平成 26 年 5 月 26 日 No.460 取引相場のない株式等の評価に用いる法人税率に関する改正 平成 26 年度の税制改正において復興特別法人税の廃止等が決定されたことにより、取引相場のない株式等の評価方 法の一つである純資産価額方式において用いる法人税率等の合計割合に関して改正が行われましたのでご紹介します。 1. 相続、遺贈又は贈与により取得した取引相場のない株式等の評価 取引相場のない株式を相続、遺贈又は贈与で取得した場合、上場株式のように客観的な取引価格がありません。ま た、取引相場のない株式を発行している会社の事業規模は大小様々であり、その株主構成も様々で株主相互間の実質 的な会社に対する支配力にも大きな差があります。このため、取引相場のない株式の評価にあたっては、財産評価基 本通達に従いそれぞれ会社の規模等の実態に応じて原則的には類似業種比準方式、純資産価額方式及びその併用方式 によって評価することとされています。 2. 純資産価額方式の計算方法 今回税率について改正のあった純資産価額方式の計算は、次の方法により行われます。 1 株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額) ={総資産価額(相続税評価額によって計算した金額)-負債の合計額 -評価差額に対する法人税額等に相当する金額(*)}÷発行済株式数 (*)評価差額に対する法人税額等に相当する金額について 評価差額に対する法人税額等に相当する金額の控除を行うのは、個人が事業用財産を直接所有している場合と法人 の株式の所有という形で間接所有している場合においては所有形態が全く異なるため、両者に対する評価上の均衡を 図る必要があるためです。計算は以下の方法で行います。 評価差額に対する法人税額等に相当する金額 =(相続税評価額に基づく純資産価額-帳簿価額に基づく純資産価額) ×「法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」 (以下 「法人税率等の合計割合」といいます。 ) 3. 取引相場のない株式等の評価に用いる税率に関する改正の内容 平成 26 年度の税制改正において、平成26年4月 1 日以後に開始する事業年度から復興特別法人税が廃止される こと、また平成 26 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度から地方法人税が創設され、事業税、地方法人特別税、道 府県民税及び市町村民税の税率が改正されることとなりました。 これに伴い、純資産価額方式の計算における「法人税率等の合計割合」が 42%から 40%とすることとされました。 この改正は平成 26 年 4 月 1 日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した取引相場のない株式等の評価に適用されま す。 なお、法人税率等の合計割合の内訳は以下のとおりとなっています。 平成26 年3月31日 平成 26 年 4 月 1 日 平成26 年10月1日 内訳 以前税率 以後税率 以後税率 法人税 25.5% 25.5% 25.5% 復興特別法人税 2.55% - - 法人税 地方法人税 - - 1.1% 事業税 5.3% 5.3% 6.7% 事業税 地方法人特別税 4.293% 4.3% 2.9% 1.275% 1.3% 0.8% 道府県民税 市町村民税 合計 法人税率等の合計割合 3.1365% 42.0545% 42% 3.1% 39.5% 40% 2.5% 39.5% 40% (担当:播磨 宏美)
© Copyright 2024 ExpyDoc