ショートコメント vol.48 (2015 年 12 月 22 日)

ショートコメント vol.48 (2015 年 12 月 22 日)
テーマ:訪日中国人客数の推移に変化の兆し
~来年 2 月(春節)の動向が一つの試金石に~
(訪日中国人客数の増勢が鈍化)
日本を訪れる中国人客の数については、前年を上回る状況が続いているものの、ここへきてその増勢
が鈍化している(図表 1)
。鈍化といっても増加ペースは他の国々を上回っており、
「絶好調期間」が終
わったというレベルなのかもしれない。ただし、鈍化のタイミ
ングが上海株の暴落(8 月)以降でもあり、楽観視しすぎるの
も禁物とみられる。
【図表 1】
日本を訪れる中国人客数の推移
(万人)
60.0
訪日中国人客数
50.0
関西でも同様の動きがみられ、特に直近の 9 月は全国を下
(%)
300
250
前年比(右目盛)
40.0
200
30.0
150
るペースが続いていただけに、今後の鈍化ペースが気になると
20.0
100
ころである。
10.0
50
回る伸び率となっている(図表 2)
。昨年末以降、全国を上回
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
0.0
(百貨店の免税売上にも影響か)
一方、百貨店の免税売上も前年比の増加率が鈍化しているが、
これも見方が難しい(図表 3)
。というのも、免税対象商品の
拡大(昨年 10 月)から 1 年が経過した影響が大きいからであ
る。ただし、百貨店からは夏以降の悪化を指摘する声が聞かれ
るなど、中国関連の影響が出ていることは間違いない。百貨店
2014年
2015年
(出所)日本政府観光局「訪日外国人旅行者統計」
【図表 2】
訪日中国人客数の推移(前年比)
(%)
250.0
全国
200.0
関西(※)
150.0
の免税売上はインバウンド消費の代名詞でもあるだけに、こち
100.0
らも楽観は禁物である。
50.0
前年の 11 月が 156.4%増と大きく伸びたことを考えれば、決
0.0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
直近の 11 月(全国)は引き続き増勢の鈍化がみられるが、
して悪い数字ではない。もちろん良いとはいえないものの、今
のところは大きな鈍化はないといえそうである。
今後はさらに前年が大きく伸びた時期に入るため、実態が判
断しにくい状況となる。場合によっては前年割れとなる月も出
てくる可能性がある中、その推移に注目が集まる。
2014年
(出所)日本政府観光局「訪日外国人旅行者統計」、入国管理局
「出入国管理統計」
【図表 3】
百貨店免税売上の推移(前年比)
(%)
450
400
全国
350
関西
300
(来年 2 月の春節が大きな試金石)
2015年
※関西については、関西国際空港から入国した中国人客数
250
100
50
足元の推移をみるかぎり、来年も同じように増えるとは考え
2014年
11月
9月
10月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
12月
11月
激増傾向にもつながった。
10月
0
7月
いが、中国人客は前年比で 2.5 倍以上と大幅に増え、その後の
150
9月
一つの試金石になりそうである。今年の春節はまだ記憶に新し
200
8月
一方、訪日中国人客数の推移については、来年 2 月の春節が
2015年
(出所)百貨店協会、日本銀行大阪支店
※本稿は情報提供が目的であり、商品取引を勧誘するものではありません。また、本稿は当社が信頼できると判断した各種デー
タに基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。なお、本稿に記載された内容は執筆時点
でのものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
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にくく、伸び率はこれまでに比べて低い水準になるとみられる。前年を下回る可能性は低いとしても、
どの程度の増勢となるのかが、今後のトレンドを占うことになろう。
「爆買い」という言葉が定着したのは今年の春節からであるなど、春節商戦への注目度は年々高まっ
ている。良くも悪くも目立つだけに、仮に良くない結果となった場合は、企業や消費者のマインド面へ
の影響にも注意が必要となりそうである。
本件照会先:大阪本社 荒木秀之
TEL:06(4705)3635 mail:[email protected]
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