小田原市 ファミリー・サポート・センター管理運営方針

小田原市 ファミリー・サポート・センター管理運営方針
1.事業の経緯
本市のファミリー・サポート・センターは、会員同士が相互援助活動を行うことにより、子育て
の負担や不安感を緩和できる環境づくりをすることを目的として、平成 11 年 10 月、小田原市社会
福祉センター内に設置し事業を開始した。
事業開始後、登録会員数は徐々に増加し、平成 27 年 3 月末時点で 1,644 人(依頼会員 1,158 人、
支援会員 421 人、両方会員 65 人)の会員登録がある。また、年間活動件数は、平成 19 年度の 5,630
件が最多で、平成 20 年度以降は 4,000 件前後で推移している。
平成 19 年 10 月に対象児童を小学 3 年生までから小学 6 年生まで、平成 21 年 4 月に利用料金
の単位を 1 時間単位から 30 分単位に変更、さらには、平成 24 年 3 月から産前産後家事支援事業
を開始するなどの変更を行ってきた。
事業運営については、平成 23 年度に公募型プロポーザル方式により事業者を選定し、平成 28
年 3 月 31 日までを委託契約期間としている。
2.事業の背景と目的
子どもたちが健やかに成長するためには、子育て世帯が社会から見守られ、地域の様々な人々と
ふれあい、関わりあうことが必要であるが、社会環境の変化により人間関係が希薄化してきている。
家族の構成割合の変化を児童の有無から捉えた調査(国民生活基礎調査の概況:厚生労働省)が
あるが、
昭和 61 年の調査では、
全世帯数における児童のいる世帯の割合が 46.2%だったのに対し、
平成 26 年には 22.6%と減少している。言い換えれば、昭和 61 年には近隣 10 軒のうち、4∼5 軒
が子どものいる世帯だったのに対し、平成 26 年には 2∼3 軒になっている。
また、児童のいる世帯類型は、昭和 61 年に 3 世代世帯が 27.0%、核家族世帯が 69.6%だったの
に対し、平成 26 年は、3 世代世帯が 17.5%、核家族世帯が 79%という状況である。
このような世帯人数の変化も含む子育て環境の大きな変化は、子育て世帯の負担感や不安感を招
く要因にもなっており、国では、子育て世帯の負担感を緩和し、安心して子育てできる環境整備を
推し進めるべく、平成 24 年 8 月に子ども・子育て支援法などの、いわゆる「子ども・子育て関連
3 法」を制定し、子ども・子育て支援の新たな制度「子ども・子育て支援新制度」を創設するなど、
様々な施策を打ち出している。
ファミリー・サポート・センターは、地域において育児の援助を提供できる人(支援会員)と育
児の援助を受けたい人(依頼会員)を組織化し、会員同士が相互援助活動を行うことにより、子育
ての負担や不安感を緩和できる環境づくりをすることを目的としている。
支援会員が近隣に住む子育ての経験者であること、ボランティア意識を持って関わることなどか
ら、人間的なつながりを基本にした日常的な関係性が生まれることを期待している。
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3.事業の概要
(1)会員の募集、登録その他の会員組織管理
相互援助活動を円滑に進めるために、会員の募集、登録を適切に行う。
ファミリー・サポート・センター管理運営事業は、会員同士の相互援助活動であるため、活動を
円滑に進めるために、会員の募集や登録を適切に行うことが不可欠である。
会員の募集は、様々な機会を捉えて周知を行う必要がある。依頼会員については、全ての子育て
家庭が事業の内容を知ることができるようにすることを目指し、積極的に周知活動をしていくこと
が求められる。また、支援会員については、依頼会員よりも幅広い年齢層が対象となるため、それ
を考慮し地域と連携した周知方法が必要になる。
会員の登録時には、相互援助活動が円滑に行われるように、事業内容の周知や会則の確認を適切
に行わなければならない。来所による登録が基本となるが、子育て支援センターや地域子育てひろ
ばなど子育て家庭の利用頻度の高い場所で登録を受け付けるなど、会員に対して登録しやすい環境
づくりに努める。
また、緊急時に登録が必要になる場合など、その状況に応じた対応についても考慮する必要があ
る。
会員やその子どもの年齢や利用状況から、今後利用しない会員については退会の措置を取るなど、
会員数を適切に管理するように努める。
(2)相互援助活動の調整等
相互援助活動を円滑に進めるために、事前打ち合わせを行うだけでなく、会員からの相談に適宜
対応し、支援会員と依頼会員の関係が良好に保たれるようにする。
会員間の活動が始まる前に、会員間で認識の違いが起きないように事前打ち合わせの日程を調整
し、これに立ち会うこと。その際は、会員同士がお互いを信頼し、相互援助活動を安心かつ気軽に
行えるように努めること。また、相互援助活動が継続的に行われるだけでなく、相互援助活動以外
の場面においても、気軽に身近で話をできる人を作ることは子育て家庭の孤立化を防ぐことにもな
るため、地域の中で会員同士がマッチングされることが望まれる。
相互援助活動開始後においては、会員が気軽に利用できる方法を考慮し、その活動予定を事前に
適切に把握するとともに、活動後に実施結果の報告を受ける。
相互援助活動に係る会員からの相談を随時受け付け、適切に対応することにより、相互援助活動
が円滑に行われるように努める。相談については、活動内容だけでなく、育児不安や身近な相談な
ども含まれるが、受容的態度で受け入れ、必要に応じて他機関への引き継ぎなどを行う。
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(3)産前産後家事支援活動の調整等
子育て家庭の産前産後(病気入院などを含む)に家事支援などを行うことにより、心身ともに大
変な時期の負担を緩和するよう、会員同士の調整などを行う。
産前産後家事支援活動は会員からの実施希望が高かったことから、平成 24 年 3 月からファミリ
ー・サポート・センター管理運営事業の一環として実施している。
産前産後家事支援活動は、契約による単なるヘルパー派遣ではなく、相互援助活動であることを
認識し、活動内容を精査するとともに、その方針について会員に適切に伝える必要がある。また、
依頼会員宅で活動を実施することが多いため、交通費など様々な配慮をする必要があるので、事前
打ち合わせを綿密に行うようにし、活動内容、活動頻度などを相互に確認するように努める。
(4)研修・交流会等の実施
ファミリー・サポート・センター管理運営事業を適切に実施し、良質な相互援助活動及び産前産
後家事支援活動を行うため、必要な研修や交流会等を行う。
ファミリー・サポート・センター管理運営事業を適切に実施するには、アドバイザーが中心とな
り連絡調整を行ったり、会員からの相談に適宜対応することが不可欠である。そのため、アドバイ
ザーは各種研修に参加するなどして情報収集、資質の向上に努める必要がある。
依頼会員が相互援助活動、産前産後家事支援活動を肯定的に捉えることができるためには、支援
会員が一定の育児や子育て支援策に対する知識を持っているだけでなく、依頼会員に受容的な対応
をすることが望まれる。そのため、支援会員登録時に適当な研修を行うほか、登録後も適宜研修を
行い、支援会員の資質を向上していく必要がある。
また、会員がお互いの活動内容や活動に関する考え方を共有することにより、活動の充実が見込
まれるので、交流会等を行うことも必要である。
さらには、会員同士の情報共有や活動を周知するための会報の発行を行うことが望まれる。
(5)地域、関係機関との連携
地域内で相互援助活動が活発に行われるように、地域や関係機関と連携した事業を行う。
ファミリー・サポート・センター管理運営事業に係る活動は、育児の孤立化を防ぐために、地域
と密に連携して行う必要がある。そのため、各地区に地域リーダーを配置し、アドバイザーと連携
して地域との関わりを持つ必要があり、地域リーダーに対しては必要な情報提供などを行うように
努める。
本市には、主任児童委員や地区社会福祉協議会等が実施している地域子育てひろばや子育て支援
センターなどがあり、これらと連携することにより、会員の確保のための取組や、地域ぐるみでの
サポートができると考えている。また、月に 1 回程度の「子育て支援センター及びファミリー・
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サポート・センター連絡会」及び 3 か月に 1 回程度の子育て支援センタースタッフ全員との研
修会に参加し、情報共有やスタッフのスキルアップに努める。
(6)その他
ファミリー・サポート・センター管理運営事業の充実のため、必要な対応を行う。
活動中の事故等に対応するため、保険に加入するなど必要な措置を行う。
早朝・夜間の緊急時の支援、宿泊を伴う支援、病児・病後児支援、ひとり親家庭への支援等、様々
なニーズに対応した支援など、適宜、会員や子育て家庭のニーズを把握し、状況に応じた支援がで
きるよう努める。
4.活動報告
会員数、相互援助活動の調整件数、相談件数、活動件数、活動内訳、時間別件数、年齢別件数等
整理し、月に 1 回小田原市に報告する。
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