第2章 その1(PDF:2749KB) - 墨田区

第2章 緑の現況と課題
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第2章 緑の現況と課題
1.概況
1)位置・面積
本区は、東経 139 度 47 分 18 秒から 50 分 28
秒、北緯 35 度 41 分 09 秒から 44 分 31 秒にわ
たり東京都の東部に位置し、隅田川と荒川にはさま
れています。
面積は、13.75km2 で 23 区中 17 番目の広さで
す。
図 2-1:23 区の位置と面積
(出典:墨田区勢概要 2009(平成 21 年))
2)区の歴史・沿革
(1)震災・戦災と復興
本区の区域は、江戸時代の明暦 3 年(1657 年)の大火以降、南部地域は市街化が進み、
住宅・商業地域として発展してきました。一方、北部地域は依然として田園地帯でしたが、
隅田川一帯は遊覧の地として、多くの文人墨客が訪れるところでした。
明治時代には各種軽工業が発達し、近代工業地帯として東京の重要な地域を形成してきま
した。しかし、大正 12 年 9 月 1 日に発生した関東大震災によって南部地域はほとんど焼
失しました。震災復興の土地区画整理事業により整備が行われ、高密度地区が形成されまし
たが、昭和 20 年 3 月 10 日の空襲によって再び壊滅的な被害を受けました。
(2)戦後・高度経済成長期
戦後の経済成長に伴って、昭和 20 年に 6 万 5,000 人にまで減少した人口は、昭和 25
年に約 24 万人、昭和 30 年に約 30 万人となり、昭和 35 年には戦後のピークとなる 33
万 1,843 人となりました。(いずれも国勢調査)
昭和 30 年代、南部地域は準工業地域を主体とした住商工の混在地域として基盤整備が行
われましたが、北部地域は、基盤整備が遅れたまま市街化が進み、防災上危険な密集市街地
が形成されました。昭和 43 年には、江東デルタ地帯の防災対策として、「江東再開発基本
構想」が策定され、白鬚東地区防災拠点が整備されました。
また、地震対策として昭和 46 年から「江東内部河川整備事業」が進められ、内部河川に
おいて水位低下と河道整備や、耐震護岸整備が現在も進められています。また、大横川につ
いては、昭和 56 年度から大横川河道整備事業が実施され、親水公園として人々に親しまれ
ています。
18
図 2-3:墨田区地形図(明治 13 年)
(出典:墨田区都市計画マスタープラン(平成 20 年))
図 2-2:墨田区全図(古地図)(天保 14 年)
(出典:墨田区都市計画マスタープラン(平成 20 年))
図 2-4:墨田区整備計画図(昭和 20 年)
(出典:墨田区都市計画マスタープラン(平成 20 年))
図 2-5:墨田区開発事業図(平成 7 年)
(出典:墨田区都市計画マスタープラン(平成 20 年))
19
2.緑の現況
1)自然条件の概況
(1)地形・地質
東西の 長さ は 4.77km 、南 北の 長さは
6.12km です。
旧利根川水系と荒川水系の河口デルタ地
帯のために、南西部から北東部にかけてゆる
やかに傾斜する平坦な低地です。最高地点は
吾妻橋一丁目隅田公園付近で A.P.※4m、最
低地点は立花六丁目旧中川沿い付近で A.P.
マイナス 1.2mとなっています。
このため隅田川沿いの一部を除く区の大
部分の地域が、東京湾平均満潮面積より低い
ゼロメートル地帯です。
本区の地表部を構成している地質は、沖積
世期の沖積層(有楽町層ともいい、一般にや
わらかい粘土と砂の互層)から成っています。
沖積層の深さは 30mから 40mの範囲で分
図 2-6:荒川下流部の低地分布状況
(出典:荒川将来像計画 2010(案)(平成 22 年)
荒川の将来を考える協議会)
布し、隅田川沿いに浅く、おおむね北東部に
向けて深くなっています。
※A.P.:Arakawa Peil の略語で、荒川の水準線の意。
(2)気象
本区を含む東京都の、平成 3(1991)年から平成 22(2010)年まで 20 年間の年平
均気温は 16.5℃、月平均気温は 8 月が 27.4℃、1 月が 6.3℃です。年平均総降水量は
1,567mm となっています。
降水量
250.0
(mm)
30.0 気温(℃)
25.0
200.0
20.0
150.0
15.0
降水量
気温
100.0
10.0
50.0
5.0
0.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
観測所:東京
1991~2010 年の
平均値
0.0
12 月
図 2-7:月平均の気温・降水量の変化
(参考:気象庁 気象統計情報)
20
2)緑の状況
(1)区全体の緑の状況
ア.緑被率の推移と現況
平成 21 年度に実施した「墨田区緑と生物の現況調査」によると、本区全体の緑被地の面
積は 145.0ha、緑被率は 10.5%です。その内訳は、樹木被覆地が 100.9ha(7.3%)、草
地が 39.2ha(2.8%)、屋上緑地が 4.9ha(0.4%)となっています。
緑被地以外では、道路・建物などが 1,100.3ha(80.0%) 、水面が 102.7ha(7.5%)、
裸地が 27.0ha(2.0%)です。
緑被率とは、緑被地(樹林、草地、屋上緑地)が、その地域全体の面積に占める割合のこ
とです。
15.0%
10.5%
9.4%
9.2%
10.0%
6.2%
5.4%
5.0%
0.0%
昭和48年度 昭和59年度
平成2年度
平成12年度 平成21年度
図 2-8:緑被率の経年変化
(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
本区の緑被率は東京 23 区中 21 番目であり、緑の少ない区です。
30.0%
26.1
24.0
25.0%
21.8
20.6 20.5 20.4 20.3
20.0%
18.5
17.6 17.5 17.1
16.7 16.4 16.4 16.3
14.5 13.9
13.5
15.0%
12.4 12.3
10.5
10.0%
9.1
8.4
5.0%
台東 区
中央区
墨田区
荒川区
豊島区
板 橋区
品川区
葛飾 区
足立区
江戸 川 区
中野区
江東 区
目黒 区
新宿区
文京区
北区
大田 区
千代田区
港区
渋谷区
杉並 区
世田 谷区
練馬区
0.0%
H18 H18 H19 H15 H18 H15 H9 H20 H16 H17 H15 H17 H19 H18 H16 H10 H16 H16 H16 H19 H21 H16 H12
注)各区の緑被率は、区ホームページ、その他資料による。
図 2-9:東京 23 区の緑被率
(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
21
イ.みどり率の状況
みどり率は、ある地域における樹林地、草地、農地、宅地内の緑(屋上緑化を含む)
、公
園、街路樹、河川、水路、湖沼などの面積がその地域全体の面積に占める割合をいいます。
緑被率に「河川などの水面の占める割合」と「公園内の緑で被われていない面積の割合」を
加えたものが「みどり率」となります。
図 2-10:緑被率とみどり率の関係
平成 21 年の区全体のみどり率は、20.5%です。その内、水面と公園でみどり率の約 6
割を占めています。
表 2-1:本区のみどり率の状況
項目
面積(ha)
みどり
樹木被覆地(公園内を除く)
草地(公園内を除く)
屋上緑地(公園内を除く)
水面(公園内を除く)
公園(こども広場、緑地広場を含む)
区全体
281.3
73.4
30.6
4.8
101.7
70.9
1,375.0
区面積に対しての
構成比(%)
20.5
5.3
2.2
0.3
7.4
5.2
100.0
※小数点第 2 位以下は四捨五入しています。
22
(2)緑被地の分布
図 2-11:本区の緑被地の分布
(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
23
(3)地域ごとの緑被率
最も緑被率が高い地域は、荒川・四ツ木橋緑地、旧中川河川敷や文花、立花の集合住宅が
ある「東墨田・立花・文花地域」の 15.4%、次いで東白鬚公園、荒川四ツ木橋緑地などが
ある「堤通・墨田・八広地域」の 14.3%で、それ以外の地域はいずれも 10%未満となっ
ています。
18.0%
16.0%
0.2%
0.2%
14.0%
12.0%
6.8%
5.1%
10.0%
0.3%
8.0%
0.5%
0.7%
1.3%
6.0%
4.0%
8.9%
0.5%
0.4%
8.4%
7.7%
5.5%
2.0%
6.8%
0.6%
4.3%
緑 ・立 川 ・
菊川 地域
業 平 ・錦 糸 ・
江東橋 地域
吾 妻 橋 ・本 所
・両 国 地 域
東 墨 田 ・立 花
・文 花 地 域
向 島 ・京 島 ・
押上 地域
堤 通 ・墨 田 ・
八広地域
0.0%
屋上緑地
草地
樹木被覆地
0.6%
図 2-12:地域ごとの緑被率の現況
(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
(4)土地利用別の緑被率
土地利用別の緑被率は、公共系の土地利用が 14.9%と最も高く、次いでその他が 11.0%、
商業系と住宅系が 6.4%、工業系が 5.4%となっています。
公共系の土地利用別の緑被率の内訳を見ると、公園、社寺、供給処理施設で 15%以上と
いう高い比率を示しています。一方、道路・鉄道が 6.3%と低い比率となっています。
商業系では、スポーツ興行施設が 19.7%と最も高く、その内、草地が 10.4%と高い比
率を示しています。商業施設は、緑被率は 6.0%と高くはないものの、屋上緑地は 1.8%と
全ての土地利用の内最も高い比率です。
住宅系は、最も高い集合住宅でも 9.4%と、区全体の緑被率を下回っています。
工業系は、工場が 6.0%、倉庫などが 4.4%と、いずれも低い緑被率となっています。
0.1%
15.0%
4.9%
0.5%
0.4%
10.0%
1.0%
5.0%
9.9%
2.8%
6.8%
7.3%
その他
区全体
0.6%
0.6%
1.4%
4.0%
3.7%
屋上緑地
草地
樹木被覆地
0.2%
0.7%
5.2%
4.5%
住宅系
工業系
0.0%
公共系
商業系
図 2-13:土地利用別緑被率の現況
(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
24
(5)樹木被覆地の状況
緑被地分布の内、樹林地を樹木被覆面積としてみると、300 ㎡以上の「樹木被覆地」は
区内に 382 箇所ありました。全体の約 7 割は 1,000 ㎡未満で、高さ 10m 以上の樹林地
は向島四丁目の秋葉神社と文花二丁目の香取神社の 2 箇所のみとなっています。
表 2-2:樹木被覆地の状況
(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
樹木被覆地面積別の箇所数
樹木被覆地
内の高さの 300㎡
1,000㎡
3,000㎡
10,000㎡
平均
~1,000㎡ ~3,000㎡ ~10,000㎡ ~17,000㎡
合計
(箇所)
1m未満
84
13
2
1
100
1m~2m
84
21
3
0
108
2m~3m
35
21
4
0
60
3m~4m
35
8
6
0
49
4m~5m
17
9
4
0
30
5m~6m
12
0
0
1
13
6m~7m
6
1
2
1
10
7m~8m
4
2
1
0
7
8m~9m
1
0
1
0
2
9m~10m
1
0
0
0
1
10m~11m
2
0
0
0
2
281
75
23
3
382
合計
(6)屋上緑地
屋上緑地を有する建物は、区内に 2,448 箇所あり、屋上緑
不明, 10%
工業系, 3%
公共系,
12%
地の総面積は 4.9ha、1 箇所あたりの平均面積は 20.2 ㎡で、
商業系,
16%
全体の 8 割以上が住宅系です。1 箇所あたりの平均屋上緑地
面積を詳しく見ると、道路・鉄道、供給処理施設、商業施設、
住宅系,
59%
官公署の順に大きく、住宅系及び工業系は比較的小さくなって
います。
図 2-14:屋上緑地
(出典:墨田区緑と生物の現
況調査(平成 21 年))
また、学校の屋上緑地は平成 21 年度までに 11 校、1295.4
㎡が実施されています。
(7)緑視率
緑視とは人の目に映る緑の量のことで、立体的な視野の中に占める緑量の割合を緑視率と
いいます。これは、人の緑に対する満足度、意識の把握の手段として用いられ、人の視野の
範囲で撮影した写真を用いて、その中に占める樹木などの面積の割合を集計するものです。
本区の調査では、写真の撮影箇所は合計 106 箇所で、地区ごとに平均値を算出しました。
60.0%
50.0%
38.0
緑の豊かさを感じる基
準(東京都)25%以上
40.0%
32.8
31.0
32.0
28.2
29.6
24.5
25.0
20.7
22.6
19.7
19.2
17.5
17.6
17.5
16.5
17.3
15.9
15.7
13.9
10.8
11.8
8.8
9.3
10.0%
15.9
20.0%
27.7
30.0%
凡例
最高
平均
最低
堤通
文花
京島
横網
吾妻橋
石原
立花
東墨田
東向島
向島
八広
亀沢
業平
錦糸
押上
墨田
江東橋
両国
緑
東駒形
菊川
横川
千歳
太平
立川
本所
0.0%
図 2-15:地区ごとの緑視率(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
25
緑視率を地域ごとに見ると立川、本所、太平などの業務地を中心とする南部地域で低く、
文花、堤通、京島などの住宅地が多い北部地域で高くなる傾向が見られます。
集合住宅などの敷地内にまとまった緑が植栽されていることや、道路の街路樹、公園や公
共施設の緑が緑視率に反映していますが、住宅地で緑視率が高いのは、個人住宅などで玄関
先や、建物と道路との境にある低木などの植栽による影響です。
また、区南部の業務地や事業所・住宅が混在する地域では、土地の利用が進んだために敷
地周辺に緑化する余地が少なく、緑視率が低くなる傾向にあります。
(8)緑被率と緑視率による地域分析
地区ごとの緑被率と緑視率の偏差値を算出し、緑被率の偏差値を X 軸、緑視率の偏差値を
りょくかん
Y 軸として各地区の値を落とし込んだものを緑感図としました。偏差値の平均値は 50.0 な
ので、50.0 を基準としてこの緑感図を4象限に分割し、地域特性を整理しました。
緑感図は、地域の緑の状況を、緑被面積を示す緑被率と目に映る緑の感覚を示す緑視率を
表現したものです。緑被率は緑の各地区の絶対量ですが、緑視率は場所によって値が大きく
異なります。そのため、この図では地区の緑視率の平均値を採用しています。さらに、緑視
率の測定ポイントを増やすことにより、地域の実態に近い緑視率を得ることができます。ま
た、任意の場所の緑視率を測定することで、その場所の緑感図上の位置を知ることができま
す。
緑視率は、次の式から偏差値を計算し、地区の緑被率の偏差値とあわせて緑感図上に示す
ことができます。
偏差値=
10×(xi-μ)
σ
+50
●緑視率の計算方法
xi:測定値(各地区の緑視率)(%)
μ:標本平均
19.5%(区平均)
σ:標本標準偏差
7.8
xi は測定した写真の緑の面積の割合で、%で示します。
(緑視率の計算例)
吾妻橋のある場所の緑視率が 35%だったとすると、この場所の偏差値は、10×(35-
19.5)÷7.8+50=69.8 になります。また、吾妻橋地区の緑被率の偏差値は 44.2 ですの
で、グラフ上の緑被率 44.2、緑視率 69.8 がその場所の値になります。
※偏差値…ある数値が、集団の平均値よりもどれくらい上または下に偏っているかを表すものです。
26
表 2-3:各地区の緑被率と緑視率及びその偏差値
地区
緑被率
緑被率の偏差値
地区
緑視率
緑視率の偏差値
両国
4.6
40.4
両国
16.5
44.6
千歳
5.7
42.7
千歳
11.8
38.6
緑
4.6
40.4
緑
15.9
43.8
立川
5.6
42.5
立川
8.8
34.7
菊川
5.3
41.9
菊川
15.7
43.5
江東橋
7.0
45.5
江東橋
17.5
45.8
横網
13.2
58.9
横網
31.0
63.1
亀沢
5.7
42.7
亀沢
19.2
48.0
石原
5.4
42.1
石原
28.2
59.5
本所
5.2
41.7
本所
9.3
35.4
東駒形
4.9
41.0
東駒形
15.9
43.8
吾妻橋
6.4
44.2
吾妻橋
29.6
61.3
錦糸
12.2
56.7
錦糸
17.6
46.0
太平
5.8
42.9
太平
10.8
37.3
横川
11.9
56.1
横川
13.9
41.2
業平
6.8
45.1
業平
19.7
48.7
向島
11.1
54.4
向島
22.6
52.4
東向島
8.5
48.8
東向島
24.5
54.8
堤通
21.0
75.7
堤通
32.8
65.4
墨田
15.7
64.3
墨田
17.3
45.6
押上
6.2
43.8
押上
17.5
45.8
京島
6.0
43.4
京島
32.0
64.4
文花
14.0
60.6
文花
38.0
72.1
八広
11.2
54.6
八広
20.7
49.9
立花
13.8
60.2
立花
25.0
55.4
東墨田
18.2
69.6
東墨田
27.7
58.9
区の緑被率
10.5
区の平均緑視率
19.5
27
図 2-16:緑感図(緑被率と緑視率による地域分析)
表 2-4:象限ごとの特徴
第Ⅰ象限
緑被率も緑視率も高く、緑感が高い象限。
第Ⅱ象限
緑視率は高いが、緑被率は低い象限で、緑被面積を増やすことで緑感を高める必要がある象限。
住宅などが密集しているため、緑の絶対量は少ないが、接道部の植え込み、壁面緑化、玄関先の植え込み
など、視野に入る緑量が多い地域などが該当する。
第Ⅲ象限
緑被率も緑視率も低く、緑被面積も目に映る緑も増やすことで緑感を高めていく必要がある象限。
屋上や壁面を含めて緑化を推進する必要がある地域などが該当する。
第Ⅳ象限
緑被率は高いが、緑視率は低い象限。目に映る緑を増やすことで緑感を高めていく必要がある象限。
河川敷など広い緑化面積が含まれている地域、大きな屋上緑化が含まれている地域で、接道部や壁面緑化
を進めることで、より緑感が増幅する地域などが該当する。
これらより、6地域の特性を整理すると以下の通りになります。
表 2-5:緑感図による各地域の特性
※東向島地区及び江東橋地区は 2 地域にまたがるため、重複させています。
28
3)生き物の現況
(1)現況
平成 21 年度に実施した「墨田区緑と生物の現況調査」では、鳥類については 11 目 28
科 55 種が確認され、主にはドバド、ヒヨドリなどの緑の少ない環境に適応している種でし
た。
昆虫類は 11 目 108 科 265 種が確認され、アブラゼミ、クロホシクチブトゾウムシ、
アオモンイトトンボ、シオカラトンボ、バッタ類、チョウ類、カメムシ類が確認されました。
魚類は 8 目 12 科 24 種、水生生物は 19 目 35 科 46 種が確認されました。
両生類は 1 目 3 科 3 種、爬虫類は 2 目 3 科 4 種、哺乳類は 1 目 1 科 1 種が確認されま
した。両生類は、アズマヒキガエルなどのカエル類、爬虫類は、クサガメなどのカメ類やヤ
モリなどのトカゲ類、哺乳類はドブネズミが確認されました。
また、外来種については、カダヤシ、オオクチバス、ミシシッピアカミミガメ、ウシガエ
ル、オオフサモ、オオハンゴンソウなどが確認されました。
写真:アオモンイトトンボ
写真:サクラタデ
(2)学校のビオトープ
本区では平成 21 年度までに、環境保全課事業などにより小学校 12 校でビオトープの設
置を実施しています。
また、平成 19 年度から事業者、環境 NPO、区内小学校の協働ではじまった、学校のビ
オトープ造成支援「わくわく子どもの池プロジェクト」に参加し、平成 21 年度までに 5 校
で実施しています。
また本区では「ヤゴ救出作戦」として、小学校のプールなどにヤゴの生育空間をつくり、
小学校の授業の一環でヤゴの調査を行っています。平成 15~22 年度までの実績は下表の
通りです。
表 2-6:平成 15~22 年度のヤゴ救出作戦の実績
年度
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
合計数
参加校(全校数)
8 (28)
20 (28)
21 (27)
21 (27)
25 (27)
23(26)
19(26)
21(26)
ヤンマ系 アカトンボ系 シオカラ系 イトトンボ系
23
112
252
439
288
147
120
227
1,608
2,134
2,464
3,252
6,381
5,728
8,023
3,484
4,990
36,456
29
962
1,636
1,013
1,844
619
462
285
648
7,469
106
191
20
146
25
31
139
7
665
合計数
3,225
4,403
4,537
8,810
6,660
8,663
4,028
5,872
46,198
4)公園整備の現況
(1)公園の量
都市公園面積(都立公園、区立公園、児童遊園)は、平成 6 年から平成 22 年にかけて
3.8ha 増加し、70.3ha となっていますが、人口の増加率が公園の増加率を上回っているた
め、一人あたり都市公園面積は減少に転じています。平成 22 年 4 月1日現在の一人あたり
都市公園面積は 2.82 ㎡/人で、東京 23 区で比較すると 10 番目になります。
都市公園の他、こども広場、その他緑地を加えると、総面積 70.9ha、一人あたり面積
2.84 ㎡/人となります。
(2)公園の緑被率
本区の緑被地は 145.0ha であり、この内、公園(都立公園、区立公園、児童遊園、こど
も広場、その他緑地)の緑被地は、36.2ha で、全体の緑被地の 1/4 を占めています。ま
た、それらの公園の平均の緑被率は 51.1%でした。
都立公園である横網町公園、向島百花園、東白鬚公園ではいずれも緑被率が高く、こども
広場及び児童遊園は、公園の性質上、遊具などが設置され裸地が多く、緑被率は低くなって
います。
%
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
区立公園
児童公園
こども広場
その他緑地
都立公園
図 2-17:公園の緑被率
(出典:墨田区緑と生物の現況調査(平成 21 年))
(3)地域ごとの公園の一人あたり面積
各地域の公園一人あたり面積は、
「堤通・墨田・八広地域」の 4.10 ㎡/人、
「向島・京島・
押上地域」の 2.94 ㎡/人の順に高く、「緑・立川・菊川地域」は 1.17 ㎡/人と他の地域に
比べて小さい値となっています。
表 2-7:地域ごとの公園の一人あたり面積
北部 地 域
地域名称
堤通・墨田・八広地域
一人あたり面積
4.10 ㎡/人
向島・京島・押上地域
2.94 ㎡/人
南部地域
東墨田・立花・文花地域
吾妻橋・本所・両国地域
2.86 ㎡/人
2.54 ㎡/人
業平・錦糸・江東橋地域
2.88 ㎡/人
緑・立川・菊川地域
1.17 ㎡/人
個数
44
(都立1公園含)
29
(都立1公園含)
34
29
(都立1公園含)
18
(押上地域を除く)
10
※公園面積及び個数は、地域の境界にあるものは重複して算出しています。
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(4)公園の充足状況
公園へのアクセス不便地域の分布は、主要幹線道路に接して区内に点在しています。アク
セス不便地域 1)が解消されているところは、東墨田・立花・文花地域や堤通・墨田・八広地
域などですが、他のエリアでは、大小のアクセス不便地域が広く分布しています。
注 1)アクセス不便地域とは、公園の誘致圏を 250m、児童遊園・こども広場の誘致圏を 100mとした
ときに、その誘致圏に含まれない地域(ただし誘致圏は国道、都道などの主要幹線道路をまたがないも
のとしています)。なお、その他緑地については、小面積のものが多いため公園の誘致圏からは除外し
た。
図 2-18:アクセス不便地域
(『墨田区環境誘導指針策定調査』(平成 6 年 3 月)に加筆修正)
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5)街路樹の整備現況
区内の街路樹の高木は、プラタナス類やトウカエデ、ハナミズキなどの 15 種の落葉樹と、
クスノキ、マテバシイ、ヤマモモの3種の常緑樹で構成されています。また、北斎通りのよ
うな数種類の街路樹を混ぜた複合植栽路線も整備されています。
この他、街路樹が大きくて風格のある道路景観が形成されている道路は、北斎通り、国技
館通りなどがあります。
図 2-19:街路樹の整備状況
(『TOKYO道路のみどり 2010』(平成 21 年)より作成)
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