島根県における湖沼水質保全のための取組事例 ○湖沼水質保全計画の概要 宍道湖・中海の水質保全計画 宍道湖・中海は、平成元年度に「湖沼水質特別措置法(湖沼法)」に基づく指定湖沼となり、水質の汚濁に関係 があると認められた地域を指定地域(宍道湖・中海の集水域)として指定されました。現在まで、4期20年にわたり 湖沼水質保全計画を策定し、下水道の整備等の水質保全事業や、工場・事業場からの排水規制、農地、市街地等 の非特定汚染源からの流出負荷削減対策を総合的かつ計画的に推進してきました。 この結果、湖へ流入する汚濁負荷量は着実に減少しているものの、未だ環境基準の達成には至っていません。 このため、第5期の「宍道湖及び中海に係る湖沼水質保全計画」を定め、国、関係市町、県民、企業及びNPO などの皆様にも理解と協力をいただいて、水質保全対策を推進します。 類型指定と環境基準値 河川 AA A B BOD 1 2 3 湖沼 AA A B COD 1 3 5 湖沼 Ⅰ Ⅱ Ⅲ T-N 0.1 0.2 0.4 T-P 0.005 0.01 0.03 <単位;㎎/㍑> D E 8 10 C 5 C 8 Ⅳ 0.6 0.05 Ⅴ 1.0 0.1 全国11湖沼の水質保全計画期間 湖沼名 61 62 63 元 2 3 4 5 霞ヶ浦 印旛沼 手賀沼 琵琶湖 児島湖 第1期 釜房ダム 諏訪湖 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 第2期 第1期 宍道湖 中 海 6 第3期 第2期 第1期 野尻湖 第4期 第3期 第5期 第4期 第5期 第2期 第3期 第4期 第5期 第1期 第2期 第3期 第4期 八郎湖 第1期 宍道湖・中海の第5期湖沼水質保全計画水質目標値 (mg/l) 宍道湖 水質項目 化学的酸素 75%値 要求量 年平均値 (COD) (参考) 中海 前計画期間変動 前計画期間変動 現状 目標値※ 現状 目標値※ (平成20年度) (平成16~20) (平成25年度) (平成20年度) (平成16~20) (平成25年度) 6.1 4.8~6.2 4.6 6.0 5.3~7.3 5.1 5.4 4.3~5.4 4.0 4.4 4.1~4.8 3.9 全窒素 年平均値 0.49 0.49~0.56 0.49 0.47 0.47~0.62 0.46 全りん 年平均値 0.056 0.045~0.056 0.039 0.060 0.054~0.072 0.046 ※過去5年間の気象条件を基に施策の効果を踏まえシミュレーションを実施して設定 ○宍道湖流域下水道の概要 区 分 計画処理面積 計画処理人口 計画処理水量 排除方式 管渠延長 中継ポンプ場 処置場名称 敷地面積 位 置 水処理方式 処 理 計画放流水質 場 流入水質 放流水質 放流先 汚泥処理方式 関係市町 H23末整備率 H23末普及率 H23末流入量 該当する流総計画 東部処理区 西部処理区 5,537.5ha 6,140.6ha 175,000人 122,240人 日最大128,510m3/日 日最大87,560m3/日 分流式(汚水と雨水とに分けて処理する方式) 東部1号幹線 L=12,470m 西部1号幹線 L=23,510m 東部2号幹線 L=12,170m 西部2号幹線 L=8,950m 東部3号幹線 L= 5,230m 西部3号幹線 L= 3,260m 東部4号幹線 L= 9,230m 放流渠 (L= 220m) 合 計 L=39,100m 合 計 L=35,940m なし 斐川中継ポンプ場 10.4m3/分 西代橋中継ポンプ場 4.5m3/分 宍道中継ポンプ場 3.6m3/分 3 境橋中継ポンプ場 5.2m /分 湖陵中継ポンプ場 3.7m3/分 宍道湖東部浄化センター 宍道湖西部浄化センター 18.8ha 15.14ha 松江市竹矢町字川向 出雲市大社町中荒木 凝集剤添加活性汚泥循環変法+砂ろ過 標準活性汚泥法 BOD COD SS T-N T-P BOD COD SS T-N T-P 190 100 190 35 5.0 180 - 190 - - 10 8 7.5 8 0.4 15 - 19 - - 意宇川(中海) 日本海(大社湾) 濃縮・消化・脱水・セメント原料化・肥料原料化 濃縮・消化・脱水・セメント原料化 松江市、安来市 松江市、出雲市 83.3% 48.5% 94.8%(計画区域に限定) 61.1%(計画区域に限定) 日平均52,195m3/日 日平均23,154m3/日 斐伊川流域別下水道整備総合計画 系外放流 ○高度処理 平成元年に宍道湖・中海は湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)の指定を受け、翌年には、宍道湖・中海湖 沼水質保全計画の策定と水質汚濁防止法の上乗せ排水基準強化が図られました。 一般に標準活性汚泥法と呼ばれる普通の下水処理法では、有機性汚濁物質は90%以上除去できますが、 窒素やリンは40%程度しか除去できません。 そこで、宍道湖東部浄化センターでは、更なる窒素やリンの除去を目的として、既存の施設の改造と増設 を行い、平成6年度から高度処理施設の運転を開始しました。その後、リン除去の安定化と再資源化を図るた めに、造粒脱リン装置を建設し、平成10年度から運転しています。 造粒脱リン装置(宍道湖東部浄化センター)のしくみ 嫌気好気活性汚泥法により余剰汚泥中に取り込まれたリンは、消化槽で嫌気性消化をすると、汚泥脱水時 の脱水返流水中に多量に出ます。これは、水処理系へ返り、処理水中のリン濃度の上昇や、汚泥系配管の閉 塞の原因となります。そこで、脱水返流水中のリン濃度を低下させることが重要です。 造粒脱リン装置は、この脱水返流水中のリンをリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)の結晶として回収す るものです。 この装置の運転により、リンは約70%が除去できます。初沈流出水のリン濃度を低下させて、リン除去を安定 化しPAC使用量を削減し、さらにMAPを堆肥化することにより、リン資源のリサイクルが可能となります。
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