逐次伝達法による 散乱波の解析 G05MM050 本多哲也 背景 散乱問題を解析する手法 逐次伝達法 伝達線路行列法 有限要素法 逐次伝達法は境界条件に特徴があり、散 乱波の解析に有効 目的 散乱波(スカラー波)の解析にお ける逐次伝達法の有効性を示す 適用例 単色電子源 ナノワイヤ 散乱問題 ヘルムホルツ方程式 1 2 2 2 2 ( 2 2 2 ) 2 0 2 x y z 2c 入射波 透過波 反射波 散乱方程式 散乱体 1 2 2 2 2 ( 2 2 2 ) v( x, y, z ) 2 0 2 x y z 2c 散乱ポテンシャル 散乱方程式のフーリエ級数展開 1 2 2 2 2 ( 2 2 2 ) v( x, y, z ) 2 0 2 x y z 2c フーリエ級数展開 一次元問題に!!! 1 d2 U ( z ) V ( z )U ( z ) ・・・(*) 2 2 dz U ( z ) pq , 2 02 V ( z ) k G E V ( z ) 1 0 2 m 2 2 V ( z) V-1 ( z ) V0 ( z ) k G1 E 2m チャネルについて チャネルとは 入力時、出力時の波 動の形を表現したも の (多数の形を持って いる) q channel p channel (入力チ ャ ネル) (出力チ ャ ネル) q=1 p=1 q=2 p=2 q=3 p=3 各チャネルごとの振幅 p q 散乱体 入射波 1 q p q 2 反射波 p q透過波 p z q 3 U ( z ) pq p1q1 p2 q1 p q p q 1 2 2 2 Z軸の離散化とSの定義 1 d2 U ( z ) V ( z )U ( z ) ・・・(*) 2 2 dz Z軸を離散化し、差分化 S ( z p ) U ( z p )1U ( z p1 ) 基礎方程式 1 S ( z p1 ) {b( z p ) a( z p )S ( z p )} c( z p ) ・・・(**) 式(**)より S の値が逐次決定 ・・・・ ・・・・ S(z0) S(z1) S(z2) 0 1 2 3・・・・ p-1 境界条件 S(zl-1)S(zl) p P+1 ・・・・ l-1 l S(zl+1)(右端) l+1 z 逐次伝達法の汎用性 1 S ( z p1 ) {b( z p ) a( z p )S ( z p )} c( z p ) 利点 散乱ポテンシャルの変化 を係数行列a,b,cに取り込 むことが可能 さまざまなシステムにつ いて適用可能 2 h2 a( z p ) a p I V ( z p1 , E ) m 6 2 2 5h 2 b( z p ) b p I V ( z p , E) m 3 2 h2 c( z p ) c p I V ( z p 1 , E ) m 6 境界条件 どのような入射波に対しても S ( z右端 ) e pq ik p h が成立!!! k p:各チャネルでの波数 :z軸の分割幅 h 入射・反射・透過波を完全に 分離することができる 単色電子源 AlGaAs層とGaAs層とでヘ テロ接合を作成 AlGaAs層にSiをドーピン グ 制御用ゲートを負に帯電 単色電子源を作成 共鳴透過 ゲート 相殺される!! 共鳴透過 界面 ゲート 透過波 反射波 界面において透過、 反射が繰り返され、 多重散乱が起こる 電子があるエネルギー のときにだけ透過する 電子波の振幅 (ⅰ) 電子の進行方向 Z LL= 50[nm] LR= 50[nm] Ltot=210[nm] (ⅱ) 電子の進行方向 Z LL= 50[nm] LR= 50[nm] Ltot=215[nm] 透過率 (ⅰ) E=35.5[meV]のとき 共鳴透過発生 (ⅱ) E=38.4[meV]のとき 共鳴透過発生 滞在時間τ b 2 P ij dz j a i L 2 Fin m i h Fin |Ψij|2 (入射した電子の量) (電子の存在確率) Fin * Pj j Z 0 b a Pj(グラフの面積) j Pj Fin 滞在時間τ (ⅰ) τ=0.27[ps] (ⅱ) τ=0.11[ps] 滞在時間短縮の理由 (ⅰ) 遅 速 電 子 の 速 度 遅 速 遅 (ⅱ) W 速 遅 速 遅 (P:運動量 P = mv2) 運動エネルギー ゲート間の長さ 速 ゲート間の長さが長いほうが 運動エネルギーが大きくなり、 電子の速度が速くなる。 結論 スカラー波の散乱の解析に逐次伝達法が有効 ・電子波の散乱に対して散乱ポテンシャルの変化に対応 ゲート形状の最適設計が可能 ・入射・反射・透過波を分離可能 滞在時間の計算が可能 ナノワイヤ ワイ ヤ部 端子部 電子の進む方向 端子部 高柳邦夫「ナ ノ構造 魔法 数7のラセン 多層シェル・ナ ノワイヤ」 固体物理,37 巻,3 号, P27 ~34 (2002) 今後の展開 (ⅰ) 単色電子源について 不純物散乱の効果を取り込み解析 (ⅱ) ナノワイヤについて ねじれの効果を取り込み、逐次伝達法により解析 ベクトル波、テンソル波の散乱に 対しての逐次伝達法の有効性
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