⑥アミノ酸伝達物質

1.アミノ酸伝達物質の種類
1A. 興奮性アミノ酸伝達物質
(グルタミン酸)など
→ シナプス後膜にEPSPを発生
⑥アミノ酸伝達物質
1B. 抑制性アミノ酸伝達物質
(γ-アミノ酪酸 (GABA))、(グリシン)など
→ シナプス後膜にIPSPを発生
-目標・アミノ酸伝達物質の具体例を列挙できる
・GABAの神経終末時における挙動について
(生合成、代謝など)説明できる
・GABA受容体の特徴について説明できる
・てんかん発作を列挙し、その特徴を述べることができる
・睡眠に対する薬物の影響について説明できる
1
2.γ-アミノ酪酸(Gamma- Aminobutyric acid : GABA)
2
2.γ-アミノ酪酸(Gamma- Aminobutyric acid : GABA)
GABA受容体
グルタミン酸
GABAの
生合成経路
GABAA
イオンチャネル内蔵(Cl-)
GABAB
Gタンパク質共役型
(Gi)
GABAC
イオンチャネル内蔵(Cl-)
COOH
グルタミン酸脱炭酸酵素
確認(有機化学)
CH3CH2CH2‐OH
略記すると
γ-アミノ酪酸
(GABA)
OH
2.γ-アミノ酪酸(Gamma- Aminobutyric acid : GABA)
GABAA
イオンチャネル内蔵(Cl-)
GABA 受容体
ベンゾジアゼピン
結合部位
2C. GABA 受容体に影響を与える化合物の臨床応用
2C-1. GABAA受容体
・ 静脈麻酔薬 (〔プロポフォール〕;
GABAA受容体に作用
→ GABAA受容体の GABA に対する親和性を増大
→ Cl-チャネル開口促進
→麻酔作用
Clチャネル
バルビツレート/
ピクロトキシン
結合部位
2C.
GABA 受容体に影響を与える化合物の臨床応用
◎(バルビツール酸 (バルビツレート)/ピクロトキシン)結合部位
2C.
GABA 受容体に影響を与える化合物の臨床応用
◎ベンゾジアゼピン結合部位
バルビツレート:
ω受容体
ベンゾジアゼピン
受容体
ベンゾジアゼピン
結合部位
バルビツレート/ピクロトキシン結合部位に結合し、Cl‐チャネルを直接開口させることで、
細胞膜の過分極を引き起こす
Cl‐
チャネル
バルビツレート/
ピクロトキシン
結合部位
B
Cl‐
チャネル
BZ
ベンゾジアゼピン系薬物:
ベンゾジアゼピン結合部位に結合し、
GABAA受容体の GABA に対する親和性を高めることで、
細胞膜の過分極を引き起こす
ベンゾジアゼピン受容体の遮断薬〔フルマゼニル〕
2C.
GABA 受容体に影響を与える化合物の臨床応用
GABAB受容体
・痙性麻痺
(バクロフェン;脊髄における GABAB受容体を刺激すること
により、単および多シナプス反射を抑制し、γ運動神経の活動を
抑制することにより筋弛緩を起こす)
2D.
GABA 系に作用する薬物の臨床適用の疾患について
【てんかんと痙攣】
2D-1. てんかん(癲癇)とは?
慢性で器質的な原因により、痙攣発作を(反復する)状況
2D-2.
分類
部
分
発
作
全
般
発
作
2D.
GABA 系に作用する薬物の臨床適用の疾患について
【睡眠】
2D-3. 睡眠とは??
2D.
意識への影響 痙攣発作
単純部分発作
なし
有り
複雑部分発作
意識障害
なし
欠神発作
強直間代発作
意識消失
なし
意識消失
有り
ミオクローヌス発作
なし
不規則な
筋の収縮
GABA 系に作用する薬物の臨床適用の疾患について
2D-3【睡眠】睡眠の様式
①運動性の低下
②刺激に対する反応性の低下
③典型的な姿勢(人ならば、目を閉じ、横たわる)
④比較的簡単に覚醒できる(病的昏睡と区別するため)
0
覚醒
REM睡眠
レム睡眠
1
ノンレム睡眠
睡眠の様式
正常な睡眠は、通常入眠後 45~60分後に non-REM睡眠のス
テージ 1から 4まで進む。この際の睡眠を徐波睡眠とよぶ。その
後 REM睡眠が、入眠後 2時間以内に発生する。 non-REM睡眠
と REM睡眠のサイクルは 90~110分の周期で交代する。
てんかん発作の分類と特徴
2
3
4
1
睡眠の経過時間
2 3 4 5 6
7
8
時間
2D.
GABA 系に作用する薬物の臨床適用の疾患について
【睡眠】
Non-REM睡眠のステージと
脳波の関係
Awake
1st stage
3B. 受容体の特徴と細胞内情報伝達系
3B-1. NMDA (N-methyl-D-aspartic acid)受容体
・(Ca2+)チャネルを内蔵
(EPSP)発生
2nd stage
3rd stage
3B-2. mGluR受容体
・mGluR1、mGluR5は(Gq)タンパク質と共役
・mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR6、mGluR7、
mGluR8は(Gi)タンパク質と共役
4th stage
REM sleep
参考:睡眠障害(九州大学健康科学センター)
4.その他のアミノ酸伝達物質
グリシン(抑制性伝達物質)
グリシン受容体 イオンチャネル内蔵型(Cl-)チャネル
セリンヒドロキシメチル
トランスフェラーゼ
セリン
3.グルタミン酸(Glutamic acid)
3A. グルタミン酸生合成経路(脳内)
α-ケトグルタル酸
→
グルタミン酸
グルタミン
→
グルタミン酸
グリシン
参考:国家試験98-115