デクスメデトミジン デクスメデトミジン デクスメデトミジン - 旭川医科大学

第42回日本集中治療医学会学術集会
教育セミナー10
演題
デク
デ
クスメデトミジンの
利点を活用するために
−薬物動態学と血行動態変動を中心に−
座長
演者
慶應義塾大学医学部麻酔学教室 教授
旭川医科大学病院 手術部 准教授
森﨑 浩
日時 2015年
先生
国沢 卓之
先生
2 月 9 日(月)
12:40∼13:40
会場
第11会場 ホテルグランパシフィック
LE DAIBA B1F "ヴァンドーム"
〒135-8701 東京都港区台場2-6-1
共催:第42回日本集中治療医学会学術集会/ホスピーラ・ジャパン株式会社/丸石製薬株式会社
デクスメデトミジンの
利点を活用するために
旭川医科大学病院 手術部
准教授
国沢 卓之
先生
「呼吸に及ぼす影響はほとんどなく、鎮痛作用も有した鎮静薬」、
「呼べばすぐ起きるが
薬 物 動 態 学 と 血 行 動 態 変 動 を 中 心に
刺激がないと眠っている」。これは鎮静薬の理想であり、
デクスメデトミジン
(DEX)
の特
徴でもある。
しかし、DEXを使用してみると、血圧変動や効果の個体差が大きく、
「使いに
くい鎮静薬」
との印象を持たれがちである。
しかし、
これらはDEXの薬理学的特徴を理解
し、薬物動態学的アプローチによる解析を行うことで、その原因の推測・対処が容易とな
る。
ICUにおけるDEXの有用性は広く周知され、その恩恵を受けている患者は増加してい
る。過鎮静回避が必要とされる状況の中、内因性カテコラミン分泌を抑制しながら、必要
に応じて患者とコミュニケーションが取れる鎮静状態を提供できる利点は大きい。発売
当初、人工呼吸管理患者の鎮静
(引き続く抜管後の鎮静)
目的で24時間までしか投与で
きない狭い適応であったが、
2010年に長期投与が可能となりDEXの利点を発揮できる
機会が増えた。
一方、2013年6月に非挿管患者の局所麻酔下における手術・処置時の鎮静での適応
を獲得し、
さらに多くの状況で投与が可能となった。
「全身麻酔は、
大がかりで必要が無い
が、少しだけ眠ってもらおう」。もっともな計画であるが、比較的難易度は高い。全身麻酔
を選択した方が良好で安全になりうる状況は、少なくはないが、
「少しだけ眠っている」だ
けで、処置が終了すれば、主治医・麻酔科医・患者・メディカルスタッフ何れにとっても利点
が多いことも事実である。
DEXは分布容積が大きくクリアランスの小さい薬物動態に加え、前述の鎮静の特徴か
ら、投与量の調節に留意が必要となる。血中濃度を規定するパラメータに身長が加味さ
れており、体格によって患者の個体差が生じうる。中枢と末梢に作用部位があり、血圧に
関しては逆に作用し、
効果発現の時間差が効果推測の難易度を上昇させる。
本セミナーでは、DEXによって生じうる不都合の原因と対処法を、PKシミュレーション
を用いた自験例と共に紹介し、DEXの利点のみを引き出すための使用法と留意点を解
説させていただきたい。