株式会社ツムラ(2014年) http://www.tsumura.co.jp/ ■ 2014年3月期決算の総括 2014年3月期は、連結売上高1,101億円(前年比4.2%増)、営業利益225億円(同2.9%減)と増収減益となった。増収要因は、医療用漢方製剤の堅調な販売 増加であり、減益は、原料生薬の価格上昇と販売関連費用の増加による。医療費抑制策などによる厳しい環境下で、主力の医療用漢方製剤の売上高は 厳 前期比32億円増(3.2%増)、計画比5億円増(0.5%増)となった。医師への訪問・面談活動の強化、病院市場における漢方勉強会の積極的な開催など実施、 育薬5処方合計の売上も6.9%伸長した。 2015年3月期は、売上高1,114億円、営業利益182億円と増収減益を予想。医療用漢方製剤における数量ベースの伸長傾向と、薬価改定、一部の原料生薬 の価格上昇などが考慮されている。 ■ 競争優位と競争戦略 (1) 現在の戦略 (2) 現在の強みと弱み 強み 2021年ビジョン「“KANPO”で人々の健康に寄与する 年ビジ 「“ ” 健康 寄与する 価値創造企業を目指して」に基づく4カ年経営計画 (2012-2015年) 、2021 年ビジョン実現ためのの第一期中期経営計画 テーマ:「価値創造に向けた成長基盤の強化」 価値創造に向けた経営基盤の強化 (2012-2015年度) ① 医療用漢方製剤のトップメーカー ② 医療機関の各階層への営業活動 ①国内における医療用漢方製剤市場の拡大 ②新生産技術の導入等による「コスト構造改革」 ③財務・資本政策の遂行による企業価値の拡大 ① 生薬価格の高騰に対する対応力 弱み 数値目標(2015年度): 売上高1,230億円、営業利益295億円 ② 生薬の栽培コストの高さ コスト・リーダーシップ戦略 3つの 基本戦略 差別化戦略 (3) 今後の課題と新しい競争優位の方向 ① 国内における医療用漢方製剤市場の拡大 -医師ごとの漢方製剤使用状況の把握と営業施策 -各医療機関への処方拡大 -大学医学部などにおける漢方医学教育の支援 -漢方製剤の効果を裏づける質の高いエビデンス確立 ②収益力の強化 -新生産技術の導入等による「コスト構造改革」推進 -自社管理圃場の拡大(生薬価格安定化) -持続的成長の実現に向けた設備投資 ③ 海外事業の売上シェアの低さ ● ③ 財務・資本政策の遂行による企業価値の拡大 集中化戦略 資料1 価値活動分析表 全般管理 ◎長期的な経営ビジョン (2021年ビジョン) 「“KAMPO”で人々の健康に寄与す る価値創造企業を目指して」 “漢方”のツムラ “人”のツムラ “グロ-バル・ニッチ”TSUMURA ◎企業使命:「漢方医学と西洋医学の融合により世界で類のない最高の医療提供に貢献する」 実現に向けての6つの活動目標:漢方医学の確立、育薬の推進、漢方の国際化、生産能力の増強と品質管理体制の充実、 安全な生薬の安定確保、開かれた会社の創造 -全国80大学医学部・医科大学における漢方医学教育の充実、および附属病院への漢方外来の設置に向けた支援 ・エビデンスを確立するための育薬推進活動を継続 ・新たな育薬処方の探索 人事労務 ◎従業員数:2,898人 ・2012年に社長定年により、経営トップの若返りを図り加藤氏が就任 (2014年3月末、前年比67人増) ・漢方医学の確立、育薬の推進、国際開発強化のため医薬営業本部に ◎人件費:171.7億円 「学術戦略統括室」を設置(2012) (前年比1 8%増減) (前年比1.8%増減) (株)ロジテムツムラ 運送・保管 (株)クリエイティブサービス 深 津村薬業有限公司 薬局の経営 原料生薬の調達・選別加工・保管 上海津村製薬有限公司 漢方エキス粉末の製造・販売 漢方 キス粉末の製造 販売 TSUMURA USA, INC. 米国における医薬品開発 技術開発 ・漢方製剤の多施設二重盲検群間比較試験による臨床研究とその効果を裏付ける基礎研究の推進、質の高いエビデンスの確立 ◎研究開発人員:約15,000人 ・各種学会や論文での研究成果の発表に加え、エビデンスに基づくプロモーション活動の実施 ◎研究開発費:59億円 ・原料生薬の栽培化技術開発・実生産化(甘草の栽培技術を確立し、中国で特許登録(2011)) (2013年度、前年比21.3%増) ◎研究所数:1 ・日米オーソリティドクター同士の情報交換の推進(「TU-100(大建中湯)」の開発) 調達活動 製造 出荷物流 全社 ◎売上原価率:35.2% (2013年度、12年:34.0%) 医療用医薬品事業 ◎総設備投資額:92億円 (2013年度、前年比3.2%減) 2014年と2015年の2年間で 約260億円を予定 ・静岡・茨城・上海の3工場体制 生薬の調達 中国:主たる調達国(産地会社約100)・新生産技術の導入 ・原料生薬の生産効率化 日本:国内栽培の強化(6拠点) (在庫コントロールなども含む) ラオス:栽培試験から自社農場での 農 ・自社管理圃場の拡大 栽培(現地法人を設立) (栽培コストに基づく生薬の購入価格 が設定可能)) OTC医薬品 事業 ・静岡・茨城・上海の3工場体制 販売マーケティング ◎販売促進費:45億円 (2013年度、前年比6.3%増) ◎販売感謝費:79億円 ( 2013年度、前年比2.8%増) ◎海外グループ会社数:4 (売上高:全体の10%未満) ・子会社の(株)ロジテムツムラによる ・トレーサビリティ体制の充実 (国内外の産地における栽培方法 ・栽培管理の統一化) ・石岡センターの設立(2010) (生薬の加工、保管・物流機能と 品質管理機能を統合) ・全国14支店65営業所 ・病院市場(臨床研修指定病院・大 学病院)における漢方勉強会、 全診療科説明会 ・MR主導の「漢方医学セミナー」 サービス 資料2. 業績の推移 ◆ 過去5年間の業績推移 ◆ 単独決算 (億円) 2009 営業利益 売上高 1,200 300 営業利益 2010 2011 2012 2013 *2014 売上高 883 924 931 1,026 1,060 1,092 営業利益 経常利益 188 190 207 210 207 212 221 234 214 226 174 売上高 1,000 800 200 600 ◆ 連結決算 (億円) 2009 400 100 200 0 2010 2011 2012 2013 *2014 売上高 909 948 955 1,056 1,101 1,114 営業利益 経常利益 189 191 216 217 212 218 231 243 225 240 182 184 0 09 10 11 12 13 *14 (年) *2014年度は予想 ◆ 地域セグメント別売上高および営業収入 ◆ セグメント別売上高および営業収入 国内売上高が連結損益決算書の売上高の90%を超えてい るため記載を省略 医薬品事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略 資料3. 戦略経路分析(Historical Path of Strategy) 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 局面 攻勢的布石期 攻勢的波及期 解釈 2009年度は、医療用漢方製剤を主力とする製薬企業グループと しての新たなスタートをきる。漢方の数量ベースの伸長率10% 超を見込み、新規生産設備への投資を実施。 大学における漢方医学教育の支援活動、育薬の推進、大学病 院・臨床研修指定病院でのMRの活動強化、各種の漢方医学セ ミナー、講演会・研究会の開催など医療用漢方製剤が伸長し続 けるための活動を進めた。育薬では、漢方製剤が特異的に効果 を発揮する疾患に集中。新たな領域として、がんを取り込んだ。 11年は、東日本大震災により主力工場の茨城工場が5月まで停 止した 長期経営ビジョン実現への第1期中期経営計画がスタート。「漢方市場の拡大」「収益力の強化」 「財務・資本政策」を戦略課題として取り組む。「漢方市場の拡大」では、病院市場(臨床研修指定 病院・大学病院)における漢方勉強会、全診療科説明会を強化するとともに、説明会の実施先に対 する訪問・面談・フォロー活動などにも重点をおいて進めている。「収益力の強化」では、既設生産 基礎能力の向上と、新生産技術の検討により、コスト構造改革を進め、将来の製造原価率低減に 資する基盤づくりを推進。また、生薬価格安定化に向けた対応策として、栽培コストに基づく買取価 格を設定できる圃場である「自社管理圃場」の拡大を進めている。 育薬処方である5処方は、臨床研究と薬物動態試験により有効性・安全性に関して質の高いエビデ ンスが確立されつつある。各専門領域での漢方製剤に対する評価が高まっている(5処方売上 +6.9%)ことにより、13年度は過去最高益となった 基本戦略 2009-2011年度 中期経営計画 「漢方・生薬事業に特化した事業展開のスタートの年」 ・漢方医学の確立 漢方医学の確立 ・育薬の推進 育薬の推進 ・漢方の国際化 漢方の国際化 ・生産体制の整備 ・生薬トレーサビリティ体制の確立 育薬の推進 (医療用漢方製剤が特異的に効果を発揮する疾患領域における、科学的根拠の確立を目指す) 商品政策 ツムラ抑肝散 (認知症) 営業流通 政策 組織変更 トップ人事 2012-2015年度 中期経営計画 ・国内における医療用漢方製剤市場の拡大 ・新生産技術の導入等による「コスト構造改革」の実現 新生産技術の導入等による「コスト構造改革」の実現 ・財務・資本政策の遂行による企業価値の拡大 ツムラ六君子湯 (胃腸症) 全国80大学医学部・医科大学における漢方医学教育の充実、 附属病院への漢方外来の設置に向けた支援を継続 国内における基礎 臨床の最新デ タを米国の臨床試験の手 国内における基礎・臨床の最新データを米国の臨床試験の手 続きに連携させる体制を整備 (株)夕張ツムラ設立(2009) LAO TSUMURA CO,LTD設立(2010) 芳井順一社長 ツムラ大建中湯 (腹痛) 牛車腎気丸・半夏瀉心湯 (抗がん) 大学病院専任MR制・臨床病院専任MR制が中心(医師面談) 漢方が着実に伸長し続けるための仕組みを構築。医療機関の各階層ごとに営業活動を実施 大学(病院):漢方医学教育、漢方外来、基礎・臨床研究 臨床研究指定病院:指導医対象漢方医学セミナー 病院・医院:漢方医学セミナーなど 包装工程を 連続24時間稼働 体制へ変更 造粒工程を 連続24時間稼働 体制へ変更 新生産技術の導入 ・新エキス粉末製造システム(茨城・2018) ・新造粒システム(茨城・2013/静岡・2016) ・新包装システム(静岡・2016) 加藤照和社長 資料4.時系列活動分析表 主活動 支援活動 市場環境 販売マーケティング 製造・物流 技術開発 全般管理 人事労務 1868年 個人経営の中将湯 本舗、津村順天堂を創 立。 36年 東京都中央区に株式 会社津村順天堂を設 立、個人経営の業務を 引き継ぎ、婦人薬中将 湯、浴用剤バスクリン等 の製造販売を開始。 62年 防疫用農薬を製造販 売する津村交易株式会 社を吸収合併。 1860~ 1969年 64年 静岡工場建設、目黒工 場より移転。 76年 医療用漢方製剤が健 康保険に採用、薬価収 康保険 採用、薬価収 載され発売。 80年 東京証券取引所市場 第二部に上場。 82年 東京証券取引所市場 第一部銘柄に指定。 83年 富士枝急送株式会社 (現連結子会社、株式 会社ロジテムツムラ)に 出資。 70~ 89年 83年 茨城工場を新設、研究 所を同工場敷地内に移 転。 86年 東京都千代田区へ本 社を移転。 88年 株式会社ツムラに商号 変更。 91年 深セン津村薬業有限 公司(現連結子会社)を 設立。 90~ 99年 01年 上海津村製薬有限公司 (現連結子会社)を設立。 ・・ TSUMURAUSA,INC.(現連結 子会社)を設立。 00~ 04年 05年 連結子会社であった日 本生薬株式会社を吸収 合併。 07年 東京都港区へ本社を 移転。 08年 家庭用品事業を売却。 04~ 09年 1月 経口避妊剤「シンフェーズ®T28錠」 の契約期間満了による販売終了 1月 2月 4月 5月 10年 6月 8月 12月 ハイチ地震災害救済 活動支援 ラオス人民民主共和 国における現地法人の 設立 「中国青海省地震」被 災地への支援 中期経営計画(2009~ 2011年度)を修正。 宮崎県内における口 蹄疫被害に対する支援 「中国甘粛省土石流 災害」に対する支援 第13回「日経アニュア ルリポートアウォード」 に入賞 東北地方太平洋沖地 震に対する義援金支援 4月 ポーケム ツムラ友好 中学校が竣工 3月 4月 11年 5月 甘草(カンゾウ)の栽培 技術を確立 震災の影響で停止し た主要工場である茨城 工場が、操業再開 6月 ラオス現地法人事業、 現地貢献効果が認めら れる 資料4.時系列活動分析表 主活動 支援活動 市場環境 販売マーケティング 製造・物流 技術開発 5月 12年 年 全般管理 人事労務 代表取締役社長 が、芳井順一氏か ら、前取締役執行役 員の加藤照和氏に 異動 前社長は取締 異動。前社長は取締 役会長に就任。 11月 中期経営計画(2012~ 2015年度)発表 「中国四川省地震災 害」に対する支援実施 11月 「オックスフォード大学 イノベイティブ システム ズ バイオロジー プロ ジェクト」とのスポンサー シップ契約 4月 13年 7月 14年 HOME 田村厚生労働大臣 が、夕張ツムラを視察。
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