番号 FP00804055 研究課題名 喘息気道リモデリングに及ぼす喫煙の

番号
FP00804055
研究課題名
喘息気道リモデリングに及ぼす喫煙の影響
助成期間
2005-2008
要旨
[目的]気管支喘息の難治化、不可逆的呼吸機能低下をもたらす気道リモデリ
ングは喘息治療における課題である。喫煙は喘息患者の呼吸機能低下を促
進するが、特に成長期と成人の喘息気道リモデリングに対する喫煙の影響の
差異についてマウスモデルを用いて検討した。
[方法]生後 3 日齢、8 週齢および 10 か月齢の雌 BALB/c マウスを卵白アル
ブミンで感作し、その後 1%抗原溶液を反復して(10 分/日、3 日/週、4 週間)
エロソール曝露して喘息モデルを作成、それぞれの抗原曝露の直前に煙草
主流煙溶出液(CSE)を 30 分間エロソール曝露して、喘息病態を評価した。
[結果]抗原曝露で幼若、成熟マウスとも気道過敏性、アレルギー性気道炎症
(BAL、病理)などの喘息病態を呈し、また気道壁組織の上皮下線維層の肥厚
を示した。成熟マウスではいずれも CSE 曝露による喘息病態の著しい変化を
認めなかったが、幼若マウス実験では CSE 共曝露喘息病態の増悪と気道壁
上皮下線維層の肥厚を認めた。抗原反復曝露により免疫染色による TGF-β
受容体およびシグナル伝達経路の Smad2/3 発現亢進が認められたが、幼若
マウスの CSE 共曝露群では発現の増強が著しく、血清中 TGF-β値も幼若マ
ウスで高く、成長期における TGF-βの反応性の関与が示された。
[結論]気道壁線維化など喘息気道リモデリングの指標を含む喘息病態は CSE
共曝露で幼若マウスでは増強が認められ、結果から喫煙と喘息病態の関連、
特に若年者の喫煙はより病態に関与し得ることが示唆された。