モータコントロールセンタへの トップランナーモータ適用に当たっての注意事項 トップランナーモータ ※適用に当たっては、モータの定格情報など(例えば、定格電流、 始動電流・突入電流、始動時間)を入手し、適切な保護協調を実現してください。 ※トップランナーモータについて、詳しくは次の JEMA WEB ページ又はパンフレットをご覧下さい。 WEB ページ http://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/top_runner/sansou_yudou.html パンフレット http://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/top_runner/pdf/toprunnermotor.pdf 1.モータ保護協調への影響 トップランナーモータは従来のモータと比べて効率がよく省エネになる一方、始動電流・突入電流が 大きくなる傾向にあります。既存のモータコントロールセンタ(以下、MCC という。 )は、従来モー タに合わせた機器選定を行っているため、トップランナーモータを適用した場合、始動電流・突入電 流により配線用遮断器やサーマルリレーが不要動作し、トップランナーモータが始動できなくなる可 能性があります。また、最悪の場合、MCC ユニット内の機器、モータなどが破損、焼損し、重大な 電気事故に繋がる可能性があります。このため、トップランナーモータの特性に合わせた適切な保護 協調が必要です。 一般的なモータ保護協調 時間 サーマルリレーの動作特性 モータの熱特性 配線用遮断器の動作特性 主回路電線の熱特性 配線用遮断器 MCCユニット 不要動作(サーマルリレー) 主回路電線 電磁接触器 サーマルリレー 不要動作(配線用遮断器) 定格電流 (実効値) 始動電流 突入電流 (実効値) (ピーク値) 電流 従来モータの電流特性 トップランナーモータの電流特性 MCC では、一般的に配線用遮断器(短絡保護)とサーマルリレー (過負荷保護)との組合せで適切な保護協調を実現しています。 M モータ 2.MCC ユニットへの影響 配線用遮断器 電磁接触器 電磁接触器 サーマル リレー ● 突入電流が増加することにより不要動作する 場合は、瞬時引外し電流値の高い配線用遮断 器に変更するか、又は、配線用遮断器の定格 電流値を上げて対応する必要があります。こ の場合は、フレームサイズが上がる可能性も あります。 ● 配線用遮断器 対策後 ● MCC ユニットサイズの影響例 既存 モータの保護協調の影響で、MCC ユ ニット内の機器の外形寸法が大きくな り、既存の MCC ユニットサイズでは 収納不可となる場合があります(右図 参照)。 ユ ニ ッ ト サ イ ズ を 大 き く し た 場 合、 MCC 側のユニット配置の変更、収納 するために新盤の増設など、大幅な改 造が発生する可能性があります。 なお、MCC ユニット内の機器の対策 例は、次のとおり。 サーマルリレー 始動電流が増加することにより不要動作する 場合は、ダイヤル目盛りの設定調整、遅動タ イプのサーマルリレーへの変更、又は、始動 時にサーマルリレーをバイパスする回路に変 更する必要があります。 ● 主回路電線 始動電流が電磁接触器の定格( AC- 3 級)の 10 配線用遮断器の定格電流値を上げて対応する 倍を超える場合は、開閉寿命の著しい低下や 場合は、主回路電線の熱特性との関係で、主 接点溶着などが発生する可能性があるため、 回路電線サイズが上がる可能性があります。 電磁接触器のフレームサイズを上げて定格の 10 倍を超えないように選定する必要がありま す。 3.その他、注意事項 ● 瞬時停電発生後の再始動では始動電流・突入電流が大きくなり、再始動できない場合があります。 ● カスケード遮断・選択遮断の場合、上流側遮断器の見直しも必要となる場合があります。 トップランナーモータ適用に当たっては、モータの定格情報など(例えば、定格電流、始 動電流・突入電流、始動時間)を入手し、適切な保護協調を実現してください。不明点は、 MCC メーカなど関連業者にお問い合わせください。 一般社団法人日本電機工業会 コントロールセンタ技術専門委員会 The Japan Electrical Manufacturers’ Association 〒102-0082 東京都千代田区一番町17番地4 TEL 03(3556)5884 http://www.jema-net.or.jp/
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