知的生産活動における創造性支援に関する基盤的研究 - 「科学技術振興

知 的生産 活動 における創造性支援 に関す る基盤 的研究
I
プラ ンニ ング機能 によ り創造的思考 とそれに関わ る情緒過
試験 研 究 の全 体計 画
近年 の情報 システムの飛躍的 な発展 は,知 的生産活動 に
程 を解明 し, 2人 のエー ジェントの間 で対話を交わ しなが
ら協調的 にプラ ンを達成す る システムを開発す る。さらに
電子的情報だけでな く物理的 なアクションやオペ レーショ
おける創造性 に大 きな影響を与えてお り,情 報 システムを
ンを共有 し利用 できるような協調的創造活動支援環境 を構
1.研 究の趣 旨
,
有効 に活用 して,個 人あるいは組織 としての知 的生産活動
築する。
における創造性を支援す るための方策,技 術等 に関す る研
②
究 の必要性が強 く指摘 されて い る。また,一 方 で我 が国 の
科学技術力 の向上 に伴 い,知 的生産活動,特 に研究開発 の
マ ネ ジメン ト技術 の体系化 についての重要性が高ま ってい
る。
こ うした ことを背景 として,創 造性支援 のための システ
構成的理論 に基 づ く知的 コ ミュニケー シ ョンのモデル
化 に関する研究
コンピュー タ上で知的 コ ミュニケ ーシ ョンを実現す るた
めに,情 報を作 り出す ことによる会話 の理解 という観点か
ら知的 コ ミュニケーシ ョンを分析 し,さ らに構成的理論 に
ム として,内 在化 された個人情報 を外在化 させたイ ンター
基づ くコ ミュニケーシ ョン行為 の総合的 モデルを構築 し
その妥当性を コンピュー タ上でプ ロ トタイプ システ ム とし
フェイスの概念 や,典 型的な創造活動である研究開発につ
て実装す ることによ り検証す る。
いて研究者 の価値観等を内在化させた新 たなマネジメント
・
システ ムの概念等 が重要 な研究課題 となっている。
(2
本研究 は,知 的生産活動 における個人及び組織 の創造過
,
個人的・ 協調的創造活動 の支援技術 に関す る基盤 的研
究
①
個人情報 の外化 とその共有・ 利用 のための支援技術 に
程等 についての基礎理論及び これ らに関す る知見の統合化
を行 うとともに,創 造性を総合的 に支援す るツール,手 法
関す る研究
人間 の創造的知的活動を支援す る知 的情報環境を,個 人
及 びマ ネ ジメン ト・ システム,さ らに研究開発 における創
造性を支援す る数値 シミュレーシ ョン手法等 に関す る研究
知識 の外化 と蓄積を中核 に して実現す るために,個 人知識
開発 を行 い,知 的生産活動 の創造性支援 に資す ることを目
を日常的 に外化 し蓄積す るための支援 ツールを開発す る。
また,複数 エー ジェントの並行協調動作 による分散問題解
標 としている。
決 モデルを道具提供 の立場に立 って発展 させ,利 用者 の創
2.研 究概要
造的活動を積極・ 総合的 に支援す る知的 ヒューマ ン・ イ ン
ター フェイスの基盤技術を確立す る。
本研究 は,第 I期 の研究成果及び評価を踏まえ,人 間 の
② 多様なイメージ伝達様式に関する研究
創造活動を支援す る システムの基盤的技術 の研究,研究開
イメージの表現 とそのフィー ドバ ックによるイメージの
発組織における創造活動をマネ ジメン トサイ ドか ら支援す
る システムの基盤技術 の研究及び科学技術分野における知
修正・ 精緻化作業 の連環 のため,仮 想的 な作業空間を導入
しイメージ通 りの迅速なモデル構築及 びその リア リティに
的生産活動を支える数値 シュ ミレーシ ョンを支援す るシス
テ ムに関す る研究 の 3つ を大 きな柱 として,以 下 の研究を
富 んだ体験を可能 とす る 3次 元形状創生及び潜在構造発見
実施す る。
③
1.外 在化 された個人情報 をもとに創造活動を支援す る シ
創造的活動 に専念す るための環境構築を目的 として,複
数 の手段 を協調 して利用す るマルチモーダル対話 による支
ステムに関す る基盤的研究
(1)個 人情報 の外化方略 と創造的協調活動 に関す る基盤的
研究
①
のための研究開発を行 う。
マルチモー ダル対話 による支援技術 に関す る研究
援 ツールの技術開発を行 う。
④ 外化情報 の収集検索 のための支援技術 に関す る研究
個人情報 の外化 とその共有・ 利用 に関す る研究
外化情報を収集 し検索 で きる システム技術 の基礎的研究
個人 が内的 に持 っている様 々な情報 を外化 し,そ れを有
と実際 のシステム作成,評 価活動を通 じて研究者 の創造的
効 に利用 して知 的創造活動を支援するための情報環境を構
認知活動を支援す るための基盤的研究を行 う。
築す る。特 に個人情報外化 のための知的 コ ミュニケーシ ョ
ンの ツール と協調的 な知的創造性活動 のためのツール との
2.研 究開発組織 の創造活動をマ ネジメ ン トサイ ドか ら支
プ ロ トタイプの開発 と評価 を行 う。また, これまでに提案
された心理 モ デルに基づ き,創 造的な思考 に関 して重要 な
(1)研 究開発 の知的生産活動 に関す る基礎的研究
① 統合的戦略形成のための意志決定
援す る システムに関す る基盤 的研究
―-155-―
第 I期 に市場性 ,経 済性 ,社 会性,国 際性 などのニーズ
側 の論理 も踏 まえ分析を進めてきた統合的戦 略 のあ り方 を
再整理す るとともに,戦 略形成 のための意志決定行動 の実
態的調査 と関連す る情報処理資源 の詳細 な分析 を行 い,行
動学的 に実態 を解明す る。
② 研究開発 ヒューマンウェアの構造 と動態
第 I期 で開発 した方法論 にて様々な研究開発組織 の組織
構造や組織過程 の特徴 を知的成果物 データベースの解析 に
よ り構造化 し,全 体的な視野の もとに総合的な知見を得る。
③ 研究開発行動 と研究開発資産の測定
第 I期 で試行的 に開発 した研究行動 の調査方法を整備 し
継続的 に多数 の研究開発事例 について途上測定を行 い, こ
,
盤的研究
(1)並 列 プ ロ グラム開発 のための能動的支援方策 の研究
① 汎用並列プログラミング言語 に関する研究
数値 シミュレーションの並列化計算環境への移行を容易
とし,創 造的研究開発支援 に資す るため,汎 用並列 プ ログ
ラミング言語の確立及びその処理系 とシミュレータの製作
並びに自動並列化 システムの開発 を行 う。
② 並列 プログラミング開発支援 システムに関す る研究
プ ログラム並列化作業において,プ ログラムの細粒度か
ら中/粗 粒度まで複数 のレベルで並列化するために必要 な
プログラムの解析情報 の抽出を行 い,人 間 の並列性認識能
れ らの分析 を通 じて, “
技術的 Sカ ー ブ"等 にて知的生産
力を補 う機能 を備えた能動的並列化支援 のための可視化 シ
ステムの研究開発を行 う。
活動を定量的 に評価す る方法論 を体系化す る。
(動
(2
知的ネッ トヮー クの構造 と機能
研究開発 において生産活動 を担 う実態的側面を,組織間
及 び組織構成員 のネ ッ トヮー クに注 目 し,そ の統計的分析
を通 じて知的生産性の高度化 に寄与す る最適なネットワー
クの類型 を提示す る。
13)研 究開発 マ ネジメ ン トの体系化 に関す る基礎的研究
①
研究開発 マ ネ ジメン ト支援 ツールの技法化
ヒューマ ン・ コンピュー タ共同作業を基本的アプ ローチ
とし,研 究開発 の知的生産活動 の うち,戦 略形成 のための
感性支援 ツール,テ ーマ生成 のための発散的思考 ツール と
収東的思考 ツール,開 発状況 の 自己判断 ツール等 の手法 の
数値 シミュレーションとCADの 融合 による創造性支
援 に関す る研究
① CADデ ータに基づ く大規模計算格子 の生成 に関す る
研究
航空機 の形状定義 に通常用 い られて い る CADシ ス テ ム
の出力をベースに した計算格子生成 システムのプ ロ トタイ
プを開発す ることにより,航 空機空気力学 の研究 に資す る
ことを 目的 とした 3次 元計算格子生成 のための応用 ソフ ト
ウェアを開発す る。
②
創造性支援 のための数値 シミュ レーション後処理 シス
テムに関す る研究
開発 を行 う。
統合的 な数値 シミュレーシ ョンシステムの要素 として後
処理 システムを構築す るため,よ リユ ーザー フレンドリー
・ データベースの設計とマネジ
② 研究開発マネジメント
なマ ンマシンイ ンター フェイスの開発 とネ ットヮー ク環境
メント技法 の体系化
研究開発 マ ネ ジメント支援 ツール・ デー タベース・ シス
テ ムが実践的効果的 に機能す るように,デ ー タベースの内
下 にお ける後処理 ソフ トウェアの利用 について更 なる研究
部論理構造お よびユーザー とのイ ンター フェース構造 を具
体的 に提案す る概念設計を行 う。また,ユ ーザーの直面す
を進める。
③
CFDと CADの 融合 による形状最適化設計 に関す る研
究
る問題状況 および支援 ツールを構造イ粉 析をすることによっ
て マネ ジメント支援 ツールを体系化す る。
CFD(計 算流体力学 )を 用 いた流体性能計算 デ ー タを
船舶設計 CADに フィー ドバ ックし,船 型をパ ラメ ー タ的
に制御す ることによって,船 舶 の流体力学的性能を向上 さ
3.創 造的数値 シミュレーション支援 システムに関する基
せる技術開発 を行 う。
―-156-―
3.
年次計画
究
研
項
7
目
年
8
度
年
度
│
外在化 された個人情報 を もとに創造活動を支援す る シス テ
ムに関す る基盤的研究
(1)個 人情報 の外化方略 と倉1造 的協調活動 に関す る基盤的研究
個人情報 の外化 とその共有・ 利用 に関す る研究
ア.知 的 コミュニケーションと創造的協調活動に関する研究
①
イ.思 考・ 情緒過程からの言語 の深層構造 の生成 に関す
る研究
知的 コ ミュニケーシ ョ ン・ ツール の開発
協調的 プラ ンニ ング 0シ ステ ムの開発
│
ウ.協 調的創造活動 におけるオペ レーションに関する研究
② 構成的理論 に基づ く知的 コ ミュニケーシ ョンのモデル
協調 的支援 シス テ ムの構築
プ ロ トタイプシステ ムの実装
化 に関す る研 究
(2
個人的・ 協調的創造活動 の支援技術 に関す る基盤 的研究
① 個人情報 の外化 とその共有・ 利用 のための支援技術 に
関す る研究
ア.個 人情報 の外化 と蓄積 のためのイ ンター フェイスに
関す る研究
イ.協 調 エージェント機能を持 ったアクテ ィブ・ メデ ィ
アの部品化 と構築環境 の研究
多様 なイメージ伝達様式 に関す る研究
②
│
3次 元 ア クテ ィブ・ メデ ィアの研究
│
形状創生・ 潜在構造発見 の手法開発
③ マルチモーダル対話による支援技術に関する研究
④ 外化情報の収集検索のための支援技術に関する研究
研究開発組織の創造活動をマネジメントサイ ドから支援す
る システムに関す る基盤的研究
(1)研 究開発 の知的生産活動 に関す る基礎的研究
情報処理機器支援 システ ムの開発
プ ロ トタイプ・ デー タ・ ベースの統合的研究
│
統合的戦略の為 の意思決定行動 の解明,構 造化技法
による事例の分析研究,及 び研究行動調査方法 によ
る定量的評価法の確立 │
組織 の最適 ネットヮー クの抽出研究
知的ネ ットヮー クの構造 と機能
(幼
外化支援 ツール・ 是考支援環境 の実現
(3)研 究開発 マ ネ ジメントの体系化 に関す る基礎的研究
研究開発 マネ ジメン ト支換 システムの開発 ,及 び支
援 ツール・ デー タベースの概念設計
創造的数値 シ ミュレーシ ョン支援 システムに関す る基盤的
研究
(1)並 列 プ ログラム開発 のための能動的支援方策 の研究
汎用並列 プ ログラミング言語 に関す る研究
並列 プ ログラム開発支援 システ ムに関す る研究
①
②
(0
ンパ イ ラの実現
自動汎用並列化
中/粗 粒度並列化 の機能 モジュール開発
数値 シミュレーションと CADの 融合 による創造性支援
に関す る研究
①
CADデ ータに基づく大規模計算格子の生成に関する
研究
② 創造性支援のための数値 シミュレーション後処理 シス
テムに関す る研究
③
CFDと CADの 融合による形状最適化設計に関する研究
3次 元計算格子生ガ ソフ トウェア開発
│
マ ンマシンイ ンターフェイスの開発 とネッ トヮーク
環境下利用研究
│
│
CFD数 値 シミュレーション結果の CADフ ィー ドバック化
研究推進
所
要
経
費
(合
142百 万 円
計)
―-157-―
101百 万 円
Ⅱ 平成 8年 度 にお ける実施体制
研
究
項
目
担
当
機
関
研究担 当者
外在化 され た個人情報 を もとに創造 活動 を支援 す る シス
テ ム に関す る基盤 的研究
(1)個 人情報 の外化方略 と創造的協調活動 に関す る基盤 的
研究
① 個人情報の外化とその共有・ 利用 に関す る研究
ア.知 的 コ ミュニケーションと創造的協調活動 に関す 中京大学情報科学部
る研究
イ.思 考・ 情緒過程か らの言語 の深層構造 の生成 に関 九州工業大学情報工 学部
戸
田 正
岡
田 直 之
安
西
中
島 秀
之
三
宅
雄
田
中
永
村
伊
藤
志
村
直
する研究
ウ。協調的創造活動 におけるオペ レーションに関す る 慶応義塾大学理工学部
研究
② 構成的理論 に基づ く知的 コ ミュニケーションのモデ 通商産業省工業技術院電子技術総合研
ル化 に関す る研究
究所
祐一郎
(2 個人的・ 協調的創造活動の支援技術に関す る基盤的研
究
① 個人情報 の外化 とその共有・ 利用 のための支援技術
に関す る研究
ア.個 人情報 の外化 と蓄積 のための イ ンター フェイス
中京大学情報科学部
に関す る研究
イ.協 調 エー ジェン ト機能を持 ったアクテ ィブ・ メデ ィ 北海道大学工学部
アの部品化 と構築環境 の研究
② 多様 なイメージ伝達様式 に関する研究
通商産業省工業技術院生命工学工業技
芳
譲
寧
一
術研究所
樹
夫 也 彦
達 義
働政策科学研究所
温 晃 和
科学技術庁科学技術政策研究所
0)研 究開発マネジメントの体系化に関する基礎的研究
和
木 尾
い三菱総合研究所
(2 知的ネットヮークの構造 と機能
昭
島 田 熊
(1)研 究開発 の知的生産活動に関する基礎的研究
水 永 大
③ マルチモーダル対話 による支援技術 に関す る研究
郵政省通信総合研究所関西支所
④ 外化情報 の収集検索 のための支援技術に関する研究 日本科学技術情報 セ ンター
研究開発組織の創造活動をマネジメントサイ ドか ら支援
するシステムに関する基盤的研究
創造的数値 シミュレーション支援 システムに関す る基盤
的研究
援 に関する研究
① CADデ ータに基づ く大規模計算格子 の生成に関す 科学技術庁航空宇宙技術研究所
る研究
② 創造性支援 のための数値 シミュレーション後処理 シ 文部省宇宙科学研究所
ステムに関する研究
③ CFDと CADの 融合による形状最適化設計に関する 運輸省船舶技術研究所
研究
4
研究推進
科学技術庁研究開発局
-158-
岩
宮 敏
夫 樹
① 汎用並列プ ログラミング言語 に関する研究
京都大学工学部
ロ
ム
② 並列 プ グラ 開発支援 システムに関する研究
日本電気船
(2)数 値 シミュレーションとCADの 融合による創造性支
野 妹
(1)並 列 プ ログラム開発のための能動的支援方策の研究
幸
藤 井
孝
蔵
玉
良
明
児
Ⅲ 研究推進委員会
委
○戸
員
田 正
所
直
祐一郎
安
西
飯
沼 一
生
夏
遠
藤
隆 也
海
保 博
寧
情報科学部教授
慶應義塾大学 理 T学 部教授
元 榊 日本電機
小野寺
永 村
中京大学
研究開発技術本部長
日本科学技術情報 セ ンター 研究基盤情報部長
NTTア ドバ ンステクノ ロジ榊 HITセ ンタ所長
之
筑波大学
一
通商産業省 工業技術院生命工学工業技術研究所部付主任研究官
科学技術庁 科学技術政策研究所第 1研 究 グループ総括主任研究官
心理学系教授
野
中 郁次郎
平
澤
冷 東京大学
松
井
好 立教大学 社会学部教授
三
好
甫 働高度情報科学技術研究機構
山之内 昭
属
教養学部教授
夫 大東文化大学
次長
経済学部教授
(注 :○ は研究推進委員長 )
―-159-―