大学間連携を通じた広域アジアにおける地球環境学リポジトリの構築 -自然と調和した社会構築を目指す新たな知の拠点形成事業- 平成 24 年度研究報告書 ・研究テーマ:川海境界の汽水域における情報資源の開拓とそれによる近年の環境変遷 ・代表者所属・氏名:島根大学汽水域研究センター・瀬戸浩二 ・募集区分と内容:区分1,森・川・海の連関と境界領域 ・研究概要:汽水域は,河川からの淡水と海からの海水が混じりあう水域を示し,降水や温度 環境に関わる気候変動や海水準変動に影響されると共に,人為的な環境変遷にも影響されている. 島根大学汽水域研究センターでは,宍道湖・中海の膨大な環境データを所有し,一部はデータベ ースで公開されている.本研究では,それらのデータベースと共に,まだ未公開の環境データを 整理,公開することにある.また,それらと共にその他の汽水域(網走湖・小川原湖・浜名湖な ど)の同様な環境データと比較し,近年の環境変化について検討を行うことを目的としている. 平成 24 年度の研究では,まだ,データベースで公開していない項目についてベータベース化を 行うことを検討した.特に底質の写真,底質記載,色調データ,粒 度観察,分析データなどの諸データは公開されたデータベースがあ まりなく,環境パラメータとして重要である.まず,それらを掲載 したカタログ式のデータシートを試作した(図 1).また,データベ ースソフト FileMaker Pro を用いた同様なデータシートも試作した. 前者は,検索機能がないため,データベースとして使いにくいが, 画像情報が良好である.また,地理情報システムとリンクさせると 使いやすい.一方,後者は,検索しやすく,データ群として取り出 すことができるため,データの活用には良好であるが,地理情報と して示すのは難しい.両タイプのデータシートを作成し,リンクさ せることによって両方の短所を補える.汽水域研究センターでは, 宍道湖・中海の底質データを 7 年間で 2000 試料程度取得している. 今後,すべてのデータについてデータベース化を行う予定である. 図 1 カタログ式のデータシート また,それ以外の水質データベ ース,シジミなどのベントスデ ータベースなども作成し,リン クしていきたいと考えている. また,宍道湖・中海を含め,デ ータベース化が可能な汽水域 間の関係,また,沿岸,陸水と の関連についても整理・検討を 行った(図2).最終的にこの ようにリンクし,近年の環境変 動について検討を行いたい. 図 2 汽水域データベースの構築の概要
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