電子銃開発 - kek

電子銃開発
西森信行
日本原子力研究開発機構
山本将博
高エネルギー加速器研究機構
cERLミニワークショップ
平成26年12月19日 KEK
電子源開発目標
文科省 量子ビーム基盤技術開発プログラム 代表 浦川順治教授
(2008-2012年) JAEA、KEK、広大、名大 共同開発
500kV直流光陰極電子銃
高輝度・大電流ビーム生成
規格化エミッタンス(µm・rad)
サポート電極
多段セラミック管
-500kV端子
陰極
レーザー
陽極
電子ビーム
1.0
T. Miyajima et al.,
入射器出口
FEL2014 THC04 (2014) エミッタンス計算
宮島司 (KEK)
100pC
>5MeV
<3ps rms
0.8
0.6
現存
0.4
300
未開拓
400 電圧(kV) 500
1991年の提案以来、20年以上進展なし
仕様
数値目標
光陰極
量子効率>1%、寿命>数カ月
高輝度
大電流
熱陰極パルス
〇
☓
電圧
500kV
光陰極高周波
〇
☓
電界
>5MV/m
光陰極直流
〇
〇
電流
10mA
規格化エミッタンス
<0.5µm・rad
600
分割型セラミック管の開発
障害:
サポート電極からの電界放出電子
対策:
多段セラミック管+ガードリングを採用
→世界初の500kV印加を達成、世界中(コーネル大、JLab、IHEP)で採用
550kV
ガードリング
電界放出電子
High voltage (kV)
600
分割型セラミック管
単セラミック管
R. Nagai et al., Rev. Sci. Instrum. 81, 033304 (2010)
500
400
300
200
100
0
0
40
80
120
time (hrs.)
実験開始:2009年6月
実験成功:2009年11月
高電圧真空容器
160
陽極効果に着目した暗電流対策
N. Nishimori et al., PRSTAB 17, 053401 (2014)
高電圧では陽極マイクロ放電効果も大きい
対策案
陰極電場 (MV/m)
(A) 陽極でのガス発生抑制: ギャップ周囲に複数の真空ポンプ配置
(B) 陽極電場の半減: ギャップ長の拡大
(C) エミッタンス劣化の抑制: 陰極電場強度の維持(1割減)
(B),(C)は同心球コンデンサで説明
(A) 非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプ
(B)ギャップ
d=100 mm
陽極
半減
2
6
4
2
700
Z (mm)
(C)陰極
0
3
8
R (mm)
陽極電場 (MV/m)
4
1割減
10
0
(B)
5
12
(C)
1
d=160 mm
0
0
R (mm)
150
200
800
600
Z (mm)
200
0
300
世界初500keV-mAビーム生成
N. Nishimori et al., APL 102, 234103 (2013)
2.5
600
電子銃電圧
1.5
1.8mA@500keVの達成
300
コッククロフト高電圧電源の容量不足による
電圧降下のため、2mA以上は困難であった。
1.0
200
0.5
100
0.0
0
0
1
2
時間(分)
4
5
6
30分間
1.2
電流(mA)
400
600
1.0
500
0.8
400
0.6
300
1mA@440keV 30分
→長時間ビーム生成の実証
0.4
200
0.2
100
0.0
0
0
10
20
時間(分)
40
50
60
高電圧(kV)
電流(mA)
ビームダンプ電流
高電圧(kV)
500
2.0
cERLでの電子銃運転状況
電子銃電圧、真空
GaAs光陰極量子効率(周回部コミッショニング時)
20
活性化
8
10
400
1
5
FC電流
レーザー
真空トラブル(IP停止)
2014
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
2
100
0
0
真空度(×10‐9 Pa)
真空トラブル
(空気 混入)
電圧(kV)
1/e寿命10,000時間
真空トラブル(IP停止)
2
2013
12月
2
セラミック管電圧390kV
ビーム電流(μA)
量子効率(%) λ=530nm
10 500
量子効率をFCで計測
コミッショニングは通常0.1nA
CW運転試験時に6μA
運転時真空度8x10‐10Pa
3μA運転 30分
0
2
4
6
時間
0.2
8
0.1
10
 6ヵ月間交換無で、2%以上の量子効率
 390kV運転(延べ500時間以上)
 運転時極高真空の達成
今後:移設後に判明したセラミック管トラブル
を解決し500kV運転を目指す
課題1:
500kV運転へ向けたセラミック管増設
問題点:セラミック管に不良が生じ、cERLで390kV運転
“2015年夏の改造を目指し、増設部品を準備中”
◎新セラミックより安価
◎短期作業
◎390kVはほぼ保証
追加
増設2段セラミック管
ガードリング
予算
JAEAガンマ線グループ予算
最上段、最下段
セラミック管を短絡
追加
課題2: 大電流運転用アルカリカソード開発(広大) 問題点:GaAsは大電流運転に適さない可能性大
“cERLでアルカリアンチモンカソードの運転試験”
メンバー
清宮 裕史,栗木 雅夫,山本 記史,
郭 磊,横田 温貴(広島大学),
許斐 太郎(分子研)
山本 将博、宮島 司(KEK)
• 高量子効率、高耐久を持つマルチアルカリカソードの生成に成功
 量子効率: 3%(532nm), 8%(472nm)、
 時間寿命: 5ヶ月(2.0×10‐8Pa)
(‐100V, 90μA[連続運転], 2.8×10‐8Pa)  電荷密度寿命: >1200 C/mm2 • 光電子分光測定をUVSORで実施。
青色レーザー(405nm)
測定系の改良
• 時間寿命と電荷寿命の同時測定
• 二波長(青、緑)自動測定
QE(%)
電荷寿命測定
時間寿命測定
現在測定中
マルチアルカリのcERLへの実装
• 広島大学で開発されたマルチアルカリカ
ソード技術を、cERLへ実装。
• 真空輸送容器利用により、干渉を最小化。
• 現在、蒸着装置の立ち上げ中。
Gate valve
(輸送容器へ)
蒸着源
真空輸送容器
KEK製作
ヒーター
膜厚計
カソードホルダー
蒸着装置
課題2-2:
大電流運転用アルカリカソード開発(JAEA)
問題点:GaAsは大電流運転に適さない可能性大
“アルカリアンチモンカソードで50mA運転試験”
250kV-50mA電子銃
• 50mA運転のデモンストレーション
• 大電流運転時のカソード性能調査
予算
光・量子融合 代表者 KEK照沼教授
計画
2014年度
カソード試作
2015年度
電子銃ビーム生成
2016年度~ 大電流試験
 蒸着源ホルダー、T-rod、回転テーブル、動作確認済
 ヒーター温度校正済
 真空度 7x10-9 Pa
まとめ




成果
分割型セラミック管の有効性を実証
陽極に着目した暗電流対策の有効性を実証
世界初の500keV・mA電子ビーム生成を達成
cERLで390keV・10μAビーム生成を達成
今後の展望
 低エミッタンスビーム生成
宮島司、本田洋介、他 cERLにて進行中
 500keV-10mA運転
 長寿命光陰極開発