日本臨床歯周療法集談会(JCPG)第32回学術大会に参加して いい だ ゆう た 飯田雄太 医療法人D&H かめだ歯科医院 〒332-0015 埼玉県川口市川口4-2-41-101 日本臨床歯周療法集談会(JCPG: JAPAN CLINICAL PERIODONTAL 午前の若林先生による講演.悪天候にもかかわらず多くの参加者を集 め,活気のあるディスカッションが行われた. GROUP,小林和一会長)の第32回 学術大会が11月 8 日に東京医科歯科 師と歯科衛生士のパートナーシッ 安生氏を迎え,川上庸子氏(新潟県 大学 M&D タワー2F 大講堂におい プ」として,若林健史先生(東京 勤務) ,徳高 奏氏(京都府勤務), て開催され,あいにくの天候にもか 都)と,そこで20年来勤務されてい 足利奈々氏(広島県勤務),安田真 かわらず,約250名の参加者が集ま る主任歯科衛生士の児玉加代子氏, 奈美氏(千葉県勤務)より症例が提 った. 若手歯科衛生士の吉田弥栄氏が,歯 示され,歯の保存における歯科医師 同会は昨年度より「歯を残せる歯 周治療における院内での取り組みに による診断と歯科衛生士による見解 科医院を目指す! 」というメインテ 関する講演を行い,コメンテーター の差異についてディスカッションが ーマに5年間継続して取り組むこと を亀田行雄先生(埼玉県)と安生朝 行われた. としており,昨年度の EPISODE Ⅰ 子氏(栃木県勤務)が務めた. 歯科医師の分科会では「天然歯に 「 再 生 療 法」 に 続 い て 今 年 度 は まず,若林先生と児玉氏から院内 こだわりたい! ─移植・再植の可能 EPISODE Ⅱ「医院の総合力が歯を での歯周治療の流れ,医院全体のレ 性─」をテーマに,まず,梅津 修 守る」と題して学術大会を開催した. ベルアップの取り組みについて解説 先生(東京都)より移植の際の歯根 同会は,歯科医師,歯科衛生士が共 されたが,「“医院の総合力が歯を守 膜に注目し,歯周組織の再生がなさ に講演を聴くことのできる数少ない る”とはまさにこのことだ」と痛感 れた症例の提示があった.次に,齋 会であり,スタッフも一緒に参加す する内容であった.その後,吉田氏 間直人先生(神奈川県)より,移植 ることで歯科医院全体のレベルアッ より重度歯周炎患者の症例提示があ 前処置としてのエクストルージョン プを目指している.今回も医院単位 り,最後に若林先生から20年経過症 の目的,利点に関する症例提示がな での参加が目立ち,個人のみならず 例や根分岐部病変症例などが提示さ された. 「医院の総合力」を高めようという れ,「われわれ歯科医院と患者との 最後に,福西一浩先生(大阪府) 意欲がひしひしと伝わってくる大会 良好な関係を築くこと」が重要だと による総括講演が行われた.先生は, であった. まとめた. 近年のインプラントの発展により歯 ■歯科医師・歯科衛生士それぞれの の保存に対する“こだわり”が薄れ 「学会ではなく集談会である」と いうコンセプトのもと,それぞれの 分科会では,より専門的に て き た よ う に 感 じ る, と 指 摘 し, セッションごとにコメンテーターを 昼休みにポスター発表がなされた 「簡単に抜歯を行い,インプラント 中心に参加者を交えた活発なディス 後,午後から歯科医師と歯科衛生士 を選択する前になすべき治療がある カッションが繰り広げられ,参加者 に分かれてのセッションとなった. のではないか」と問題提起された. の意識の高さが窺われた. 歯科衛生士の分科会では「関野塾 移植,再植,矯正などを駆使して歯 ■合同セッションで感じた ─知識と臨床のリンク」と題し,塾 を保存することにとことんこだわる 若林歯科医院の総合力の高さ 長として関野 愉先生(日本歯科大 福西先生の姿に,会場全体が感銘を 学准教授),コメンテーターとして 受けた. 午前は「歯周治療における歯科医 日本歯科評論(通刊第879号) 175
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