マンスリー投資情報 11月号

マンスリー
投資情報
2015
12
DECEMBER
CONTENTS
■投資環境
経済動向 ……………………………………
3
市場動向 ……………………………………
9
■投資行動
国内債券 ……………………………………
11
国内株式 ……………………………………
12
外国債券 ……………………………………
13
外国株式 ……………………………………
14
アセットアロケーション …………………
15
海外情報 ……………………………………
16
AD092B-15-0186
◆ ご注意いただきたいこと(必ずご覧ください) ◆
企業年金制度(厚生年金基金制度、確定給付企業年金制度、非適格退職年金制度など)にかか
る年金信託契約等については以下の内容を十分にお読みください。
 年金信託契約に関するリスク
○ 年金信託契約では、お客さまの信託財産を各種の年金投資基金信託受益権等を通して、ま
たは直接に、投資対象である株式、公社債、外貨建て証券、不動産等に投資し、または貸
付金として貸し付けるなどして運用します。これら投資対象は価格変動を伴うため、以下
のような場合に元本の欠損が生じるおそれがあります。
・ 株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場、その他金融商品市場における株
価指数等の指標の変動に伴い、運用対象である有価証券等(投資信託、投資証券、預託証
券、受益証券発行信託の受益証券等も含む。以下同じ。
)の価格が変動する場合
・ 有価証券等の発行者や保証会社等、または貸付金や貸付有価証券(現金担保の再運用を含
む)の貸出・運用先の業務や財産状況の変化に伴い運用対象である有価証券等の価格が変
動する場合
・ 一般信用取引の取引相手となる証券会社の業務や財産の状況に変化が生じた場合
○ 為替オーバーレイ運用および一般信用取引では、売り建てた通貨や株式の価格が予想とは
反対に変化したときの損失が限定されていません。
 年金信託契約のお客さまにご負担いただく費用
お客さまには、信託契約に基づき①および②の費用を、業務委託契約等に基づき③の費用をそ
れぞれの費用に係る消費税等と共にご負担いただきます。なお、これらの費用は信託財産の中
からいただくか、またはお客さまにご請求します。
(費用の詳細については弊社にお問い合わせ
ください)
①信託契約期間中にご負担いただく費用
項目
内容
信託報酬
信託財産に対して信託報酬率を乗じて計算します。信託報酬率は、
(信託財産の運用・管 お客さまからご提示いただく信託財産の運用指針、信託財産額等
理にかかる費用)
に応じて個別に決定するため記載することができません。
投資対象に係る手数 ヘッジファンド、ファンド・オブ・ヘッジファンズ等への投資に
料等
あたっては、当該ファンド等の組成費用、信託報酬等がかかる場
合があります。また、投資事業有限責任組合や匿名組合等への出
資にあたっては、組合等の監査費用、売買手数料、郵送費、振込
手数料、弁護士費用等がかかる場合があります。
これらの手数料等は種類が多岐に亘り、また運用状況等により異
なるため、事前に料率、上限額またはその計算方法の概要等を記
載することができません。
信託事務の処理に要 有価証券売買委託手数料、株式分割手数料、名義書換手数料、外
する手数料等
国証券の取得管理費用、有価証券保管手数料、信託財産留保金そ
の他費用が発生しますが、これらは信託財産の運用状況、保管状
況等により異なるため、事前に料率、上限額またはその計算方法
の概要等を記載することができません。
りそな銀行
マンスリー投資情報 12 月号
- 1 -
②信託契約解除時にご負担いただく費用
早期解除手数料
契約締結の日から最長5年以内(契約種別により異なります)に
契約の解除の申し出があった場合には、契約解除日における信託
財産に対して、6.0%を上限とする料率を乗じて計算する早期解除
手数料をご負担いただきます。
③その他年金制度の運営等に関してご負担いただく費用
弊社がお客さまの年金制度の幹事受託機関として年金制度の管理や資金のとりまとめを担当
する場合には、委託を受ける業務の内容に応じて手数料をご負担いただきます。この手数料
は委託を受ける業務の内容により異なるため、事前に料率、上限額またはその計算方法の概
要等を記載することができません。
 年金信託契約に関してご注意いただきたい事項
・ 年金信託は、元本及び収益が保証されていない実績配当型の商品であり、損益はすべてお
客さま等に帰属します。また、本商品は預金保険の適用は受けません。
・ 弊社は正当な事由があるときは、お客さまに対する 1 ヶ月前の予告により受託者の任を辞
することができます。また、信託目的の達成または信託事務の遂行が著しく困難になった
場合には、お客さまへの通知により信託契約は終了します。
・ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等ならびにオプション等一部の派生商
品については権利行使期間に制限があります。また、貸株取引の対象株式は議決権行使に
制限を受ける場合があります。
・ 投資事業有限責任組合や匿名組合等に出資する場合、出資持分の譲渡や担保差入れは当該
組合等の運営者(無限責任組合員等)の事前の同意を要する等の制約を受けることがあり
ます。
・ ファンド・オブ・ヘッジファンズ等は解約通知をいただいてから資金化までに 6 ヶ月程度
を要することがあります。
・ 為替オーバーレイ運用および国内株式ならびに外国株式のエンハンスト・アクティブ運用
では、為替オーバーレイの対象資産残高、および国内株式ならびに外国株式の投資元本を
上回る取引を行うことがあります。
商 号 等:株式会社りそな銀行
りそな銀行
マンスリー投資情報 12 月号
- 2 -
経済動向(11月のレビュー)
日本:景気は緩やかに持ち直しへ
今月の国内の経済指標は、景気の緩やかな持ち直しを示唆する内容でした。
10月の鉱工業生産は、前月比+1.4%と2ヶ月連続で増加しました。出荷も同+2.1%と生産以上に増
加するなど在庫調整が進展。在庫率指数は同マイナス3.0%と2ヶ月連続で低下しました。先行き、
生産予測指数は11月が同+0.2%、12月は同マイナス0.9%と増産ペースの加速は見込まれていませ
ん。ただ、実質輸出が5月を底に緩やかに持ち直すなど回復の兆しを示していることから、10-
12月期の生産は3四半期振りに前期比プラスとなる見通しです。
また、夏場にかけて調整した設備投資関連指標も、9月の機械受注は同+7.5%、10月の資本財出荷
は同+2.6%と下げ止まりの兆しが窺えます。
一方、デフレ脱却のカギとなる賃金については、10月の所定内給与が前年比+0.1%に留まるなど、
回復が足踏みしています。そのため、消費も回復が遅れており、10月の実質消費支出は前年比マイ
ナス2.4%と2ヶ月連続で減少しました。
こうした中、10月の消費者物価は、コア指数が前年比マイナス0.1%と3ヶ月連続で前年割れとな
り、コア指数からエネルギーを除いたいわゆる新型コアは同+1.2%と前月から伸び率横ばいとなりま
した。先行き、円安によるCPIの押し上げは年明け以降徐々に剥落し、コアCPIの伸びは鈍化する見
通しです。
<製造業PMI:11月>
<鉱工業生産指数:10月>
(DI、%)
60
(2010年=100)
125
58
120
56
115
110
54
105
52
100
50
95
48
90
46
85
鉱工業生産
在庫率
80
44
10
11
12
13
14
10
15
製造業PMIは52.6と前月から小幅改善。新規受
注の増加が寄与。
11
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13
14
15
16
生産は前月比+1.4%と2ヶ月連続で増加。在庫
調整進捗で、緩やかに回復。
<実質輸出入:10月>
<機械受注(9月)と資本財出荷:10月>
(億円)
9 500
(2010年=100)
125
(2010年=100)
130
コア機械受注(左軸)
120
9 000
実質輸出
実質輸入
115
110
120
資本財出荷(除く輸送機械)(右軸)
8 500
110
8 000
100
7 500
90
7 000
80
6 500
70
105
100
95
90
6 000
85
10
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13
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60
10
15
実質輸出が前月比+1.1%と2ヶ月連続で増
加。
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14
15
機械受注は前月比+7.5%と、4ヶ月振りに増
加。7-9月期は前期比マイナス10%と大幅減。
(出所)Haver Analyticsの公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報12月号
- 3 -
<実質消費支出:10月>
<失業率、有効求人倍率:10月>
(倍)
1.3
(%)
5.5
(前年比、%)
10
1.2
5
5.0
0
4.5
-5
4.0
-10
3.5
1.1
1.0
0.9
0.8
0.7
-15
10
11
12
13
14
失業率
0.6
有効求人倍率(右軸)
0.5
3.0
15
0.4
10
前年比マイナス2.4%と2ヶ月連続で減少。
11
12
13
14
15
16
失業率は3.1%に大幅低下。有効求人倍率は1.24倍
で横ばい。労働需給はタイト。
<消費者物価(消費税除く):10月(全国)>
(前年比、%)
2.0
<所定内給与:10月>
(前年比、%)
1.0
1.5
0.5
1.0
0.5
0.0
0.0
-0.5
-0.5
-1.0
コア(生鮮食品を除く総合)
-1.5
新型コア(エネルギーを除くコア)
-1.0
-1.5
-2.0
11
12
13
14
-2.0
15
10
新型コアは前年比+1.2%上昇。円安効果剥落
で、年明け以降はピークアウトへ。
11
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15
前年比+0.1%と低迷。
<景気ウォッチャー調査:11月>
<新設住宅着工戸数:10月>
(年率、千戸)
1 100
(DI)
60
1 050
55
1 000
50
950
45
900
40
850
800
35
現状判断DI
先行き判断DI
30
750
700
25
10
11
12
13
14
15
650
16
10
現状判断DIが10ヶ月振りの低水準に悪化。暖
冬による冬物衣料の販売低迷等が背景。
11
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15
前月比マイナス4.2%と2ヶ月連続で減少。
(出所)Haver Analyticsの公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報12月号
- 4 -
米国:労働市場は改善継続、企業のセンチメントは足元悪化
米国の経済指標は、雇用の改善を示唆する一方、企業のセンチメントは足元で悪化しています。
11月の非農業部門雇用者数は前月から+21.1万人増加し、前月分も上方修正(+27.1万人→+29.8万
人)されるなど、雇用は堅調な伸びを示しています。失業率は5.0%と前月から横ばいで、時給は前
年比+2.3%と前月から幾分鈍化しましたが、総じて労働市場の改善が続いています。この結果、Fed
による12月の利上げはほぼ確実となりました。
こうした雇用・所得環境の改善を背景に内需中心の景気回復が続いており、個人消費は堅調に推移
しています。11月の自動車販売は年率1,819万台と、11月としては過去最高を記録しました。また、
11月のISM非製造業指数は前月から悪化したとはいえ、55.9と高水準を維持しています。
一方、ドル高の影響で外需は一進一退で推移しており、10月の実質輸出は前月比マイナス2.4%と
減少しました。輸出停滞で生産関連指標は弱含みで推移しています。11月のISM製造業指数は48.6と
12年11月以来3年振りに50割れとなり、輸出受注指数は47.5と6ヶ月連続で50を下回りました。
先行き、ドル高が外需や企業業績の重石となるため、高成長は期待できないものの、米景気は内需
中心に緩やかな回復傾向を辿るとみられます。
う
<ISM製造業:11月>
<雇用統計:11月>
(前月差、千人)
500
70
65
(%)
4.5
非農業部門雇用者数(左軸)
5.0
失業率(右軸、逆目盛)
400
5.5
60
300
55
6.0
200
50
6.5
7.0
100
7.5
総合指数
45
0
8.0
新規受注指数
40
10
11
12
13
14
15
-100
16
8.5
12
13
14
15
総合、新規受注共に、12年11月以来の50割
れ。
雇用者数は前月から+21.1万人増加と堅調。失
業率は5.0%と横ばい。
<鉱工業生産指数:10月>
<耐久財受注:10月>
(10億ドル)
350
(前月比、%)
1.0
(10億ドル)
95
90
0.8
85
300
0.6
0.4
耐久財受注(左軸)
80
コア資本財受注(右軸)
75
250
0.2
70
0.0
65
200
-0.2
60
-0.4
55
150
-0.6
14年1月
14年7月
15年1月
50
10
15年7月
前月比マイナス0.2%と2ヶ月連続で低下。但
し、製造業は同+0.4%上昇。
11
12
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14
15
16
横ばい圏で推移。コア資本財受注は前月比
+1.3%と2ヶ月連続で増加。
(出所)Haver Analyticsの公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報12月号
- 5 -
<小売売上高(除く自動車、名目):10月>
<ミシガン大学消費者センチメント指数:11月>
(1966年1Q=100)
105
(前月比、%)
1.5
1.0
95
0.5
85
0.0
75
-0.5
65
-1.0
55
消費者センチメント指数
期待指数
45
-1.5
11
12
13
14
10
15
11
12
13
14
15
前月比+0.1%と3ヶ月振りに増加。勢いには
欠けるものの、緩やかな増加傾向を維持。
株高を背景に消費者センチメントは2ヶ月連続
で改善。
<消費者物価指数:10月>
<ISM製造・非製造業指数:11月>
(前年比、%)
66
5
4
3
64
総合指数
62
新規受注指数
60
2
58
1
56
54
0
52
-1
総合指数
コア指数
50
15
48
-2
10
11
12
13
14
10
医療サービスの上昇が寄与し、コア指数は前
年比+1.9%と前月から幾分加速。
11
12
13
14
15
総合指数は55.9と引き続き高水準ながら、前月
からは3.2ポイント悪化。
<住宅着工件数:10月>
<中古住宅販売戸数:10月>
(年率、千戸)
(年率、千戸)
1 300
6 000
1 200
5 500
1 100
5 000
1 000
900
4 500
800
4 000
700
600
3 500
500
3 000
10
400
10
11
12
13
14
11
12
13
14
15
15
集合住宅が大幅に減少し、前月比マイナス
11.0%と8ヶ月振りの減少幅。
販売戸数は幾分頭打ちとなっており、10月は前
月比マイナス3.4%と2ヶ月振りに減少。
(出所)Haver Analyticsの公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報12月号
- 6 -
ユーロ圏:ECBが追加緩和を決定
今月のユーロ圏の経済指標は、景気の底堅さを示唆する内容でした。しかし、低インフレ長期化の
リスクが高まっていることや、新興国の景気減速による景気の下振れリスクへ対応するため、ECB
は12月3日の理事会で追加緩和を決定しました。
11月のユーロ圏の製造業PMIは52.8と前月から0.5ポイント改善し、サービスPMIも54.2(10月:
54.1)と小幅ながら改善しました。その結果、両者を合わせたコンポジットPMIは、54.2と前月から
0.3ポイント上昇しました。同指数は13年半ば以降、景気判断の分かれ目となる50を継続して上回っ
ており、過去数ヶ月は54前後での推移が続いています。また、ドイツのIfo景況指数も底堅く推移す
るなど、企業センチメントは景気回復の継続を示唆しています。
また、金融緩和の効果でマネーサプライは引き続き高めの伸びを維持しており、10月は前年比
+5.3%と幾分加速しました。マネーサプライは製造業PMIに3四半期程度先行することが知られてお
り、ユーロ圏の景気は先行き堅調に推移する見通しです。
一方、インフレ率については消費者物価(HICP、総合)が前年比ゼロ近傍で推移しており、ECB
の目標とする2%から大幅に下振れています。ECBは16年の消費者物価を前年比+1.0%、17年は同
+1.6%と予想しており、緩和的な金融政策が当面維持される見通しです。
<コンポジットPMI:11月>
<マネーサプライ(M3):10月>
(DI)
(季調、前年比、%)
7
60
6
58
M3
5
56
民間向け融資
4
54
3
52
2
1
50
0
48
-1
46
-2
-3
44
10
11
12
13
14
15
10
16
11
12
13
14
15
16
11月は54.2ポイントと前月から0.3ポイント
改善。景気は引き続き緩やかに回復。
10月はマネーサプライ、民間融資共に幾分伸び
が加速。
<消費者物価:11月>
<Ifo景況指数:11月>
(2005=100)
120
(前年比、%)
3.5
3.0
115
2.5
2.0
110
1.5
1.0
105
0.5
0.0
100
総合
-0.5
コア
95
-1.0
10
11
12
13
14
15
10
16
総合指数は前年比+0.1%とゼロ近傍での推移
が継続。
11
12
13
14
15
16
11月は前月から0.8ポイント改善。ドイツ景気の
堅調を示唆。
(出所)Haver Analyticsの公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報12月号
- 7 -
中国:主要経済指標はまちまち
中国の経済指標は一部に改善がみられるものの、総じて低調です。
11月の製造業PMIはMarkit版が2ヶ月連続で改善するなど、持ち直しの兆しが窺える一方、国家統計局
版のPMIは前月から0.2ポイント悪化し4ヶ月連続で50割れとなりました。ただ、いずれも景気判断の分かれ目
となる50を下回っており、中国景気のモメンタムは引き続き弱めといえます。
また、1-10月の固定資産投資は、前年比+10.2%と00年1-12月以来の低いに伸びに減速しました。高
水準の住宅在庫を背景に不動産投資の減速が続いています。ただ、習国家主席が、不動産市場の持続可能
な成長のために供給過剰を減らすべきと述べていることからも、不動産市場に対する支援策が今後、打ち出さ
れるとみられます。
中国は、夏場にかけて景気失速懸念が広がりましたが、個人消費は底堅く推移しており、10月の小売売上
は前年比+11.0%と緩やかに加速しています。自動車販売も、減税効果で小型車の販売が回復しており、
10、11月と2ヶ月連続で前年比2ケタ増となりました。また、金融緩和の効果で10月のマネーサプライ(M2)は
同+13.5%、新規融資は同+15.4%と2ケタの伸びを維持しています。このように、金融緩和や財政支出の拡大
が景気を下支えしており、当社では中国経済のハードランディング・リスクは限定的とみています。
<製造業PMI:11月>
<固定資産投資:1-10月>
(DI)
58
(前年比、%)
40
56
35
国家統計局
Markit
合計
不動産
30
54
25
52
20
15
50
10
48
5
46
0
10
11
12
13
14
15
16
10
11
12
13
14
15
16
Markit版は2ヶ月連続で改善の一方、国家統
計局版は前月から小幅悪化。全体ではまちま
ち。
高水準の住宅在庫を背景に、住宅投資の減速が
継続。
<小売売上:10月>
<マネーサプライ(M2):10月>
(前年比、%)
(前年比、%)
24
28
26
22
24
20
22
18
20
16
18
16
14
14
12
12
10
10
8
8
10
11
12
13
14
15
10
16
底堅く推移しており、10月は前年比+11.0%
増加。
11
12
13
14
15
16
金融緩和を背景に、10月は前年比+13.5%と前
月から幾分加速。
(出所)Haver Analyticsの公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報12月号
- 8 -
市場動向(11 月のレビュー)
債券市場:主要国の長期金利は小動き
為替市場:円、ユーロに対してドル高進行
米国の10年債利回りは、月間で2.14%から2.21%へと僅かに上昇しました。月初の堅調な米雇用統
計を受けて、12月利上げの可能性が高まったと市場で受け止められ、10日には2.34%まで上昇しまし
た。その後は、利上げは慎重なペースで進められるとの見通しや、欧州の金利低下を受けて上昇幅を
縮小して終えました。
欧州ではECBに対する追加緩和期待を背景に、ドイツの10年債利回りは月間で0.52%から0.47%へ
と僅かに低下しました。
日本の10年債利回りは、月間でみると0.30%で横ばいとなりました。上旬は日銀の緩和期待後退、
米雇用統計を受けて債券は売られ、利回りは一時的に上昇しました。その後は、材料に乏しく長期金
利は狭い範囲で推移しました。
ドル・円相場は、ドル高・円安が進行しました。上旬は、10月30日に日銀が金融政策の現状維持を決
定したことで、早期の追加緩和期待が後退したことに加え、米国の早期利上げ観測が高まったことで、
120円台後半から123円台まで円安が進行しました。その後、123円を挟んで一進一退が続き、1ドル
=123円28銭で終えました。ユーロ・ドル相場は、米国の利上げ期待、ECBによる追加緩和観測を背
景に、ユーロ安・ドル高が進行しました。
<国内長期金利(10 年国債)>
<海外長期金利(10 年国債)>
(%)
0.55
(%)
2.8
米国
ドイツ
2.4
0.50
2.0
0.45
1.6
0.40
1.2
0.35
0.8
0.30
0.4
0.0
0.25
3末 4末
5末 6末
7末
8末 9末 10末 11末
長期金利は横ばい圏で推移。
3末 4末 5末 6末 7末 8末 9末 10末 11末
金融政策のスタンスの違いから、長期金利
は米国で上昇、ドイツで低下。
<ドル・円>
126
125
124
123
122
121
120
119
118
<ユーロ・ドル>
1.18
(¥/$)
($/EUR)
1.16
1.14
1.12
1.10
1.08
1.06
1.04
3末 4末
5末 6末
7末
8末 9末 10末 11末
米国の利上げ期待、日本の早期追加緩和期
待の後退から、ドル高・円安が進行。
3末 4末 5末 6末 7末 8末 9末 10末 11末
米国の利上げ期待、ECB の追加緩和観
測から、ユーロ安・ドル高に。
(出所)Bloomberg の公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報 12 月号
- 9 -
株式市場:主要国の株価指数は高安まちまち
日本は、TOPIXが+1.4%と上昇しました。上旬は米国の年内利上げ観測が高まったことから円安基
調となり、外需関連株を中心に上昇しました。中旬以降は、株式市場の物色動向が定まらず、方向感
のない展開になりました。
米国は、S&P500が月間で+0.1%と横ばいでした。中旬までは、企業の決算内容を受けて、物色動
向が変わる展開でした。特に、11日に発表したメーシーズ(百貨店)が市場予想を大幅に下回ったこ
とで、消費関連株を中心に下落しました。一方で、18日に公表された10月FOMCの議事要旨を受けて
金融政策の不透明感が払しょくされ、株式市場は反発しました。米国の年内利上げの可能性が高まる
中、市場のボラティリティは引き続き低位で推移しました。下旬は、感謝祭休日を挟んで市場参加者
が少なく、株価指数は小動きとなりました。
ドイツは、DAX指数が+4.9%と前月に続いて大きく上昇しました。ユーロ安・ドル高が進行してい
たことから、自動車など外需関連株を中心に上昇しました。ECBによる追加緩和期待も、投資家のセ
ンチメントを支えました。また、13日のパリ同時多発テロの株式市場への影響は限定的でした。
香港ハンセン指数はマイナス2.8%と反落しました。月中旬まで株価指数は横ばいで推移しました。
月下旬に、中国市場のIPO再開を控えて需給悪化が懸念されたことや、当局が一部の大手証券会社を
捜査しているなどの報道が嫌気され、中国株が急落し、香港株もつられて下落しました。
<TOPIX>
<S&P500>
1,700
1,650
1,600
1,550
1,500
1,450
1,400
1,350
2,140
2,100
2,060
2,020
1,980
1,940
1,900
1,860
3末 4末 5末 6末 7末 8末 9末 10末 11末
3末 4末 5末 6末 7末 8末 9末 10末 11末
ドル高・円安基調から、外需関連株を中心に
株価上昇。
株式市場は横ばい。月末は感謝祭休日を
挟んで、値動きは小幅にとどまる。
<DAX>
<ハンセン(香港)>
12,800
12,400
12,000
11,600
11,200
10,800
10,400
10,000
9,600
9,200
29,000
28,000
27,000
26,000
25,000
24,000
23,000
22,000
21,000
20,000
3末 4末 5末 6末 7末 8末 9末 10末 11末
ユーロ安・ドル高が進行したことで、株式
市場は続伸。
3末 4末 5末 6末 7末 8末 9末 10末 11末
月末の中国株の急落を受けて、香港株式
市場は下落。
(出所)Bloomberg の公表データに基づいて当社作成
りそな銀行
マンスリ-投資情報 12 月号
- 10 -
投資行動
国内債券 -公社債口Aファンド(満期構成調整)-
基準価格騰落率(%)
ベンチマーク騰落率(%)
超過収益率(%)
2015.10
2015.11
2015.12
0.39
▲ 0.04
0.39
▲ 0.02
0.00
▲ 0.02
四半期
0.35
0.37
▲ 0.02
通期
0.95
0.91
0.04
<11月の投資行動>
中期・超長期ゾーンから長期ゾーンへの入替、円建外債の若干ウェイトアップ
11月の長期金利は、10月30日開催の日銀金融政策決定会合で追加緩和が見送られたことから
若干上昇して始まりましたが、5日に実施された10年国債入札は無難な結果となりました。6
日の米国雇用統計を受け、FRBによる「12月利上げ」観測から10年国債利回りは9日に0.34%ま
で上昇しましたが、債券需給引き締まりの状況は変わらず、12日の30年国債の入札も無難に
こなし、16日には0.295%まで低下しました。18~19日の日銀金融政策決定会合後は小幅上昇
する局面もありましたが、25日の20年国債入札も順調に消化し、0.30%にて越月しました。
この間、満期構成調整では中期・超長期ゾーンから長期ゾーンへ入替を実施しました。また、種類別
では、9月以降のユーロ円債償還等見合いでの再投資もあり円建外債のウェイトを若干高めました。
満期別構成比
短期債
18%
中期債
18%
長期債
64%
修正デュレーションの推移
A ファンド
NOMURA BPI
9.00
8.50
満期別構成比の対ベンチマーク比の推移(%)
2015.09
2015.10
2015.11
8.00
20.0
7.50
10.0
7.00
6.50
0.0
6.00
-10.0
5.50
5.00
-20.0
長期債
中期債
2015.09
短期債
りそな銀行
2015.10
2015.11
マンスリー投資情報12月号
- 11 -
国内株式
<株式口Aファンド(市場型)>
基準価格騰落率(%)
ベンチマーク騰落率(%)
超過収益率(%)
2015.10
2015.11
2015.12
9.49
1.26
10.42
1.42
▲ 0.93
▲ 0.16
四半期
10.86
11.99
▲ 1.12
通期
3.03
3.38
▲ 0.34
<11月の投資行動>
景気敏感株に厳選して投資
景気の先行きへの不透明感が晴れ
ないなか、来期にかけ好業績が予想さ
れる銘柄に限定して、景気敏感株の組
7業種分類による業種構成比の対ベンチマーク推移(%)
2015.09
2015.10
2015.11
8
み入れを進めました。個別では、中国
4
比率が高いことが懸念されたものの、
0
業績の堅調さが続く日産自動車を購入
-4
するとともに、スマホ関連が好調な電子
-8
エレキ
情報通信
自動車・機械
建設・公益
金融
消費・サービス
素材
部品株を買い増ししました。
<株式口Fファンド(割安株-リサーチ)>
基準価格騰落率(%)
ベンチマーク騰落率(%)
超過収益率(%)
2015.10
2015.11
2015.12
11.64
2.14
10.42
1.42
1.22
0.72
四半期
14.02
11.99
2.04
通期
2.85
3.38
▲ 0.53
<11月の投資行動>
収益改善期待が高まった銘柄を買い増し
割安な株価に放置された銘柄の中
で、割安状況の解消が見込まれる銘柄
に投資しました。個別では、低収益性改
7業種分類による業種構成比の対ベンチマーク推移(%)
2015.09
2015.10
2015.11
6
善に向けた取り組み期待が高まった富
3
士通をウェイトアップしました。また、足
0
元株価は冴えないものの、資本効率を
-3
意識し、高い競争力で持続的な成長が
-6
エレキ
情報通信
自動車・機械
建設・公益
金融
消費・サービス
素材
期待できるオムロンを組み入れました。
<株式口Wファンド(グローバル企業)>
基準価格騰落率(%)
ベンチマーク騰落率(%)
超過収益率(%)
2015.10
2015.11
2015.12
11.70
2.11
10.42
1.42
1.28
0.70
四半期
14.06
11.99
2.08
通期
2.97
3.38
▲ 0.41
<11月の投資行動>
持続的成長確度が高まった銘柄を購入
競争力向上によりグローバルでの活
躍が期待できる企業に投資しました。
個別では、コンプライアンス体制を強
7業種分類による業種構成比の対ベンチマーク推移(%)
2015.09
2015.10
2015.11
10
化し、高い技術力を活かした差別化商
5
品供給で持続的な成長が期待できる日
0
本ガイシをウェイトアップしました。一
-5
方、経営戦略見直しで成長鈍化が懸念
-10
エレキ
情報通信
自動車・機械
建設・公益
金融
消費・サービス
素材
りそな銀行
された銘柄を一旦売却しました。
マンスリー投資情報12月号
- 12 -
外国債券 -外貨建証券口Aファンド(外国債券アクティブ)-
基準価格騰落率(%)
ベンチマーク騰落率(%)
超過収益率(%)
2015.10
2015.11
2015.12
0.77
▲ 0.07
0.79
0.05
▲ 0.02
▲ 0.11
四半期
0.70
0.84
▲ 0.14
通期
▲ 0.76
0.68
▲ 1.43
<11月の投資行動>
デュレーションは長期化を継続、通貨配分はリスクを抑制
11月の米国長期金利は、雇用統計などの結果を受
通貨別構成比
その他
通貨
8%
けて上昇しました。2.14%で始まった米10年国債利回
りは、雇用統計やISM非製造業景況指数が好調で
あったことなどを受けて、9日には一時2.37%まで上昇
しました。しかし、その後は、12月利上げ観測の高まり
による株価の調整や供給増懸念による原油価格の下
落などを背景に、月末にかけて利回りは低下し、2.2
米ドル
45%
ユーロ
38%
その他
欧州
1%
英ポンド
8%
1%で月末を迎えました。
為替市場では、経済指標が好調で12月利上げ観
測が高まった米ドルが上旬に大きく買われました。一
通貨構成比の対ベンチマーク推移(%)
2015.09
10.0
2015.10
2015.11
方で、12月の追加緩和期待が高まっているユーロが
5.0
月間を通して売られる展開となりました。
当月の投資は、米欧とも景気回復感が乏しく低イン
0.0
フレの状況が続くなか、デュレーションは長期化を、通
貨配分は米ドルの小幅オーバーウェイトをそれぞれ
-5.0
米ドル
継続しました。
満期別構成比の対ベンチマーク推移(米ドル、%)
2015.09
2015.10
ユーロ
デュレーション推移
2015.11
20.0
10.0
0.0
-10.0
-20.0
-30.0
-40.0
英ポンド
A ファンド
CitigroupWGBI
13.00
12.00
11.00
短期債
中期債
長期債
超長期債
10.00
9.00
8.00
満期別構成比の対ベンチマーク推移(ユーロ、%)
2015.09
2015.10
2015.11
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
-10.0
-20.0
-30.0
7.00
6.00
5.00
4.00
米ドル
りそな銀行
英ポンド
201511
201510
201509
201511
201510
超長期債
201509
長期債
201511
中期債
201510
短期債
201509
3.00
ユーロ
マンスリー投資情報12月号
- 13 -
外国株式 -外貨建証券口Fファンド(外国株式アクティブ)-
基準価格騰落率(%)
ベンチマーク騰落率(%)
超過収益率(%)
2015.10
2015.11
2015.12
8.50
2.35
8.57
1.75
▲ 0.07
0.60
四半期
11.05
10.48
0.57
通期
4.66
1.74
2.92
<11月の投資行動>
地域配分は、欧米、他地域とも市場中立。個別銘柄では競争優位な銘柄に投資
11月の欧米株式市場は、先月急反発したことから上げ一服となりました。米国では利上げ観測が強まっ
たものの、金融政策への不透明感が後退したことから落ち着いた動きとなり、欧州ではECBによる追加金
融緩和への期待から株価は底堅く推移しました。また、中旬に発生したパリでの同時多発テロの影響は限
定的なものに留まりました。業種別では、資本財やテクノロジー株などが堅調な動きを示しました。
そうしたなか、投資行動については、欧米経済の改善速度に温度差があるものの、株価動向に大差は
ないとの判断から、欧米、他地域とも中立の地域配分を維持しました。また、銘柄選択では独自モデルを
活用して割安な銘柄の組み入れを実施するとともに、企業訪問を中心としたリサーチに基づき、競争優位
による業績伸長が期待できる銘柄に引き続き投資を行いました。
MSCI24業種分類による対ベンチマーク構成比の推移(%)
国別構成比の対ベンチマーク推移(%)
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
-0.1
-0.2
-0.3
2015.09
米国
カナダ
2015.10
欧州
2015.11
香港
シンガポール
米国 : 主なオーバーウェイト5業種
豪州
欧州 : 主なオーバーウェイト5業種
素材
ソフトウェア
保険
素材
耐久消費財
テクノロジー
10月
小売り
10月
保険
11月
11月
家庭用品
△9.0%
商業サービス・用品
△6.0%
△3.0%
--
3.0%
6.0%
9.0%
△6.0%
△4.0%
△2.0%
--
2.0%
4.0%
欧州 : 主なアンダーウェイト5業種
米国 : 主なアンダーウェイト5業種
不動産
銀行
ソフトウェア
メディア
不動産
各種金融
10月
メディア
10月
医薬品・バイオ
11月
11月
各種金融
エネルギー
△9.0%
6.0%
△6.0%
△3.0%
--
3.0%
6.0%
9.0%
りそな銀行
△6.0%
△4.0%
△2.0%
--
2.0%
4.0%
6.0%
マンスリー投資情報12月号
- 14 -
モデルポートフォリオ・アセットアロケーション
<モデルポートフォリオにおけるアセットアロケーションの概念図>
国内 債券
オー バー
ニュー トラ ル
アン ダー
国 内株 式
外 国債 券
外国 株式
高
低
高
低
高
低
<11月の資産配分方針 : 10月末時点の方針を維持>
(国内債券)
景気の足踏みが続いていますが、雇用環境の改善、賃金の増加、低水準の原油価格、総じて堅調を維持する米欧経済、など
を背景に、今後は回復傾向に戻ると予想されます。一方、足下±0.0%近辺にある消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)は、年明
け以降、原油安(前年比)の影響が薄れるに連れ、加速傾向に移行すると予想されます。しかし、食料、エネルギーを除いても足
下の上昇率は+1.0%近辺に過ぎず、日銀の「物価安定の目標」である+2.0%の達成には時間を要すると考えられます。日銀は
10月の「経済・物価情勢の展望」で達成時期を従来の「16年度前半頃」から「16年度後半頃」に修正しましたが、更に後ズレする
可能性が高く、追加緩和方向で政策を検討すると予想されます。
回復傾向に戻る景気動向、日銀の資産購入策、低下余地が乏しい金利水準、などの要因が交錯し、長期金利は横這い圏で
推移すると予想されます。そうした金利見通しと他資産の魅力度を考慮し、国内債券はアンダー高めを維持する方針としました。
(国内株式)
国内株式は米欧と概ね同方向で推移すると予想されます(調整する場面を交えながらも総じて上昇傾向/「外国株式」参照)。
但し、FRBと日銀の政策姿勢の相違(緩やかな円安見通し)、コーポレートガバナンス強化の機運、などを考慮すれば、米欧対
比の魅力度は相対的に高いと判断されます。そのため国内株式は外国株対比上位のオーバー低めを維持する方針としました。
(外国債券)
中国当局は「経済状況は新常態(ニューノーマル)に入った」と位置付け、構造調整を進めています。そうしたなかで、当局が大
規模な景気刺激策を打ち出す可能性は低く、中国景気は引き続き鈍化気味に推移すると予想されます。しかし当局は、9月の建
設プロジェクト加速措置や10月の追加金融緩和など、景気下振れの抑制が目的と見られる比較的小規模の刺激策を強化してお
り、今後もリスクの高まりに応じて同様の措置を追加していくと予想されます。マネーストックの増加ペースが回復しはじめるなど、
一部の指標にはその効果も表れており、景気は大幅な下振れを回避すると予想されます。
また、ユーロ圏景気は、緩やかながら改善傾向にある雇用環境、低水準の原油価格、財政緊縮圧力の後退、などを背景に、
引き続き持ち直していくと予想されます(リスク要因としてテロ封じ込めの成否)。
以上のような外部環境の下で、米国の輸出は底堅く推移すると予想されます。ドル高が下押し要因となっていますが、FRBの
引き締めペースを勘案すれば(後述)、今後のドル高は緩やかなものに留まると考えられ、輸出が減少傾向に傾く可能性は低い
と判断されます。一方、内需は、雇用環境の改善(いったん大幅に鈍化した雇用の増加ペースは10月に復調)、家計のバランス
シート調整の収束、低水準の原油価格、などを背景に堅調に推移すると予想されます。そのため米国景気は、拡大傾向を維持
すると予想されます。
雇用の増加ペースが復調し、株式市場も落ち着きを取り戻していることから、FRBは12月のFOMCで利上げに踏み切ると予
想されます。しかし、期待インフレ率が低下するなかで、利上げを開始した後の引き締めペースは緩やかなものに留まると予想さ
れます(10月FOMCの議事要旨では、「金融緩和策を緩やかに解除していくことが適切だと概ね一致」していたことが判明)。
米国長期金利は、FRBの利上げ開始とその後の引き締めペースに応じ、緩やかな上昇傾向で推移すると予想されます。そう
した金利見通しと他資産の魅力度を考慮し、外国債券はニュートラル低めを維持する方針としました。
(外国株式)
FRBは12月のFOMCで利上げに踏み切ると予想されます。中国経済や商品市況の低迷も続くなかで、再び株価が調整する
場面も想定されます。しかし、米国景気は拡大傾向を維持し、中国景気も大幅な下振れを回避すると予想されます。一方、利上
げを開始した後のFRBの引き締めペースは緩やかなものに留まると考えられ(「外国債券」参照)、ECBや日銀の政策姿勢も考
慮すれば、世界の緩和的な金融環境は続くと予想されます。緩やかな景気拡大と緩和的金融環境という好ましい組み合わせが
大きく崩れるには至らず、米欧株の調整はあっても持続的なものにはならない(調整する場面を交えながらも総じて上昇傾向)と
予想されます。そのため外国株式は、ニュートラル高めの魅力度を維持する方針としました。
2014年度
1Q
国
内
債
券
国
内
株
式
オーバー
ニュートラル
アンダー
オーバー
ニュートラル
アンダー
2Q
3Q
2014年度
2015年度
4Q
1Q
2Q
3Q
1Q
4Q
高
低
高
低
高
外
国
債
券
低
高
低
高
低
高
外
国
株
式
低
りそな銀行
オーバー
ニュートラル
アンダー
オーバー
ニュートラル
アンダー
2Q
3Q
2015年度
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
高
低
高
低
高
低
高
低
高
低
高
低
マンスリー投資情報12月号
- 15 -
海外情報
外国債券
モンドリアン・
インベストメント・
パートナーズ
外国株式
アメリカン・センチュリー・
インベストメント
SRI(ESG)外国株投資
アムンディ
エマージング株式
TOBAM
11月のグローバル債券市場は軟調でした。月初は、米労働省から発表された非農業部門雇
用者数が過去1年で最大の伸びとなったことから、12月に開催予定の連邦公開市場委員会(FO
MC)で利上げが実施される可能性が高まり、債券市場は大きく下落しました。その後、24日のト
ルコ軍によるロシア軍機撃墜や、欧州中央銀行(ECB)による利下げ観測から債券は買い戻され
ましたが、感謝祭期間中の薄商いの中、方向感のない動きとなりました。中国株式市場が下落し
たことも買い材料視されたものの、上値の重い展開となりました。
欧州債券市場は現地通貨ベースでは米債市場並みの推移となりましたが、米国との利回り格
差拡大観測から通貨ユーロが弱含みました。
社債セクターでは、全セクターが国債セクターをアウトパフォームしました。資産担保証券は、
カバード債以外が同デュレーションの国債セクターにアンダーパフォームしました。
11月のグローバル株式市場は、主要国の経済指標に弱い内容が散見されたことに加えて、中
国の経済指標が予想を下回る内容となり、商品価格が下落したことなどが下落要因となりまし
た。
欧米の経済指標は、強弱まちまちとなりました。米国では、小売売上高や卸売在庫が弱い内
容となったものの、消費者センチメントや雇用統計が力強い内容となりました。欧州では、ユーロ
圏の7-9月期のGDP成長率が前期比+0.3%と予想を下回る水準となった一方、イギリスでは製
造業や雇用環境の改善が示されました。
緩やかながらも着実な景気回復が続く米国で、12月に利上げが実施されるとの観測が強まる
など、今後は国や地域間の景況感の違いから各国の中央銀行の金融政策の方針にも格差が生
じると予想されており、金融市場への影響が懸念されたことから、不安定な株価推移となりまし
た。11月13日にパリでテロ事件が発生したことを受けて、一時的に市場は下落しましたが、直ぐ
に落ち着きを取り戻しました。
SRI投資のトピック銘柄として、今回はアクゾ・ノーベルを取り上げます。同社は塗料やコーティン
グ剤、特殊化学品などを製造するオランダの企業です。
同社が製造する製品群には、有害物質が含まれることから、規制強化による影響を受ける可能
性があります。しかし、同社は製品の開発過程において、化学物質に関するリスク査定を行い、代
替物質などで有害物質の使用を抑えるなどの取り組みを規制に先立って実行しています。
環境面においては、製品の製造過程で有害物質の排出や廃棄が不可避となるため、環境負荷
低減への積極的な取り組みを実施しています。同業他社と比較し、排出量の削減に成功している
ほか、環境マネジメントシステムに関する国際規格による認証であるISO14001の取得や外部機関
による評価を受けるなどの取り組みを行っています。
11月のエマージング株式市場は下落しました。月初には、中国の習主席が今後5年間の中国
の経済成長について、強気な見方を示したことなどが好感されて上昇しました。その後、米国の
利上げ実施による影響が不安材料視されたほか、シリア情勢など地政学的リスクへの懸念が高
まったことなどを受けて、下落に転じました。下旬には反発する場面もありましたが、月末にかけ
ては資源関連株の下落などを伴い、再び下落しました。
アルゼンチンでは、大統領選で迅速な経済改革の実施を主張する野党候補が躍進し、勝利し
たことが好感され、上昇しました。
中国では、銀行システムに資金を供給する政策手段である短期流動性ファシリティー(SLF)に
関し、金利を引き下げると発表したことなどが好感された一方、金融当局が大手証券会社に対
し、信用取引を巡る規則違反の疑いで調査を行ったことなどが嫌気され、月末に急落しました。
りそな銀行
マンスリー投資情報12月号
- 16 -
市場指数実績
国
短期
無担保コ-ルレ-ト(利回り%)
債券
15(平成27)年
15(平成27)年
14(平成26)年
前月中の
2015年度の
11月末
10月末
11月末
上昇率(%)
上昇率(%)
-
-
0.076
0.074
0.067
NOMURA-BPI総合
366.578
366.655
361.194
-0.02
0.91
株式
TOPIX(配当込)
2,200.15
2,169.38
1,926.93
1.42
3.38
海
債券
シティ世界国債インデックス
468.22
467.99
479.31
0.05
0.68
外
株式
MSCI KOKUSAIインデックス
2,608.80
2,563.83
2,533.88
1.75
1.74
内
(注) ・コールレートは無担保翌日もの
・TOPIXの上昇率は、指数の騰落率で配当を含んでいます
・ シティ世界国債インデックスは、日本を除く、円ベースの数値
・ MSCI KOKUSAIインデックスは、米ドルベースの公式指数をWMロイターレートにより円換算した税引前配当込みの指数
・ 上記の数字は市場指数であり、弊社が用いているベンチマークとは異なる場合もあります
グローバル株式市場
欧州
11月
FT100
(英国)
DAX
(ドイツ)
米国
11月
-0.08%
-6.16%
4.90%
-4.88%
15年度
SP500
0.05%
0.61%
NYダウ
0.32%
-0.32%
日本
11月
15年度
1.42%
3.38%
日経平均
3.48%
2.81%
アジア・オセアニア
11月
ハンセン
(香港)
ST指数
(シンガポール)
(注)上表の左列は前月中の上昇率、右列は2015年度の上昇率
(現地通貨ベース)
15年度
TOPIX
(配当込)
オールオーディナリーズ
(オーストラリア)
15年度
-2.84% -11.66%
-4.75% -17.15%
-1.33% -10.98%
(出所)短資協会、野村證券、シティグループ証券、MSCI、WMロイターレート、日本経済新聞社、
株式については各取引所データの公表データに基づき当社作成
マンスリー投資情報 2015 12月号
発行:2015年12月
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