鉄道総研の軌道技術開発のビジョン 最近の軌道技術の開発状況と 科学的でユニークな軌道技術によって 低コストで持続可能な線路を実現する 今後の展望 科学的でユニークな研究アプローチ ・軌道に関するあらゆる事象を定量的に計測し、分析し、説明する → 「暗黙知から形式知へ」 → 技術継承と省力化の促進 ・研究開発に特化した機関ならではの技術開発 公益財団法人鉄道総合技術研究所 軌道技術研究部長 村本 勝己 持続可能な線路とは? ・現状より低コストであること (経費節減) ・将来にわたって安定的に材料が入手できること (資源確保) ・シンプルでメンテナンスが容易であること (技術者不足対策) ・環境負荷が低いこと (環境問題対策) Railway Technical Research Institute 1 Railway Technical Research Institute 2 軌道技術開発における最近の主な取組 軌道状態の定量的評価に向けた取組 ・重錘落下式軌道支持剛性測定装置(FWD) ・波状摩耗(レール微小凹凸)の簡易な測定法と管理手法 ・慣性正矢軌道検測システムと高密度軌道検測支援システム 他 軌道状態の定量的評価に向けた取組 軌道固有現象のメカニズム解明 ・波状摩耗発生メカニズムの解明 ・バラスト軌道曲線部のバラスト流動メカニズム ・レール破断時における開口量と列車走行安定性の関係 ・レールの摩耗形状予測 ・弾性体個別要素法によるバラストの挙動解析 他 重錘落下式軌道支持剛性測定装置(FWD) 低コスト化技術の研究開発 ・道床交換を前提としないバラスト軌道補修 ・新幹線用レール鋼製ノーズ可動クロッシング ・レール溶接部の信頼性向上および施工簡略化 ・軌道部材のリニューアル・延命化・余寿命評価(レール、まくらぎ、スラブ軌道) ・木まくらぎ交換計画支援システム 他 Railway Technical Research Institute 3 Railway Technical Research Institute 4 FWDの概要 トロリータイプFWDの開発 10 支持状態良 支持状態不良 8 6 4 Ks 2 1 0 0.2 0.4 0.6 まくらぎ変位 (mm) 応答荷重 (kN) 重錘 落下 荷重計 加速度計 FWD測定の効率化・高精度化への取組 まくらぎ 軌道支持剛性 評価装置 マルチプルタイタンパー 無線受信 まくらぎ支持ばね係数:Ks 活用イメージ 小型の手動式FWDの開発を進め てきたが、より効率的に運用でき る、トロリータイプを開発中。 重錘を軌道に落下して得られる応答荷重と変位から,軌道の支持 剛性を評価できる。 バラストつき固めや道床交換後の品質管理の定量化が可能となる。 Railway Technical Research Institute トロリータイプFWDプロトタイプ ※本研究開発の一部は、国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました Railway Technical Research Institute 5 6 波状摩耗発生メカニズムの解明 外軌・上下 102 軌道固有現象のメカニズム解明 ※各輪軸直下に 軌道モデルが追随 軌道/移動支持ばねモデル 車両走行シミュレーションモデル 外軌波状摩耗 に近い周波数 外軌・左右 2 2 車両/在来線通勤型 1車体モデル 波状摩耗発生メカニズムの解明 軸箱加速度 PSD [(m/s ) /Hz] 103 101 100 10-1 10-2 10-3 10 100 50 周波数 [Hz] 300 シミュレーション結果の例 走行シミュレーション等によって、直結系軌道に発生しやすい外軌 波状摩耗の発生メカニズムの解明を進めている。 外軌波状摩耗の原因と推定される輪重変動が励起されるメカニズ ムを概ね解明。 今後は、バラスト軌道にも発生する内軌波状摩耗のメカニズム解明 にも着手する。 Railway Technical Research Institute 7 Railway Technical Research Institute 8 生分解性ポリマーを用いた細粒土混入バラスト補修 ①TTツールを挿入 ②補修材を投入 タイタンパ ③つき固め補修 補充したバラスト 補修材 低コスト化技術の研究開発 道床交換を前提としないバラスト軌道補修 反応促進材 ポリマー ポリマー安定処理工法の概要 細粒土混入率の高いバラストでも軌道補修効果が長期間持続する Railway Technical Research Institute 9 Railway Technical Research Institute 生分解性ポリマーを用いた細粒土混入バラスト補修 レベルキーパー(浮きまくらぎ自動補正装置) 10 横断排水溝 直結まくらぎ レベルキーパー 荷重 レール 絶縁板 外筒 バラスト 現地試験において効果が確認され、2016年度中に製品化予定 施工法は2016年度発行の軌道路盤改良マニュアルに掲載予定 Railway Technical Research Institute 鉄球 内筒 底版 隙間に 粒状体が 落下 荷重 隙間を埋めた 鉄球が 荷重を伝達 沈下 レベルキーパーの原理 構造境界部等に発生する浮きまくらぎを自動的に補正できる 11 Railway Technical Research Institute 12 レベルキーパー(浮きまくらぎ自動補正装置) その他 軌道関係国際規格 ・ISO/TC269/SC1国内委員会が発足 → コンクリートまくらぎ、合成まくらぎ、レール締結装置の国際規格 提案に向けた活動が正式にスタート ・軌道線形品質管理の国際規格に関する調査開始 ・レール溶接に関する国際規格の動向は引続き調査を継続 マニュアル・手引き まくらぎ間に設置 ・スラブ軌道各部補修の手引き(改訂版・第3版) → 2015年12月発行 ・軌道路盤改良マニュアル → 近日発行 装置下のバラストを突き固める 構造境界の軌道変位や動揺が半減することが確認された 軌道に関するご相談等がございましたら、お気軽にご連絡下さい 短波長の水準変位を抑制する効果が確認された [email protected] 2016年度中に製品化予定 Railway Technical Research Institute 13 Railway Technical Research Institute 14
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