1 土留め擁壁の健全度診断

平成26年度 構造物技術交流会
1. 背景・鉄道土留め構造物の健全度診断
土留め擁壁の健全度診断
構造物技術研究部(基礎・土構造物)
l健全度A(不健全)と健全度B(健全)の判別が重要
l土留め構造物の場合、個別検査は入念な目視で行われる
中島 進
定量的な健全度診断指標が望まれる
Railway Technical Research Institute 2
2. 背景・鉄道土留め構造物の健全度診断
土留め構造物の変状
段差
衝撃振動試験
■安定に関わる変状
・沈下、傾斜、はらみ出し
傾斜
圧ざ、段差など
ひび割れ
排水孔
打ち継ぎ目
□劣化に関わる変状
・浮き・剥落、排水孔の
排水溝の機能低下
u安定に関わる変状は、(特に初期段
階において)目視で確認できないもの
もあり、重篤な変状に進展しやすい。
安定に関わる変状に
関する非破壊の診断
手法の開発が必要
固有振動数の実測値と標準値を対比
10
12
速度計
振幅値(kine・sec)
0.08
各ステップで衝撃
振動試験を実施
Step1
Step6
Step10
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
時間 (
sec
)
固有振動数 (7.69 Hz)
b)
0.02
明瞭なピーク
0.01
0.00
0
5
10
15
20
25
180
固有振動数 (7.69 Hz)
c)
270
90
0
5
10
15
20
25
4.衝撃振動試験の既設土留め擁壁への適用
変位2mm
4
6
8
載荷ステップ
0.0
0.03
振動数 (Hz
)
変状の進展と振動特性
に明瞭な相関を確認
0.04
振幅(kine・sec)
載荷重( kN)
3.7m
2
-4
0
重錘
0
-2
Railway Technical Research Institute 4
変位10mm
初期状態
0
360
⇒健全度を評価
Railway Technical Research Institute 3
4.実物大載荷試験への適用
a)
2
振動数(Hz
)
目詰まりなど
沈下
4
(
度)
打ち継ぎ目ずれ
3.衝撃振動試験の概要
位相角
浮き・剥落
振幅 (cm/s *速度
s)(cm/s)
Railway Technical Research Institute
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
健全な石積み壁
不健全な石積み壁
0
20
40
60
振動数(Hz)
80
100
不健全な石積み壁の特徴
○低振動数側の応答が卓越
0.00
10
20
30
40
50
○全体的に振幅値が大きい
数値化した指標により健全度
診断を行う方法を検討
振動数(Hz)
Railway Technical Research Institute
Railway Technical Research Institute
1
5.健全度診断指標
6.既設石積み壁への適用
40Hz
100Hz
振動数
不健全な石積み壁の特徴
○低振動数側の応答が卓越
スペクトルスコアSSを指標
○全体的に振幅値が大きい
スペクトル面積SAを指標
スペクトル面積;SA(kine)
1.0
健全な石積み壁
不健全な石積み壁
実物大載荷試験
0.8
0.6
0.4
健
全
0.7
スペクトル面積;SA(kine)
0.6
健全なもたれ壁
不健全なもたれ壁
補強を実施したもたれ壁
不 健 全
0.2
0.0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
スペクトルスコア;SS
スペクトル面積SA、スペクトルスコアSSの閾値を設定すること
で、健全度診断を行うことが可能
Railway Technical Research Institute
7.既設もたれ壁への適用
不健全な石積み壁
⇒安定に関わる変状が認
められる石積み壁と定義
全68例
Railway Technical Research Institute
8.まとめ
既設土留め擁壁の健全度診断法として、衝撃振動試験
の適用性を検証
全27例
0.5
l 不健全な土留め擁壁では、低振動数側の応答
の卓越、振幅値の増大を確認
0.4
0.3
補強前
0.2
0.1
0.0
0.0
補強後
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
SA・SSの減少により
補強効果も評価
スペクトルスコア;SS
石積み壁と同様に、SA、SSの閾値を設定することで健全度診
断を行うことが可能
Railway Technical Research Institute
l 安定に関わる変状を抽出する指標として、スペ
クトル面積(SA)、スペクトルスコア(SS)を提案
l 既設石積み壁、もたれ壁を対象として、提案手
法の妥当性を確認
Railway Technical Research Institute
2