放射線科学 - 慶應義塾大学医学部

放 射 線 科 学
慶應義塾大学医学部放射線科学教室では下記の要領により,専修医を募集する。
Ⅰ.専修医教育プログラムの名称
慶應義塾大学医学部放射線科学教室 後期臨床研修(専修医課程)プログラム
Ⅱ.対象
平成 26 年 3 月までに厚生労働省の定める所定の 2 年間の研修医課程を修了した者,もしくは
平成 26 年 3 月に修了予定の者。
Ⅲ.期間
平成 26 年 4 月より 4 年間。
Ⅳ.わが国における放射線科の現状と将来性
1980 年以降,全国の様々な病院で,放射線や核医学などを用いた画像診断装置,放射線治療装
置が爆発的に普及してきた。画像診断,放射線治療の重要性,またその需要は天井知らずの状態
である。現在の医療状況から,充実した専門性の高いトレーニングを受けていない医師が,画像
診断や放射線治療の業務を行うのは限界もあり,適切ではない。また,近年の画像診断の進歩は
著しく,充実した専門性の高いトレーニングを受けた医師による画像診断や放射線治療の業務の
必要性はますます高くなってきている。実際,関東地方中心に広がる慶應義塾大学の関連施設か
らの放射線科医の派遣要請は多く,需要に追いつかない状態である。われわれの医局では,広く
全般的な診断能力や放射線治療知識をもち,かつ高い専門性を兼ね備えた放射線科医を育成する
ことを目指している。
Ⅴ.研修プログラムの基本方針と特徴
画像診断、核医学、放射線腫瘍学(放射線治療)の各部門について修練を行い,高度の専門知識,
技術を習得し,放射線診療を行う専門医となることを目的とする。慶應義塾大学放射線科は放射
線診断科と放射線治療科の 2 つの部門が独立して診療・教育・研究を行っており、それぞれの部
門が日本医学放射線学会の専門医修練機関となっている。放射線診断科は,CT、MRI、超音波検
査 、 核 医 学 を 含 む 画 像 診 断 と、 放 射 線 診 断 装置 を 用 い た イ メ ー ジ ガ イ ド の治 療 手 技
(Interventional Radiology, 以下 IVR)を担当している。放射線診断学関連では,日本超音波
医学会専門医研修施設,日本 IVR 学会の専門医修練施設であり,様々な部門に種々の学会から認
定された専門医,指導医が診療,教育にあたっている。
放射線診断科では CT 7 台,MRI 5 台,超音波診断装置 7 台,消化管 X 線透視装置 3 台,血管
造影装置 2 台、および核医学診断装置 4 台を専有し,レベルの高い診断を行っており,日本最大
とも言われている外来患者数を背景として,20 人を越える専門医,指導医のもとで高いレベルの
画像診断学の経験,習得が保障できる。CT 部門では 1 台の 320 列 MDCT、3 台の 64 列 MDCT があり,
通常診療から冠動脈 CT を含めた最新の診療まで,日常的に経験できる。MRI 部門では 3T-MRI 装
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置を含め 5 台の MRI 装置を専有し、頭頚部,肝臓,腎泌尿器,婦人科臓器,胎児など,各部門に
学会をリードする専門家が指導に当たっている。超音波部門は大学病院の心臓,婦人科以外の超
音波検査をほぼ一手に引き受けており,この点もわれわれ放射線診断科の特筆すべき点である。
IVR 部門は日本有数の伝統があり,現在も 4 人の指導医のもとで血管系 IVR、非血管系 IVR とも
に基本手技から最先端の治療まで年間 850 例の IVR をもとに効率的な修練が期待できる。様々な
分野で他診療科の信頼を得ており,幅広くかつ密度の濃い経験ができることは間違いない。核医
学部門では核医学検査全般を担当し, 日本核医学会専門医教育病院として認定を受けている。日
本医学放射線学会専門医および日本核医学学会専門医双方の資格をもつ医師が指導にあたって
いる。慶應の核医学は年間約 8,000 件というわが国屈指の検査数を誇り、かつ、数十種類にも及
ぶ核医学検査のほとんどを網羅している。心臓核医学では,負荷心筋血流検査を専ら放射線科医
が行う数少ない施設であり,その検査数もわが国の大学病院で 5 指に入る。脳核医学では,統計
画像解析法を駆使した高度の診断を行っている。腫瘍核医学では,質の高い診断を目指した全身
SPECT 撮像を多く行い,またセンチネルリンパ節検査をルーチンで施行して外科の信頼を得てい
る。さらに大規模な PET センターが開設され,ポジトロン核医学にも力を注ぐ。
放射線治療部門ではほぼ全ての悪性腫瘍の放射線治療を各専門科との協力のもとに施行して
いる。新規登録患者数は年間約 1000 例と豊富な症例を背景に、乳癌、肺癌、前立腺癌、頭頸部
癌、婦人科癌など主要な疾患はもとより、全身ほぼすべての悪性腫瘍の放射線治療の習得を目指
している。また平成 20 年度の実績では頭頚部定位照射 17 例、肺の定位照射 31 例、前立腺の強
度変調放射線治療(以下 IMRT)31 例、前立腺癌の組織内照射 31 例などの実績からもわかるよう
に頭頸部・体幹部の定位放射線治療、IMRT、子宮腔内照射、全身照射、術中照射などの特殊放射
線治療についての習得も目標となる。併せて呼吸同期システムを含めた最新の治療機器を用いた
画像誘導放射線治療、や IMRT の応用的な治療法など最先端の治療法開発にも積極的であり、こ
れらの技術と考え方を習得できる。また、核医学部門とも協力してストロンチウム治療などの RI
内用療法も盛んである。更に固有の病床を有しているので、癌性疼痛対策など対症療法としての
放射線治療法も緩和ケアの一環として研修可能であり、様々な状況における患者管理を習得可能
である。このように関連各科と有機的に連携して、悪性腫瘍学を総合的に広く研修可能となって
いる。
Ⅵ.募集課程
以下のコースのいずれかを選択する。いずれのコースも,将来の専門医取得のため放射線診断,
放射線治療,核医学いずれも修練することになる。なお,最終的な専攻診療科(放射線診断科学,
放射線治療・核医学科学のいずれか)はコース開始後 19 ヶ月の時点で決定することになる。
Ⅰ.A コース
画像診断(核医学を含む)を中心に修練をするコース。
Ⅱ.B コース
放射線治療(放射線腫瘍学)を中心に修練するコース。
Ⅲ.C コース
入局時に診断学,腫瘍学のいずれにも興味があり,いずれかを決定できない場合のコー
ス。
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Ⅶ.教育内容
4 年間の臨床訓練により,日本医学放射線学会が実施している放射線専門医受験資格を得る。臨
床研修は原則として課程の初期においては慶應義塾大学病院での研修を行い,その後学会より修
練機関としての認定を受けている関連病院における研修が含まれる。その内容は選択したコース
や最終決定した専攻診療科により異なる。
Ⅰ.A コース
最初の 8 か月は核医学を含む放射線診断学を研修し、続く 12 ヶ月のうち 8 ヶ月は放射線
診断学、4 か月は放射線治療を研修する。この時点で専攻診療科を決定する。放射線診断科
を専攻した場合はさらに 4 か月診断部門を研修した後,
2 年間関連病院において実地の臨床
知識を身に付ける。
Ⅱ.B コース
最初の 4 か月は放射線治療を研修する。次の 16 か月は核医学を含む放射線診断学を研修
する。この時点で専攻診療科を決定する。放射線治療を専攻した場合はさらに 4 か月放射
線治療を研修した後,関連病院において実地の臨床知識を身に付ける。
Ⅲ.C コース
入局時に画像診断学、核医学、放射線治療のいずれにも興味があり,いずれかを決定で
きない場合のコース。順序は未定であるが,最初の 20 か月の内,16 か月は核医学を含む放
射線診断部門,4 か月は放射線治療部門を研修し,その後専攻診療科を決定する。その後は
その他のコースとまったく同様である。
カンファレンスについて
科の特性によって積極的に院内他科とのカンファレンスを行うとともに,院外の定期的な研究
会にもスタッフが世話人等に加わり,運営に携わっている。専修医や若手医局員は可能な限り参
加して,日常業務では得られない知識や情報を習得している。毎日行われる各部門の読影会を除
く主な院内のカンァレンスには以下のようなものが挙げられる。
*放射線診断学関連のカンファレンス
放射線診断科カンファレンス(週1回),ランチタイム症例検討会(週1回),信濃町画像
診断研修会放射線診断科主催の婦人科画像カンファレンス,整形外科画像カンファレンス,
心大血管画像カンファレンス,循環器内科画像カンファレンス。
脳外科,泌尿器科,一般消化器外科胃班,胆道班,呼吸器外科,呼吸器内科,血管外科,
小児外科(各々週1回),内視鏡センターカンファレンスへの参加。単科カンファレンスに
不定期に参加要請されることあり。
そのほか,関連病院カンファレンス(年2回)。
*治療学関連のカンファレンス
科内のカンファレンスとして朝カンファレンス(週1回),外来カンファレンス(週1回)。
脳外科,泌尿器科,呼吸器外科,耳鼻科,外科食道班(各々週1回)など各カンファレンス
への参加。がん疼痛緩和ケアカンファレンス(麻酔科,精神科,整形外科と合同,週1回)
その他,学外の参加者のある当科主催のカンファレンスとして,関連病院合同カンファレ
ンス(年3回),放射線治療談話会(隔月),放射線臨床物理研究会(月2回)。
留学について
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専修医研修終了後,本人の希望や専門領域を考慮して,積極的に国内外留学を行っている。
最近の国外留学は以下のごとくである。
USA
Harvard大学医学部 Brigham and Women's病院 放射線科学教室
血管造影,Interventional Radiology部門
MRI部門
Oregon Health Sciences University
放射線科
Dotter Interventional Institute 放射線診断学教室
M.D. Anderson Hospital and Cancer Center 放射線診断学教室
Harvard大学医学部 マサチュ−セッツ総合病院 放射線科学教室
GI部門
Pennsylvania大学医学部 放射線科
Harvard大学医学部 Beth Israel Deaconess Medical center 放射線科
Pulmonary functional imaging research
Stanford University Medical Center 放射線科 Cardiovascular Division
Cleveland Clinic
Department of Biochemistry, University of California
NASA Johnson Space Center
Radiation Biophysics Laboratory
ドイツ連邦
ベルリン自由大学 IDF (Institut fuer Diagnostikforschung)
フランス
トウールズラングエユ大学病院
放射線科
イギリス
Hammersmith Hospital
Ⅷ.指導医
1) 教室統括責任者
教室主任
栗林 幸夫 教授
(日本医学放射線学会専門医,日本血管造影 IVR 学会専門医)
専修医担当主任
藤原 広和 助教
(日本医学放射線学会専門医)
研修医担当主任
川田 哲也 専任講師
(日本医学放射線学会専門医)
2) 各診療科責任者
放射線診断科
栗林 幸夫 教授
(日本医学放射線学会専門医,日本血管造影 IVR 学会専門医)
放射線治療科
茂松 直之 教授
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(日本医学放射線学会専門医、日本放射線腫瘍学会認定医、
日本核医学会専門医、日本がん治療認定医)
3) 各診療科指導医(平成25年5月現在)
放射線診断科
栗林幸夫,杉野吉則,村上康二、大熊 潔,谷本伸弘,百島祐貴,押尾晃一,中塚誠之,
陣崎雅弘,奥田茂男,藤原広和,田波穣,杉浦弘明,屋代英樹,小黒草太, 秋田大宇,
塩見英佑, 中原理紀
放射線治療科
茂松直之,近藤 誠,川田哲也,川口 修,大橋俊夫,深田淳一, 関 智史, 白石 悠,
Ⅸ.参加協力施設
基幹病院:慶應義塾大学病院
参加協力施設:(独立行政法人国立病院機構は国立病院機構と略す)
茨 城 県:国立病院機構霞ヶ浦医療センター,水戸赤十字病院,国立病院機構茨城東病院
栃 木 県:足利赤十字病院,国立病院機構栃木病院,栃木県済生会宇都宮病院
埼 玉 県:国立病院機構埼玉病院,さいたま市立病院,埼玉社会保険病院
千 葉 県:亀田総合病院
東 京 都:伊藤病院,永寿総合病院,北里研究所病院,国際医療福祉大学附属三田病院
国立成育医療研究センター,国立病院機構東京医療センター,
国家公務員共済組合連合会立川病院,東京電力病院,
東京都保健医療公社大久保病院,東京都済生会中央病院,東京都立神経病院,
東京都立広尾病院,西台クリニック画像診断センター,日野市立病院,
日の出ケ丘病院,四谷メディカルキューブ
神奈川県:伊勢原協同病院,川崎市立井田病院,川崎市立川崎病院,けいゆう病院
国際親善総合病院,国立病院機構南横浜病院,済生会横浜市東部病院,
日本鋼管病院,平塚市民病院,大和市立病院
静 岡 県:静岡赤十字病院
(都道府県別/50 音順)
Ⅹ.問い合わせ先
慶應義塾大学医学部放射線診断科 藤原広和 慶應義塾大学医学部放射線治療科 川田哲也
〒160-8582 新宿区信濃町 35
電話:03-5363-3837(診断科医局直通)
03-5363-3835(治療科医局直通)
e-mail:[email protected]
[email protected]
詳しくは放射線科学教室ホームページ(http://rad.med.keio.ac.jp/)をご参照ください。
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