ME機器 こんなときどうする?③ シリンジポンプ

ケースでチェック!
ME機器 こんなときどうする?
4回
シリンジポンプ
剱持雄二
東海大学八王子病院 ICU/CCU副主任 集中ケア認定看護師
シリンジポンプは輸液ポンプと同じ
後輩ナースがセットした下図
をチューブの先端まで通し、開始ボタ
では、インシデントを招きか
ンですぐに送液できるように準備する
滴を実施するために用いる機器です。
ねない要素として以下の 2 点がありま
ことを「プライミング」といいます。た
薬剤を少しずつ的確に送液することが
す。
だし、早送りは送液量が増量すること
できるので、厳密な管理が必 要な薬
①フランジとスリット部の間に隙間が
になるので、必ず患者さんに投与する
く、一定の速度で持続的に薬剤の点
剤投与の場合に使用します。
こう
する
ある
セット方法が少しでも間違っている
と誤差が生じ、患者さんの循環動態な
② 押し子とスライダーの間に隙間が
ある
前に行わなければなりません。
CHECK & REMIND
どに影響を及ぼす可能性があることを
シリンジのフランジがシリンジポン
シリンジポンプ使用時は、サ
念頭において取り扱いましょう。
プのスリット部にきちんとセットされて
イフォニング現象にも注意が必
おらず、前方に隙間が開いていると、
要です。正しくセットされず、シ
あなたは後輩ナースと2人で、
作動させても隙間がなくなるまでの間
リンジポンプが患者さんより高
シリンジポンプで昇圧薬を投
は薬剤が注入されません。フランジは
い位置にあると、高低落差によ
与する患者さんのもとを訪れました。
必ずスリット部前方に寄せ、隙間がな
って陰圧がかかり、薬液が短時
そして後輩ナースにシリンジポンプを
いようにセットする必要があります。
間で投与されてしまうからです。
セットするよう指示したところ、後輩
同様の理由から、シリンジの押し子
サイフォニング現象を防ぐため
ナースは下図のようにセットしました。
とシリンジポンプのスライダーもしっか
に、シリンジポンプを患者さん
それを見たあなたは、後輩にセットし
りと密着させ、隙間がないようにする
と同じ高さにセットします。
直すよう指示しました。それは、なぜで
必要があります。たとえば、1時間あた
しょう?
り0.5mlで投与されるよう設定した場
こんな
とき
合、50ml のシリンジでは僅かな隙間
フランジ
押し子
スライダー
でも1ml分はあります。つまり、2時間
も注入されないことになり、患者さん
に重大な影響を及ぼすことになります。
スリット
セット時にシリンジとシリンジポンプ
が密着していることを確認するため、
セットしたら早送りボタンを押して2 カ
ポイント
・シリンジポンプとシリンジは密
着させる。
・プライミングは、患者さんに接
続する前に行う。
・シリンジポンプは患者さんと同
じ高さにセットする。
所を密着させます。このように、薬液
写真提供:テルモ株式会社
VIVO vol.29 39