夢の島熱帯植物館 ニュース vol.7 2013年 9月 【榎本館長からのメッセージ】 あっ!と言う間に早いもので、もう9月。猛暑!酷暑!暑すぎる!と言っていたのが嘘のように、時折吹く風には、心地 良い涼しさが感じられ、秋の気配を感じます。そんな秋と言えば、「読書・食欲・芸術」等々とありますが、今年はぜひ 「植物の秋」を加えてみてはいかがでしょうか。とても暑い日が続いた事により、パラグアイオニバスやスイレンなど、 熱帯の植物は今がとてもよい状態になっています。ぜひ秋の涼しさのなか、熱帯植物観賞をお楽しみください。 館長 福田樹木医の熱帯植物コーナー ▲ アリストロキア・ギガンテア (ウマノスズクサ科) 植物館に入ってすぐの券売所横で、変わった花に出会えます。この花はブラジ ル原産のウマノスズグサ科、蔓性常緑低木の「アリストロキア・ギガンテア」です。 赤褐色の巨大な花で、白い網目模様の入った花冠の真ん中には、黄緑色の袋が ついています。例年は行灯仕立ての植木鉢で室内展示をしていましたが、今年は 大きな株をグリーンカーテンに仕立て、屋外で大きく育てています。この大株は、 今年 6 月に井の頭自然文化園の熱帯鳥温室の閉園に伴い移植されたものです。 現地でのびのびと育っていたつる植物でしたが、掘り上げて運搬する際、根や 茎を大幅に切り落としました。表皮はコルク質で覆われているため運搬時に保護 材の役目を果たしましたが、部分的に折れ、中の繊維の束が見える姿で到着しま した。接ぎ木を当てて養生したところ、その先から新しいつるが一斉に伸び、現在 ではユニークな花を沢山つけて、連日お客様の目を楽しませています。とても強い 植物で驚かされました。暖かい季節だけ楽しめる花です。お早めにご覧下さい。 熱帯植物の紹介(植栽担当) 熱帯の果物で有名になってきた「スターフルーツ」は英名で、その名の通り 果実を横に切った断面が綺麗な星の形をしているところからつけられました。 和名は「ゴレンシ」と言い、漢字では「五稜子」と書きます。原産地は、古くから 栽培されてきたため、はっきりとしていません。今では、東南アジアを中心とし て世界中の熱帯・亜熱帯の各地で栽培されています。 植物自体は常緑で、高さが5~10メートルにもなりますが、枝は垂れ下が りやすく、優しく柔らかな印象をうけます。 花は小さく、色も薄ピンクではかなげですが、実は、それとは対照的で大きく しっかりとしていて、「この花からこの実がなります!」とは、想像がつきにくい かもしれません。これは、花の大きさは直径が6~9ミリ程と小さく、実は10セ ンチぐらいの大きさになるからです。果実は初め、小さく葉にまぎれてしまうよ うな薄い緑色をしていますが、やがて熟し、黄色く大きくなるにつれ、私たちが 知っている「スターフルーツ」の姿となります。 ▲ これから見ごろを むかえる実 ゴレンシの花 (カタバミ科) 今 月 の 花 と 果 実 ♪ この時期のお花たち ♪ 涼しさと共に、花の数が増え てきました。屋外では、色とり どりの熱帯スイレンや、夜咲 きのパラグアイオニバス、大 きなススキ?!のパンパスグ ラス。 温室では香りの良い マツリカやシクンシ、ハイビス カスもいよいよ元気いっぱい です。風鈴によく似たフウリン ブッソウゲが温室入り口でお 出迎えします。 ▲ステノカルパス・シヌアツス ▲ディコリサンドラ・ティルシフロラ ▲女王ヤシ 予告: 次回は 9/25 の発行予定です。
© Copyright 2024 ExpyDoc