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今後の大阪市の美術館のあり方について
大阪市の美術館のあり方検討会
2013年6月19日
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−目次−
はじめに 検討会の位置づけ
1章
現状評価
(1)新美術館計画について
(2)天王寺(市立美術館)について
(3)東洋陶磁美術館について
2章
統合案の評価
(1)統合案の概要
(2)シミュレーション
(3)外部有識者の意見
3章
今後のあり方(課題)
(1)基本思想
(2)基本方針
(3)整備計画の検討
(4)今後の検討推進体制
<参考>
2
はじめに 検討会の位置づけ
3
はじめに
1.これまでの経緯
大阪市の新美術館建設については、1983(昭和58)年8月に市制100周年記念事業として、近代美術館構想を発表し
て以来、すでに30年近くが経過したが、未だ建設には至っていない。
この間、1998(平成10)年3月には「近代美術館基本計画」を策定したが、その後の財政状況の悪化から計画は進ま
なかった。その後、平松市長時代の2010(平成22)年11月には、改めて従前の規模と費用を大幅に見直した「近代美術
館整備計画」(案)を策定したものの実現に至らないまま、2011(平成23)年12月に橋下市長に交代した。
橋下市長は就任直後に新美術館に関して、「白紙撤回にして、もう一回構想を練り上げる」ことを表明し、計画は都
市魅力戦略会議において検討されることとなった。これを受け、2012(平成24)年6月の第14回府市統合本部・都市魅
力戦略会議では「世界的な創造都市に向けて~グレートリセット~」の一つとして近美計画を位置づけ、了承された。
その後、2012(平成24)年9月に市長から「近代美術館と市立美術館を統合して、中之島に整備する」ことを検討する
ように指示があり、担当部局での検討を経て、2013(平成25)年2月の戦略会議で、「所蔵作品及び展示機能は(中之島
の)新しい美術館に集約化する=総合型」と、「近現代美術作品を新しい美術館に集約化し、市立美術館は東洋古美
術に特化した美術館とする=専門型」の2案を提示した。また、会議では、中之島に新たな美術館を建設することが決
まった。
しかし、「総合型」と「専門型」の何れとするかは、「今後、外部の専門家等の意見を聞きながら、コレクションの価値
や特性を再評価し、その魅力が最大限発揮できるよう再編成した上で、決定する」こととなった。
これを受けて2月に上山特別顧問による市立美術館および新美術館関係者からのヒアリングが行われたのを皮切り
に、担当部局の関係者が外部有識者からの意見を聞きながら、5月末を目処に、市立美術館のあり方を検討すること
になった。
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新美術館構想とこれまでの検討状況
新 美 術 館 構 想 の 経 過
時
コ
期
昭和58年~平成元年
用
地
関
平成元年 国より土地購入
[敷地面積]838.66㎡
係 [購入金額]66億2,541万円
(仮称)近代美術館構想委員会
検
経
平成2年~平成10年
平成11年~平成23年
平成24年~
・マグリット「レディ・メイドの花束」
・池田遙邨「雪の大阪」
・サントリーポスターコレクション
・ダリ「幽霊と幻影」
・木谷千種「浄瑠璃船」
(約18,000点)寄託
・デ・キリコ「福音書的な静物」
・佐伯祐三「下落合風景」
・ボッチョーニ「街路の力」
・白髪一雄「赤牌」
・福田平八郎「漣」
・福岡道雄「ピンクバルーン」
・土田麦僊「散華」
・リシエ「荒野の羊飼い」
・吉原治良「作品」を含む773点計 2,756点 ・アンタイ「タブラ(青)」 計1,229点
計651点 ・山本發次郎コレクション
レ ク シ ョ ン (佐伯祐三作品31点を含む)
購入:1,015点 ・モディリアーニ「髪をほどいた横たわる裸婦」
寄贈:3,621点 合計:4,636点
討
状
平成10年10月 国と国有財産売買契約締結 平成15年2月 国と国有財産売買契約締結(用 近代美術館用地にかかる違約金の指定期日
(用地の南側半分)
地の北側半分)
について、1年間の延長承認(平成26年3月31
[敷地面積]8,000㎡
[敷地面積]8,035㎡
日まで)
[購入金額]108億3,000万円
[購入金額]51億4,000万円
近代美術館(仮称)基本計画委員会
近代美術館あり方検討委員会
大阪府市都市魅力戦略会議
河北 倫明:京都芸術短期大学学長
紙野 桂人:帝塚山学園帝塚山大学教授
河本 信治:京都国立近代美術館学芸課長 橋爪 紳也:大阪府市特別顧問、大阪市立大
伊藤 郁太郎:大阪市立東洋陶磁美術館館長 足立 孝:大阪大学名誉教授(~H5.7.16)
加藤 種男:(財)アサヒビール芸術文化財団
学特任教授
乾 由明:京都大学教養部教授
東 孝光:千葉工業大学教授
事務局長
池末 浩規:大阪府市特別参与、(株)パブリッ
大西 正文:大阪商工会議所副会頭
伊藤 郁太郎:大阪市立東洋陶磁美術館長 金馬 由佳:(株)京阪神エルマガジン社刊
クパートナーズ代表取締役
(大阪ガス(株)社長)
大島 清次:世田谷区立世田谷美術館長
「Meets Regional」編集長
太下 義之:大阪府市特別参与、三菱UFJリ
川崎 清:京都大学工学部教授
神山 登:大阪市立美術館長(~H8.3.31)
小浦 久子:大阪大学大学院工学研究科准教
サーチ&コンサルティング(株)芸術・文化
神山 登:大阪市立美術館館長
小篠 弘子:服飾デザイナー
授
政策センター長
(H1.4.1~)
小林 公平:阪急電鉄(株)取締役会長
黒岩 和子:大阪国際大学短期学大部教授 嘉名 光市:大阪府市特別参与、大阪市立大
近藤 博之:(財)大阪市教育振興公社理事長 近藤 博之:(財)大阪市教育振興公社理事長 津田 敏夫:中小企業診断協会大阪支部理事
学准教授
藤田 慎一郎:大原美術館長
(~H4.12.25)
原 久子:大阪電気通信大学総合情報学部教 中川 幾郎:大阪府市特別参与、帝塚山大学
況三木 多聞:国立国際美術館長
多胡 進:大阪市立大学工学部教授
授
法学部教授
三宅 一生:服飾デザイナー
土居原 作郎:大阪芸術大学教授
山口 洋典:(NPO)應典院寺町倶楽部事務局 橋本 裕之:大阪府市特別参与、追手門学院
山田 稔:関西経済連合会副会長
福岡 康司:(財)大阪市教育振興公社理事長
長
地域文化創造機構特別教授
(ダイキン工業㈱社長)
(H5.5.25~)
山口 洋典:大阪府市特別参与、立命館大学
湯浅 叡子:千里文化財団専務理事
本間 正義:美術評論家
共通教育推進機構准教授
吉村 元雄:前大阪市立美術館長(~H1.3.31) 増 田 洋 : 兵 庫 県 立 近 代 美 術 館 参 与 ( ~
H9.5.11)
蓑 豊:大阪市立美術館長(H8.4.1~)
山田 稔:関西経済連合会地域開発特別委員、
ダイキン工業会長(~H7.5.1)
湯浅 叡子:(財)千里文化財団専務理事
昭和58年8月 大阪市制100周年記 平成10年3月 近代美術館基本計画 平成16年10月 心斎橋展示室を開
念事業として、近代美術館構想を発 策定
設(平成24年11月に閉館)
表
平成21年5月 近代美術館あり方検
過
平成元年12月 (仮称)近代美術館
討委員会開催
構想に関する答申受理
平成22年11月 近代美術館整備計
画(案)発表
平成24年6月 大阪府市統合本部会
議において、「中之島ミュージアムア
イランド構想」を了承
平成25年2月 戦略会議において、
中之島に新しい美術館を整備するこ
とを決定
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新美術館のめざすもの
大都市で暮らす楽しさ、豊かさを実感できる美術館 ~「文化が薫る都市格を備えたまち」の実現~
芸術文化の振興により、都市の創造性を向上させる
戦略 市民が芸術に身近に親しむことのできる機会を提供し、美術を通じて人びとが創造的活動を行う環境をつくる
・だれもが気軽に立ち寄り、楽しむことのできる、ここちよい美術館となる
・コレクションの魅力を活かした常設展や斬新な企画展など、魅力ある展覧会を開催する
・アートの力でこどもたちの創造力や知性を育み、学力向上にも貢献する
・アーティストに刺激を与える場となり、特にデザイン分野においてクリエイティブ・デザインの振興に資する
芸術文化の発信拠点として集客・観光の魅力を高めることで、まちに経済波及効果をもたらす
戦略 魅力的で多彩な展示や活動を行うことで、何度でも訪れたくなる美術館になる
・中之島から広く文化情報を発信することで、増加する訪日外国人の誘客に積極的に取り組む
・国際会議場、ホテルなどの周辺施設、並びに大阪市観光部門との積極的な連携によって、ビジネスや観光などの分野で、
団体客の獲得につなげる
・「中之島にある、国内屈指の近・現代美術コレクションを有した美術館」という資源を、積極的に周辺の企業等に活用して
もらうことで、中之島の魅力向上につなげる
市民が主体的に美術館の活動に参画することで、新しい生活文化を創造する
戦略 近代美術館を核として、アートを通じて市民が主体的に社会参加を行う仕組みをつくる
・市民がアート活動に積極的に参加するための仕組みをつくる
・市民、NPO、企業など幅広い領域の団体や地域を連結し、アート活動を展開する拠点となる
・市民やNPOが美術館のもつ資源(コレクション、人材など)を積極的に活用できる仕組みをつくる
平成22年度 第4回 大阪市行政評価委員会大規模事業評価部会
『大規模事業評価部会にかかる総括審議用資料』 平成23年3月17日から
6
第14回大阪府市統合本部会議(2012.6.19)
『大阪府市都市魅力戦略会議報告書』
世界的な創造都市に向けてグレート・リセット(全体概要)
都市魅力戦略 1 都市魅力創造にかかる府市戦略の一本化と事業の融合・統合
会議の目的 23 世界の都市間競争に打ち勝つ都市魅力創造の基盤づくり
『大大阪』にふさわしい都市魅力創造のシンボルプロジェクトの検討
2 0 1 5 年・シンボルイヤーに向け
大阪を世界にアピール!
府市戦略の一本化
「強い大阪」の実現
•  大阪府都市魅力創造戦略を基に、大阪府市都市魅力戦略会議での議論を
踏まえ、新たに府市一体の大阪都市魅力創造戦略を策定 (P.2)
•  観光・国際交流・文化・スポーツの府市戦略の一本化 (P.3)
3
つ
の
重
点
取
組
み
重
点
エ
リ
ア
の
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト •  新たな大都市制度の構築に先立ち、 可
能な限り事業執行体制を一元化
水と光の首都大阪の実現
• コリドール(新たなシンボル空間を創造し、集
客拠点と水の回廊でつなぐ)
• グランバル(10000のバル、1000の魅力、 100の船が奏でる食の祭典) 文化施策の評価・企画・ シ
ンクタンク機能の構築
•府市文化施策審議会(仮称)
•大阪アーツカウンシル(仮称)
世界の観光客が憧れる大阪
の実現
•次世代観光創造のプラットフォーム
• 国際会議や大規模スポーツイベントと の
コラボレーション
世界第一級の文化観光拠点の形成 大阪城・大手前・森之宮地区 (P.8)
⇒世界的な観光拠点へ
中之島ミュージアムアイランド構想(P.9)
⇒「文化芸術」と「水と光」の融合
天王寺・阿倍野地区(P.10)
御堂筋フェスティバルモール化(P.11)
築港・ベイエリア地区(P.11)
順次エリアを拡大
大 阪 版 「 B I D 」 (P.7参照)の導入を検討
⇒動物園を核としたエリア形成
⇒クオリティの高いにぎわい空間へ
⇒クルーズ客船の母港化・拠点施設
再生強化
水と光のまちづくり推進組織 (P.4)
• 民間を主体とした「パートナーズ」
• 行政組織の「オーソリティ」
大阪アーツカウンシル(仮称) (P.5)
• 政策と事業の連動
• 専門性・透明性・公正性の確保
• 参画機会の拡充
大阪観光局(仮称) (P.6)
• 経営責任者を置き戦略的なプロ集団へ
• チャレンジングな目標設定
• 財源の確保
経済の活性化
シビックプライドの醸成
2 0 1 5 年シンボルイヤー
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水都大阪2015
大阪城まちづくり400年
道頓堀川開削400周年
天王寺動物園100周年 な
ど
民間によるシンボルプロジェクト
l  府市が規制緩和・PR等で
支援(道頓堀プール等)
大阪城・大手前・森之宮地区
Ø  民間活力を活かしたエリア魅力の向上(複合集客
施 設の立地・売店レストラン等の再編)
Ø  日本初の観光拠点型パークマネジメント組織
(PMO)の導入と戦略的マネジメントの実施
Ø  歴史資源を活用した新たな観光スポットの創出(豊臣
石垣・重要文化財の公開等)
中之島ミュージアムアイランド構想
Ø  市有地活用プラン検討会を立ち上げ (美術館村構想を含む新しい美術館のあり方やコンサートホールの必要性等)
Ø  中之島図書館を都市魅力施設として積極活用
Ø  「文化芸術」と「水と光」のシンボリックな融合
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