オシロスコープの波形更新 - Keysight

Keysight Technologies
発生頻度の少ないイベントの
捕捉確率を決定する、
オシロスコープの波形更新速度
Application Note
概要
発生頻度が少ないグリッチを効果的に検出する方法
購入のために各種オシロスコープの性能を評価する際に見落とされがちですが、帯域幅、サンプリング・レート、
メモリ長などの従来の仕様と同様に、波形更新速度がきわめて重要になる場合があります。オシロスコープのディ
スプレイに繰り返し捕捉した波形を表示している場合、オシロスコープの波形更新速度は非常に高速であるよう
に見えますが、「高速」というのは相対的です。例えば、1秒間に数千波形というのは非常に高速でリアルタイム
のように見えますが、統計的に言えば、百万回に1回発生する可能性のある発生頻度の少ないランダムなイベン
トを捕捉しようとする場合には、非常に低速です。
高速な波形更新速度が重要な理由は、3つあります。1つは、オシロスコープの波形更新速度がとても遅いと、オ
シロスコープの使用が非常にもどかしくなることです。タイムベース・コントロールを回すと、データ処理が終わっ
て何秒も経ってからでなく、オシロスコープがすぐに反応してくれることを期待します。もう1つは、波形更新
速度が高速だと、輝度変調によりノイズやジッタなどの波形の詳細を表示できるようになり、オシロスコープの
表示品質が向上することです。しかし、最も重要な点は、波形更新速度が高速だと、発見に夜通しかかるような
発生頻度の少ないランダムなイベントを捕捉できる確率が高くなることです。
キーサイトのInfiniiVisionシリーズ オシロスコープは、オシロスコープ・チャネルの波形更新速度が高速なだけ
ではありません(最高1,000,000波形/s)。ロジック・チャネルとシリアル・バス・デコード機能の両方を使用し
てもその波形更新速度を維持できる、業界唯一のMSOでもあります。他のメーカのMSOは、その仕様でキーサ
イトよりも速い波形更新速度を謳っているかもしれません。しかしロジック・チャネルやシリアル・バス・デコー
ド機能を使用すると、更新速度が大幅に低下します。
このアプリケーション・ノートではさまざまなメーカのMSOを使用した測定例を示して、異常なイベントを捕捉
する確率を比較検討しています。その前にまず、オシロスコープの更新速度に影響を与えるいくつかの要因につ
いて説明し、発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を計算する方法を紹介します。
03 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
オシロスコープのデッド・タイム
デザインのデバッグでは、波形/デコード更新速度が重要な要素にな
に波形更新速度の逆数であり、この速度は使用する設定条件に対して
ることがあります。特に、発生頻度が少ないか、間欠的な問題を見つ
測定する必要があります。以下に示す式は、オシロスコープのデッド・
けようとしている場合、特に重要となります。これらは、解決が最も
タイム率の計算式を表しています。
難しい問題です。波形/デコード更新速度が速ければ、見つけにくい
イベントをオシロスコープが捉える確率が増えます。これが正しいこ
% DT = オシロスコープのデッド・タイム率
とを理解するには、まずオシロスコープの「デッド・タイム」(「ブラ
= 100×(
[ 1/U)−W]/(1/U)
インド・タイム」と呼ばれることもあります)とは何かを知る必要が
あります。すべてのオシロスコープには、図1に示すような「デッド・
= 100×(1−UW)
ここで
タイム」があります。これはオシロスコープの捕捉時間と捕捉時間と
U = オシロスコープの実測更新速度
W = 表示捕捉ウィンドウ=
タイムベース設定×10
の間の時間であり、直前に捕捉した波形をディスプレイに表示するた
めの処理時間です。この処理時間(デッド・タイム)の間は、オシロス
コープは本質的に何も見ることはできません。
仕様では非常に速い更新速度であっても、オシロスコープ・メーカが
オシロスコープのデッド・タイム内で起こっている、赤丸で囲ったグ
容易に認めたがらない具合の悪い事実として、デッド・タイムがオン・
リッチに注目してください(図1)。2回のオシロスコープの捕捉サイク
スクリーン捕捉時間より何桁も長いことがあります。
ルが過ぎても、これらは画面に表示されません。オシロスコープのデッ
ド・タイム率は、更新速度が分かっていれば簡単に求めることができ
発生頻度の少ないイベントをオシロスコープで捕捉することは、確率
ます。デッド・タイム率はオシロスコープの捕捉サイクル時間からオ
で賭けをすることと同じであることです。実際に、オシロスコープで
ン・スクリーン捕捉時間を引き、それをオシロスコープの捕捉サイク
ランダム・イベントを捕捉する確率は、さいころを振ったときに特定
ル時間で割ったものです。オシロスコープの捕捉サイクル時間とは単
の目が出る確率にとてもよく似ています。
捕捉時間
デッド・タイム
図1. オシロスコープのデッド・タイムと捕捉時間
捕捉時間
04 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
さいころの出目
6面のさいころを1個、1回振ったときに特定の目が出る確率は6分の1
です。これは、簡単な計算です。それでは、同じさいころを2回振っ
たときに、特定の目が少なくとも1回出る確率はどうでしょうか?あ
る人はこの条件を熟慮せずに、直観的に6分の2、すなわち33.3 %と
答えるかもしれません。しかし、この考え方が正しければ、さいころ
を10回振ったときには特定の目が少なくとも1回出る確率は100 %を
超えてしまい、これは間違っている事が分かります。“S”個の面を持
つさいころを“N”回振ったときにの特定の目が出る確率(PN)を%で
表すと...
[ S−1)/S]N)
PN=100×(1−(
この式を理解するために、特定の目が「出る」確率よりも、特定の目
が「出ない」確率の計算を考える方が実際には簡単です。さいころを
1回振ったときに特定の目が出ない確率は、“(S−1)/S”として表す
ことができます。したがって、6面のさいころでは5/6となります。さ
いころを振る回数(N)が増えるに従って、特定の目が少なくとも1回
図2. 「グリッチ」の出目を1個だけ持つ
多面さいころ
発生頻度の少ないグリッチを一定の時間内で捕捉する確率を増加させ
るには、信号を多数回、可能な限り高速に捕捉する必要があります。
ここで、オシロスコープの波形更新速度が重要となります。この場合
出ない確率は指数関数的に少なくなって行きます。これは、特定の目
は、“N”はオシロスコープの捕捉回数であり、これは観察時間に波
が少なくとも1回出る確率は上がって行きますが、確率100 %に到達
形更新速度を掛けた値に等しくなります。観察時間とは、オシロスコー
したりそれを超えることはないということを意味しています。
プの画面で波形が正常かどうかを判断するために見ている時間です。
したがって、あるオシロスコープで異常イベントを捕捉する確率を表
オシロスコープが捕捉する確率で考えると、“S”はオシロスコープの
す式は...
表示ウィンドウ時間と、異常イベントの平均発生時間との比になりま
す。例えば、グリッチが10 msに1回(1秒間に100回)発生し、オシロ
Pt=100×(1−[1−RW](U×t))
スコープのタイムベースを20 ns/divに設定していると、オン・スク
リーン捕捉時間は200 nsなので、S=10 ms/200 ns=50,000という
値になります。
ここで、
Pt
= “t”秒間に異常を捕捉する確率
t
=
観察時間
この例では、波形異常の出目を1つだけ持つ50,000面のさいころがあ
U
=
オシロスコープの実測更新速度
ることになります(図2のような多面さいころを想像してみてくださ
R
=
異常イベントの発生レート
い)。1回の捕捉で1個のグリッチを捉える確率は50,000分の1しかな
W
=
表示捕捉ウィンドウ=
く、グリッチを捉えない確率は50,000分の49,999です。
タイムベース設定×10
05 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
グリッチの捕捉機能の比較
前述の確率およびデッド・タイムを表す式に基づいて、同様の性能と
形/sですが、10 ns/divに設定した場合、最高更新速度はわずか2,600波
価格帯の2台の500 MHz帯域幅のオシロスコープの測定を比較してみ
形/sです。以下に、同じ測定に対する、Tektronix MSO3000シリーズ
ましょう。
オシロスコープのデッド・タイム率を示します。
この測定の比較では、ランダムな準安定状態(発生頻度の少ないグリッ
% DT =
100×(1−(2600/s×100 ns))=99.97 %
チ)が1秒間に約5回発生する実際の回路を使用しました。各オシロス
コープのデフォルト設定から開始し、モニタする必要のあるグリッチ
Tektronixオシロスコープで5秒間のモニタ時間に発生頻度の少ない準
の幅が5 ∼ 15 nsの範囲ですので、この測定に最適なタイムベース設
安定状態を確認できなかった理由は、デッド・タイムが長いためにグ
定は10 ns/divです。各オシロスコープの更新速度を最大限にするた
リッチを捕捉できる確率が低かったからです。信号に問題があると疑
めに、測定、波形演算、シリアル・バス解析、デジタル・データ収集チャ
われる場合や、長い時間待つことを厭わない場合には、このオシロス
ネルなどのスペシャル・ファンクションはオフにしました。ただし、
コープでも最終的には準安定状態を捕捉できるでしょう。Tektronix
各オシロスコープの可変残光表示を5秒間だけオンにしましたが、オ
DPO/MSO3000シリーズ オシロスコープを使用して5秒間のモニタ時
シロスコープのベストケースの波形更新速度には影響しませんでし
間にグリッチを捕捉できる確率は、以下のように計算できます。
た。各オシロスコープのデフォルトの立ち上がりエッジ・トリガ条件
を使用して、トリガ・レベルを+1.40 Vに設定した場合、オシロスコー
P(5s) =
プのデータ収集中に発生した準安定状態は画面中央付近に見られるは
=
100×(1−[1−(5/s×100 ns)(
] 2600/s ×5s))
0.65 %
ずです。各オシロスコープでグリッチを捕捉できる確率を求めるため
には、5秒間のモニタ時間が適切だと仮定しました。
図3では、キーサイトの3000 Xシリーズ オシロスコープによって、5秒
間のモニタ時間、1,000,000波形/sの波形更新速度で、複数回の発生
頻度の少ないランダムな準安定状態が確実に捕捉されていることがわ
かります。
Keysight 3000 Xシリーズ オシロスコープにおけるこの測定のデッ
ド・タイム率は、以下のように求められます。
% DT =
=
100×(1−(1,000,000/s×100 ns))
90 %
タイムベース設定が10 ns/divで、このオシロスコープのデッド・タ
イム率が約90 %ということは、直観的にはデッド・タイムが長すぎ
図3. Keysight MSO/DSO3000 Xシリーズ オシロスコープは、1,000,000波
形/sの更新速度で、発生頻度の少ない準安定状態を確実に捕捉できます。
るように思えます。しかし、実際にはグリッチを5秒間で捕捉する確
率はかなり高く、以下のように確率を計算できます。
P(5s) =
=
100×(1−[1−(5/s×100 ns)(
] 1,000,000/s x 5s))
91.8 %
図4に示すように、Tektronix DPO/MSO3000シリーズ オシロスコープ
を使用した場合には、測定結果は大きく異なっていました。このオシ
ロスコープの「謳い文句」の波形更新速度は、仕様では最高55,000波
図4. Tektronix DPO/MSO3000シリーズ オシロスコープのわずか2,600波
形/sの更新速度では、発生頻度の少ない準安定状態を捕捉できません。
06 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
オシロスコープの実際の波形更新速度の確認
オシロスコープの波形更新速度はさまざまな要因から影響を受けま
オシロスコープの更新速度の測定は、それほど難しくありません。ほ
す。オシロスコープのメーカはよく、きわめて限られた設定条件でだ
とんどのオシロスコープが、トリガや他の測定器と同期するためのト
け得られる、「謳い文句」やベストケースの波形更新速度のみを強調
リガ出力信号を備えています。外部カウンタを使用して、このトリガ
して宣伝しています。
出力信号の平均の周波数を測定することにより、オシロスコープの更
一般にオシロスコープの更新速度に最も大きな影響を与える設定条件
使用する信号のトリガ速度は、オシロスコープの予想更新速度を超え
新速度がわかります。オシロスコープへの入力トリガ・ソースとして
は、タイムベース設定です。これは、タイムベースの設定で捕捉表示
ていなければなりません、越えていないと、オシロスコープの更新速
ウィンドウの時間が決まるからです。長い時間のデータを捕捉できる
度がそれより低いトリガ速度に制限されてしまいます。
ようにタイムベースを調整すると、オシロスコープはより多くの波形
をデジタイズすることになります。例えば、2 ms/divの設定では、オ
表1、2、3はそれぞれ、100 MHz、500 MHz、1 GHz帯域幅の競合す
シロスコープの画面上の捕捉時間は20 msです。理論的には不可能で
る価格帯のオシロスコープの実測波形更新速度を並べて示したもので
すが、オシロスコープのデッド・タイムがゼロなら、この絶対的なベ
す。テストは、各オシロスコープの設定条件をデフォルトから始めま
ストケースの波形更新速度は50波形/sになります(1/20 ms)。
した。これらのテストでは、オシロスコープの1つのチャネルだけを
オンにしました。最高サンプリング・レートを同時に実現する最小の
使用しているオシロスコープの波形/デコード更新速度が重要な場合
捕捉メモリ容量を選択することによって、メモリ長をタイムベース・
は、オシロスコープで使用することが予想されるさまざまな設定条件
レンジごとに最適化しました。キーサイトのMegaZoomテクノロジー
で、更新速度を測定する必要があります。メーカが主張する謳い文句
を使用すれば、これも自動的に行われます。
の更新速度を、そのまま信用してはいけません。
07 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
実測波形更新速度(100 MHz帯域幅のオシロスコープ)
タイムベース
Keysight
2000 Xシリーズ
Tek
DPO2000シリーズ
Tek
TDS2000シリーズ
LeCroy WaveJet
2 ns/div
54,000
140
60
1,000
5 ns/div
54,000
130
60
1,000
10 ns/div
54,000
130
60
1,000
20 ns/div
54,000
160
60
1,000
50 ns/div
54,000
220
60
1,000
100 ns/div
52,000
6,200
50
1,000
200 ns/div
49,000
5,500
100
1,000
500 ns/div
43,000
4,200
100
1,000
1 μs/div
35,000
2,300
100
625
2 μs/div
26,000
2,000
100
300
5 μs/div
18,000
2,000
100
150
10 μs/div
9,000
1,400
100
70
20 μs/div
4,500
1,200
100
35
50 μs/div
1,800
400
90
35
100 μs/div
900
180
90
35
200 μs/div
460
120
200
35
500 μs/div
170
80
140
25
1 ms/div
60
60
80
20
2 ms/div
43
30
40
15
5 ms/div
約18
約20
約20
約10
10 ms/div
約9
約8
約10
約7
20 ms/div
約5
約4
約4
約4
50 ms/div
約2
約2
約2
約2
100 ms/div
約1
約1
約1
約1
表1:同じ価格帯の100 MHz帯域幅のオシロスコープのベストケースの波形更新速度
08 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
実測波形更新速度(500 MHz帯域幅のオシロスコープ)
タイムベース
Keysight
3000 Xシリーズ
Tek
DPO3000シリーズ
Tek
TDS3000シリーズ
LeCroy
WaveSurfer
1 ns/div
960,000
2,500
670
490
2 ns/div
960,000
2,500
670
470
5 ns/div
960,000
2,500
670
485
10 ns/div
1,030,000
2,600
770
480
20 ns/div
960,000
2,200
770
420
50 ns/div
570,000
46,000
770
410
100 ns/div
340,000
46,000
770
400
200 ns/div
170,000
46,000
770
250
500 ns/div
74,000
43,000
770
220
1 μs/div
38,000
7,300
770
190
2 μs/div
19,000
4,400
770
145
5 μs/div
7,800
2,500
770
75
10 μs/div
3,900
200
500
50
20 μs/div
2,000
200
500
25
50 μs/div
780
150
430
12
100 μs/div
780
25
330
6
200 μs/div
450
18
250
6
500 μs/div
170
18
160
6
1 ms/div
60
16
77
約6
2 ms/div
43
14
42
約6
5 ms/div
18
11
約20
約5
10 ms/div
9
6
約10
約4
20 ms/div
約5
約4
約5
約3
50 ms/div
約2
約2
約2
約1.5
100 ms/div
約1
約1
約1
約0.8
表2:同じ価格帯の500 MHz帯域幅のオシロスコープのベストケースの波形更新速度
09 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
実測波形更新速度(1 GHz帯域幅のオシロスコープ)
タイムベース
Keysight
4000 Xシリーズ
Tek
DPO4000シリーズ
LeCroy
WaveRunner
500 ps/div
1,020,000
2,500
490
1 ns/div
1,010,000
2,500
490
2 ns/div
1,000,000
2,500
470
5 ns/div
990,000
2,500
485
10 ns/div
1,030,000
2,500
480
20 ns/div
880,000
58,000
420
50 ns/div
490,000
58,000
410
100 ns/div
280,000
58,000
400
200 ns/div
140,000
48,000
250
500 ns/div
60,000
10,000
220
1 μs/div
30,000
4,700
190
2 μs/div
15,000
2,500
145
5 μs/div
6,300
360
75
10 μs/div
3,200
290
50
20 μs/div
1,600
150
25
50 μs/div
1,300
25
12
100 μs/div
900
17
6
200 μs/div
430
11
6
500 μs/div
170
11
6
1 ms/div
85
10
約6
2 ms/div
40
9
約6
5 ms/div
18
8
約5
10 ms/div
9
5
約4
20 ms/div
約5
約3
約3
50 ms/div
約2
約2
約1.5
100 ms/div
約1
約1
約0.8
表3:同じ価格帯の1 GHz帯域幅のオシロスコープのベストケースの波形更新速度
10 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
まとめ
ランダムで発生頻度の少ない問題の場合、オシロスコープを選択する
キーサイトの第4世代InfiniiVisionオシロスコープは、オシロスコープ
上で波形/デコード更新速度が重要な検討項目になります。更新速度
業界最高速の波形/シリアル・デコード更新速度を提供します(最高
は、ランダムな回路の問題を捕捉し、表示できる確率に直接影響します。
1,000,000波形/s)。InfiniiVision MSOは、ロジック・チャネルやシリ
アル・バス・デコード機能を使用しても更新速度が犠牲になりません。
このアプリケーション・ノートでは、主にベストケースの波形更新速
キーサイトのInfiniiVision DSO/MSOは、オシロスコープのデッド・
度の比較に重点を置き、アナログ・データ収集チャネルだけを使用し
タイムを最小にする、ハイレベルのハードウェア(MegaZoomテクノ
ましたが、大容量メモリを使用できる場合には特に、デジタル・デー
ロジー)により高速で妥協のない更新速度を実現しています。
タ収集チャネル(MSOモデル)やシリアル・バス・デコード機能を使用
すると、ほとんどのオシロスコープで波形更新速度が著しく低下する
ことに気付くはずです。
用語集
デッド・タイム:デジタイズした波形を表示するために、オシロスコープが処理に費やす時間。デッド・タイムの間は、オシロスコー
プは基本的にすべての信号動作に対して何もできません。
MegaZoom IVテクノロジー:キーサイトが独自に開発した捕捉/表示テクノロジーで、メモリ長とサンプリング・レートを自動的に
最適化して、きわめて高速な波形/シリアル・バス・デコード更新速度(InfiniiVision 3000 Xシリーズ オシロスコープで、リアルタイ
ムの>1,000,000波形/s)を提供します。
準安定状態:一般にグリッチとして表れるデジタル回路の不安定な出力状態で、入力のセットアップ/ホールド・タイム違反により生
じます。
ミックスド・シグナル・オシロスコープ(MSO):直接の時間相関が可能なロジック・タイミング解析用のチャネルを追加して、アナ
ログ入力およびデジタル入力によるロジック/パターン・トリガが可能なオシロスコープ。
波形更新速度:1秒間にオシロスコープが捕捉して表示することができる波形の数。
11 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
関連カタログ
タイトル
カタログ・タイプ
カタログ
InfiniiVision 2000 Xシリーズ 新・定番オシロスコープ
Data Sheet
5990-6618JAJP
InfiniiVision 3000 Xシリーズ 新・定番オシロスコープ
Data Sheet
5990-6619JAJP
InfiniiVision 4000 Xシリーズ オシロスコープ
Data Sheet
5991-1103JAJP
InfiniiVision 6000 Xシリーズ オシロスコープ
Data Sheet
5991-4087JAJP
Keysight Technologies 5000/6000/7000シリーズ InfiniiVisionオシロスコープ・プローブ/
Data Sheet
5968-8153JA
オシロスコープのサンプリング・レートとサンプリング忠実度の評価
Application Note
5989-5732JAJP
オシロスコープ:垂直軸の雑音特性評価
Application Note
5989-3020JAJP
アプリケーションに最適な帯域幅を持つオシロスコープの選択
Application Note
5989-5733JAJP
異常信号の検出に影響を与えるオシロスコープの表示品質
Application Note
5989-2003JAJP
ミックスドシグナル・オシロスコープを使用したミックスド信号回路のデバッグ
Application Note
5989-3702JAJP
アクセサリ
詳細
最新のアプリケーションと製品の情報については、以下キーサイトの製品Webサイトをご覧ください。
www.keysight.co.jp/find/infiniivision
キーサイト・テクノロジーのオシロスコープ
20 MHz ∼ 90 GHz以上でさまざまなサイズ、業界最高レベルの仕様と、幅広いアプリケーション
12 | Keysight | 発生頻度の少ないイベントの捕捉確率を決定する、オシロスコープの波形更新速度 - Application Note
myKeysight
www.keysight.co.jp/find/mykeysight
ご使用製品の管理に必要な情報を即座に手に入れることができます。
www.axiestandard.org
AXIe(AdvancedTCA® Extensions for Instrumentation and Test)は、
AdvancedTCA®を汎用テストおよび半導体テスト向けに拡張したオープン規格
です。Keysightは、AXIeコンソーシアムの設立メンバです。
www.lxistandard.org
LXIは、Webへのアクセスを可能にするイーサネットベースのテストシステム用
インタフェースです。Keysightは、LXIコンソーシアムの設立メンバです。
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の堅牢な高性能測定/自動化システムを実現します。
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Published in Japan, December 10, 2014
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