使用限界状態

使用限界状態
コンクリート工学研究室
岩城 一郎
3つの限界状態
• 終局限界状態:最大耐力に対応する限界状
態
• 使用限界状態:通常の供用または耐久性に
関する限界状態(荷重,ひび割れ,変形等)
• 疲労限界状態:荷重が繰り返し作用すること
によって破壊が生じる限界状態
3つの限界状態のイメージ
荷
重
(P)
終局限界状態
鉄筋の降伏
使用限界
状態
ひび割れ
・応力
・たわみ
・振動
・ひび割れ
疲労限界
状態
時間(t)
変位(δ)
使用限界状態における
曲げ応力度算定のための仮定
(1)維ひずみは断面の中立軸からの距離に比例
する(平面保持の法則).
(2)鉄筋のひずみはその位置のコンクリートのひ
ずみに一致する(完全付着).
(3)コンクリートの引張応力は無視する.
(4)コンクリートおよび鋼材は弾性体とする.
σc=Ec・εc,σs=Es・εs,n=Es/Ec
(ex. f'ck=24N/mm2のとき,n=8.00)
ひび割れに対する検討
• コンクリートは圧縮に強く,引張に弱い材料である.→
引張に対して鉄筋により補強
• 曲げを受ける鉄筋コンクリート(RC)単純梁:上側で圧
縮,下側で引張.コンクリートに作用する引張応力が引
張強度を上回るとひび割れが発生.
• RC部材はひび割れを許容→ただし過大なひび割れは
許容せず.
• 過大なひび割れ:コンクリート構造物の耐久性を損なう.
• 有害な物質(塩NaCl,二酸化炭素CO2,酸,例えば
H2SO4)の浸入経路→鋼材腐食をはじめとするコンク
リート構造物の劣化を促進.ひび割れ幅を許容値以下
に抑える必要がある.(大雑把には0.3mmが目安)
ひび割れに対する検討
• w<wa:O.K.
• w:発生したひび割れ幅,wa:許容ひび割れ幅ひび割れ
• wは,ひび割れ間隔とコンクリートに発生するひずみに
依存する.これらは,鋼材に作用する引張応力σs,コン
クリートの(乾燥)収縮ε’cs,かぶりc,鉄筋の中心間隔
Cs,鉄筋の径φ等に依存する.※かぶり:鉄筋表面か
らこれを覆うコンクリート表面までの最短距離
• w=l×ε
• ここで,l:ひび割れ間隔,ε:ひずみ
• ひび割れ間隔が長く(ひび割れ分散性が悪い),発生
するひずみが大きい⇒ひび割れ幅が大きい.
ひび割れに対する検討
• l=4c+0.7(Cs-φ)
• ε=σs/Es+ε’cs
• 許容ひび割れ幅waは,かぶり,腐食性環境の
厳しさに依存する.
• 一般:wa=0.005c
• 腐食性環境:wa=0.004c
• 厳しい腐食性環境:wa=0.0035c