緊急特集 ブラジル・レアル乱高下! 毎月分配型ファンドへの影響は? 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田尚子 2015 年 12 月 投資信託において為替レートの変動は、大きな影響があります。中でも、相対的に高い金利水準が魅力のブラ ジル・レアルは、通貨選択型をはじめとする毎月分配型の投資信託で広く活用されてきました。 しかし、レアルを取り巻く環境は今年に入り一変しました。ブラジルの景気減速と財政状況の悪化に資源価格の 下落も重なり、レアルは対米ドル・対円ともに短期間で急落。直近 9 月には史上最安値を更新しました。レアル を組み入れたファンドの多くは基準価額の大幅な下落に見舞われたほか、分配金の引下げも余儀なくされまし た。 政局混迷、格下げ・・・ブラジル全体の回復には時間が必要 ブラジル・レアルは今年、ドルに対して 40%近くも下落しました。その結果、レアルに対する過大評価(オーバーバ リュー)分が一気に解消することになりました。実効実質為替水準からみると、レアルは適正レベルに近づいて おり、これ以上の急激なレアル安のリスクは低くなったと考えてよいでしょう。 しかし、すぐにブラジル・レアル高に戻ることもないと考えます。ブラジルは国内的には財政や政治問題、対外的 には中国の景気後退による輸出不振という問題を抱えています。これらがレアル急落の引き金となったのです が、いずれも解決には時間が必要です。 尚、足元では、米大手格付け会社によるブラジル国債の格下げと、レビ財務相の辞任という 2 つのイベントが重 なり、株式、通貨ともにさらなる苦戦を強いられています。米大手格付け会社のスタンダード・プアーズとフィッ チ・レーティングスは、9 月と 12 月にそれぞれブラジル国債の格付けを非投資適格級(ジャンク級)の「BB+」ま で引き下げ、格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」としました。これは、今後さらなる格下げの可能性が残され ていることを意味します。また、レビ財務相の辞任は、ブラジルの財政政策に対する不透明感を露呈した形とな り、世界の投資家の不安心理を煽りました。 ブラジル・レアルの変動要因 「隠れ」レアル関連ファンドに注意 ファンド名に「レアルコース」や「ブラジル・レアル」などの表記が含まれているファンドであれば、レアルが組入れ られていることを即座に認識できますが、具体的な通貨名の記載がなくても為替取引等でレアルが活用されて いるケースもあります。 高分配型として人気を博した好配当グローバルREITプレミアム・ファンド 通貨セレクトコース(トリプル・ストラテ ジー)や、日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)がその例です。いずれのファンドも、目論見書上には為替取 引を行う対象通貨として「相対的に金利(水準)の高い通貨」という記載しかありませんが、実際はレアルが活用 されています。 レアルなどの高金利通貨は 分配原資となる反面、リスク もあります。 ※「日本株アルファ・カルテット」目論見書より ※「好配当グローバルREITプレミアム・ファンド 通貨セレクトコース」目論見書より 基準価額下落時の追加購入は有効か? シンプルなインデックス連動型ファンドや、決算回数が年 1、2 回の「非・定期分配型」ファンドであれば、基準価 額の下落時に追加購入することで平均取得単価を下げ、将来的な反発に期待するという選択肢もあります。し かし、上記のようにカバードコール戦略と呼ばれるオプション取引を活用したファンドの場合、こうした戦略はあま り効果がありません。 これは、カバードコール戦略を用いると、オプションプレミアムを受け取ることができる反面、利益が一定水準に 抑えられ、基準価額の大幅な値上がりを期待しづらくなるためです。特に、高水準の分配を継続しているファンド ほど基準価額の回復には時間がかかります。 「今後のレアルの反発に期待したい」ということであれば、為替取引を活用した毎月分配型ではなく、ブラジルの 株式やレアル建ての債券に投資するシンプルな仕組みのファンドを選んだ方が、反発局面で素直にリターンを 享受できるでしょう。 ■投資信託 投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、当該商品の目論見書、 契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。 【投資信託の取引にかかるリスク】 ●主な投資対象が国内株式 組み入れた株式の値動きにより基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。 ●主な投資対象が円建て公社債 金利の変動等による組み入れ債券の値動きにより基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。 ●主な投資対象が株式・一般債にわたっており、かつ、円建て・外貨建ての両方にわたっているもの 組み入れた株式や債券の値動き、為替相場の変動等の影響により基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むお それがあります。 【投資信託の取引にかかる費用】 各商品は、銘柄ごとに設定された購入又は換金手数料(最大税込 4.32%)および運営管理費用(信託報酬等)の諸経費をご負担 いただく場合があります。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があり ます。 ●ご購入時にお客様に直接ご負担いただく主な費用 「お申込手数料」:ファンドによって異なります。 ●保有期間中に間接的にご負担いただく主な費用 「信託報酬」:ファンドによって異なります。 ●ご換金時にお客様に直接ご負担いただく主な費用 「信託財産留保額」「換金手数料」:ファンドによって異なります。 買付・換金手数料、信託報酬、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかか る監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等 に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますよ うお願いいたします。 また、「その他の費用・手数料等」については、資産規模や運用状況によって変動したり、保有期間によって異なったりしますので、 事前に料率や上限額を表示することはできません。 各商品のお取引にあたっては、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解い ただくよう、お願いいたします。 【投資信託に関する情報提供について】 ・楽天証券株式会社がウェブページ上で掲載している投資信託関連ページは、お取引の参考となる情報の提供を目的として作成 したものであり、投資勧誘や特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 ・各投資信託関連ページに掲載している投資信託は、お客様の投資目的、リスク許容度に必ずしも合致するものではありません。 投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 ・各投資信託関連ページで提供している個別投資信託の運用実績その他の情報は、当該投資信託の今後の運用成果を予想また は示唆するものではなく、また、将来の運用成果をお約束するものでもありません。 (楽天証券分類およびファンドスコアについて) ・楽天証券ファンドスコアは、「運用実績」を一定の算出基準に基づき定量的に計算したもので今後の運用成果を予想または示唆 するものではなく、将来の運用成果をお約束するものでもありません。最終的な投資判断は、運用コスト、残高の規模、資金流出 入額、運用プロセス、運用体制等を考慮し、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。 ・情報提供:株式会社 QUICK 各投資信託関連ページに掲載している情報(以下「本情報」という)に関する知的財産権は、楽天証券株式会社、株式会社 QUICK または同社の情報提供元(以下三社を合わせて「情報提供元」という)に帰属します。本情報の内容については万全を期しておりま すが、その内容を保証するものではなく、これらの情報によって生じた損害について、情報提供元は原因の如何を問わず一切の責 任を負いません。本情報の内容については、蓄積・編集加工・二次加工を禁じます。また、予告なしに変更を行うことがあります。 商号等: 楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 195 号、商品先物取引業者 加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本商品先物取引協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会
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