(No.7145) 発行日:2014.11.28 Nutrients for preventive medicine ® 株式会社ヘルシーパス 情 報 提 供 静岡県静岡市葵区栄町 2-10 1192 ビル 8F TEL:054-255-1200 FAX:054-255-1188 http://www.healthy-pass.co.jp キーワード 放射性物質, 放射線, 放射能, ヨウ素, セシウム, ストロンチウム 「放射性物質」と聞くと漠然と怖いイメージがありますが、相手がどんなもので何が危険なのかを知る ことで冷静に対処することが可能です。今回は、放射性物質と放射線対策についてご紹介 します。 放 射 性 物 質 と 放 射 線 対 策 ■放射性物質と放射線と放射能 【 放 射 性 物 質 】 放射線を出す能力(放射能)を持つ 物質の総称で、具体的には「ヨウ素 131」 、 「セシウム 134」、 「ストロンチウム 90」などの放射性元素のことです。 【 放 射 線 】 波長が短い電磁波や、高速で動く粒子の ことで、α線、β線、γ線などの種類があります。 放射線の人体への危険度を示す単位はシーベルト(Sv) と呼ばれ、例えば 4Sv を全身にあびると半数の人間が 死亡すると言われます。また、物が受ける放射線量は グレイ( Gly)が用いられ、 1Gly は物質 1 ㎏あたり 1 ジュール(J)のエネルギーを吸収したことを意味します。 【 放 射 能 】 放射線を出す能力のことで、あるものが 持つ放射能の強さにはベクレル(Bq)という単位が用い られ、1Bq とは 1 秒間に 1 本の放射線が出るような強さ を指します。 ■放射線によるダメージ 放射線は自然界に存在している日常的なものであり、 存在していることが悪いということではありません。 普段、私たちが食べている野菜や果物には天然の放射性 カリウムが含まれており、毎日のように摂取しています。 問題となるのは放射線が「有るか無いか」ではなく、 「量や強さ、あびる範囲」です。 もし 500mSv の放射線を一度に勢いよく全身にあびる と白血球が減少しますが、1mSv の放射線を 500 日かけて あびる場合には白血球は減少しません。身近なものでは、 食塩(塩化ナトリウム)を一度に 200g 摂取すると 50% の確率で死亡しますが、1 日 10g を 20 日かけて 200g 摂取しても死亡することはありません。 放射線は遺伝子を傷つけてしまうため、一定量以上の 放射線被ばくは、細胞死やがん化のリスクが高くなり ます。しかし、遺伝子を傷つける要因は放射線以外にも 様々あり、その要因の影響を放射線被ばくの単位に合わ せると以下の通りです。 ・野菜嫌いの人、受動喫煙(非喫煙女性) …100~200mSv ・喫 煙 、 毎 日 3 合 以 上 の 飲 酒 …1,000~2,000mSv ・肥 満 、運 動 不 足 、塩 分 の摂 りすぎ …200~500mSv ※ 日 本 各 地 の 40~ 69 歳 の 地 域 住 民 を 10~ 15 年 追 跡 調査したデータ(多目的コホート研究)より ■放射線対策 福島第一原発の事故以来、日本で問題となっている放射 性物質は、放射性ヨウ素、放射性セシウム、放射性スト ロンチウムの 3 種類です。放射性ヨウ素は半減期が 8 日 と短く 3 ヶ月程度で問題にならないほど線量が低くなる ため現時点では問題視されていません。しかし、放射性 セシウムの半減期は約 30 年で、生物学的半減期は成人で 70~100 日、放射性ストロンチウム(ストロン チウム 90) の半減期は約 29 年で、生物学的半減期は約 50 年と されています。 個人でできる放射線対策の例を以下ご紹介致します。 ●できるだけ取り入れない 「放射線のリスクが気になるから野菜を食べない」と いって野菜を食べないほうが体に与える影響が大きい ため、必要以上に敏感になる必要はありません。ただ、 できるだけ汚染された食べ物や飲み物は口にしない方が 良いでしょう。 ●体外へ排泄 体内に取り入れた放射性物質は体外へ排泄することが 可能です。一般的に便や尿、汗などを通して排泄されま すが、特に便からの排泄が重要です。日本人は食物繊維 の摂取量が少なくなってきているため、毎日意識して 食物繊維(野菜、豆類、海藻、きのこなど)を摂取しま しょう。また、乳酸菌やビフィズス菌、オリゴ糖などの 摂取もお勧めです。 ●十分な微量栄養素の摂取 セシウムとストロンチウムはそれぞれ体内で、カリウム、カルシ ウムと同じような振る舞いをします。カリウムやカルシウム は不足なく補いましょう。カリウムは生の野菜や果物、 カルシウムは小松菜や小魚、乳製品に多く含まれています。 また、放射線による体へのダメージ軽減には抗酸化物質 が役立ちます。ビタミン C やビタミン E、CoQ10、リポ酸、 ポリフェノールなどの抗酸化物質の他、抗酸化酵素の 構成成分となるセレンや亜鉛、銅なども大切です。 昨今の報道から放射線を気にされる方も多いと思います。 しかし、敏感になりすぎることでストレスが溜まり、逆 に体へダメージを与えないよう、お気を付けください。 【参考】厚生労働省のホームページ、文部科学省のホームページ、 農林水産省のホームページ、独立行政法人 放射線医学総合研究所 のホームページ、独立行政法人 国立がん研究センターがん予防・ 検診研究センターのホームページ Copyright HEALTHY PASS. All Rights Reserved.
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