事例 15 部品供給の容易化 ㈱すぎはら 製造2課 納品 Gr 國弘 祐二 改 善 前 ■改善前の状態 組立作業者が空になった箱を手で取り出し、低い位置にある返却口に返す (写真1) 。 【問題点】 ・作業者が箱を取り出す工数ロスが発生 写真1 上部の空箱を取り、下部の返却位置へ ・低い位置に入れるため、作業が難しい 次に使用する部品 箱が横に準備され ている。それを手 で引き寄せ使用位 置に置く ・空いたスペースに次の部品を補充するが、反対 面から箱を顔の辺りまで持ち上げて置くため、置 く位置が見えにくく作業がやりにくい (写真2) 低い位置に出てくる箱を、供給者が腰をかがめ て取らなければならず、作業がやりにくい (写真3) 。 返却口 写真2 供給者が部品箱をセット 写真3 空箱が出てきたところ ■改善のねらい、着眼点 ねらい:部品供給作業ロスの削減 着眼点:ワンタッチで空箱と実入りの部品箱を入れ替えできないか ヒント:公園の回転遊具にヒントを得て改善した 改 善 後 ■改善内容 動力は、重力を利用し回転させ、実入りと空箱の入れ替えをできるようにした (写真4、5) 。 54 Vol.61 No.1 工場管理 特集 人が育つからくり改善の進め方と最新事例 写真4 後方からの全体図 写真5 回転軸 写真 5 の位置 回転軸を傾斜させ、空箱と実入り箱の重量差で自動回転する (図1、写真6) 。 図1 写真6 横からの全体図 5.6 kg 矢印の方向に 傾斜している 動力区間 作業者 制動区間 側面 供給者 作業者側 回転 上面 供給者側 3.3 kg 実入りの 部品箱 空の 部品箱 重量差 2.3kg 太線のところが傾斜して空箱が落ちる。動作は空箱は回転して止まった瞬間に横にスライドして落 ち、次の箱が置けるようになる。落ちた空箱は供給者が次の箱をセットした後、ストライクポイント 内で箱を持っていく(写真7) 。 重量変化によるバネの 上下運動で傾斜させ空箱 写真7 空箱が自重で回収位置に移動 写真8 傾斜させるためのバネ を移動させる(写真8) 。 バネ ■工夫したこと、ポイント わずかな重量差で回転するしくみで用いるロック機構の構築に苦労した。抵抗のない機構が必要だ ったので、さまざまな機構を試した。また1回目の改善では、回転と空箱が落ちるからくりは別々で ツータッチにして行ったが、ワンタッチで動くように2回目の改善を行った。 ■改善効果 効果金額は 5,706 円 / 月 作業者の手で箱を取り出し返却口へ入れるロスの排除と無理な姿勢での作業がなくなった。ストラ イクゾーンでの作業で遠くからでも空箱の状態を把握でき、作業がやりやすくなった。 ■今後の展開 他の生産ラインにも材料供給があるので、からくり改善を横展開していく。また、からくりのノウ ハウを共有して仲間の育成に協力し、からくり改善活動の裾野を拡げ、個人的にも改善力に磨きをか けていきたい。 工場管理 2015/01 55
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