(GMT)12月17日号 (PDF/248KB) - みずほ証券

2014 年 12 月 17 日
Global Market Topics 日本株
投資情報部
FOMC、政策変更はなし、出口議論は
コーポレートガバナンスの強化で変わる日本企業
大神 美由紀
アベノミクス第 3 の矢である「成長戦略」の中で、最も進ちょく率が高い
政策の 1 つが「コーポレートガバナンス強化」への取り組み
企業の自己資本利益率(ROE)向上に向けた動きが活発化。日本企業の変化
を海外投資家も評価
キャッシュリッチにもかかわらず、ROE が低く、海外投資家の保有比率が
高い企業に投資妙味
進ちょくするコーポレートガバナンス強化への取り組み
「コーポレートガバナンスの強化」に向けた取り組みは現在、「アベノミク
ス」の第 3 の矢である成長戦略の中で、最も進ちょくしている政策の 1 つとな
っている。2014/2 に機関投資家の行動規範となる「日本版スチュワードシッ
プ・コード」が導入され、11 月末までに 175 の機関投資家が受け入れを表明。
企業の行動規範となる「コーポレートガバナンス・コード」の基本案も 12/12
に示され、2015/6 の株主総会シーズンまでには策定・導入される予定で、コー
ポレートガバナンス強化に向けた両輪が本格的に動き出す見通しとなった。一
方、2014/1 から算出が開始された新指数「JPX 日経インデックス 400」は、年
金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用ベンチマークに加えたことで存
在感を高めると同時に、企業に自己資本利益率(ROE)向上に向けた行動を起
こさせる等、コーポレートガバナンス強化への意識を高める役割も果たしてい
る。
コーポレートガバナンス強化への取り組み
2013/6の「日本再興戦略JAPAN is BACK」による
政府の取り組み
民間の行動
日本版スチュワード
シップ・コード導入
11月末までに175の
機関投資家が導入
JPX日経インデックス
400を創設
会社法改正
社外取締役を選任する
企業が増加
産業競争力強化法
成立、税制の改正
大型の事業再編が実現
2014/6の「日本再興戦
略」改訂2014で
新たに加わった施策
コーポレートガバナンス・
コードの策定
金融機関等による企業に
対する経営支援・事業再
生の促進
出所:「日本再興戦略」 改訂よりみずほ証券作成
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する最終決定
はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全性を保証したもので
はありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随時変更することがあります。最終
ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
Topics
キャッシュリッチにもかかわらず、ROE が低い企業に注目
企業のコーポレートガバナンスに対する意識が高まる中、ROE の向上
を目標に、増配や自社株買い等の株主還元策強化を発表する企業が増加。
それが評価され、株価が急騰するケースも目立っている。
そうした中、議決権行使助言の最大手、米インスティテューショナ
ル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)社は、2015/2 から実施する
議決権行使助言方針を発表。過去 5 年間の ROE の平均値が 5%を下回り、
改善傾向がみられない企業の経営トップの再任案に反対するよう、株主
に助言することを決めたとしている。2015 年の定時株主総会では、米
ISS から助言を受けることの多い海外投資家の保有比率が高い企業中心
に、経営トップの再任案に反対する動きが高まることも予想される。そ
のため、ROE の向上に向けて今後は、資本政策の見直しを急ぐ企業が増
加することも見込まれる。中でも、キャッシュリッチであるにもかかわ
らず、ROE が低く、海外投資家の保有比率が高い企業は、増配や自社株
買い等、何らかの株主還元策強化を表明する可能性が高い企業として、
注目したい。
キャシュリッチ(手元資金が豊富)で低ROEの企業
No.
コード
銘柄名
業種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
7911
1941
8219
9076
7974
5901
1942
4676
4203
4062
6963
4901
8130
1944
9409
7862
4921
7912
6113
2810
9303
4665
4506
2002
1833
9401
3591
4974
6967
6581
凸版
中電工
青山商
セイノーHD
任天堂
洋缶HD
関電工
フジHD
住友ベ
イビデン
ローム
富士フイルム
サンゲツ
きんでん
テレ朝HD
トッパンフォ
ファンケル
大日印
アマダ
ハウス食G
住友倉
ダスキン
大日本住友
日清粉G
奥村組
TBSHD
ワコールHD
タカラバイオ
新光電工
日立工
その他製品
建設
小売
陸運
その他製品
金属製品
建設
情報・通信
化学
電気機器
電気機器
化学
卸売
建設
情報・通信
その他製品
化学
その他製品
機械
食料品
倉庫・運輸
サービス
医薬品
食料品
建設
情報・通信
繊維製品
化学
電気機器
機械
時価総額
(億円)
5,267
1,149
1,563
2,264
18,445
3,084
1,392
3,565
1,173
2,633
8,539
18,861
1,095
2,541
1,995
1,339
1,141
7,232
4,027
2,108
1,256
1,105
4,655
3,512
1,212
2,634
1,728
1,722
1,037
1,146
手元資金÷
時価総額(%)
60.1
50.0
49.7
43.2
43.1
42.4
40.6
39.8
35.3
35.1
33.8
32.9
31.0
30.8
30.5
29.4
28.4
28.1
26.7
26.7
24.3
24.3
22.5
22.2
21.7
21.5
21.0
17.4
16.9
16.0
ROE(%)
5年平均
1.7
1.2
3.7
3.7
3.6
0.9
2.4
4.8
3.2
4.4
▲ 0.8
2.2
3.7
3.9
3.0
4.5
2.3
1.7
1.0
3.6
4.3
3.8
4.4
5.0
1.2
1.7
3.2
2.4
2.3
2.1
15/3期予 16/3期予
2.6
4.0
4.6
3.6
2.2
2.0
2.7
4.1
4.4
3.5
4.8
4.5
3.7
4.7
4.6
5.0
3.1
2.8
4.5
3.4
4.8
2.5
3.5
4.7
2.9
3.5
4.8
2.6
3.7
3.7
2.7
2.5
4.9
3.6
1.8
2.3
2.8
4.2
5.4
3.8
5.4
4.8
3.8
4.9
4.3
5.5
3.1
2.9
5.6
3.6
5.0
2.6
4.0
4.9
3.2
2.9
5.1
2.6
4.1
4.0
自己資本
比率(%)
45.7
81.1
68.6
62.2
85.6
56.4
51.4
57.1
62.9
68.9
87.9
62.6
82.2
65.6
77.0
74.4
83.5
59.2
74.9
76.4
50.9
74.3
60.5
68.9
53.7
63.3
75.4
91.3
75.6
73.7
実績PBR
(倍)
0.67
0.57
0.65
0.67
1.65
0.51
0.75
0.62
0.79
0.83
1.29
0.93
0.91
0.75
0.75
0.87
1.59
0.78
0.97
1.01
0.85
0.73
1.17
1.08
0.94
0.72
0.84
3.02
0.78
1.04
海外投資家
保有比率(%)
20.2
9.5
40.8
33.1
48.9
23.2
13.9
19.8
21.3
36.6
44.9
40.1
29.9
21.7
10.1
13.2
16.5
25.3
42.5
7.4
19.9
12.4
9.9
16.2
26.9
9.9
17.5
1.5
23.8
11.6
(注)対象は3月決算の全上場企業(金融・電力を除く)。時価総額1,000億円以上、過去5年平均ROEと15/3期予想ROEが5%未満、自己資本比率40%以上を条件。海外投
資家の保有比率は14年9月時点。予想は東洋経済新報社。データは12/15時点。手元資金(現預金と売買目的有価証券の合計)÷時価総額の大きい30社を掲載。
出所:各種資料よりみずほ証券作成
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2
Topics
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