二次元半導体検出器を用いた電子線線量評価の検討 - SQUARE

放射線治療・血管造影2‐3‐1
二次元半導体検出器を用いた電子線線量評価の検討
順天堂大学医学部附属順天堂医院
放射線部
順天堂大学医学部放射線医学教室・放射線治療学講座
【背景及び目的】
○井上 耕介/原
木下麻希子/石杉
杉本
聡/笹井
直哉/礒邉
哲
沙織/芳士戸治義
啓資
【結果及び考察】
電子線を用いた放射線治療では、患者によって様々な照
9MeV における各検出器の出力係数の結果を Fig.
1に
射野となるため、その出力係数、線量分布の確認が必要で
示す。MapCHECK2とピンポイント電離箱で得られた出
ある。出力係数の測定には電離箱線量計、線量分布の検証
力係数の差は、1
2MeV の照射野4×4!で2%以内、他
にはフィルムが一般的に用いられている。本研究では二次
は全て1%以内となった。MapCHECK2と平行平板型電
元半導体検出器を用いて電子線線量評価の検討を行ったの
離箱では、照射野4×4!で6、9MeV が2%以内、1
2
で報告する。
MeV は2.
5%以内、他は全て1%以内となった。また、線
量分布の比較は、いずれのエネルギー、照射野に関しても
【方法】
Pass 率9
0%以上となった。しかし、Table1に示すように
Varian 2
1EX を用い、エネルギーが6、9、12MeV の
MapCHECK2とフィルムでは評価数が大きく異なった。
電子線において、出力係数と線量分布を測定した。測定深
MapCHECK2は構造上により、フィルムに比べ評価数が
は6、9MeV が2㎝、1
2MeV が2.
8㎝を用 い た。2
0
0MU
少なく、分解能が劣る。そのため、Pass 率のみの評価で
を照射しいずれも同一条件で行った。出力係数の測定は、
判断するのではなく、プロファイルの確認も必要である。
4×4、6×6、8×8、1
0×1
0、1
5×1
5!の照射野に対
特に照射野が小さいときにはそのことを十分に理解して使
し MapCHECK2(SunNuclear 社)、ピンポイント電離箱
用することが重要と考えられる。
(PTW 社 TN3
1
0
1
6型)
、平行平板型電離箱(PTW 社 TW
3
4
0
4
5型)の3種類の検出器を用いた。また線量分布は、
【結論】
6×6!、6㎝φ、3×1
0!の 照 射 野 を MapCHECK2と
二次元半導体検出器は電子線の線量評価が十分可能であ
フィルム(ISP 社ガフクロミックフィルム EBT2)それ
る。また、検出器を変えることなく出力係数と線量分布の
ぞれで取得した。フィルム解析には MapCHECK2を用い
取得を同時に行えるため、業務負荷の軽減が期待できる。
た。また、治療計画装置にて同条件の線量分布を作成し、
比較を行った。評価基準は DD3%、DTA3㎜、TH3
0%
を用い相対値とした。
評価数
エネルギー
[MeV]
6
9
1
2
Fig.
1 各検出器の出力係数(9MeV)
1
2
6
56 日本放射線技術学会東京部会雑誌 No.
field size
[㎝]
MapCHECK2
フィルム
6×6
8
9
4
6
2
0
6φ
9
6
4
7
7
2
3×1
0
9
5
4
7
7
2
6×6
8
7
4
6
3
0
6φ
9
6
4
0
6
5
3×1
0
9
6
4
8
7
3
6×6
9
5
4
6
7
6
6φ
7
9
3
8
8
1
3×1
0
9
5
4
8
2
0
Table 1 MapCHECK2とフィルムの評価数の違い