てんかん 脳神経細胞で発生した異常放電が隣接する神経細胞や シナプスで連絡された領域へ放散し、脳全体へ広がる 反復性かつ慢性脳疾患 ⑮抗てんかん薬 異常な興奮が発生して、 身体に影響を与える -目標•抗てんかん薬を作用機序ごとに分類できる •抗てんかん薬を有効発作ごとに分類できる 1 2 てんかん 原因:脳の神経細胞の異常放電(興奮) 脳神経細胞で発生した異常放電が隣接する神経細胞や シナプスで連絡された領域へ放散し、脳全体へ広がる 反復性かつ慢性脳疾患 てんかん 興奮性神経 抑制 抑制性神経 20% 頻発年代 0~4歳 症候性てんかん (疾患が原因による) 70歳以上 罹患率 0.5% (1000人に5人) 80% 特発性てんかん (原因不明) 興奮 正常 頻発年代 5~19歳 ↓ 末梢へ てんかん 3 4 1A.分類・特徴 1B. 分類 部 分 発 作 全 般 発 作 意識への影響 単純部分発作 なし てんかんの背景 ・脳卒中の後に良く認められる神経疾患として知られる。 痙攣発作 ・ほとんどのケースは薬物による管理が可能であるが、 薬物による管理が困難な場合もある。 有り ・異なった症状が複雑に認められる疾病であり、発作が反復して認められ る疾患である。 複雑部分発作 意識障害 なし 欠神発作 意識消失 なし ・発作の原因は、感染から悪性新生物や脳損傷と非常に広範囲 である。 強直間代発作 意識消失 有り(身体的痙攣) ・一般に抗痙攣薬は、熱性痙攣や髄膜炎による痙攣にも著効を示す。 ミオクローヌス なし 発作 参考 ・発作は大脳の神経細胞の異常な発火により生じる脳の機能異常による限 られた出来事である。 不規則な筋の収縮 新薬理学テキスト(第3版)p154 5 2A.部分発作および強直間代発作に有効な薬物 2. 薬物によるてんかん治療 ①.抑制性神経伝達の亢進 GABAA受容体を介する機能亢進・ GABAの代謝抑制 6 興奮 抑制 Na+チャネル阻害薬 フェニトイン エトトイン カルバマゼピン (ゾニサミド) GABA 分解酵素阻害薬 バルプロ酸ナトリウム バルビツール酸系誘導体 フェノバルビタール プリミドン Ca2+流入抑制による 興奮性神経伝達物質の遊離抑制 (N型Ca2+チャネル遮断) ガバペンチン 正常 ②.神経細胞へのイオン透過性調節 (Na+チャネルの開口抑制・ Ca2+チャネルの開口抑制) ② ③興奮性神経伝達の抑制 てんかん ① 7 8 2B.欠神発作に有効な薬物 T型Ca2+チャネル阻害薬 3.薬物各論 3A. エトスクシミド トリメタジオン GABA 分解酵素阻害薬 <作用機序> ( Na+チャネル)阻害作用 バルプロ酸ナトリウム 高用量では、セロトニン、ノルアドレナリンの遊離抑制・ドパミンの 再取り込み上昇、MAO活性を抑制する。 2C.その他のてんかんをコントロールできる薬物 ベンゾジアゼピン系薬物 <副作用> 眼球振とう 運動失調 歯肉肥厚 巨赤芽球性貧血(葉酸吸収阻害) 催奇形性 ビタミン D代謝障害による骨軟化 ジアゼパム クロナゼパム ニトラゼパム 炭酸脱水酵素阻害薬 フェニトイン アセタゾラミド 欠神発作の際に生じる 2-3 Hzの棘徐波複合(小発作に典型的)を増悪 させることもある 欠神発作に無効 9 3.薬物各論 3.薬物各論 3B. カルバマゼピン 3C. <作用機序> フェニトインと同様 ゾニサミド <作用機序> Na+チャネルの阻害作用に加え、電位依存性 Ca2+チャネルの阻害作用も 有する(研究報告) <臨床応用> てんかん(部分発作、強直間代発作) 三叉神経痛 双極性障害の躁状態 <副作用> フェニトインと同様 再生不良性貧血 無顆粒血症 10 <特徴> 他の抗てんかん薬が無効の難治例にも 効果を示すことがある 欠神発作に無効 11 12 3.薬物各論 3D. 3.薬物各論 CH3 フェノバルビタール 3F. <作用機序> (GABAA )受容体への作用 ← 睡眠障害参照 エトスクシミド、 トリメタジオン <作用機序> (T)型( Ca2+チャネル )の阻害 ・高用量ではNa+透過性を抑制することにより高頻度刺激による反復性の神経発火の抑制 ・ 〃 Ca2+透過性も抑制 ↑低閾値型のチャネル視床の神経細胞のチャネルに対して認められている <特徴> バルビツール酸系誘導体であるが、(催眠)作用よりも 低用量で(抗てんかん)作用を示す ↑欠神発作のリズミカルな皮質発火を 生じさせる視床の神経ペースメーカー電位の源 (逆の場合) てんかんを抑制している時には常に眠っている → 生活できない 3E. 欠神発作に有効 プリミドン <特徴> フェノバルビタールのプロドラッグ ただし 部分発作、強直間代発作には無効 13 3.薬物各論 3G. 14 3.薬物各論 バルプロ酸ナトリウム 3H. 3I. <作用機序> 脳内における GABA含量の上昇 ベンゾジアゼピン誘導体 アセタゾラミド 【新しい抗てんかん薬】 3J. ガバペンチン ・(GABAトランスアミナーゼ)(GABA分解酵素)を阻害する ・GABA合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素の働きを円滑にする ・GABAトランスポーターである GAT-1を阻害し、GABAの再取り込みを抑制する ・Na+ チャネルおよびT型Ca2+ チャネルを抑制する ・電位依存性 Ca2+チャネルの阻害作用による興奮性神経伝達 物質の遊離抑制 <副作用> 劇症肝炎などの重篤な肝障害(時に致命的) ↑このために、欠神発作のみのときには、エトスクシミドの処置が一般的である(米国) 3K. <特徴> トピラマート ・興奮性アミノ酸受容体のうち AMPA受容体の抑制 ・非常に広い抗てんかんスペクトルを有する ・全般性強直間代発作と欠神発作の混合型てんかんの 第一選択薬である 15 16 4.抗てんかん薬の臨床薬理学 4.抗てんかん薬の臨床薬理学 てんかんの測定 脳波 画像診断 てんかんの測定 ベメグリド 異常脳波の賦活薬 ⇒てんかんなどの診断に利用 Computed Tomography(CT) :コンピュータ断層撮影 Magnetic resonance imaging(MRI) :核磁気共鳴画像法 Positron emission tomography(PET) :ポジトロン断層法 Single photon emission computed tomography (SPECT):単一光子放射断層撮影 Magnetoencephalography(MEG) :脳磁図 薬物 小話 抗てんかん薬の注意点 TDM必要な薬物多し 基本は単剤で使用 妊婦に禁忌な薬物多し 光トポグラフィー 17 【てんかん発作の分類・第1選択薬と無効薬】 発作 【てんかん発作の分類・第1選択薬と無効薬】 第1選択薬 第2選択薬 無効薬 バルプロ酸ナトリウム エトスクシミド フェノバルビタール フェニトイン カルバマゼピン バルプロ酸ナトリウム フェノバルビタール クロバザム フェニトイン ミオクロニー 脱力発作 バルプロ酸ナトリウム クロナゼパム バルプロ酸ナトリウム エトスクシミド 単純部分発作 カルバマゼピン フェニトイン ゾニサミド エトスクシミド トリメタジオン カルバマゼピン フェニトイン ゾニサミド エトスクシミド トリメタジオン カルバマゼピン フェニトイン ゾニサミド エトスクシミド 欠神発作定型 全 般 発 強直間代発作 作 部 分 複雑部分発作 発 作 二次性全般化 強直間代発作 18 発作 フェニトイン ゾニサミド エトスクシミド トリメタジオン カルバマゼピン フェニトイン ゾニサミド エトスクシミド トリメタジオン 二次性全般化 カルバマゼピン 強直間代発作 フェニトイン ゾニサミド エトスクシミド 部 分 発 複雑部分発作 作 19 無効薬 カルバマゼピン 単純部分発作 カルバマゼピン 第1選択薬 第2選択薬 20
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