家畜衛生だより 平成25年9月号 紀北家畜保健衛生所 TEL 073-462-0500 紀南家畜保健衛生所 TEL 0739-47-0974 東牟婁支所 TEL 0735-58-1481 【牛のストレスと疾病】 今年の夏は大変暑く、家畜の飼養衛生管理に四苦八苦だったと思いますが、 9月に入っても日中は暑く、まだまだ気を抜けません。 さらに、9月も中頃を過ぎれば暑さもより和らぎ、過ごしやすくなると思い ますが、季節の変わり目、すなわち日中と朝晩の寒暖の差によるストレスによ り、乳房炎や下痢、肺炎が多発することがあるので注意が必要です。 ストレスと疾病の因果関係は不明な点も多いのですが、ストレス要因が複合 的に作用することにより発症するものと考えられています。 1.ストレス要因の分類 物理的要因 寒冷、暑熱、輸送、騒音、紫外線、手術、外傷 飼育形態の変化 化学的要因 活性酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、薬物 生物的要因 寄生虫、細菌、ウイルス 精神的要因 密飼い、序列闘争 2.9月時期に多いストレス負荷と疾病の関係 ・断続的な暑さと季節変化によるストレス ストレスの中でも、暑熱ストレスは泌乳牛の免疫機能に最も大きな影響を 及ぼします。免疫機能低下による乳房炎の発症や産乳量の低下などの影響は 高泌乳牛ほど大きくなります。 加えて、体細胞数の増加による乳質低下を加味すると、甚大な経済被害を 被ることになります。 通常、乳牛の乳生産適温域は10~18℃だといわれていますが、高泌乳 牛にいたってはさらに適温域が狭いと考えられています。 さらに、季節の変わり目の寒暖の差が加わり、複雑なストレス状態になる ため疾病の発症率も高くなると思われます。 ・飼育環境の変化によるストレス 環境変化と一言で言ってもいろいろありますが、この時期は、季節の変わ り目の寒暖の差が最も重要です。 これに他のストレスが加わると、子牛の下痢や肺炎の発生率が高くなりま す。飼養形態にもよりますが、親牛に比べ子牛の体調変化は見落としがちで 、 発見が遅れることによる症状の重篤化が懸念されます。 あらかじめ寒暖の差を正確に予測するのは不可能です。だからといって手を こまねいているわけにはいきません。こんな季節だからこそ、いつもより注意 深く健康状態を観察し、調子の悪い牛を早期に発見し、早期治療を施すよう心 がけましょう。 9月は、だんだんと暑さも和らぎ過ごしやすく、一息つきたい時期です。し かし、ちょっとした気の緩みから飼養管理を怠ると、思わぬしっぺ返しが 待 っています。 無理のない効率のいい飼養管理を模索し、過ごしやすい季節だと安堵する のではなく、こんな季節だからとより注意深く健康観察をするようお願いし ます。 ご質問等がありましたら、最寄りの家畜保健衛生所にお尋ね下さい。
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