微量検体を用いた事前検査にも応用 可能な迅速アレルギー検査方法 福岡大学 医学部 講師 芝口 浩智 重篤な薬剤アレルギー • スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS) • 中毒性表皮壊死症(TEN) • 薬剤性過敏症症候群(DIHS) • 臓器障害 • アナフィラキシーショック 現行のin vivo(生体での)検査 • 皮膚テスト(スクラッチテスト、パッチテストなど) • 負荷誘発テスト(皮内テスト、食物負荷試験など) In vivo検査の問題点 患者への負担が大きい アナフィラキシーショックなど、危険を伴う 危険な割に検査精度が低い 現行のin vitro(生体外)検査 • リンパ球幼弱化試験(LTT/DLST) (主に原因薬剤同定方法) • 末梢血白血球ヒスタミン遊離テスト • 抗原特異的IgE抗体検査(CAP, RAST, EXiLE法など) (診断方法) • HLA遺伝子検査 (SJS, TENの事前検査法) In vitro検査の問題点 結果判明までに時間がかかる 必ずしも精度が良いとは言えない 対象(となる薬剤など)が限定されている 新規迅速アレルギー検査方法とは・・・ • • • • • • 迅速 簡便 In vitro検査であり、安全 検体量が微量(患者への負担が少ない) 診断法であり,同定/事前検査法でもある 普遍性が期待できる(抗原を限定しない) 薬剤アレルギーの発現機序 $ Th1 STAT-1&2/T-bet IL-12 INF-γ IL-4 Naive T Th2 STAT-6/GATA-3 IL-10 TGF-β IL-6 TGF-β IL-4 TGF-β Cellular immunity Autoimmunity Clearance of intracellular pathogens Humoral immunity Allergy Clearance of certain extracellular pathogens RUNX/FOXP-3 Tolerance immune suppression Th17 STAT-3/RORγT Tissue inflammation Autoimmunity Clearance of intracellular pathogens Th9 STAT-6/IRF4 & PU1 Tissue inflammation Allergy Clearance of parasites Treg IL-6 TNF-α Th22 ? Tissue inflammation Antimicrobiaal defenses パーフォリン グランザイム Th1 Th2 Th17 IgG IgE B Cell DC ヒスタミン等 化学メディエーター 開発した迅速アレルギー検査方法の概略 ! + ! B ! ! Th ! T ! 対照群(血清) ! 陽性群(PHA) 迅速アレルギー診断法 として・・・ A Velocity (µm/min) %"of"control ++ + 患者 a +/– – b B c d <( (120 120 150 150 200 >(200 Judgment e Distance (µm) ++ %"of"control 患者 a Criterion( (%(of(Control) b c d e + +/– Pa;ent a b c d e Velocity( – – – ++ +/– – Distance( – – – ++ + 原因薬剤同定法 として・・・ Velocity (µm/min) %*of*control ++ 被疑薬 a + +/– – b c d Criterion( (%(of(Control) <( (80 80 90 90 120 >(120 Judgment e Distance (µm) %*of*control ++ 被疑薬 a b c d e Drug a b c d e + +/– Velocity( + ++ +/– + – – Distance( + ++ +/– +/– − 事前検査方法 として・・・ Velocity (µm/min) %.of.control ++ + +/– 抗原濃度 0 – 0.5 5.0 Criterion( (%(of(Control) <( (120 120 140 140 160 >(160 0.5 5.0 50 Judgment 50 (µg/ml) Distance (µm) %.of.control ++ 抗原濃度 0 0.5 5.0 50 (µg/ml) Conc.((µg/ml) 0 + +/– Velocity( +/– +/– ++ – Distance( ++ ++ ++ 典型例(SJS)における原因薬剤同定検査の結果 被疑薬 同成分薬 (一回目) (二回目) (一回目) (二回目) DLST (SI 値) 100 100 151 LMT (MI 値) N.D. 110.7 N.D. 本法 (% of control) 202.5 ± 51.4 陽性対照 陰性対照 90 + N.D. 135.5 293.9 N.D. 194.6 ± 30.5 124.3 ± 45.7 182.9 ± 36.0 各種アレルギー検査とその対象・範囲 IgE( ! HLA( + B ! ! DLST/LTT T ! Th ! ! ! 従来の細胞解析法との比較 既存(既知)の 一度に一種類を適用 被験者の(1) あるいは (2)リンパ球と薬剤等の アレルギーあり(患者) 従来法 濃 健常人A 細胞動態の解析 走化性の解析 濃度勾配 薄 健常人の アレルギー等 患者Xの好酸球 好酸球 健常人Bの白血球 本法 検査試料の対象と作製方法の比較 従来の細胞解析法 対象外 【アレルギー検査】 被験者から採血 →被験者の好酸球分離 →既知の走化性因子に対する 被験者の細胞走化性を解析/ 健常人の細胞走化性との比較 アレルギー発現の確認 患者 本法 アレルギー症状発現前 アレルギー症状発現後 【事前検査】 被験者から採血 →リンパ球分離 →使用予定薬剤(/PHA)と反応 →反応液(検査試料/対照) →健常人の白血球に対する 細胞動態を解析 アレルギーの危険性予測 【原因薬剤同定検査】 被験者から採血 →リンパ球分離 →被疑薬剤(/PHA)と反応 →反応液(検査試料/対照) →健常人の白血球に対する 細胞動態を解析 アレルギーの原因薬剤同定 【迅速アレルギー検査】 被験者から採血 →血清分離(検査試料/健常の対照) →健常人の白血球に対する 細胞動態を解析 アレルギー発現の確認 新規アレルギー検査の流れ → " → 想定される用途 • アレルギー検査の第一選択肢 現在汎用されているアレルギー検査に先立って行うことで 迅速にアレルギーか否かの判断が行える • 事前検査・個別化医療 各種疾患の薬物治療時に大きな問題となる予期せぬ重篤な 薬剤アレルギーの事前回避と安全な薬剤の選択を可能にする • 新規創薬システム 新規のアレルギー治療薬の開発に応用することが可能 実用化に向けた課題 • 症例数が少ない(特に,皮膚症状を伴う典型例) →さらに典型例で従来のDLSTなどとの比較が必要 • ヒト白血球と同等の反応性を示す細胞株の探索 →民間検査機関等での広範な普及のためには 取扱いの容易な細胞株での検査が望ましい 企業への期待 • 検査に最適な細胞株の探索・作製に関して, 共同研究を希望 • 本検査方法の技術移転を希望 本法に関する知的財産権 • 発明の名称 :迅速アレルギー検査方法 • 出願番号 :特願2013-‐025991 PCT/JP2014/053259 • 出願人 :福岡大学 • 発明者 :芝口浩智,安高勇気,二神幸次郎 お問い合わせ先 福岡大学 産学官連携センター 産学官連携コーディネーター 客員教授 芳賀 慶一郎 TEL: 092-‐871-‐6631 FAX: 092-‐866-‐2308 E-‐mail: [email protected]‐u.ac.jp
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