IT技術を活用したコンクリート構造物の 維持管理支援システム

1.サムシング開発の背景(1)
IT技術を活用したコンクリート構造物の
維持管理支援システム
サムシング(SAMSWING)
コンクリート構造物
の老朽化
コンクリート構造物
膨大なストック
維持管理の重要性
2001年
コンクリート標準示方書
[維持管理編]の制定
顕在化する現象
①ひび割れ(漏水)
②鋼材腐食
③変形
④その他
Sensor Aided Maintenance System with Information Technology
管理者側のニーズ
維持管理体系の整備
網野 貴彦
維持管理の簡略化
東亜建設工業(株) 技術研究開発センター
新材料・リニューアル技術グループ リーダー
①目視による点検・近接しての調査が難しい箇所が多い(下水道,高所・水中部等)
モニタリング技術の必要性
②構造物が膨大,点検や記録管理に多大な労力とコストがかかる。
省力化
少人化・計測設備
・記録管理の簡略化
リアルタイム
日常的に
劣化状況を把握
キーワード:維持管理,センサーモニタリング,インターネット,
省力化,リアルタイム,専門技術者
迅速性
劣化原因・劣化予測・
補修の要否の判定
1
(参考)センサー例
既存のセンサー(例)
点検対象
構造物周辺の
環境情報
ひび割れ発生・進展
部材形状(たわみ)
塩分浸透・中性化
鋼材腐食
データ回収機器・センサ
・温湿度計 ・風速風向計
・波高計
・流速計etc.
光ファイバー、導電性塗料etc.
レーザー測量・変位計etc.
・極細の鋼線をかぶり内に多段配置
・鋼線の破断により塩分浸透深さを検知
熱電対・湿度計
※コンクリート中の温度・含水状態etc.
照合電極etc
ミニセンサ
しかし,
①構造物のどの部位に,
②どのようなセンサーを,
③何個?
④センサー情報をどう読む?
・・・など,ノウハウがない。
2
塩分浸透
※日本防蝕(株)資料引用
回収情報
ひび割れ
センサに応じて
電気抵抗etc.
測量データ
電位
センサに応じて
光ファイバ
電位
分極抵抗
2001年コンクリート標準示方書
維持管理編改定資料引用
鋼材電位/腐食速度
※(株)マルイ資料引用
当面は,構造物の点検・調査を通じた
ノウハウの蓄積が必要(データベース)
導電性塗料
センサーの取扱い,センサー情報の評価,
構造物の劣化等に詳しい
高度な専門知識を有する者の関与が必要!
導電性を付与させたエポキシ樹脂を
コンクリート表面に張り巡らせる。
※弊社,鉄道総合技術研究所等で検討中
3
2.サムシングの開発コンセプト
4
3.サムシングの概要
点検方法の簡略化
サムシング
構造物
携帯電話など
の通信機器
(専門技術者)
管理センター
センサー情報
インターネットに
よって経過観察
記録管理の自動化
セ ンサ ー情報
●高度な診断技術を持つ専門技術者のサポート
→ ユーザーに安心かつリアルタイムな情報を提供
セキュリティー管理
ネット
インター
●広範囲にセンサーを設置し連続的な情報を得る
→ 構造物劣化の予兆をつかむ。(コンクリートの剥落事故など)
●点検に要する人数・設備・頻度の軽減
→ ライフサイクルコストの低減
ユーザーサポート
専門技術者による
助言・コ メント
構造物の所有者・
管理者(ユーザー)
データ収
集装置
橋やトンネルなど構造物
に取付けたセンサー
●自動でセンサ情報をデータベース化
→ 劣化予測・補修の要否判定などに反映
新規性は・・・
☆インターネットにより維持管理情報をユーザーに公開。
☆専門技術者の状況判断と対応をコメントとして提供。
・各種劣化に対応できるセンサー開発も適宜検討中
・サムシングは,①センサー情報から変状が生じたときの早期対応,②日々の
記録管理,③劣化予測・LCM検討のためのサポートツールとして開発
5
6
システムの構成(1)
システムの構成(2)
8
7
4.本システムの導入実績
適用桟橋の構造図
大阪港の民間桟橋におけるPC桁に適用された電気防食工法の
防食効果確認のためのモニタリングに本システムを導入
※2006.8~約8年間モニタリング中。
【サムシング導入が有利となった点】
①センサーとなる照合電極の耐久性や測定値の信頼性に実績がある。
②長期モニタリング(20~50年)
③電気防食専業者が
遠隔データ回収システム
を開発済み。
④電気防食工法の
管理基準値が明確。
9
サムシング表示画面の流れ
適用桟橋でのモニタリング概要
点検項目
遠隔システムと電源装置
(各回路の電流,電圧を測定)
照合電極
(各照合電極のオン電位,
インスタントオフ電位を測定)
復極量
(各照合電極において,
電流を24時間停止させ
復極量を測定)
閾値
・データ転送の
有無
・定格出力30V
点検頻度
オープニング画面
※ここまでは
誰でもアクセス可能
1回/日
12:00計測
-1000
mV vs CSE
以上
100mV
以上
10
ID,パスワード権限
を付与された人しか、
これ以降はアクセス
できない。
1回/月
毎月1日
11
12
最新のモニタリング情報が表示される。
※電気防食工法の場合,モニタリング対象は以下のとおり。
遠隔システム・電源装置・照合電極の稼働状況
管理者が保有する施設(構造物)一覧が表示される。
施設A
施設B
施設C
施設D
13
・システムにエラーが発生した最新の日付
・そのときの専門技術者のコメントを表示。
※参考資料として図面も添付可能
電気防食
回路図
全ての回路を
一覧表示
電源装置の
稼働状況
「正常=緑」
「異常=赤」
自動で欄の
色が変化
14
構造物の劣化と同様,
センサーも劣化する。
また,気温変動にも敏感。
センサーの特徴を十分に
理解した人の判断が重要!
各回路の
照合電極の
情報一覧
所要の防食基準
をセンサー値が示
しているかを
自動判定!
16
15
適用桟橋で検知した異常の例
・電気防食を行うと通常はマイナスの電位となる。
防食基準を満たしていることを認識する
ための閾値を設定(自動判定)
自動判定だけでは判らない情報に,
専門技術者のコメントを添えて
対応方針を提供
→ ユーザーに安心感を提供
17
18
8年間のモニタリング実績 ~インスタントオフ電位~
・原因は照合電極の故障 → 照合電極の取替え・早期復旧の実現
回路No.2
電気防食システムの補修実施
インスタントオフ電位(mV vs CSE)
200
・この回路では、マイナスの電位であったが、
電位がプラスに近い範囲で推移。
→ 高度な判断が必要!
0
-200
-400
-600
回路No.3
-800
過防食とならないための
防食基準-1000mV以上
-1000
20
19
5.サムシングの改良・高度化に向けて
8年間のモニタリング実績 ~復極量~
1)点検診断の効率化(現地での点検頻度の縮減・変状の早期発見
等)において,センサーモニタリングは有効な手段。
しかし,センサー情報を理解するには,センサーの特徴や構造物の
変状に熟知した専門技術者の関与が必要。
700
○回路
No.3
600
2)膨大かつ広範囲な構造物のセンサーモニタリングにおいては,
複数のセンサー情報を一元管理できるシステムの利用が有利。
500
400
300
サムシングの活用は有効!
200
電気防食が適切になされていることを
判別する目標復極量100mV
100
2014.7
2014.1
2013.7
2013.1
2012.7
2012.1
2011.7
2011.1
2010.7
2010.1
2009.7
2009.1
2008.7
2008.1
2007.7
2007.1
0
2006.8
通電停止24時間後の復極量(mV)
800
●回路No.2
照合電極
取替え実施
2014.7
2014.1
2013.7
2013.1
2012.7
2012.1
2011.7
2011.1
2010.7
2010.1
2009.7
2009.1
2008.7
2008.1
2007.7
2007.1
2006.8
-1200
21
ただし,以下の2点について,整備が必要と考えている。
・ 構造物の種類,環境,変状の種類に適した
センサー選択スキームの構築
・ 各種センサーに対する閾値の設定方法
22