当日配布資料(3.79MB)

黄色ブドウ球菌感染症
迅速診断キットを目指した
ファージクロマトグラフ法の開発
Development of phage-chromatography, aiming at
rapid bacterial infection diagnostic kit for
Staphylococcus aureus
内山淳平1、松井秀仁2、内山伊代3、大畑雅典1、
花木秀明3、松崎茂展1
1高知大学教育研究部医療学系基礎医学部門
2北里大学抗感染症研究センター
3高知大学医学部附属病院検査部
1
薬剤耐性菌の増加
薬剤耐性菌の推移
30,000
件数
25,000
20,000
MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
PRSP (ペニシリン耐性肺炎球菌)
MDRP (多剤耐性緑膿菌)
VRE (バンコマイシン耐性腸球菌)
15,000
10,000
5,000
0
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
年
国立感染症研究所データまとめ
超高齢化社会
↓
薬剤耐性菌による感染症の更なる増加
2
簡易迅速細菌検査診断試薬
検査室
感染源
ベッドサイド、また、診療の
現場で行う検査が必要
早期診断→
患者の生活の質の向上
医療費削減
より良い簡易迅速診断試薬の開発
3
簡易迅速細菌検査キットの現状況
抗原抗体反応を利用した技術
抗体
病原
細菌
or
抗原
細菌分子
検出
免疫
ビーズ
抗体の作製
(ラピッドテスタ®ストレップA , 積水メディカル;
http://www.sekisuimedical.jp/business/diagnostics/infection/strep_a/index.html)
4
バクテリオファージ(ファージ)とは?
細菌特異的に感染するウイルスの総称
• 細菌種特異的に感染する
例 大腸菌ファージは大腸菌に
感染する
• 環境中に普遍的に存在
FEMS Microbiol Lett. 2009. 291(2):201-208.
分離される約96%
は尾部保有ファージ
細菌が1個に対し、10-100個の
ファージが存在する。
5
バクテリオファージの
細菌表層への吸着
動画提供:有坂文雄 教授(東京工業大学大学院生命理工学研究科分子生命科学専攻)
6
ファージの進化
Time
ファージの尾部先端は、変わりやすい部位である。
7
バクテリオファージの
細菌表層への吸着
ファージ
ファージ尾部先端に存在する吸着分子は、
第一義的に特異性を決定する。
菌
8
ファージ分子を利用した
細菌検出技術
簡易迅速診断試薬(感染症)
Y Y
Y
Y
抗原抗体反応を利用した
技術が普及
抗体作製の問題点
•
•
•
•
•
•
特異的な抗体の作製は困難
作製期間
品質
コスト
動物倫理
施設の問題
9
ファージ分子を利用した
細菌検出技術
細菌検査で抗体の代替え
として使用できないか?
細菌種特異的に認識・
吸着するタンパク質
が既に存在する
抗体作製の問題点
• 作製期間
• 品質
• コスト
• 動物倫理
• 施設の問題
10
私が目指すファージ分子
を利用した簡易迅速細菌検出技術
細菌
ファージの分離
メチシリン耐性
黄色ブドウ球菌
30,000
25,000
件数
遺伝的解析
MRSA
PRSP
MDRP
VRE
20,000
15,000
10,000
5,000
0
2011
2009
2007
2005
2003
2001
1999
年
+
細菌
ファージ分子
の生産
開発系がない
簡易迅速細菌
検出へ応用
ファージ分子 細菌 or
細菌分子
検出
ビーズ
検出系の検討
11
ファージ分子を使用した
黄色ブドウ球菌検出技術の開発
ゲノム解析
Phage S13'
Phage S24-1
S24-1
ファージ
の分離
S13’
S24-1 orf16:
吸着に関与と予測
Bar: 50 nm
12
ファージ吸着分子の同定・分離
S24-1
免疫電顕
50 nm
WB & MALDI-TOF/MS
抗ORF16抗体
金コロイド
結合抗体
ORF16は、ファージS24-1
の尾部に存在する
13
ファージ分子ORF16吸着活性(1)
・S.aureus
・E.faecalis
・ORF16
・牛血清アルブミン
・ビーズ
ORF16結合ビーズと菌を反応
S. aureus strain SA14
control
ORF16+ビーズ
牛血清アルブミン
+ビーズ
ビーズのみ
凝集
非凝集
E. faecalis strain EF24
凝集
非凝集
ORF16 は、吸着能を有する。
14
ファージ分子ORF16吸着活性(2)
A
1
ファージ分子 細胞壁
分子
黄色ブドウ球菌
A
1
検出
5
3
2
タンパク質消化菌体
ビーズ
B
5
9
7
6
Peptidoglycans
黄色ブドウ球菌の細胞壁
WTA
LTA
9
protein
PGN
ORF16は
WTAに吸着
10
11
LTAs
WTAs
cell membrane
Uchiyama et al. MicrobiologyOpen, 2014, online available.
Takemura-Uchiyama et al. Annals of Microbiology, 2014, in press.
Takemura-Uchiyama et al. FEMS Microbiology Letters, 2013, 347(1):52-60.
15
ビーズ凝集法への応用(1)
ORF16
WTA
凝集
ビーズ
目視で確認
ビーズ凝集法へ応用
16
ビーズ凝集法への応用(2)
その他、異なる菌種においても
同様に凝集試験を試みた。
ORF16 結合ビーズは、
黄色ブドウ球菌特異的に凝集する
感度: >106 CFU
迅速性: ~5分
17
ファージクロマト法の作製(1)
S24-1
ORF16
ファージクロマト法
黄色ブドウ球菌
陽性
陰性
ORF16吸着
金コロイド
クロマトグラフ用
メンブレンに固相化
バンドとして菌体成分を検出
検出
黄色ブドウ球菌
菌体成分
滴下
18
ファージクロマト法の作製(2)
菌体成分
処理
菌体
菌液
1.
2.
3.
4.
アルカリ処理
中性処理
酸処理ー1
酸処理ー2
1 2 3 4
1 2 3 4
1 2 3 4
Control
Test
19
ファージクロマト法の作製(3)
感度
5 x 106
1.5 x 106 CFU
感度: >106 CFU
特異性
黄色ブドウ球菌特異的
Control
Test
20
他のキットとの比較
PSラテックス 栄研化学
スタフィロLA「生研」
デンカ生研 など
A社
BinaxNOW
Staphylococcus aureus
Card Alere社
B社
本技術
測定原理
Latex凝集反応
イムノクロマト法
ファージクロマト法
標的物
ProteinA
クランピングファクター
ウサギIgG
フィブリノーゲン
S. aureus タンパク
(詳細不明)
壁テイコ酸
ポリクローナル抗体(IgG)
ORF16
捕捉物
用途
感度
精度
分離コロニーの同定試験 血液培養ボトルからの検出
109 cfu/ml
標的物の産生が低い
S. aureusが存在し、
偽陰性となる
-
5×108cfu/ml
106~107 cfu/ml
Clostridium bifermentans
Clostridium perfringens
Clostridium hystolyticum
Staphylococcus schleiferi
subsp. coagulans
と交差反応あり
交差反応なし
21
B
ファージ分子を利用した
Peptidoglycans
簡易迅速細菌検出
S24-1
ORF16
黄色ブドウ球菌
LTAs
迅速診断
50 nm
ファージ分子は
WTAs
黄色ブドウ球菌検出可能
今後の課題
• 感度の向上
• 他の細菌種に対する応用
22
原理的には、他の細菌種へ応用可能
細菌
+
細菌
ファージ分子
の生産
ファージの分離
遺伝的解析
ファージの選定が最重要
肺炎球菌
緑膿菌
ボツリヌス菌(共同研究)
など
ファージ分子の
細菌検出への応用
ファージ分子 細菌 or
細菌分子
検出
ビーズ
23
想定される産業上の利点
1.特異的吸着能力
2.安定供給・品質管理
3.反応性が悪い細菌が出現した
場合の対応
4.施設・倫理の問題
24
本技術に関する知的財産権
•
•
•
•
•
•
•
•
発明の名称:黄色ブドウ球菌に結合するタンパク質及びそのタンパク質を利用した
黄色ブドウ球菌の測定方法
出願番号:特願2012-160613
出願人:国立大学法人高知大学
発明者:内山淳平、竹村伊代、松崎茂展、大畑雅典
発明の名称:黄色ブドウ球菌を検出する方法、黄色ブドウ球菌測定用メンブレン、
及び黄色ブドウ球菌測定用キット
出願番号:特願2014-046922
出願人:国立大学法人高知大学
発明者:内山淳平、内山伊代、花木秀明、松井秀仁、大畑雅典、松崎茂展
25
問い合わせ先
株式会社テクノネットワーク四国
技術移転部 安田 崇
TEL : 087-811-5039(代表)
FAX : 087-811-5040
e-mail : [email protected]
国立大学法人高知大学
国際・地域連携センター
研究協力部 地域連携課
TEL : 088-844-8418
FAX : 088-844-8556
FAX : kt05@kochi-u.ac.jp
26
ご清聴ありがとうございました。
27