大阪府PCB廃棄物処理計画の変更についての概要 背景・経過 昭和43年のカネミ油症事件を契機にPCBの有害性が問題となり、昭和49年にはPCBの製造・輸入・使用(既設密閉機器等を除く。)が原則禁 止された。以後、事業者は、処理体制が整備されるまで、長期間 の保管が必要となった。 平成13年にPCB特別措置法(※1)が制定。平成15年に国がPCB廃棄物処理基本計画を策定したことから、府は平成16年3月に大阪府 PCB廃棄物処理計画を策定。 平成18年にJESCO大阪PCB処理事業所において近畿ブロックの高圧トランス・コンデンサ等の処理を開始( 処理期限:平成33年度末) 平成22年に国が認定する民間の無害化処理施設等で低濃度 PCB廃棄物の処理開始(処理期限:平成38年度末) 平成26年6月に国がPCB廃棄物処理基本計画を変更 これまで処理できなかった近畿エリアの蛍光灯用安定器等 のPCB廃棄物の処理が可能となった。(処理期限: 平成33年度末) 平成27年9月大阪府PCB廃棄物処理計画変更案を大阪市と調整(※2)を行い作成。パブリックコメント手続きにかかる府民意見の募集も併 せて実施。(府に寄せられた府民意見はなし) 平成27年12月に大阪府PCB廃棄物処理計画を変更。(大阪市も同時変更) 変更の概要 1 府計画の計画期間をPCB特別措置法に基づくPCB廃棄物の処理期限である平成39年3月31日まで延長 当初の処理期限(H27.8 )までにPCB廃棄物処理事業を完了させることが困難な状況となったことから、国が処理期限を延長したため、 府計画の計画期間も延長した。 2 府内のPCB保有量・使用量・処分見込量を更新 当初の計画策定(H16.3)以降にJESCO大阪PCB処理事業所及び無害化処理認定施設にて処理された PCB廃棄物の処理量や 新たに届出されたPCB廃棄物の保管量(使用中を含む。)などを反映させるため、 PCB特別措置法の届出情報( H26.3現在)に 基づきデータを更新した。 3 PCB廃棄物の種類ごとの処理先及び処理期限を変更 PCB廃棄物の種類 高 濃 度 処理先 処理期限 トランス・コンデンサ JESCO 大阪PCB処理事業所 計画的処理完了期限 平成34年 3月31日 安定器・汚染物等 JESCO 北九州PCB処理事業所 事業終了準備期間(※3) 平成37年 3月31日 低濃度 無害化処理認定施設(※4) 平成39年3月31日 PCB 廃棄物の保管等届出状況 <大阪市を除く大阪府域 H26.3現在> ・高濃度PCB廃棄物(高圧トランス・コンデンサ等) 約4,000台(約300台) ・高濃度PCB廃棄物(蛍光灯用安定器等) 約34.5万台(約900台) ・低濃度PCB廃棄物(トランス類・コンデンサ類) 約9.6万台(約1.0万台) ※カッコ内は使用中台数 PCB 廃棄物毎の処理期限、処理施設 (1)高濃度PCB廃棄物 ・高圧トランス・コンデンサ 平成33年度末 (JESCO大阪PCB処理事業所) ・蛍光灯用安定器及び汚染物等 平成33年度末 (JESCO北九州PCB処理事業所) (2)低濃度PCB廃棄物 平成38年度末 (無害化処理認定施設等)全国28ヶ所 (参考) PCB:ポリ塩化ビフェニル 熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど 、 化学的に安 定な性質を有することから、昭和30年代から40年代にかけて変圧器 やコンデンサなどの受電機器の絶縁油などに広く使用されていた油状 の物質。有害性を有することから、現在では製造及び使用が禁止され ている。 (PCBの構造) ※2つのベンゼン環がつながったビフ ェニルの水素が、1~10個(x+y) の塩素(Cl)に置換した化合物の 総称。 4 府内のPCB廃棄物の掘り起こしの取組みを追加 府内のPCB廃棄物の処理を期限までに完了させるためには、行政への届出が行われていない PCB廃棄物を把握する必要があることか ら、府及び関係市が関係機関等と協力し、 PCB廃棄物の掘り起こしを行うことを追加した。 課題・府の取り組み (課題) 府内の全てのPCB廃棄物が処理期限までに確実に処理されるために、保管事業者等への周知と指導が必要。 また、府や市町村など公共機関で多くのPCB廃棄物を保有していることから、それらを早期に処理することが必要。 (府の取り組み) これまでPCB廃棄物を保有する事業者に対しては、処理までの間の適正保管、早期かつ確実な処理を指導してきた。府計画の変更に伴い、 今後、次のような取組みを行う。 ○ 府が保有するPCB廃棄物(蛍光灯用安定器等)について、平成27年度から率先して処理を開始し、平成32年度までに計画的に処理。 ○ 民間の保有事業者に対して、啓発チラシ、説明会や立入検査等によりPCB廃棄物の処理先、処理期限、中小事業者を対象とした処理 費用の補助制度の周知に努めるとともに、引き続き、処理までの間の適正保管、早期かつ確実な処理を指導。 ○ 市町村に対して、府が処理した経験・実例をもとにした処理実務マニュアルの作成や説明会の開催等により、その処理を支援。 環境省資料から抜粋 JESCO:中間貯蔵・環境安全事業(株) 高濃度PCB廃棄物の処理をするため、国の100%出資により設立された 会社。 ※1 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法 ※2 府の計画はPCB特別措置法の規定により、大阪市を除く区域を対 象としており、市域については大阪市が計画を策定する。 今回、府と大阪市の計画が整合したものとなるよう、共同で作成して いる。 ※3 事業終了準備期間 本計画策定時に処分見込量に含まれていないPCB廃棄物の処理 や、処理が容易でない機器の処理を行い事業終了のための準備を行 う期間 ※4 無害化処理認定施設 低濃度PCB廃棄物の処理を行うことができる無害化処理に係る環境 大臣による無害化処理認定施設及び都道府県知事の許可施設 (全国28ヶ所(近畿圏5ヶ所))
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