
トル ク 飽 和 が生 ず る 場 合
5,2
結
.… … … .… … … … … Ⅲ… …
言
参 考文献
6章
92
言
5
9
6.2.1 ロ ボ ッ トの 動 力 学 方 程 式
5
9
制御 則 の 導 出
4
9
6.2
緒
90
92
イ ン ピー ダ ンス 制 御 を応 用 した ハ イ プ リッ ド制 御 の 直 接 教 示 一再 生 法
6.1
85
4
9
第
0 3 6 6
”■ i v F
む i﹀
・
(PV卜 )補 償
6.2.2 教 示 時 の 制御 則
… …
96
6.2.3 再 生 時 の 制 御 則
… ..
97
実 験 装 置 と実 験 方 法 … ..
101
6.3
6.3.1 実 験 装 置 .… …
._.
101
6.3.2 再 生 時 に お け る 分 離 行 列 と 目標 力 の設 定
6.4
実 験 結 果 と考 察
_.…
… Ⅲ… … … Ⅲ… … ・
104
6.4.2 教 示 一再 生 間 で 拘 束 面 の 位 置 に ず れ が あ る 場 合
104
.… … … … … … … … … … … …
参 考 文 献 … … Ⅲ… .― ・ … '… Ⅲ… ・ ― ・ … ・
補
結
論
結
塾
調
謝
104
6,4.1 教 示 ―再 生 間 で 拘 束 面 の 位 置 に ず れ が な い 場 合
6.5
第 7章
102
107
107
109
113
辞
114
遺
補 遺 A電 気 油 圧 サ ー ボ 弁 の 動 特 性 … …
114
117
補 遺 B油 圧 ア クチ ュ エー タ系 の 飽和 特 性
118
補 遺 C座 標 変換 に お け る行 列 の 関係
119
…
補 遺 D推 定 パ ラ メ ー タ の 収 束 の 証 明
参 考 文 献 … … .… Ⅲ… Ⅲ… …
121
122
〓一
一
ロ
1.1
▲冊
第 1章
研 究の背景
最 初 の 産 業 用 ロ ボ ッ トが 開 発 さ れ て か ら四 半 世 紀 が 過 ぎ, ロ ボ ッ トは 生 産 現 場 に
深 く浸 透 しつ つ あ る。 現 在 こ れ らの ロ ボ ッ トの主 流 は電 動 ロ ボ ッ トで あ るが,初 期 の
製 品 化 され た ロ ボ ッ ト,例 え ば 最 初 の 産 業 用 ロ ボ ッ トUnilna,teや 商 業 ロ ボ ッ トVER「
SATRANな
ど は 油 圧 駆 動 ,即 ち 油 圧 ロ ボ ッ トで あ っ た。 ロ ボ ッ トの 実 現 に お い て 油
圧 ア ク チ ュ エー タの 大 出 力 は,電 動 モー タの 出 カ トル ク・ パ ワー に 比 べ 圧 倒 的 に 有 利
で あ り,産 業 用 ロ ボ ッ トが 開 発 さ れ た 当 初 は 油 圧 ロ ボ ッ トに 限 らず ,工 作 機 械 な ど
の 他 の 機 械 装 置 の 駆 動 も油 圧 が 絶 対 的 な 優 位 性 を 持 っ て い た。 現 在 に お い て も,電
動 モー タ と油 圧 ア ク チュ エー タの 出 力 限 界 の 差 は そ れ ほ ど縮 まっ て い な い も の の,電
動 モー タ に お け る 素 材 や 構 造 の 検 討 に よ る 高 出力 化 ,ロ ボ ッ ト構 造 部 品 や セ ンサ と
の 一 体 化 に よ る 軽 量 化 や最 適 設 計 ,更 に は 非 線 形 補 償 ま で も 含 め た サ ー ボ 系 の イ ン
テ リジ ェ ン トイヒの 努 力 な どに よ り,油 圧 ロ ボ ッ トに代 わっ て 電 動 ロ ボ ッ トが 現 在 の 主
流 を 占 め る に 到 っ て い る。
と こ ろ が,ロ ボ ッ トに お け る 高 機 能 化 ・ 高 性 能 化 が 追 求 さ れ る 中 で,現 在 の 電 動
ロ ボ ツ トで は 対 応 し きれ な い ケ ー ス も生 じて い る。 例 え ば ロ ボ ッ トに お い て
,高 速
位 置 ・ 軌 道 の 制御 ,力 制 御 ,力 と位 置 の ハ イ プ リッ ド制 御 ,イ ン ピ‐ ダ ンス 制御 ,適
応 市U御 な ど機 能 の 高 度 化 に 伴 っ て,従 来 の ロ ボ ッ トの 機 構 に 用 い られ て い る 減 速 機
の 摩 擦 や バ ッ ク ラ ッシ ュ が 大 き な 障 害 とな る こ とが 多 い。 こ の た め 大 トル ク容 量 の
電 動 サ ー ボ モー タ を使 用 した 直 接 駆 動 ロ ボ ッ トが 普 及 しつ つ あ る。 しか し電 動 サ ー ボ
モー タ の 出 力 の 限 界 か ら直 接 駆 動 化 に は 限 界 が あ り,重 カ トル ク の か か らな い 水 平
多 関 節 形 が 主 流 を 占 め て い る。 ま た 垂 直 関 節 形 ロ ボ ッ トに お い て は,可 搬 重 量 や 制
御 し得 る 力 の 大 き さ な どに 大 き な tll約 を受 け て い る の が 現 状 で あ る
.
こ れ に 対 し,油 圧 ア ク チ ュ エ ー タ の トル ク慣 性 比 は 高 出 力 電 動 サ ー ボ モー タ の 10
倍 程 度 に 達 す る た め,直 接 駆 動 化 が 可 能 と な り,電 動 ロ ボ ッ トの上 記 の 限 界 を 克 服
し得 る 可 能 性 を持 つ.ま た ロ ボ ッ トに 限 らず ,大 型 機 械 装 置 の 動 作 シ ミュ レー タ,乗
り物 の 姿 勢 制御 ・ 乗 り心 地 の 制 御 な ど 高 自由 度 系 の 大 パ ワー,高 速 制 御 が 要 求 され
る 分 野 が 広 がっ て お り,こ う した 分 野 に お い て も,油 圧 サ ー ボ に 対 す る 新 た な 期 待
が 生 じて い る。
こ の よ う な 新 た な 分 野 に お い て は,油 圧 ロ ボ ッ トあ る い は 油 圧 サ ー ボ に 対 す る 従
来 に な い 機 能 も必 要 と さ れ て い る。 例 え ば,外 乱 ・ 制 御 対 象 の 変 動 に 対 す る 制 御 系
の ロバ ス ト性 ,非 線 形 補 償 ,高 自 由度 化 ,高 速 運 動 制 御 ,制 御 対 象 特 性 の 変 化 に 対
す る 適 応 機 能 な どで あ る.本 論 文 は,こ れ らの 機 能 の 実 現 に は デ イジ タ ル 演 算 機 能
を駆 使 した油 圧 ロ ボ ッ ト関 節 サ ー ボ 系 あ る い は 油 圧 サ ー ボ シ ス テ ム の イ ン テ リ ジェ
ン ト化 が 不 可 欠 で あ る との 観 点 に 立 ち,検 討 を行 っ た も の で あ る。
1。
2
従 来 の研 究
油 圧 ロ ボッ トの 関節 を 駆 動 す る 油 圧 サー ボ系 は 旧 くか ら用 い られ て お り,こ れ に
関す る 研 究 は 数 多 い。 ま た油 圧 ロ ボッ トの 高機 能 化 に 関 す る研 究 や 高 機 能 なサー ボ
系 を 用 い て 油圧 ロ ボッ トの性 能 を 向 上 し よ う と した研 究 も多 くあ る。 まず そ の代 表
的 な も の に つ い て 以下 に概 観 す る
.
油 圧 ロ ボッ トに 関す る研 究 は 1970年 代 まで の 初 期 の研 究 , 1980年 代 前 半 の 中期 の
研 究 と 1980年 代 後 半 か ら 1990年 代 にお け る最 近 の研 究 に 分 け る こ とが で きる と考 え
られ る
.
1970年 代 ま で の初 期 の 研 究 に お い て は,油 圧 ロ ボッ トの 研 究 とい う よ り,産 業 用
ロボ ッ トの ほ とん どが 油 圧 ロ ボッ トで あった ため ロ ボッ ト制御 の研 究 が油 圧 ロ ボッ ト
を用 い て 行 わ れ て い た。 こ れ に属 す るのが Markiewicz(1973)の 計算 トル ク法(1),中 野
栄 二 (1976)の Melarmの 研 究(幼 な どで あ る。 Markiewiczは トル ク制御 形 の ロ ボッ ト制
御 法 で あ る計 算 トル ク法 を油 圧 ロ ボ ッ トを対 象 と して提 案 して い るが,実 験 結 果 は
全 く示 され て い な い。 また 中野 栄 二 らは Melarmと 呼 ばれ る 油 圧 駆 動 双腕 7リ ン ク ロ
ボッ トを作 成 し,そ の協 調 制御 法 に つ い て研 究 して い る
.
そ の 後 ,電 動 サー ボ モー タの 高 性 能 化,高 出 力 化 に 伴 な っ て ロ ボッ トの 電 動 化 に注
目が 移 っ た た め,中 期 に お け る研 究 に は,高 機 能 な油 圧 ロ ボ ッ トの 実 現 を 目的 と し
た研 究 は 極 め て 少 な い。 この 中 で 花 房 (1982)(鋤 は,関 節 形 ロ ボッ トの 位 置 制御 に 対
して,各 関節 サ ー ボ を構 成 す る 油 圧 モー タ 十 負 荷 系 を 3次 系 で 近似 し,圧 力 ・ 速 度
フイー ドバ ックに よる最 適 設計 法 を示 して い る。
1980年 代 後 半以 降 にお い ては,産 業 用 ロ ボ ッ トの主 流 は さ らに電 動 ロボッ トに移行
し,油 圧 ロ ボッ トに関連 す る研 究 は 多 くは な い が,主 に電 子 制御技 術 を応 用 して,油
圧 サ ー ボ 系 にお け るサ ー ボ 弁 の 非 線 形性 等 の 改 善 を試 み た 研 究 が 見 られ る よ う に な
る。 こ れ らに 属 す る の が Kati`ら (11)86)(1),中 嶋 ら (1987){8},山 橋 ら (1990,1991)(6,7),
な どの 研 究 で あ る.Katiこ らは,池 辺 ら (1980)(5)の 負 荷 無 反 応 型 電 気 ・ 油 圧 サ ー ボ 系
の 構 成 法 を,ロ ボ ッ トの 位 置 制 御 に応 用 し,そ の 効 果 を 報 告 して い る。 中 嶋 ら は 圧
力 制御 形 サ ー ボ 弁 を用 い た ロ ボ ッ トの 力 制 御 の 性 能 に つ い て 検 討 して い る。 また 山
橋 らは油 圧 系 の位 置 制御 に対 し て,系 に 含 まれ る 非 線 形 を モ デ ル 規 範 型 適 応 制御 系
(Ⅳ
IRACS)の 構 成 法 に よ り補 償 して い る。
一 方 , ロ ボ ッ ト作 業 に対 す る 高 速 ,高 精 度 ,高 機 能性 に 対 す る要 求 が ます ます 強 ま
る 中 で ,一 般 の ロ ボ ッ ト制御 に 関 して 極 め て 多 くの 研 究 が 行 わ れ て い る(鋤 が,特 に本
研 究 で 検 討 す る ロ ボ ッ トマ ニ ピュ レー タの イ ン ピー ダ ンス 制 御 ,ハ イ プ リッ ド制御
,
適 応 制 御 ,教 示 一再 生 法 に 関 す る 研 究 を概 観 す る と以 下 の 様 で あ る。
まず イ ン ピー ダ ンス 市1御 は ロ ボ ッ トが 外 界 との 柔 軟 な接 触 動 作 を行 う際 に 有 効 な 市U
御 法 で あ り,こ れ に 関 す る代 表 的 な研 究 に は,Hogan(1985)(10,杉 本 (1986)(11),舘 ら
(1989)(12)の 研 究 が あ る.ま た ハ イ プ リッ ド制 御 に 関 して は Raibertと Craig(1981)(13)の
研 究 が あ る。 こ れ らの 制御 法 は,良 好 な 関 節 トル ク制 御 系 が 実 現 で き て い る こ と を
前 提 と し て お り,従 来 ,油 圧 ロ ボ ッ トを 用 い て こ れ らの 制 御 を 実 現 した 例 は ほ とん
どな い 。
また 代 表 的 な ロ ボ ッ トマ ニ ピュ レー タ の 適 応 tlJ御 に つ い て は Whyte(1984)(1→ ,Al―
carazら (1986)(15), slotineら (1988)(10,高 木 ら (1990)(1つ な ど の 研 究 が 挙 げ られ る
.
Whyteは
駆 動 系 の 動 特 性 を考 慮 に 入 れ た 連 続 時 間
MRACSの
設 計 法 を提 案 し
,
Alacrazと Ortegaは , リ ン ク 間 の 干 渉 を 適 応 バ ラ メ ー タ の 変 動 とみ な し,関 節 ご と
に 適 応 制 御 ルー プ を 構 成 す る 方 法 を提 案 して い る.ま た S10tineと Liは 非 線 形 フ イー
ドバ ッ ク を応 用 し て ロ ボ ッ ト動 力 学 に お け る 非 線 形 性 の 厳 密 な 線 形 化 を 計 り,適 応
則 の 実 現 に 加 速 度 信 号 を 必 要 し な い 方 法 を 提 案 して い る.近 年 で は,高 木 らが,ロ
ボ ッ ト制 御 系 に対 して近 似 的 に 離 散 時 間 MRACSを 構 成 して い る。
こ れ ら適 応 制御 則 を油 圧 ロ ボ ッ トに 適 用 し よ う と した 場 合 ,ア クチ ュ エー タ の 飽 和
に つ い て 考 慮 す る 必 要 が あ る。 上 記 の 内 で は Alcarazら の 方 法 だ け が ア ク チ ュ エ ー タ
の 飽 和 を 考 慮 して い る が,こ の 方 法 は 適 応 推 定 の 実 現 の 為 に 加 速 度 信 号 を 必 要 とす
る 点 に 問 題 が あ る。 また Whyteも 駆 動 系 の 飽 和 に つ い て 言 及 して い る も の の,明 確
な 対 策 や 結 果 は 示 して い な い。
こ う し た 飽 和 の 問 題 に 関 して は ,適 応 制 御 に お け る 理 論 的 な 研 究 に お い て も,市 U
御 対 象 を 線 形 系 に 飽 和 要 素 が 付 加 され た 系 と して 幾 つ か 検 討 され て お り,例 え ば
MonOpOli(1974)(18),Abl,alnOvitlicllら
(1986)(19),武 藤 ら (1988)(20), z1lmlgら (21),大 川
ら (1992)(22)の 研 究 が あ る。 R10110POliは 拡 張 誤 差 信 号 を 導 入 して,入 力 制 限 を考 慮 し
た MRA(rSの 設 計 法 を示 した。 Ablヽ amOvitichら は,1入 出 力 系 に対 して,飽 和 を考 慮
した 最 小 2乗 形 バ ラ メー タ推 定 則 を 提 案 して い る。 また 武 藤 らは,入 力 制 限 の あ る
MARCSの 見 通 しの 良 い 構 成 法 を 与 え,Zhangと
Evansは 制 御 信 号 の 大 き さ と変 化 の
速度 に 制 限 が あ る場 合 の 適 応 系 の 構 成 法 に つ い て 検 討 し て い る。 近 年 で は,大 川 ら
が 入 力 制 限 が 存 在 す る 場 合 の 離 散 時 間 MRACSに つ い て 検 討 して い る。 こ れ らの 研
究 の 中 で Abramovitichら ,Zllengら の 方 法 は 基 本 的 に は 1入 力 1出 力 の 制 御 対 象 に 対
す る 適 応 則 で あ り,多 入 力 多 出 力 と な る ロ ボ ッ トの よ う な応 用 に は 適 さ な い。
本 研 究 で は, ロ ボッ トの 適 応 市U御 法 と し て 広 く応 用 さ れ ,ま た 加 速 度 信 号 を 必 要
と しな い Slotineら の適 応 則 を MonOpOliや 武藤 らの 方 法 を 考 慮 して油 圧 系 特 有 の サ ー
ボ弁 ―ア ク チ ュ エー タ系 の 飽 和 に 対 して ロ バ ス ト安 定 と な る様 に 拡 張 を 試 み た も の
で あ る。
さて,実 際 に ロ ボ ッ トを 運 用 し よ う とす る場 合 に は,制 御 方 法 も さ る こ となが ら
,
柔 軟 性 の あ る ロ ボ ッ トの 機 能 を 充 分 に 活 用 で きる様 な ロ ボ ッ トの 動 作 を計 画 し,そ の
動作 を 教 示 す る こ とが 必 要 と な る。 作 業 効 率 を 考 慮 す れ ば で き る 限 り容 易 に 教 示 が
実 現 で き る こ とが 望 ま し い が,一 般 に は ロ ボ ッ トを作 業 変 更 に 即 応 して 操 作 す る た
め に は,教 示 に 熟 練 した 操 作 者 が 必 要 と され る。 高 度 機 能 を 要 求 さ れ る様 な複 雑 な
作 業 に お い て は,教 示 作 業 もそ れ だ け 複 雑 とな る。 そ の た め,従 来 に お い て も,プ ロ
グラ ミ ン グ に よ る オ フ ラ イ ン教 示 法 ,マ ス タ ース レー プ マ ニ ピュ レー タ を 用 い た 教 示
法 ,教 示 した代 表 点 を補 間 す る 方 法 な ど,様 々 な 方 法 が 提 案 され て い る.そ の 中 で
,
浅 田 ら (1979,1987)幹 3,2→ の 提 案 した 直 接 教 示 法 は,位 置 と力 の 同 時 制 御 が 必 要 な作 業
にお け る 熟 練 作 業 者 の ス キ ル の 教 示 に 有 効 で あ る。 直 接 教 示 法 に お い て は,作 業 者
は ロ ボ ッ ト手 先 に 取 りつ け た工 具 を 用 い て 実 際 の 作 業 を 実 行 す る だ け で あ り,教 示
にお い て 特 FUな 熟 練 を必 要 と しな い。 浅 田 らは,こ の 直 接 教 示 を容 易 に逆 動 可 能 な 電
動 DDロ ボ ッ トを 用 い て 実 現 して い る が,一 般 の 産 業 用 ロ ボ ッ トに お い て は作 業 者 の
自然 な 感 覚 を損 な わ な い よ う,何 らか の 積 極 的 な制 御 が 必 要 とな る。 こ の た め,教 示
動 作 の 実 現 に イ ン ピー ダ ンス 制 御 を 用 い る こ とが 有 効 で あ る と考 え られ ,Hirzinger
ら (1985)(25)は コ ン プ ラ イ ア ンス 制 御 を,杉 本 (1986)(11)は 速 度 指 令 型 イ ン ピー ダ ンス
制御 を 用 い た 教 示 法 に に つ い て 検 討 して い る。
また 実 際 の 応 用 にお い て は 教 示 時 と再 生 時 の 間 で 作 業 対 象 等 の 位 置 が 若 干 異 な る
場 合 が あ る。 こ の 様 な 状 況 に お い て も,位 置 と力 の 同 時 制御 が 必 要 な 作 業 を的 確 に
実 現 す る た め に 有 効 な 方 法 と して,ハ イ プ リッ ド制 御 が あ る。
本 研 究 に お い て は 杉 本 らの 方 法 よ り も,さ らに 柔 軟 な動 作 を 教 示 で き る 可 能 性 を
持 つ トル ク 指 令 型 イ ン ピー ダ ンス 制 御 に よ る教 示 ―再 生 法 を 検 討 して い るが,著 者
の 知 る 限 りで は拘 束 面 上 の ハ イ プ リッ ド制 御 の 直 接 教 示 一再 生 法 を オ ン ラ イ ン で 実
現 した 報 告 は 無 い。
1。
3
本 研 究 の 目的
近 年 ,ロ ボ ッ トや 種 々 の メ カ トロ ニ ク ス 機 器 ,そ の 他 ,高 速 デ ィジ タ ル 信 号 処 理 を
必 要 とす る 種 々 の 分 野 に お い て,DSP(高 速 デ イ ジ タ ル 演 算 専 用 プ ロ セ ッサ)が に わ
か に 普 及 し つ つ あ り,電 動 モー タ の サ ー ボ 系 に お い て も積 極 的 に応 用 さ れ て 来 て い
る。 一 般 に 高 速 応 答 を 要 求 され る 油 圧 サ ー ボ シ ス テ ム に お い て も,こ の DSPの 演 算
機 能 を利 用 す る こ とに よっ て,サ ー ボ 機 能 の 全 て をデ イ ジ タル 演 算 で 処 理 す る,い わ
ゆ る ソ フ トウェアサ ー ボ 化 が 可 能 に な る と考 え られ る。 これ に よって 高 速 デ ィジ タル
演 算 に よ る 油 圧 系 の 非 線 形 特 性 補 償 が 可 能 とな り,ま た 種 々 の 制御 理 論 に 基 づ い て
設 計 さ れ る 動 的 な補 償 器 等 もハ ー ドウ ェ ア を 変 更 す る こ と な く容 易 に 実 現 可 能 に な
る と考 え られ る。
一 方 ,従 来 の油 圧 ロ ボ ッ トは 単 純 な位 置 制 御 方 式 が ほ とん どで あっ た が ,高 速 運 動
制 御 の 実 現 に は トル ク 制 御 方 式 が 有 利 で あ る。 こ の 方 法 は ロ ボ ッ トの 目 標 運 動 に 必
要 な トル ク を制 御 対 象 の 動 力 学 モ デ ル に 基 づ い て 計 算 し,ロ ボ ッ ト関 節 の 発 生 トル
ク を制 御 して 運 動 を制 御 す る も の で,運 動 中 の ロ ボ ッ ト関 節 の 正 確 な トル ク制 御 を
前 提 と して い る。 しか し従 来 ,油 圧 サ ー ボ 系 に は こ の よ う な 制 御 法 は 適 用 され て お
ら ず ,従 っ て,ま ず 油 圧 ア ク チュ エ ー タ の トル ク 制御 法 を確 立 す る 必 要 も生 ず る。
以 上 の よ う な観 点 に立 っ て,本 研 究 にお い て は,ま ず 油圧 ロ ボ ッ ト関 節 サ ー ボ系 の
サ ー ボ機 能 を DSPに よ るデ ィジ タル 演 算 で 処 理 す る,ソ フ トウ ェ アサ ー ボ 化 を計 る。
そ して 外 乱 あ る い は ロ ボ ッ ト姿 勢 や ベ イ ロー ドの 変 化 に対 す る 位 置 市U御 の 精 度 向 上
を 目的 とす る 2自 由度 制 御 系 の 設 計 ,お よび 速 度 ・ 運 動 ・ トル ク の 制 御 に お け る 油
圧 系 の 非 線 形 補 償 等 に よ る 性 能 改 善 ,お よび ソ フ トウ ェ アサ ー ボ の 限 界 な どに つ い
て 検 討 す る.さ らに 油 圧 ロ ボ ッ ト関 節 の トル ク制 御 の 検 討 結 果 に 基 づ き,従 来 の 位
置 ・ 速 度 の 制 御 を 基 本 とす る の で は な く, トル ク制 御 を 基 本 と す る 適 応 イ ン ピー ダ
ンス 制御 ,お よ び イ ン ン ピー ダ ンス 制御 を応 用 した ハ イ ブ リッ ド制 御 の 直 接 教 示 ―再
生 方 式 を 実 現 す る。 ま た そ れ らの 実 現 の 中 で,油 圧 系 に 固 有 の 非 線 形 性 で あ る サ ー
ボ弁
+油 圧 モー タ系 の
トル ク 飽 和 に 起 因 して生 起 す る 不 安 定 動 作 を回 避 す る 制 御 法
を検 討 す る。 さ らに こ れ らの 研 究 結 果 を通 し,油 圧 ロ ボ ッ トの 高 機 能 化 お よび 油 圧
サ ー ボ の 高 性 能 化 に 寄 与 す る こ とを 目的 と し て い る。
1。
4
本 論 文 の構 成
本 論 文 は全
7章 で 構 成 さ れ て い る。 第 1章 は 序 論 で あ り,本 研 究 の 背 景 と 目的 を
述べ ている
.
第 2章 で は,ま ず 油 圧 ロ ボ ッ トの 1関 節 に 対 応 す る,油 圧 関 節 駆 動 系 の 基 礎 方 程
式 と そ の 線 形 化 した 伝 達 関 数 を 導 い て い る.そ し て サ ー ボ 弁 動 特 性 を 無 視 した 線 形
3次 制 御 対 象 に 対 して 2自 由度 市U御 系 の パ ラ メ トリゼ ー シ ョ ンに 基 づ く トル ク外 乱 に
対 し て ロバ ス トな モ デ ル 規 範 形 油 圧 位 置 サ ー ボ 系 の 構 成 法 ,圧 力 ・ 速 度 フイー ドバ ッ
ク を応 用 した コ ン トロー ラ の 次 数 低 減 化 手 法 を 示 す。 そ して 設 計 され た 連 続 時 間 コ
ン ト ロー ラ を 離 散 化 した こ と,制 御 対 象 モ デ ル に サ ー ボ 弁 動 特 性 を無 視 した こ と に
よっ て生 ず る 自由 バ ラ メ ー タ の 安 定 限 界 や,制 御 対 象 に 含 まれ る 飽 和 要 素 に 起 因 す
る 不 安 定 化 の 問 題 の 解 央 法 を 示 す。
第 3章 に お い て は ロ ボ ッ トの 高 速 運 動 帝U御 の 基 礎 とな る,サ ー ボ 弁 流 量 特 性 の 非 線
形 性 を 考 慮 した 流 量 制 御 法 と, トル ク 計 算 法 と して知 られ る トル ク 指 令 型 運 動 常U御
法 の 基 礎 とな る トル ク制 御 法 に つ い て 検 討 す る。 トル ク 市U御 に お い て は,作 動 油 の
圧 縮 性 が 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響 を示 し,ま た 運 動 に よ る トル クの 減 衰 を補 償 す る 速 度
の 正 フィー ドバ ッ ク補 償 を 提 案 す る。
第 4章 は 第 3章 で 提 案 した 制 御 法 を 1リ ン ク ア ー ム の 運 動 制御 に 適 用 し,市U御 実 験
を 通 じて ロ ボ ッ トの 運 動 制御 に 対 す る 有 用 性 と問 題 点 を検 討 す る
.
第 5章 ,第 6章 は従 来 の 油 圧 ロ ボ ッ トに は,ほ とん ど 用 い られ て い な い トル ク 指 令
形 の 油 圧 ロ ボ ッ ト制御 法 に 関 す る も の で あ る。 まず 第 5章 で は ロ ボ ッ トの イ ン ピー ダ
ンス を 適 当 に 設 定 す る こ と に よ り,作 業 者 が ロ ボ ッ トに 力 を加 え な が ら協 調 作 業 を
行 う場 合 の 操 作 性 を 高 め,同 時 に 自由空 間 を運 動 中 に ロ ボッ トの 動 力 学 バ ラ メー タ
を適 応 推 定 す る適応 イ ン ピー ダ ンス 制御 系 の 構 成 法 に つ い て検 討 す る。 特 にサ ー ボ
弁 ―ア クチ ュエー タ系 の トル ク飽 和 に 起 因 して生 じる適 応 系 の性 能劣 化 や 不 安 定 挙
動 の 発 生 を 回避 す る 制御 方 法 を提 案 す る。 次 に 第 6章 にお い て は 第 5章 の イ ン ピー ダ
ンス 制 御 を応 用 して,自 由空 間 で の 運 動 や 拘 束 空 間 に お け る 力 と軌 道 の ハ イ プ リッ
ド制御 の 直 接 教 示 ―再 生 法 を 提 案 す る。 ま た 教 示 ―再 生 間 で 拘 束 面 の 位 置 に 若 干 の
ず れ が あ る 場 合 に つ い て,自 由 空 間 に お け る 軌 道 制 御 モー ドか ら拘 束 空 間 の ハ イ ブ
リッ ド制 御 モー ドヘ の 滑 らか な移 行 を 実 現 す る 方 法 に つ い て 検 討 す る。 第 5章 と第 6
章 の 制 御 法 の 妥 当 性 は 直 接 駆 動 形 垂 直 2リ ン ク油 圧 ロ ボ ッ トを 用 い た 実 験 に よ り確
認 され る。
第
参
7章
は結 論 で あ り,本 論 文 を総 括 して い る。
考
文
献
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と
土
早
一
弔
油 圧 位 置 サ ー ボ 系 に お け る 2自 由 度 コ ン トロー ラ
の設計
2.1
緒
ロ
本 研 究 に お い て は,高 機 能 な油 圧 ロ ボ ッ トの 実 現 を 目的 と して, ロ ボ ッ トの 各 関 節
に ア ク チ ュ エ ー タ を配 置 し,減 速 器 を 介 さ ず に ロ ボ ッ ト 自体 も含 め た 負 荷 を 駆 動 す
る,直 接 駆 動 (DD)関 節 形 油 圧 ロ ボ ッ トを対 象 とす る。 こ の 時 ,多 関 節 ロ ボ ッ トは
,
各 関 節 に お け る 関 節 サ ー ボ 系 が ロ ボ ッ トの リ ン ク機 構 を 介 して 結 合 され た も の とみ
なす こ とが で き る。
と こ ろ で 単 純 な位 置 市U御 や 比 較 的低 速 で の軌 道 制御 に応 用 され る 関 節 形 油 圧 ロ ボ ッ
トに お い て は 各 関 節 に 独 立 した 関 節 サ ー ボ 系 が 構 成 さ れ る。 関 節 サ ー ボ 系 は,一 般
に は特 定 の 動 作 点 近 傍 で 望 ま しい 日標 値 応 答 特 性
(目
標 値 入 力 に 対 す る応 答 特 性 )を
示 す よ う に 設 定 され る。 と こ ろ が 一 般 に,ロ ボ ッ トに お い て は 姿 勢 や ベ イ ロー ドな
ど の 変 化 に よ り,ロ ボ ッ トの 動 力 学 的 特 性 (即 ち,関 節 サ ー ボ 系 か らみ た 負 荷 特 性
)
が 大 き く変 化 す る。 こ の た め,こ の よ う な 動 作 条 件 の 変 化 に 対 し,日 標 値 応 答 の 変
化 が 小 さ く,か つ 重 カ トル ク・ 摩 擦 トル ク な ど の トル ク外 乱 に 対 し,で き る だ け ロ
バ ス トな 関 節 サ ー ボ 系 を 設 計 す る 必 要 が あ る。 ま た ロ ボ ッ トに 限 らず 一 般 に サ ー ボ
シ ス テ ム の 設 計 に お い て は,日 標 値 応 答 特 性 と,外 乱 入 力 に対 す る 抑 圧 性 能 や バ ラ
メ ー タ 変動 に 対 す る ロバ ス ト性 (以 後 ,フ イー ドバ ッ ク特 性 と呼 ぶ
)を 適 切 に 設 計 す る
こ とが 要 求 され る
.
従 来 ,油 圧 位 置 サ ー ボ 系 は,お もに比 例 積 分 (PI)制 御 あ る い は 比 例 積 分微 分 (PID)
制御 が 実 用 され て きた。 こ れ に よっ て 定 常 位 置偏 差 は抑 制 され,比 例 ,積 分 ,微 分 の
各 ダ イ ン を適 切 に 設 定 す れ ば,か な り良 好 な応 答 が 得 られ る こ と もあ る.し か しな
が ら,各 ダ イ ンの 値 を 変 え る と上 記 の 2つ の 特 性 は 同 時 に 変 化 す る (1自 由度 制 御 系
で あ る)上 に,両 特 性 は,互 い に トレー ドオ フの 関 係 に あ る た め,要 求 され る 制 御 系
の 仕 様 を満 足 す る適 切 な ダ イ ンの 設 定 ま で に は 多 くの 試 行 錯 誤 を 繰 り返 す 必 要 が あ
る
.
2自 由度 市U御 系 (1'2)は 目標 値 応 答 特 性 と フイー ドバ ック特 性 を 2つ の 自由 バ ラ メー タ
に よ り独 立 に 設 定 で き る た め,要 求 され る 制御 系 の 仕 様 の 達 成 が 比 較 的 容 易 に な る
と い う利 点 を 持 つ。 こ の 特 徴 を利 用 す る こ とに よ り,例 え ば 直接 駆 動 関節 形 ロ ボ ッ ト
の よ う な機 構 的 に 低 減 衰 ,低 固 有 振 動 数 で,か つ 各 自 由度 間 の 干 渉 あ る い は 大 き な
負 荷 変 動 を 有 す る系 に 対 して も,制 御 性 能 の 改 善 が 有 効 に 成 され る 可 能 性 が あ る。
実 際 ,掘 らは 1リ ン ク電 動 ロ ボ ッ トの 駆 動 系 に 対 し 2自 由度 制 御 系 を 構 成 し,負 荷 変
動 に 対 す る ロバ ス ト性 の 効 果 を報 告 して い るい).
本 章 にお い て は,ま ず 1リ ン クiin圧 関 節 駆 動 系 の 基 礎 方程 式 とそ れ を 線 形化 した 制
御 対 象 モ デ ル を 導 く。 そ の 後 2自 由度 制 御 系 の パ ラ メ トリゼ ー シ ョ ン に 基 づ い て 目標
値 応 答 特 性 を 参 照 モ デ ル に 一 致 させ , トル ク外 乱 に 対 して ロバ ス トな フイー ドバ ッ
ク特 性 を 有 す る 油 圧 位 置 サ ー ボ系 の 設 計 法 を示 す(4)。
また圧 力 ,速 度 フイー ドバ ック
を応 用 す る こ とで コ ン ト ロー ラの 次 数 低 減 化 を計 る。 な お,コ ン ト ロー ラ を デ イジ
タル コ ン ピュー タで 実 現 す る 場 合 ,サ ー ボ コ ン トロー ラ の 設 計 法 と して,制 御 対 象 を
離 散 時 間系 と し て 表 現 し,こ れ に 基 づ い て 離 散 時 間 コ ン ト ロー ラ を 設 計 す る 方 法 と
制 御 対 象 の 連 続 時 間表 現 に 基 づ い て ア ナ ロ グ コ ン ト ロー ラ を 設 計 した 後 ,離 散 化 し
て,離 散 時 間 コ ン トロー ラ の 実 現 を 計 る 方 法 が 考 え られ る。 本 研 究 に お い て は DSP
を 用 い て コ ン ト ロー ラ を 実 現 す る た め,十 分 短 い サ ン プ リ ン グ 時 間 が 実 現 で き る こ
とを 前 提 と して,後 者 の 方 法 を用 い る.こ の 方 法 は 広 く用 い られ て い る が ア ナ ロ グ
コ ン ト ロー ラ の 離 散 化 処 理 に 伴 な う制 御 系 の 安 定 性 ,ロ バ ス ト性 へ の 影 響 に つ い て
は 従 来 ほ とん ど議 論 され て い な い。 本 研 究 に お い て は 設 計 の 際 に 無 視 した サ ー ボ 弁
動 特 性 や 非 線 形 性 ,あ る い は低 次 元 化 や 離 散 化 手 法 に よ る応 答 性 や 安 定 性 へ の 影 響
に つ い て の 検 討 を 数値 解 析 と実 験 を 通 し て 行 う。 特 に サ ー ボ 増 幅 器 の 飽 和 に 起 因 す
る安定性 の劣化 については,Ltc′ JjJθ η:九ι
rα ι
ε
/5,0の 考 え方 を用 い て不安定化 を防
θ
∫
止す る方法 を提案 し(η ,そ の効果 を実験 によ り示す
.
2.2 1リ
ン ク油圧 関 節 駆動系 の 基 礎 方 程 式
本研 究 にお い て は図 2.1に 示 す サ ー ボ増 幅器,サ ー ボ 弁 ,油 圧 モー タ (揺 動 モー タ)お
よび 油 圧 モー タに 直結 され た 慣性 負 荷 (以 後 アー ム と呼 ぶ)に よって構 成 され る 1リ ン
ク油 圧 関節 駆 動 系 を,ま ず 制御 対 象 と して扱 う こ と とす る。図 2.2は サ ー ボ弁 の 主 案
内弁 で あ る ス プー ル弁 と油 圧 モー タ (シ ン グ ル ベ ー ン形 揺 動 モー タ)の 結 合 系 を 模 式
的 に示 した も の で あ る.以 下 に制 御 対 象 の 基礎 方程 式 を要約 して 記 述 す る。
10
サ ーボ
負
荷
増 幅器
機
構
●θ
[__」 ,こ
り 路
図 2.]:1
Pl
司コ
ノT
│・
L_
θ θ
.
ン ク油 圧 関 節 駆 動 系 の プ ロ ッ ク 線 図
Lood
夕 の結 合 系
﹂ は サ
サ い
こ ら
(2.1)
出力 電 流
,
・
る に
る
れ
さ
わ
表
ω:∬ s=ξ ω:j
っ
圧 ぁ 、
嘔 で ょ
猜
tt
劫敵知
の 号 は
へ 符 性
器 は 特
>・ の
幅 <
is+2ξ υ
りυ
is
,Jは
(2.動
ここで 1.sは ス プー ル変位,ξυ
,ω .は サ ーボ弁 の減衰係数 と固有振 動数,(は 電流 一
ス プール変位変換係数 [た だ しξ=1と し,改 めて,Tsを 仮想 ス プール変位 とみな し,以
後 ξは省略す る]で ある
.
ス プー ル弁 は対称 でラップ量 は零 と し,排 油 ポー ト側圧力 を零 と仮 定す る と,ス
プール変 位 ″sに 対 し,サ ー ボ弁流量 は,次 の静特性式 で与 え られる もの とす る。
01=sgn(鳥 _■ )島 ∬
s
:
Qr :
Q,
sgn( P2)Ca.r"lZlPrl
sgn(Pl
(■
(2.3)
)Can"rMI
92=Sgn(鳥 一
<0)
2)島 Is
(∬ ∫
P・
ここ に o,民
(ゴ
s>0)
=1,2)は サ ー ボ弁 出 カ ポー トi側 の 流 量 お よび 圧 力 , 鳥 は供 給 圧 力
,
θごは流 出 係 数 で あ る。
油圧 モ ー タ内 の 作 動油 の 圧 縮性 を考慮 した 流 量 の 連 続 の 式 は
llill二
(2.4)
::III::
と表 わされ,こ こに И (i=1,2)は i側 弁出カ ポー ト部 か ら油圧 モー タ室 を含 む油 の全容
積,κ は作動油 の圧縮性 と流路壁 の弾性 を含 めた等 価体積弾性係数, Ocは 油圧 モー
タ内 の 1側 か ら2側 へ の漏 れ流量 で あ り,そ れぞれ以下 の よ うに表 され る。
1崎
二
均
:1:││
Oc=∬ c(PI一
(2.5)
P2)
(2.6)
こ こ に L。 は油 圧 モ ー タ軸 回転 角 θ=0度 に お け る И の 値 ,pυ は 油 圧 モ ー タの 1ラ ジ
ア ン当 りの 押 しの け容積 ,Icは 油 圧 モー タの 内部 漏 れ 係 数 で あ る
.
また 油 圧 モー タ軸 の発 生 トル ク Tは ,次 式 で 与 え られ る。
ア=pυ (Pl― P勁
(2.7)
アー ム の 運動 方 程 式 は
,
T=χ θ+μ θ十 ん
(2.8)
(θ ,θ )
ん(θ ,θ )=J(θ )一 τ
Sgn(θ )一
∫
Tc‐
,
〓
と記 述 され る.こ こ で ■fは モ ー タ 軸 と一 体 の アー ム の 慣 性 モ ー メ ン ト
,θ は ァ ー ム
回 転 角 ,μ は 粘 性 摩 擦 係 数 ,ダ (θ )は 重 力 項 ,7Jは ク
ロ ン 摩 擦 トル ク,
■ は外 乱 ト
ル ク を 表 す。 また ん
′
(θ ,j)は 重 力 項 ,タ ー ロ ン摩 擦 な どの 非 線 形項 を ま とめ た もの で
あ る。
以 上 の 式 (2.1)∼ (2.8)が 関節 駆 動 系 の基 礎 方程 式 で あ る が,以 下 にお い て 簡単 化 と
線 形 化 を行 い,さ らに 離 散 時 間 状 態 空 間表 記 を導 く。
サ ー ボ 弁 流 量特 性 は,準 定 常 状 態 ,即 ち,Pb‐ =鳥 +P・ 2を 仮 定 す る こ とに よ り
,以 下
の よ う に簡 単 化 で き る [複 号 同 順].
OL=sgn(鳥 土ミJσ d∬ ∫
√
土凡 L(″ s≦ 0)
(2.9)
θ五,凡 はそれぞれ負荷流量,負 荷圧力であ り
0二
=(01-02)/2, 比 =Pl一 鳥
と定義 される。また1/1=予 Ъ
=li/2[時 はサーボモータ内総容積]と 仮定すれば,式 (2.4)
は
ε卜乳
=OL― ∬c凡 一pυ θ
(2.10)
のごと く簡略化される.こ こにθP=乃 /4κ である.次 に式
(2.1)の サーボ増幅器特性
,
および式 (2.3)の 弁流量特性を線形化 してそれぞれ式 (2.11)と 式
(2.12)を 得 る
.
ti : Iia\e
dQt:If'ne:"*kprP1
馬
=警
ん
P=一
勢
(2.11)
(2.12)
=S群〈鳥 土 乳 。rdJ鳥 土 凡 。│← s壬 叫
=面
画ギζテ1要耳
←sI呻
ここに」
%。 ,o■ 。は動作点 の 乳 , o五 であ り,△ を付 した量 は動作点 か らの微小 変量
を表 し,複 号 は同順 とす る。 さらに式 (2.8)に お い て,タ ー ロ ン摩擦 と,外 乱 トル ク
を無視 すれば次式 のごと く線形化 される
.
△τ=」 Y△ θ+′ ι
▲θ+Ib△ θ
馬
(2.13)
=写
(2.14)
13
結 局 ,制 御 対 象 の 線 形 状 態 空 間 モ デ ル は 次 式 の ご と く表 わ さ れ る。
力 =A“
+btt
(2.15)
y=c■
is ▲
I]ι
▲θ ▲j lr
s ▲
・ =I△ ∬
鶴 =△ ε, 7=▲ θ
A=
0
1
-じ :
-2(ど ωυ
Jr/6'P
o
O
o
o
―
0
0
A卜 e/θ P
0
0
O
一
Ar.ω :
Jυ /θ P
, b=
0 0 o o l
0
0
0
0
'υ /Ⅳ
―氏 /∬
一μ/Af
0
C=[ooolo]
こ こ に IPc=ん Pttlcで あ る。 さ ら に 式 (2.15)を サ ン プ リ ン グ 時 間 rに つ い て 離
散化す
(2.16)
る
あ
レ
で
デ
泌 モ
ン 間
御
,
2.3 2自
十 と
表
.
る
中φ
れ
さ
れば
由度油圧位 置 制御 系 の構 成 法
こ の 節 で は前 節 で 導 い た 連続 時 間 線 形化 制御 対 象 モ デ ル に 基 づ き,2自 由度 位 置
制御 系 を 設 計 す る。 ただ し,以 下 に お い て は,動 力 学 的 特 性 や 重 カ トル ク, トル ク
外 乱 の 変 化 に対 して ロバ ス トな系 を 設 計 す る と言 う観 点 か ら,ア ー ム の 線 形 化 運 動
方程 式 (2.13)中 の 馬 を零 (即 ち,重 力 項 を無 視 す る)と して 設 計 を行 う。
式 (2.15)の 状 態 空 間表 記 に よ りuか ら yへ の 開 ルー プ伝 達 関 数 P(3)を 求 め る と
P(3)=C16・ I一
A] lb=σ υ(5)P。 (3)
(2.17)
ここに
PO(5)=
馬
s("t+c6s*b6)
=
A″。
4κ Ar.1″ _Dυ
1キ
M
14
.。
=4だ
A″
Pc十
分
ι
。=
上 昭¨
自 鋤
Ⅳ (S)=
参 2 0, .
.
2
,
ば
が る u fヽ
﹁冊村 討
P(3)=Ⅳ (3)/'(5)
(2.19)
埼
(tt+a6s*boX**r)
pO=土 ∈明
∈ 批(S)
と す る。 こ こ に cは 正 の 定 数 で あ り,掟 (3)は 安 定 で プ ロバ ー な 有 理 関 数 の 集 合 を 意
味する
.
P(3)に 対 す る 2自 由度 安 定 化 コ ン ト ロ ー ラ α s)は
Youla― BezOutバ ラ メ ト リ ゼ ー
シ ョ ン に よ り既 約 分 解 表 現 を 用 い て
θ
(5)=
(2,20)
図 2,312自 由度 制御 系
15
と書 け る
(1)
こ こに “
Y(15),1/(5)∈ 批(S)は Bezout方 程 式
-\'(')I'(') + t-(.-)l)(-*) :
の 特 解 ^Y(.5)=
1/‐
(3)=
(2.21)
1
■
∈
警
S2+(aO十 C)s+枯
(3)
+α oc
-*2+ass*&s
∈掟{5)
で あ り,ノ f(5),費 (5)∈ 批(3)は 自由 バ ラ メ ー タで あ る。
コ ン トロ ー ラ を式 (2.20)と 置 く こ と に よ り,日 標 値 応 答 特 性
Grν
(■
),フ イー ドバ ツ
ク特 性 ど
ν(3)は
『
θry(5)=Ⅳ (3)∬ (3)
Gピ y(3)={y(3)一
(2.22)
Ⅳ(S)R(S)}Ⅳ (3)
(2.23)
と な り,I(5),R(3)を 任 意 に 設 定 し得 る こ とに よ り
,
目 標 値 応 答 特 性 と フ イー ド
バ ック応 答特 性 を独 立 に 設 定 で き る。
式 (2.20)を 実 現 す る 2自 由度 制御 系 の 構 成 と して は,種 々 の も の が 考 え られ る が
,
こ こ で は 図 2.4に 示 す よ う な フィー ドバ ック型 コ ン トロ ー ラ を用 い る もの とす る と
,
図 2.3と 図 2.4と の 関係 か ら, コ ン トロー ラ C.(3), θβ(3)は
θ
・ (S)=
X(S)+R(3)'(3)一
∬ (S)
y(S)一 R(S〉V(3)
(2.24)
∬
θB(S)= y(S)― (5)
R(3)Ⅳ (3)
(2.25)
の ご と く表 さ れ る。
CB(3)
CA(3)
図 2.4:フ イー ドバ ッ ク型 2自 由度 制 御 系 の 構 成 図
16
こ こ で 目 標 値 応 答 特 性 を一 般 に 次 式 で 表 さ れ る n次 の 参 照 モ デ ル (ソ 蹴(.1)に 一 致 さ
せ る も の とす る
鈍 同
(2).
=1+α
lσ
S+02(σ ザ
+…
+oη
(σ 5ン
1全
にη
瓦缶
上 式 に お い て σは 応 答 速 度 を, oJ(j=1.… ・:■ )は 応 答 波 形 を 規 定 す る パ ラ メ ー タ で あ
る
.
上 記 の 参 照 モ デ ル と 目標 値 応 答 特 性 式 (2.22)と を等 置 し,I(3)に つ い て 解 け ば
則=需 =器
(2.27)
を得 る
.
次 に フ イー ドバ ッ ク特 性 の 設 計 に あ た リ トル ク外 乱 Tcと 等 価 な 図 2.4に 示 す 外 乱 ご
を考 え る と
ご(S)=E(3)■ (3)
E(3)=
Iノ
(2.23)
争s+4κ A卜 θ
4κ ムf。
と表 す こ とが で き る。 い ま トル ク 外 乱 た(5)が 70を 定 数 と し て
■
0=分
(2.29)
と表 され る と仮 定 す る.こ こ に 70は 定 数 で あ り,i(≧ 0)は 整 数 を と る も の と し,た と
えば i=0,1は それ ぞ れ ス テ ップ状 フ ラ ン プ状 外 乱 に対 応 す る。
トル ク外 乱 Ъ(3)に 起 因す る制御 出力 の 変 動 yご (3)は
yご
(3)=θ
dυ
(5)E(S)Ъ (3)全 ¬T/1/(s)
曜 →=
け.30)
とな る。 yご (3)→ 0(t→ ∞ )と な る た め に は,yご (3)∈ 批(5)が 必 要 で あ り,こ れ は
7(3)∈ 批(3)と 等価である.従 って Цs) ∈ 掟(3)か つ W(S)∈ 批(3)を 満 足 す る 自 由
バ ラメー タR(5)の 表現 を導 く必 要 がある こ の た め に R(3)を 新 た な 自由 バ ラ メー タ
.
R′
(5)∈
瓢 S)を 用 い て次式 のように表 す。
R(3)={'(3)R′ (3)十 ξ
,(∫ )ff(3)一 ∬(S)}'(3)
1
(2.31)
ただ しξ
J(S)は φ
.(5)の 第 i次 の項 までをとった sの 多項式 で あ り,7(5)が 自由バ ラ
メー タであるためには4(5)I(3)∈ Ц S)を 満 たす iの 範囲 をとる必要 がある.上 式 を
式 (2.30)に 代入 し,式
(2,19),(2,21),(2.26),(2,27)を
17
用 いて〃(3)に ついて解けば
出=
[一
・
器
}
(2.32)
をえ る。上式 は一般性 を失 う こ とな く自由パ ラメー タ o(さ )∈ 淀(5)を 用 い て次式 の よ
うに表 す こ とがで きる。
製 →全
ただ し0(3)は
α→
R′
(5)∈
掟(さ )と
11'「
(2.33)
(さ
1:●
町∬二
)∈
批(3)の 制約から
(2.34)
│
な る 自由 パ ラ メ ー タで あ る。=lる
〃 (3)を 式 (2.31)に 代 入 す れ ばR(s)が 求 め られ る
Ц S), I(3)が 定 するこ とに よ り,式 (2.24),(2.25)は
.
θJ→
=1_的 鵬
θB(3)=
十
(2.35)
T再夏
」IF七 千;耳百再1
(2.36)
J(S)}P(3)
{1-0(S)}{φ .(3)一 ξ
の ご と く表 され る
.
本 研 究 に お い て は 以 下 の 方 法 に よ リ コ ン ト ロー ラ の 簡 単 化 を 計 る。 制 御 対 象 の パ
ラ メ ー タ α。,3。 は 圧 カ フイー ドバ ック,速 度 フイー ドバ ッ ク に よ り調 節 可 能 で あ る(8).
い ま 調 節 後 の 制 御 対 象 モ デ ル を JL(3)と す れ ば
島
(S)=
∬0
(2.37)
s(s2*as*6)
αO+∬OM」
b=姑 +埼
=α
iっ
レ
」
:十
.几 )
ここにん,∴ は圧力,速 度 のフイー ドバックダインであ り,そ れらの値 はP(3)=
乳 (5)と した式 (2.35),(2.36)中 の因子 1/1{φ η
(3)一 島(S)}鳥 1(3)]が 次式 を満たすよう
に決定する
.
θ
△ 二」
{φ
(2.38)
J(5)}fL(5)=SI
ls)一 ξ
た だ し上 式 よ りα,b,I〔 `が 決 定 で きるた め に は参 照 モ デ ル と して 電=J+3な る 次
数 を 選 択 す る 必 要 が あ る。 式 (2.38)を 満 足 す る α,ら ,Iσ は
α
=f章 i,卜 」
+3%+3
鞣,Xσ =馬 ♂
18
表 2.1:一 般 参 照 モ デ ル の 係 数(2)
参照 モデル
α
Buttelu,or.th
〕
4
02
l
a‐ 1
1
0.5
0.125
1
0.5030
0.1479
ITAE
3
0.3789
0.1006
nll■ lriluin
4
0.4664
0,1067
Ressel
3
0.4
0.0667
4
0.4268
0.09524
3
0,3333
0.03704
0.3750
0,0625
Binorninal
0,02188
0.01882
0.009524
オ吐
0.003906
と 決 定 さ れ る。 い ま,参 照 モ デ ル と して Butterwortllモ デ ル ,ITAE(Integral of Time
lmモ デ ル ,Besselモ デ ル ,Binominalモ デ
multipled by Absolute valuc Of Error)miniln■
ル を考 え る と,例 え ば j=0, 1に 対 応 す る φηの 次 数 ,1=3,4に 対 し,α (プ
」
=j+1∼
J+3)は 表 2.1の ご と く与 え られ る。
この と き式 (2,35),(2.36)は
ぬ
‖=1_α →
│≠ #iキ
+
κθ{ξ f(3)一
1}│
(2_39)
St
Iθ
εЪIS)=si{1-0(3)}
(2,40)
と簡 略 化 す る こ とが で き,日 標 値 応 答 特 性 及 び フイー ドバ ック特 性 は
%0=品
%0坤 ―
醐[― ザ }島 ‖
(2.41)
(2.42)
ill耳
とな る.ま た ロバ ス ト性 の 指 標 と な る感 度 関 数 S(3)は
銅
=刷
印
―用
Щ
H一
醐
一
十
詰
}
(2.43)
とな る
.
2.4
コ ン トロー ラの 離 散化 と閉 ル ー プ系 の 安 定性
本 研 究 にお い て は,連 続 系 と して 設 計 され た コ ン トロー ラ を離散 化 し,デ ィジ タル
的 に 実現 す る 方 法 を とる。 こ の 場 合,連 続 系 で 安 定 性 が 保 証 され て い て も,離 散 化
19
に よっ て 振 動 的 あ る い は 不 安 定 と な る 可 能 性 が あ る.一 般 に シ ス テ ム や コ ン トロー
ラの 離 散 イヒに 関 して は z変 換 が 用 い られ る こ とが 多 い が,制 御 対 象 の 次 数 が 3次 以 上
の 場 合 に は,離 散 化 した 系 が 非 最 小 位 相 系 と な り,逆 シ ス テ ム を含 む コ ン ト ロー ラ
は不 安 定 とな る 可 能 性 が あ る(9)こ と,サ ン プ リ ン グ 時 間 rを 零 と した 時 に 表 現 が 連
続 系 と一 致 しな い(1° '11)な どの 問 題 が 指 摘 され て い る。
そ こ で 本 節 に お い て は 離 散 化 に 伴 う開 ル ー プ 系 の 安 定 性 に 注 目 して,適 切 な コ ン
トロー ラ の 離 散 化 公 式 に つ い て検 討 す る。 また 前 節 の 設 計 に お い て は 無 視 した が
,
実 際 の 系 に は 含 まれ る サ ー ボ 弁 動 特 性 が 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て も検 討 す る。
2.4.1 コ ン トロー ラの 離 散 化
∬θc,(g
1)=θ θ
{S)ls→
÷警
た だ し z-1は 1サ ン プ ル 遅 れ を表 す トラ ンス ミッ タ ンス で あ り,θ θ(s)│∫ → 。は,伝
達 関 数 θσ(s)中 の ラプ ラ ス 演 算 子 sを ,で 置換 す る こ とを 意 味 す る。
また z変 換 ,差 分近似 ,Tustin近 似 の 各 離 散 化 公 式 は そ れ ぞ れ
z変 換
∬θ (Z 1)=Z[∬ (3)θ θ(3)]
『
20
(2.46)
HPm(zJ)― ――
ゝ
r′
HC日 (= 1)
HoCsI
______二
ヽ
___ノ
図 2.5:離 散 時 間 2自 由度 コ ン トロー ラ の 構 成 図
差 分 近似
Tustin近
∬θσ(z 1)=θ σ(5)│.s→ 1-3 1
似 ∬θσ(= 1)=Gσ (3)15→
子汗卦
(2.47)
(2.48)
と表 され る。 こ こ に ∬0(s)は 0次 ホー ル ダで あ る。 た だ し,前 述 の ご と く多 段 解 法 に
お け る β=1の 場 合 は,前 進差 分 近次 で あ る た め,上 記 にお い て は差 分 近 似 と して 後
退差 分 近似 を用 い て い る。
上 記 の各 方 法 に よ り式 (2.39),式 (2.40)で 記 述 され る2自 由度 コ ン トロー ラ σ■(3),
離 散 化 した コ ン トロー ラ ∬θ.{g 1),∬ εЪ(g 1)を 用 い た系 の 等 価 プ ロ ック線
1)は
図 を 図 2.5に 示 す。た だ し∬Pm(■
,図 示 の ご と く負荷 圧 力,速 度 フイー ドバ ック
6Ъ (3)を
をディジ タル 的 に行 っ た の で,そ れ に対 応 す る 図 2.5の 破 線枠 内 の パ ル ス 伝 達 関 数 を
z変 換 法 に よ り求 め た も の で あ る。
2.4。
2
閉 ルー プ 系 の 安 定 解 析 とそ の 結 果
図 2.5の 開ルー プ系 の安定条件 は特性方程式
1+{∬ θ (2 1)+∬ σB(2
・
1)}〃 Pm(z
1)=0
(2.49)
か ら得 られ る特 性 根 z=λ の す べ て が 単 位 円 内 に 内 包 され る こ と (lλ l<1)で あ る。 実 際
の 安 定 性 の 数 値 解 析 は 図 2.5の 開 ル ー プ系 の 離 散 化 状 態 方 程 式 を導 き行 列 の 固 有 値 演
算 ラ イ プ ラ リを 用 い て 行 った。
安 定 性 解 析 お よ び 数 値 シ ミュ レー シ ョ ン に 用 い た 制御 対 象 の 諸 元 を 表 2.2に 示 す。
こ れ らの 諸 元 は,次 節 の 実 験 系 に お け る公 称 値 に 対 応 して い る。 また 2自 由度 コ ン
ト ロー ラ の 仕 様 は,設 計 した コ ン トロー ラ の 性 能 を検 討 す る上 で の一 例 と して,次
の よ う な 要 求 仕 様 を 考 え る。
,
製
∬ 時 島 毎 ら κ ∴
表 2.2:数 値 計 算 に 用 い た 各 諸 元
1
kgrrr2
ι
メ
9.5
211
crrt3
pυ
42.5
5。
1,88
cn3 f
[s'nrA'(NII'a)o
5]
crn3/ (s.m
5.0
乳
。
んPε
)
1,14
750
h{Pa
Ar.
7.0
VIPa
Cs
こ
s/1ヽ 1(l
(11113/1.a,(l
卜
IPa.
0
690 rad/s
0.74
NIn・
Cm3/(S・ LIPa)
(110 HZ)
3.0
±10.0
11lA/V
「
ヽ
一 般 に ロ ボッ トの位 置 制御 に お い て は大 き な オーバ ー シ ュー トは望 ま し くな い。 そ
こ で 目標 値 応 答 特 性 を 規 定 す る参 照 モ デ ル と し て は 表 2.1中 の 各 種 の 参 照 モ デ ル の 中
で オーバー シュー トが ほ とん ど零 で 整 定 時 間 の 短 い Besselモ デ ル を採 用 した.ま た
,
フィー ドパ ッ ク特 性 は 最 も簡 単 な 場 合 を対 象 に ス テ ッ プ 状 トル ク外 乱 に 対 し ロ バ ス
ト性 を 有 す る こ と と し,式 (2.29)に お い て j=0の 場 合 を検 討 の 対 象 と し た。 また 自由
バ ラメー タO(3)は フイ ド バ ツク特性 に大 きな影響 を与 え る [式 (2.42)参 照]が ,た と
えば これを式 (2.42),(2.43)中 の 1-C(s)を 低 域違断特性 を持 つ ように設定 すれ ば
,
外乱抑制能力 や ロバ ス ト性 が重 要視 される低域 における性能 を改善 し得 る [1自 由度
制御系 の場合,0(3)=0で ある い ま,式 (2.34)の 制約条件 を満足す る 自由バ ラメー
l。
タ0(3)の うち最小次 数 の ものを考 え ると,実 現 し得 るフイー ドバ ック特性 のクラス
に違 い はない。そ こで,最 も表現 が簡単 な次式 の形 を選択 した。
0(S)=
(2.50)
(鴫 J+1)3
(1)離 散化 手 法 に よ る 安定性 の 相 違
目標値 応 答 を規 定 す る パ ラ メー タ σをσ=0.02sと し,サ ー ボ弁 動特 性 を無 視 した線
形 3次 の 制御 対 象 を 仮 定 した 閉 ルー プ系 の 安 定 解 析 結 果 を横 軸 にサ ン プ リ ン グ時 間
r,縦 軸 に 自由 パ ラ メー タ α 5)の 係 数 T9を
とっ て 示 す と図 2.6と な る。 図 に お い て 各
曲線 の上 側 が安 定 領 域 ,下 側 が 不 安 定 領 域 を 示 して い るが,離 散 化 手 法 に よ り安 定
限界 にかなりの違 いが見 られる。連続系 では任意 の■ に対 して安定 であることを考
慮す ると,離 散化公式 の うち連続系 に対す る近似度 の良い ものほど同一サ ンプリン
グ時 間 に対 し小 さな ■ の安定 限界値 を与 える ように推測 されるが,図
22
2,6の
結果 に
MuLtl.-step (F=2
∽ E ロト
Z-transf o::m
MuItl,-srep
0.5
Dlfference
Approximatlon
TustLn
Approximation
0。 1
0。
05
10
0。 1
丁
ms
図 2.6:離 散 化公 式 に よる安 定 性 の 違 い
お い て は z変 換 を用 い た 場 合 の T9の 安 定 領 域 が 近似 度 の 低 い後 退差 分 近 似 よ りも狭
く,ま た,一 段 解 法 (β =1),二 段 解 法 (β =2)の 比 較 に お い て も同様 の 逆 転 が見 られ
,
上 述 の推 測 は 妥 当 で な い こ とが わか る.な お 式 (2.42),(2.50)よ り鴫 が小 さ い ほ ど外
乱 抑 制性 が 向 上 す る こ とが 知 れ るが,こ れ を考 慮 す れ ば同 一 のサ ン プ リ ン グ時 間 で
小 さな 場 の値 を と り得 る Tustin近 似 あ る い は 後 退差 分 近似 が外 乱抑 制 に 有利 で あ る
と考 え られ る
.
(2)サ ーボ 弁 固有 周 波 数 が 安 定性 に 及 ぼす影 響
次 にサー ボ弁 動特 性 が 閉 ル ー プ系 の 安定性 に 及 ぼ す 影 響 を,Tustin近 似 に よ り離 散
化 した コ ン トロー ラ を用 い た 場合 に つ い て図 2.7に 示 す。た だ しσ=0.02s,弁 の 減 衰 係
数 を 島=0.74と し弁 固有 周 波 数 ωυ(バ ン ド幅 に は ぽ一 致 )を バ ラ メー タ と して 安 定 限
界 を 示 した もの で,曲 線 の上 側 が 安 定 領域 ,下 側 が 不 安 定 領域 で あ る.図 2.7よ り
,
例 え ば 固有 周 波 数 ωυ
÷100HZの サ ー ボ 弁 を用 い る場 合 に は,弁 動特性 を無 視 した 場 合
に 比 べ 馬 の 安 定 限 界 値 が 大 き くな リ フイー ドバ ック 特 性 の 劣 化 が 予 測 され る。 ま た
図 2.8は 図 2.7の ωυ
=100Hzの 場 合 に つ い て σをバ ラメー タ と して 馬 の 安 定 限 界 を示 し
た も の で あ る。 図 よ りσを小 さ く し,日 標値 応 答 を 早 め るほ ど 9の 安 定 限 界値 が 大
「
23
ω
v=100111
∽E
1
げト
0.5
mt
叡 / 魚 va■組血
ve dyn血 cs
0.■
0。
01市
10
丁
ms
〓
[r
,
図
サ ー ボ弁 固 有 周 波 数 の 安 定 性 に 及 ぼ す 影 響
l
∽匡 げト
ω v=■
0.5
00Hz
0.1
ms
図 2.8:時 定 数 σが 安 定 性 に及 ぼ す影 響
き くなって お り,日 標 値 応 答特性 を規 定 す るパ ラ メー タ σとフィー ドバ ック特 性 を規
定 す るパ ラ メー タ 場 の 間 の独 立 性 が 損 な われ,両 特 性 の 間 で の トレー ドオ フが 必 要
とな る こ とが わ か る。
と こ ろ で 上 述 の ご と くサ ー ボ弁 動 特 性 が 制御 性 能 の 低 下 を招 く こ とが 示 され た の
で,次 にそ の 補 償 に つ い て検 討 した。 い ま弁動 特 性 を表 す伝 達 関 数 Gυ (3)の 逆 関数 を
含 む 次 式 の プ ロパー な伝 達 関 数
鋼
→
=椰
2
P叫
を持 つ 要素 を制 御 対 象 の 前 に直列 に 挿 入 し
24
(14),こ
れ をTustin近 似 に よ り離 散 化 して
I肌
咄朧tレ
∽E
ニニ耳ン
げト
witlrout
4,<
valve
/
0.1
0。
dynarnics
05
0.■
丁
ms
図 2.9:サ ー ボ 弁 動 特 性 を 補 償 した 系 の安 定 性
デ イジ タ ル 的 に 実 現 す る も の とす る。
図 2.9は ωυ
=100Hz,ξ υ
=ξ c=0.74と し,ω c/ω υをバ ラメー タ と して弁動特性 の補償 を
行 った系 の安定限界 を示 した もので比較 のために図中には無補償 系 [制 御対象 に Gυ (3)
を含む]と 弁動特性 を含 まないrr(3)=lIと 仮定 した場合の結果 もそれぞれ破線,一
点鎖線で示 してある。図に見 るごとく上述の弁動特性補償に より,■ の安定限界は
低下 し,ω c/ω υ
=10で は弁遅れのない系 にかな り近づいていることがわかる。
2.5
数 値 シ ミュ レー ショ ンの 結 果 と考 察
本 節 で は 実 験 に 先 立 ち,図 2.5の 離 散 時 間 コ ン トロー ラ を 用 い た 閉 ルー プ系 の 応 答
を 数 値 シ ミュ レー シ ョ ン に よっ て 求 め,そ の 結 果 に つ い て考 察 す る。 制御 対 象 は 離 散
化 お よ び 線 形 化 を せ ず に 式 (2.1)∼ (2.8)を Rung← Kutta― Gill(RKG)法 を 用 い て 計 算 し
た 非 線 形 連 続 時 間系 で あ る。
な お, 日標 値 応 答 特 性 を規 定 す る 参 照 モ デ ル,フ ィー ドバ ッ ク特 性 の 要 求 仕 様 ,自
由 パ ラ メ ー タ,お よび 制御 対 象 の 諸 元 は 2.4で 用 い た も の と 同 じ も の を 用 い る。
25
2.5。
1
系 内 の 手F線 形 性 が 性 能 に 及 ぼ す 影 響
2.=1.2の
安 定 解 析 結 果 に よ り,離 散 化 公 式 及 び サ ー ボ 弁 動 特 性 が 系 の 安 定 性 に 及 ぼ
す 影 響 が 明 らか に なっ た.本 項 に お い て は,コ ン ト ロー ラ 設 計 に お い て 無 視 した 系
内 の 非 線 形性 の 影 響 に つ い て 検 討 す る。
安 定 解 析 結 果 に基 づ い て 安 定 な パ ラメー タ Ъ を設 定 し た 2自 由度 制御 系 の応 答 を
次 の 5つ の場 合 に つい て 数値 シ ミュ レー ション に よ り求 め た。貝口ち制 御 対 象 を モ デ ル
と同 一 の線 形 3次 系 と した場 合 (L3系 と記 す),弁 動特 性 を 考慮 した線 形 5次 系 と した
場 合 (L5系 と記 す),お よび 弁 動 特 性 に 加 え て式 (2.1)の サ ー ボ増 幅 器 の 飽和 特 性 と式
(2.3)の サ ー ボ 弁 の 流量 特 性 の 非 線 形性 を考 慮 に入 れ た 非 線 形 5次 系 と した 場 合
(N5
系 と記 す),さ らに L5,N5系 の そ れ ぞ れ に 弁 動 特 性 の 補 償 を加 え た 場 合 (LC5系
NC5系
,
と記 す)で あ る
.
(1)日 標 値 応 答 特 性
図 2.10は サ ン プ リ ン グ時 間 T=0.5ms,σ =0.02sと し,ス テ ップ 入 力 T=0.026ra.d(1.5
度 )に 対 応 す る応 答 を数 値 シ ミュ レー シ ョ ン に よ り求 め た も の で あ る.図 (a)は 弁 動
特 性 を補 償 しな い L3系 ,L5系 ,N5系 の 鶏 =3msに 対 す る応 答 で あ り,ま た 図 (b)は
弁動特性 の補償 を行ったLC5系 ,NC5系 でr9=o.3ms,ω c/ω υ
=100Hz)と した
=10(ω υ
場 合 の 応 答 を示 す.両 図 にお い て上 図 が 位 置応 答 ,下 図 が サ ー ボ 電 流 で あ る。
図 (a)に お い て は L3系 が 参 照 モ デ ル の 応 答 と一 致 す る 良好 な応 答 を示 して い る の
に対 し,L5系 は 弁動特性 の 影 響 に よ り馬 の安 定 限 界値 が 大 き くなって お り,こ の た
め 鶏 =3msに お い て も微 小 な 振 動 が 現 れ て い る (こ の 場 合 ,安 定 限 界 値 は 鴫 =0.24ms
で あ る)。
こ れ に対 し,弁 動特 性 の 補償 を行 った 図 (b)の
LC5系 にお い て は,図
(a)の
L5系 に比べて■ が1/10(=0.3ms)で あるにもかかわらず不安定化せずに,L3系 と一
致 す る 良好 な応 答 を示 して い る。 しか し非 線 形 を 含 む N5系 ,NC5系 の 応 答 に は 大 き
な オー バ ー シ ュー トが見 られ ,特 に NC5系 の 場 合 に は不 安 定 となっ て い る。 これ らの
非 線 形 系 の ス テ ップ応 答 に お い て は サ ー ボ 電 流 jに 飽 和 が 生 じて い る こ とが 図 (a),
図 (b)の 下 図 か ら認 め られ る (飽 和 電 流 Jmarは
30mAで あ る).
そ こ で 非 線 形 性 に よる 系 の 応 答 の 劣 化 が サ ー ボ 増 幅 器 の 飽 和 に 起 因 す る も の か 否
か を 明 らか にす る た め,適 当 な 台 形 速 度 波 形 に 対 応 す る 位 置 信 号 を入 力 と して飽 和
を避 け た 場 合 の 種 々 の 系 の 応 答 を 求 め,そ の 結 果 を ま と め て 図 2.11に 示 す .図 2.10と
26
01p5
0。
可
可
05
可
H
H
“
ゝ
ゝ
0
0
50
50
1
1
0
0
-50
0
丁ime
Tlme
t B
t s
`
(o)Uncompensoted
(b}Compensated
〔
丁q=003ms)
(Tq=3ms)
図 2,10:
日標値応答 (ス テップ入力
)
0.3
"H■
NC5
L3′ L5′ LC5′ N5′
ゝ
0
25
1
L3′ L5′ LC5′ N5′
NC5
OH 0
-25
丁ime
t s
図 2.11:目 標 値 応 答 (台 形 目標 速 度 入 力
)
一︱
コ
,
同様 に 上 図 が位 置 応 答 ,下 図 が サ ー ボ 電 流 を示 す。 図 よ り飽 和 を生 じな い よ う な 入
力 条 件 下 に お い て は 線 形 ,非 線 形 系 に か か わ らず 応 答 ,サ ー ボ 電 流 と も,ほ と ん ど
完全 に 一 致 して お り,図 2.10の 非 線 形 系 の 応 答 の 悪 化 の 原 因 が 飽 和 特 性 に あ る こ と
が 確 認 され た。
(2)外 乱 応 答 特 性
次 に 図 2.12(a,)の ス テ ッ プ 状 トル ク 外 舌L(t=0で ONl■ か ら 50NInに 変 化 し,さ ら
に t=0.lsで -50NInに 変 化 す る)に 対 す る 応 答 を 図 2.12(b)∼ (d)に 示 す。 2自 由 度
系 (L3系 )と 同 じ 目 標 値 応 答 を 持 つ 図 (b)の 1自 由 度 系 [L3系 に お い て ∬α4(g 1)
=0,∬ θB(2 1)=Icと した 系 Iの 応 答 は 大 きな定 常 偏 差 を生 じて い るの に対 し,図
(c),
(d)の 2自 由度 コ ン トロー ラ を 用 い た 系 で は 定 常 偏 差 は 無 い 。 また 図 (c)と 図 (d)を 比
較す る と弁動特性 を補償 してい ない図 (c)に おいては,■ の安定限界値 が大 きい た
めに (安 定限界値 は現=2.4ms)鴫 =3msに おいて も極 めて減衰 の小 さな系 となってい る
のに対 し,弁 動特性 を補償 した図 (b)に おいては馬 の値 を よ り小 さくで きるため
,
300
10。
H
月
0
0
■ ・
ト
ゝ
-300
0。
{口
0
Time t
0。
2
-0。 03
Tlme t B
8
)DlSturbonce input
03
・
0
(b)
嘔” H
可d H
0。
03
0。
IDOF cOntroller
03
0
ゝ
ゝ
-0。 03
-0。 03
0。
T
0
Tlme
lme
(
(c)Uncompensated.
d) ComPensoted
(Tl‐ 3mS)
(丁
図 2.121外 乱 応 答
28
t
q=003mS)
B
外 乱 特 性 にか な りの 改 善 が 見 られ る。 な お 図
大 きな 担 違 は 無 い が,図 (d)に お い て は
I」
(7う
((・
)に お い て は,L5系 ,N5系 の応 答 に
系 ,N(ゴ う系 の 応 答 に差 が 認 め られ る。 こ
の NC5系 の応 答 に お い て は 前 述 の サ ー ボ 電 流 の 飽和 が 確 認 され,応 答 の劣 下 の 原 因
が 飽 和 特 性 に あ る こ とが推 察 され る。
2.5.2
入 力部 の 飽 和 特 性 に よ る 不 安 定 化 と そ の 対 策
前 項 で 制 御 対 象 へ の 過 大 な 入 力 を生 ず る 条 件 下 で は,サ ー ボ 増 幅 器 の 飽 和 と関 連
して安 定 性 の 劣 化 が 生 じ る こ と を 数 値 シ ミュ レー シ ョ ン に よ り明 ら か に した.こ の
現 象 は 飽 和 特 性 と コ ン トロー ラ に 含 まれ る 積 分 特 性 の 相 互 作 用 に 起 因 す る,い わ ゆ
る 積 分 器 の ワ イ ン ドア ッ プ と 同様 の 現 象 で あ る。 そ こ で 飽 和 時 に 積 分 コ ン トロー ラ
の 入 力 を抑 制 す る フイー ドバ ック を 施 した,い わ ゆ る “
Intelligent lntegratOr"と 同様 の
考 え方
(5,6)に
基 づ く飽 和 対 策 法 を 示 し,そ の 安 定 性 に つ い て 検 討 す る。
今 ,制 御 対 象 に 含 まれ る 非 線 形 性 が,サ ー ボ 増 幅 器 の 飽 和 特 性 のみ で あ る と し,こ
れ を等 価 的 に 次 式 で 記 述 され る コ ン トロー ラ 出 力 段 に 設 置 した 飽和 要 素 に 置 き換 え
て 考 え る こ と と す る。
r i
ヽ
〓
ノ
鶴
u;
lull 5 u",'
︱
ヽ
sgrr('u!)uo* lull >
(2.52)
tro,,,
こ こ に し卜が は 飽 和 要 素 へ の 入 力 ,出 力 を,uα mは 出 力 の 飽 和 値 を表 し,sgn(・ )は 符
号 関 数 を表 す.こ の 飽和特 性 を Nで 表 す もの とす れ ば飽和 対 策 を施 した 2自 由度 油 圧
サ ー ボ系 の 信 号 伝 達 線 図 は 図 2.13の ご と く表 され る (た だ し j=0の 場 合 を示 す).な お
離 散 時 間信 号 に は *を 付 した。 図 中 σ.(2-1),θ 31(= 1))θ 32(= 1)は , 2自 由度 コ ン ト
3)͡ LI_3)
図 2.131飽 和 対 策 を 施 した 2自 由度 制 御 系 の 信 号 伝 達 線 図
29
,
11_423 -1
・
手 ・
+ら
『
β(=
+3,
ご2=
′
1)=ε 31(3 1)十 θβ2(Z
σBl(=
(2.53)
2= 2
(
2+6ν
ィ
′
1=4ν
した も の で あ り次 式 で 与 え られ る。
8ν
+2ら ,η .3=去
子
わ
十
“
2+6, f/3=4ν 2_6ν +3,
ν=
L丁
=轟 Jl+J2g 1+ご
嘲¬
「■
■
1=轟 十α , 2= 轟
?l,tr f
レし
イ
>
l:
散
↓
ゃ
離 .
3
ラ rt.1(.彎 ),こ 13(・卜
)を Tustin iE'ft]
嘲
ソ
¨
h
ー
ょ 十
ロ
1)
(2.54)
1)=均
η る と
外
以
一 性
フ 定
。
P 法
方
2 変
5・
P に
︱
︱
θl(3)G2(5)
1+Dυ θ2(S)五 (5)
θl(S)θ 2(5)五 (3)
1+pυ θ2(5)五 (3)
GL(Z 1)
図 2.14:ル ー リ エ 系
30
>
式
5
嘲
]¨級 の
n
.
2
i
,
k
︲
し
p
に す γ
適
さ
。
る
け
表
を
¨
す
>
で
6
の一
に
換
と
1
>
.
式
上
鈍
日=Z{
=Z{
昨り
錮川=g{
}
・
cr(ぶ )″ 。)_掘
G← )二 ∬
.ん ∬
=)=│三
.姻 =出
」
`
(碁
-[ L'
θ2(3)=
●
ただ しg{・ }は Z変 換 を表 し, また制御対象 の前 に0次 ホール ダ〃。
(.5)を 置 き,弁 動特
性 ど
(5)も 考慮 した。 この とき安定性 に対 す る十分条件 と して (1).Pkillの 条件 は
`ド
■rJ♂ 殉>一 井
(2.56}
と書 か れ る。 こ こ に ∬ は 非 線 形 要 素 を 含 む セ ク 夕 の上 限 の 傾 き で あ り,今 の 場 合
,
式 (2.52)よ り∬ =1で あ る。
上 式 の 条 件 を満 た す 飽 和 対 策 にお け る フイー ドバ ック ダ イ ン γ(図 2.13参 照)の 範 囲
を,表 2.2の 諸 元 を 用 い て 計 算 し,サ ン プ リ ン グ 時 間 rを バ ラ メー タ と し,横 軸 に 7
を,縦 軸 に 自由バ ラメー タ の(5)中 の係 数 ■ をとって示 した ものが図 2.15で あ る。た
だ し目標値 応答 は次数 ll=3の Besselモ デ ル を採用 し,応 答速度 を規定す るパ ラメー
タσは0,04s,サ ーボ弁 の 固有角周波数 は実験系 の公 称値 ωυ
=690rad/sを 用 いてい る。
曲線上 の斜線 をつ けた側 が絶対安定 領 域 で あ る。 これは式 (2.56)の 十分条件 か ら得
られた ものであ り,図 中 の 曲線 は安定限界 を示す もので は ないが,斜 線側 の ダイ ン
を用 い る限 り安定 であ る こ とを意味す る。 図 よ りrを 一定 とした場合,■ をあ る値
300
100
T=
T=0.
0。
00■
0」 01
0。
1
図 2.15:絶 対 安 定 な γの 範 囲
31
Zme
以 上 に 設 定 す れ ば,式 (2.56)を 満 足 す る 7の 絶 対 安 定 領 域 が 存 在 す る が,飽 和 対 策 の
無 い場 合
「
=0に 対 応 }に は 安 定 性 は 必 ず し も保 証 され な い こ とが わ か る。 また サ ン
(っ
プ リ ン グ時 間
2.6
rが 長 くな る に つ れ て,絶 対 安 定 領 域 が 狭
ま る傾 向 が 見 られ る。
実 験 装 置 と実 験 方 法
実験 装 置全 体 の模式 図 を 図 2.1_6に 示 す .関 節 駆 動 用 油圧 ア クチ ュ エ ー タ と して シ ン
グ ル ベ ー ン形 揺 動 モー タ (東 京精 密 測 器 :吐 き出 し量 DF=42.5劇 n3/rad,揺 動 角 270度 )
を用 い,こ の 軸 にアー ム を 取 付 け,さ ら に 先 端 部 に 負 荷 質 量 を取 り付 け る。 ベ ー ン
モ ー タ は流 量 制御 形 サ ー ボ 弁
[東 京精 密 測 器:定
格 流 量 12r/11lin(13.7 MPa)]に よ り駆
動 され る。 サ ー ボ 弁 はモ ー タに 固定 され た 内部 配 管 を施 した プ ロ ックに 直 接 取 り付
け られ て い る.負 荷 圧 力 は ひず み 式 圧 力 変換 器 を用 い て,ベ ー ンモー タ接続 ポー ト部
Dlfferentlotor
Potent lometer
図 2.16:実 験 装 置 全 体 の 模 式 図
32
の
1,2側
の 圧 力 を そ れ ぞ れ 検 出 し,そ の 差 量 を と る。 また モ ー タ軸 角 変 位 は ポ テ ン
シ ョメー タ に よ り検 出 し, さ らに そ の 信 号 を ア ナ ロ グ 微 分 器 に 入 力 し て 角 速 度 信 号
を得 る.こ れ らの検 出信 号 を 12ビ ッ トA/D変 換 器 を 介 して CPU(PC-9801VM)に 取 り
込 み,浮 動小 数 点 型 DSP(μ PD77230-Ro3)に 入 力 す る。 この DSPで コ ン トロー ラ の す
べ て の 制御 演 算 を行 な う ソ フ トウェ ア サー ボ 系 を構 成 して い る。 制御 演 算結 果 は
,
CPITを 介 して12ビ ットD/A変 換器から出力 される。なお実験中,油 温 は,温 度調節
装 置 に よ リー 定 (40± 1° C)に 保 ち,作 動 油 に は ス ワ ル ー ブ RO-321日 本 石 油 (株 )製 ]を
用 い た。
こ の 系 の 主 な 諸 元 は 既 に 表 2.2に 示 して あ る。 ま た ,制 御 プ ロ グ ラ ム は Cと ア セ ン
プ ラ に よっ て 記 述 し,実 験 的 に 実 現 可 能 な 最 少 の サ ン プ リ ン グ 時 間 は r=o.5msで あ
る。 なお 実 験 は 2自 由度 コ ン トロー ラの 仕 様 を 数 値 解 析 と同 じ く,日 標 値 応 答 を 3次
の Besselモ デ ル と し,ス テ ッ プ 状 トル ク 外 乱 に 対 して ロバ ス ト (i=0), 自由 パ ラ メ ー
タ を式 (2.50)と した 場 合 に つ い て 行 っ た。
2.7
実 験 結 果 と考 察
図 2.17は 閉 ルー プ系 の応 答 を規 定 す る パ ラ メー タ を σ=0.04s,鴫 =10msと し,飽 和
対 策 の無 い 系
(γ
=0)に 0.52rad(30度 )の ,ス テ ップ状 入 力 を 与 え た 場 合 の 応 答 を示 し
た も の で,図 2.17(a)は 目標 値 応 答 波 形,図 2.17(b)は 制御 入 力 波 形 (サ ー ボ増 幅 器 入
力 電 圧)で あ る。図 に見 る ご と く,系 は不 安 定 振 動 を呈 し,制 御 入 力 は 飽和 を生 じ矩
形 状 波 形 を呈 して い る。 図 2.17の 実 験 条 件 は 線 形 近 似 理 論 に よれ ば 十 分 に安 定 な 条
件 に対 応 す るので,こ の様 な不 安 定 振 動 の 発 生 は,前 節 の 数値 シ ミュ レー シ ョン で も
見 られ た,系 に 含 まれ る 飽 和 特 性 と積 分 補 償 要 素 の 相 互 作 用 に起 因す る,い わ ゆ る
積 分 器 の ワイ ン ドアップ現 象 に類 似 した現 象 で あ る と推 察 され る。
こ の 不 安 定 現 象 が 飽和 に 起 因す る こ とを さ らに 確 認 す るた め,日 標 入 力 を適 当 な
台 形 速度 波 形 に対 応 す る位 置 信 号 と して,飽 和 を避 け て 目標 値 応 答 を 求 め た.そ の
結 果 を 図 2.18中 に 2DOFと 略 記 し 場 を バ ラ メー タ と して示 し た.こ の よ う に飽 和 の
な い 状 態 で は 不 安 定 振 動 お よび ほ とん ど オー バー シ ュー トの な い 良好 な応 答 が 得 ら
れ る こ とが 確 認 され た。 な お 図 2.18の 実 験 結 果 にお い て 場 に よる応 答 の 差 違 は ほ と
ん ど認 め られ な い が,こ の 事 実 は式 (2,22)の 目標値 応 答 が 略 に 無 関係 で あ る こ と と
対 応 して い る。 また上 記 2自 由度 制御 系 と同 じ 目標 値 応 答 を持 つ 1自 由度 制御 系
33
I図
l y
TLme
(0)output
t
s
0
ト ョ
-20。
Time t s
(b)input u
図 2.17:飽 和対策 の無 い系 のス テップ応答(r=o.5ms,σ =0.04s,島 =10ms)
.
可 可 H h
y : 2D0E (Tq=Sms , 10ms , 20ms )
y:lDOF
r
0
0
1
2
Time
S
図 2,18:台 形 速 度 波 形 に対 す る 目標 値 応 答 (r=o.5ms,σ =0.04s)
34
´
2.13に お い て C・ .(=1)=0,こ `B{= 1)=ゴ ヽ
r.と した系 で あ り
,lDOFと
略 記 す るIの 応答 も図
2.lS中 に示 したが,2自 由度 制御 系 の 応 答 とほ とん ど重 な り, また 図 2,18中 の応 答 す
べ て が 参 照 モ デ ル の応 答 に一 致 す る こ とを確 認 した。 以 上 の 結 果 か ら飽 和 が 不 安 定
現 象 の お も な 要 因 で あ り,飽 和 の 生 じな い 条件 下 に お い て は,2自 由度 コ ン トロー
ラ の 目標 値 応 答 は そ の 仕 様 を満 足 し,フ イー ドバ ッ ク特 性 (lI)と 独 立 で あ る こ とが
示 され た。 なお,図 2.18の 応 答 は,連 続 軌 道 で 与 え られ た 目標 値 に比 べ て 遅 れ を示 し
て お り,軌 道 制御 な どの 追 従 性 に 重 点 を置 く応 用 に対 して は 若 干 の 問 題 が あ る こ と
が うか が わ れ る
.
次 に,図 2.17に 対 応 す る実 験 条件 に対 し,前 節 で 示 した飽和 対 策 を施 した系 の応 答
波 形 を 7=0.02,0.2の 場 合 に つ い て 図 2.19に 示 す。図 に 見 る通 り,図 2.17の よ う な 不
安 定 振 動 の 発 生 もな く,オ ーバー シュー トも ほ とん ど無 い ほ ぼ 良好 な応 答 が得 られ て
お り,飽 和 対 策 の 効 果 が 確 認 され た。
また 図 2.20は サ ン プ リ ン グ 時 間 r=o.5ms, σ=0,04s, 日標 値 r=o.52radの ス テ ップ
入 力 の 場 合 にお い て,種 々 の 場 の 値 に お け る飽 和 対 策 の フイー ドバ ック ゲ イ ン 7の
安 定 限 界 を 実 験 的 に求 め,o印 (斜 線 を付 け た 側 が 安 定 )で 示 す と と もに,図 2.15の
r=0,5msに 対 応 す る 理論 的絶 対 安 定 領 域 を重 ね て 示 した も の で あ る。理 論結 果 は 式
(2.56)の 十 分 条件 を満 た す領 域 を 示 す もの で 実 験 的 に 得 られ た 安 定 限 界 とは 直 接 比
較 し得 な い が,図 に お い て 実 験 的 な γの 安 定 領 域 は 理 論 的 な絶 対 安 定 領 域 を 含 ん で
い る こ とか ら,理 論 的 な 絶対 安 定 領 域 内 の 7の 値 を用 い れ ば 系 の 安 定 性 は十 分 に保
証 され る こ とが わか る。 なお フイー ドバ ック ダ イ ン 7の 値 に よ る応 答特 性 へ の 影響 は
図 2,19に 示 した絶 対 安 定 領域 内 の 7に 対 して は,わ ず か に 7の 小 さな γ=0.02の 場 合
に オーバー シ ュー トが 見 られ る もの の 本 実験 にお い て は,そ の 影 響 は極 め て小 さかっ
Intelligent lntegratOr"を 用 い た 場合 の 応 答 特 性 は 7が 大 き い
た。 た だ し,南 野 ら は “
.
可耐 H h
F
Y=0r 02
γ=0。 2
1
Tttme
図 2.19:飽 和 対 策 を 施
t
s
した系 のステップ応答(r=o.5nls,σ =0.04s,■ =10ms)
35
300
d srabtllry
100
1lmi
t
Absolutely
s table
0
3
(Exper lmental)
0
■
切日
(Theore
tlcal)
〆
0。
0001
0。 Oo1
0。 01
0.1
1,
10
‐7
図 2.2017の 安 定 領 域 (r=o.5ms,σ =0.04s)
ほ ど改 善 され る と報 告 し て お り
(6),_般
的 に は 目標 値 応 答 を 考 慮 して 7の 値 を 決 め
る 必 要 が あ る と考 え られ る。
次 に 図 2.19に 目標 値 応 答 を 示 した 1自 由 度 制 御 系 (図 中
lDOFと
記 す ),及 び 飽 和 対
策 を 施 し た 2自 由度 制御 系 (図 中 2DOFと 記 す )を 用 い て,日 標 値 を r=Oradと し,あ
らか じめ 235Nmの 初 期 外 乱 トル ク (ア ー ム 自重 に よ る 85Nmの トル ク も外 乱 トル ク に
含 め て 考 え る)を 与 え て お き,整 定 後 に 150Nmの 外 乱 トル ク を ス テ ッ プ 状 に 除 去 す
る 方 法 で 外 乱 応 答 実 験 を 行 っ た 時 の 場 =5,10,20m5の 各 場 合 にお け る応 答 波 形 を そ れ
ぞ れ 図 2.21に 示 す (外 乱 変 動 時 点 は t=0。 2sに 揃 え て あ る)。 図 よ り1自 由度 制御 系 に お
い て は,初 期 外 乱 トル ク の 影 響 に よ り大 き な 定 常 位 置 偏 差 を 示 して お り,ま た 外 乱
0。
04
0
づ” H
二
:
聖
i:‖
Td=5ms
2DOF
h
-0。
04
TLme t I
図 2.211外 乱 応 答 波 形 (r=o.5ms,σ =0.04s)
36
トル ク の 変 動 後 も団 体 摩 擦 の 影 響 を 受 け て 偏 差 は あ ま り減 少 し て い な い (線 形 モ デ
ル か ら求 め た 初 期 外 乱 お よび 変 動 後 の 定 常 偏 差 は そ れ ぞ れ 0.033rad‐ 0.010radで あ っ
た
)。
な お 1自 由 度 制 御 系 に PI補 償 器 を用 い れ ば 定 常 トル ク外 舌Lに よ る偏 差 は 除 去 し
得 る が,こ の 場 合 目標 値 応 答 特 性 に 零 点 を生 じ る た め,参 照 モ デ ル と一 致 させ 得 な
ぃ
(15)。
こ れ に対 して 2自 由 度 制御 系 に お い て は,初 期 外 乱 に よ る定 常 偏 差 ,外 乱 変
動 後 の 定 常 偏 差 は 1自 由度 tlJ御 系 の 定 常 偏 差 に 比 べ て,極 め て小 さ く抑 え られ て い
る。また外乱抑制能力 を規定す るパ ラメータ■ の値が小 さくなるにつれて,外 乱特
性 が 向 上 す る こ とが わ か る。
次 に バ ラ メ ー タ 馬 を よ り小 さ くす る こ とで 外 乱 抑 制 能 力 の 更 な る 向 上 を 目的 と し
て 2.4項 で 提 案 した サ ー ボ 弁 動 特 性 補 償 を試 み た。 しか しな が ら,数 値 解 析 お よ び 数
値 シ ミュ レー シ ョン に お い て は十 分 安 定 で あ る 制御 バ ラ メー タ 島 ,ω c/ω υを 用 い,ま
た 制御 入 力 に 飽和 が生 じな い 台 形 速 度 波 形 に対 応 す る 目標値 入 力 を用 い た 場 合 で も
系 は不 安 定 な挙 動 を 示 した。 更 にバ ラ メー タ を 変 イ
ヒさせ て 実験 を行 った が ,結 局 サ ー
ボ弁 の 動 特 性 を改 善 しつ つ 場 の値 をサ ー ボ弁 動 特 性 の補 償 を行 な わ な い 場 合 よ りも
小 さ くす る事 は 出来 な かった。
こ の 理 由 を 明 らか にす る た め,市 U御 対 象 の モ デ ル 化 誤 差 ,サ ー ボ 弁 動 特 性 の モ デ
ル 化 誤 差 の 影響 に つ い て数値 シ ミュ レー シ ョ ン に よ り検 討 を行 った が,実 験 結 果 を説
明 す る こ とは で きな かっ た。
そ こ で 次 に 実験系 に生 ず る量子 化 の 影響 に つ い て数値 シ ミュ レー シ ョ ン に よ り検 討
を行 った.本 実験 系 に お い て は 浮 動小 数 点 型 DSPを 用 い た た め,丸 め な どの演 算 誤
差 は ほ とん ど無 視 す る こ とが で きる。 この た め,量 子 化 の 影 響 は 入 出 力 部 にお け る
12ビ ットA/D,D/Aコ ンバータによる離散値化 によって生ずるものだけ と考えてよ
い。 そ こ で 実 験 系 に お け る位 置
た り の )大 き さ Δ θ=5.O
"速 度 ,圧 力 ,制 御 入 力 電 圧 信 号 の 量 子 化 の (lLSBあ
x 10 4卜 ad/LSBl,
△ j=3.3x10
3[rad/S/LSBI,
△ PL=6.lx
て
シミュレーションを行っ
`=4.9x10 3[v/LSBI,を 考慮 し 数値
た結果 を図2.22に 示す.σ =0.04s,ω ε
ルT=3と し,1自 由度制御系 を用いた場合 (図 中
lDOFと 記す)と 2自 由度制御系 において鴫=31ns, 10msと した場合 (図 中2DOFと 記
10-31MPa/LSBI,△
す)の 応答である.2自 由度制御系においては場 をさらに小 さく取 ると数値的に発散
し,計 算不能 となった。図に見 る通 り,2自 由度制御系 I図 中,曲 線 2DOF(■ =3ms)]
の場合,量 子化によって不安定 な挙動 を示す場合があることがわかる
.
さらに図2.23は 上記の量子化誤差 を持つ場合 のサーボ弁動特性補償におけるωε
/ω υ
´‘
■
,
0。
09
0。
06
y:2DOF(3ms)
y:lDOFノ 2DOF(10ms)
0。
03
0。
5
Time
t
B
図 2.22:量 子 化 を考 慮 した 系 の 目標 値 応 答
とバ ラ メー タ 馬 の 変化 に対 応 す る安 定 限 界 を 示 した もの で あ る。 図 中 実 線 が 量 子 化
を考 慮 した 数 値 シ ミュ レー ショ ン に よ り安 定 判 別 を した 結 果 (斜 線 を 付 した 側 が 不
安 定),破 線 は 量 子 化 を考 慮 しな い 線 形 系 の 安 定 解析 を 図 2.9と 同様 に 行 っ た結 果 で
あ り, また o印 ,
x印 は そ れ ぞ れ 安 定,不 安 定 を表 す 実 験 結 果 で あ る。 数値 シ ミュ
レー シ ョン に よる安 定 限 界 と実験結 果 とが 定 性 的 に一 致 す る こ とか ら,実 験 的 にサ ー
ボ 弁 動 特 性 補 償 を施 し,場 の安 定 限 界 を小 さ くす る こ とに よっ て,フ ィー ドバ ック
特 性 を改 善 し得 な い 理 由 は 量 子 化 誤 差 に あ る と推 察 され る。従 来,量 子 化 誤 差 に つ
い て は 量 子 化 の 大 き さに相 当す る リ ミッ トサ イ クル の発 生 ,制 御 精 度 へ の 影響 が 報
告 され て い る(11'17)が ,図 2.22に 見 る様 な不 安 定 挙 動 が生 ず る こ とは 著 者 の 知 る 限 り
な い。 なお MiddletOnら は δオ ペ レー タの 導 入 に よっ て安 定性 を向 上 で きる可 能性 が
あ る こ とを指 摘 して い る(11)が ,こ れ に つ い て は今 後 の 課 題 と した い
.
上 記 の 検 討結 果 か ら,サ ー ボ弁動特 性 補 償 をディジ タル 的 に 実現 し,外 乱抑 制機 能
の 向 上 ,あ る い は 目標値 応 答 の 速応 性 の 向 上 を計 る こ とに は,限 界 が あ る こ とが 明
らか に なった。
38
3
コ
3
ミ.
Tg
ms
図 2.23:サ ー ボ 弁 動 特 性 補 償 と 安 定 性 の 関 係
一 量子 化 を考 慮 した 非線 形 シ ミュ レー ショ ン に よ る安 定 限界
――量 子 化 を考慮 しな い線 形系 の 数 値 解 析 に よる安 定 限界
実験結果 :○ 安定, x不 安定
2.8
結
ロ
油 圧 サ ー ボ 系 にお い て 弁 動特 性 を無 視 した 線 形 3次 制御 対 象 モ デ ル を 用 い,パ ラ
メ トリゼー シ ヨンに よ り導 か れ た 2自 由度 コ ン トロー ラを種 々 の 離 散 化公 式 に よ り離
散 時 間系 に 変換 した。 この 離 散 時 間 コ ン トロー ラ を実 際 の 系 に 適 用 す る 場 合 の性 能
を数値 解析 お よび 実 験 に よ り検 討 し,次 の よ う な 結 果 を得 た。
(1)離 散 時 間化 に よ り自由 バ ラ メー タに不安 定 領 域 が生 じ,こ
のため 2自 由度系 の
独 立性 お よび系 の性 能 は あ る程 度 制約 を受 け る。 日標値 応 答 を固 定 した場 合 ,Tustin
近似 ,後 退差 分 近似 を 用 い た 場 合 ,z変 換 ,多 段 解 法 を用 い た 場合 よ りも外 乱応 答 を
規 定 す るパ ラ メー タ 馬 の安 定 限 界 値 が 小 さ く,外 乱 応 答 に 有 利 で あ る。
・
(2)弁 動特性のバン ド幅が狭 くなるにつれバ ラメータ7bの 安定限界値 は大 きくな
る。
(3)制 御 対 象 に 含 ま れ る 飽 和 要 素 に起 因 して,入 力 条 件 に よっ て は オ ー バ ー シュ ー
39
卜の 増 大 や 不 安 定 振 動 な ど安 定 性 の 劣 化 が 生 ず る。 こ れ は一 般 に 積 分 器 の ワ イ ン ド
ア ップ と して知 られ る現 象 と同様 で あ る.こ れ に対 して飽 和 時 に フ ィー ドバ ック に よ
り積 分 補 償 器 へ の 入 力 を抑 え る安 定 化 対 策 が 有 効 で あ る
.
(4)(3)の
フィー ドバ ッ ク ダ イ ン 1の 理 論 的 な 絶 対 安 定 領 域 を示 し た。 7を こ の 領
域 内 に とれ ば 実 験 的 に も安 定 で 良 好 な応 答 が 得 られ る
.
(5)実 験 に お い て 弁 動 特 性 を デ ィ ジ タ ル 的 に補 償
して,フ ィー ドバ ッ ク特 性 を改
善 す る こ とは,困 難 で あ っ た。 そ の 原 因 は 主 に 実 験 系 に 含 まれ る 量 子 化 誤 作 に あ る
と推 察 され る
.
参
考
文
献
II― 達成可能な伝達関数および諸特性のクラスー
(1,原 辰次・杉江俊治,2自 由度制御系―
,シ
ス テ ム と制 御 ,30-8,(1986),457.
(2)重 政 隆・ 飯 野 穣 ・ 神 田 雅 江 ,2自 由 度 PIDコ ン トロー ラの オ ー トチ ュー ニ ン グ 方 法 ,計 測
と 制 御 ,27-4,(1988),305,
(3)梅 野 孝 治・ 堀 洋 一 ,2自 由 度 制 御 系 の パ ラ メ トリゼー シ ョ ン に 基 づ く ロ バ ス トサー ボ 系
の 設 計 ,電 気 学 会 論 文 集 D,109-11,(1989),825,
(4)望 月 宣 宏 ・ 松 井 隆,2自 由 度 デイ ジ タ ル 油 圧 サ ー ボ コ ン ト ロ ー ラ の 設 計
(ア ナ ロ グ コ ン ト
ロー ラ を離 散 化 す る 場 合 の 数 値 的 検 討 ),日 本 機 械 学 会 論 文 集 ,57-544,C)(1991),3813.
(5)Nikos J.Krikelis and S.K.BARKAS,Design of tracking systems subject to actuator satura―
tion and integratiOr wind― up,Internationd Journal CONTROL Vol.39,No.4っ
667.,(1984)
(6)南 野 活 樹・ 片 山 徹 ,サ ー ボ 系 の ワ イ ン ドア ッ プ に 関 す る 考 察 ,第 33回 自動 制 御 連 合 講 演
会 予 稿 集,(1990),147-148
(7)望 月 宣 宏・ 松 井 隆,2自 由 度 ディ ジ タ ル 油 圧 サ ー ボ コ ン トロ ー ラ の 設 計
(続 報 :飽 和 特 性
に 起 因 す る 安 定 性 の劣 化 とそ の 対 策 ),日 本 機 械 学 会 論
‡ 集 ,58-548,C,(1992),1086.
(8)花 房 秀 郎 ,関 節 型 ロ ボ ッ トの 制 御 を 目的 と した 電 気 油 圧 サ ー ボ系 の 設 計 ,油 圧 と空 気 圧
,
13-7,(1982),429.
(9)山 橋 浩 三・ 高 橋 浩 爾・ 池 尾 茂 ,適 応 制 御 理 論 の 電 気 サ ー ボ シ ス テ ム ヘ の 応 用 (非 最 小 位 相
問 題 とそ の 解 決 策 ),油 圧 と空 気 圧 ,21-7,(1990),688.
(10)水 野 直 樹・ 藤 井 省 三,近 似 離 散 時 間 モ デ ル を 用 い た 連 続 時 間系 の 適 応 制 御 ,計 測 自動 制
御 学 会 論 文 集 ,27-6,(1991),678.
(11)R.H.MiddletOn,G.C.Goodwin,Improved Finite llttord Length Chttacteristics in Dig¨
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40
112}石 動 善 久・ 島公 脩 .連 続 時 間 系 の デ ィ ジ タ ル 制 御 則 .シ ス テ ム と制御 ,29-4,{1985),259.
・
′r.し ル
.′ 15y∫ オ
εη2s-1も J包 ,71Fム (11)89},87-89,Sl)rillger― Verlag
“
(14)池 辺 洋・ 中 田毅 ・ 横 田 真 一・ 横 山 和 久 ,負 荷 無 反 応 形 電 気 ・ 油 圧 サー ボ 系 ,計 測 自動 制 御
{13)R.Iscrlllalllll υjク
j′
,ァ
学 会 論 文 集 ,16¨ 尊,{1980).391.
115)重 政 隆 ,零 点 を 有 す る 参 照 モ デ ル を 用 い た フィー ドフォ ヮー ドサー ボ 系 の 設 計 法 ,第 6回
Dynall■ ic Systelll Tlloolyシ ン ポ ジ ゥ ム,53.,(1983)
(16,GuthikOllda V.RAO,c‐ b,1lP脂 ″Dセ αJ σοれt,り I sy撃 fぐ ′
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Jι
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6b■ lrθ J ttSι ε
ms― yoJttmc Iみ (1991),22ア .,Springer― hrla・ g
(18)美 多 勉・ 原辰次・ 近藤 良,基 礎 デイジタル制御 ,(1988),147.,コ ロナ社
41
第 3章
3.1
緒
運 動 制 御 の た め の 油 圧 関 節 サー ボ 方 式
ロ
百 ボ ッ トにお け る運 動 (軌 道)の 制 御 を 各 関節 に配 置 され た モー タの位 置 制御 に よら
て実 現 し た 場 合 ,位 置 制 御 の 遅 れ や リ ン ク 間 の 干 渉 に よ り高 速 運 動 時 に は 軌 道 の 追
従 性 や 精 度 に 問 題 が生 じ る。 こ の た め,ロ ボ ッ トの 運 動 (軌 道 )市 U御 は 各 関 節 の 速 度
制御 ,あ る い は トル ク 制 御 に よっ て 実 現 す る 方 が 有 利 で あ る。 油 圧 ロ ボ ッ トに お け
る関 節 の 速 度 制 御 , トル ク 制御 は ,基 本 的 に は 各 関 節 に 配 置 され た 油 圧 モー タの 負
荷 流 量 あ る い は 負荷 圧 力 の 制御 と 考 え る こ とが で き る。
しか し,前 者 の 流 量 青U御 形 の 運 動 制 御 に注 目す る と,サ ー ボ 弁 負 荷 流 量 は,負 荷 圧
力
(ト
ル ク)の 影 響 を受 け, しか も 非 線 形 性 を 有 す る。 そ こ で 本 研 究 で は,DSPに よ
る高 速 演 算 機 能 を利 用 し て 負 荷 圧 力 の 依 存 性 ,お よび 非 線 形 性 の 補 償 を行 う負 荷 不
感 形 の 流 量 制御 法 に つ い て 検 討 す る
.
次 に トル ク制 御 形 の 運 動 制 御 法 に つ い て 注 目す る。 ロ ボ ッ トの 運 動 制 御 法 と し て
知 られ る 計 算 トル ク法 (1)は ,基 本 的 に は 制 御 対 象 の 動 力 学 モ デ ル に 基 づ い て 目標 運
動 に 必 要 な トル ク を計 算 し,ア ク チ ュ エー タ に 印 加 す る 方 法 で あ る。 い ま油 圧 系 に
お い て 負 荷 圧 力 の検 出 が 可 能 とす れ ば,ア クチ ュ エー タの 発 生 トル クが 既 知 とな る。
そ こで
DSPに
よ り高 速 トル ク計 算 を行 う こ とに よ り,計 算 トル ク 法 に よ る 運 動 制 御
が 実 現 さ れ る.し か し, こ の 場 合 ,計 算 され た トル ク を油 圧 ア クチ ュ エー タで正 確 に
発 生 す る 必 要 が あ るが,油 圧 モー タ に お け る発 生 トル ク は 速 度 に 依 存 す る。 こ の た
め 運 動 中 の 制御 対 象 に 印 加 す る トル ク の 制御 に 関 して本 研 究 に お い て は,速 度 の 正
フイー ドバ ック補 償 を提 案 す る。
3.2
負 荷不 感形流 量 制御方 式
一 般 に 油 圧 ロ ボッ トに 用 い られ る電 気油 圧 サ ー ボ弁 は流 量 制御 形 サ ー ボ弁 で あ り
,
ス プー ル 変 位 (サ ー ボ電 流 に ほ ぼ 比 例 )に よって 流 量 を市U御 す る 形式 の も の で あ る。
ス プー ル 変位 と流 量 の 関 係 は式 (2.3)で 与 え られ,圧 力 (即 ち油 圧 モー タ出 カ トル ク)
に依 存 す る 非線 形性 を 有 す る。 こ の た め,制 御 対 象 を特 定 の 動 作 点 で 線 形 化 した 公
称 モ デ ル に 基 づ い て制御 系 を設 計 す る と,負 荷 で あ る ロ ボ ッ トの 姿 勢 変 化 や他 の リ
ン ク か ら の 干 渉, トル ク外 乱 な ど に よ リ トル ク (負 荷 圧 力 )の 変 動 が生 ず る と,実 際
,
一
の 制御 対 象 と公 称 モ デ ル との 間 に 大 き な ず れ を生 じ,サ ー ボ 系 の 設 計 時 に 目的 と し
た 性 能 を 実 現 で き な い 可 能 性 が あ る。 そ の た め サ ー ボ 弁 の 非 線 系 特 性 を考 慮 し て
外 乱 抑 圧 能 力 を 持 つ 流 量 制 御 系 を 構 成 す る こ とが 望 ま しい
,
.
池 辺 ら は サ ー ボ 弁 の 負 荷 圧 カ ー流 量 特 性 モ デ ル に 基 づ い て 外 乱 抑 圧 特 性 を 持 ち う
る負 荷 無 反応 形 電 気 油 圧 サ ー ボ系 (η を提 案 し,ア ナ ロ グ電 気 回路 を 用 い て,サ ー ボ 弁
出力流 量 oLが 入 力 信 号 uに 対 して見掛 け 上 比例 す る系 (OL=κ 9・ )を 近 似 的 に実 現 し
て い る.ま た Katiこ ら も同様 な 考 え 方 に 基 づ い た 補 償 法 を ロ ボッ ト制 御 に応 用 し て
い る{鋤 .本 節 で は 池 辺 らの 負 荷 無 反応 型 サ ー ボ系 の 考 え 方 を 非線 形 補 償 に まで 拡 張
し,DSPに よ るデ イジ タル 演 算 で 実現 す る,流 量 制御 系 の 構 成 を検 討 す る。
た だ し,サ ー ボ 弁 の 流 量 特 性 式 (2.3)は 複 雑 な 形 を して お り,制 御 則 を導 くの に不
便 で あ るの で,準 定 常 状 態 を仮 定 した式
OL=sgn(Ps tt PL)θ
d″ sギ
(2.9)
IPs士 ′J,(■ s,0)
(3.1)
を用 い る こ ととす る。上式 に明 らかな ご と く負荷流量 o五 は負荷 圧 力 ′Lに 依存 し
,
両者 の関係 は非線形 であ る。 またサーボ弁 の動特性 [式
(2.2)]は
負荷 の運動 の周波 数
成分 に比べ て十分早 く無視 し得 る (″ s=J)と 仮定す る。
さて今,与 え られた目標流量 oLご に対 して,日 標 サーボ弁負荷流量 oLdを 発生す る
の に必要 なサー ボ電流 J(=″ s)を
j=OLご /11
(3.2)
と計 算 す る.こ こ に,Xlは 特 定 の 動 作 点 に お け る 定 数 で は な く,負 荷 圧 力 PLの 変
化 に伴 っ て
4=Sgn(Ps tt E静 島 /IP5・ 土 乳 │(″ sfの
(3.3)
で 求 め られ る 変 数 で あ り,以 後 ,負 荷不 感 線 形化 流 量 ダ イ ン と呼 ぶ [複 号 同順leこ の
電 流 Jを サー ボ 弁 に 与 え れ ば,即 ち式 (3.1)に お い て ■s=jと して 出 力 流 量 o.を 求 め
れば
OL=0■ J
(3.4)
とな り,サ ーボ弁出力流量 oLは 負荷圧力 に関係無 く,日 標流量 の上
【
fと 一致す る。
い まロボッ トの 目標運動 に必要 な流量 をOLこ と して,サ ー ボ弁負荷流量 を制御す
れば トルク外乱 に対 して ロバ ス トな運動制御 が期待 される。
43
3.3
トル ク 制 御方 式
サ ー ボ 系 にお け る高 速 運 動 制御 や あ る種 の ロ ボ ッ ト制御 機 能 は,ア クチ ュ エ ァ タの
発 生 トル ク制 御 に よ り実 現 す るの が 有 利 で あ る こ とは しば しば 指 摘 され て ぃ る11'5).
1)に
た とえ ば ロ ボ ッ ト制 御 に お け る計 算 トル ク法 〔
よ る軌 道 制 御 は そ の 代 表 で あ り
,
_
そ の 場 合 ,正 確 な トル ク 制 御 が可 能 で あ る こ とが 前 提 とな る。
電 気 駆 動 系 の 場 合 に は ,電 動 モー タ の 発 生 トル ク が 入 力 電 流 に ほ ぼ 比 例 し,伝 達
遅 れ も比 較 的小 さ い た め ,電 流 制 御 に よ りほ ぼ 正 確 な トル ク制 御 が 達 成 で き る。 一
方,油 圧 系 の 場 合 に は,油 圧 モー タ の 発 生 トル ク は 負 荷 圧 力 と比 例 す る (7=Dυ 乳
)
た め, トル ク 制 御 は 負 荷 圧 力 制御 と等 価 な も の と し て 扱 う こ とが で き る が ,負 荷 圧
力 応 答 に は式 (2.10)に 見 る ご と く作 動 油 の圧 縮 性 に 起 因 す る 遅 れ,お よ び 油 F■ モー
タの 軸 速 度 に よ る減 衰 が 存 在 す る た め,運 動 中 の 正 確 な トル ク制 御 に つ い て 検 討 し
て お く必 要 が あ る。
通 常 ,油 圧 ロ ボ ッ トで 用 い られ る サ ー ボ 弁 は 3.2節 で も述 べ た ご と く流 量 制 御 形 で
あ る.こ れ に対 し,圧 力 制 御 形 サ ー ボ 弁 と称 す る タ イ プ も存 在 す るい
)ふ
本節 にお いて
は,ま ず , トル ク (負 荷 圧 力 )を 制 御 し よ う とす る 今 の 場 合 ,ぃ ず れ の タ イ プ の サ ー
ボ 弁 が 適 す る か に つ い て 検 討 す る。 次 に 作 動 油 の 圧 縮 性 が トル ク制 御 に 及 ぽ ず 影 響
を検 討 す る た め に,油 圧 モー タ軸 を 固 定 した 静 的 な トル ク 制 御 に つ い て 検 討 し,さ
らに運 動 中 の トル ク制 御 に つ い て も検 討 を行 う
.
3.3.1
トル ク 制 御 に お け るサ ー ボ 弁 の 種 類 の 検 討
流 量 制 御 形 サ ー ボ弁 (以 後
FC弁
と 呼 ぶ)と 圧 力 制 御 形 サ ー ボ 弁 (以 後
PC弁 と 呼 ぶ
)
の構 造 を 図 3,1に 示 す。 図 に 見 る通 り,両 者 の 違 い は,PC弁 の み が フイー ドバ ック流
路 五1,二 2に よ り弁 出 カ ポ ー トの圧 カ ム ,P2を そ れ ぞ れ 主 案 内弁 ス プー ル の 左 端
,
右端 に フイー ドバ ック し て い る こ とで あ る。
そ の 結 果:PC弁 の電 流 一ス プー ル 変 位 特性 は,FC弁 の 電 流 ニス プー ル 変 位 特 性 の
式 (2.2)に アイー ドバ ッ ク 流 路 に起 因 す る圧 力 の 内部 フイー ドバ ック (η υ
凡 )が 加 わら
た形
Is+2島 ωυ力∫+ω :Ts=ξ tOli(j一 ηυ
」
%)
´―
(3.5)
と る
なる (補 遺 A参 照).従 うて,FC弁 は上式 にお い て η
υ豊 0と 置 い た場 合 に相当す
44
P2002
P,00r
(a)流 量 制御 形 サ ー ボ 弁 (FC弁
(b)圧 力 制御 形 サ ー ボ弁 (PC弁
)
)
図 3.11電 気 油 圧 サ ー ボ 弁 の 構 造
45
(b)圧 力 制 御 形 サー ボ 弁 (PC弁
(a)流 量 制 御 形 サ ー ボ 弁 (FC弁 )
)
図 3.21サ ー ボ 弁 の 電 流 一負 荷 圧 力 特 性
以 下 ,FC弁
,PC弁
の負 荷 圧力
(ト
ル ク)制 御 に つ い て 比 較 検 討 す る.ま ず ,両 サ ー
ル ク)制 御 に 注 目す る。 図 3.2は ,FC弁
,PC弁
電 流 一負 荷 圧 力 特 性 (中 立 点 圧 カ ダ イ ン特 性 )の 実 測 値 で あ る。 図 に お い て,FC弁
電流 ―負 荷 圧 力 特 性 は 原 点 近 傍 で 非 常 に 急 崚 な 特 性 を示 して い る の に対 し,PC弁
ボ弁 を 用 い た 開 ル ー プ負 荷 圧 力
(ト
の
の
の
電 流 ―負 荷 圧 力 特 性 は 入 力 電 流 と 負 荷 圧 力 が ほ ぼ 比 例 す る特 性 を示 し て い る。 こ の
た め,開 ル ー プ 制御 に お い て は,制 御 電 流 の ほ ぼ 全 領 域 を制 御 に使 用 で き る PC弁 に
比べて,FC弁 は負荷圧力制御に有効に使用 し得る制御電流の範囲が 1/10(± 3mA)程
度 と狭 く,開 ル ー プ 負 荷 圧 力 制御 に は PC弁 の 方 が 適 して い る こ とが わ か る
.
次 に,閉 ルー プ負荷 圧 力 制御 に関 して検討す る。簡単化 のため油圧 モT夕 軸 が固定
されてお り(θ =θ
=0),か つ比例制御 (比 例 ゲイ ン∬討 を施す ものと仮定す る.こ
の
とき連続時間系 の線形化式 (2.15)か ら閉ルー プ系 の安定限界 ダイ ンκσσは
∬θθ ≦
2ξ
ωυ
ω:+2ε い贅卜ε
υ
島+XPc)
(θ β
島 馬 Dυ
ξの ωぅ
ηυ
(3.6)
_IA∬ Fpυ
ξ
とな り, また定常偏差 ごは
IPe+ξ I■ ∬″
ηυ
(3.7)
IP`+ξ Dυ ∬■∬EXθ +ξ X■ ∬rη υ
とな る。 両 式 か ら PC弁 を 用 い た 場 合 に は
,
FC弁
を用 い た 場 合
(η
υ=0) に 比 べ ,内
部 の圧 力 フイー ドバ ック に よっ て 安 定 限 界 も 低 く定 常 偏 差 も大 き くな る こ とが 分 か
る。 従 っ て トル ク制 御 に PC弁 を用 い て も 性 能 向 上 は 望 め な い と考 え ら れ る。
,
46
また P(1弁 に お い て 偏 差 の 比 例 フィー ドバ ッ ク入 力 に圧 力 の 内部 フイー ドバ ッ ク を
打 ち消 す た め の フイー ドフォ ワー ド入 力 (=7′ ぎ
■ィ
/A″ .1」 r)を 付 加 す れ ば,PC弁 へ の 入
力電流は
J=∬ .だ c(η
―
r)十
砲
』
号
とな り,式 (3.5)に 代 入 す れ ば
is+2ξ
ω
υ
υ ωs=ξω
is tt
:(Iθ
:・
+」
奪 -7)
)(η
を 得 る。上 式 は FC弁 を用 い た 系 の 比 例 ゲ イ ン を η
υ
/pυ だ け 大 き く した系 と等 価 で あ
り,PC弁 を 用 い て FC弁 と等 価 な性 能 が 得 られ る。 逆 に FC弁 に対 して, トル ク の
検 出 値 を用 い て PC弁 の 内部 フイー ドバ ックに相 当す る入 力 (=一 ηυ
T/pυ ∬■)を 加 え る
こ とに よ り,PC弁 と等 価 な 特 性 を持 たせ る こ と も可 能 とい え る。
結 局,PC弁 はハー ドウェ ア 的 に負荷 圧 力 の フイー ドバ ックが 施 され た構造 で あ り
,
圧 力 の 検 出値 が 測 定 可 能 とす れ ば,ソ フ トゥェ ァ的 に 両 者 の特 性 を ほ ぼ 等 価 に で き
る こ とが 明 らか となっ た.従 っ て 以 後 流 量 制御 形 サ ー ボ 弁 に 限 って議 論 を展 開す る も
の とす る
.
3。
3.2
作 動 油 の圧 縮 性 が 安 定 性 に 及 ぼ す影 響
一 般 に油圧 系 にお い て位 置 制御 を行 う場 合 に は,サ ー ボ 弁 とア クチュ ェー タを結 ぶ
管 路 の弾 性 を 含 む 等 価 な作 動 油 の 圧 縮 性 CPが 大 き くな る と安 定 性 の劣 化 が生 じ
,
サ ー ボ 弁 の 設 置 位 置 の 選 定 お よび 管 材 質 や ホー ス の 選 択 に 充 分 な 配 慮 が 必 要 と な
る(7).こ こ で は圧 縮 性 が トル ク市U御 系 の 安 定 性 に 与 え る 影 響 を モー タ軸 固定 の 単 純
な モ デ ル を用 い て検 討 す る。
モー タ軸 固 定 の トル ク制御 系 にお い て 単 純 な 比 例 制 御 を 用 い た 場 合 の 安 定 限 界 ゲ
イ ン Iθ σは既 に式 (3.6)で 与 え られ て い る。 サ ー ボ弁 は FC弁
(η
υ
=0)と して,式 (3.6)
を書 き直す と
均 θ=I:讐
可←
υ
い
岳
十鴫
J
(3.8)
とな る。上 式 に お い て,等 価 な圧 縮性 θPの 安 定 限 界 へ の 寄 与 は ()内 第 1項 と第 2項
に現 れ る。 第 2項 の 分 子 に現 われ る Pcは ア クチ ュエ ー タ 内部 の 漏 れ 流 量 係 数 とサ ー
「
ボ 弁 の 圧 カ ダ イ ンの 和 (IPc=た P+f亀
)で あ り,通 常 は小 さ な値 とな るた め,通 常 ,第
2項 は 第 1項 に 比 べ て無 視 し得 る。
47
nu
00
X
島
60
︱
一 Torque Control
―Velooity Oontrol
―‐
=
……Position Oontrol
・
︱
‐
ご弓
・
ヽ
= 40・
0
・
\
ギ
L
20
E≧
‐
卜.、
L
︲
ヽ
、
0,I
EquivalenT
0。
2
0。
3
OompressibHity CP
図 3.3:等 価 圧 縮 性 と各 制 御 法 にお け る安 定 限 界 ダ イ ンの 関係
図 3.3は ,第 2章 で数値 解 析 に用 い た バ ラメー タを用 い て,線 形 近次 式 に基 づ い て
,
単 純 な比 例 補 償 を施 した位 置制御 系 と速度 制御 系 (モ ー タ軸 を 固定 しな い 表 2.2の 諸
元 を持 つ 系 )の 安 定 限 界 ダ イ ン を計 算 し,式
ら計 算 した トル ク 制御 の 結 果 と‐
(3,8)か
重 ね て プ ロ ッ トした もの で あ る.図 に お い て 各 線 の上 の 領 域 が 不 安 定 領 域 ,下 が 安
定 領 域 で あ る.図 か ら明 らか な通 り, トル ク 制御 系 にお け る 圧 縮 性 の 影 響 は位 置
:
速度 制御 に お け る影響 と相 反 す る傾 向 を示 し,制 御 方式 を切 り換 え る場 合 や位 置 と
力 の ハ イ プ リッ ド制御 な どの 同時 に 両 者 の制御 を行 お う とす る 場 合 に は 充分 な 配慮
が 必 要 と され る こ とが わ か る
.
また圧 縮 性 の 増 大 が 及 ぼ す トル ク制 御 応 答 性 へ の 影 響 は,モ ー タ軸 固定 の トル ク
制御 系 の 開 ル ー プ伝 達 関 数
W(3)=
pυ ∬∬ ω
σ:
ξ
s tt ω
(θ PS tt■ 卜c)(S2+2亀 ωυ
:)+ξ pυ IRbω :
こにX=A■ ・I″
(3.9)
から,系 の時定数Iサ ーボ弁の固有振動数ωじが充分速ければほぼθP/(IIPPe+ξ Dυ ∬∬σ)]
を増 大 させ る た め,安 定 性 との 間 で トレー ドオ フが 必 要 とな る
/18
.
3.3.3
内 部 漏 れ流 量 の影 響
浦 田 は 油 圧 位 置 制 御 系 に お け る モ ー タ 内 部 漏 れ 流 量 係 数 の 増 大 は 定 常 偏 差 を生 ず
る原 因 と な る もの の,系 を安 定 化 す る 効 果 が あ る こ と を報 告 して い る(■ .本 項 に お
い て は 油 圧 トル ク制 御 に お け る 内 部 漏 れ 流 量 係 数 IPcIモ ー タ 内 部 の 漏 れ 流
量係 数
とサ ー ボ 弁 の 圧 カ ダ イ ンの 和 (IP`=lP十 」
亀)]の 影 響 に つ い て,前 項 と同様 の 仮 定
(Fロ
ち,モ ー タ 軸 固定 で 単 純 な比 例 制 御 )の 下 で 若 千 の 検 討 を行 う。
ま ず ,内 部 漏 れ 係 数 IPど の 増 大 に よ る 安 定 性 へ の 影 響 は,安 定 限 界 ダ イ ン の 式
(3.3)
lbσ ==:#:(ω
CP+」
υ
に お け る 第 2項 ,第
-2ξ
;:]―
υ
IPθ
)
3項 の 増 大 に よ り,位 置 市U御 と 同様 に 安 定 化 に 寄 与 す る こ
とが わ か る.ま た 制 御 応 答 性 に 関 し て も式 (3.9)よ り,IPcの 増 大 に よ り時 定 数
[÷
Q訂 (IPc+ξ pυ ∬∬σ)]が 減 少 し,わ ず か にで は あ るが 速応性 を 高 め る効 果 があ る こ
とが わ か る。
しか しな が ら IPeの 増 大 は,式 (3.7)を
FC弁
(η
υ
=0)と して整 理 した 定 常偏 差 に 関
す る式
IPe
ε
=
ffPc+ξ pυ κ∬θ
か らわか る よ うに,定 常偏差 を増大 させ る.さ らにモー タ内部漏 れ流量係数χcの 増
大 は最大 出カ トルク
1+7-11
Fm=島
÷
Dυ
(3.10)
島
11-fI111
ξX■ Cs
を減 少 させ る 効 果 が あ る。
通 常,内 部 漏 れ 流 量 係 数 IPcは 油 圧 モー タの 1ラ ジ ア ンあ た りの 押 しの け容 積 Dυ
に 比 べ て 非 常 に小 さ い (∬ Pcく
)の で,速 応 性 ,定 常偏 差 へ の 影 響 は小 さ い。 また
'υ
安 定 限 界 ダ イ ン の式 (3.8)の 第 1項 と第 3項 の 比 較 か ら (2島 ≪ ωυ),内 部 漏 れ 流 量 係
数 IPcの 変 化 は トル ク 制御 系 の 安 定 性 に対 して作 動 油 の 等 価 な圧 縮 性 θPの 変 化 ほ
ど大 きな 影 響 を 与 え な い こ とが わ か る
.
結 局,内 部 漏 れ 流 量 の 増 大 に よ り最 大 出 カ トル ク Ъ α
″が 低 下 す る こ と以 外,大 き
な影 響 を 与 え な い こ とが わか る
.
49
3.3.4
速 度 の 正 フィー ドバ ッ ク (PVF)補 償
一 般 的 に,ア クチ ュ エ ー タ は 速 度 の 増 加 に 伴 なっ て 発 生 トル ク あ る い は 力 が 低 下 す
る 傾 向 を 持 つ た め,高 速 運 動 時 に は,日 標 トル ク あ る い は 目標 力 に 対 す る 発 生 トル
タ あ る い は 力 の 精 度 が 低 下 す る こ とが 予 漫Iさ れ る。 そ の た め,電 動 ア クチュ ユ ー タ
に お い て は,発 生 トル ク あ る い は 力 が 電 流 に 比 例 す る こ とか ら,一 般 に 電 流 フ イー
ドバ ック 形 の 補 償 回路 が 実 用 され て い る。 一 方 ,油 圧 ア クチ ュ エー タに お い て は 発 生
トル ク あ る い は 力 は 負 荷 圧 力 に 比 例 す る の で 負 荷 圧 カ フイー ドバ ック に よ る トル ク
あ る い は 力 の 制御 が 行 わ れ る が,角 速 度 に 対 す る補 償 効 果 を 高 め る た め に ダ イ ン を
増 大 させ る と系 が 不 安 定 化 す る た め に 十 分 な 補 償 効 果 が 得 られ な い。
そ こ で 油 圧 サ ー ボ 系 に お け る トル ク制 御 に 及 ぼ す 角 速 度 の 影 響 を 除 去 す る 方 法 と
して 以 下 に 示 す 角 速 度 の 正 フイー ドバ ック (PVF)補 償 を提 案 す る(乱 鋤
.
まず コ ン トロー ラ を連 続 系 と して 議 論 した 後 ,離 散 時 間系 の 場 合 を考 え る こ と に す
る。 2.2節 の線 形 イ
ヒ式 (2.2),(2.7)お よび式 (2.10)∼ 式 (2.13)に 基 づ い て 閉 ル ー プ トル ク
制御系 を信号伝達線図 に表 せば図 3.4と なる。図中 ムレは トルク電圧変換係数,Gc(3)
は直列補償器 (比 例あるい は比例積分補償 とす る)の 伝達関数,θ υ
(5)は 式 (2.2)よ り
得 られるサーボ弁動特性, 五(5)は 式 (2.13)に 基 づ く負荷系 の伝達関数 [=θ (s)/チ (∫ )]で
あ り,そ れぞれ次 のように表 される
.
G,(r) -K"*ftlt
θυ(5)=
五(3)=
G,(r)
ω:
-/i,+/ir s
(3.11)
1
s2*Z(aus**3
(3.12)
I1/(S)
s
IVI
sz
*
trs
(3.13)
+ /{b
図 に 見 る よ う に 一Dυ θな る 内 部 フイー ドバ ックの た め 角 速度 の増 大 に伴 って トル ク の
低 減 効 果 が生 じ,ま た負 荷 の 動 力 学 が トル ク制 御 に 影 響 を及 ぼ す こ とが 分 か る.そ
三 I曜
′
ノ
x3 QL
「
「L 'L一
KJ Cc(3)KA Gv(3)Kハ 1トィ ′・乳
図 3.4:ト ル ク 制御 系 の 信 号 伝 達 線 図
50
こ で 角 速 度 あ る い は 負 荷 の 動 力 学 に 依 存 しな い トル ク制 御 を 実 現 す る た め に 図 3.=l中
に 破 線 で 示 した 角 速度 の 正 フィー ドバ ック補 償 を 施 す もの とす る。 この と き フィー ド
バ ッ ク 要 素 の 伝 達 関 数 _F(s}を ∬
5)=+Щ
ユ
=∬
.4・ A‐
ごと して
j}
(3.14}
の 形 に 置 け ば,一 pυ θの 内部 フイー ドバ ッ クが 打 ち 消 され, トル ク制 御 に 対 す る 角 速
度 お よび 負 荷 の 影 響 は な くな る.即 ち 図 3.4の 系 の 開 ル ー プ伝 達 関 数 レ
1/(s}は
∬ノII〕 υ(7c(s)
(3)=
(3.15)
「
と表 され,こ こ に IPc=た P十 ∬cで あ る.上 式 に 式 (3.14)を 代 入 す れ ば
1/y(s)=
∬∫IDυ θc(s)
(3.16)
(cpr + I{ P,) + rrrrr,D"G.(s)
とな り,負 荷 の 動 力 学 五(3)は トル ク制御 に寄 与 しな い。 と こ ろ で式 (3.14)の F(3)に
は サ ー ボ弁動特 性 を含 む が,負 荷 の 運動 の周波数 成 分 に比 べ てサー ボ 弁 の 固 有 周 波 数
が十 分 高 い も の と して, Gυ (3)=1で 近似 す れ ば y(3)=1と な り,F(3)は 次 式 とな る
島T
F(5)=
.
(3.17)
トル ク 制 御 に 対 す る 角 速 度 θの 直 接 的 な影 響 は,図 3.4に お い て 目 標 トル ク を
T」
=0,負 荷 の伝 達 関 数 を 二(s)=0と
伝達 関数
し,角 速 度 を 入 力 変 数 と見 な し て 得 られ る 次 の
(3)I=T(5)/θ (3)]で 記 述 され る
.
"Ъ
D"Uir(s)-D"t/(,c)]
(3)= (Crr I{ p,)t/(r)
+
+ /fJ/iD,G.(s)
"Ъ
(3.18)
当然 の こ となが ら上 式 に 式 (3.14)の F(3)を 代 入 す れ ば 喝
(3)=0と
な るが,簡 略 化
式 (3.17)を 用 い た 場 合 に は ,シЪ(S)は 零 とな らず,角 速 度 の 影 響 が 若 干残 る
.
と こ ろ で 一 般 に正 フイー ドバ ックは 制御 系 を不 安 定 化 す る 原 因 とな りう る こ とは
周 知 の事 実 で あ る.し た がっ て提 案 した PVF補 償 系 の安 定 性 に つい て検 討 して お く
必 要 が あ る。 フイー ドバ ッ ク F(3)を 持 つ 系 の特 性 方 程 式 は 式 (3.15)の 分 母 を零 と置
き変 形 して
1+
∬ノxpυ cc(5)
(C."s +
I{p")U(") * D,{D;rqs)
- /{F(s)}I(r)
=0
(3.19)
と表 される。ここでは安定性に関する基本的な検討 を行う意味でP補 償 rc(5)=義
l
を 用 い る も の と し,ダ イ ン定 数 Icを バ ラ メー タ と し て根 軌 跡 を描 け ば 図 3.5(a)の ご
一〇
(a)P"comp.
(b)P+PVF‐ comp.
図 3.5:比 例 ダ イ ン ∬cの 変化 に対す る根軌跡
と くな る。た だ し計 算 に 用 い た 諸 元 は 表 2,2に 示 し た も の で あ り, ∬b=0と した,図
3.5(b)に は F(5)=0と した フ イー ドバ ッ ク の 無 い 系 の 根 軌 跡 を 示 した。 なお 図 (a)の 原
点 近 傍 の 根 軌 跡 は 定性 的 に は 図 (b)と 同 様 の 形 状 を 持 つ。 図 (a),(b)を 比 較 す る こ
とに よ り,角 速 度 の 正 フ ィー ドバ ッ ク は トル ク 制 御 の 安 定 性 に 対 し て ほ とん ど 影 響
しないことが分かる。後 述 の実験 に用 いたχσ=2に 対応す る特性根 は,,図 (a)で は
丁 98)二 317,-359± 37町 ,図 (b)で は -37.9,-253,-374± 363ゴ で あ り ,図 (a)の PVF
1・
補償系 では原 点 近 くに -1.98な る特性根 が存在す るが,こ れは s=-1.90(=メ ι
/y)に
存在す る零点 とダイポー ル を形成す るため系 の応 答 にはほ とんど影響 を与 えない
.
次 に後 述 の 実 験系 と等 価 な離 散 時 間系 の信 号伝 達線 図 は図 3.6の ご と く表 され
る。この系 の 開 ル
2(S
2(S
θ2(
*B 一、り ヽ生 ハリ
+
β G
GL(g)=」
θl
﹃り
D
E瓦
十
,
5
‘ ハリ
θ
r い s ﹂ ″い
呈百
五
五
μ
一↑ D Ⅳ
↓ ネ 面
∬ノ(71(Z)(7:(2)
I卜 1
θ F 丁μ Γ
﹂
︲
ツ″
*A
θ
κ Z
十 〓
W*(2)=
岬
昴
Iィ グル 子年洋 関数 Fす (3)=_7(2)/η (2)は
(Z)F*(Z)
次式 で表 される。
(3.20)
│
│
ここに ZI・ Iは Z変 換 を表 し,θ l(3),G2(3) は 図 3.6中 に 示 す 。 また ∬。(3)は 0次 ホー ル ダ
を表す.デ ィジ タル補償 器 G:(F)と して 1サ ン プ ル 遅 れ の PI補 償 器 を 用 い る も の と
し,ま た F*(二 )は 式 (3.17)を z変 換 して 1 サ ン プ ル の 遅 れ を 考 慮 す れ ば そ れ ぞ れ 次 式
52
L〔 s)
中
Gl{3)
中
τ
図 3.6:離 散 時 間 系 に等 価 な信 号 伝 達 線 図
で 表 され る
=
θ:(Z)=
F*(Z)=
手+IよЪ
(3.21)
Dυ
(3.22)
ffz
な お PVF補 償 の 無 い 系 で は F*(=)=0と な る
.
次 に 連続 系 の式 (3.18)に 対 応 す る 目標 トル ク η=oと した 場合 の 角 速 度 と トル ク の
関係 は
崎 レ)=
(3.23)
により得られる。ただし上式において7xZ)=Tホ (z)/θ *(z)で あり,入 力変数θ
*
を 0次
ホ ー ル ダ∬。
(3)を 介 して印 加 した。
図 3.6の 離 散 時 間系 の特 性 方程 式 は式 (3.20)の 分 母 =0と 置 い た次 式
1+ス キσ:(Z)θ l(7)一 θL(g)F*(z)=o
(3.24)
とな り,系 の安定性 は全 ての特性根 zj(づ =1∼ 6)が
lzJI<1
,
を満 たす場合 に安定 と判定 される。
3.4
実 験 装 置 と実 験 方 法
本 章 で 用 い た 用 い た 実 験 系 は 2章 で 用 い た もの と基 本 的 に 同 じで あ るが
,流 量 制
御 や トル ク 制 御 の 性 能 を 検 討 す る た め に,一 部 変 更 を 加 え た
.
53
こ こで は そ の変 更 点
O SerVO V01Ve
(DThrOttle volve (〕 oll tank
O早
嘔
)StOp volve
F:R:::ucer
(〕 Bolance
図 3.7:流 量 制 御 の 実 験 装 置
と実 験 方 法 に つ い て 記 す 。
(1)負 荷 不 感 形 流 量 制 御 実 験
図3.7に 流量制御の実験装置を示す。この場合,サ ーボ弁①下流 のポー ト間には負荷
を与えるために絞 り弁0を 接続 し,負 荷圧力を変化 させる。流量測定は,サ ーボ弁の
排油流の方向 を上め弁④で切 り換 えて測定用の油 タンク0に 導 き,重 量法 を用いて
行った
.
(2)静 止 状 態 で の トル ク 制 御 実 験
図 3.8に 静 上状態 での トル タ制御 の 実験装置 を示 す。 この場合供 試油 圧揺 動 モー
タ① の軸 は実験 台 に固定 してある。サ ー ボ弁0は 油 圧 モー タに固 定 された内部 配管
を施 したプ ロックに直接 取 り付け られ てい る.負 荷圧力 はひず み式 圧力変換器0を
用 い て,ベ ー ンモー タ接続 ポー ト部 の 1,2側 の圧 力 をそれぞれ検 出 し,そ の差量 を
とる。ステップ応答にお い ては,日 標 圧 力 は コンピュー タのキー ボ ー ドか ら入力 し
,
圧力変換器の換算係数 (出 力電圧 /圧 力)を 乗 じたもの目標値 として用いる。応答波
形 は上 述 の ご と く検 出 し た 負 荷 圧 力 信 号 を FFTア ナ ラ イザ ー の メ モ リに記 憶 し,プ
54
Oil hydroullc
moto「
O Sem wl・
Pressure
troncedt^Eer
図 3.8:静 止 状 態 で の トル ク制 御 実 験 装 置
ロ ッ タ に よ り出力 した◆
(3)運 動 中 の トル ク制 御 実 験
慣 性 負荷 の み を 有 す る系 に お い て トル ク制御 を行 う場 合,油 圧 モー タ軸 が 短 時 間
で 揺 動 限 界 位 置 に 達 して し ま う た め 実 験 が 容 易 で な い。 そ こ で 図 3.9に 示 す 実 験 装
置 を 用 い て トル ク制 御 に 及 ぼ す角 速 度 の 影 響 に つ い て 検 討 を行 う た。 こ の場 合 ,供
試 モータ①の 目標 トルクを零 に設定 し,十 分大 きな容量 を持つ外乱印加用油圧 モー
タ①を等速自在軸継手②を介 して供試モータ軸 に接続 し,外 乱印加用モータを位置制
(〕 Controlled motor (〕 Potentlo meter
O Lood motO「
O甘
el::古
lli:「
□
習
Υ
ly
〔
DServo
volve
図 3.9:運 動 中 の トル ク制 御 実 験 装 置
う5
御 す る こ とに よ り外 乱 角 速 度 を 与 え た。 外 乱 印加 用 油 圧 モー タ は 供 給 圧 力 桑F8MPa
で 駆 動 し,供 試 モー タ ヘ の 供 給 圧 力 は ∴ =4ゝ IPaと した。 角 速 度 の 正 フイー ドバ ッ ク
を行 う場 合 ,ダ イ ン Fl*に は 式 (3.22)を 用 い た が ,I(=∬ .∬ご)の 値 はサ ン プ リ ン グ ご
とに 負 荷 圧 力 の 検 出値 を 用 い て 負 荷 不 感 線 形 化 ゲ イ ン式 {3.3)よ り ∬lを 計 算 し,こ
の 値 を 用 い て F*の 値 を 更 新 した。
3。
5
3.5。
実験結 果 および考 察
1
負荷 不 感 形流量 制 御
図 3.10は 目標 流 量 を 30,60,100cm3/sと して,式 (3.2)に 従 っ て 負荷 圧 力 の検 出値
か らサー ボ弁 入 力電 流 を実 時 間 で計 算 し,サ ー ボ弁 に 印加 した と き の負荷 圧 カ ー流 量
静 特 性 を示 す。図 中"横 軸 に 平 行 な 実 線 で 示 す 直 線 部 分 は 目標 負 荷 流 量 を示 す が
,
負 荷 圧 力 の 絶 対 値 が あ る程 度 大 き くな る と,負 荷 圧 力 に依 存 す る 流 量 の 飽和 が生 じ
目標 流 量 に 達 し得 な い。 ま た● 印,0印
,0印
は 実 測値 を表 して い る。 な お 破 線 は
飽 和 電 流 の 30%,60C/cl, 100%に 相 当 す る電流 をサ ー ボ弁 に 印加 し,流 量 制御 を行 わ
な い 時 の負 荷 流 量 を示 して い る。
Ot
ot
60 cmt/s
30 cmt/s
)や
ヽ、
ヽ
ヽ
Eo JO o一0﹂ 〓E L 2
nヽ”
¨
Deslred ftow rote
O tlOO cmt/s
150
100
●
● ●
針
::=i茸 :ミン
J
…… ●
二hト
2
4
6
-50 Load pressure PL MPC
-100
P3=7 MPa
-150
図 3.101ソ フ トウエ ア 負 荷不 感 形 サ ー ボ弁 の 特 性
56
8
負 荷 不 感 形 流 量 制 御 に よ り,飽 和 限 度 に 達 す る ま で は,負 荷 圧 力 に か か わ らず 一
定 の 目標 流 量 が 達 成 され て い る こ とが わ か る
.
3.5.2
トル ク 制 御
(1)PC弁
と FC弁 の 等 価 性
圧 力 制 御 形 サ ー ボ弁
(PC弁 )が 内 部 に圧 カ フイー ドバ ッ ク流 路 を 持 つ こ と以 外 は
互 い に ほ ぼ 同 形 ,同 容 量 を も つ
FC弁 ,PC弁
,
を用 い て行 っ た 実 験 結 果 に つ い て 述 べ
る
.
図 3.11(a)に 目標 トル ク を 42.5Nと して FC弁 を 用 い た応 答
[図
中 曲線
FCV]に 対 して 同 じゲ イ ン を 用 い て 比 例 (P)補 償
[図
中 曲線 FCV]と
PC弁
(Iσ =2),比 例 積 分 (PI)補
償 (Iσ =2,If=50)を 施 した 場 合 の ス テ ッ プ応 答 波 形 を示 す 。
PC弁 を 用 い て P補 償
を施 した 場 合 の 応 答 は,負 荷 圧 力 の 内 部 フイ ー ドバ ッ ク に よっ て 非 常 に 大 き な 定 常
偏 差 が 生 じて い る こ とが わ か る。 こ れ に 対 して,式 (3.3.1)の ご と く フイー ドフォ ワ
ー ド入 力 を 印加 し た 図 3.11(b)の
じFC弁 の応 答 波 形
Comp,
日
Z
P
0
0
0。
PI Comp.
P0
0
0。
tS
丁ime
■00
■00
0.8
4
(a)
丁ime
■00
PI ConP.
︰
岬
日Z
FCV
日
一
Z
Ⅲ
。
0。
t s
フ イー ドフ ォ ワー ド入 力 な し
P Comp.
0
0.8
4
PCV
「
3.11(a)と 同
FCV]と か な り よ く一 致 して い る。 以 上 の 結 果 か ら流 量
日Z
P
中 曲線
V
一
C
W一
〓
P
■00
[図
PC弁 の 応 答 波 形 1図 中 曲線 PCVIは ,図
0.8
4
丁i,me t
(b)フ
0.4
Time t s
S
イ ― ドフ ォ ワー ド入 力 あ り
図 3.lli PC弁 と FC弁 の 等 価 性 の 検 証
57
0.8
市J御 形 と圧 力 制 御 形 の サ ー ボ 弁 は ソ フ トウェ ア的 に は ぼ 等 価 な特 性 と し得 る こ とが
分か る
.
(2)速 度 の 正 フ ィー ドバ ッ ク補 償
図 3.12(a)∼ (d)は 最小 サ ン プ リ ン グ 時 間 r=o.28msを も つ トル ク制 御 系 の 目標 トル
ク を 殆=ONmと し,供 試 モー タ に 接 続 した 外 乱 印 加 用 サ ー ボ モ ー タ に 周 波 数 lHzの
正 弦 波 状 の 目標 角 速度 入 力 を与 え た 場合 の 応 答 波 形 で あ る。図 3,12(a)∼ (d)は 種 々 の
トル ク制 御 補 償 器 を用 い た 場 合 の 応 答 波 形 を示 した も の で 各 図 上 部 は供 試 モ ー タ軸
の角 速 度 ,下 部 は トル ク波 形 で 破 線 は 目標 トル ク (η =0)を 表 す。 図 (a)は P補 償 を用
い た 場 合 で あ るが,外 乱 角 速度 に よ り大 きな トル ク の 変 動 が 生 じて い る.PI補 償 を
行 っ た 図 (b)で は 図 (a,)に 比 べ か な り改 善 され る も の の 十 分 とは 言 い 難 い.図 (c)は
2
o
b〓 ・ 2 0 2 0
00
2
0
・ヽ﹁・﹄ 一 2
0
2
・0
K●
Kc=2
K:=50
=2
憂 0
墨 0
い
い
‐200
0。
3
1.6
Tlme
‐200
2。 4
-r--
-
0.8
s
1.6
Tlme
(a)P conp.
-lb
-
2。 1
s
(b)F工 comp.
2
一ヽ﹁●﹂ 一
●
‐
=0
0
10
●
ヽ
つ
‐10
‐2
200
200
憂
Ke=2
0
√
い
-200
0
0.8
1.6
Time
0
‐200
2.1
=2
Kl=50
K●
0
0。 8
1.5
Time
s
(c)PIPVF― conP.
2.4
s
(d)PI+P▼ F― comp
図 3.12:角 速 度 外 乱 に 対 す る トル ク応 答 波 形
58
図 (a)の
P補 償 に 角 速 度 の正 フイー
ドバ ック補 償
(PVF補 償 )を 付 加 した 場 合 で あ り
,
PVF補 償 の 外 舌L抑 制 効 果 が 認 め られ る。 さ ら に 図 (d)は PI+IPVF補 償 を行 っ た 場 合
で あ り,PI+PVF補 償 に よ り最 も 良好 な外 乱 抑 制 効 果 が 得 られ る こ とが 分 か る。
図 3.13は 図 3.12に 示 した 各 補 償 器 の 形 に 対 す る 角 速 度 外 舌Lの 抑 制 効 果 の 周 波 数 特 性
を 示 した も の で あ り,図 中 の 実 験 点 は 外 乱 角 変 位 の 振 幅 を ほ ぼ 1度 と し,そ の 周 波
数 を 変 化 さ せ て,外 乱 入 力 の 周 波 数 成 分 に つ い て FFTを 用 い て ゲ イ ン を 求 め た 結 果
で あ る。 ま た 図 中 の 実 線 は 式 (3.18)に 各 補 償 器 に 対 応 す る伝 達 関 数 を 代 入 し て 計 算
され る 連 続 系 の 理 論 結 果 で あ り,破 線 は 同様 に 式 (3.22)か ら計 算 され る 実 験 と 同 じ
サ ン プ リ ン グ時 間 I'=0.45msに 対 す る 理 論 結 果 で あ る。 図 よ り図 3.12の 場 合 と同様 に
PI+PVF補 償 の 場 合 に トル ク制 御 に 対 す る 角 速 度 の 影 響 は 最 も小 さ く な る 点 で 実 験
結 果 と理 論 結 果 は 定 性 的 に一 致 して い る.た だ し PVF補 償 を 用 い た 場 合 の 実 験 結 果
と理 論 結 果 との 間 に 定 量 的 に や や 相 違 が 見 られ る が,こ れ は サ ー ボ 弁 特 性 の 同 定 誤
差 に よ る フ イー ドバ ッ ク ダ イ ン F*の 不 正 確 さ が 主 な原 因 と推 察 され る。
□﹁ ﹁
3
0 0
4 2
場
0
101
「 口d/s
ω
-20
-40
Experiment□ 1
ロ P
▼ PI
●
▲
PI+PVF
P+PVF
丁heoretical
continuous
-60
―――DiSCrete― time{T=0. 45ms}
図 3.13:角 速 度 ― トル ク 間伝 達 関 数 ダ イ ン線 図
59
3.6
結
ロ
本 章 で は 油 圧 ロ ボ ッ トの 運 動 制御 に お け る 関 節 サ ー ボ 方 式 の 基 本 とな る 流 量 制御
,
トル ク制 御 法 と して,負 荷 不 感 形 流 量 制 御 法 と, トル ク制 御 に お け る 運 動 の 影 響 を
補 償 す る 方 法 に つ い て 検 討 した。
前 者 の 制 御 方 法 は DSPを 用 る こ と で,サ ー ボ 弁 の 流 量 特 性 に お け る 非 線 形 性 と負
荷 依 存 性 を ソ フ トウ ェ ア 的 に 補 償 す る こ と,ま た 後 者 は 油 圧 モー タの 発 生 トル ク の
速 度 依 存 性 を前 者 と同 様 に サ ー ボ 弁 の 非 線 形 性 も含 め て ソ フ トウェ ア 的 に 補 償 す る
こ と を 狙 っ た も の で あ る。
負 荷 不 感 形 流 量 制 御 の 実 験 か ら,サ ー ボ 弁 流 量 の 飽 和 の 範 囲 で は,所 定 の 負 荷 圧
力 の 変 化 に 対 し て ロバ ス トな 流 量 制 御 が ほ ぼ 達 成 で き る こ とが 示 さ れ た。 この 流 量
帝U御 を油 圧 ロ ボ ッ ト関 節 に 用 い る こ と に よ り,関 節 角 速 度 を 目標 値 と し た,重 力
,
摩 擦 ,あ る い は 各 自由度 間 の 干 渉 な どの 影 響 の 比 較 的 小 さ な ロ ボ ッ トの 運 動 制御 が
実 現 で き る と推 察 され る。
また, トル ク (負 荷 圧 力 )制 御 にお い て は,圧 力 制御 型 サ ー ボ弁 と流 量 制 御 型 サ ー ボ
弁 は ソ フ トウェ ア的 に等 価 と し得 る こ と,作 動 油 の 等 価 圧 縮 性 θPが 位 置 制御 系 の 場
合 と は 逆 に 安 定 化 に 寄 与 す る こ と,お よび 角 速 度 の 正 フイー ドバ ッ ク 法 を 用 い る こ
とに よ り,油 圧 モー タ の トル ク制 御 に お い て 負 荷 の 運 動 の 影 響 を 除 去 し得 る こ と を
明 らか に し た。
参
考
文
献
(1)Mttkiewicz,B.R.,Analysis of the Computed Torqlle Drive Method and Compa五 son With
Conventional Position Servo for a Computer― (3ontrolled Manipulator,Jet Propulsion Lab.
Tech,Memo.33-601,March 15,1973,(1973)
(2)池 辺 洋・ 中 田毅 ・ 横 田真 一・ 横 山和 久 ,負 荷 無 反 応 形 電 気 ・ 油 圧 サー ボ 系 ,計 測 自動 制 御
学 会 論 文 集 ,16-3,(1980),391.
,THE INFLUENCE OF ACUTUATOR MODEL COMPLEX―
ITY ON CONTROL SYNTHESIS FOR HIGH PREFORMANCE ROBOT TRAJECTORY
(3)Katid,D,and Vukobr乱
oviこ
TRACIING,IFAC Theory of Robots,Vienna,,Austria,1986,(1986),217.
(4)堀 洋 一 ,加 速 度 制 御 形 サ ー ボ 系 ,電 気 学 会論 文 誌 ,103‐ 7,D(1988),672.
(5)大 西 公 平 ,メ カ トロ ニ ク ス に お け る 新 し い サ ー ボ 技 術 ,電 気 学 会 論 文 誌 ,107-1,D(1987),
83.
60
(6)中 嶋 勝 己 ・ 大 築 康 生 ,圧 力 制 御 サ ー ボ 弁 を 用 い た マ ニ プ レー タ の 制 御 ,31回 シス テ ム と
制 御 研 究 発 表 会 (JAACE'87-5)講 演 予 稿 集 ,(1987),81,
(7)浦 田 映 三 ,油 圧 サ ー ボ 機 構 の ス テ ッ プ応 答 に お け る 油 の 圧 縮 性 の 影 響
の も とで の 応 答 ),日 本 機 械 学 会 論 文 集
(第
3報 ,慣 性 負 荷
(B編 ).47421,(1981),1775.
(8)松 井 隆・ 望 月 宣 宏 ,油 圧 トル ク 制御 に お け る角 速 度 正 フィー ドバ ック 補 償 の 効 果 ,日 本 機
械 学 会 論 文 集 (C編 ),57-537,(1991),1604.
(9)Ta`kaslli MATSUI and Yoshihiro R10〔 :IIIZIIII,E■ eCt
on Torque COntr01 of Hydra`ulic =tctuator‐
NO,3,406.,(1992)
61
OfPOsitive Allglllalヽ ヽb10ciぃ・Ibedback
J SlllE International J01lrllal Seri(〕 s III、 ヽ
「Ol.35,
4.1
早
土
第4
緒
1リ ン ク 油 圧 ア ー ム の 運 動 制 御
曰
ー
前 章 に お い て は,油 圧 ロ ボッ トの 運 動 制御 に 関 す る 2種 類 の 関 節 サ ボ 制御 方 式
;
い
即 ち 負 荷 不 感 形 流 量 制御 方 式 と トル ク制御 方 式 に つ い て 検 討 を行 っ た。 本 章 に お
て は,前 章 で 示 した制御 方 式 を 実 際 に 1リ ン ク油 圧 アー ム 系 に適 用 し,こ れ ら の 関
節 サ ー ボ 方 式 の 運 動 制御 に 対 す る 有 用 性 と問 題 点 を実 験 的 に 検 討 す る。 な お,実 験
ー
ェ
系 は コ ン ト ロー ラ機 能 を す べ て DSPの デ イジ タル 演 算 で 処 理 す る ソ フ トウ アサ
ボ系 で あ り,各 方 法 に つ い てサ ン プ リ ン グ時 間 と安 定 性 の 関 係 に つ い て も解 析 を行
な う た め ,ま ず 次 節 に お い て 離 散 時 間 モ デ ル の 導 出 を行 う。
4.2
運 動制 御 系 の 離 散時 間 モ デル
4.2.1
速 度制 御 法
前 章 に お い て は サ ー ボ 弁 の 出 力 流 量 で あ る 負 荷 流 量 の,非 線 形 な 負 荷 圧 力 依 存 性
をデ イ ジ タ ル 演 算 で 補 償 し,サ ー ボ 電 流 と負 荷 流 量 が ほ ぼ 線 形 な 関 係 を 有 す る ソ フ
トウェ ア 負 荷 不 感 形 流 量 制 御 系 を 実 現 し た。 本 節 に お い て は,こ の 負 荷 不 感 形 流 量
ー
制御 法 を 運 動 制 御 に 用 い る 方 法 に つ い て 検 討 す る.池 辺 ら の 負 荷 無 反 応 形 サ ボ 系
は,前 章 で 示 し た 負 荷 不 感 形 流 量 制 御 弁 の 外 側 に,位 置 制 御 ル ー プ を 付 加 し た も の
で あ る が ,こ の 方 式 を 用 い た 場 合 ,通 常 の 位 置 制御 と同様 に 大 きな位 相 遅 れ を 有 す
ー
る系 と な る。 そ こ で本 研 究 に お い て は 目標 速 度 に 対 応 す る 目標 流 量 を 計 算 し,サ
ボ増 幅 器 入 力 電 圧 に 変 換 し て フイ ー ドフ オ ワ ー ド的 に入 力 す る こ とに よ り軌 道 の 追
従 性 を 向 上 さ せ る。
jご
まず本 制御法 の原理 を示す。い ま 目標角速度 (1)が 与 えられた とす ると,式
に基づ き,運 動 に必要 な目標流量 oLご を次式 で計算す る。
OLご
=pυ (θ五十 υ)+Iノ 七 十 εЪ九
(2.10)
(4.1)
た だ し 乳 は 検 出値 で あ り,PLは 凡 を微 分 し て 求 め る.υ は パ ラ メ ー タ の 誤 差 や外
償榊
乱 を 補 償 す る た め Q補二
t‐ 一 ボ 弁 の 動 特 性 は 無 視 し う る (■ 3=J)
.ル で轟 与ギ い 一
事‐
と仮 定 す る と 目標 流 量 OLdの 発 生 に 必 要 な 電 流 Jは 式 (2.10)よ り
62
, Oι
==― Aレ
ご
I
Dυ
=
(θ
(J+ど )+κ
,十
〔島
ごIP凡
(4,2)
だ
j「
と計算 で きる。 ここに 11:は 前章式 (3.3)で 示 した負荷不感線形化流量ゲイ ンであ り
,
・
この電流 Jを サー ボ弁 に与 えれば,員口ち式 (2.9)に お い て載
,=Jと して求 めた oLを 式
(2.10)に 代 入 す れ ば
θ=t,
(4.3)
とな る.こ こ で θ=θ ―θ
dな る 角 度 偏 差 で あ り,系 全 体 は線 形 な 偏 差 系 で 記 述 され る
.
従 っ て,補 償 器 と して
υ=一 A卜 θ
に4)
なる比例 補償器 い■ >0)を 用 い れ ば漸近安定 な系 となる。
上記 の負荷不感形 フイー ドフォワー ド速度制御 法 (以 後,FF速 度 制御 法 と呼 ぶ)を
離散時間系 で実現 す るため,式 (4.2)中 の負荷圧 力 の微分項 をサ ンプリ ング時間 を r
として後退差分
亀 (1)={JL(1)一 凡 (ん -1)}/r
(4.5)
で近似 し,制 御対象への入力 (サ ーボ増幅器入力電圧)の 計算値uc(1)[=J(1)/∬ 」 を式
(2.16)に お け る 状 態 変 数
(ん )=[△
“
″s(ん )△ is(1)△ 聟L(1)△ θ(た )△ θ(力 )]・
を用い て表現すれば,式 {4.2),(4.4)よ り
ttc(ん
)=a23(1)+α 3乳 1(1)十
r[θ
ご
(1)′ ご
(1)]T
科.6)
と な る。 こ こ に
1(1+1)=乳 (1)=α l・
0.=[001001
乳
a2= KA∬
α3=
r∬
二 10
0
■∬l'
で あ る .実 際 の 制 御 入 力
し(1+1)=ti
(4.7)
(た )
も│+A「 c
一D̈υ Ⅱ卜
01
r=χ ■Ktl KP ll
2に
は 1サ ン プ ル の 遅 れ が あ る と す れ ば
c(1)
(4.8)
0
次
,U
﹁
︲
― DigitaLI C01■ troller―
「
﹂
︱︱︱︱︱︱
lθ ご
(1)
l ar(l
│こ 1け
)
)
θ(A・
)
+ 一
Eq.(4.2)
と
'(1}
θ(1)
図 4.1:FF速 度 制 御 法 の プ ロ ッ ク線 図
で あ る。以 上 ま とめれ ば FF速 度 制御 法 を用 い た 系 全 体 の プ ロ ック線 図 は 図 4.1の ご と
T
く表 され,状 態 変 数 ■1を 8.=[π
几1
鶴ITと 定 義 す れ ば,式 (2.16),(4.6),(4.7),
よ う に記 述 され る。
(4.8)よ り系 全 体 の 状 態 空 間 表 現 は 次 の
1(ん
・
+1)=A.・ .(1)+ら .・ 1(1)
(4.9)
ここに
0 0
T
θ
θd
, bl=
T
02
●
鶴 1
0.
γ 0 0
1
一
一
〓
■
0 0 鮨 1川﹁
φ
で あ り,φ ,7は 制御 対 象 (1リ ン ク関 節 駆 動 系 )の 線 形 化 離 散 時 間 状 態 方程 式 (2.16)
にお け る遷 移 行 列 と,入 力 行 列 で あ る.上 式 で 表 され る 閉 ルー プ系 の 安 定 性 は,特
性 方 程 式 │ゴ ー■11=0の 根 島 が 1為 │<1(J=1∼ 7)を 満 足 す れ ば安 定 と半I定 され る
.
4.2.2 計 算 トル ク法(2)
この 制御 法 にお い て は,ア ー ムの 目標 軌 道 θ
ば
(1)に 対 し て 目標 関 節 トル ク η を運 動
方程 式 (2.8)に 基 づ き次 式 で 計 算 す る。
砲 =」 Yη L(θ d+tυ )+メ 17記 θ+ん 771L(θ ,θ )
(4.10)
64
こ こ に 11′ ,μ ,ん に 付 した 添 字 111は アー ム の 動 力 学 モ デ ル の 値 を 意 味 し
ま た lυ は
モ デ ル 化 誤 差 や 外 乱 に 対 す る 補 償 器 出 力 で あ る.い ま モ デ ル が 正 確
= J∴ ,1,
,
μ=μ η,た
=れ .),且
(1ゴ
つ トル ク制 御 部 を伝 達 関 数 1の 理 想 的 な 系 と仮 定 し 式 {2.8),
,
(4.10)の ァと ¬ を等 置 す れ ば
θ=t〔
に,11)
F
となる
.
rと し
,出 力 変数 をyc=Jと すれば
列
上 式 は,状 態変数 を■c=「
ゴ
れ
︱ I J す
1 ヒ
ノー
0 散
司 珊
C m
二
c β 間
,
事1
(4.13)
科.14)
︲
1 2
を
州 中
町 r 次評 出 タ
ν F L 一
一
一
+ I
〓 剛 レ
プリ
﹁
ゴ
(1)=一 Йttac(1)
(4.15)
ぎ
れ
数 す
関 成
価 構
ハリ ハ
リ ν て リ ユ
一
一 一
r l
一
り n / 1 o
︵
J 相
.
る
と を
な 最
tυ
隻 r︲︲︲L ン
呵
剣
ト
︱
ゴ
¨
,
型 ン
・
,
掛﹁
Чl
Ч 計
n
・
∞
L
属
聾
ギ
れ
”鵡
﹄
﹁
詞
認 0 0 ら
■ rllL さ
一
一
一
一
毎 4
・
と表 さ れ
be=
(4.12)
制御 入 力 り は
(4.16)
Xc=[IP Xy]
{∬ 子
/(2-IyF)}2=ρ
IP=∬ 子/2
の ご と く与 え られ る。
と ころで 式 (4.12)は 連続 系 に つ い て,モ デ ル が正 確 か つ トル ク制御 部 の伝 達 関数 が
1と い う理想 的 な仮 定 の も とに 導 か れ た もの で あ る。 実 際 に は系 モ デ ル の 不 正確 さを
考慮 す べ きで あ るが,こ こ で は トル ク制御 部 の 動 特 性 が運 動 制御 に 及 ぼ す影 響,お
よび 離 散 時 間化 が 系 の 安 定 性 に及 ぼ す 影響 に の み 注 目 し解 析 を行 う た め に,式
65
(2.8)
θィ(た )
θィ(た )
(八 ;)す
Tr′
Eq.(4.10)
Plant
7(た )
│
│
│
(た )
“
図 4.2:計 算 トル ク法 の プ ロ ック線 図
の 非 線 形 項 んが 式
(4。
10)の んmに よっ て 相 殺 され る との 近 似 的 な仮 定 の も と に,系 全
体 の 線 形 状 態 空 間 モ デ ル を導 く
.
図 4.2に 計 算 トル ク 法 に お け る プ ロ ッ ク線 図 を 示 す。 図 4.2に お い て,Ccで 表 わ さ
れ る トル ク制 御 補 償 器 へ の 入 力 δ(1)は
δ
{η (1)― ル露
(1)}
(1)=∬ ∫
ヵ =p O pυ
O
幹.17)
叫
こ こ で ∬ノは トル ク電 圧 換 算 係 数 で あ る
.
い ま トル ク制 御 補 償 器 θσ と し て PI補 償 器
を用 い る も の とす れ ば,補 償 器 入 力 δ(た ) と補 償 器 出力 uc(ん )と の 関係 は 次 式 で 与 え ら
れ る。
rc(1+1)=∬ c(た )+∬ TJTj(1)
(4.18)
uc(1)=∬ c(ん )十 ibPδ (力 )
F
研﹁
¨
一
・
こ こ に ■c(1)=uc(1-1)+(κ
Trr_∬
TP)」 (1-1),XTPは
比 例 ダ イ ン
,IrIは
積 分 ゲ イ
o調 静
l
ンで あ る.ま た計 算 トル ク η(1)は 式 (4.10)に 基 づ き次式 で 計 算 され る。
μm]F■
(ん )
jd(1)]r
イー ドバ ックダイ ンであ り,Fは
66
(4.19)
(4.20)
で あ る。 制御 対 象 へ の 入 力 ll(1)に は 1サ ン プル の 遅 れ が あ る と し,tι け )=tic(カ ー 1)と
し て 式 (2.16),(4.17),(4.13)、 (11.19).(4.20)を ま とめれ ば 閉 ル ー プ全 体 の 線 形化 モ デ ル
(4.21)
T
“θ
l
・
山o﹂﹄
θ
o
一
一
一
一
月
し ヽ
・
+
6 T
問 ∬ γ0 0
r︲ ︲L
肝 Ъ 劃﹁
可 ん
2
調 一
Ъ b
は 次 の よ う に 表 され る。
l
ただ し
p O pυ l島≧
A■ 1亀 Aレ ーμ
m]
∴ =一 ∬∫
%=χ ∫MmIIP ry l]
で あ り,φ ,7は 制御 対 象 (1リ ン ク 関 節 駆 動 系 )の 線 形 化 離 散 時 間 状 態 方 程 式 (2.16)
に お け る遷 移 行 列 と入 力 行 列 で あ る。 計 算 トル ク法 を 用 い た 系 の 安 定 性 は特 性 方 程
式 lgI― ■2卜 0に 基 づ き判 定 さ れ る
.
4.3
実 験 結 果 と考 察
本 章 で 検 討 す る 1リ ン ク油 圧 アー ム の 実 験 装 置 は 2.6節 で 実験 に 用 い た 系 と同様 の
系 で あ る。 図 4.3に は,本 章 で 示 した FF速 度 制御 法 と計 算 トル ク 法 お よび,そ れ ら
との 比 較 の た め に行 った 比 例 位 置 制御 系 と,最 適位 置 サ ー ボ系0)の 4つ の 制御 方式 に
よ る 1関 節 駆 動 系 の 周 波 数 特 性 の 理論 解 析 結 果 と実 験 結 果 を ま とめ て 示 した も の で
あ る.た だ し最 適位 置 サ ー ボ系 は,サ ー ボ弁 動特 性 を無 視 した 3次 の 制御 対象 モ デ ル
[式 (2.17)に
お け る P。 (s)]に 対 し て 目標 位 置 ス テ ップ入 力 に対 す る定 常 偏 差 を零 とす
る よ う に設計 した積 分 型最 適 制御 系 で あ り,そ の 制御 入 力 u(た )は 状 態 変 数 ■(ん )と
,
日標 軌 道 θd(ん )を 用 い て
し(た )=uc(ん
鶴 Iた
)=一
Is=Ю
+1)
た-1
Is・
(呻
一
IsI
Σ
{θ
O)一
θご
∈
)}
O IsT IsP IsyI
で 与 え られ る。 各 場 合 の コ ン トロー ラダ イ ンは 実験 的 に応 答 結 果 か ら試 行錯 誤 的 に
決 定 したが,FF速 度 制御 の 場 合 ,P補 償 ゲ イ ン を ∬P=10,計 算 トル ク法 の場合 ,位
67
0
2
5
い●一
0
︲
ロ
”
口﹁ コン 0 0
5
1
0
5
・
ミ1
‐60
ド
、
0
︲
‐120
5
︲
l0
W
■8畷
t00
10
100
0
rod/s
Theo
ret i co I
---
Computed torque method
FF velocity control
rod/s
to I
Computed
torgue method
O
A FF velocity control
Expe r lmen
Position control
Optimal servo system
E Position control
I Optimal servo system
図 4,31周 波 数応 答 特 性
置 制 御 ルー プ の PD補 償 ダ イ ン を 重 み 係 数 ρ=107に 対 応 す る 最 適 ダ イ ン IP=3162,
κy=80と し,ま た トル ク 制 御 部 の PI補 償 ダ イ ン を ∬TP=2,XTI=50を と した。 さ
らに 比 例 位 置 制御 系 の 場 合 ,P補 償 ダ イ ン を A″ P=43と し,最 適 位 置 サ ー ボ 系 の 場 合
は 重 み 係 数 ρ=103に 対 応 す る最 適 ダ イ ン κsf=29,氏 ↑=0.77,Isy=9.2,XsP=856を
用 い た。 図 4.3の 実 線 ,破 線 ,一 点 鎖 線 ,二 点 鎖 線 は そ れ ぞ れ 計 算 トル ク 法 ,FF速
度 制 御 法 ,比 例 位 置 制 御 系 ,最 適 位 置 サ ー ボ 系 に 対 す る線 形 化 系 の パ ル ス 伝 達 関 数
V(Z)卜 θ(2)/θ J(2)]を 式 (4.9),式 (4.21)に 基 づ い て 求 め,z=c」 りTと して 周 波 数特 性
を計 算 した 理 論 結 果 で あ る。い ず れ の 実験 もアー ム を垂 直位 置 を中 心 と して正 弦 波
状 に振動 させ た もので,モ ー タ軸 回 りの慣性 モー メ ン トχ =5.lKgm2,サ ン プ リ ン グ
時 間 は r=lmsで ぁ る.な お FF速 度 制御 法 に お い て は式 (4.2)に 基 づ くサ ー ボ 電 流 J
の 計 算 にお い て圧 縮 流 量 σP乳 ,油 圧 モー タ内部 漏 れ 流 量 ∬ε
凡 を無 視 して
に
(4.22)
に よ り計 算 したが,こ れ を考慮 した 場 合 に つ い て は 後 述す る。
また 図 414に は 図 4.3の 各 制御 法 に つ い て 同 じ補 償 ダ イ ン を 用 い て 得 られ た周 波 数
応答波形を角周波数8π rad/S(4Hz)の 場合について示す。
68
00
11
●
●
0
01
H
●●
5 0
︷
ヨ. “● ● 一 ● Hm●司
3.5
ξ
-3.5
-3。 5
0
0
0.8
0,4
Time
Tlure t s
(a) PoslELon control
ll
0
°
│●
理
-3.5
-3.5
o
O。 4
Tttme t s
t 8
5 0
3. ¨● 一 一 ●H m口司
●
●
●
●
0。
(b) Optima■ seivo systeEL
3.5
H
0。 4
0。 8
Od
0
0。 4
Tttme t B
0.8
(d) Computed torque method
(c) FF velocity contro■
ed(t)=ASinlω t〕 :A=2deg′ ω=8rad/S
図 4.4:周 波 数 応 答 波 形
図 4.3,図 4.4に 基 づ い て 各 制御 法 の 基 本 的 な特徴 を 比較 検 討 す る.ま ず 2つ の 位 置
常U御 法 の結 果 に注 目す る と図 4.3の ダ イ ン曲線 にお い て 比例 位 置 制御 系 で は鋭 い ピー
ク が 見 られ る。 こ の 共振 周 波 数 は アー ム慣 性 と油 の 圧 縮 性 に よる アー ム の 理 論 固 有
振動数(ω .=72rad/s)に ほぼ一致しており関節形ロボットのような高慣性負荷かつ低
減 衰 性 を 有 す る 系 の 典 型 的 な特 性 を 示 して い る。 一 方 ,最 適 位 置 サ ー ボ 系 で は 平 坦
で 良好 な 特 性 を示 して い る が,そ の 応 答 は 第 2章 で 示 し た 2自 由 度 位 置 制御 系 の 応
答 と同様 に,運 動 の 追 従 を 目的 と した FF速 度 制御 法 ,計 算 トル ク法 に 比 べ て 大 き な
遅 れ を示 し て い る。 最 適 サ ー ボ 系 に お い て は,理 論 的 に は 重 み 係 数 ρを 大 き くす る
に つ れ て ゲ イ ン 曲線 の 折 点 周 波 数 が 高 周 波 側 に 移 行 し,よ り速 応 性 の よ い 良好 な 系
と な る が,実 験 的 に は モ デ ル 化 誤 差 ,1サ ン プ ル の 演 算 遅 れ,あ る い は 量 子 化 な どの
69
Кp‐
O
lo
1。
1。
-0.38
1.0
Ttrne
(a)FF速
t
1。
Tlme
see
0
七
日eC
(b)池 辺 らの 方 法
度 制御 法
図 4.5:フ イー ドフ ォ ワー ド速 度 入 力 の 効 果
影 響 に よ り,ρ を さ らに 増 大 す る と不 安 定 とな る (実 験 的 に は ρ=104で 不 安 定 で あ っ
た
)・
次 に 本 章 で 検 討 した 運 動 制 御 を 目的 と す る 2つ の 制御 法 の う ち,ま ず
FF速 度 tlJ御
法 に 注 目す る と,低 周 波 数 領 域 に お い て は 位 相 遅 れ の 少 な い 良 好 な 周 波 数 特 性 を示
して い る。 こ れ は 追 従 性 の 向 上 を 目的 と し て,日 標 速 度 を フィ ー ドフ ォ ワ ー ド的 に
入 力 し た こ と に よる効 果 で あ る.図 4.5は 本 制 御 法
[図
4.5(a)]と 池 辺 らの 負 荷 無 反 応
形 サ ー ボ系 [図 4.5(b),式 (4.22)に お い て D甘 θd=0と した も のIの 周 波 数 応 答 を比 較 した
も の で 目標 振 幅 は 0.175rad(10度 ),周 波 数 は 4π rad/s(2Hz)で あ る.フ イー ドフォ ワー
ド入 力 を付 加 す る こ とで,池 辺 らの 方 法 に比 べ,ダ イ ン特 性 ,位 相 特 性 の 双 方 と も
改 善 され て い る こ とが わ か る
.
次 に FF速 度 制 御 法 の 高 周 波 領域 の 特 性 に 注 目す る と,図 4.3の ダ イ ン 曲線 に は 比
例位 置 市U御 系 と 同様 にダ イ ン曲線 に鋭 い ピー クが 見 られ る.FF速 度 制御 法 にお い て
この よ うな 共 振 を生ず る の は 言 い 替 え れ ば系 の 負荷 無 反 応 特 性 が 十 分 に実 現 され て
い な い こ とを 示 す もの で あ るが,そ の 理 由 は圧 縮 性 ,サ ー ボ 弁 動 特 性 の 補 償 が な さ
れ て い な い こ と にある と考 え られ る。 以 下 にお い て圧 縮 性 の 補 償 に つ い て 実 験 的
,
理論 的 に検 討 を行 った
.
い ま圧縮 流 量 お よび 内部 漏 れ流 量 を考 慮 した 式 (4.1)に 基 づ い て 日標流量 oLご (1)を
OLJ(1)=pυ
(1)+υ (1)}+θ
{θ ご
Pη .PL(1)二
+∬
cη 凡
(1)
に よ り計算 す る こ ととす る。 ここで θP,Icの 代 わ りに,G‰
.23)
“
,Xcmを 用 い た のは
,
圧 縮 流 量,内 部 7inれ 流 量 の 部 分 的 な 補 償 の た め に θP,Feと は 異 な った 値 を用 い る
70
こ とを 考 慮 す るた め で あ る。 まず
`:Pa=`♭
,ム「`躙 =∬ cと
して 実 験 を行 っ た。 こ れ は
,
,漏 れ 流 量 ゴf(ゴ ■ をそ れ ぞ れ 相 殺 す る 制 御 入 力 を 印 加 す る こ と
"町しそ の 果
と等 価 で あ る。 しか
結 ,系 は 不 安 定 と な っ た。 そ こ で 上 式 に 基 づ く補 償 系
実 際 の圧 縮 流 量 σ
の 安 定 性 に つ い て 検 討 した。
図 4.6は 式 (4.23)に お い て firc厳 =0,即 ち漏 れ 流 量 の 補 償 をせ ず に圧 縮 性 の部 分 的補
償
(`レ
m<σ P)を 試 み た 場 合 の安 定 限 界 を,縦 軸 に 鉾 η1/σP,横 軸 に比 例 ダ イ ン IP
を とって 示 した もの で あ る。 図 4.6中
0印 "● 印 は T=2ms,5nlsの 実 験 結 果,実 線 は
r=21■ s,5msに お け る 理 論 結 果, さ らに 破 線 は 連続 系 を仮 定 した 場 合 の 理論 結 果 で
あ り,各 線 の上 側 が 不 安 定 領 域 ,下 側 が 安 定 領 域 で あ る。 実 験 結 果 と理 論結 果 は定
量 的 に は か な りの 相 違 が あ るが,圧 縮 性 の補 償 を 強 め る (6卜 η を大 とす る)と 系 は不
安 定 とな る 点 で 定 性 的 に は一 致 し て い る。 CPmの 値 を安 定 な 範 囲 で 与 え て 理 論 周
波 数特 性 を 計 算 す る と,共 振 点 が 高 周 波 側 に移 行 す る もの の 共 振値 は ほ とん ど変化
せ ず,ま た 比 例 ダ イ ン A‐ Pを 低 下 させ て も共 振 を抑 制 す る効 果 は ほ とん ど見 られ な
かった。 そ こ で 油 圧 モー タの 内部 漏 れ が 系 の 減 衰 に作 用 す る こ とを利 用 し,式 (4.23)
の だeη2を 負 の値 に 設 定 して等 価 的 に 内部 漏 れ を増 加 させ た (負 荷 圧 カ フイー ドバ ック
---Expe r
0.8
0
6
Q
O\E﹂
0
O
o
reoret I co I
Contlnuous system
Tf
l nrcn
to I
T=2ltts
5 lrrs
--E--.r\rr
ヽ
ヾ
00匈
●
-0 -J
KP
図 4.6:圧 縮 性 補 償 を 施 し た 系 の 安 定 限 界
20
HI
Eノ
60
5
0
u
一OU
ロロ
0
Phose
10
I
5
-60
一
葛
-120
-10
-15
-180
I
l0
100
w
Expe r I nrento
0
●
I
Theo
ret
I
rad/
s
co I
- 6oin
― ― ― P1lose
図 4.7:補 償 後 の FF速 度 制御 系 の 周 波 数特 性 (θ P7./θ P=0.5,Xem/1c=-2.0).
と等 価 )場 合 の 周波 数特 性 の 実 験 結 果 と理論 結 果 を図 4.7に 示 す。図 中実 線 ,破 線 は そ
れ ぞ れ 図 4.3と 同様 に計 算 した ゲ イ ン曲線 ,位 相 曲線 で あ り,0印 ,● 印 は実 験 で 得
られ た ゲ イ ン,位 相差 を示 して い る.図 4.7に 見 る よ う に 共振値 は低 下 し周 波 数特 性
は か な り改 善 され る こ とが 分 か る.な お図 4.6に お い て サ ン プ リ ン グ時 間 が 短 くな る
と安 定 な 6福 /θPの 領 域 が 広 が る傾 向 が 見 られ るが,連 続 系 の 場 合 で もθPm/θ Pを
お よそ 0.6以 上 に は大 き く し得 な い。 こ れ は 式 (4.2)の 制 御 入 力 の 計 算 にお い て サ ー
ボ 弁 動 特 性 を無 視 した こ とに よ り,圧 縮性 の 完 全 な補 償 は不 可 能 で あ る こ とを 示 す
も の で あ り, した がっ て圧 縮 性 の 補 償 に対 して はサー ボ 弁 の 遅 れ も同 時 に補 償 す る
こ とが 重 要 と思 われ る。
次 に 計 算 トル ク法 の 結 果 に 注 目す る と,図 4.3の ダ イ ン,位 相 特 性 と もに他 の 制 御
法 に比 較 し て 最 も良好 な特 性 を 示 し て お り,図 4.4の 周 波 数 応 答 波 形 も良好 な追 従
性 を示 して い る。 図 4.8は 計 算 トル ク法 を用 い た系 の安 定 性 を検 討 した結 果 を示 し た
も の で あ る。 図 4,8の 横 軸 に は サ ン プ リ ン グ時 間 rを ,左 右 の 縦 軸 に は 式 (4.15)の 重
み 係 数 ρの 変化 に 伴 う運 動 補 償 ルー プの最 適 ゲ イ ン IP,Ivを そ れ ぞ れ 取 っ て あ る
が,両 ダ イ ンの 関係 は式 (4.16)で 与 え られ て い る。 図 4.8中 の 縦 軸 に 平 行 な 一 点 鎖 線
は PI補 償 ゲ イ ン を ∬TP=2,IT∬ =50と した と き の トル ク制御 部 のみ (図 4,2に お い
72
500
105
200
104
100
>X
Ly
50
103
20
102
10
0。
2
0。 5
5
1
丁
5
10 20
ms
‐
―
Torque contro■ ■oop{Theoretica■
Computed torque method
――― Theoretica■
O ExPer■ menta■
―
)
図 4.8:計 算 トル ク法 の 安 定 限 界 (∬ TP=2,ITJ=50)
て フイー ドバ ック ダ イ ン F=0と した 系 )の 安 定 限 界 サ ン プ リ ン グ時 間 を 表 して お り
,
ま た 実 線 は 同 じ トル ク 制御 部 を 有 す る 運 動 制 御 系 の 安 定 限 界 を式 (4.21)の 特 性 方 程
式 か ら求 め た 理 論 結 果 を示 す。 な お 各 曲線 の 斜 線 を付 け た 側 が 不 安 定 領 域 で あ る。
こ の 理 論 結 果 か ら運 動 制御 系 の 安 定 領 域 は トル ク制 御 部 の 安 定 な 領 域 内 に限 定 され
る こ と,お よび 重 み 係 数 ρの 増 大
lF口
ち IP,∬ yの 増 大 )に 伴 っ て 系 は 不 安 定 とな る
こ とが わ か る.こ の 不 安 定 化 の 原 因 は,制 御 入 力 の 1サ ン プ ル 遅 れ と トル ク制 御 部
の 動 特 性 に起 因 す る も の で あ る。 ま た,図 4.8中 の O印 は 実 験 的 に 求 め た 計 算 トル ク
法 に よ る 運 動 制 御 系 の 安 定 限 界 を 表 す。実 験 結 果 と理 論 結 果 は 定 量 的 に は 若 干 の 相
違 が あ る も の の 定 性 的 に は ほ ぼ一 致 して い る。 図 4.8よ り,一 般 的 に 運 動 制御 の 精 度
向 上 に は ダ イ ン IP,∬ yを 増 大 させ る 必 要 が あ り,そ の た め に は 可 能 な限 リサ ン プ
リ ン グ 時 間 を 短 くす る 必 要 が あ る こ とが わ か る。
と こ ろ で 図 4.4の 計 算 トル ク法 の 周 波 数 応 答 波 形 に は,な お 若 干 の 偏 差 が生 じて い
る。 さ らに 追 従 性 を 高 め る に は 上 述 の ご と く高 速 サ ン プ リ ン グ を実 現 す る こ とが 有
効 で あ る が,ハ ー ドウ ェ ア 的 な 限 界 が あ る.計 算 トル ク 法 は 運 動 に 必 要 な トル ク を
73
十 分 な精 度 で 印 加 で き る こ と を前 提 と し た 方 法 で あ る が,1リ ン ク の 単 純 な 実 験 系
に お い て は 動 力 学 バ ラ メー タは十 分 正 確 に 求 め られ て い る (則 ち,運 動 に 必 要 な トル
クは十 分 な 精 度 で 計 算 で き る)も の と考 え られ る の で,前 述 の 軌 道 の偏 差 の 原 因 は ト
ル ク制 御 の 不 正 確 さ に よ る も の と考 え られ る。 前 章 に お い て,運 動 中 の トル ク制 御
の 精 度 は 角 速 度 の 正 フイー ドバ ッ ク (PV「 )補 償 を トル ク制 御 部 に 付 加 す る こ とに よ
り改 善 で き る こ とを 示 し た.そ こ で 計 算 トル ク 法 を 用 い た 場 合 の トル ク 制 御 に お け
る PVF補 償 (4=5)の 効 果 を 実 験 的 に検 討 した。
図 4.9は 図 4.4と 同 じ実 験 条 件
(IP=2,Irf=50,ρ =107,T=lms)に
お け る計 算 ト
ル ク法 に よ る 周 波 数 応 答 波 形 を示 し た も の で あ る。 図 4.9(a),(b)に お い て上 図 は 位 置
応 答 波 形 ,下 図 は トル ク応 答 波 形 で あ り,η は トル ク 指 令 値 ,7は 負 荷 圧 力 乳 の 実
測 値 か ら T=Dυ 比 と して 求 め た トル ク の 実 験 値 を示 し て い る.角 速 度 の 正 フィー ド
バ ック (PVF)補 償 を 施 した図 4.9(a)に お い て は こ の 補 償 の な い 図 4.9(b)の 場 合 に比 べ
て トル ク制 御 の 性 能 が 向 上 し,そ れ に 伴 っ て 運 動 制御 の 性 能 も向 上 し て い る こ とが
わか る
.
3.5
3.5
器” 一
1●
││●
●
3
■ 慟4 ¨
0
CP
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●│
Od
理
-3.5
0.4
T■
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0。
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8
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4
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8
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0 0 0
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5 日 P ●コげH●H
口
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5 5
日 Z い ● ョ げ 口 oH ¨
. ■d
■
0
0.8
0.4
Tl-ure T I
(o) PI+PVF - Conpensotlon
0
0.4
Tlme T I
(b) PI-Conrpensotlon
図 4.9:計 算 トル ク法 の 周 波 数 応 答 (ITP=2,ITJ=50,ρ =107).
74
0.8
4。
4
結
ロ
本 章 で 行 っ た FF速 度 制御 法 ,計 算 トル ク法 は 原 理 的 に は サ ー ボ 弁 の 数 式 モ デ ル あ
る い は ロ ボ ッ トアー ム の 動 力 学 モ デ ル に 基 づ き,デ ィジ タル 演 算 を 利 用 して伝
達関
数 1の 理 想 的 な 運 動 制 御 特 性 を 実 現 し よ う とす る もの で あ る。 実 際 ,実 験 的 に も低
周 波 数 域 に お い て は 比 較 の た め に 行 っ た 比 例 位 置 市U御 系 ,最 適 位 置 サ ー ボ 系 に 比 し
てか な り良好 な 運 動 の 追 従 性 が 得 られ る こ とを示 した。 しか し,FF速 度 制 御 法 に お
い て は 作 動 油 の 圧 縮 性 の 影 響 に よ り,ア ー ム の 固 有 振 動 数 付 近 で い
鋭 共 振 が現 れ る
た め,こ れ を 抑 制 す る 方 法 と して圧 縮 流 量 を フィー ドフォ ヮー ド入 力 に加 え
,か つ 内
部 漏 れ 流 量 を等 価 的 に 増 大 させ る補 償 法 が あ る 程 度 有 効 で あ る こ と を示 した.し か
し,圧 縮 性 の み の 補 償 に は 限 界 が あ り,さ らに 弁 動 特 性 の 補 償 が 同 時 に 必 要 で あ る
こ とを 示 唆 した。
一 方 計 算 トル ク 法 は FF速 度 市U御 法 よ りも 良 好 な 運 動 の 追 従 性 を 持 つ こ と を示
し
た。 また サ ン プ リ ン グ 時 間 と系 の 安 定 性 の 検 討 か ら,サ ン プ リ ン グ の 高 速 化 に よ り
補 償 ダ イ ン の 増 大 が 可 能 と な り,運 動 の 追 従 性 の 向 上 が 期 待 され る こ と を 示 した。
さ らに トル ク 市U御 部 の 性 能 を 速 度 の 正 フィー ドバ ッ ク補 償 を 用 い て 向 上 させ る こ と
に よ り運 動 の 追 従 性 を 改 善 で き る こ とを示 した。
参
考
文
献
(1)池 辺 洋・ 中 田 毅・ 横 田 真 一・ 横 山和 久 ,負 荷 無 反 応 形 電 気 ・ 油 圧 サー ボ 系 ,計 測 自動 制 御
学 会 論 文 集 ,16-3,(1980),391.
(2)Markiewicz,B.R。 ,Analysis of the Computed TOrque D五 ve Method and COmpa五
ConventiOnal PositiOn Servo 10r a Computer―
80■
With
Controlled Manipulator,Jet PrOpulsion Lab.
Tech,Memo.33… 601,March,1973.,(1973)
(3)例 え ば
大 島,サ ー ボ 技 術 マ ニ ュ ア ル,上 ,(1980),I-308.,新 技 術 開発 セ ン ター
(4)松 井・ 望 月,油 圧 トル ク 制御 に お け る 角 速 度 正 フィー ドバ ッ ク 補 償 の 効 果 ,日 本 機 械 学
会 論 文 集 (C編 ),57-537,(1991),1604-1609
(5)Takashi MATSUI and Yoshihiro MOCHIZIIKI,EfFect Of Positive Angular Ve10city Feedback
on Torque Control of Hydraulic“ ActuatOr,JSLIE International JOurnil Series III,ミ 、1.35,
No.3,406.,(1992)
(6)望 月・ 松 井 ,1リ ン ク 油 圧 ロ ボ ッ トアー ム の デイ ジ タ ル 運 動 制 御 ,静 岡 大 学 電 子 科 学 研 究
科 報 告 第 13号 ,(1992),121-129
75
第 5章
5。
1
油 圧 ロ ボ ッ トの 適 応 イ ン ピー ダ ンス 制 御
緒
ロ
第 2章 か ら第 4章 にお い て は,1リ ン ク油 圧 関 節 駆 動 系 を対 象 と し た 位 置 制御 ,速
度 制御 , トル ク制 御 に つ い て 検 討 した.本 章 と次 章 で は,こ れ らの 結 果 を踏 まえ て
,
高 度 な機 能 を 持 つ 油 圧 ロ ボ ッ トの 制御 法 に つ い て 検 討 す る。
ロポ ッ トが 外 界 の対 象 物 と接 触 を伴 な う作 業 を単 純 な位 置 制御 モー ドで行 う場 合
,
対 象 物 の 位 置 誤 差 あ る い は ロ ボ ッ トの 位 置 決 め 誤 差 の た め に 極 め て 大 き な接 触 力 を
発 生 し,対 象 物 を 損 傷 し た り,作 業 の 遂 行 が 妨 げ られ る よ う な 事 態 が 生 じ易 い。 ロ
ボ ッ トに お け る イ ン ピー ダ ンス 制御 は,こ の よ う な事 態 を避 け,ロ ボ ッ トと外 界 の 動
的 な 干 渉 動 作 に 柔 軟 性 を 与 え た り,力 を制 御 す る た め に応 用 され る。 即 ち,ロ ボ ッ
ト手 先 が 外 界 と接 触 して 力 を受 け る と き,そ の 力 に 対 応 す る ロ ボ ッ ト手 先 の 挙 動 を
イ ン ピー ダ ンス に よ り規 定 す る。
この よ う に外 界 との柔 軟 な 干 渉 動 作 を可 能 とす る イ ン ピー ダ ンス 制 御 は,種 々 の 高
度 な ロ ボ ッ ト機 能 を実 現 す る上 で 有 効 に 利 用 で き る。 た と え ば イ ン ピー ダ ンス 指J御
を,福 田 らが 提 案 して い る マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業 シ ス テ ム
(1'2)に
応 用 し,ロ ボ ッ ト
手 先 の イ ン ピー ダ ンス を 作 業 に 適 し た 値 に 設 定 す れ ば,よ り能 率 的 な 協 調 作 業 が 実
現 で き る と考 え られ る。 ま た,マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業 は,ロ ボ ッ トが 人 間 と ロ ボ ツ
トが 協 調 して実 行 した 動 作 を正 確 に 再 生 で きれ ば,運 動 制 御 な ど の 直 接 教 示 と し て
も利 用 で き る
.
イ ン ピー ダ ンス 制御 の 実 現 法 は 幾 つ か 提 案 され て い るが,そ の 主 な 方 法 と して は
,
計 測 した外 力 か ら 目標 イ ン ピー ダ ンス を満 足 す る 軌 道 を 計 算 し,そ の 軌 道 を 目標 と
し て 位 置 ・ 速 度 制 御 を行 う位 置 ・ 速 度 指 令 型 と,計 測 した 外 力 あ る い は 加 速 度 か ら
目標 イ ン ピー ダ ンス を 実 現 す る た め に 必 要 な ロ ボ ッ ト関 節 駆 動 トル ク を 動 力 学 方 程
式 か ら計 算 し,そ れ を指 令 信 号 とす る トル ク 指 令 型 (314)が ぁ る。 位 置 指 令 型 イ ン ピー
ダ ンス 制 御 法 は,ロ ボ ッ トの 厳 密 な 動 力 学 パ ラ メー タ を 必 要 とせ ず ,制 御 演 算 の 負
担 が 軽 く,実 現 が 容 易 で あ る な どの 利 点 が あ るが,位 置 制 御 の 遅 れ の た め に 力 に 対
して の 感 度 は 低 く,高 岡1性 の イ ン ピー ダ ン ス の 設 定 は 容 易 で あ る が ,低 岡1性 の イ ン
ま た こ の 場 合 ,系 全 体 の 安 定 性 は位 置 制
ピー ダ ンス の 実 現 は一 般 に 困 難 で あ る(5)。
御 系 の 安 定 性 に 支 配 され る が,ロ ボ ッ ト姿 勢 や ベ イ ロー ドの 大 き な 変 化 が生 ず る よ
76
う な 動 作 条 件 下 に お い て は,安 定 性 を保 証 す る た め に 位 置 サ ー ボ 系 の ダ イ ン を低 め
に 設 定 す る 必 要 が あ る た め,正 確 な イ ン ピー ダ ンス 制 御 は 期 待 で き な い。
一 方 ,N,Hogall(3)ぉ ょび 舘 ら(4)の 提 案 した トル ク指 令 型 の イ ン ピー ダ ンス
制御 法 で
は, リ ン クの 慣 性 負 荷 な どの ロ ボ ッ トの 厳 密 な動 力 学 バ ラ メー タが
既 知 で あ り,か つ
正 確 な トル ク 制 御 が 可 能 で あ る こ と を 前 提 と して い る が ,力 に対 す る 反 応 が
速 く
,
低 岡I性 の イ ン ピー ダ ンス の 設 定 が 容 易 で あ る と い う利 点 を 持 つ(5)。
また 速 度 指 令 型
イ ン ピτ ダ ンス 制 御 法 の 性 能 は 両 者 の 中 間 に 位 置 す る と 考 え られ る こ と を
桂 川 らは
指 摘 して い る(■
.
本 研 究 で は,第 2章 に お い て パ ラ メー タ 変 動 に対 して ロバ ス ト性 の 高 い 2自 由度 位
置 市U御 系 に つ い て 検 討 し,ま た 第 3章 ,第 4章 に お い て は 負 荷 変 動 に 対 して ロバ ス
トな 速 度 制 御 系 ,正 確 な トル ク 制 御 性 能 が 期 待 で き る トル ク制御
方 式 に つ い て検 討
した。 こ れ らの 結 果 は,そ れ ぞ れ 位 置 指 令 型 ,速 度 指 令 型 , トル ク
指 令 型 の各 イ ン
ピー ダ ンス 制御 に応 用 し得 る。 しか しなが ら,作 業 者 が ロ ボ ッ トと
協 調 作 業 した り
,
直 接 教 示 を行 う よ う な 場 合 に は:ロ ボ ッ トが 作 業 者 の 微 妙 な 操 作 感 覚 の 障 害 とな ら
な い よ う に す る 必 要 が あ る。 こ の 様 な 作 業 へ の 応 用 を 考 慮 して
,本 研 究 に お い て は
最 も滑 らか で 速 い 動 作 が 可 能 な, トル ク 指 令 型 イ ン ピー ダ ンス 制御 に つ い て
検討 す
る。
前 述 の ご と く トル ク 指 令 型 イ ン ピー ダ ン ス 制 御 方 式 に お い て は ロ ボ ッ トの 動 力 学
的 バ ラ メー タが 既 知 で あ る こ とが 要 求 され るが,こ れ が 正 確 に知 られ て い な い
場合
あ る い は ベ イ ロー ドが 変 化 す る 場 合 に は, 日標 イ ン ピー ダ ンス の 正 確 な 実 は
現 困難
で あ る。 こ の 様 な 状 況 に お い て 正 確 な 目標 イ ン ピー ダ ンス を 実 現 す る
方 法 と して
,
,
動 力 学 バ ラ メー タ の 推 定 機 能 を 持 つ 適 応 制 御 の 応 用 が 考 え られ る。
以 上 の 見 地 か ら本 研 究 で は,油 圧 ロ ボ ッ トに お け る協 調 作 業 者 の 操 作 力 に す る
対
適 応 イ ン ピー ダ ンス 制御 を実 現 し,こ れ を マ ン・ ロ ボ ッ ト系 の 柔 軟 な協 調 作 業 へ 応
用
す る 場 合 ,あ る い は ロ ボ ッ トの 運 動 制御 お よび ハ イ プ リッ ド制 御 の 直 接 教 示 へ 応
用
す る 場 合 の 基 礎 的 検 討 を行 う こ と を 目的 と し て い る。 そ の 中 で 特 に マ ン・ ロ ボ ッ ト
系 に 要 求 され る 作 業 者 の 安 全 性 を 確 保 す る 観 点 か ら油 圧 ア ク チ ュ ェ ー タ の トル ク 飽
和 の 影 響 とそ の 対 策 に つ い て 検 討 す る.一 般 に 油 圧 モー タ は 大 きな トル ク/慣 性 比
を 有 す る が,出 カ パ ワー 特 性 は 制 御 弁 の 圧 力 流 量 特 性 に 支 配 され る。 こ の た め
定格
パ ワー は 大 き い もの の 瞬 時 的 に 発 生 可 能 な 過 渡 的 パ ワー と
定 格 値 との 比 は 電 動 モ ー
タ よ り も小 さ く,特 に 加 速 域
(ト
ル ク x角 速 度 >0)に お い て 制 限 され る。 こ の た め 低
イJ
イ ン ピー ダ ンス に 設 定 さ れ た ロ ボ ッ トを作 業 者 が 自在 に 制 御 す る 場 合 ,加 速 域 の 過
大 入 力 に 対 して トル ク の 飽 和 が 生 じ,そ の 場 合 , 日標 イ ン ピー ダ ンス を 達 成 し得 な
い ば か り で な く,適 応 推 定 お よび ロ ボ ッ トの 動 作 の 不 安 定 化 を招 く危 険 性 が あ る。
従 っ て マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業 あ る い は 直 接 教 示 作 業 の 安 全 性 の 確 保 の た め に は
,
ア クチ ュ エー タ の 飽 和 に 対 す る対 策 が 不 可 欠 と な る。
本 研 究 に お い て は 油 圧 ア クチ ュ エ ー タ の 飽 和 を 考 慮 し た 安 定 な適 応 イ ン ピー ダ ン
ス 制 御 系 の 設 計 法 を示 し,そ の 方 法 の 妥 当性 を 2リ ン ク垂 直 関 節 形 油 圧 ロ ボ ッ トを
用 い て 実 験 的 に 確 認 す る.ま た,油 圧 に よ る トル ク制 御 部 の 遅 れ が 適 応 イ ン ピー ダ
ンス 帝U御 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て も検 討 を行 う。
5。
2
制 御対 象 の 基 礎 方 程式
一 般 に,運 動 学 的 に冗 長性 を もた な い nリ ン ク ロ ポッ トに お い ては
,
座 に固 定 した基準 座 標 系 で 表 した ロ ボ ツ ト手先位 置 ベ ク トル
節空 間 にお け る 関節 変 位 ベ ク トル g∈ R・ との 関係 は一 般 に
∈Rπ と
“
,
認 =.F(1)
ロ ボ ッ トの 台
ロ ボ ッ トの 関
(5.1)
と表 現 で き る も の とす る。上 式 を時 間微 分 す る こ とに よ り,手 先 速度 ベ ク トル 轟 と
関節 速 度 ベ ク トル │と の 線 形 な 関係
力
=J(1)│
鰤.2)
刑=Ψ
が得 られ る。 こ こ に J(■ )∈ Rnxれ は ぃ わ ゆ るヤ コ ビ行 フ1で あ る
.
また,回 転 関 節 に よ り構 成 され る nリ ン ク の ロ ボッ トの 関 節 空 間 にお け る 動 力 学
方程 式 は,一 般 に
τ =∬
(■
)│+σ (■ ,1)│+g(■ )一 Jr(.)端
.鋤
“
で 与 え られ る。 こ こ に τ∈R・ は 関 節 駆 動 トル タ ベ ク トル,I(■ )∈ Rπ X・ は 正 定 対 称 な
ロボッ トの慣 性行 列, C(9,1)│∈
R・
は 遠心 力 と コ リオ リカ を 表 す ベ ク トル,g(■ )∈ Rπ
は重カ トル タベ クトル,二 れ∈Rη は ロボット手先 に働 く力 /モ ーメン トを表すベ ク ト
ルである。ただ し,式
(5.3)に
おい て,ヤ コ ピ行列 J(■ )は 正則 とし,σ は I=σ +
Crが 成 立す るようにとるものとす る。
TS
本 研 究 で は上 記 ロ ボ ッ トの 各 関 節 は,
P補 償 , PI補 償 あ る い は こ れ らの補 償 に 角
速 度 正 フィー ドバ ッ ク (PvF)補 償 を加 え た 補 償 を 施 した トル ク制 御 型 油 圧 サ ー ボ
系
に よっ て 構 成 さ れ る も の と す る。 この 時 ,第 f関 節
(j=1,… ・,71)の 目 標 トル ク Lと
駆 動 トル ク ■ と の 関係 は,電 気 油 圧 サ ー ボ 弁 の 負 荷 圧 力 流 量 特 性
[式 (2.9)1に 起 因 す
る 角 速 度 1に 依 存 す る ア ク チ ュ ェ ー タの 飽 和 特 性 と して 次 式 で す こ とが で
表
き る (補
遺
B参 照
).
σJ
=
躊竹
監<0の
一
一
===
Ъ 磁
σj
(i:1...',rr)
O o O o
傷>0の
躊F
■ =砲 f+σ J
(5.4)
砲J>琳 (lj)
ηィ≦τ
l(a)
■J<て (■
)
ηj≧ 晰 (■
)
上 式 にお い て σげは 飽和 に よ り切 り捨 て られ た 分 の トル クで あ る.ま た
寸 (1),瑶 (1)
は サー ボ 弁 圧 力 流 量 特 性 を油 圧 モー タの 押 しの け 容 積 ,Jを
用 い て ■(=D罰 凡 j),こ
(=OL/pd)の 関係 として表 した場合 の,図
5.1に
示す正,負 の各飽和電流に対応する
曲線を表す (補 遺 B参 照).
Soturotlon
reg I 0n
Soturotlon
reg I 0n
図 5.11サ ー ボ 弁 圧 力 流 量 特 性
79
5。
3
飽 和 特 性 を考 慮 し た 適 応 イ ン ピ ー ダ ン ス 制 御 則
本 節 に お い て は,ロ ボ ッ トの 動 力 学 方 程 式 (5.3)中 の 動 力 学 バ ラ メー タ ∬ (■ ),
C(■ 11),g(■ )の 正確 な値 が 知 られ て い な い場 合 に,こ れ ら動 力 学 バ ラ メー タ を推 定
しつつ, 日標 手先 イ ン ピー ダ ンス を実 現 し,か つ ア クチュ エー タの飽和 に対 して ロバ
ス トな 適応 イ ン ピー ダ ンス 制御 則 を 導 く。
∈Rη は,操 作 者 が 把 持 す る 操 作 用 レ
基 準 座 標 系 で 表 した 手 先 位 置 の 目標 軌 道 ご
“
バー に 設 置 し た カ セ ン サ で 検 出 され る操 作 力 鳥 .∈ Rnに 対 し て 次 式 の 目標 イ ン ピー
ダ ンス を満 足 す る よ う に 決 定 され る。
Fh=ル Jd+σ どJd+Й 場(aご ・
一
rご
こ こ に Md,Ctt
(5.5)
o)
χどは そ れ ぞ れ 任 意 に 設 定 で き る PX・ の 目標 慣 性 行 列 , 日 標 粘 性
係 数 行 列 ,日 標 ば ね 定 数 行 列 で あ り,■ 。∈R,・ は 平 衡 位 置 ベ ク トル で あ る。 目標 イ ン
ピー ダ ンス の 実 現 とは,上 式 か ら計 算 され る 目標 軌 道 認dに ロ ボ ッ ト手 先 軌 道
従 す る こ とで あ る
“
が追
.
今 ,目 的 とす る 制 御 則 を 導 く た め に,関 節 座 標 系 で 表 現 さ れ て い る 式 (5.3),式
(5.4)を 式 (5.2)の 関係 を 用 い て 基 準 座 標 系 表 現 に 書 き直 す と
鳥 =■4ズ 9)力 +Cr(g,│)i tt gr(■ )一 二.
鳥
(5.6)
●.7)
=鳥 d+σ ″
と な る。 こ こ に
M″ (■ )=J(■ ) r.(9)J 1(■ )
Cr(■ ,1)=J
gr(■ )=J
鳥 ご=J
T(9)[C(■ )1)一 I(■ )J
T(■ )J(■ ),
T(■ )■ ,
島
στ=J
・
(■
)J(■ )]J 1(■
)
=J T(9)τ
T(■ )σ
J T(■ )全 [J 1(■ )]T
=σ +σ Tか
で あ る。 また Iが 正 定 対 称 であ るか ら Mrも 正 定 対 称 で あ り,か つ 童
ら地
=C∫ 十 Crが 成 立 す る (補 遺 C参 照
).
と こ ろ で ロ ボ ッ トの動 力 学 方程 式 は上 記 の式 (5,3),式 (5.6)の ご と く非 線 形 で あつ
て も,動 力学 バ ラ メー タ に 関 して は線 形 な形 に表 現 し得 る こ とは周 知 の事 実 で あ る
.
貝口ち,式
(5。
6)中 の m個 の 未 知 バ ラ メー タを ベ ク トル α∈Rη 2と 置 け ば,鳥 t=0の 場 合
の式 (5。 6)の 右辺 は αに 関 して線 形 な 次 式 の 形 に書 き直す こ とが で きる
.
80
M(■ )ri+σ ∬(■ ,1)力 +g(9)ご 全y(.,1,力 ,■ )α
(5.3)
ま た 未 知 パ ラ メー タ ベ ク トル αの 推 定 値 を aと し,実 際 の パ ラ メー タ αの 代 わ りに
推定バラメータaを 代入 して得 られるL鴫 ,Cr,」 )の 推定値を爾 r,ar,irで 表
せ ば,式 (5.8)よ り
M (■
)″
毒
+CP(9,1)轟 +J(■ )r=y(.っ
1,力 、壷 )a
(5。
9}
の 関係 が 成 立 す る。
こ の 関係 を 用 い て,ロ ボ ッ ト手 先 に加 え られ る操作 力 二
ロ
"に 対 して ボッ ト手 先 イ
ン ピー ダ ンス を式 (5.5)の 目標 イ ン ピー ダ ンス に,ま た,推 定 バ ラメー タ aを 真値 αに
収 東 させ るた め の 適応 制 御 入 力 鳥 ご,お よび バ ラ メー タ適 応 則 をそ れ ぞ れ 式
(5.10),
式 (5。 11)で 与 え る も の とす る。
鳥 J=y(9,│,力 T,轟 r)a― Jh― ζ Ds
y(9・
│,轟 r,轟
(5.10)
岳r+Jご
r)a=爾 rttr+ご ″
′
力T=あ d― ■ 壷
認
′
=■
― χ J一
:
“
∫
=″
一
T
“
a=_ryT(.っ
1,■ ,c,発
rc=■ r+轟 を
,
“
rc)Sc
Jc=s一
(5.11)
J
“
こ こ に 轟r,Sは ∈Rη の 目標 軌 道 に対 す る 追 従 の 測 度 を 表 す ベ ク トル で あ り
,■ ,XD
は PX・ の 正 定 な ゲ イ ン行 列 ,Γ ∈R'η Xmは 正 定 対 称 な 適 応 ダ イ ン行 列 で あ る。 ま た
ci∈ R.・ は 飽 和 に よ る 目標 軌 道 の 修 正 量 ベ ク トル で あ り
1(ar+xp)力
1鴫
轟:=― 瓦
F「
π
:十 五
」
(5.12)
を 解 い て 求 め られ る。
次 に上 記 の 適 応 制御 則 を 用 い た 系 の 安 定 性 に つ い て LiapunOvの 安 定 理 論 に 基 づ い
て 検 討 す る。 い ま, LiapunOv関 数 の 候 補 と して,次 式 の 正 定 値 関 数 を 定 義 す る
.
ISOa)=:(s「 鴫 sc+arr―・0>o
α
=α
― α
式 (5,6),式 (5,7)に 式 (5.10)を 代 入 し sで 整 理 す る と
81
(.13)
yri+(lgコ 、十 rD)s一
σ∬=
とな る。 こ れ を 式 (5.12)と s=sc十 轟をの 関 係 に 注 意 して scで 整 理 す る と
M″ ぶご=― (σr+FD)Sc+y(.,│,壺
rξ
講″
()a
/(sc,a)の 時 間微 分 は
を得 る。 上 式 と式 (5.11)よ りヽ
1ン
(Sc,a)=_sI・ IDSc<0
とな る。 こ こ で ル ″=σ″十 C∫ の 関 係 を 用 い た。 上 式 お よび 式 (5。 13)よ り 「(sct
1「
a)
は Liapunov関 数 で あ る こ とが わか る.従 っ て上 記 の 適応 イ ン ピー ダ ンス 制御 系 は 漸
は修 正 目標 軌 道 認ど+"/に
“
追従 す る。 また 目標軌 道 が perdstently exciting性 の 信 号 で あ れ ば (即 ちP ricllness条 件
近安 定 で J→ ∞ で sc→ 0と な り,ロ ボ ッ トの 手 先 軌 道
を満 たせ ば),1→ ∞ で a→ oと な る (補 遺 D参 照
)◆
上 記 の 適 応 制 御 則 は 飽 和 が な く,式 (5.7),式 (5.12)の σr=0(即 ち 鳥 d=鳥 )な
)の
(・
らば,Slotineら
制御 則 と一 致 す る。 また 目標 軌 道 の 修 正 量 ′は,武 藤 ら が
"ご
“
MRACSの 構 成 にお い て 入 力 制 限 の 影 響 を処 理 す る ため に 導 入 した可 調 整 バ ラ メー
タに対 応 す る。 しか し武 藤 らの可 調 整 バ ラ メー タ の 物理 的 意 味 は 必 ず し も明確 で な
い の に対 し,上 述 の ご と く
d′
“
は 物 理 的 に 明確 な 意 味 を持 つ
.
と こ ろ で式 (5.10),式 (5.11)の 適 応 則 は基準 座 標 系 で表現 され てお り,実 施 にお い
ては 座 標 変換 の ための 計 算 量 が 多 く高 速 サ ン プ リ ン グが困 難 とな る.そ こ で 以 下 の
簡略 化 を行 う。 い ま,式 (5.10)の 轟 に 対 して,次 式 を満 足 す る or∈ R・ を定 義 す る。
「
ごr=J(■ )ゼ r
.14)
上式 と式 (5.2)の 関係 を用 い て式 (5。 10),式
(5.11)
“
を関節座標系表現 に変換す れば
,
rd=コ19,1,4r,lr)a一 JT(島 +FDS)
15)
わ。
i=_Γ PT(.,1,ITc,ITc)∫
(5.16)
lrc=│ァ +│:,
となる
(8).こ
9
S9=│一
glc
こに
y(■ ,1,IT,IT)a=∬
│:=一 童
1)IT+θ (9)
(.)lr+σ (■ っ
1(■
)[0(■ ,1)+JT(■
ロピDJ(■ )]li+重
である。
82
(5,17)
1(■
)σ
(5,18)
5.4
実 験装 置 と実 験 方 法
実 験 に 用 い た ロ ボ ッ トの 模 式 図 を 図 5.2に 示 す。 ロ ボ ッ トは 2自 由度 の 垂 直 関 節 形
で,天 丼 か ら懸 垂 され て い る。 ま た この 2リ ン ク ロ ボ ッ トの 動 力 学 バ ラ メ ー タ な どの
1に お い て,ム ,η lJ(に 1,2)は リ ン ク の 重
系 の お も な 諸 元 を 表 5,1に 示 す .図 5.2,表 う。
j(j≡ 1,2)は リ ン ク 長 と 回転 中 心 か ら重 心 まで
心 回 りの 慣 性 モー メ ン トと質 量 ,ム ,■ コ
の 距 離 で あ り,FLLは 操 作 カ ベ ク トル で あ る
.
ま た 実 験 装 置 全 体 の 模 式 図 は 図 5.3に 示 す。 各 関 節 は 揺 動 型 油 圧 ア ク チ ュ エ ー タ
を用 い た 直接 言
E動 方 式 で あ る。 各 油 圧 モー タ の 駆 動 軸 に 取 り付 け た 歪 ゲー ジ 式 トル
ク セ ン サ に よ リマ ニ ピュ レー タの 駆 動 トル ク を 測 定 す る。 ま た 関 節 角 変 位 は ポ テ ン
シ ョメー タ で 検 出 し,関 節 角 速 度 は 関 節 角 変 位 信 号 を 折 点 周 波 数 45Hzの 不 完 全 微
分 器 を介 す こ とに よっ て 得 る。 コ ン ト ロー ラ の 構 成 は,前 章 ま で と は 若 干 異 な り
,
CPUIPC9801RX2(i30286)]は ホ ス ト コ ン ピュー タ と して DSPに 制 御 ノ`ラ メー タ な ど
を 設 定 す る た め だ け に 用 い , 12ビ ッ ト A/D変 換 器 を 介 して取 り込 ん だ 信 号 は,浮 動
図 5.212リ ン ク ロ ボッ トの 模 式 図
表 5.11実 験 系 の 諸 元
Jl
0,0926
五1
0.5
」2
O.0520
五2
0.4
kg・ In2
m
ml
3.240
五 コ1
O.33
kg,In2
kg
1■
2.421
kg
O,29
m
'712
1■ l
83
五 ョ2
CPU
180286
DSP
丁MS320C30
D
I
ffe rent I oto r
Potent I ometer
Electro
Hydroul
Servo
lc
Valve
Stralnmeter
Strolnmeter
図 5.31実 験 系 の 模 式 図
少 数 点 形 DSP(TMS32C30)に 直接 渡 され,DSPで 計 算 し た 制御 演 算 結 果 をそ の ま ま
14ビ ットD/A変 換器から出力する。制御 プログラムはCを 用いて記述し,実 限可能
な最 少 サ ン プ リ ン グ時 間 rは
o。
35msで あ る
.
サーボ弁は1,2軸 共に東京精密測器製 401F型 [定 格流量4.5ι /min(13.7 MPa)l,油 圧
モータはシングルベーン型揺動モータ(揺 動角 180度 ,吐 き出し量 pυ l=4.55cm3/rad,
Dυ 2=1・ 79cm3/ra.d)で
ある.ま た実験中の供給圧力 鳥 は10MPa,作 動油温度は40± 1° C
に設定 した。
なお 2自 由度 ロ ボッ トの 場 合 ,式 (5.17)の 具 体 的 な表 式 は次 の様 にな る。
84
ヽ ´
2
ハ
/
2
︲ 七り
■ で
n
>, 値 J
J 定
セ
灰 L
︲ 一
は
l 推 が
・
.
7 1
劇
﹁
0
,
︲ 4 島
+ >
■ ︱
b
い嘱哺 ←
.
・ 乱
⋮
︲
︲
遇2 ハ
, ﹃ ケ ち・ Ⅵ
t
¨
,
・
地
い 嵐
︲
別
け
L
■ ﹁
r ︱
﹃
一
J 一 ザ ・
・
〓 お
ケ F 一
”
切
鮎 ル Q 鈍 q
s ラ 2 ●
o
■
l
C ︶ r〓 D
85
(5.20)
の
﹄2却
+ け
ム
ニ ︲
と 設 定 し た。
j
.
る
3
(√
{11+92),」 は 重 力 定
︲
一
一
ン 冊
η2
`=2λ
λ21, んど
α4
rl+イ ′
2
」
f42
Jθ 12/五 1
=SI n
に あ f
J︲t 軌
い
﹂ で た
い
﹂ 数 ま
実 験 結 果 お よ び考 察
5.5
+(241+ご r2)S2
Tl を
rl+を F2
ぜ
lっ
■ =diaglλ
ID=diagIた ご1,1ご 21,
χ
イ
(5.19)
17)a=
y(■ 11,IT・
{42各 1+(11+i2)IT2}σ 2
``l
NX
NX
(b)
lvith adaptation.
(「 =diagp.5,0.5,0,5,2q,xD=diag[50,5叫
図 5.4:手 先位 置軌道
86
)
合 の応答 波形 で あ り,図 5.4(b)は パ ラメー タ適 応 則 [式 {5,16)]に お け る適応 ゲ イ
ンを =diag降 ュo.5,〔 ).ら ,20]と した場合 の結果 であ る。ただ し軌道のサー ボ ダイ ンは
「
KD=diag卜 0.5q, トル ク制 御 系 の PI補 償 ゲ イ ン は A″ Pl=0.1,I11=2,」 ぜP2=0.1,
∬f2=6で あ る。 適 応 動 作 を行 わ な い 図 5.4(a,)で は パ ラ メー タ aが 不 正 確 な た め に 目
標 軌 道 に 対 して 大 き な偏 差 を生 じて い る が,図 5.4(b)に お い て は 適 応 機 能 に よ り偏
差 は 減 少 し,日 標 軌 道 に ほ ぼ 追 従 して い る。 こ の 様 に ロ ボ ッ トの 適 応 推 定 機 能 の 有
無 に よ り軌 道 の 追 従 性 に 明 らか な 相 違 が 生 じる の は,ロ ボ ッ トに 印 加 す る 制 御 トル
ク を 計 算 す る 際 の 動 力 学 バ ラ メー タ の 正 確 さが 大 き な 意 味 を持 つ よ う な比 較 的 速 い
運 動 を行 っ て い る 場 合 で あ る。
次 に 図 5.5は ,推 定 バ ラ メー タ aの 初 期 値 を公 称 値 の 1/2と して 与 え て 適 応 動 作
を行 っ た 後 に,手 先 を 平 衡 位 置 ■。
1=0.5m,■ 。2=0・ 4mに 設 定 し て ″1,∬ 2の 負 方
向 にそ れ ぞ れ約
7Nの 力 を 静 か に 加 え た 後 ,そ の 力 を ス テ ップ 状 に 除 去 した 場 合
の ロ ボッ ト手 先 位 置 ∬1,■ 2の 時 間 応 答 で あ る。図 5.5(a)は 目標 イ ン ピー ダ ンス を
ルち=dia.gp.5,0.司 kg,σ ご
=diag[1,16]N・ s/m,χ ご
=diag[32,3コ N/mと した場合,図 5.5
(b)は θdの みを変えて dia・ g[16,lI N・ s/mと した場合 の応答波形である。なお軌道の
サ ー ボ ダ イ ン と トル ク制 御 系 の PI補 償 ダ イ ンは 図 5,4と 同 じ値 を用 い て い る。 図 5.5
(a),(b)に お い て ″1,32で 表 され る 実 験 応 答 波 形 は 目標 応 答 ″dl,″ ご
2と 良 く一 致 し
て い る。 こ れ よ り予 め ロ ボ ッ トの 動 力 学 バ ラ メー タ が 正 確 に 知 られ て い な く と も適
応 推 定 に よ り目標 イ ン ピー ダ ンス が か な り正確 に 実 現 で き る 事 が 示 され た。
次 に トル ク 制御 系 の 性 能 が 適 応 系 に 与 え る影 響 を 検 討 す る た め に,図 5.4の 実 験 と
同様 に,計 算 機 か ら力 指 令 信 号 を 与 え た 場 合 の 実 験 結 果 を 図 5.6に 示 す .た だ し 目標
"力 入 力 信 号 ,軌 道 の サ ー ボ ダイ ン は 図 5,4の 場 合 と同 じ値 を 用 い,推
定 バ ラ メー タ の 初 期 値 は 公 称 値 の 1/2,適 応 ゲ イ ン は =diagp.5,0,5,0.5,2qで ぁ る。
イ ン ピー ダ ンス
「
図 中,上 か ら軌 道 偏 差 ■1,力 2, トル ク偏 差 ち,ち ,推 定 バ ラ メ ー タ alか ら a4の う ち
al,a2を
示 して い る。 図 5,6(a)は トル ク 制 御 部 の 補 償 器 と し て P補 償 器 ,図 5.6(b)
は PI補 償 器 を 用 い た 場 合 で あ り,図 中 破 線 は表 5.1の 値 か ら計 算 した 推 定 パ ラ メー タ
の 公 称 値 ,ι =Osに お け る ●は推 定 バ ラ メー タの 初 期 値 を表 す。 こ こ で トル ク告U御 系
の PI補 償 ダ イ ン と して 試 行 錯 誤 的 に 決 定 した 値 ,IPl=0.1,I11=2,IP2=0・
3,
∬r2=6を 用 い,P補 償 の 場 合 に は 積 分 補 償 ダ イ ン ∬fl,∬ f2を 0と した。 図 か ら 明
らか な ご と く, トル ク制 御 系 の 性 能 が 適 応 系 や 軌 道 の 追 従 性 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し
て い る。 前 述 した ご と く,実 験 条 件 は トル ク制御 の 正 確 さが 意 味 を持 つ よ う な 比 較
87
日 =X
0.7
Xl
0.5
Xdl
0.3
F NX
-002
Xa2
-0`4
-0.6
X2
4
Time
(a)
S
Ca=diag[t,te] N.s/m,
Ma=dia,g[0.5,0.51 kg,
Xd=正 agい 2,321N/111
日 HX
0.ア
Xュ
0.5
Xdl
0.3
日 ”X
-0.2
-0`4
-0.6
q
Time
(b)
Md=diagЮ .5,0.司 kg,Cd=diag[16,1]N・ s/m,
Iご =dia・ g椰 2,3刻
N/m
図 5.5:イ ンピー ダンス制御 の結果
88
日
0°
02
tX
:X
02
0002
02
・
02
0・ 02
-0。
-0。
日
0°
日
日
N
:● │
tX
lX
・
こ0。 02
-0。
02
ユ°
5
■ .AllAAAlAAム
■
ξ ,5「
AlAAAAAlll 遍
‐
1: ご
ご
ご _匡 .V liV ViV・ IiV‐
V‐ V・
__・
「
こ:≫■TΨt=1
H“
H”
200
0
0
8
N側
劇側
0。
0
200
0.8
0
0
6
5
Time
Time
s
(a) P Compensation
(b) PI
s
Compensation
図 5,6:位 置 , トル ク 及 び パ ラ メー タ推 定 の 精 度 に 対 す る トル ク コ ン ト ロー ラ の 影 響
的 速 い 運 動 を 行 っ て い る場 合 で あ る が,3.5節 で の 検 討 か ら明 らか な ご と く,P補 償
器 を 用 い た 場 合 に は モー タ角 速 度 の 影 響 に よ り大 きな トル ク 変 動 を受 け る.こ の た
め,適 応 推 定 に 対 し て も,顕 著 な 影 響 が 現 れ て い る。 PI補 償 器 を 用 い た 図 5.6(b)に
お い て は 図 (a)に 比 べ て 各 信 号 の 変 動 は小 さ い も の の 減 衰 して い く様 子 は 見 られ な
い。 実 験 にお い て さ らに P,Iダ イ ンの 試 行 錯 誤 的 な調 整 を行 っ た が あ ま り改 善 は 見
られ ず ,ま た 制 御 入 力 に飽 和 を 生 じる場 合 に は 後 述 す る よ う な 別 の 問 題 が 生 じた。
と こ ろ で,第 3章 で トル ク制 御 形 油 圧 サ ー ボ 系 に お け る トル ク制 御 に 及 ぼ す 油 圧
モー タ の 角 速 度 の 影 響 は サ ー ボ 増 幅 器 の 入 力 に
ttJ=pυ 4/1∬
馬 =Sgn(鳥 土 几
(5.21)
)θ d∬ ■/1∴
士 聟J
(な
の
対 応 ]な る角 速 度 の 正 フイー ドバ ック補 償 (以 下 PVF補 償 と略 記 す る)入 力
゛
こ こ に σごは サ ー ボ 弁 の 流 出係 数
を加 え る こ と に よ り低 減 で きる こ とを示 した
[式 (3,17)に
)。
,
κ.は サ ー ボ 増 幅 器 ゲ イ ン,■ は ア ク チ ユ エ ー タの 負 荷 圧 力 で あ る。 図 5.7に は,図
89
02
02
=X-0。 02
=0。
2X
-0102
=0。
ご[
:孔
山
十三:ⅢⅢ岬Щ
だ:評Ψ岬ツ
│:│:
=■
=J
4。
日 ■4.4
冒
4
N
P―
ご
P¬ 生4
2.0
=“
2。
“
0
N“
0。
■4。 4
0
0
8
0。
8
■
0
“
σ
-5
6.
Time
Time
PVF Compensation
(a)P■ ‐
(b)PIIPVF Compensation
図 5.7:PVF補 償 の 効 果
5.6と 同 じ トル ク 制御 部 に PVF補 償 を 付 加 した 場 合 の 実 験 に お け る ■1,■ 2,■
,ち
,
al,a2の 波 形 を示 す。 た だ し本 章 の 実 験 系 に お い て は,負 荷 圧 力 を 検 出 して い な い
た め,式 (5.21)の 負 荷 圧 力 比 づの か わ りに油 圧 モー タの 軸 トル ク の検 出値 η(i=1,2)か
ら計 算 し た η/p疵 を 用 い た。
図 5.6,図
5.7の
比較 か らPVF補 償 の付加 に よ リ トルク制 御 の性能 が改善 され,そ
れに伴 ってバ ラメー タ推定,軌 道 の追従性能 が向上 した こ とが わか る。
5.5.2 トル ク飽 和 が生 ず る場合
次 に 関 節 トル ク に 飽 和 が生 ず る 場 合 の ロ ボ ッ トの 制御 動 作 に注 目す る。 図 5.8は
,
日標 イ ン ピー ダ ンス や適 応 ゲ イ ン, トル ク 制御 部 の PIttPVF補 償 な どの 制 御 バ ラ メ ー
タを 図 5.7の 場 合 と同様 と して,告 U御 動 作 の 最 初 の 6秒 間 は 飽 和 の生 じな い 図 5.6,図
,続
5,7と 同 じ 力 指 令 入 力 を印 加 し
く制御 動 作 に は 力 指令 入 力 の 振 幅 を最 初 の 区 間 の
2.5倍 と して トル ク飽 和 が 生 ず る 条 件 で 動 作 させ た 場 合 の ち,ち ,al∼ a4の 応 答 波 形
90
日 Z HP ・ 日 Z N胸
ξ23.0
230
1P
-23.0
■4.4
-23。 0
日
Z・
4.4
t¬ 4。 4
-■ 4_4
““
400
4。
0
銅
0
0
4.0
0
劇“
●C
4。
0
0
m“
2.0
2.0
-200
■“
i“
40
0612
Time
06].2,
Time
s
(a) without Saturatlon
s
(b) with Saturation
Control
ContrpL
図 5.8:飽 和 時 の 実験 結 果
を示 した もの で あ る。た だ し図 5,8(a)は ,飽 和 が な い と仮 定 して,式 (5.18)中 の σを
零 と した 場 合 ,図 5.8(b)は 飽和 を考慮 に 入 れ た式 (5.18)の 適 応 制御 則 を用 い た 場 合
で あ る。 た だ し飽 和 状 態 が 継続 す る と, トル ク制 御 部 の PI補 償 器 の 積 分 器 に “ワ イ
ン ドア ップ"現 象 が生 じ,こ れ が 直接 の 原 因 となって,適 応 制御 則 に お け る飽 和 対 策
の 有無 にか か わ らず ロ ボ ッ トの不 安 定 な挙 動 が生 じた。 こ の た め トル ク の 目標 値 が
図 5.1の 飽 和 域 に あ る場 合 に は,PI補 償 器 の トル ク偏 差 の 積 分値 を零 とす る (貝 口ち積
分 器 を リセツ トし,PttPVF補 償 に切 り換 え る)方 法 を とっ た。 図 5.8(a),{b)は い ず
れ も この 方法 を とった 場 合 の結 果 で あ る。
トル クの飽 和 を 考 慮 しな い 適応 制御 則 を 用 い た 図 5.8(a)に お い て は, トル ク の 飽
和 の 影 響 で推 定 バ ラ メー タが発 散 して い る.さ らに飽和 を考 慮 しな い 適 応 制御 則 を
用 い た 場 合 に は,油 圧 モー タ軸 が 可 動 限 界 に衝 突 す る よ う な激 しい 不 安 定挙 動 が 生
ず る こ とが あ っ た.こ れ に 対 して, トル ク飽 和 を考 慮 した 適 応 制御 則 を用 い た 図 5.8
91
(b)の 場 合 に は,推 定 バ ラ メー タ の 発 散 が 抑 さ え られ て お り,ロ ボ ッ トの 不 安 定 な挙
動 も生 じな かっ た
.
5.6
結
言
2リ ン ク垂 直 関 節 形 油 圧 ロ ボ ッ トに お い て,適 応 イ ン ピー ダ ンス 制 御 系 を 構 成 し
,
そ の 手 先 部 に 印 加 す る 力 入 力 に対 す る系 の 応 答 を 実 験 的 に 求 め た。 そ の 結 果 ,以 下
の こ とが 明 らか に なっ た。
(1)適 応 制 御 ル ー プ 内 の 油 圧 トル ク 制御 部 の 性 能 は 適応 系 の 性 能 に 大 き な 影 響 を与
え る。 トル ク制 御 部 に,
P補 償 また は PI補 償 器 に 加 え て 角 速 度 の 正 フイー
ドバ ック
補 償 を 付 加 す る こ とに よ り, トル ク制 御 の 性 能 が 向 上 し,適 応 制御 動 作 も改 善 され
る
.
ヒが 生 じ る。 こ れ
(2)ア クチ ュ エー タの 飽 和 に起 因 し て 適 応 系 の 性 能 劣 化 や 不 安 定 イ
に対 し,本 研 究 で 提 案 し た 飽 和 を 考 慮 した適 応 制 御 則 は,不 安 定 化 を 防 止 す る た め
に 有 効 で あ る こ とが 実 験 的 に確 認 さ れ た。
参
考
文
献
(1)福 田敏 男 ほか 7名 ,機 械 学会論 文集,57-451,C(1991),160。
(2)Kazerooniっ H.,and Mahony,S.L。 ,Trans,ASMEJ.Dyna.Syst.,Mes.,Control,113-3(1991),379.
(3)N.Hogan,Impedance Control:An Approach to Manipulation,Parts I∼ ⅡI,ASME Journal of
Dynamic Systems,Measurement,and Control,107-1,124,(1985)
(4)舘 叫← 榊 泰 輔 ・ 荒 井 裕 彦 ・ 西 澤 昭 一 郎・ ホ セ フェ リ ベ ペ ラ エ ス ポ ロ,カ セ ン サ を 用 い な
いダイ レク ト・ ドライプマインピュレー タのイ ンピーダンス制御,日 本 ロボット学会誌
,
7-3,172.,(1989)
(5)桂 川 敬 史 ・ 五 百 井 清 。野 呂治・ 荻 本 健 二・ 永 田 修 ,位 置 指 令 型 ハ イ プ リッ ド・ コ ン プ ラ イ
アンス/力 制御の構成 とその適用試験,第 10回 日本 ロボット学会学術講演会講演論文集
,
No.2(1992),637
ア
(6)Slotine,J― JoE.,and Liゥ 恥 .,Adapt市 e
Manipulator Control:A Case Study,IEEE Trans.Auto.
Control,33-11(1988),995.
(7)武 藤 康 彦 ・ 市 川 邦 彦 ,入 力 制 限 の あ る 連 続 系 MR,ACSに 関 す る一 考 察 ,計 測 自動 制 御 学 会
論 文 集 ,24-11(1988),1158.
(8}Fossen,T.I.,and Sagatun,S.I.,Adapti、 re Control of Nonlinear Systems: A Case Study of
Underwater Robotic Systems,J.Rob.Syst.,8-3(1991),393.
92
{9)松 井 隆・ 望 月 宣宏,油 圧 トル ク 制御 にお け る角 速 度 正 フィー ドバ ック補 償 の 効 果,機 械 学
会論 文 集,57-537,C(1991),1601.
93
第 6章
イ ン ピ ー ダ ン ス 制 御 を応 用 した ハ イ ブ リ ッ ド制 御
の 直接 教 示 一再 生 法
6.1
緒
ロ
ロ ボ ッ トが 外 界 の 対 象 物 と接 触 しな が ら作 業 す る,組 立 ・ バ リ取 り・ 磨 き作 業等 に
お い て は,位 置 の み な らず 力 の 制 御 も必 要 と な る。 こ う し た 作 業 に 対 す る 有力 な制
御 法 と して位 置 と力 の ハ イ ブ リッ ド制 御 法{1)が あ る。 しか しそ の 作 業 教 示 や プ ロ グ
ラ ミ ン グ は 単 純 な 位 置 制御 の 場 合 に 比 べ て 煩 雑 とな る
.
ハ イ プ リッ ド制 御 に お い て 教 示 者 が 直 接 ロ ボ ッ ト手 先 を 動 か して 教 示 す る,い わ
ゆ る 直 接 教 示 に よっ て 教 示 作 業 の 能 率 化 ,単 純 化 を計 ろ う とす る種 々 の 方 法 が提 案
され て い る(2)一 但).直 接 教 示 法 が 適 用 で き る た め に は,ま ず ロ ボ ッ トが 逆 動 (操 作 者
が ロ ボ ッ トに 直 接 手 を 添 え,力 を 加 え る こ と に よ リ ロ ボ ッ トを 動 か す こ と)が 可 能 で
なけ れ ば な らな い が ,大 きな減 速 比 を持 つ 電 動 ロ ボ ッ トや油 圧 ロ ボ ッ トで は,通 常
,
逆 動 が 困 難 で あ る.逆 動 を可 能 とす る た め に 前 者 で は ク ラ ッチ の 設 置 ,後 者 で は 油
圧 バ イ パ ス 回路 の 設 置 な ど の ハー ドウェ ア 的 な 工 夫 が され る こ とが あ る。 さ らに 教
示作 業 の 容 易 性 あ る い は 熟 練 作 業 者 の ス キ ル ま で も教 示 し よ う とす る 場 合 に は 柔 軟
な操 作 が 要 求 され る た め,単 に 逆 動 可 能 な だ け で は不 十 分 で あ り,ロ ボ ッ トの 柔 軟
な作 業 に 対 す る,大 き な 慣 性 ,摩 擦 な どの 障 害 を除 去 す る 必 要 が あ り,ソ フ トウ ェ
ア的 に 柔 軟 な教 示 動 作 を 可 能 とす る 方 法 が 必 要 とな る。 そ の よ う な 方 法 と して イ ン
ピー ダ ンス 制御 を応 用 す る 杉 本 の 方 法 が あ り
(→
,福
田 ら も マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業
に お い て 作 業 者 の 操 作 性 の 向 上 の た め に イ ン ピー ダ ンス 制 御 を応 用 して い る
(6,7).
本 研 究 に お い て は,イ ン ピー ダ ンス 制御 を応 用 して 拘 束 曲 面 上 の 力 市U御 に 対 し直
接 教 示 を行 う。 イ ン ピー ダ ンス 制 御 法 と して 杉 本 が 速 度 指 令 型 を提 案 し,ま た福 田
らが 位 置 指 令 型 を用 い て い る の に 対 し,本 研 究 で は よ り よ い 操 作 性 が 期 待 で き る ト
ル ク指 令 型 イ ン ピー ダ ンス 制御 (8,9)を 用 い る.た だ し こ の 場 合 ,ロ ボ ッ トの ダイ ナ ミ
ク ス が 既 知 で あ る 必 要 が あ る が,本 方 法 は パ ラ メー タ適 応 則 を付 加 す る の み で 前 章
に述 べ た 適 応 イ ン ピー ダ ンス 制御 法 に 拡 張 で き る た め,自 由 空 間 に お い て,予 備 的
な パ ラ メ ー タの 推 定 が 容 易 に で き る
.
目標 制 御 動 作 と して,自 由 空 間 に あ る手 先 を 滑 らか な 拘 束 面 に接 触 させ ,拘 束 面
に 沿 っ て 教 示 され た 力 と 同 じ力 を作 用 させ る場 合 と,再 生 時 に教 示 時 の 力 とは 異 な っ
94
た 目標 の 力 を作 用 させ る場 合 を対 象 とす る.教 示 時 と 再 生 時 で 拘 束 面 の 位 置 が 若 千
異 な る 場 合 に も 日標 力 の 制 御 を 可 能 と す る た め に,位 置 と力 の 制御 方 向 を分 離 して
両 者 の 干 渉 を除 去 す る ハ イ プ リッ ド制 御 法 を応 用 す る。 た だ し通 常 の ハ イ プ リ ッ ド
制 御 に お い て は,定 式 化 さ れ た 拘 束 面 モ デ ル に 基 づ い て 制 御 則 が 決 定 され る が ,本
研 究 に お い て は,拘 束 面 モ デ ル を 用 い る こ と な く,拘 束 面 の 摩 擦 が 無 視 で き る と の
仮 定 の 下 に,拘 束 面 か ら受 け る力 信 号 に 基 づ い て ハ イ プ リッ ド制 御 則 を 決 定 す る 方
法 を 提 案 す る。
な お ロ ボ ッ トを低 イ ン ピー ダ ンス に 設 定 した 場 合 ,教 示 者 が ロ ボ ッ トを 非常 に 軽 く
操 作 で き る た め,過 大 な 入 力 が 加 え られ 易 く,ア ク チ ュ エー タ の 飽 和 に .よ る 予 期 せ
ぬ 動 作 が 生 ず る こ とが 考 え られ る.こ の た め,教 示 者 の 安 全 性 の た め,教 示 に お い
て も前 章 で 述 べ た ア ク チ ュ エ ー タ の 飽 和 対 策 を応 用 す る。
6.2
6。
制御則 の導 出
2.1
回ボ ッ トの動 力学方程式
ロ ボ ッ トの 動 力 学 方 程 式 は,既 に 第 5章 で 与 え られ て い るが,以 下 の 説 明 の た め に
再 記 す る。
ロ ボ ッ ト手 先 が 拘 束 面 と接 触 す る 状 態 に お け る,運 動 学 的 な冗 長 性 を 持 た な い ロ
ボ ッ トの 動 力 学 方 程 式 は 次 式 で 与 え られ る。
τ =∬
(9)│+σ (■ ,1)│+J(■ )+JT(■ )F
こ こ に T,9,∬
Fは
(■
(6.1)
),C(■ ,1)│,g(■ ),J(■ )は 式 (5.3)で 示 した もの と同 じで あ り
ロ ボッ ト手 先 が 外 部 に 及 ぼ す外 力
,
(モ
ー メ ン トを 含 む)ベ ク トル と したた め,式
(5.3)の 礼 とは符 号 が 逆 向 きに なっ て い る。 また 以下 で は ロ ボッ トは一 般 に6自 由度
と し,ヤ コ ビ行 列 J(■ )は 正 則 で あ り,Cを υr(童 _2σ )υ =0[(「 -2σ )の 歪対 称 性
υ ∈R6は 任 意 ベ ク トル│が 成 立 す る よ う に取 る も の とす る
,
.
上 式 の 関節 速度 ベ ク トル │と 手先 速度 ベ ク トル カ との 関係 は [式
轟
(5.2)]
=J(■ )│
(6.2)
で 与 え られ る。 こ れ を 用 い て 式 (6.1)を 基 準座 標 系 表 現 に 変換 す る と
鳥 =■ fr(■ )轟 十 CT(■ ,1)轟 +Jr(■ )十
F
9与
(6.3)
M「 (1), Cr(■ )│),gr(■
と な る。 こ こ に 」
),鼻
は 式 {5_6)に お け る 同 じ記 号 に 対 応 して
い る。
2.2
6。
教 示 時 の制 御 則
ィを,教 示 者 が ロ ボ ッ ト手 先 に 加 え る操 作
“
ロ ボ ツ ト手 先 が 拘 束 面 に 与 え る 力 (以 後 ,接 触 力 と呼 ぶ )Fcを 用 い て 次 式 の
教 示 時 の ロ ボ ッ ト手 先 位 置 の 目標 軌 道
力
Fmと
目標 イ ン ピー ダ ンス を満 足 す る よ う に 決 定 す る
.
鳥
-0具 =ル均∴f+σJ轟 ご十Xご (″ ご―■。
)
こ こに Mご ,
c,Xdは
(6.tl)
そ れ ぞれ R6x6の 次 元 を持 つ 目標 の慣 性 行 列 ,粘 性 係 数行 列
,
ば ね定 数行 列 で あ り,"。 は平衡位 置 ベ ク トル で あ る。 手 先 が 拘 束 面 と接 触 して い な
い 時 は,Fc=0と
な る た め,ロ ボ ッ ト手 先 の 目標 値 は操 作 力 Fmの み に よっ て 目標
イ ン ピー ダ ンス を満 足 す る 運 動 が 定 ま る。一 方 , ロ ボッ ト手 先 が 拘 束 面 に接 触 した
場 合 には,手 先 か ら拘 束 面 に Fcな る 力 が 作 用 す るが,こ れ を “
力 帰 還 比"cで 教 示 者
に帰 還 す る。 こ れ は ロ ボ ッ ト手 先 が 環 境 か ら受 け るカ ー民 に対 す るイ ン ピー ダ ンス
を,操 作力 民屁に対するインピーダンスの1/0倍 に設定した(11)こ とと等価である.た
だ し 4は 拘 束 面 に 垂 直 な 方 向成 分 の み を 有 す る (摩 擦 が無 い)と 仮 定 す る。
に 対 して,前 章 の 制御 則 か ら適 応 推 定 機 能 を除 去 した制 御 則
式 (6.4)の 目標 軌 道
"ご
を 用 い る。 す な わ ち実 際 の 軌 道 露 と の 追 従 の 測 度 sを
∫ =轟 ― れ
+五 轟 =轟
ir=轟 ご一 ■(■ ・―
― ごr
.5)
ご)=轟 ご一 五壷
“
と定 義 し,次 式
ir=J ・
(■ )轟 r
lr=J ・
(■ )1轟「
.6)
一 J(■ )J ・
(6.7)
“
(■ )轟 r]
に よ り,力 r,轟 Tを 関節 変 数 lr,lrに 変 換 す る。 これ を 用 い て 制 御 入 力 τを
T=y(gフ
1,lT,lr)a+JT(具
y(■ っ
1)IT,こ
一
島
一
χ
D5)
r)a=IIT+clT+θ
(6.8)
(6,9)
で 与 え る.上 式 にお け る 表 現 は式 (5。 15)で 用 い た も の と同様 に,↑ を付 した 記号 は ロ
ボッ トの 動 力 学 バ ラ メー タの 推 定 値 を示 し,XDは 正 定 な軌 道 補 償 ゲ イ ンで あ り
,
96
lraは ロ ボ ッ トの 動 力 学 方 程 式 が バ ラ メー タ αに 関 して 線 形 で あ る こ と を 示 す 表 現
である
.
式 (6.8)を 式 (6.1)に 代入 し,パ ラメー タ推定誤差がな く(■ =∬ ,ご =c,」 =J),
ロボット手先から外 界 に働 く力 の合力 はF=具 一二れであるとして整理すると
,次
式 を得 る。
「DJs9
∬ ぶ7=一 Cs9-J『 Й
こ こ に s=Js9=J(1_17)で
(6.10)
あ る。 今 ,Lia,punov関 数 の 候 補 を
「
(59)=:S『 s9>0
・
I″
(6.11)
とす ると,そ の時間微分 はυT(■ -2σ )υ =0の 関係 を用 いて
Iン
(s9)=s『 J39+:S『 IIS9
=
(6.12)
―
―
S『 JrffDJ59<0
とな る。 こ れ よ り関 数
Is9)は LiapunOv関
1→ ∞ で s9→ 0と な り,結 局
数 とな り,系 の 漸 近 安 定 性 が 保 証 さ れ
,
ごに 収 東 す る.式 (6,8),式 (6.9)で 表 され る 制 御
“
則 は 第 5章 に 述 べ た 適 応 制 御 則 の 適 応 推 定 機 能 を除 去 した も の で あ り,適 応 則 を 合
"→
む 形 に 容 易 に 拡 張 し得 るが,本 研 究 に お い て は パ ラ メー タ aと して,第 5章 に述 べ た
自由 空 間 に お け る パ ラ メ ー タ推 定 を 行 っ た後 の 値 を 用 い る も の と す る。
なお 教 示 デ ー タ と して 作 業 者 の 操 作 力 と拘 束 面 との 接 触 力 を そ れ ぞ れ Fmt,Fetと
して 次 の 再 生 の た め に 利 用 す る。
6.2.3
再 生 時 の 制 御 貝J
再 生 時 の ロ ボッ ト手 先位 置 の 目標 軌 道 rdは ,操 作 力 比 と拘 束 面 との 接 触 力 具 の
教 示 デー タ Fmt,F配 か ら式 (6.4)と 同様 に次 式 の 目標 イ ン ピー ダ ンス を満 足 す る よ
う に 決定 され る。
Fmォ
ーOFct=■ fご 轟ご+σ diご +Jfご (認 d― 。
・ )
(6.13)
上 式 の 目標 軌 道 は教 示 時 の デ ー タか ら生 成 して い るが ,教 示 時 と再 生 時 の 間 に対 象
物 の 位 置 に ず れ が 存 在 す る場 合 に は 軌 道 制御 と力 制御 の 間 の 干 渉 が 生 じ,制 御 性 能
が 劣 下 す る。 そ こ で 拘 束 面 との 接 触 時 に 力 と位 置 を 同 時 に 制御 す る 方 法 と して Raib―
ertと Craigに よっ て 提 案 され た ハ イ プ リッ ド制 御 (1)の 概 念 を応 用 す る。
97
一 般 に ハ イ プ リッ ド制 御 に お い て は,制 御 則 を拘 束 面 の 定 式 化 モ デ ル に基 づ く拘
束 座 表 系 を 用 い て 導 出す る が,今 の 直 接教 示 一再 生 方 式 にお い て は拘 束 面 のモ デ ル
は な い。 そ こ で拘 束座 標 系 を以 下 の よ う に接 触 力 Fcの 検 出値 を用 い て 設 定 す る
.
い ま,6軸 カ セ ンサ で 検 出 され た 接 触 力 Fcが 基準 座 標 系 で
Fc=IFI FL]T
と表 され る も の とす る。 こ こ に F`ど ∈R.3は 力
モー メ ン トで あ る。 い ま拘
"F6ω ∈R3は
束 速 度 座 標 力R=レ Rl iF2 J・ R3iR4カ R5カ R61Tに お け る iR5軸 を IF1 0T]Tの 方 向
に,lR6軸 を [OT FIITの 方 向 に 取 り,力 ∫=[iR5 1R6]Tを 定 義 す る(12)。
こ の 力∫は 拘
束 座 標 系 に お け る 力 制 御 方 向 の 成 分 を 表 す。 一 方 ,拘 束 座 標 系 の 他 の 成 分 を 力R5,
lR6軸 と 直 交 し,か つ 互 い に 直 交 す る よ う に 適 当 に と り,そ れ ら を ま と め て 力p=
liRl■ R2■ R31R41rと 定 義 す る。 こ こ に ipは 拘 束 座 標 系 に お け る 軌 道 制 御 成 分 を 表
す 。 い ま 発P,壷 ∫を 用 い れ ば 拘 束 座 標 壷Rは
力
R=[轟 F轟 F]T
と表 され る:こ の と き拘 束 座 標 力Rと 基 準 座 標 力の 間 に
轟 =ntR
(6.14)
の 関 係 が あ る と仮 定 し,R∈ R,6x6を
︺
ル
﹁剣
R=[」 %R∫
]
(6.15)
の 値
ク れ
べ ぞ
位 れ
単 そ
の て
向 い
方 用
力一
を
中 出
力 検
出 の
サ サ
り
ン ン
セ セ
6
カ ヵ
軸 ,
Tω
は ぁ
0 % Ъ ト
島 に の
い
﹂ 向
い
﹂ 方
γυ=Fcυ /IFeυ
︱︱ ♂ 鷹
と表 せ ば,R∫ ∈R6x2は 次 の 形 に 表 現 で きる。
トル と モー メ ン ト
l
=Fε ω/IF`ω
l
と表 される。なお Rは 直交座標変換 であるので R
FRP=14x4,
RFR∫
=∬ 2x2
98
1=RTの 関係 が成立 し,ま た
が 成 立 す る.こ こ に ∬は 単位 行 列 を表 す。
式 (6.14)の 変換 行 列 Rを 用 い て ロ ボ ッ トの動 力 学 方程 式 を拘 束 座 標 系 で 表現 す る。
た だ し再 生 時 に お い て は ロ ボ ッ ト手 先 か ら外 界 に 及 ぼ す 力 は拘 束 面 に対 す る接 触 力
F6の み とな る た め,F=Fこ と置 け ば,式
Fn
(6.3)は
:M n*a + C tii,n * gn * f,n
FR : R't {,.
Mn
-
(6.16)
-R7'M,,R
σ R=Rr」 V∬ R+RTCrR
」R=RTgr
FcR=RT具
となる。∬ は正 定対称行列 で あるか らⅣ鴫 も正 定対称行列 であ り,(ル ー2σ )の 歪
対称性 υT(■ -2C)υ =0か らυr(MR-2σ R)υ =0が 成立す る (補 遺 C参 照).
い ま拘束面 を基 準座標系 に固定 され た剛体面 と仮定す れば,法 線方向 の速度,加
速度 は零 となる。E「 ち
方 ″
向 ぼ
師
”
︷
︱
” 2
,
一
0 為
C 釘 ∬
.
甲
目団﹄o
.
r
L
︲
︲
︲
。
一
﹁
熱
一
﹁
一
・
引
r
% ■ 町 れ κ
ら 町・
99
目 F >
る 力
力 る.
け 触
触 れ
お 接
接 さ
標
,鑓 縣に胡
で
の 書
脚颯
︲ き 系
螂
臨
暖
擬坤□ ぃ
一蝉
呻御喝嚇郡
。
し
ご
L
り, る
あ な だ F
で と た カ
鯨れ
け
競
勒
発∫=轟 ∫=0
各 成 分 は零
(6.17)
と 目標 接 触
,
r
剛
一
瑯を 団剛 執 一側
>
r
100
こ こ で 行 フlS∈ R6x6は 基 準 座 標 系 の 軌 道
rか ら拘 束 座 標 系 に お け る 軌 道 制 御 方 向 成
“
分 の み を取 り出 す 行 列 で ,通 常 の ハ イ プ リ ッ ド制 御 に お け る 選 択 行 列 に 相 当 す る
.
式 (6.25)の 計 算 に お い て は カ セ ン サ の 出 力 か ら 計 算 され る Sと R∫ の み が 必 要 で あ
り,RPは 必 要 な い。
さ らに上 式 を 式 (6.2)を 用 い て 関 節 座 標 系 表 現 に 変 換 す れ ば そ の 制 御 入 力
τ =y(■・│フ
││・
││、
)a+Jr[Fε ご― A′PSs+χ ∫R∫ s∫
]
Tは
(6.27)
91=J 1カ │
力l=Sir tt JttS∫
と な る。
な お 教 示 時 と 同 じ接 触 力 を作 用 させ る 場 合 に は,力 の 目標 値 具 ご(1)を 接 触 力 の 教
示 デ ー タ 具ιに とれ ば よ い。 また 式 (6.27)は 力 制 御 方 向 ベ ク トル R∫ を零 と す れ ば
,
そ の ま ま 自由空 間 の 軌 道 制 御 則 と な る
.
6.3
実 験 装 置 と実 験 方 法
6.3.1 実験装置
前節 で提案 した直接教 示 ―再生法 の妥当性 を2リ ンク油圧 ロボッ トを用 い た実験 に
よ り確認す る。
実験 に用 い た ロボッ トの模式図 を図 6.1に 示す◆図中 の記号 とそ の公 称値 の値 は
,
第 5章 の 図 5.2,表
(PVF)補 償
{14,15)を
5.1と
対 応 して い る.各 関節 は PI+角 速度 の正 フィー ドバ ック
用 い て トル ク制御 を行 い,サ ンプ リング周期 rは o.3msで ある。
そ の他 の実験装置 の基本 的構成 は,第 5章 で示 した ものと同 じであるが,ロ ボッ ト手
先 には接触力 を測定す るためのカ セ ンサが付加 され てい る。図 6.2に ロボッ ト手先部
分 の模式図 を示す。ロボッ トアーム①の先端 には,教 示者が把持 して操作力 を加 える
操作 レバー③ と拘束面① との接触力 を測定す る接触 カ セ ンサ③が設置 されてお り,こ
のカ セ ンサ先端 には摩擦 を除去す るためにベ ア リ ング①が取 り付 け て あ る。操作 レ
バー と接触カ セ ンサに加 え られた力 は歪ゲージ式カ セ ンサ0に よって計韻1さ れ る。力
セ ンサは 2次 元 セ ンサで あ り,力 の大 きさはDSP内 部 で計算 して D/A変 換器 か ら出
力 し,10Hzの 遮断周 波数 を持 つ低域通過 フイル タを介 して記録 した。 また式 (6.8),
(6.27)に
お け る ロボッ トの動力学バ ラメー タaに は,教 示前 に前章 に示 した適応 則 を
用 い て,正 弦波状 の力信 号 を入力 して同定 した値 を用 いた。
101
図 6.112リ ン ク油 圧 ロ ボ ッ トの 模 式 図
図 6.2:ロ ボ ッ ト手 先 部 分 の 模 式 図
6.3.2
再 生 時 に お け る 分 離 行 列 Rル
Sと
目標 力 Fedの 設 定
教示 者 に よる操 作力 馬 の教 示 デ ー タ 島 ォあ る い は操作 力 乳 と接 触 力 馬 の 両教 示
デー タ 鳥
1,41に 基 づ い て 再 生 動 作 を行 う場 合,拘 束 面 が 教 示 時 と再 生 時 で 若 干 ず
れ て い る場合 に 6.2.3項 に 示 した 方 法 をそ の ま ま適 用 す る と,ロ ボ ッ トの 手 先 が 自由
空 間 か ら拘 束 面 に接触 す る 場 合 あ る い は 逆 に拘 束 面 か ら離 脱 す る 場 合 に,過 大 な衝
突 力 や 不安 定 化 な どの 問 題 が生 じる こ とが 予 測 され る。 そ こ で,こ の よ う な状 況 に
お い て も再 生 時 にお け る 自由 空 間 で の 軌 道 の tlJ御 と,拘 束 面 上 で の 軌 道 と力 の ハ イ
プ リッ ド制御 との 間 の 滑 らか な移 行 を実 現 す る 方 法 に 関 して検 討 す る。
102
表 6.]:力 目標 値 F酬 と分 離 行 列 R∫ の 設 定
IF〔
Case
IF`│<.ふ
′
│<.ん ん
IFefl≧
:
J=R」 Fcrザ
R∫ ←{Eq.(6.15),Fd}
0
F〔
ft/-o
Case
IFcl≧
∴λ
ん
Case 3
1
F.r/
.ん
Case 4
2
f.d:O
Fcご
f/
R∫
*{Eq.(6.15), 'F" }
=R∫ Fこ ィ
←{Eq.(6.15)。
Fξ }
教 示 時 と再 生 時 に お け る拘 束 面 の ず れ を考 え る と,教 示 と そ れ に 対 応 す る 再 生 に
お け る ロ ボ ッ ト手 先 と拘 束 面 との 接 触 状 態 に よっ て 教 示 時 の 接 触 力 異 Jと 再 生 時
(現
在 )の 接 触 力 具 の 組 み 合 せ が,表 6.1に 示 す Case l∼ Case 4に 分 類 され る。 た だ し
,
表 中 の 定 数 ∴たは接触 を判 定 す る接 触 力 の大 き さの しきい値 で あ る。 また 表 中 に は各
場 合 に お い て 設 定 す る基 準 座 標 で 表 わ され る力 の 目標 値 Fed(制 御 目標 は再 生 時 の接
触 力 の 大 き さ を 島 υとす る こ と)と 力 制御 方 向 ベ ク トル R∫ を 示 して あ る。
表 に お い て Case lは 教 示,再 生 の 互 い に対 応 す る時 点 に お い て ロ ボ ッ ト手 先 が 自
由空 間 に あ る 場 合 で,日 標 接 触 力 は零 と して Fθ ど=o,R∫
=oと
お く。 case 2は
例 え ば,教 示 後 に拘 束 面 が ロ ボッ ト手 先 が 接 近 す る 方 向 に 若 干 移 動 した た め に,再
生 時 に お い て教 示 の 接 触 点 以前 に 接 触 が 開始 して い る状 態 に 対 応 す る。 こ の Case 2
にお い て は 接 触 と同時 に ハ イ プ リッ ド制 御 モー ドに 入 るが,大 きな初 期 接 触 力 を避
け るた め,力 の 目標 値 具dは 零 とす る.Case
3は Case 2と
逆 に教 示 後 に拘 束 面 が
ロ ボッ ト手 先 の 接 近 方 向 か ら若 干 遠 ざかった た め に,教 示 時 の 接 触 点 を過 ぎて も再
生 時 に お い て は非 接 触 状 態 に あ る 場 合 に対 応 す る。 こ の Case 3に お い て は式
(6.13)
で 計 算 され る どを 目標 軌 道 と し, 日標 力 Fcd=0と して単 に 軌 道 制御 モー ドを適 用
“
す る と再 生 時 に拘 束 面 の あった 軌 道 を と り,拘 束 面 に接 触 して い か な い 状 況 が生 ず
る。 そ こ で 表 中 に 示 す ご と く接 触 力 の 目標値 を与 え て,ロ ボ ッ ト手 先 を拘 束 面 に接
触 させ る 方法 を とる。 た だ し非接 触 状 態 にあ る た め 力 制御 方 向 ベ ク トル R∫ を F`よ
り得 る こ とが で きな い た め,R∫ を 教 示 時 の 接触 力 Fcrに 基 づ い て与 え る (こ の R∫ を
R∫
と記 す).CaSe
4は 教 示 と こ れ に対 応 す る再 生 の い ず れ に お い て も接 触 状 態 に あ
る場 合 で,6.2.3項 で 説 明 した 再 生 時 の 接 触 力 に 基 づ い た ハ イ ブ リッ ド制御 モー ドを
103
適 用 す る。
な お 基 準 座 標 系 か らみ た 拘 束 座 標 系 は 手 先 が 拘 束 曲面 に 沿 っ て 移 動 す る と き,時
間 と と もに 回転 す るの で,式 (6.27)中 の l,上 Fは 零 とは な らな い が ,制 御 演 算 の 簡
単 化 と拘 束 面 の 曲率 が 十 分 小 さ く,拘 束 座 標 系 の 回転 速 度 は 十 分 小 さ い も の と し て
5空 0,R∫ 笙 0と した。
6。
4
6.4.1
実 験 結 果 と考 察
教示 一再 生間で拘束面 の位置 に ず れがない場合
図 6.3に は 教 示 者 が 図 中 自 由 空 間 の A点 に位 置 す る ロ ボ ッ ト手 先 に 操 作 力 を 加 え
て 自由 空 間 を 運 動 させ た の ち,B点 で 円 筒 面 上 に 接 触 させ ,円 筒 面 を 矢 印 の 方 向 に
任 意 の 接 触 力 を 加 え な が ら 1周 して C点 で 円 筒 面 上 か ら 離 れ ,D点 まで 移 動 さ せ る
動 作 を 教 示 した の ち,同 じ動 作 を 再 生 した 場 合 の 実 験 結 果 を示 す。 た だ し 目標 イ ン
s/m, rd=ON/m,力
ピー ダ ンスはMご =diag卜 ,41Kg, θd=dia,g110,101N・
帰還比 は C=1
とし,軌 道 の補償 ダイ ンは,IP=50.AP=25,力 補償 ゲイ ンは人∫=0.04,Aレ =500と
した。 また関節 トルクサー ボゲ イ ンは,試 行錯 誤 的 に良好 な トル ク制御 が得 られ る
値 IPl=0.2,I11=2)IP2=0・ 4,I12=4を 用 い た。 ま た 力 の し き い 値 は ■ん=2Nと した
.
図 6.3(a,)は 教 示 時 と再 生 時 の ロ ボ ッ ト手 先 軌 道 を重 ね て プ ロ ッ トした も の で,自 由 空
間 で の 運 動 と拘 束 面 上 の 運 動 の 間 の 移 行 も含 め た 全 領 域 に お い て 両 結 果 は 良 く一 致
して い る。 また 図 6.3(b),(C)は そ れ ぞ れ 拘 束 面 に接 触 し た 状 態 に お け る教 示 時 と再
0
4
0 0
2
日 一。﹂一
(b)
0
4
0 0
2
。﹂一
Z 一
(c)
0
T lme
図 6.3:教 示 時 と 同 じ力 を 目標 と した 再 生 結 果
104
8
4
tB
40
日
(a)
(b)
名 40
葛 20
己
-L 0
20
0
4
8
Time
4
t g
t8
Time
図 6.41-定 の 目標 力 を 再 生 した結 果
生 時 の 接 触 力 の 大 き さ IF〔 │を 示 した も の で,両 者 は ほ ぼ一 致 した挙 動 を 示 して い る
こ とが わ か る。
一 方 ,図 6.4は 再 生 時 の 接 触 力 を 教 示 時 と異 な る 目標 値
を行 っ た 時 の 接 触 力
IFε
│=20Nと 設 定 し,実 験
IF〔 ィ
,図
lを 示 し た もの で あ る。 図 (a)の 教 示 に 対 し
(b)の 再 生 時
に は,破 線 で 示 す 目標 力 が ほ ぼ 正 確 に 達 成 され て い る。
6.4.2
教 示 ―再 生 間 で 拘 束 面 の 位 置 に ず れ が あ る 場 合
次 に 教 示 ―再 生 間 で 拘 束 面 の 位 置 に 若 干 の ず れ が あ る 場 合 に つ い て 検 討 す る。 図
6.5は 図 6.4と 同 じ教 示 デ ー タ,同 じ力 目 標 値 を 用 い て 拘 束 面 が 教 示 時 とず れ た 場 合 の
再 生 動 作 を 行 っ た 結 果 で あ る。 こ の 場 合 ,拘 束 面 は教 示 時 に 比 べ て ∬2軸 の 正 方 向 (ロ
ボ ッ ト手 先 が 拘 束 面 に接 近 す る 方 向 )に
3cm移 動 して い る.図
6.5(a)に は 教 示 時 の 軌
道 が 破 線 で ,ま た 再 生 時 の 軌 道 が 実 線 で プ ロ ッ トされ て い る.図 6.5(b)は 再 生 時 の
接 触 力 を 示 し た も の で,時 間 軸 は 図 6.4(a)の 教 示 時 の 接 触 開 始 時 点 (t=ls)に 対 応 す
る 再 生 時 の 時 間 を t=lsと して 記 録 開 始 時 点 を揃 え て あ る。 図 6.5に お い て ロ ボ ッ ト手
o﹂一
口 一
40
(b)
20
0
0
4
丁ime
図 6.51近 づ け た 場 合 の 実 験 結 果
105
8
ts
b
口 40
L°
20
丁
0
8
匈
0
tS
Tlme
図 6.6:遠 ざ け た 場 合 の 実 験 結 果
先 と拘 束 面 との 接 触 は教 示 よ り も早 い t堅 0.7sで 生 じ,こ の 時 点 か ら教 示 時 の 接 触 時
点 t=lsま で は,表 6.1の Case 2に 対 応 す る 状 況 で あ り,力 目標 値 を Fed=0と 設 定
して ハ イ ブ リ ッ ド制御 が 適 用 され る。 こ の た め 接 触 開 始 時 の 接 触 力 は小 さ く抑 え ら
れ る こ とが が わ か る。 時 間 t=lsで Case 2か ら Case 4に 移 行 し,表 6.1に 基 づ い て 日
標 接 触 力 Fcご ,力 制御 方 向 ベ ク トル R∫ を設 定 しな が ら,ハ イ ブ リッ ド制御 が 実 行 さ
れ る.そ の 結 果 ,拘 束 面 の ず れ に 拘 わ らず 力 目 標 値
IFcご
│=20Nを
実 現 で きて い る の
が わ か る。
次 に 図 6.6は 図 6.5と は 逆 に 拘 束 面 を教 示 時 に比 べ て 自由 空 間 か らの 接 触 方 向 に 3cm
遠 ざ け て 再 生 を行 っ た 結 果 で あ る。 図 6.5と 同様 に 図 6.6(a)に は 教 示 時 の 軌 道 が 破 線
で,再 生 時 の 軌 道 が 実 線 で プ ロ ッ ト し て あ り,図 6.6(b)は 再 生 時 の 接 触 力 で あ る
.
こ の 場 合 に は,教 示 時 に 拘 束 面 と接 触 が 生 じた 時 点 に お い て も,再 生 時 に は 接 触 を
生 じな い
R∫
I図
6.6(a)参 照
]。
こ れ は Case 3に 対 応 し,表 6.1に 基 づ い て Fed=R√ Feど
,
=虚 ∫が 設 定 され る。 実 際 に こ の 方 法 に よ り再 生 動 作 を行 っ た が,そ の 結 果 ,ロ
ボ ッ ト手 先 は 拘 束 面 に 大 き な 衝 撃 力 を 伴 な っ て 衝 突 し た の ち,極 め て 不 安 定 な 動 作
を生 起 す る こ とが あっ た。 こ の 理 由 は ロ ボ ッ ト手 先 を 拘 束 面 に 接 触 さ せ る た め に 非
接 触 状 態 に お い て も力 の 目標 値 を 与 え て い る た め,式 (6.24)に 基 づ く力 補 償 に お い
て 大 き な 力 の 偏 差 が 積 分 され る 結 果 ,極 め て 大 き な力 補 償 トル クが 生 じる こ とに 起
因す る と推 察 さ れ る。 こ の 大 き な 衝 撃 力 を避 け る た た め ,Case
3の
区 間 に限 り力 偏
差 の 積 分 値 を零 とす る処 置 を とっ た が ,図 6.6(b)は この 場 合 の 結 果 で あ る。 この 処 置
に よっ て 図 に み る 通 り,接 触 時 に 若 干 大 き な衝 撃 力 が 作 用 す る が,不 安 定 な 動 作 を
生 ず る こ と な く 目標 の 力 制 御 が 達 成 され る こ とが わ か る
106
.
6.5
塾
聞
結
直 接 教 示 法 に お け る教 示 作 業 を マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業 とみ な し,イ ン ピー ダ ンス
制 御 を応 用 して 直 接 教 示 時 の 操 作 性 の 向 上 を 計 っ た.そ して ハ イ ブ リッ ドtlJ御 に お
け る教 示 動 作 の 再 生 ,お よ び 再 生 時 に 力 目標 値 を 再 設 定 す る 手 法 を 示 した。 また
,
拘 束 面 上 にお け る力 /軌 道 ハ イ プ リッ ド制 御 モー ドと 自由空 間 にお け る軌 道市U御 モー
ドの 間 の 滑 らか な 移行 を実 現 す る 方 法 に つ い て検 討 した.そ して垂 直 2リ ン ク 油 圧
ロ ボッ トの実 験 に よ り自由空 間 にお け る 自在 な軌 道 の 直 接 教 示 ― 生
再 動 作 お よび 円
筒 面 上 に 沿 っ て 目標 接触 力 を作 用 させ る ハ イ プ リッ ド市J御 の教 示 ―再 生 動作 が 実 現
で きる こ とを示 した。 な お 再 生 時 の拘 束 面 が 教 示 面 と若 干 ず れ た 場 合 ,ロ ポッ ト手
先 が 接 近 す る方 向 の ず れ に対 して は 滑 らか な 接 触 が 可 能 で あった が,逆 方 向 の ず れ
に対 して は大 き な 衝 撃 力 が生 じた。 常 に 滑 らか な接 触 動 作 を 可 能 とす るため に は
,
さ らに 高度 な 市U御 法 が 必 要 とな る
.
参
考
文
献
(1)M,H.Raibert and J.JoCraig,Hybrid POsition/Force ContrO1 0f Manipulators,Trans.ASME
Journal of Dynalnic Systelns,Measurement and COntrol,VOl,lo2,June 1981,126.,(1981)
(2)浅 田 春 比 古・ 花 房 秀 郎 ,力 教 示 機 構 を備 え た ロ ボ ッ トの プ レ イ バ ッ ク 制 御 ,計 測 自動 制 御
学 会 論 文 集 ,15-3,410,,(1979)
(3)Haruhiko Asada and Yukio Asari,The Direct Teaching Of T001 Mallipulatbn Skills Via
the lmpedance ldentiflcation Of Human LIotions,Proc.1988 1EEE Int.Conf.o■
Robotics
Automatio■ ,1269.,(1988)
(4)浅 田 春 比 古 ・ 出 海 晴 生 ,作 業 者 の 動 作 計 測 に よ る ハ イ プ リッ ド制 御 の た め の 作 業 教 示 と
プ ロ グ ラ ム 生 成 ,日 本 ロ ボ ッ ト学 会 誌 :5-6,452.,(1987)
(5)杉 本 浩 一 ,“ ロ ボ ッ トアー ム の カ フィー ドバ ッ ク 制 御 ",計 測 と 制 御 ,Vol.25-1,pp,4550,
(1986)
(6)福 田 敏 男・ 藤 澤 佳 生 。新 井 史 人・ 室 英 治 ・ 星 野 春 夫 ・ 宮 崎 貫 志 。大 坪 和 彦 ・ 上 原和 雄 ,マ
ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業 型 マ ニ ピュ レー タ の 基 礎 的研 究
(第 1報 ,マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業
マ ニ ピュ レー タ の 機 構 と 制 御 ),機 械 学 会 論 文 集 ,57-451,C(1991),160.
(7)福 田 敏 男 ・ 藤 澤 佳 生 ・ 小 菅 一 弘 ・ 新 井 史 人・ 室 英 治 ・ 星 野 春 夫 ・ 宮 崎 貫 志 ・ 大 坪 和 彦 ・
上 原 和 雄 ,マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業 型 マ ニ ビュ レー タ の 基 礎 的 研 究
(第 2報 ,作 業 環 境 と
の 相 互 作 用 を 考 慮 に い れ た 建 設 作 業 用 マ ニ ピュ レー タの 制 御
),日 本機 械 学 会論 文 集 ,58-
547,C(1991),829.
107
(8}N.Hogan,In、 P(ゝ (lalire Clolltrol:ArL APproaCh tO RIaniplllれ
Dyllalllic SIst(ヽ
・RItla、
1llド
111`
ti()11.Paris I∼
I11,AS卜 IE Jotlrnal of
elllellt,a,1ld Control,107-1.1-241(1985)
ペ ベ ラ エ ス ポ ロ,カ セ ン サ を 用 い
(9)舘 叫卜 榊 泰 輔 ・ 荒 井 裕 彦 ・ 西 澤 昭 一 郎 ・ ホ セ フ エ リ
ロ ボ ツ ト学 会
な い ダ イ レ ク ト・ ドラ イ プ マ イ ン ピュ レー タ の イ ン ピー ダ ン ス 制 御 ,日 本
誌 ,7-3,172..(1089)
ン ピー ダ ンス 制 御 ,日 本 機 械
(10)望 月 宣 宏 。松 井 隆・ 田 辺 裕 ,2リ ン ク油 圧 ロ ボ ッ トの 適 応 イ
学 会 ロ ボ テ イ ク ス・ メ カ トロニ ク ス 講 演 会 '92講 演 論 文 集 ,Vol.A(1992),249.
の
10
(11)小 菅 一 弘 ・ 藤 澤佳 生 ・ 福 田敏 男 ,人 間・ 機 械・ 環 境 間 の 干 渉 を 有 す る機 械 系 制 御 ,第
回 日本 ロ ボ ツ ト学 会 学 術 講 演 会 講 演 論 文 集 ,No.1,415.11992)
112)Ossuma Kha,tib,A liniie(l Approach for Motion and Folヽ
ce Control of Robot Manipulators:
The Operational Spacc Forlllulation,IEEE Journal of Robotics and Automatioll,Vol.RA-3,
No.1,43.1(1987)
マ ニ ピユ レー タ の 位 置 とカ ハ イ プ リ ツ ド適 応
(13)前 川 清 石・ 吉 川 恒 夫 ・ 井 村 順 一 ,ロ ボ ツ ト
'91講 演 論 文 集 ,Vol.B,13.,
制 御 則 ,日 本 機 械 学 会 ロ ボ テイ ク ス ・ メ カ ト ロ ニ ク ス 講 演 会
(1991)
ー バ ツ ク補 償 の 効 果 ,機 械 学
(14)松 井 隆・ 望 月 宣 宏 ,油 圧 トル ク制 御 に お け る 角 速 度 正 フイ ド
会 論 文 集 ,57-537,C(1991),1604.
(15)T翻 (aShi MATSUIa,nd Yoshihiro MOCHIZUKI,E鼠 2ct of Positive Angular Velocity Feedback
on Torque Colltrol of Hydraulic Actuator,JSM]E International Journil Series III,ミ
No.3,406。 ,(1992)
108
、1.35,
▲田
一
〓ロ
第 7章
油 圧 ロ ボッ トの 関節 を駆 動 す る油 圧 ア クチ ュ エ ー タは 高 い トル ク慣 性 比 を持 ち,速
応 性 や 大 きな パ ワー と力 の 出力 に優 れ て い る。 そ の た め,現 在 産 業 用 ロ ボッ トの主
流 を 占 め る電 動 ロ ボッ トに対 す る高 性 能 化 ・ 高機 能 化 の 要 求 か ら生 じる 限 界 を越 え
る応 用 に対 して も対 応 で き る可 能 性 が あ る。 しか し,将 来 の 発 展 の た め に は 油 圧 駆
動 系 の 持 つ 種 々 の 問題 点 を 克 服 す る と同 時 に,デ イ ジ タル 演 算 機 能 を 駆 使 した油 圧
サ ー ボ シ ス テ ム の イ ン テ リ ジェ ン ト化 が 不 可 欠 で あ る.本 論 文 は,こ の よ う な 観 点
か ら,高 速演 算 機 能 を持 つ DSPを 用 い て油 圧 サー ボ 系 の ソ フ トウェ ァサ ー ボィヒを 計
り,高 機 能油 圧 サ ー ボ系 の 実現 とそ の 油 圧 ロ ボッ トヘ の応 用 に つ い て議 論 した
.
まず,第 2章 で は従 来 の 油 圧 位 置 サ ー ボ系 の 位 置 精 度 向 上 を 目的 と して 1関 節 駆 動
系 に対 して 2自 由度 油圧 位 置 サー ボ系 を構 成 した。 サ ー ボ弁 動 特 性 を無 視 した 線 形 3
次 系 を制 御 対 象 と して,2自 由度 制御 系 の パ ラ メ トリゼー シ ョ ン に 基 づ い て 日標 位
置 応 答特 性 を参 照 モ デ ル に一 致 させ,か つ トル ク外 乱 に対 して ロバ ス トな フイー ド
バ ック特 性 を持 つ コ ン トロニ ラの 構 成 法 お よび,圧 力 ,速 度 フイー ドバ ックの応 用 に
よ り,コ ン トロー ラの 次 数 を低 減 化 す る手 法 を示 した。 まず 数値 解 析 に よ り,実 現
した コ ン ト ロー ラ の 性 能 の 検 討 を行 なっ た 結 果,連 続 時 間 コ ン トロー ラ の 離 散 時 間
化 に よ り,連 続 時 間系 に お い て は 安 定 で あ る 自由 パ ラ メー タの 領域 に も不 安 定 領 域
が生 じ,こ の ため 2自 由度 制御 系 にお け る 目標 値 応 答 特 性 とフイー ドバ ック特性 の 独
立 性 お よび 系 の 性 能 が 制 約 を受 け る こ と,日 標値 応 答 を固 定 した 場 合 ,離 散 イヒ公 式
に よって フィー ドバ ック特 性 を規 定 す るパ ラ メー タの 安 定 限 界値 に顕 著 な差 異 が生 じ
る こ と,サ ー ボ 弁 動 特 性 の 帯域 幅 が 外 乱応 答 を規 定 す る パ ラ メー タの 安 定 限 界 値 に
大 きな影 響 を 与 え る こ とな どが 明 らか となっ た。 ま た 制御 対 象 に含 まれ る飽和 要 素
に起 因 して,入 力 条 件 に よっ ては オーバー シュー トの 増 大 や不 安 定振 動 な ど安 定 性 の
劣 化 が生 じるが,こ れ に 対 して 飽和 時 に フイー ドバ ック に よ り積 分 補 償 器 へ の 入 力
を抑 え る安 定 化対 策 が 有 効 で あ る こ とを示 し,こ の フイー ドバ ック ダ イ ンの 理 論 的
な絶 対 安 定 領 域 を示 した。 さ らに 実 験 的 に こ の コ ン トロー ラ の 性 能 を検 討 し,同 じ
目標 値 応 答 を 持 つ 1自 由度 系 に比 べ 外 乱特 性 の よ り良好 な系 が 設 計 で きる こ と,提
案 した飽 和 対 策 が 有 効 で あ り,そ の フイー ドバ ッ ク ダ イ ン を 理 論 的 に 示 した 絶 対 領
域 内 に とれ ば 実 験 的 に も安 定 で 良好 な応 答 が 得 られ る こ とを確 認 した。 またサ ー ボ
弁 動 特 性 をデ イジ タル 的 に 補 償 す る こ とは,量 子 化 の 影 響 に よっ て 困 難 で あ る こ と
109
を示 唆 した。
な お , トル ク 外 乱 に 対 し ロバ ス トな 系 は,多 リ ン ク ロ ボ ッ トに お け る 各 自由度 間
の 干 渉 を軽 減 す る こ と と な り,単 純 な 位 置 決 め 精 度 の 向 上 の み で な く,位 置 制御 を
基本 と した 連 続 軌 道 制御 ,力 制御 ,イ ン ピー ダ ンス 制御 な どに応 用 可 能 とな る。 従 っ
て上 記 2自 由 度 油 圧 サ ー ボ 系 の 応 用 は 油 圧 ロ ボ ッ トの 高 性 能 。高 度 機 能 化 に も寄 与
す る も の と考 え られ る
.
次 に 第 3章 に お い て は 速 度 制御 に お い て 必 要 とな る流 量 制御 法 と,力 や 運 動 の 制御
に お い て 必 要 と な る トル ク制 御 法 に つ い て 検 討 した。 流 量 制御 法 は DSPの 高 速 演 算
機 能 を 利 用 し て,サ ー ボ 弁 の 非 線 形 性 と負 荷 圧 力 の 依 存 性 を補 償 し,線 形 化 を計 る
負 荷 不 感 形 流 量 制 御 系 で あ り,実 験 的 に そ の 基 本 性 能 を 確 認 した .ま た,油 圧 サ ー
ボ系 の トル ク制 御 にお い て は,使 用 す る サ ー ボ 弁 の 種 類 に つ い て 検 討 し,圧 力 制 御
形 サ ー ボ 弁 と流 量 制御 形 サ ー ボ 弁 が ソ フ トウェ ア 的 に等 価 と し得 る た め,流 量 制 御
形 サ ー ボ 弁 で 充 分 で あ る こ と を示 し た。 ま た 単 純 化 した モ デ ル を基 に 作 動 油 の 圧 縮
性 が トル ク制 御 に与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し,位 置 ・ 速 度 制御 と は 逆 に圧 縮 性 が 安
定 性 の 向 上 に寄 与 す る こ と を示 した。 さ らに 高 速 運 動 中 の トル ク制 御 に お け る 角 速
度 の 増 大 に伴 う トル ク の 減 衰 を補 償 す る 速 度 の 正 フイー ドバ ッ ク 補 償 を 提 案 し た。
提 案 した 速 度 の 正 フイー ドバ ック補 償 を通 常 の 比 例 積 分 補 償 に付 加 す る こ とに よ り
,
トル ク制御 に 対 す る 速 度 外 乱 の 抑 制 能 力 が 向 上 す る こ と を 示 し た。
第 4章 は 第 3章 で 提 案 し た 関節 サ ー ボ 方 式 を 1リ ン ク油 圧 アー ム の 運 動 制 御 に適 用
し,制 御 実 験 を通 じて 提 案 し た 関 節 サ ー ボ 方 式 の ロ ボ ッ トの 運 動 制 御 に 対 す る 有 用
性 と 問 題 点 に 関 す る 基 本 的 な 検 討 を行 っ た。 サ ー ボ 弁 の 流 量 特 性 に 基 づ い て 流 量 制
御 を応 用 した フ イー ドフ オ ワー ド形 速 度 制 御 法
(FF速 度 制 御 法 )は 低 周 波 数 領 域 に お
い て は 位 置 制 御 系 と比 較 し て 位 相 遅 れ の 少 な い 応 答 を 示 す も の の,作 動 油 の 圧 縮 性
の 影 響 に よっ て,ア ー ム の 固 有 振 動 数 付 近 で 鋭 い 共 振 が 現 れ る。 こ れ を 抑 制 す る 方
法 と して圧 縮 流 量 を フイー ドフ オ ワー ド入 力 に 加 え,か つ 内部 漏 れ 流 量 を等 価 的 に
増 大 さ せ る補 償 法 が あ る 程 度 有 効 で あ る こ とを 示 した。 また圧 縮 性 の み の 補 償 に は
限 界 が あ り,さ らにサ ー ボ 弁 動 特 性 の 補 償 が 同 時 に 必 要 で あ る こ と を示 唆 した。 一
方 ,ア ー ム の 動 力 学 方程 式 に 基 づ い て トル ク制御 を応 用 した 計 算 トル ク法 は FF速 度
tll御
法 よ り も よ り良好 な 運 動 の 追 従 性 を 持 つ こ と,サ ン プ リ ン グ時 間 と系 の 安 定 性
の 検 討 か ら,サ ン プ リ ン グ の 高 速 化 に よ り運 動 の 追 従 性 の 向 上 が 期 待 され る こ と を
示 した.さ ら に トル ク制 御 部 の 性 能 を 第 3章 で 提 案 した 速 度 の正 フ イー ドバ ッ ク補 償
110
を 用 い て 向 上 させ る こ とに よ り運 動 の 追 従 性 を 改 善 で き る こ とを示 した。
第 う章 ,第 6章 は 前 章 まで の 結 果 を,多 自由度 か つ 非 線 形 な 動 力 学 を 有 す る油 圧 ロ
ボ ッ トを対 象 と し,従 来 の 単 純 な 位 置 軌 道 制 御 で は な く, トル ク 制 御 を 基 本 とす る
油 圧 ロ ボ ッ トの 高 度 な 機 能 実 現 に応 用 した も の で あ る。 第 5章 で は 人 間 が ロ ボ ッ ト
手 先 に 装 備 さ れ た 操 作 レバ ー を 用 い て ロ ボ ッ トを操 作 す る マ ン・ ロ ボ ッ ト協 調 作 業
に お い て,操 作 レ バ ー に 印 加 さ れ る 力 に対 して 適 当 な イ ン ピー ダ ンス を 設 定 す る こ
と に よ リ ロ ボ ッ トの 操 作 性 を 高 め,同 時 に 自由 空 間 を運 動 中 に ロ ボ ッ トの 動 力 学 パ
ラ メー タ を 適 応 推 定 す る 適 応 イ ン ピー ダ ンス 制 御 系 の 構 成 法 に つ い て 述 べ た。 こ の
際 ナ 油 圧 系 特 有 の サ ー ボ 弁 ―ア ク チュ エー タ系 の トル ク 飽 和 に 起 因 して 生 じる適 応 系
の 性 能 劣 化 や 不 安 定 化 を 回 避 す る 方 法 を提 案 した。 こ の 方 法 は,油 圧 駆 動 系 の 高 ト
ル ク・ 高 パ ワー の 特 徴 を 最 大 限 に 活 用 す る た め に,ま た 作 業 の安 全 性 の た め に 極 め
て 有 効 とな る
.
な お 本 適 応 制 御 系 の 構 成 法 は イ ン ピー ダ ンス 制 御 に 限 ら ず ,正 確 な ロ ボ ッ ト動 力
学 モ デ ル を必 要 とす る 各 種 の トル ク 制御 形 ロ ボ ッ ト制 御 に 容 易 に 適 用 可 能 で あ る
.
第 6章 に お い て は 第 5章 で 構 成 した イ ン ピー ダ ンス 制 御 系 を応 用 して,自 由 空 間
で の 運 動 市U御 や 物 体 との 接 触 時 に お け る 力 と軌 道 の ハ イ プ リッ ド制 御 の 直 接 教 示 法
に つ い て 検 討 した。 こ の 際 ,ハ イ プ リッ ド詣U御 に お け る 教 示 動 作 の 再 生 お よび 再 生
時 に 力 目標 値 を 再 設 定 す る 手 法 を 示 した。 また,接 触 時 に お け る力 と軌 道 の ハ イ ブ
リッ ド制 御 モー ドと 自由 空 間 に お け る軌 道 制御 モー ドの 間 の 滑 らか な 移 行 を実 現 す
る 方 法 に つ い て 検 討 した。
本 方 法 の 特 徴 は ハ イ プ リッ ド制 御 則 を,拘 束 面 の 数 学 モ デ ル を 用 い ず に 接 触 力 信
号 に 基 づ い て 決 定 す る こ と に あ る。 た だ し,拘 束 面 に 摩 擦 が な い との 仮 定 を置 い た
た め,摩 擦 の 存 在 す る一 般 的 な 場 合 に対 し て は,今 後 の 検 討 が 必 要 で あ る。
上 記 ,第 5章 と第 6章 にお い て 提 案 した 方 法 の 妥 当性 は 垂 直 2リ ン ク 油 圧 ロ ボ ッ ト
を 用 い た 実 験 に よ り検 証 され た
.
以 上 が 本 論 丈 の 結 論 で あ る。 本 研 究 は 油 圧 ロ ボ ッ トの 高 機 能 化 に 対 し,柔 軟 な ロ
ボ ツ ト告U御 を 可 能 とす る ソ フ トウェ ア サ ー ボ化 と,そ れ に よ る 関 節 サ ー ボ の 開発 が 重
要 で あ る との 観 点 か ら検 討 を行 っ た。 しか し,油 圧 ロ ボ ッ トの 高機 能 化 ・ 高 出 力 化 を
達 成 す る た め の 別 な 側 面 と して,油 圧 ア ク チ ュ エー タ の 高 出 力 特 性 を さ らに 追 求 す
る 高 圧 化 に 対 す る 諸 問 題 ,お よ び 油 圧 ア ク チュ ェー タ と セ ン サ の 一 体 化 ,作 動 油 の
管 理 な ど解 決 す べ き問 題 は 多 く,今 後 の 課 題 と して 残 さ れ る。
謝
辞
まず 本 研 究 を進 め る に 当 り終 始 ,御 指 導 ,御 鞭 逹 を賜 わ り ま した 静 岡 大 学 工 学 部
松 井 隆 教 授 に 心 か ら感 謝 の 意 を表 し ます。
また 本 論 文 を ま とめ る に あ たっ て様 々 な御 助 言 を頂 い た 静 岡 大 学 工 学 部 市 川 朗 教
授 ,清 水 孝 教 授 ,野 飼 享 教 授 ,森 田 信 義 教 授 に 厚 く御 礼 申 し上 げ ます 。
更 に御 助 言 を頂 い た 静 岡 大 学 工 学 部 井 原 素 三 教 授 ,藤 森 篤 助 教 授 ,実 験 に 際 し
種 々 の 御 協 力 を頂 い た 静 岡 大 学 工 学 部 エ ネ ル ギ ー 機 械 工 学 科 流 動 制 御 工 学 講 座 高 脇
雅 裕 技 官 に 感 謝 致 し ます。
元 卒 研 生 石 川和 民 君 ,河 内 宏 充 君 ,杉 本 宗 毅 君 ,阿 部 秀 樹 君 ,大 学 院 生 の 田辺 裕
氏 に は 実 験 装 置 の 作 成 と実 験 の 実 施 に,元 卒 研 生 の 小 池 規 司 君 ,廣 木 孝 義 君 に は 数
値 計 算 に よ る 検 討 に 御 協 力 頂 き ま した .ま た 同 期 生 の 岡 田公 治 君 ,片 山仁 志 君 に は
そ れ ぞ れ の 分 野 の 視 点 や 知 識 か ら様 々 な 助 言 を 頂 き ま した。 そ の 他 ,こ こ に は 名 前
を 挙 げ て い な い 流 動 制 御 工 学 講 座 の 卒 業 生 ,卒 研 生 ,大 学 院 生 と友 人 諸 氏 か ら も公
私 に 渡 る御 協 力 を頂 き ま した。 こ こ に 感 謝 します。
最 後 に,経 済 的,精 神 的 支 援 と研 究 す る機 会 を 与 え て くれ た 両 親 に 深 く感 謝 し ま
す
.
′
1:::"過
ノ
=夙
■0
嗅
還
補
捕遺 A
電 気 油 圧 サー ボ 弁 の 動 特性
図 3.1(a)に カ フイ ー ドバ ッ ク方式 の 流 量 制御 形 サ ー ボ 弁 (F(]弁 )を
,図
3.1(b)に 流
量 制御 形 サ ー ボ 弁 の構造 に 加 え て フイ ー ドバ ック流 路 五1,■ 2に よっ てス プ ー ル 軸 端
に圧 力 島 ,鳥 が フイー ドバ ツクされ た 構 造 を持 つ 圧 力 制御 形 サ ー ボ 弁 (PC弁 )を 示
す 。 まず 圧 力 制 御 形 サ ー ボ 弁 に つ い て 解 析 し,圧 カ フイ ー ドバ ック に 関 す る項 を 消
去 す る こ とで 流 量 制御 弁 の 特 性 式 を得 ,両 者 の 比 較検 討 を試 み る(1).サ ー ボ 弁 へ の
入 力 電 流 iに よる トル ク モ ー タの発 生 トル ク は
,
rl=∬ TJ
(A-1)
で あ る。 こ こ で ∬Tは 比例 定 数 であ る
.
フ ラッパ で の トル クの釣 合 は,フ ラ ッパ の 慣 性 モ ー メ ン ト及 び 流 体 力 を無 視 す る
と次 式 の よ う に な る。
l
■ ―■ =た l θ
(A…
2=72角
2)
T・
(A-3)
ん =ん 3(12θ l+″ s)
(A-4)
また フラッパ変位 ∫は
“
,
■∫=Jlθ l
こ こ で
(A-5)
,
ん1
ア ー マ チ ャ支 持 ば ね の ば ね 定 数
ん3
フィ ー ドバ ック ば ね の ば ね 定 数
θl
ア ー マ チ ヤ変 位 角
『1
ア ー マ チ ャ の 支 点 か ら ノズ ル まで の 距 離
72
ア ー マ チ ャ の 支 点 か らス プ ー ル ロ ッ ドま で の 距 離
ん
ス プ ー ル に働 く力
″∫
フ ラ ッパ 変 位
∬
ス プ ー ル 変位
s
114
尚,全 て 矢 印方 向 を正 方 向 とす る。
フ ラッパ 変位 ir」・
, ノズ ル 背 圧 持 ,流 量 o∫ の 関係 を平 衡 動 作 点近傍 の 微 小 変 化 (各
記 号 は 図 3.1参 照
)
島 1=PJ20+ノ )∫
1=0∫ 1。 +7∫ 1
ω∫
:、
2=′ ノ20+lり 2,
どノ
0/2=0∫ 20+7∫
2
を仮 定 して線 形化 す る と次 式 を得 る。
1=μ "∬ ノー 7.9∫ 1
身
(A-6)
4.∬ ∫
-7夕 17√ 2
=一 メ
(A-7)
=降
9∫
1=-9ノ 2=9∫
ここで
(A-3)
,
η
=争
μ=争 に
γ
∫一
・
=い
bЛ =0卿
ス プ ー ル の 運 動 方 程 式 ,及 び 流 量 の 連 続 の 式 は 次 の よ う に な る
.
77視
ι
亀十メ
nゴ s=■ 7L(Ph
g∫
=■ ηゴs
こ こで
772ε
P/2) ■ c(Pl一 P2)
(A-9)
(A-10)
,
:ス プ ー ル の 質 量
μ:油 の 粘 性 摩 擦 係 数
■.:ス プ ー ル の
Ac:ス
(ラ
ン ド ロ ッ ド)断 面 積
プ ー ル ロ ッ ド端 の 断 面 積
式 (A‐ 6),(A-7),(A-8)よ り
,
-27.9
ど五 PJ2=2′ ι
"『 ∫
(A-11)
式 (A-4),(A-5)よ り
,
ん =13(72∬ ∫
/11+∬ 5)
(A-12}
式 (A-10),(A-11),(A-12)を 式 (A-9)に 代 入 し,凡 =島 ¨
鳥 とす る と
,
_4cttL=(2.1.メ ニ
れ-13:2/fl)∬
3■ s (27.■ .+メ r)ゴ s-7,?鳥
∫一ん
115
(A-13)
式 (A-2),(A-3).(A-5)よ り
,
T∫
=Jl(lTj―
J2.メ L)/A'1
式 (A-12)を 代 入 して
,
∬∫=
イ
172た
た1+J2ん 3
71二 b,一
:3'ど
s
(A-111)
式 (A-14)を 式 (A¨ 13)に 代入す る と
,
■e凡 =(2■ .μ .― ん
3ち ハ )/(11+た 3f:)∬ rttj
(■
-15)
+ん 372/71)/(11+ん 37:) た 31s
1,し
+fl 12ん 3(2■ η
メ
Aη 2+μ )JS 7η 蔦
十(21′ 観
7し
式 (A‐ 15)を まとめて書 き直す と次式 の ように表 わせ る。
■e凡 =η sj一 γsrs一 人sゴ s一 噺晴∴
(A-16)
こ こで
s=(2■ .μ π-13f2/fl)/(11+l・ 3f2)Aし 71
η
十ん
3J2/71)/(11+ん 31:)
7S=Jl J2ん 3(2■ .μ η
ん3
As=(2■ .2+γ π+メ Im)
一 方 ,流 量 tlJ御 形 サ ー ボ 弁 の 場 合 は,流 路 五1ェ 2に よ る圧 力 の フイ ー ドバ ックが な
い の で,式 (A-16)に 対 応 す る式 は 次 式 の よ う に な る
.
0=η sj-7s∬ ε一 人sJs一 噺むム
従 っ て,両 サ ー ボ 弁 の 特 性 式
(A…
(A-17)
16),式 (A-17)を 2次 遅 れ 系 の 形 に 書 換 え れ ば,そ れ
ぞれ
式
(A-16) is+2Cω
υis+ω 卜
is
式 (A-17) ls+2Cω υ
tt
s=ξ ω:(J一
ω:■ s=ξ ω:j
ことに
υ=2プ
ξ
ω υ
ηs,715
=涯
ξ=L
γS
_/1ε
ηυ=―
η∫
とな る。
116
ηυ乳
)
(A-18)
(A-19)
参
考
文
献
(1)中 嶋 勝 己 。大 築 康 生・圧 力 制 御 サ ー ボ 弁 を 用 い た マ ニ プ レー タの 制 御 ,31回 シ ス テ ム と 制
御研究発表会
(JAACE'87-5)講 演 予 稿 集 ,(1987),81.
︻r
補遺 B
油 圧 ア ク チュ エー タ系 の 飽 和 特 性
第 j関 節 の 駆 動 トル ク ■ と制 御 入 力 電 圧 t41と の 関係 は モー タ 内 の 摩 擦 を無 視 す れ
ば式 (B-1)∼ 式 (B-5)の 基 礎 方 程 式 で 記 述 され る
.
こ 定
量
は
は
% に
OLj=Dυ j義
(B-6)
∬sJ=ξ づ
ち
(B-7)
となる。 また式 (B-1),式 (B-3),式 (B-6),式 (B-7)よ り■ は
さ r リ l t
と
表
L(轟 )2回 色
け醐 颯 一
れる
.
結 局,モ ー タ軸 角 速 度 │に 対 し,油 圧 モー タ の 飽 和 トル ク は
寸(1)=D面 民 一ALi: (1>0)
電11)=一 D面 え 十∬開イ (a<o)
(B-9)
D:J
XsI=
(B-8)
115)2
(θ dj∬ ■
と表 さ れ ,こ れ を 図 示 す る と 図
5。
1と な る.
118
補遺
C
座 標 変 換 に お け る行 列 の 関 係
(1)関 節 座 標 系 → 基 準 座 標 系
基 準 座 標系 表 現 の ロ ボッ トの 動 力 学 方程 式
鳥
=雛t(■
)力
+σ ″(■ ,4)壷
[式 (5.6)]は
JL
十」r(■ )一
(c…
1)
で あ る.こ こ に
ν ″(■ )=J(■ ) r∬ (1)J 1(9)
CL(■ ,1)=J
g″ (■
T(■ )[C(9,1)一
(■
)J 1(■ )J(■ )]J ・
(■ )
=J T(■ )τ
)=J T(9)J(■ ), 尋 「
鳥 ご=J T(■ )η , σ″=J r(.)σ
J T(■ )全 IJ 1(■ )]T
今,上 式からθT+c∫ を求めると
CL tt CLT=J TIσ tt Cr_(.J li+■
TJ― TI)]」 -1
(C…
2)
こ こで
・
0=岳 J=f:lJ― JI=l lJ+」
ll
を 用 い て上 式 を 書 き直 す と
Cr tt CrT=J r[σ +Cメ
1+(Lri lJ+Jri― TI)]」 1
(C-3)
と な る。
一 方 ,MEは
r=l T∬ J-1+J Tル J-1+J T∬ i 1
ル
(c_4)
=J rII+Il lJ tt Jri T∬ ]J-1
とな る
.
式 (C-3)と 式 (C-4)か ら,■ =C+crな らば,■″
r=c√ +σ ″が成立す る。
また,I=θ +Crと ∬ の正定対称性から容易に(■ -2C}の 歪対称性
-2C)=― (童 -2C)r
∴ zT(■ -2Cttz=0
(■
119
が 得 られ,同 様 に (■ fr-2Cr)の 歪 対 称 性 も示 す こ とが で き る。
(2)基 準 座 標 系 → 拘 束 座 標 系
拘 束 座 標 系 表 現 の ロ ボ ッ ト動 力 学 方 程 式 は
FR=ifRttR+CllttR+gR tt FcR
(CI-5)
FR=RT鳥
ハfR=RrifrR
CR=員
rif″ 上
十 RTCrR
JR=RTJ″
FcR=RT具
とな る
.
上式からσR
tt Qぎ
Ch十 ChT=Rrl吻
で あ り,一 方
ル
とな る
を求めると
ち 上 RT+Q+σ
rT+R去
√」
И ご)R
(C-6)
幅 は
“
R=RT(■
血
TMr+ル
″+M″ 上 RT)R
(C-7)
.
従って
Mr=c∫
十
Crか
ら 五fR=CR+σ
歪対 称 性
(MR-2σ R)=― (MR-2CR)r
∴ ZT(ル R-2σ R)z=0
が 得 られ る
.
120
RTが 成 立
し,こ れ よ り (五fR-2CR)の
捕遺
D
推 定 バ ラ メー タ の 収 束 の 証 明
5.3節 の 適 応 制御 則 に よ り, ロ ボ ッ トの 手 先 軌 道 の 収 東 は LiapunOv関 数 [式 (5.13)]に
よっ て 保 証 さ れ る が,推 定 バ ラ メー タ 自体 は 真 値 に 収 東 す る 保 証 は な く,一 般 に は
軌 道 が 収 束 した と き に 定 常 推 定 誤 差 を 持 つ。 こ こ で は,す べ て の パ ラ メー タが 収 東
す る た め の 十 分 条 件 は,日 標 軌 道 が persisitently excitillg性 の 信 号 で あ る (richllcss条
件 を 満 た す )こ と を示 す。
適 応 制 御 入 力 お よび バ ラ メー タ 適 応 則 に よ リ ロ ボ ッ トの 手 先 軌 道
道
J+認 dノ に 収 東 した とす る
“
この とき
“
が 修 正 目標 軌
.
.″ “認
計計。
〓
一 C C .π ¨χ ノ ご
“
一一
一一 ,
■ ¨
“
場 ¨
場 S .
・
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
・
■ ”
“ 島 ・
“ “
″
ご d
が 成 立 す る。
上 記 の 関 係 か ら ロ ボ ッ トの 動 力 学 方 程 式 (5.6)は
鳥
=Frご +σ r=MI■
)轟
rc tt Cr(■ ,1)壺 rc tt gr(■ )一 端
と な り,ま た 適 応 制 御 入 力 [式 (5.10)]お よ び 目 標 軌 道 の 修 正 則
Frd=Mr(■
σ r=M.(g)轟
)発
「
十 Ct(9ゥ 1)轟 r tt F″
を十 [Cr(■
,1)+χ
(9)― F胤
一
(D-1)
[式
(5。
12)]は
FDs
(D-2)
DI轟 告
(D-3)
となる.式 {D-2)と 式 (D-3)を 式 (D… 1)に 代入すると
■ 4バ ■ )壷
rc+cT(■
,1)irc+JJ(■
T(■ )轟 r十 ご ″(9,1)轟 T tt ξ ″(■
)=爾
)一
κ
DS (D-4)
rD]轟 :
+冨 π″
(.)轟 i+[ar(■ ,1)十 二
とな る。 こ れ を 発rご
′
=ご ご+Jご ,壷 Tc=Jご +ゴ ご′
,sc=S― 圭i=0を 用 い て 整 理 し,動
力 学 バ ラ メー タ の 線 形 表 現 式 (5.8)を 用 い て 表 す と
y(911)壷 ↑
―
壷Tc)α =y(.,を ,轟 rc,力 rc)a
ご
,
″
な る.上 式 よ り
y(■ ,1っ 力 ご
「 ■ .こ )a=o
O=α
―
(1)-5)
a
が 得 ら れ る。 こ れ よ り
け﹂け
aryFya=o
{D-6)
て
し
こ
対
0
β
>
a
α
カ
“
道 諸 一
軌 y メ
。
る れ 時,
が を
(D-7)
a=a_α =o
とな る(1).式 (D-7)は
yryの
正 定 性 と有 界 性 に よ り,persistently exdtingの 条 件 と
なっ て い る(2).
参
考
文
(1)J.J・ E.Slotine
献
and W.Li,On The Adaptive Control of Robot Manipula,tors,ASME DSC 1986
Winter Annual Meeting,Anaheim,Vol.3,51.,(1986)
(2)A.P.Morgan a,■ sK.S.Narendra,On the Sta,bility O「
Nonautonoumous Dittrntial Equations
i=[■ +」 {1)]・ ,With Skew Symmetric Matrik B(1)*,SIAM J.Control祉 d Optimazation,
Vol.15,No.1,163.,(1977)
122
.