平成26年12月 第732号 航空宇宙産業労働組合協議会との懇談会を開催 (一社)日本航空宇宙工業会は、去る11月26日、航空宇宙産業労働組合協議会(略称: 航空労協)との懇談会を開催した。(於 東海大学校友会館) 懇談会では、釡会長、清水議長代理の挨拶に始まり、工業会側から航空宇宙産業の現 状と見通しについて、また航空労協側からは組織と活動概要並びに「航空宇宙産業の一 層の発展に関する要請書」について説明が行われた。 引き続き開催された懇親会では、清水議長代理より、いかなる環境にあっても航空宇 宙産業が日本の次代を担う技術集約型産業であるとの自負心と希望を持って、労使が相 互に協力し、航空宇宙産業の拡大・発展を目指す決意が述べられた。 1.日 時:平成26年11月26日 (水) 16:30∼17:30 (3)工業会側説明: 2.場 所:東海大学校友会館 「航空宇宙産業の現状と見通しについて」 「東海三保霞の間」 −機体・エンジンメーカーの 航空宇宙事業への取組み― 3.出席者: 工業会側:釡会長、 今清水専務理事、 秦常務 ・水谷部長 (株式会社IHI) 理事、髙辻常務理事、会員会社13社(13 ・若井部長 (富士重工業株式会社) 名)2団体(2名)、事務局(4名) (計24名) ・鈴木部長 (三菱重工業株式会社) 航空労協側:清水議長代理、若杉副議長、 ・伊東部長 (川崎重工業株式会社) 鴨下副議長、發知副議長代理、橋本副 (4)航空労協側説明: 議長代理、鈴木事務局長、塩澤会計監査、 「航空労協組織と活動概要について」 鈴木事務局長 阿部会計監査代理、幹事13組合(計34名) (5)航空労協からの要請書読上げ 4.議 事: 橋本副議長代理 (1)工業会挨拶 釡会長 (2)航空労協挨拶 清水議長代理 (6)閉会挨拶(航空労協) 若杉副議長 会場風景(左:当工業会側 右:航空労協側) 15 トピックス 5.懇親会 工業㈱、全日本空輸㈱、東京航空計器㈱、 懇談会終了後、出席者による懇親会を同会 ナブテスコ㈱、日本航空㈱、日本飛行機 館「朝日の間」にて実施した。(終了18:30) ㈱、富士重工業㈱、三菱重工業㈱ (一財)日本航空機開発協会(JADC) 、 <参 考> (一財)日本航空機エンジン協会(JAEC) Ⅰ.懇談会開催の経緯と構成メンバー ○航空労協加盟組合20組合 航空労協は、昭和42年に航空宇宙産業労働 三菱重工労働組合(名航支部・名誘支部)、 者の社会的・経済的地位の向上を図ることを 川崎重工労働組合(岐阜支部・明石支部)、 目的として、航空宇宙産業関連の労働組合に 富士重工業労働組合(航空宇宙事務所)、 よって組織された団体であり、当工業会は、 JAL労働組合、IHI労働組合連合会(武蔵 昭和44年以降、航空労協からの要請に基づき 支 部・富 岡 支 部・呉 支 部・相 馬 支 部)、 懇談会を開催している。 新明和工業労働組合、日本飛行機労働組 構成メンバーは、当工業会側は、会長以下 合連合会(厚木支部・杉田支部)、住友 常勤役員、航空労協加盟組合関連の会員会社 精密労働組合、東京航空計器労働組合、 および関連団体の代表者、他方、航空労協側 関東航空計器労働組合、ジャムコ労働組 は、議長、副議長、事務局長、会計監査およ 合、ナブテスコ労働組合、住友重機械労 び幹事である。 働組合連合会(横須賀地方本部)、日本 ○関連会員会社17社(五十音順)・団体2社 トランスオーシャン航空労働組合、中菱 ㈱IHI、㈱IHIエアロスペース、川崎重工 エンジニアリング労働組合、全日本空輸 業㈱、関東航空計器㈱、小糸製作所㈱、 労働組合、小糸工業労働組合、昭和飛行 ㈱ジャムコ、昭和飛行機工業㈱、新明和 機労働組合、川重岐阜エンジニアリング 工業㈱、住重フォージング㈱、住友精密 労働組合、輸送機工業労働組合 挨拶する釡会長 挨拶する清水議長代理 〔(一社)日本航空宇宙工業会 総務部部長 武藤 栄一郎〕 16 平成26年12月 第732号 釡会長挨拶(要旨) 1.日本航空宇宙工業会会長の釡でございます。 本日はここに航空労協の代表者の皆様方と懇談の機会を得ましたことを、大変喜ばしく 思っております。会議の冒頭にあたり、一言ご挨拶させていただきます。 2.我が国の航空機産業の売上高ですが、平成21年度に1兆円を下回りましたが、その後急 速に回復し、平成25年度は1兆4,701億円(前年比25.8%増)と大幅に増加し、平成26年度 も1兆5,542億円(同5.7%増)と堅調な増加が見込まれております。宇宙産業の売上高も、 平成25年度2,793億円、26年度見通しは3,019億円(同8.1%増)と同じく堅調な増加が見込 まれております。 ご承知のとおり、航空宇宙産業は技術立国である我が国の先端技術をリードし、経済を活 性化するとともに、安全保障に直結する重要な産業であります。今後も皆様方のご支援を いただきながら、諸事業を推進することがますます重要になってくるものと考えておりま す。 3.個別のプログラムに目を転じますと、民間機分野では、777等民間機向けの生産が順調 に推移しておりますが、我が国が35%のシェアで参画しているボーイング787の増産に対 応すべく、積極的な設備投資が始まっております。また、燃費・騒音を画期的に低減させ た最先端の国産のリージョナルジェット機 (MRJ) は10月にロールアウト式典を終えました。 来年(2015)春に予定されている初飛行の成功が待たれるところです。 民間航空エンジン市場は、近年の旺盛な需要を背景に新規開発が相次ぎ、今後大幅な伸長 が期待されています。787用エンジンであるゼネラル・エレクトリック社のGEnxエンジン やロールス・ロイス社のTrent1000エンジンの共同生産の更なる拡大に期待するとともに、 エアバス社A320neoに搭載予定である次世代エンジンPW1100G-JMの国際共同開発・生産 プログラムによるさらなる国際競争力の向上にも期待をいたしております。 4.防衛機分野では、P1固定翼哨戒機、C2輸送機の量産に向けた準備が着実に進められて おります。16年度に最初の4機導入が予定されております次期主力戦闘機(F35A)につい ては、本年3月、日本企業が部品製造へ参画する方針が示されました。 工業会としては、防衛省の「総合取得改革」や「防衛生産・技術基盤戦略」等の各種施策 に従い、引き続き最先端の防衛技術の獲得をはじめ防衛産業基盤のさらなる強化に取り組 んでまいります。 また、本年4月に定められた「防衛装備移転三原則」を受け、 「国際共同開発・生産」の実 現に向け必要な制度的情報の収集やパートナーとなりうる海外企業とのネットワーキング を目的として、海外の防衛関連工業会と産業間対話を始めたところですが、引き続きこの 活動を積極的に進めてまいります。 5.宇宙分野では、昨年1月に宇宙基本計画が成立しました。今年9月に、安倍首相から国家 安全保障戦略(NSS)を踏まえた新宇宙基本計画の策定が指示され、宇宙の安全保障の確 17 トピックス 保と産業の拡充に向けた見直しが行われる予定です。 先月(10月)には、H-ⅡA 25号機による「ひまわり8号」の打上げに成功し、19機連続成功、 成功率96%を達成し、世界最高水準の信頼性の確立に向けて、確かな歩みを進めておりま す。今月末に予定されております、同26号機による「はやぶさ2」の打上げの成功を願う とともに、工業会といたしましては、積極的な宇宙開発利用とさらなる国際市場への参入 に努めてまいりたいと考えております。 6.国際航空宇宙展(JA2016)は、2016年秋に東京ビッグサイトにて開催いたします。これ から準備が本格化してまいりますが、引き続き、関係者の皆様のご意見を賜りながら、着 実に進めていきたいと考えております。 7.当工業会は、会員各社とともに、航空宇宙産業が更に発展していくための諸事業を積極 的に推進してまいりますが、先ほど申し上げましたように、将来の発展基盤を形成してい く上で重要な時期を迎えております。今後とも労使が協力して、信頼関係を更に強固にし、 産業界の発展のために努力を傾注していくことが重要と考えております。 あらためて、労働組合の皆様には引き続きのご支援、ご協力をお願い申し上げ、私の挨拶 とさせていただきます。 清水議長代理挨拶(要旨) 航空労協議長代理の清水でございます。 本日の懇談会開催にあたり、釡会長さんをはじめ日本航空宇宙工業会役員各位におかれ ましてはご多忙中にも関わらずご出席賜り御礼申し上げます。 貴工業会におかれましては、日頃から釡会長さんを先頭に航空宇宙産業の発展に多大な るご尽力を賜り、心より敬意を表しますとともに、私ども航空労協の諸活動に対し、従来 から幹事会への講師派遣をはじめとするご支援・ご協力いただいていることに対しまして 感謝申し上げます。 さて、航空労協も1967年結成以来、47年となり、組織人員も20組合、26,876人に及んで います。それぞれの加盟する上部団体である産別こそ異なりますが、同じ産業に働く仲間 が集い、共通の課題についての意見・情報の交換を密にし、活動を進めています。 防衛・安全保障分野においては、大量破壊兵器やそれらの運搬手段となり得る弾道ミサ イルの拡散、国際的なテロ活動や破錠国家などの存在といった課題や不安定要因が差し 迫った問題となっているうえ、一部地域で起こる紛争等が国際社会全体の課題へと拡大す るリスクも高まっています。その中でも我が国周辺においては、依然として続く領土/主 権をめぐる問題や、周辺国における軍事力の近代化・強化および軍事活動の活発化など、 課題や不安定要因はより深化してきています。このような状況を踏まえ、26年度の防衛関 係費は25年度に引き続き増額されることになりました。新防衛大綱および新中期防に基づ 18 平成26年12月 第732号 く防衛力整備を着実に実施することで国内における生産需要の維持・強化に繋げることは もとより、更なる予算確保に向け引き続き政府に対し強く要請していく必要があると考え ます。 一方、民間航空機は市場規模も大きく中長期的な成長産業です。この8月には、文部科 学省が「戦略的次世代航空機研究開発ビジョン」をまとめて発表しました。国際競争力強 化に向けた施策を戦略的かつ着実に実施することで、国際共同開発が主流となっている民 間航空機の開発・生産で日本の地位向上を目指していかなければならないと考えます。ま た、ナショナルプロジェクトであるMRJを活用し、地方路線や近距離アジア路線の運航を 行う会社設立に向け、産学による「次世代地域航空ネットワーク検討協議会」が発足しま した。日本における新たなビジネスモデルを確立していくためにも、法改正や規制緩和を 積極的に要請していかなければなりません。そのようななか、貴工業会におけるさらなる 取り組みの強化と、政府に対するこれまで以上の働きかけが必要と考えます。 また、宇宙分野においては、新たな宇宙基本計画における重点施策や方針の実現に向け、 確実に予算化を行うことで、基幹技術の維持・発展が停滞することのないよう取り組んで いく必要があると考えます。特に低価格と高い信頼性を両立させた国際競争力のある新型 基幹ロケットの開発により、衛生打上げ市場への本格参入を実現させ海外シェア拡大に繋 げていくことと併せ、H-ⅡA/H-ⅡBロケットの打上げ連続成功と価格低減、イプシロンロ ケットの開発促進、ISS計画への参画を通じた有人宇宙技術の維持・発展等に向けた施策 を推進することにより、宇宙産業基盤の維持・強化を図っていかなければならないと考え ます。 我々航空労協は、「航空宇宙産業に働く者の雇用安定と生活向上」に努めるとともに、業 界の健全な発展を願っており、それに向けて労働組合の立場から一層の努力を行う決意で あります。貴工業会におかれましても、下記の要望事項について、格段のご配慮とご尽力 を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 19
© Copyright 2024 ExpyDoc