第20章 全熱交換器の方式比較

第 20 章
全熱交換器の方式比較
全熱交換器の基本方式
〈タイプ〉
静止形
(三菱ロスナイ)
〈方 式〉
〈エアフロー〉
〈本 籍〉
透過式
直交流
日 本
蓄熱蓄湿式
対向流
スウェーデン
世界で2方式
回転形
1. 回転形の原理構造
クラフト紙製等の積層ハニカム構造になったローター
と、その駆動モータならびにケーシングから構成されて
います。
ローターには吸湿材(塩化リチウム等)が多量に含浸され
湿度交換をしています。
ローターは駆動モーターにて毎分約8回転しています。
排気
約1.5φ
外気
パージセクター
電源AC200V50/60Hz
駆動モータ
原理は、例えば冷房の場合には高温・多湿の外気がロー
ターを通過する際にその熱と湿度がローターに吸収さ
れ、ローターは回転しているのでそのまま排気通路内へ
入ります。そこで冷房された排気が低温・低湿のため、
熱と湿度を放出します。
そして更にローターが回転して外気通路へ入ると再び熱
と湿度を吸収しこの作用が反復されます。
ローター
給気
外気
ベアリング
還気
パージセクター
排気
室内側
蓄熱蓄湿式である
駆動モータ
パージセクターの働き
ローターの前後には2つの空気の流れを分ける分離板が
ついていて、その一部が少しずらしてあるために外気の
一部が絶えず排気に流れ込むようになっていて、排気と
外気との混合を防いでいます。(圧力差のバランスが必要)
第 20 章
A
Vr
ローター回転方向
Vs
全熱交換器の方式比較
B
排気
パージセクターを設けると、
ローター内排気空気の給気側への進入をさけることができる。
Vr:ロータ速度,
Vs:逃がし機構内の空気速度
MEMO
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給気
〈第20章 全熱交換器の方式比較〉
2. 静止形と回転形の比較
2. 静止形と回転形の比較
●:大きく差がある ○:差がある ×:悪い
項 目
静 止 形
回 転 形
〈透過式直交流形〉
ハニカム状特殊加工紙を直交に重ね合わせ多層に形成した、静止形
の透過式全熱交換器
●給気と排気は交互に別々の通路(偶数段通路と奇数段通路)を通るた
め、完全に互いの空気通路はセパレートされている。
〈蓄熱・蓄湿式対向流形〉
吸湿材(塩化リチウム)を含浸させたクラフト紙等をハニカム状に形
成したロータエレメントを作り、これを回転させハニカム状通路に
排気・給気の空気を流すことにより、蓄熱・蓄湿-放熱・放湿させ
全熱交換を行う方式
×回転形のため給気と排気が同じ空気通路を交互に通る。
可動部
●なし
固定式エレメント
×有(ギヤーモータでローターをベルト駆動)
ローターエレメント(8min-1)
材 質
特殊加工紙
特殊加工紙・アルミ板等
必要(定期的清掃の必要あり)
必要(定期的清掃の必要あり)
構造・原理
エアフィルター
装 着
エレメントの
目詰まり
空気漏れ
ガスの移行率
細菌移行率
中間期の運転
メンテナンス
寿 命
機種系列
及び比較
標準処理風量
●あり(エレメント空気通路表面に附着した状態)
(但し、電気掃除機で簡単に取れる)
×あり(エレメント空気通路の目にほこりが塗り込められる。)
(エレメント表面に附着したほこりはパージセクター部パッキンにより
空気通路に塗り込められる。このため簡単には取れず風量低下となる。)
標準送風機位置で約2.5%の空気漏れ
×パ ージ風量あり……給気側への排気の漏れを防ぐため、排気側へ
但しエレメントに対する送風機位置によっては排気側へロス風量(約
パージ風量(6~14%)空気の漏れを作っている。このためパージセ
10%)を漏れさせることにより、給気側への漏れを0にすることが
クターの作動条件(圧力差・回転数)に問題があり、また風量バラン
できる。
スをある一定に保つ必要あり。
●ガスの移行〔アンモニア…約2.5%、硫化水素…約1.6%〕
×ガスの移行〔アンモニア……45~57%、硫化水素3.2~4%〕
●少(給排専用のため移行しにくい)
×大(同一穴を給排で共用のため移行しやすい。)
バイパス回路要(給気・排気の片側通路のみでOK)
バイパス回路要(給・排気両側共必要)
理論的には回転を止めることによりできるが、エレメントの吸湿
過剰によりドレン発生あり。
エレメントの清掃……2年に1度以上必要
目詰まりがエレメント表面に綿ぼこりの様に附着するのみであ
り、清掃は掃除機で簡単にできる。
エレメント空気通路吸込口2面のみ清掃
エレメントの清掃……1~2年に1回必要
パッキンでほこりがエレメントの目の中に塗り込められるので清
掃が困難。
×ローター駆動用ギヤーモータ……定期点検
×ローター軸受・ローター駆動ベルト……定期点検
エレメント……半永久的(10年以上)
(静止形であるのでこわれることはない)
エレメント……半永久的(10年以上)
(但し、ローター軸受・エレメント目詰まりによっては定期交換必要)
×ローター駆動ベルト……定期的に交換
×駆動モーター・ローター軸受……定期的に交換
○小~大まである
○小中形は特長をもった設計可能
大形は機械室レイアウトに合わせやすい
例
LU-160Y×5段
大形のみ
×回転体のため小形は設計しにくい
例
EV-1500
40~25000m3/h
8000m3/h
○100~63000m3/h
8000m3/h
エンタルピ
交換効率
圧 損
容量の小~中の場合は有利
設置スペース
(幅×奥行×高さ) (組み合わせによりレイアウトが自由)
温度·············77%
エンタルピ
暖房·········71%
冷房·········66%
74%
175Pa
177Pa
600×2100×2550 容量の大きいものは有利
320×1700×1700
第 20 章
全熱交換器の方式比較
MEMO
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