ROAD TEST No.4942 オートカーの結論 ★★★★★★★★☆☆ ルノー・メガーヌR.S. RENAULT MÉGANE RENAULTSPORT テスト車輌概要 MODEL TESTED ●モデル名:RENAULT MÉGANE RENAULTSPORT ●車輌本体価格:385.0万円 ●日本発売時期:2011年2月●最高出力:250ps/5500rpm ●最大トルク:34.7kgm/3000rpm●0-100km/h加速:6.1秒●113-0km/h制動距離:46.7m ●最大求心加速度:0.99G●テスト平均燃費:9.8km/ℓ●CO₂排出量:195g/km 1 4 2 3 1 WHEEL ARCH ホイールアーチ エクステンションはプラスティック製で、明ら かに継ぎ足したように見える。チリも合って いない。 070 AUTOCAR 6/2011 2 WHEELS ホイール ブラック塗装の18インチを標準装着し、スピードライ ン製の19インチをオプション設定とする。 3 LED RUNNING LIGHTS LEDランニングライト 欧州では153ポンド(=約2万円)のオプションとなるLEDラン ニングライトは、日本仕様には用意されない。 4 R.S. BADGE R.S.バッジ 実は“R.S.” ロゴが使われるのはこれが初めて。フォードや ポルシェの法務担当はふたつの“.” に留意すべき。 RENAULT MÉGANE R.S. ROAD TEST レースシーンからのフィードバックを活かし、 ルノーの量産ハッチバックを HISTORY 稀代のドライバーズカーに生まれ変わらせてきたルノースポール。 受け継がれる熱き血潮 その最新作が、 このアグレッシブな佇まいのメガーヌR.S.だ。 けれど、 正直なところメガーヌのスタンダードモデルはわれわれを失望させた。 果たしてルノースポールといえど、 このクルマを傑作ハンドリングカーに 仕立て上げることはできたのだろうか。 ロードテストにかけ厳正なる審査を下す。 WE LIKE R26に採用されたLSDがメガーヌの走りをそれまでから一変させた。 Top-end performance, Strong dry grip, Low-slung seating position メガーヌR . S .の血統はメガーヌⅡのいくつものバージョン トップエンドのパフォーマンス、強力なドライグリップ、低いシートポジション (R26R、R26、F1、カップ、 トロフィー、225)に遡る。初代メ ガーヌのルノースポール・バージョンは造られなかったが、3ドア WE DON'T LIKE クーペにクリオ・ウイリアムズの2.0ℓ16Vエンジンを搭載する Steering and gearshift could be better, Uninspiring exhaust note ホットバージョンが設定されていた。その前にはR19 16Vが特 徴的なボンネットのスクープを備え、注目を集めた。ルノースポ ステアリングとギアシフトに改善の余地あり、退屈なエグゾーストノート ールが初めて単独の名前で使われたのは、1990年代後半のス ピダーである。 6 7 8 5 5 EXHAUST PIPE エグゾーストパイプ センター出しのエグゾーストはいかにもそれらしい演 出だが、そこから出てくるサウンドは刺激に欠ける。 6 ROOFLINE ルーフライン ルーフラインを低く見せる視覚効果を採用。後席のヘッドルー ムは外から見て想像するほど狭くはないが、太いCピラーが視 界を妨げている。 7 FILLER CAP フィラーキャップ 完 璧なフィラーキャップ。ロック機 構がセン ターロックと同期しており、リリースキャッチも キャップもない。 8 KEYLESS ENTRY キーレスエントリー 日本仕様ではドアロックのリモコンはカードキーとは別 体となる。エンジン始動時にはダッシュボードのスロッ トにカードキーを差し込む必要あり。 www.autocar-mag.com 071 一 般的にいって、ホットハッチのパフォーマンスと その開発ベースとなったスタンダードモデルとの あいだには相当な関連性が認められる。例えばフォード・ フォーカスRSは運転がとても愉しいクルマだが、それは 1 RECARO SEAT レカロ・シート 2 STEERING WHEEL ステアリングホイール 3 ESP SWITCH ESPスイッチ 標準装備のレカロ・シートはサポート性と快適性 魅力的なデザインだが、親指を保持する部分が スポーツモードを起動するためにはESPスイッ の両方において素晴らしい。 少々奇妙な形状をしている。 チを押す必要があるが、これは見つけにくい。 スタンダードのフォーカスのシャシーがすでに、大いに 素晴らしいからだ。シロッコRについても同様のことがあ てはまる。だがルノースポールの場合、そうした関連性 が見いだせない。ルーテシアとルーテシアRSは良質の スーパーミニだが、両者はまったく異なるメーカーで作ら れた製品のように感じられるのだ。 実際、ある意味この二台は別々の会社で造られたと いってもいい。ルノースポールはルノー・グループの子会 社かもしれないが、その製品の開発はディエップにある ルノースポール本社で独立して行なわれているからだ。 またルノースポールはワンメイクレース用の車輌の製作 とそのレースの運営も行なっている。そうした背景も、ル ノースポールが量産ホットハッチを類い希なドライバー ズカーに生まれ変わらせることに一役買っている。 だが今回、ルノースポールには困難な仕事が待ち受け 2 ている。われわれがかつてテストしたメガーヌの標準モ デルは、お世辞にも素晴らしいと評価できるクルマでは なかったのだ。果たしてこのメガーヌR.S.は稀代の名車 と称えられるR26を超えるクルマに仕上がっているのだ 3 ろうか? DESIGN & ENGINEERING●意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆ われわれの認識ではこのクルマはハッチバックだが、 ベースとなった3ドアのメガーヌをルノーはクーペと呼 6 んでいる。そのボディにルノースポールはよりワイドなホ イールアーチを継ぎ足した。 “継ぎ足し” と表現したのに 1 は訳がある。なぜなら、ルーテシアRSではシートメタル で形成されたエクステンションが使われているが、この メガーヌではそれがプラスティック製なのだ。 フロントバンパーには大型のエアインテークと、F1マ 4 シーンから着想を得たエアロダイナミックブレード、オプ 5 ションのLEDランニングライト (日本仕様には未設定)が 付く。サイドにより張り出したスカートが装着されたほか、 リアには延長されたスポイラーと小さなディフューザー、 そしてセンターエグゾーストを備える。 メカニカル面では、この最新のホット・メガーヌは先 代モデルが作ったひな形を踏襲している。ターボチャー ジャー付き2.0ℓ直4エンジンが250psのパワーを発生 し、それが6段マニュアルギアボックスを経由して、前輪 に伝えられる。230psのR26用ユニットとの主な違い は、新しいインテークポートと強化ピストンとコンロッド、 ナトリウム封入バルブが採用されている点だ。全体では およそ25%のコンポーネンツが新しくなった。 フロントサスペンションはマクファーソン・ストラット 式だが、R26と同様、 トルクステアを軽減するルノーの “PerfoHub” を採用しており、さらにR.S.ではピボット とロワーサスペンションアームにアルミを用いてバネ下 重量の軽減を図っている。リアサスペンションはR26と 4 HANDBRAKE ハンドブレーキ 5 YELLOW STITCHING イエロースティッチ 6 PEDALS ペダル 何の変哲もないハンドブレーキは、左ハンドル車 日本仕様では標準だが、欧州では黄色のシート ペダル類は全体的にややオフセットしているが、 の方が操作しやすい位置に配置されている。 ベルトとセットで102ポンド(=約1万3000円) 適切な間隔で(特にサーキット走行用に)配置さ のオプションとなる。 れている。 同じくトーションビームだが、より軽量で強固なものに変 更されている。 欧州では発売当初から、シャシーの構成が2種類用意 されている。ソフトで快適指向で、より高価な(装備がよ INTERIOR●室内 感を醸し出している。アナログ式のスピードメーターもシ り充実している) “スポーツ” と、 “カップ”だ。日本には後 ★★★★★★★☆☆☆ ンプルで、スタンダードモデルのデジタル式のものよりも 者のみが導入されている。スポーツではスタンダードの 開発ベースとなったスタンダードモデルのキャビンは 魅力的に見える。このメガーヌR.S.はホットハッチとして メガーヌよりもサスペンションが12.5%硬くされている 多くの長所を備えているが、ルノースポール・バージョン は珍しいほど大人びたクルマだ。 が、カップはさらにより太いスタビライザーと、GKN製の のために施された変更は、このクルマの魅力をさらに高 ややオフセットしたペダル類を別にすれば、シートポジ 機械式LSDを備える。これにより、カップのシャシーはス めている。ステアリングホイールは革巻きで、黄色のス ションは申し分なく、低くセットすればスポーティなムー ポーツに比べて15%硬くなっている。 ティッチが(シフトレバーにも施されている)スペシャル ドが一層引き立てられる。これだけでもフォーカスRSに 072 AUTOCAR 6/2011 RENAULT MÉGANE R.S. ROAD TEST HOW BIG IS IT? RENAULTSPORT MONITOR Cd=0.34 サーキットの必需品 min m ax 0m m 59 10mm 8 in m m ax 0m m 86 60mm 10 344-991 litres 1435mm 840m m 1030m m 0.34 このクルマでサーキット走行を考えている人にとって、 ルノースポール・モニターは必要不可欠だといえるだろ う。欧州仕様ではオプション(307ポンド=約4万円)であ るが、日本仕様では標準装備となる。使いやすいラップ 860mm 2636mm 62% 803mm モニターおよび油温計として機能するだけでなく、スロッ 39% 38% 4299mm トル開度とブレーキ踏度、パワー/トルク出力、重力加速 グリップ性に優れるレカロ・シートは低い位置にセットできる。 度をリアルタイムで表示してくれるのだ。直近の最高レ ベルも記録できるので、コーナーを攻めながら表示を確 認する必要もない。 1594mm 1548mm ている。ルノースポール・モニターが採用されていること 1848mm c Turning cir le: 11.35m さらにスロットルマッピングの変更(5種類のセッティン グから選択) と、シフトアップアラートの調整機能も備え で、HDDナビゲーションシステムを装着してもサテライト スイッチは対応しないが、その犠牲を払うだけの価値は 十分にある。 5.8º obscured 後席には最小限のスペースが確保されるが、窮屈に感じられる。 幅:1160mm 奥行き: 840mm 8.0º obscured 高さ: 530/750mm VISIBILITY TEST スロットルマッピングとシフトアップアラートも 任意に調節できる。 視認性テスト 前方視界は問題ないが、特に優れているというわけでもない。 後方視界はひどい。 シートを起こした状態でのトランクスペース容量は344ℓとなる。 「興奮するような愉しさはないが、操安性と敏捷性に優れる。 成熟したドライビングで乗り手を満足させてくれるクルマだ」 対するアドバンテージである。われわれはオプションのレ だ。250psは現在のホットハッチ市場において十分とい フォーカスRSよりも速い。このメガーヌR.S.はフォーカ カロ・シート (日本仕様では標準)も試した。張り地はファ えるパワーなのだろうか? スRSに比べると50ps強もパワーが小さいが、車重は ブリックとレザーがあり(日本仕様ではファブリックの 第一印象からいえば、このメガーヌは間違いなく速い 160kgも軽く (テスト車実測値)、よりエアロダイナミク み)、どちらもサポート性は良好だが、われわれの意見で クルマに感じられるが、フォーカスRSほど強烈な速さ スに優れているのだ。 R.S.は制動能力においてもブルーオーバルのライ はよりグリップに優れるファブリックのほうがこのクルマ ではない。 ドライコンディションではパワーデリバリーは には相応しいように思える。 淡々としており、LSDがパワーを路面に効率よく伝達す バルよりも優っている。制動距離では大きな差はないが もしこのクルマに3人以上の人間が乗ることになれ る。路面がバンピーな場合において、ときどきステアリン (ウェット、 ドライともにフォーカスより若干短い)、サー キットでの制動能力の維持においては大きな差がある。 ば、誰がフロントシートに座るかを巡ってケンカになるだ グが引っ張られるが、全般的にトルクステアはきわめて ろう。リアキャビンのスペースが狭いからではない。足 軽微である。 ギアシフトについては特別秀でているというわけでは 下も頭上も、どうにか最小限のスペースは確保されてい だが長く乗るうちに、メガーヌR.S.がハイペースで駆 ない。シフトゲートの位置は正確で、ストロークも比較的 る。問題なのは、サイドウィンドウの高さが後方に向かう け回れるクルマだと分かってくる。それにはフォーカスと 短いが、動きには不満が残る。カチカチと確実に決まる につれて極端に狭まっているために窮屈に感じる点だ。 は異なるアプローチと、より高回転まで回すことが求め のではなく、軽さとゴムのような抵抗感が混じったような シフトフィールなのだ。 この窓は後方視界も悪化させている。リアシートを起こ られる。回転全域にわたって均一なトルクが得られ(ピー した状態でのトランクスペースは、フォーカスやゴルフに クトルクは34.7kgm/3000rpmで、2000〜4000rpm サウンド面でも、もっと特別な魅力が欲しい。ESPを は及ばないが、10%ほど狭いだけである。 のどこでもおよそ30kgm以上を発生する)、ターボエン スポーツに切り替えると、スロットルを戻したときに弾け ジンとしてはきわめてラグが少ないが、このメガーヌを る音が穏やかに聞こえるが、エモーショナルな魅力には PERFORMANCE●動力性能 存分に走らせるには常にエンジンの回転をレッドゾーン 少々欠けている。 ★★★★★★★★☆☆ までの半分から上に維持する必要がある。 このメガーヌは250psで、先代モデルと比べてわず 0-100km/h加速のタイムは6.1秒で、先代RSよりも RIDE & HANDLING●乗り心地と操縦安定性 か26psしかパワーアップしておらず、少々物足りない わずかに速いだけだが、この数値はメガーヌR.S.のパ ★★★★★★★★★☆ ように感じられる。ライバルのフォーカスが300psオー フォーマンスをやや控えめに表わしている。0-161km/ ルノースポールはこの乗り心地と操縦安定性の領域 バーにまでパワーアップしている状況ではなおさらそう h加速のタイムは13.7秒で、先代よりも2.7秒短く、 において優れた開発能力を持っていることで知られてお www.autocar-mag.com 073 TRACK NOTES ■ドライサーキット 「乗り心地は硬いが、高速コーナーでもバンプで揺さぶられることはほとんどない」 ■発進加速 T7ではスロットル操作に忍耐が必要だ。早めに大きく踏みすぎると、 ホームストレートで滑り出してしまう。 ラップタイム:1分16秒1 T3 (フォード・フォーカスRS 参考タイム:1分16秒7) T2 フォーカスRSよりも速かったとい う事実が、メガーヌR.S.の能力を T4 示している。素晴らしいブレーキと コーナー途中でのグリップとトラ クションを備えている。 テストトラック条件:天候晴、乾燥路面、気温摂氏4.0度 0-402m発進加速:14.5秒(到達速度:165km/h) 0-1000m発進加速:25.9秒(到達速度:210km/h) T6 T5 T7 RENAULT MÉGANE R.S. T1 Start/finish 48km/h 64 97 80 2.5s 3.5s 4.6s 6.0s 0 T5に向かうトリッキーなブレーキングゾーンで、素晴らしい落ち着きと、 ニュートラルなバランスを示した。 129 145km/h 161km/h 177km/h 193km/h 209km/h 9.0s 11.4s 13.7s 16.6s 20.9s 25.5s 5s 10s 15s 20s 25s FORD FOCUS RS 48km/h 97 64 80 2.5s 3.6s 4.6s 5.7s 0 ■ウェットサーキット 113 7.4s 113 7.4s 5s 129 145km/h 161km/h 177km/h 193km/h 11.5s 13.9s 16.9s 21.9s 9.0s 10s 15s 209km/h 27.4s 20s 25s 硬いサスペンションにもかかわらず、 メガーヌは冠水した路面でもよく止まった。 ラップタイム:1分11秒6 (フォード・フォーカスRS 参考タイム:1分10秒5) ウェット路面においてターンイン で良好なグリップを確保するに はシャシーが硬すぎる。そのため にラップタイムは芳しくなかった。 ESPをオンにすると安全で運転し ターンイン時にはアンダーステアに苦しんだが、 やすい。 落ち着いてからはグリップのバランスは良好だった。 ■制動距離 乾燥路面 0 80km/h-0 23.3m 10m WET 9.1m 48km/h-0 20m 113km/h-0 46.7m 30m 40m 25.1m 80km/h-0 50m 49.5m 113km/h-0 湿潤路面 RENAULT MÉGANE R.S. DATA エンジン 48km/h-0 8.5m DRY 計測テストデータ シャシー/ボディ エンジン性能曲線 車輌重量:1430kg 形式:直列4気筒ターボ, 1998cc 最高出力:250ps/5500rpm 250 最大トルク:34.7kgm/3000rpm 許容回転数:6500rpm ホイール: (前)8.25J╳18、 (後)8.25J╳18 200 馬力荷重比:175ps/t ブロック:スティール/ヘッド:アルミ軽合金 ボア×ストローク:82.7×93.0mm バルブ配置:4バルブDOHC 圧縮比:8.5:1 タイヤ: (前)235/40R18、 (後)235/40R18 400 34.7kgm at 3000rpm 150 300 100 200 50 100 Torque (lb ft) 駆動方式:フロント横置き前輪駆動 Power output (bhp) 比出力:125ps/ℓ 抗力係数:0.34 500 250ps at 5500rpm 変速機 6段M/T ギア比/1000rpm時車速<km/h> ①3.07/10.0②1.95/15.8③1.39/22.2 ④1.03/30.1⑤0.81/37.8⑥0.67/45.7 最終減速比:3.941 0 0 Engine (rpm) 2000 4000 6000 0 り、またルノースポールの製品とルノーの量産モデルの 8000 違いがもっとも明らかになるのもこの領域においてであ る。今回もルノースポールがメガーヌの走りを一変させ 燃料消費率 サスペンション 静粛性 メーカー公表値: 前:マルチリンク式/コイル アイドリング:46dB 市街地/郊外/混合モード 後: トーションビーム式/コイル 3速最高回転時:77dB 8.7/14.9/11.9km/ℓ たことは、メガーヌR.S.を少し運転しただけで分かる。ス テアリングの正確さと、引き締まったフィールによって、 3速48km/h走行時:64dB ステアリング オートカー実測値 総平均/動力性能計測時/ツーリング 9.8/3.4/12.2km/ℓ よりスポーティなクルマに感じられる。 3速80km/h走行時:69dB 形式:電動アシストラック&ピニオン ロック・ トゥ・ロック:2.6 だが妙なことに、飛び切り愉しいとは感じないのであ 3速113km/h走行時:72dB る。少なくとも最初は凡庸にすら感じられる。フォーカス 安全装備 最小回転半径:11.3m RSは最初のコーナーに飛び込んだ瞬間からドライバー ABS/EBA/ASR 燃料タンク容量:60ℓ ブレーキ 現実的な航続距離:589km を興奮させてくれる。だがこのメガーヌは少々控えめで、 Euro NCAP/na つまらないとさえ感じる。操縦安定性が高すぎるのかも 前: φ340mm通気冷却式ディスク CO₂排出量:195g/km 後: φ290mm通気冷却式ディスク 発進加速 中間加速〈秒〉 しれない。 しかし、何につけても耐え忍ぶ人間は報われる。乗り 続けていくと発見があるのだ。フォーカスのような愉しさ 実測車速mph(km/h) 0-30 (48) 0-40 (64) 0-50 (80) 0-60 (97) 0-70 (113) 0-80 (129) 0-90 (145) 0-100 (161) 0-110 (177) 0-120 (193) 0-130 (209) 0-140 (225) 0-150 (241) 0-160 (257) 0-170 (274) 074 AUTOCAR 6/2011 秒 2.5 3.5 4.6 6.0 7.4 9.0 11.4 13.7 16.6 20.9 25.5 ー ー ー ー mph(km/h) ではなく、コントロール性と正確さに焦点をあてると、よ 各ギア最高速度 2速 3速 4速 5速 6速 20-40 (32-64) 2.1 30-50 (40-80) 2.0 40-60 (64-97) ー 50-70 (80-113) ー 60-80 (97-129) ー 70-90 (113-145) ー 80-100 (129-161) ー 90-110 (145-177) ー 100-120 (161-193)ー 110-130 (177-209)ー 120-140 (193-225)ー 130-150 (209-241)ー 140-160 (193-257)ー 3.4 5.7 9.0 ー 2.7 4.1 6.4 9.9 2.7 3.6 5.2 7.7 2.8 3.6 4.8 6.6 3.1 3.8 4.7 6.3 ー 4.0 5.0 6.4 ー 4.0 5.5 6.9 ー 4.3 6.0 7.7 ー 5.1 6.7 9.0 ー ー 8.3 ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 64km/h 145km/h 246km/h 6500rpm 6500rpm 6500rpm 1 3 5 りグリップに優れ、より敏捷性に勝る (そしてドライラップ タイムの速い)のはメガーヌである。直線路での加速より も、ここにおいてメガーヌの重量のアドバンテージが効 いてくる。ひとたびこの点を理解し、その素晴らしい能力 を最大限に発揮させるようにすれば、メガーヌは運転し て大いに満足できるクルマであることが分かる。フォー カスよりも成熟されたドライビング体験である。それはハ 2 4 6 103km/h 195km/h 251km/h* 6500rpm 6500rpm 5484rpm *claimed イペースの走りと正確さ、そして揺るぎない確信から生 まれるものだ。 メガーヌR.S.のステアリングはパーフェクトではない が(正確で直感的に操作できるが、中速域における手応 RENAULT MÉGANE R.S. ROAD TEST ROAD TEST No.4942 RENAULT MÉGANE R.S. AUTOCAR VERDICT ★★★★★★★★☆☆ 「落ち着いて大人びた、 真っ当なドライバーズホットハッチ」 えがやや不自然に重い)、自信を持って運転できるクル マである。望みどおりのポイントで、わずかなロールで、 ノーズの重さを感じさせずにターンできる。 さらに喜ばしいのは、引き締まったボディコントロール と低いロールレートを持ったシャシーでありながら、多 少のバンプではその足並みを乱されることがない点で ある。R.S.のボディは軽微な路面の不整の影響を受ける が、その動きは常に制御され、決して荒れることはない。 大きなバンプや窪みもうまく処理している。何よりも驚く べき偉業は、ルノースポールがトーションビーム式リアア クスルでそれを達成したことである。 BUYING & OWING●購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆ ルノー・メガーヌ・ルノースポールは複雑なクルマだ。もちろ ある。なぜなら、しかるべき道路(あるいはサーキット)で走らせ 385万円のメガーヌR.S.は、フォード・フォーカスRSや ん、名前のことをいっているのではない。複雑だと感じるのは、 れば、その成熟さが消え去り、親密感と自信に満ちて、素晴らし VWゴルフR(前者は日本未導入ながら、どちらも500万 ルノースポールが従来の製品とはどこか違うものを表現しようと く有能なホットハッチであることが分かるからだ。 円級)に比べると、きわめてお値打ちのクルマに見える。 しているからだ。 改善の余地がないわけではない。ステアリングやギアシフト、 シャシーに関しても、先代モデルよりもより大人びていて、野 エグゾーストノート、視認性などである。だが刺激的で、奥の深い 蛮さが薄らいだクルマである。そして最初の印象では、この成熟 ドライバーズカーを求めているひとにはとっては、メガーヌ さを情熱の欠如と混同してしまいやすい。だがそれは間違いで R.S.は満足できる可能性のきわめて高い候補である。 この価格はむしろ、メガーヌR.S.よりパワーでも速さで も劣るVWゴルフGTI(368万円)やフォーカスST(邦貨 換算約350万円)に近しいのである。標準装備にはリア パーキングセンサーやエアコン、MP3接続可能なオー TESTERS' NOTES テスターのひと言コメント ディオが含まれる。 ●ブラックのプラスティック製フロントバンパーとドアミラーとディフューザーが好きではないひとは、控えめなダークグレーを ジェイミー・コースターフィン 選べる。 (日本仕様ではブラングラシエおよびノワールエトワールのボディカラーに標準) ● 5 種類のスロットルマッピングから選択できるが、もっともリニアなマッピングが私は一番適していた。ターボチャージャー マット・プライアー 付きエンジンという理由もある。 ●通常、私はシフトアップ警告音が嫌いだが、ルノースポールはそれを耳障りにならない程度に聞こえるような音にしてくれて ヴィッキー・パロット いる。 燃費は平均で9.8km/ℓで、これはパフォーマンスを 考えれば立派な値である。CO₂排出量は195g/kmで、 フォーカスRSやゴルフRの数値よりも優れている。ただ しゴルフGTIには及ばない。 このメガーヌのアキレス腱はリセールバリューである。 われわれの予測では、最初の1年で価値は半分近くに JOBS FOR THE FACELIFT マイナーチェンジ時に望むこと ●ステアリングとギアシフトには改善の余地がある。 ●サウンドに刺激が足りない。 ●ホイールアーチのエクステンションをメタル製にしてほしい。 まで下がるだろう。中古のR26の価格を見ると、これは まったくあり得ない話とはいえない。 TOP FIVES RENAULT MÉGANE R.S. ルノー・メガーヌR.S. ホッテスト・ファイブ VOLKSWAGEN GOLF GTI FORD FOCUS ST-2 フォルクスワーゲン・ゴルフGTI フォード・フォーカスST-2 SUBARU WRX S SEAT LEON FR スバルWRX S セアト・レオンFR 車輌価格 385.0万円 368.0万円 邦貨換算約350万円 邦貨換算約320万円 邦貨換算約300万円 最高出力 250ps/5500rpm 211ps/5300-6200rpm 225ps/6000rpm 255ps/5600rpm 210ps/5300rpm 最大トルク 34.7kgm/3000rpm 28.6kgm/1700-5200rpm 32.6kgm/1600rpm 39.8kgm/3000rpm 28.6kgm/1700rpm 0-100km/h加速 6.1秒 (0-100km/h) 6.7秒 6.9秒 5.9秒 7.2秒 (0-100km/h) 250km/h 240km/h 235km/h 209km/h 228km/h 11.9km/ℓ 13.0km/ℓ 10.8km/ℓ 8.7km/ℓ 13.7km/ℓ 1430kg 1400kg 1317kg 1395kg 1320kg 195g/km 170g/km 224g/km 270g/km 170g/km 最高速度 燃料消費率(欧州/混合) 車輌重量 (公称値) CO₂排出量 われわれはこう考える 結論 これまでよりも大人びたクルマだが、 ドライ きわめて完成度の高いホッ トハッチだが、 ホッ トハッチというよりGTに近いが、 相変わ ニッチなチョイスだが、4WDの安定性が ビングは刺激的。 シャープネスに関しては今一歩。 らず素晴らしい。 だが維持費は安くない。 得られる唯一のクルマ。 ★★★★★★★★☆☆ ★★★★★★★★☆☆ ★★★★★★★★☆☆ ★★★★★★★☆☆☆ 基本的にはスペイン製のボディを持つゴ ルフGTI。悪くないが、 洗練性に欠ける。 ★★★★★★★☆☆☆ www.autocar-mag.com 075
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