日本基準トピックス

日本基準トピックス
「法 人 税 、住 民 税 及 び事 業 税 等 に関 する会 計 基
準(案)」の公表(ASBJ)
2016年11月10日
第312号
■主旨

2016年11月9日、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)は、企業会計基準公開草案
第59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」(以下、「本公開草
案」)を公表しました。

ASBJは、日本公認会計士協会(以下、「JICPA」)が公表している監査・保証実務委員会
実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」(以下、「監
査保証実務指針第63号」)等において定められている、我が国の法令に従い納付する
税金のうち、法人税、地方法人税、住民税および事業税(以下、「法人税、住民税お
よび事業税等」)に関する会計処理および開示等について、基本的にその内容を踏
襲した上で表現の見直しや考え方の整理等を行い、本公開草案を公表しています。

本公開草案は、最終基準(以下、「本会計基準」)について、その公表日以後適用する
ことを提案しています。

原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/exposure_draft/tax/index.shtml
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1.経緯
我が国における税効果会計に関する会計処理の原則および手続を定めた会計基準や
実務指針等として、企業会計審議会から公表された「税効果会計に係る会計基準」(以下、
「税効果会計基準」)に加えて、JICPA から会計上の実務指針および監査上の実務指針が
公表されています。従来、税効果会計に関する財務諸表の作成実務は、これらの会計基準
や実務指針等に基づいて行われてきました。
2013 年 12 月に開催された第 277 回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より ASBJ
に対して、JICPA における税効果会計に関する会計上の実務指針および監査上の実務指針
(会計処理に関する部分)について、ASBJ への移管の審議を行うことが提言されました。こ
れを受けて、ASBJ において審議を重ねて、2015 年 12 月に、利害関係者の問題意識が特
に強く聞かれた繰延税金資産の回収可能性に関する部分について、先行して企業会計
基準適用指針第 26 号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」が公表されまし
た。
その後、当該適用指針に含まれなかった部分については、ASBJ への移管の審議が継続し
て行われています。監査保証実務指針第 63 号についても税効果会計に関連するものとし
て、ASBJ の会計基準として開発されることとなりました。
1
2.概要
(1)目的
本会計基準は、主として法人税、住民税および事業税等に関する会計処理および開示を
定めることを目的とします。
(2) JICPA が公表している実務指針等の移管の範囲
JICPA で現在公表している実務指針等のうち、具体的に移管の対象としている会計上および
監査上の実務指針等は次のとおりです。
①
②
監査保証実務指針第 63 号
税効果会計に関する Q&A(会計制度委員会)のうち、税金の会計処理および開示に
関する部分
③
法人事業税における外形標準課税部分の損益計算書上の表示についての実務上の
取扱い(実務対応報告第 12 号)のうち、事業税(付加価値割および資本割)の開示
3.本公開草案の内容
(1) 本会計基準の適用についての取り扱い
本公開草案は、基本的には、監査保証実務指針第 63 号等における会計処理および開示
に関する部分について、基本的にその内容を踏襲した上で、表現の見直しや考え方の整
理等を行っており、実質的な内容の変更を意図していません。そのため、本公開草案では、
本会計基準の適用については、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しないも
のとして取り扱うことを提案しています(本公開草案第 19 項)。
(2) 範囲
本公開草案は、連結財務諸表および個別財務諸表における、以下の事項を適用範囲とす
ることを提案しています(本公開草案第 2 項)。
 我が国の法令に従い納付する税金のうち、法人税、住民税および事業税等に関する
会計処理および開示
 我が国の法令に従い納付する税金のうち、受取利息および受取配当金等に課される
源泉所得税に関する開示
 外国の法令に従い納付する税金のうち、外国法人税に関する開示
なお、本公開草案では、特に明示されていない限り、個別財務諸表における会計処理およ
び開示を想定しており、連結財務諸表における会計処理および開示は、個別財務諸表に
おける取り扱いに準じて行うことを提案しています。
(3) 会計処理
① 当事業年度の所得等に対する法人税、住民税および事業税等(*1)(本公開草案第 4
項)
本公開草案では、法令に従い算定した額(税務上の欠損金の繰戻しにより還付を請求
する法人税額および地方法人税額を含む)を損益に計上することを提案しています。
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② 更正および修正申告(以下、「更正等」)による追徴および還付
本公開草案では、過年度の所得税等に対する法人税、住民税および事業税等につい
て、更正等により追加で徴収される、または、還付される場合には、企業会計基準第 24
号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下、「企業会計基準第 24
号」)第 4 項(8)に定める誤謬に該当するときを除き、以下のように会計処理することを提
案しています。
*1 「所得等に対する法人税、住民税および事業税等」には、所得に対する法人税、地方
法人税、住民税および事業税(所得割)(以下、「法人税、地方法人税、住民税および事業
税(所得割)」)のほかに、住民税(均等割)および事業税(付加価値割および資本割)を含むも
のとする。
追徴される場合(本公開草案第 5 項)


更正等により追加で徴収される 可能性が高
く 、当該追徴税額を合理的に見積もることが
できる場合、原則として、当該追徴税額を損益
に計上する。
追徴に伴う延滞税、加算税、延滞金および加
算金は、当該追徴税額に含めて処理する。
還付される場合(本公開草案第 6 項)

更正等により還付されることが 確実に見
込まれ 、当該還付額を合理的に見積る
ことができる場合、当該還付税額を損益
に計上する。
なお、本公開草案では、過年度の所得等に対する法人税、住民税および事業税等に
ついて、更正等により追徴税額を納付したが、当該追徴の内容を不服として法的手段を
取る場合において、還付されることが 確実に見込まれ 、当該還付税額を合理的に見積
ることができる場合、企業会計基準第 24 号第 4 項(8)に定める誤謬に該当するときを除き、
当該還付税額を損益に計上することを提案しています(本公開草案第 7 項)。
(4) 開示
本公開草案では、以下のように提案しています。
① 当事業年度の所得等に対する法人税、住民税および事業税等
(図表
の部分)
(a)損益計算書の表示
法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)
(本公開草案第 8 項)

税引前当期純利益(または損失)の次に、法人
税、住民税および事業税など、その内容を示す
科目をもって表示する。
事業税(付加価値割および資本割)
(本公開草案第 9 項)

原則として、販売費および一般管理費と
して表示する。ただし、合理的な配分方
法に基づきその一部を売上原価として
表示することができる。
(b)貸借対照表の表示
 法人税、住民税および事業税等のうち、納付されていない税額は、流動負債の区分
に、未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示する(本公開草案第 10 項)。
 法人税、住民税および事業税等の税額が、中間申告により納付された税額を下回る
場合等により還付されるとき、当該未収還付税額は、流動資産の区分に、未収還付法
人税等などその内容を示す科目をもって表示する(本公開草案第 11 項)。
② 受取利息および受取配当金等に課される源泉所得税(本公開草案第 12 項)
(図表
の部分)
 法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、損益計算書の営業外費用
として表示する。ただし、当該金額の重要性が乏しい場合、法人税、地方法人税、住
民税および事業税(所得割)に含めて表示することができる。
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③ 外国法人税(本公開草案第 13 項)
(図表
の部分)
法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額について、以下のように取り扱う。
利益に関する金額を課税標準とする税額

法人税、地方法人税、住民税および事業税
(所得割)に含めて表示する。
利益に関する金額を課税標準とする税額以外

内容に応じて、損益計算書の売上原価、
販売費および一般管理費または営業外費
用として表示する。
④ 更正等による追徴および還付
(図表
の部分)
(a)損益計算書の表示
法人税、地方法人税、住民税および事業税(所得割)
(本公開草案第 14 項)

法人税、地方法人税、住民税および事業税(所
得割)を表示した科目の次に、その内容を示す
科目をもって表示する。ただし、当該金額の重
要性が乏しい場合、法人税、地方法人税、住民
税および事業税(所得割)に含めて表示すること
ができる。
事業税(付加価値割および資本割)
(本公開草案第 15 項)

原則として、販売費および一般管理費
として表示する。ただし、合理的な配
分方法に基づきその一部を売上原価
として表示することができる。
(b)貸借対照表の表示
 法人税、住民税および事業税等の更正等による追徴税額うち、納付されていない税
額は、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税および事業税等のうち納付され
ていない税額に含めて表示する(例えば、未払法人税等)(本公開草案第 16 項)。
 法人税、住民税および事業税等の更正等による還付税額のうち、受領されていない
税額は、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税および事業税等の還付税額
のうち受領されていない税額に含めて表示する(本公開草案第 17 項)。
(図表)
本公開草案において提案されている損益計算書における表示個所のイメージ(原則的な処理の場合)
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4.適用時期等
本公開草案は、監査保証実務指針第 63 号等における会計処理や開示に関する部分につ
いて、基本的にその内容を踏襲した上で、表現の見直しや考え方の整理等を行っており、
実質的な内容の変更は意図していないこととしています。このため、本公開草案は、本会計
基準については公表日以後適用することを提案しています(本公開草案第 18 項)。
なお、本公開草案では、同様の理由により、本会計基準の適用については、会計基準等の
改正に伴う会計方針の変更には該当しないものとして取り扱うことを提案しています(本公開
草案第 19 項)。
5.関連する実務対応報告等の取り扱い
本会計基準の公表に伴い、実務対応報告第 12 号は廃止することが予定されていま
す。
また、ASBJ は、JICPA に、監査保証実務指針第 63 号の改廃を検討することを依頼する
こととしています。
6.質問事項
本公開草案に対するコメント期限は2017年1月10日です。コメントの募集にあたり、コメント
提出者への質問として、以下の項目が挙げられています。
質問 1
当事業年度の所得等に対する法人税、住民税および事業税等に係る会計処理に関す
る提案に同意しますか。同意しない場合は、その理由をご記載ください。
質問 2
更正等による追徴および還付に係る会計処理に関する提案に同意しますか。同意しな
い場合は、その理由をご記載ください。
質問 3
本公開草案の開示に関する提案に同意しますか。同意しない場合は、その理由をご記
載ください。
質問 4
その他、本公開草案に関して、ご意見があればご記載ください。
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